「タクティクスオウガ外伝 The Knight of Lodis」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

タクティクスオウガ外伝 The Knight of Lodis - (2024/04/20 (土) 16:56:25) のソース

*タクティクスオウガ外伝 The Knight of Lodis
【たくてぃくすおうががいでん ざないとおぶろーでぃす】
|ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00005OVEB)&br()&amazon(B000E5DSFK)|
|対応機種|ゲームボーイアドバンス|~|
|メディア|64MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|クエスト|~|
|発売日|2001年6月21日|~|
|定価|4,800円(税別)|~|
|廉価版|バリューセレクション:2006年2月2日/2,800円(税込)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|通常のターン制になり、ガッカリした人多し&br()勲章などの新システムは高評価|~|
|>|>|CENTER:''[[オウガバトルサーガ]]''|
//現時点におけるシリーズ最終作は、運命の輪の存在と矛盾するのでCO

#contents(fromhere)
----

**概要
-『[[タクティクスオウガ]]』(以下TO)の外伝作品。物語の時系列はオウガバトルサーガの中では最古にあたる。
-それまでのサーガでは敵役だった「ローディス教国」に所属する若き騎士アルフォンス・レーエルが、ローディス教化政策(実質的な侵略)により支配下となった「オウィス島」に調査任務に訪れるところから物語が始まる。

**変更点・新要素
-基本的なシステムは『TO』とほぼ同様だが、変更点や新要素が加えられている。
--ウェイトターンは廃止され、通常のターン制になった。
---装備重量の概念は残っており、移動力に影響を与える仕様に変更されている。前作同様命中にも関与するがその影響は小さい。
--戦闘で一定の条件を満たすと手に入り、様々な効果をユニットにもたらす『勲章』
---具体例としては、敵の攻撃を回避することで手に入る『皆伝の書』、女性ユニットが男性ユニットを説得することで手に入る『小悪魔のささやき』など。
---プラスの効果だけでなく、マイナスの効果が付加されてしまう勲章も。またクラスチェンジ条件に絡む勲章もある。
--ユニットの受けている恐怖効果や支援効果が『メンタルゲージ』という形で視覚化された。
---今作は勲章の効果によっても恐怖・支援に補正がかかることが多く増減が複雑になりやすいため、現在の補正状況が一目で確認できるのはありがたい。
--バイオリズム(今日の運勢)
---オンラインヘルプで名前を調べると「今日の運勢」が表示される。運勢が悪いと予測命中率がアテにならなくなる。~
なので攻撃の命中率は99%が限界であり、100%は運勢が影響しない必中攻撃にのみ適用される。必中攻撃は概ね高コストに設定されており、使い分けが重要。
---これに伴い、月日の経過はストーリー進行でのみ行われ、拠点間の移動では変化しなくなった。
--ユニットのエレメントに、「神聖」「暗黒」の2属性が追加された。転生ユニットやアンデッドのみこのエレメントを持つことが出来る。
---地形効果にもこの2属性の影響がある。
--やり込み戦闘「クエストモード」
---クエストモードは、設定した特殊な勝利条件をクリアすることによってアイテムが手に入るという特殊な戦闘。~
『TO』における「死者の宮殿」の簡易版のようなものであり、長時間のやりこみに耐えうるものではないが気軽に挑戦できる。
---条件が厳しいほどアイテムのランクが上がる。ここでしか手に入らないアイテムや勲章もある。
---ちなみにこのモードで味方キャラがやられても、データ上からは消滅しないため気軽にプレイできる。
--出撃ユニットのサイズ制限がなくなり、魔獣やドラゴンを何体でも出撃させられるようになった。
--一方でオークションは廃止。もっともオークションは『TO』の舞台のみの「特産」との意見もあるためあまり非難はなく、また本作ではリーダー(主人公)以外での説得が可能になり、結果的に敵を説得しやすくなったので、オークションがあると資金面でバランスが崩壊しかねないという懸念もあったのかもしれない。
---説得は隣接時のみに変更されている。またクラス相性や勲章で成功率が上下する。
--通信でユニット・アイテムの交換や対戦ができる。
--武器に「攻撃力」、防具に「防御力」が設定されている。
---特に、武器の攻撃力は、その差が''露骨に''威力に反映される。弱い武器は強いキャラクターが使用しても弱いままということ。
---『[[オウガバトル64>オウガバトル64 Person of Lordly Caliber]]』まで、装備効果はパラメーター補正が中心だったため、特にユニット自体のパラメーターが大きくなる後半では相対的に価値が薄くなり、属性等の特殊能力付き以外は軽いもの・安価なものの方が有利になってしまっていた。「攻撃力」「防御力」はその問題を解決するために導入されたものと推測される。

----
**評価点
-『TO』で批判されたバランスの悪さが大幅に調整されている。
--「ニンジャ」、「アーチャー」はAGI(素早さ)の価値が下がったため相対的に弱体化。
---弓も全体的に弱くなっている。
--「ペトロクラウド」も大幅に弱体化。というよりも補助魔法全般が範囲の縮小と命中率限界により弱体化している。
---とはいえ弱体化されたクラス、戦法も使い所を読めばそれなりに役立つ。バランスブレイカーではなくなっただけである。
--一方、接近戦主体のクラスは、背後から攻撃すれば反撃は受けないという仕様が追加されたこともあり、全体的に使いやすくなった。
---特に『TO』では使えないクラス筆頭とまで言われた「ナイト」は高い攻撃力・耐久力、さらに基本的な回復魔法が使用できるようになり、終盤まで一線で活躍できるまでに強化された。~
「バーサーカー」のようなライバルクラスが削除され、前作ではナイトのアッパーバージョンであった「ドラグーン」の成長率がナイトの下位互換になったことも、ナイトにプラスに働いている。
--グリフォンなどの魔獣もスペシャル攻撃の仕様や効果などが見直され、『TO』より使いやすくなっている。
--上記の通り、全体的に『TO』でシステム上不遇だった要素の多くが救済されている傾向にある。前作でこれらの要素を使いたくても性能面で断念せざるを得なかったプレイヤーには嬉しい。
---不遇なクラス・要素が無いわけではないものの、突出して強すぎるようなクラスは存在しないため、シビア過ぎないバランスも相まって編成にプレイヤー側の個性を出しやすい点は評価点。
--CC条件に装備品によるステータス補正が考慮されるようになった。例えば、MPさえあれば、杖などでINTを簡単に上げられるので、上位の魔法系クラスに就くことが楽になった。

-GBA最初期ながらグラフィックレベルはかなり良質。ドット絵の職人的打ち込みも健在。
--味方固有キャラは、専用クラスはもちろん汎用クラスにも専用のグラフィックが与えられているほか、敵リーダーの汎用キャラも色違い((後の『運命の輪』での色違いの敵はごく一部のみ。))であり、キャラクターの個性と言う点では『TO』から格段に進化している。
--前作の魔法のエフェクトは冗長でテンポが悪いものが多かったが、今作ではおおむね短く改善されている。

-BGMも崎元仁・岩田匡治のおなじみコンビが担当。GBA音源をフル活用した、GBA発売と同年とは思えない良質な出来となっている。
--GBAとしては非常に高品位なPCMもさることながら、それらに違和感なく混ざっているGB音源の使い方も素晴らしい。
--PCMを前面に出した崎元氏、GB音源をメインに据えた岩田氏と、作曲家ごとの個性も『TO』などよりも強く出ている。GBA音源の複雑性の思わぬ副産物である。

-『TO』と違い、ユニット配置時にマップを確認できるようになったので、ユニットをより相性の良い地形に置いたりすることが簡単になった。敵キャラも既に配置されているので敵配置を見ながら作戦を考えられるのも○。
--残念ながら、これは[[TOのPSP版リメイク>タクティクスオウガ 運命の輪]]には採用されていない。
--ユニット配置時に向きも指定できるが、戦闘は常に味方から行動するので意味はあまり無い。

-除名時や死亡時のセリフはなかなか出来が良い。
--『TO』ではALIにかかわらずセリフの種類が固定だったモンスターも、それぞれのALIらしいセリフを言ってくれる。例えばALIがLのモンスターは気位が高く、ALIがCのモンスターは粗暴さが出ている。

-『勲章』システム
--うっかりデメリット付きの勲章を取ってしまった際などに取り消しができない等の問題はあるが、条件を満たす事でクラスチェンジ可能になったり、能力値に変更があったりとそれ自体は面白いシステムで好評。
--反撃で敵にトドメを刺すと獲得できる『護身の心得(反撃時の与ダメージ増加)』、投射攻撃を5回連続で命中させると獲得できる『スナイパー(獲得時にAGI+10)』など、獲得条件が緩めな割にメリット効果が大きい勲章も多い。
---戦闘でキャラを使っていると知らず知らずのうちにこれらの条件を達成して勲章獲得の通知が入るのも、現代のゲームでいう「実績解除」的な楽しみがありなかなか嬉しい。
--獲得が困難な勲章はそれ相応の強力な効果を持っており、やりこみ要素としても奥が深い。
--もちろん勲章ひとつひとつにもヘルプメッセージが用意されている。大まかな獲得条件も確認できるので、狙ったものがあればトレーニングモードで他のキャラに獲得させに行くのも手。

**賛否両論点
-ウェイトターン制の廃止。
--これによりゲームバランスが見直され、敵味方共に死ににくくなったので難易度は『TO』よりも格段に下がり、より万人向けになった。
--一方で、原作ファンからすると『TO』といえばWTによる敵味方入り乱れる行動順の印象が強い為、「こんなのタクティクスオウガじゃない」と否定的に取られる事が多い。

-ドーピング系のトレジャーがカードから消費アイテムに変更。
--アイテムとして所持できるようになったため戦闘を終わらせる前に拾いに行く必要が無くなり、貯めておいて後から使うことができるようになったりと利便性が増した。
---ただし、戦闘中にしか使用できない上に使用時にやたらと長い演出が入るため、大量に貯めてしまうと消費するのが億劫になってしまうのが難点。
--また、序盤から頻繁に入手できる割に売却価格が高額に設定されているため、適宜売却していけばお金に困ることがほぼ無くなってしまう。
---しかし本作は従来に比べてお金が直接手に入る機会が非常に少なく、新しい装備を買うためには不要なアイテムをどんどん売却する、説得した敵から装備をもらうといったテクニックが求められるバランスになっている。~
基本的には強化に使うが、いざという時に換金できる救済措置と考えれば悪いものではない。

-本作のEDについて賛否が大きい。

#region(EDネタバレ)
-本作のEDはヒロインが自らの意志で主人公の身代わりとなりラスボスと共に封印されてしまう(通称Aエンド)。
-しかも『TO』と繋がるEDがこのヒロインが封印されるEDである。主人公が救われないEDのため賛否両論となった。
--本作の主人公は『TO』でも名前を変えて登場するが、本作とは打って変わって非情なキャラなので、そこに繋げる為の悲劇のシナリオとしてある程度理解はされているのだが、やはり真EDが悲劇というのには抵抗が強いプレイヤーが多かった。
--一応、ヒロインが封印されないED(通称Bエンド)もあるがif扱い、すなわち史実ではないEDである。
#endregion

**問題点
''ゲームバランスの問題''~
『TO』程ではないが新たにバランスの悪い部分ができている。

-敵味方の耐久力がインフレ気味。
--上述した通り、様々な調整により『TO』と比べるとかなり丸くなったゲームバランスではあるものの、今度は敵味方共にやや耐久力面が充実しすぎてしまっている傾向がある。
--WT制の廃止・防具の仕様変更により重装系装備の利便性が高まったこと、物理系クラスとして汎用性の高いナイトが回復魔法まで使えてしまうこと、極めつけは死者を復活させるアイテム「再生の祭壇」が今作では比較的簡単に手に入ってしまうことなど、戦線維持に有利な要素が非常に豊富。
--上記の調整は敵側も活用しており、中盤以降は全体的に重装備で固めた敵が増えはじめ、ヒーリングを装備したナイトやヒーリングプラスを使う敵専用クラス「デュークナイト」等 やたらとタフな前衛も頻繁に登場するようになる。
---このため、意識して火力を高めた装備・編成にしておかなければ「なかなか敵のHPを減らせず、かといって敵の攻撃が苛烈なわけでもないためこちらがピンチになることも少ない」というダレる展開になりがち。

-水中適性ユニットが不遇。
--シナリオと攻略マップの噛み合わせの関係上、オクトパス・マーメイド・ナーガ((ドラゴンの上位形態の一つ。ステータスが一定以上になるとクラスチェンジできる。))といった水中での戦闘を得意とするユニットの活躍機会が限られてしまっている。
--本作の序盤は物語に「人魚」が深く関わっており、序盤こそ海や湿地帯といった水中で戦う機会が多いのだが、中盤以降のマップでは森の中の小川程度しか水場がなくなってしまう。
--味方にマーメイドを加入させられるようになるのは人魚関係のシナリオの山場となるマップの攻略後になるため、ゲーム的には全盛期といえる活躍の場を逃してしまう。ナーガも前述のマップの攻略時点ではクラスチェンジがまず追いつかないため活用は困難。
---オクトパスは上記の面々の中で唯一ゲーム序盤から加入させられるため、まともに水中で活躍させる機会があるだけマシな方。
--更に物語が進み後半になると 季節が冬に移り''川の水が凍ってしまう''ため、ますます水場が減る。~
一応水中で強くなるというだけで陸上で極端に弱体化するわけではなく、マーメイドなら雪原でも移動しやすいという特性はあるものの、終盤まで使い続けるには装備品でカバーする等の愛が必要。

-男ウィザードの将来性がない。
--『TO』でもウィザードは女魔導士のセイレーンに火力で負けるクラスだったが、セイレーンよりも早い段階でクラスチェンジでき、素早さで勝るので進軍で遅れを取らない・重装備で生存率を上げられるメリットがあり、召喚魔法を使えばどの道オーバーキルなので終盤まで実用に耐えうる性能だった。
---しかし本作ではウィザードが男女共通クラスになった上に召喚魔法が使えなくなり、セイレーンが「召喚魔法も使える上級魔道士」という位置づけになったのに対し男魔道士の上級版が追加されなかったので、完全に序盤限定の下積みクラスになってしまった。
--『TO』では男ウィザードの再就職先として有力だったウォーロックが、今作では魔法剣士という位置づけになり、クラスチェンジのためには高いSTRが必要になったのも、男ウィザードの将来性のなさの一因と言える。
---ウォーロックが必要なら、ニンジャ((前作同様、格闘と(召喚魔法を除く)攻撃魔法の双方がこなせる万能クラスである。))から作ったほうが良いだろう。ウォーロックになるために必要な「文武の証」の条件も、ニンジャの特性と噛み合っている。
---一応リッチに転生するという道はあるが、これも男女共通クラスなのでフォローとしては弱い。

-クラスチェンジの条件にいくつか取り返しのつかないものがある。
--男性専用のビーストテイマーおよび女性専用のドラゴンテイマーは、対応する種族を2体以上殺害してしまうとクラスチェンジできなくなる。1体だけならうっかり殺害してもセーフだが…。
--プリーストは殺害数が11を超えるとクラスチェンジが不可能になる。それだけなら問題は少ないのだが、勲章のために男性でクラスをコンプリートしようとするとウォーロックになるための勲章で最低8人を殺害する必要が出てくるので調整が難しくなる。

//-クレリックがプリーストのほぼ完全な下位互換クラスになってしまっている。
//--プリーストがヒーリングプラスを始め、ほぼすべての神聖魔法が使用可能になった。プリーストの使用できない神聖魔法『イグニスファタス』はセイレーンなどの一部攻撃魔法使いが使用できる。また、主人公の親友レクトールのクラス「ハイプリースト」はあらゆる神聖魔法が使える。
//--クレリックがナイトもヒーリングが使用可能になったのもそれに拍車をかけている。
//↑クラスチェンジ条件や性能を見るに今作のプリーストは単純にクレリックの上位クラスとして設定されており、この変更自体は特別ゲーム上問題があるわけではないためCO。
-得意武器システムが『TO』より劣化している。
--実はユニット毎に「物理攻撃補正」というマスクパラメーターがあり、これが高いほど武器の威力を引き出せる((同様に、魔法に対しても「魔法攻撃補正」が存在する。))。問題は、得意武器補正が物理攻撃補正の格差を補い切れていないことにある。
--例えば、アーチャーが弓を使った時の威力はソルジャーが使った時よりわずかしか上がらない。
---アーチャーの物理攻撃補正よりソルジャーの物理攻撃補正の方が大きく、得意武器補正はそれを埋め合わせる程度しか無い((アーチャーの物理攻撃補正とソルジャーの物理攻撃補正の差は5%なので、得意武器補正はその程度とみなせる。))ため。
---幸い、弓を使った場合の命中率はアーチャーに分があるのでアーチャーの面目はなんとか保てている。
--因みに、物理攻撃補正の最も高いキャラはソードマスターであり、他の味方クラスとは最低10%のアドバンテージがある。つまり、ソードマスターはあらゆる武器において最高の火力を叩き出せることになる。%%もはやウェポンマスターと改名すべきでは?%%


''その他システム面''
-通信機能を使わないと全てのアイテム、勲章をコンプリートできない。~
得られるものもオマケではなく結構有用なものが多いので、環境が整っていないと不公平に感じてしまう。
--現在では本作のプレイヤーも少ないと思われるので、自分で本体2台とソフト2本を用意する必要がある。

-戦闘のテンポはややもっさりしていて重め。
--ハードの限界もあるのか、広いマップやユニットの数が多い状況では処理落ちが発生しやすい点もテンポの悪さに拍車をかけている。
--戦闘中の魔法・スペシャル技のエフェクトの長さは『TO』から改善されたものも多いが、処理落ちの問題もあり快適でスピーディーなテンポとまでは至らないのが惜しいところ((処理落ちの発生しない状況で魔法を使うと驚くほど高速でエフェクトが処理されるため、本来はかなり早いテンポを想定されていたことが窺える))。
--前作で演出の長さが特に問題視されていた「敵のいないマスにまで1マスずつ演出が表示される攻撃」も依然として存在する。
---各属性に存在する放出系攻撃魔法はこのタイプのものが多い。エフェクトの短い「サンダーフレア(風)」はまだいいものの、前作屈指の問題児「クラッグプレス(地)」は上記の処理落ちの問題もあり目も当てられない冗長さ。

-AIがあまり賢くない。
--トレーニングでオート操作にしておくと顕著。「なぜか能力が下がる水中から攻撃」「補助技ばかりで攻撃しない」などの行動が目立つ。
--なぜか敵のほうは味方のオート操作に比べるとそこまで酷くない。理由は不明。
---しかしそんな敵の中にあって、とびっきりの頭の悪さを見せる((設定的にも「頭が悪い」ということを象徴するように、INTにマイナス補正を与える勲章を所持している。取得時にしか効果が無いので飾りでしかないが。))のが敵軍の副官「ニッカール」。
---「エクスワイアー」という専用クラスについている。このクラスは、最強クラスの物理戦闘力に加え''補助的に''攻撃魔法も使えるという極めて優秀なクラスなのだが…。
---なぜかまったく接近してこようとせず、遠距離から魔法ばかり撃ってくる。前述の通り物理戦に特化しているため、たいした威力ではなく全く脅威ではない。トレーニングの挙動から見ても、AIは魔法優先気味の行動となっているようだ。

-サウンドモードでは曲名と作曲者のペンネームは出てくるが、曲コメントは無い。
--また曲名も%%つまらない%%機能的である。

-固有グラフィックキャラの汎用グラフィック化。
--主人公・ヒロイン以外の固有グラフィックを持つキャラは、初期クラスからCCすると''外見が汎用キャラになってしまう''。
---初期クラスからCCさせようとするとコメントが出てくるが、その時にメタ発言的に苦言を呈すキャラまでいる。

//-クエストモードは、最初に行けるようになるステージ以外は1回プレイするごとに結構なお金がかかる。
//--本編で入手した古文書を手掛かりに探索を行う、というリアルな設定なのだが、探索費がかかるという点までリアルにしたのがアダになってしまったようだ。
//---のちに別の場所で花開いているところを見ると目の付け所は良かったようだが。
//↑クリア時にノルマに応じて挑戦金額前後のお金は入手できるため特記するほどの問題点でもないかと。
-アライメントの重要性が薄れた。
--クエストモードで変更できるアイテムが入手できるようになり、またNだと通常の(転生の必要ない)クラスならいずれにもにCC出来るため、重要性が薄れてしまった。~
忠誠度の概念も無くなり、ストーリー中の選択肢次第で離反するという要素も無い。

-前作で好評を博したやり込み用高難易度コンテンツの「死者の宮殿」に相当するダンジョンが存在しない。
--多彩なクラスや勲章、クエストモードによるレアアイテム収集等、やり込み要素自体はそれなりに豊富であり、死者の宮殿のようなものは容量的に厳しかったのだろうと推測できるものの、強化したパーティの実力を試せる場が通信対戦くらいしか無いのは残念。

''シナリオ面''
-本作にもルート分岐が存在するが、かなり序盤に選択を迫られる上に導入が唐突で、感情移入が追いつかない。
--選択肢の内容自体は「目的を達成するために非道な手段を取るか否か=対立する勢力のどちらの意見を尊重するか」という王道なものであり、会話の雰囲気も深刻なので今後のストーリーにも影響してくるのだろうとは理解できるが、&bold(){そもそも深く対立していること自体がそのイベントで初めて明示される。}
--『TO』ではルート分岐以前にも物語に大きく影響しない選択肢がいくつも登場したり、それぞれの勢力の主張をわかりやすく示すことで感情移入を助けていたのに対し、今作ではちゃんとした選択肢が登場すること自体そこが初めてである((それまでは共闘したNPCを正式に仲間として受け入れるか否かといったゲーム的なお約束がいくつかある程度。))。
--また、主人公は命の危機を別勢力の人間に助けられ、その恩を返すために同行していたのだが、そのイベントでいきなり「騎士団に戻る気はない」と主張しだす。~
確かに助けた人間は「騎士団のことは忘れろ」とは言っていたが、まだ若いからといってバカ正直に従いすぎである。

-ルート分岐以外のストーリー描写もあまり練られていない。
--主人公が浜辺に流れ着いたところを助けただけのヒロインが、次に会った時には恋人同士のような雰囲気になっており、しかも「あなたのことがわからない」と喧嘩までする。せいぜい数日しか一緒にいないのだからわからないのは当たり前では…。
--ローディスの侵攻により家族を失った敵キャラに「もう昔のこと」と堂々と''地雷を踏む''主人公。%%カチュア姉さんといい勝負だ。%%
--味方キャラが妹の幻?を見る(主人公はその場にいるが、見えておらず困惑する)シーンの直後、姉妹で容姿が似ている、と語る主人公。''見えてたんじゃないか''!
--キャラの心情描写が全体的に足りていないため展開が唐突に感じやすいうえ、台詞回しが稚拙な部分も各所に見られる。
--容量が足りないのか、登場人物のプロフィールを確認したり過去のイベントを見返したりできる、『TO』のウォーレン・レポートにあたる機能も存在しない。
---ウォーレン・レポートのヘルプ欄に相当する『かぼちゃメモ』はあるので、ゲームのシステムの理解に困る、と言うことは無い。

----
**総評
『TO』本編にはさすがに負けるが、それでも高い戦略性など遊び応えがある作品に仕上がっている。~
難易度の面では『TO』本編や他のオウガバトル関連作品よりとっつきやすく、オウガバトル初心者には最適な作品とも言える。事実、本作で初めてシリーズに触れたというユーザーも多い。

----
**余談
-本作以後、オウガバトルサーガの新作が発売されていないため結果的に最終作となってしまっている今作だが、旧作のファンサービスが多い。
--特殊技や武器などの出典は『[[伝説のオウガバトル]]』のものが多い。例えばグリフォンの「ウィンドストーム」など。
--ナイトがヒーリングを使えるのも、回復魔法が使えた『伝説』『TO』のパラディンを踏まえたものと考えられる。
--一部キャラクターの名前が『TO』のキャラと同じである。
---例えば前作の重要キャラクターである「レオナール」のミドルネームを持った味方キャラ、名字を持った敵キャラが登場する((それぞれ「レシ」と「リモン」。))。これは偶然かもしれない。
-後に本作のスタッフが中心となって製作したのが『[[ファイナルファンタジータクティクス アドバンス]]』である。そのためか本作とFFTAのグラフィックはかなり似通っている。
-「ユニットの運勢を占いとして表示」「ナイトがヒーリングを使える」など、『TO』のリメイクである『[[タクティクスオウガ 運命の輪]]』に採用された要素も多い。今作のシステムの出来の良さの証左と言える。
-本作の物語は『TO』本編に登場するあるキャラクターと関連性が非常に強い。

#region(ネタバレ)
-本作の主人公「アルフォンス・レーエル」は『TO』本編に登場する暗黒騎士「ランスロット・タルタロス」の若き日の姿である。
-『TO』でランスロットが武器としたアンビシオンを手にするまでの物語が本作…すなわち本作は『TO』の過去の物語ということになる。
-もっとも舞台は違っており、物語としての関連性はやや薄めではある。しかし本作をクリアした後に『TO』をプレイすると思わずニヤリとする場面はある。当時外伝の案があったかは別だが。
-特定の条件を満たせば前述のAエンドの最後に『TO』OPのゴリアテ焼き討ち直前のシーンが挿入される。
#endregion