「エスカ&ロジーのアトリエ ~黄昏の空の錬金術士~」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

エスカ&ロジーのアトリエ ~黄昏の空の錬金術士~ - (2023/12/10 (日) 00:20:32) のソース

#contents()
----
*エスカ&ロジーのアトリエ ~黄昏の空の錬金術士~
【えすかあんどろじーのあとりえ たそがれのそらのれんきんじゅつし】
|ジャンル|旧約錬金術RPG|&amazon(B00C2JTFJE)|
|対応機種|プレイステーション3|~|
|発売・開発元|ガスト(コーエーテクモゲームス)|~|
|発売日|2013年6月27日|~|
|定価|通常版:7,140円&br()ダウンロード版:6,300円&br()プレミアムボックス:10,290円|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|廉価版|PlayStation 3 the Best&br()2014年5月29日/3,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|ぬるいが高い完成度&br()エスカ&ロジーの愛の巣|~|
|>|>|CENTER:''[[アトリエシリーズ]]''|
----

**あらすじ
>ここは、何度目かの黄昏を迎え、徐々に終わりの時を迎えつつある世界。~
その世界に存在する、「黄昏の大地」の遙か西方にある、~
かつて錬金術で繁栄した国家が存在した地方。~
そこでは、いつか訪れる「黄昏の終わり」の到来を回避するため、~
人々は失われた錬金術の技術の発見と再生に力を注いでいた。~
再生された前時代の技術は、「中央」と呼ばれる錬金術の研究都市に結集され、~
進行する黄昏を阻止するための利用方法が研究されている。~
主人公は中央から配属された錬金術を研究している青年と、~
この辺境の小さな街に暮らしている少女の二人。
>
>少女の名はエスカ。~
人々の役に立ちたくて、自前の古い錬金術の知識を使い~
頑張っているうちに、開発班に配属されることになった。
>
>青年の名はロジー。~
中央で最新の錬金術を学んでいた彼は、その力を役立てるために~
人手不足の地方の街への転属を願い、~
配属先の開発班でエスカと出会うことになる。~
二人は錬金術の力を駆使し協力して開発班をもり立てていこうと約束する。~
([[公式サイト>http://atelier-ps3.jp/escha-logy/]]より引用)
----
**概要
前作『[[アーシャのアトリエ>アーシャのアトリエ ~黄昏の大地の錬金術士~]]』と次ぐ、ガストの看板RPG『アトリエシリーズ』のうち『黄昏シリーズ』二作目。~
前作のキースグリフEDから1年後の世界を描く。~

今作の舞台は、前作の舞台「黄昏の大地」の遙か西にある辺境の街「コルセイト」。~
そこに拠点を構える「未開発地方特別調査局コルセイト支部」の開発班に所属するエスカ、ロジーを中心にストーリーが展開される。~

初回特典は『マナケミア2』のPS2アーカイブスダウンロードコードが付属していた。~

PS3のアトリエシリーズでは初のDL版もパッケージ版発売と同時に配信開始となった。~
シナリオ担当はガスト社員に変更された。~
アトリエシリーズではコーエーテクモゲームスのゲームエンジン「KTGL」が初めて採用された。
----
**特徴・評価点

***ゲーム進行
-今作は『マナケミア2』以来、実に5作ぶりに主人公選択制が採用されている。
--主人公は女性主人公のエスカと男性主人公のロジーの二人で、どちらかを選択してその周を進めていくことになる。
--基本的なシナリオは同一だが、拠点や戦闘などのBGMが変化し、視点の違いによりどちらかの主人公でしか発生しないイベントやエンディングが存在する。
---調合できるアイテムにも多少の差異があり、各キャラ専用最強アイテムは選択した主人公のものしか作れない。
---必須とまでは言わないが、ストーリー・製作アイテム・能力を鑑みると、ロジーのほうが比較的1周目に向いている((詳しく言うと、未踏遺跡に関する割と重要な情報を知ることができ、汎用性の高い素材アイテム「流れ動く金属」や、ノーコストで使用できる専用アイテム群を調合できる。))
-本作より仲間が全員同行するようになった。これにより友好度を持たないDLCキャラも多少使いやすくなった。
--本シリーズでは仲間の友好度はそのキャラとの固有EDのみならず重要イベントのフラグとなる重要な数値であるため、何時誰を連れていくかは悩みどころとなる要素であり、友好度もEDフラグも持たないDLCキャラを主力で使用する事はバッドエンド行きの危険性を高めるデメリットが大きかったが、これにより好きなキャラを好きなだけ使えるようになった。

-課題
--今作でシナリオを進行するうえでの最重要システム。課題リストは4ヶ月に一回一新される。中央にある一つの大課題を達成しないとノーマルエンド(実質バッドエンド)になる。
--大課題以外は達成しなくてもシナリオを進行できるが、お金や参考書などがボーナスとして手に入る。
---後述する研究の解禁に必要な業績ランクも挙げやすいので、むしろ''達成しないと難易度が上がる''。
---小課題は24個あり、低難易度が8個、高難易度が16個ある。

-ゲームはバッドエンドでなければ4年目までプレイ可能。
--4年目では課題がないので、じっくりプレイできる。

-研究
--ストーリーが進むなどすると、PP・CPを増加させる、陸地の移動・採取時間を減少させる、ホムンクルスへの依頼枠を増やす、経験値を増やす、といった効果を得られる「研究」が行える。
---実行には業績ランクとお金が必要となるが、研究期間はないので支払ってしまえば即座に有効となる。

***戦闘面
-基本は前作、前々作でも採用されたコストターンバトルだが、「KTGL」の恩恵により処理能力が大幅に向上し、連携によって激しい戦闘を繰り広げられるようになった。
-最大で前衛3人、後衛3人の計6人が戦闘に参加する「入り乱れバトル」に、6人もの人数が参加する戦闘システムは『マナケミア2』以来となる。
--全パーティメンバー共通のアシストゲージが『[[ロロナのアトリエ>ロロナのアトリエ ~アーランドの錬金術士~]]』以来に復活した。
---サポート攻撃を繰り返すと連携率というレートが上昇し、一定以上になると強力な「スペシャルサポート」が使えるようになるが、使ってしまうと後述のWドロー以外追撃できず終了してしまう。
--アイテム使用可能キャラクターはエスカ、ロジーの主人公2人。ただし一部のアイテムはどちらかの錬金術士しか使用できない。
--錬金術士専用の新コマンド「Wドロー」はサポート攻撃をアイテム使用に変更し、2番目に使用するアイテムの威力を増大させるというもの。
---サポート攻撃とは異なり、一度発動してしまえば途中でサポートゲージが切れても発動できる。代わりにサポートゲージは増加しない。
---Wドロー選択時にスペシャルサポートの発生条件を満たすと、さらに演出と威力の強化されたWドローIIとなる。

--レベルキャップのシステムが追加。50→60→75→99の順に開放される。
---研究を利用することで解放できる。

--新たに「待機」コマンドが追加された。

***調合面
-基本は四大属性の概念を取り入れた『アーシャのアトリエ』のシステム同様だが、いくつかの変更点や新要素もある。
--「品質」「潜在能力」の名称はそれぞれ「効力」「潜力」に変更された。
---有効となった潜力は全てプールされ、完成時にポイント(PP)を消費して選択する方式に変更された。付与上限数は5→3になった。
--「錬成」が登場した。装備が通常の調合と同様の手順で武器や防具を作製するもの。
---アーランドシリーズの鍛冶と異なり、専用アイテムカテゴリを消費するのではなく既存の武器+指定アイテムを素材として「作り変える」仕様で、ほぼ通常の調合と同列。
---装備品はカテゴリが増えており、作った武器・防具は素材として流用できる。
--「分解」が追加された。採取地で回収した調合アイテムを帰還時に分解しその素材を入手でき、未入手のアイテムの場合はそのレシピを修得できることができる。
---入手できる素材は多くがこの方法か複製でしか入手できない。また、作中数少ないランダム要素であり、高ランクの潜力を入手する数少ない手段でもある。
--調合スキルにも大きく手が入った。
---調合スキルの使用条件が、今作で新しく導入された「属性ボーナス」を消費するようになった。
---全体的に調合スキルが増加し、前作における特性にあたる効果を持つスキルが多数追加された。一度使ったスキルは再使用不可。
---上2つの変更に伴い、今作の特性は属性ボーナスを増やす役割を持つものが多くなった。
---調合スキルによって、別の恩恵と引き換えに属性値を下げることも可能となったため、「属性値が低いほど都合がいい」という効果のアイテムが増えた。中には「属性値が5~8の間でしか発現しない」というえらくタイトなものも。

-このとっつきやすくかつ奥が深い調合システムは、前作で「改悪」と言われた素材の品質・特性の固定化を補って余りある出来となった。

***BGM
-相変わらずガストの作るゲーム音楽は評価が高い。
--和むものや、テンションの高いもの、神秘的なもの等バリエーション豊かで良質なBGMが揃っている。
---ゴーレム系のボス戦のBGMは声のトーンに見合わないような物騒な歌詞がつけられていたりなど、歌としてもなかなか面白い。

***快適性の向上
-イベント発生のフラグが立つと、行先ショートカットメニューにキャラのアイコンのマークがつくようになった。
-「KTGL」の恩恵か、セーブ・ロードは短く快適である。
--処理落ちも大幅に減っている。

***その他の評価点
-アイテムの補充
--前作までは作ったアイテムは使用すると消費してしまうが、今作では探索から帰ってくると自動的に補充されるようになった(アイテムが増えるのではなく、使用回数が全回復する。回数が0になっても消滅しない)。
---これにより、気軽にアイテムを使用することができるようになった。
--その代わり、今作ではアイテムはスロット制を採用されており、所持制限がある。当然、基本的に強力なほどサイズが大きい。
---アイテムのサイズは潜力や調合スキルによって増減する。
---潜力によってサイズ比例で強化できるので、切り札級のアイテムはむしろサイズを下げずにいた方が強力となる。

-グラフィックもさらに進化。
--ここでも「KTGL」の恩恵か、左氏の独特の線や塗りもほぼ再現されており、もはやイラストレーター・左氏によるイラストと見分けがつかないほどになった。
--その影響なのか、たまに演出にネタ要素が見受けられる。
---某ライダーのごとく左手の甲にアイテムを装填して垂直に飛び上がって炎のキックを放ったり、とあるアイテムのWドローIIのデザインが完全に''バスターマシン3号''だったり。
--余談だが、イラストとグラフィックにおいてエスカのバストが年を重ねるごとに成長していくなど、細かい芸が見られる。

----
**賛否両論点
***戦闘関連
-全体的に攻撃アイテムが前作に比べ強い。
--早い段階で強力な攻撃アイテムが作れることや、前述のアイテム補充もあり、過去作に比べかなりアイテムに偏重したバランスとなった。
--また主人公専用の「Wドロー」も超強力で、主人公補正を差し引いても仲間の必殺技よりも強い。トップクラスのボスに使った場合、必殺技が数千程度なのに対し、数万のダメージを与えられるので文字通り''桁違い''。
--そのWドローも、デメリットがあまりに少ないので''見敵必Wドロー''といわんばかりの戦闘になりかねない。
---数少ない弱点である使用回数も、戦闘中の回数消費を0にする潜力「永久機関」があるので作れてしまえばないに等しい。しかも、最上級潜力の中で唯一合成で作り出せるので一番レアリティが低い(消費PPは甚大だが)。
---戦法も「仲間に連携率ブースト効果の装備→使用後のWaitが低いアイテムで攻撃→連携率を稼いでWドローII」が一強であり、最高までパワーアップしたラスボスさえ満足に応戦できずに散りかねない。
-一応、攻撃アイテムが強いという調整は、錬金術をメインとするアトリエシリーズとしては有りではある。
--だが、せっかく6人で戦えるようになったのに仲間の存在意義が薄くなったという声も。事実上、スキルによるサポート・サポートゲージ&連携率ブースト役・錬金術士二人をガードする盾に近い。
---ある意味、アルトネリコシリーズの戦闘に近い。最上級の隠しボス戦では命綱であるアイテムの使用に制限が入るため、かなり難戦となる。
--しかし仲間が弱いわけでもなく、一部のキャラは優秀なスキルを持ち、アシストゲージに頼らずとも全力で戦えるので、十分活躍できる。
---中でも「スレイア」は装備次第で「命中率100%の攻撃以外完全回避」「四属性攻撃を90%以上軽減」「敵の能力を低下させ、次に発生させるダメージを増加させる」など、驚異的な強さを発揮できる。

-難易度もシリーズでも低い部類で、敵も弱い。意図的に強い敵と戦わない限り詰むことはほとんどない。
--一応ラスボス以上の敵の戦闘パターンはどれも個性的で歯ごたえもある。4連続攻撃、ガード不能の全体攻撃、万単位のHP回復能力といった能力を持っている。
--ついでに言うと、本作での金策は毎月振り込まれる活動費がメインなのだが、高価なアイテムを使えば使った分だけ増えるという謎システム。
---明細に月ごとのアイテム使用料一覧が表示されるので使うのを躊躇ってしまいそうだが、むしろ成績扱いなのである。

***W主人公
-主人公のエスカとロジーは常に一緒に行動しており、同じイベントが視点が変わる程度の差しかない。
--ぶっちゃけてしまうとイベントに関しては「ロジーさんて○○なんだ~」「エスカ…意外と△△なのか?」といった感じで、主人公として選んだ方がその時に何を考えていたのかがわかる&bold(){だけ}である。(一応メインストーリーに関わる部分などは前面に出るが)
-ロジーは発売前は「黄昏世界の謎に迫っていく」という触れ込みだったが、実際に黄昏世界の謎に関するイベントが存在するのは僅かである。
--確かに、黄昏世界に存在するある遺跡の情報が得られるが、触れ込み通りとは言い難い。むしろ、エスカ編終盤では知っている前提で話が進んでいる気配が少しあるので、こちらを先にプレイすると置いてけぼりになること請け合い。
-2人の恋愛要素を期待するプレイヤーに対し、発売前にディレクターが「恋人イベントは無い」とコメントした…が、蓋を開けてみれば「恋人云々どころか夫婦だった」という感想がプレイヤーに相次いだ。それぐらい容赦なくエスカとロジーがカップルとして強調されている。ディレクターの発言通り個別の恋愛イベントは用意されていないが、代わりにあらゆるイベントで主人公2人が親密になっていく。
--エンディングはエスカ編・ロジー編でほぼ共通。全12ルート中8ルートで2人が恋人同然に描写される。
--調合では専門書「新婚さんの心得」を二人で読み、戦闘では二人でプリキュア状態になる奥義を放ち…とにかく隙あらばイチャイチャしている。
--NPCの対応も恋人扱い。特にエスカ編で母代わりの人物から子供を催促されたり、ロジー編でエスカの父が跡継ぎの話をしたり…。
--さらに続編の「シャリーのアトリエ」では本作のトゥルーエンドで良い仲になった状態が正史となっている。
--ガスト自体が「前作の正史カップリングを続編で優遇」という炎上と隣り合わせの作風を初代ザールブルグシリーズから続けてはいるものの、好き嫌いの評価は分かれるかもしれない。
---ただし、ロジーやエスカはこの作品でも数少ない常識人である為、キャラそのものが不快になるという事は少ないだろう(ロジーは過去の事件のせいで後ろ向き、エスカは性格が能天気な点は好みが分かれるだろうが)。本作のメインキャラはどいつもこいつも人のアドバイスや忠告を無視して自分の我儘で突っ走った挙句に失敗し、尚且つ反省もしない。という愚行を繰り返すポンコツばかりなので、まともな感性を持ったキャラは貴重と言える。

----
**問題点
***ストーリー
-今作の目的は「未踏遺跡への到達」。しかし、終盤まで動きが少なく、かなり薄いストーリーである。
--肝心の未踏遺跡に関するイベントがあまりにも少ない。そのイベントもかなりあっさり終わってしまう。

-単純なストーリーとしても、納得しがたい点が目立つ。
--特にラスボスに関して言えば、未踏遺跡における行動((苦労して飛行船を作って乗り込んでいったら、「もう用は済んだからいいや」と未踏遺跡を落下させるという努力を踏みにじる暴挙に出ている(一応、主人公らが到達したから目覚めたらしいので無駄でないのだが)。))、暴走するに至った経緯、その後の展望((ラスボスはある種の被害者で、グッドエンド以上では救うことになる。しかし、とあるイベントでそのキャラの存在を維持している遺跡は世界の寿命を縮めるものなので、最低でも稼働停止させないといけない。))など、いまいちすっきりしない点が多く、一番の盛り上げ役になるべきポジションにもかかわらず、むしろ盛り上がりに水を差すような存在になってしまっている。

-それ以外でも目につく点として、『努力した結果、最終的に無駄に終わる。もしくは無駄だったんじゃないか?』と首をかしげたくなるイベントが多い。
--少なく見ても5,6個の希望・夢が純粋に報われたとは言えない結末を迎えている。やった人間ならこれくらいの数は頭に浮かぶはず。
--努力が報われないという結果はRPGでもよくあることだが、ダークファンタジーや鬱ゲーの類でなら兎も角、本作のような明るめな嗜好の作品でこれだけされても単にストレスになるだけである。ましてその「努力」がプレイヤーの操作によるものだとしたら尚更である。 

-キャラに関しても、「悪意は無いが結果としてプレイヤーの神経を逆撫でする」キャラが何人かいる。
--エスカの従兄「アウィン」は温厚で手先が器用なので住人の評判はいい。しかし、思い付きを勝手に実行に移して周囲に迷惑をかけては反省しないという所謂鳥頭。それだけなら他の作品にもよくいるのだが…。
---とある大がかりな計画を考える→主人公に止められて、サンプル作りの素材を依頼する→依頼を終えた後、「やるなよ!絶対にやるなよ!?」と念を押したのにもかかわらず勝手に実行→''計画そのものが却下を喰らう''、という流れはあまりに酷い。ここまで来ると住民からの高評価も疑わしくなる。
--雑貨屋の娘「カトラ」はガラクタばかり売り出しているのもさることながら、イベントで散々商才ゼロっぷりを発揮しており、「学習能力が無い」と色々な意味で思わざるを得ない。ついでに言うと、紙屑くらい支部の廃棄書類を使わせろ。
--若手のエリート「ミーチェ」は人物的には極めて善良だが、ぶっちゃけ空気が読めない。
---前作のキースの姪であるスレイアに対して、彼の捕縛協力を頼んでいる。本人にきっとその気はないのだろうが、向かって「犯罪者の親戚だから協力しろ」と頼まれて気分のいい人間はいないだろう。「空気が読めない設定の」なら兎も角、そうでもない為単なる問題行為・発言に見えてしまう。
---上記のカトラに恋をしてアプローチをするためにエスカとロジーにそれぞれアドバイスを求めるが、一切反映しない(意見自体はミーチェの案よりまとも)。挙句、「聞いたのが間違いだった」などとのたまう始末。''無論、うまくはいかない''。
--前作で登場したウィルベルは、破門されかけた((前作、大婆様に申し付けられた課題をアーシャにレアアイテムを作ってもらって楽にクリアしようとした結果、見限られた。その後、体を張って別の結果を示したことで破門は解除された、という経緯がある。))というのに未だ失敗からあまり学んでいない様子。一応前回より幾分まともにはなっているのだが、相変わらず結果ばかり求めるのはどうだろうか。
---いわゆる「精神的に未熟な登場人物が自らの行為が仇となって失敗する」という、他作品で言うと『ドラえもん』における野比のび太で見かけるようなブラックユーモアに関しては好き嫌いが分かれるところ。もともとアトリエシリーズにあった特色でもないので、過去作をよく知っている人ほど受け付けられない可能性がある。
---結局の所、問題の根幹となっているのはストーリーが明確に続いている作品にも係わらず、それぞれのキャラクターが得た『精神的な成長』を軽んじているスタッフと、二人三脚で最初からそのキャラクター達と共に歩んできたユーザーとの価値観が違いすぎているという点にある。

-前作、前々作でも指摘されたが、キャラクターを掘り下げるためにあるサブイベントが薄く、数だけが多い。
--とは言っても前作、前々作より数は少なくなっているが、それでもキャラクターの掘り下げの甘さは否めない。
--特に大体のイベント内容を理解している二周目以降では人によってはストレスを感じるだろう。
--一応、2周目プレイ時ならば既に見たイベントは高速スキップが出来るが、2013年の時代でありながら、未だにイベントスキップ機能もないことはよく批判される((イベントスキップについては5ヶ月後に発売された『新・ロロナのアトリエ』でやっと実装された。))。 
--ちなみにトゥルーEDは二周目以降限定。

-前作『アーシャ』からのゲストキャラの少なさ。
--あまりにも前作との絡みが無さ過ぎるという声も。
--PTに入れられる前作キャラは(DLCなしで)リンカのみという有様。DLCのウィルベルを入れても2名だけ。
--そして前作主人公のアーシャとアーシャに次ぐキーパーソンと言えるキースに至っては登場すらしない。一応、今作に登場している前作キャラはアーシャを追うことが目的となっているが…。

-黄昏シリーズの世界に関する伏線はあまり消化されていない。
--今作も『アーシャ』で張られた伏線を投げっぱなしにしたままで終わる。
--一応、多少明かされた情報もある。基本的に絶望に傾く情報ばかりだが((かつて起きた破滅は周辺国が力を合わせても回避できなかった、世界中に設置された遺跡のせいで環境は破壊され続けている、「存在しない土地」という大地が砕かれ雲海が広がっている生存不可能領域が存在する、黄昏のせいでかつて人類が用意した世界を維持する機構そのものが破綻しつつある、など。))。
---そもそも黄昏という単語自体がわずか2回程度しか出てこない。1回はとあるボスを倒した時のセリフ、もう1回は''別ボスの辞典の説明欄''。
---曲がりなりにも前作主人公であったアーシャがプレイアブルキャラにできないにしても、本作では指名手配され追われる身であるなど扱いの酷さは否めない。続編であるシャリーのアトリエでもこのフラグは未回収でありお尋ね者のまま放置される。(plus版でようやく回収された)

***ゲーム進行
-今作の主人公は役人ということもあり、課題システムは「おつかい」感が強い。
--4ヶ月毎の大課題は達成しないとバッドエンド。
---しかし、大課題は4ヶ月以内に十分達成可能であり、4ヶ月という期間は長すぎるという意見も。むしろ小課題達成の猶予期間である。

-従来のアトリエシリーズでは、ゲームが進むたびに探索可能なエリアが広がる仕様だった。本作は探索可能エリア拡大のタイミングが4ヶ月ごとになっている。
--そのため、周回プレイで攻略を効率化していくと、時間が余りまくってしまう。

***その他の問題点
-友好度が隠しパラメータになった。
--キャライベントの管理に不可欠なので、過去作のように可視化できるようにしてほしかったという声も。
---とりわけ、あるキャラはエンディングのためのイベントが最終ダンジョンまで行ってしまうと発生しなくなってしまう…というたちの悪いものなので、友好度が見えない状況だと恐ろしくてパーティから外せない((今作では、友好度の上昇量が前衛>後衛>控えとなっている。))。

-バグ及びパッチの問題
--初期バージョンにおいては、Finの表示後5年目のバグ、依頼を断ろうとするとフリーズすることがあった。
--後にDLCデータを含むver1.04パッチで改善されたが、ver1.04ではDLCの使用にエラーが生じるバグが発生した。
--それもver1.05パッチで改善されたが、DLC「宮殿の奥地」でボスと戦闘後フリーズする、BGM変更機能にてボス戦闘2以降の曲を変更してもロードすると初期化されるなど、デバッグ不足がまだ目立つ。
---2013年9月5日ver1.05パッチを最後に、パッチ配信はストップ。

----
**総評
調合・戦闘システムは前作から正統進化しており、安定感のある続編として仕上がっているが、難易度の低さやシナリオの薄さには不満の声もある。~
ただ問題点にしろ評価点にしろ、またシリーズ初となるアニメ放映があった(出来はともかくとして)ことも加味し、新規プレイヤーには親切なつくりといえる。 

----
**余談
2014年4月~6月、TOKYO MXなどでアニメ版が放映。~
原作と違う点はウィルベルの出番が大幅に増えている、アーシャがとあるシーンで一瞬だけ出る等がある。~
最後は次回作主人公のシャリステラ、シャルロッテの登場で締めている。

----
*エスカ&ロジーのアトリエPlus ~黄昏の空の錬金術士~
【えすかあんどろじーのあとりえ たそがれのそらのれんきんじゅつし】
|ジャンル|旧約錬金術RPG|&amazon(B00OKC5ZEA)|
|対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~|
|発売・開発元|コーエーテクモゲームス|~|
|発売日|2015年1月22日|~|
|定価(税抜)|通常版:5,800円&brプレミアムボックス:8,800円&brダウンロード版:5,143円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|画質と音質は下がったが、快適度がアップ&br()特典は結婚式の引き出物|~|
|>|>|CENTER:''[[アトリエシリーズ]]''|
**概要(Plus)
エスカ&ロジーのアトリエをプレイステーション・ヴィータに移植したゲーム。~
ガストがコーエーテクモゲームスと合併して初めてのアトリエである。~

**追加・変更点(Plus)
-新イベントの追加。
--エスカとロジーの仲を掘り下げる新イベントやルシルのイベントが追加。
--前者のイベントはエスカとロジーのどちらかを選んだかで物語の差分がちゃんと出来ており、W主人公の意味が薄いという問題がある程度改善した。
---選択肢付きのエピソードであり、選択肢は友情をとるか愛情をとるかといったものがある。

-新たにニオが仲間になるようになった。

-コスチューム・アクセサリーが追加された。
--グッズ同梱の特別版では特典としてエスカとロジーにウェディング衣装が追加。
---アトリエ恒例である文鎮・カレンダー・クリーナークロスと共にウェディング衣装の描かれたプロダクトコードがついており、さながら「結婚式の引き出物」という形容がしっくりくる。

-新たなボスがいくつか追加された。

-PS3版のDLCについて。
--PS3版ではDLCだった採取地「持たざる者の宮殿」「宮殿の奥地」~
パーティキャラ「ウィルベル」「カトラ」「ミーチェ」が最初から導入されている。
--ゲーム中のBGMを、アーランドシリーズ&アーシャの全曲と差し替えできるDLCも収録されている。

-PS3版からの改善点。
--効力ゲージが120まで見れるようになった。
--交友値が可視化されるようになった。
--アイテム60種使用課題等、一部課題の進行度詳細が表示されるようになった。
--潜力の引き継ぎ可能カテゴリが表示されるようになった。
--その他、ver.1.01以降のパッチで図鑑の未読項目に飛ぶ機能が追加された。

**問題点(Plus)
-グラフィック、音声、フレームレートに関しては原作から劣化気味。
--比較的安定はしているものの、一部の場面でフレームレートが低下する場面がある。また、音声も圧縮されているためか、やや劣化している。

-『アーシャのアトリエPlus』や『シャリーのアトリエ』、3DS版『新・ロロナのアトリエ』にあった難易度選択は未実装。
--元々が比較的易しい難易度ということもあり、高難易度を追加してほしかったという意見もある。

-恋愛イベントとエンディングとの矛盾点。
--上述の通りエスカとロジーの恋愛イベントが追加されたが、このイベントの結末がどうなってもエンディングは自由に選べる。そのため、それぞれ唯一の別カップルとなる「エスカ-アウィンED」「ロジー-ルシルED」が組み合わせ次第で浮気しているかのような気まずい心象となってしまう。

**総評(Plus)
劣化点も一部あるものの、改良点や追加要素などのメリットが大きく、エスカ&ロジーのアトリエを楽しむには十分な出来となっている。~
人によってはPS3版よりも快適にプレイできるだろう。