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THE EYE OF JUDGMENT 神託のウィザード - (2021/11/30 (火) 17:31:54) のソース

*THE EYE OF JUDGMENT 神託のウィザード
【あい・おぶ・じゃっじめんと しんたくのうぃざーど】
|ジャンル|カードゲーム|&amazon(B002XUM5OO)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|SCEジャパンスタジオ|~|
|発売日|2010年3月4日|~|
|定価|UMD版:4,980円(税別)&br()DL版:3,800円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
PS3のトレーディングカードゲーム(TCG)『THE EYE OF JUDGMENT BIOLITH REBELLION 機神の叛乱』を、PSPへとアレンジ移植した作品。PS3版からゲームデザインは[[Magic:The Gathering>Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers]]を製作するウィザーズ・オブ・コーストが行っている。~
PS3版は操作インターフェイスとして実際のカードを併用するゲームであったが、本作ではソフトのみでゲームを楽しむことが可能。


**ゲームシステム
//要点っぽい部分のみ記述。詳細なルールについては不要と感じ書きかけのものをCO。必要であれば書き足して公開します
-3×3のフィールドに、ターンごとに支給されるマナを消費して手札からクリーチャーカードを配置し、最終的に''フィールドに自身の所有するクリーチャーが5体置かれた状態でターンエンドした''プレイヤーの勝利となる、陣取りゲームのような独特のルールを持つ。
--呪文に相当するスペルカードは一部を除き手札とマナの許す限り1ターンに何枚でも使えるが、クリーチャーカードは1ターンに1枚しか出せず、1体でも新たにクリーチャーを出した後はルール上相手にターンを渡すようになっている。このため、勝利までには4体配置した状態(「チェック」と呼ばれる)で必ず相手の攻撃に耐えなければならない。
--フィールドにクリーチャーを置く際には、その位置の他にクリーチャーの向きを上下左右の4方向から決める。この向きによってクリーチャーの攻撃範囲や、攻撃された時に反撃できるかなどが変わってくる。また後から向きを変えるにはマナが必要・クリーチャーは1ターンに1体しか出せないため、全体的に手数が少なく一手一手が非常に重要なゲーム性となっている。
--フィールドとクリーチャーには属性が存在。火・水・土・木と機巧の五属性が存在する。
---前者の四属性については、フィールドとクリーチャーで属性が一致するとフィールドボーナスとしてクリーチャーのライフが増加、倒されにくくなる。フィールドの属性を変えるスペルも存在するため、このフィールドボーナスをキープできるかが勝敗の鍵を握っている。
---機巧属性についてはフィールドはどのクリーチャーにも影響を与えず、また機巧のクリーチャーはフィールドボーナスを受けられずコストも全体的に割高な代わりにHPも高めに設定されている。

#co{
-カードは「クリーチャー」「スペル」の2種類。毎ターンの始まりに2マナ支給され、カードはこのマナを消費して使用する。
--クリーチャーは必ず1ターンに1枚までしか出せない。
---この「1ターンに1枚しかクリーチャーを場に追加できない」という点は徹底しており、勝利までには4体配置した状態(「チェック」と呼ばれる)で必ず相手の攻撃を耐えなければならない。
---相手のクリーチャーは自分のクリーチャーの攻撃などで倒すことができるが、クリーチャーを倒した場合そのクリーチャーのオーナーに1マナが還元される。
---手当たり次第に相手クリーチャーを倒していると逆に窮地に陥る可能性もあるため、基本的には常に相手クリーチャー最大4体のうち1体を倒せる状態を保つのが望ましい。これにより、終盤はお互いが相手のチェックを外しつつ自分がチェックをコールするチェック合戦になりやすい。
--スペルは手札とマナの許す限り1ターンに何枚でも使うことができる。

-フィールドにクリーチャーを配置する際には、置くマス((デュエル開始直後など自分のクリーチャーが場に置かれていない場合は好きな位置に、2体目以降は敵味方問わず「クリーチャーの隣」に置くことができる。))と向き(上下左右)を指定する。
--クリーチャーにはコスト・攻撃力・体力など基本的なものの他、以下のような"範囲"((攻撃方法アイコンと防御方法アイコンで示されている。))が設定されている。その他特殊能力についてはクリーチャーごとに多彩な種類があるためここでは割愛する。
---攻撃範囲…配置された時に攻撃範囲内に敵がいる場合、攻撃する。魔法攻撃の場合は全てのマスにいる敵クリーチャーの中から指定できる。
---反撃範囲…物理攻撃された時に反撃範囲内に敵がいる場合、反撃する。相手が魔法攻撃した場合は反撃できず、また魔法攻撃を持つクリーチャーは反撃できない者がほとんど。
---弱点範囲…多くのクリーチャーの背後などの弱点範囲内から敵に物理攻撃された場合、攻撃力が1点増加されてダメージを受ける。魔法攻撃では弱点を突くことができない。
--既に置かれたクリーチャーは自分のターンにてクリーチャーを召喚する前に、召喚コストとは別に設定された「再行動コスト」を支払うことで再びその場から攻撃したり、向きを変えたりすることが可能。別の空き地に移動させるには専用のスペルを使う必要がある。

-フィールドとクリーチャーには火・水・土・木・機巧の属性が存在する。
--機巧属性は他の属性とは異なる扱いを受けており、機巧クリーチャーは体力が他の属性より高めな代わりにコストも総じて高く、またほとんどのクリーチャーに「召喚制限」((一部の強力なクリーチャーやスペルに付加されており、召喚制限のあるカードは「敵味方合わせて4体目のクリーチャーが置かれるまで」同属性のフィールドにしか置くことができない(スペルの場合は使用できない)。))がかかっている。
--クリーチャーにのみごく一部「無属性」のものも存在。
--フィールドの属性は以下のように配置されている。

//|BGCOLOR(aqua):COLOR(black):&font(16px){水}&font(black,gray){機}|BGCOLOR(red):COLOR(black):&font(16px){火}&font(black,aqua){水}|BGCOLOR(green):COLOR(black):&font(16px){木}&font(black,gray){機}|フィールドの属性とクリーチャーの属性が一致していた場合、クリーチャーの体力が2点増加。&br()逆にフィールドとクリーチャーが対立属性(「火と水」「土と木」はお互いを対立属性とする)の場合、体力は2点減少。&br()機巧属性のクリーチャーはどのフィールドに置いても、また機巧フィールドにどのクリーチャーを置いても、体力は増減しない。&br()フィールドには裏の地形があり、スペル「ゴーリの地割れ」などで地形を裏返すことができる。&br()裏返された場合にも属性によるボーナスやペナルティは発生する。&br()(ex.火フィールドに火クリーチャーが配置された状態で水へと裏返された場合、火クリーチャーの体力は4点減点)|
//|BGCOLOR(yellow):COLOR(black):&font(16px){土}&font(black,red){火}|BGCOLOR(gray):COLOR(black):&font(16px){機}&font(black,gray){機}|BGCOLOR(aqua):COLOR(black):&font(16px){水}&font(black,green){木}|~|
//|BGCOLOR(red):COLOR(black):&font(16px){火}&font(black,gray){機}|BGCOLOR(green):COLOR(black):&font(16px){木}&font(black,yellow){土}|BGCOLOR(YELLOW):COLOR(black):&font(16px){土}&font(black,gray){機}|~|

//-デッキは30枚で構成。山札が0枚の時に山札を引く(ライブラリアウト)とその時点で負けとなる。
//--同じカードは3枚まで。一部のカードは1枚のみしか入れられないという制限がかかっているものもある((ウルトラレアのクリーチャーは同じデッキ内に「同じ種族」のカードは1枚しか入れられないなど。))。

**ゲームモード等
-ストーリーモード
--世界観に沿ったストーリーが展開され、それに応じて現れる相手と戦っていくモード。進行状況は一戦ごとにセーブされ、負けても何度でもやり直し可能。
-バトルアリーナ
--ストーリーモードで対戦した相手(召喚師デュエル)の他、自分で作ったデッキをCPUに使わせて対戦する(鍛錬デュエル)ことも可能。
--勝利した時に手に入るお金は対戦内容に応じてボーナスが加わる。
--ストーリークリア後はストーリーに出現しなかった相手が現れ、本作の世界観で神に相当する存在(それ相応に強い)や、ピポサルやトロとクロといった同じソニーのゲームからのゲストキャラも対戦相手として登場する。
-ネットワーク
--他のプレイヤーと通信対戦したりカードを通信交換できる。
--アドホックモードとインフラストラクチャーモードがあるが、現在はインフラストラクチャーモードのサービスは終了。
--PS3の「アドホックパーティ」を使うことでインターネット対戦は可能である。
-カードショップ
--ゲーム内で手に入ったお金を使ってカードを買うことができる。ストーリーモードを進めるごとに買えるカードの種類が増え、最終的には全てのカードが店頭に並ぶため、好きなカードを買ってデッキを組むことがやりやすい。
-ライブラリ
--フレーバーテキストといったカードについての詳細のみならず、かつてPS3版の公式サイトに掲載されていたEOJ全体の世界観設定が詳細に記載されている。
-ウィザーズカード
--いわゆる実績機能。

**評価点
-実際のカードを集めずとも『EOJ』をそのまま遊べるという点。
--PS3版は操作インターフェイスとして実際のカードを用いるため高価な周辺機器の他にもカード資産が必要と、かなりお金と手間がかかるシステムだったが、本作ではソフトのみでゲームを楽しむことが可能。
--カードもPS3版のものをSET.3までのエキスパンションを含む全てを収録しており(一部にPSP版からエラッタが加わっているものもある)、またPSP版からの新カードもいくつか収録されている。ルールの完成度の高さに加え、非常に強力な能力を持つカードも多いながら禁止級の強さを持つとされるカードは無いとされ、様々なデッキタイプを見込めるカードプールはPS3版時代からその評価は高い。

**問題点
-デッキ間でカードを共有できないため、複数のデッキを保存したい場合にカードを多く集める必要があるという不便な仕様。
--例えば、あるカードをデッキAで3枚、デッキBで2枚使いたい場合、両方のデッキを保存するにはそのカードを5枚持っていなければならない。
-ハード性能の制約のため、演出はPS3版から大きく簡略化されている。
--クリーチャーのグラフィックはPS3版のCGをそのまま使っているが、立ちモーション以外のアニメーションはなく、解像度の関係でディテールが分かりづらいものも多い。
---群れで出現していたクリーチャーが1体しか現れないことも多い((例えば「二匹のゴブリン」というクリーチャーを出した時、盤面上にCGで現れるのは一匹のみ。このカードは自分の向いている方向の背後に同時に攻撃・反撃できるという特徴があり、PS3版では二匹のゴブリンが背合わせに構えているCGが表示される。))
---なお、これはPS3版からの特徴だが、クリーチャーのグラフィックにCGを使っているため、コモンやアンコモンのクリーチャーには素体を使いまわしているカードも見られ、パッと見て能力が分かりづらい場合もある。((「森跳び蛙の兵長」「森跳び蛙の盗賊」「森跳び蛙の戦長」などがそれに該当。))
--戦闘アニメーションは無し。とはいえ、ゲームにあまり関係ない部分ではあるし、テンポの面からPS3版でもカットされることが多かったのだが。
-対戦ゲーム特有の複雑な判断のできないCPUを補うため、ストーリーモードの対戦相手にはかなり強力なハンデが付いており、ストレスに感じることも多い。
--最終盤になると本来コスト10のカードを1で使えるという無茶苦茶なものも出てくる。攻略には対策したデッキが必要。
-難解なストーリーモード。
--本作の膨大な設定を一通り知っている前提でストーリーを進めている節があり、展開がかなり駆け足で設定に基づいた複雑な言い回しを多く用いることもあり、大抵の人は「よくわからない」という感想を抱きがち。
--作品の設定についての資料集はゲーム内にも収録されているため、理解するにはこれを読んでおく必要がある。
--ストーリーは無視してカードを集める・ゲームに慣れるための練習と考えても、先述のハンデもありやや難しすぎる感がある。
---チュートリアルは最初の一戦目の簡単な説明で終わり、細かいルールの説明が省かれているため、疑問に思った場合にはゲーム内のルールブックを見る必要がある。
--ついでに対戦間のビジュアルシーンではアメコミよろしくアルファベットでの擬音が使われており、日本人にはあまり馴染みにくいかも。
-発売時のキャンペーンとして配布されていた一部のカードを現在では入手することができない。
--ちなみにこれらのカードは各インターネットのゲームメディアで「先行一万人に無料配信」として配布されていたが、実際は人数で締め切ることなく配布終了期間まで無料配布され続けていたとのこと。これが意味するものは…?

**総評
もともとPS3版はTCGとして高い完成度と面白さを持っていた一方、ゲームを遊ぶまでのハードルも高くなかなか遊びにくいタイトルだったが、~
本作でそのハードルを取っ払ったとあれば特に癖の無い一つの優良なTCGに成り変わったと言えるだろう。~
ゲームシステムはやや特殊でシングルプレイも少し物足りない面もあるが、TCG好きなプレイヤーにはオススメできる作品。