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ファイナルファンタジータクティクスA2 封穴のグリモア - (2023/09/27 (水) 07:46:11) のソース

*ファイナルファンタジータクティクスA2 封穴のグリモア
【ふぁいなるふぁんたじーたくてぃくすえーつー ふうけつのぐりもあ】
|ジャンル|シミュレーションRPG|&image(https://m.media-amazon.com/images/I/51U2SEjXaKL._AC_.jpg?width=300,height=100)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|メディア|1024MbitDSカード|~|
|発売・開発元|スクウェア・エニックス|~|
|発売日|2007年10月25日|~|
|定価|5,040円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ]]''|
#contents(fromhere)

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**概要
[[ファイナルファンタジータクティクス]](FFT)シリーズの3作目。~
タイトルに「A2」とあるのは『[[ファイナルファンタジータクティクス アドバンス]]』(FFTA)の続編であるため。~
ちなみにタイトルの読みは「ふうけつ」。その意味はストーリーを進めることで明らかになる。

FFTや『[[ファイナルファンタジーXII]]』(FF12)の舞台であるイヴァリースを舞台にしており、「ヴァン、パンネロ、アルシドといったキャラが登場する」「音楽の一部が使用されている」など、FF12および『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』(FF12RW)との関連性が強い。~

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**特徴・評価点
本作のシステムは前作FFTAを大幅に改善したものである。
-前作で最大の賛否点であった「ロウシステム」が緩和され、守らなければならない存在から、守る事でボーナスが得られるなどプレイヤーが積極的に守る意欲を促す物になった。
--今回のロウは味方だけが対象となる代わりに、ロウを守っている間は「クランアビリティ」という味方全体に付加されるボーナスが付き、ロウを守ってクエストをクリアすれば「ジャッジロウボーナス」で有用なアイテムやおたからを入手できる。
--ロウを破った際のペナルティも戦闘不能からの復活不可やクランアビリティの解除程度のもので、前作からすれば緩い。
-戦闘開始時のMPが0で、ターン進行ごとに10ずつ回復していく、『[[タクティクスオウガ]]』のような形が取られている。
--本作で採用された行動順のアイコン表示や戦闘終了後の経験値分配は『[[タクティクスオウガ 運命の輪]]』でも導入された。
-戦闘中、まれに「スペシャル」が発動し、ユニットが強力な能力を使用できるようになる。
-戦闘を単純にクリアする他にも、アイテム発見や護衛など様々なクリア条件のクエストが登場するようになった。
-「シーク族」と「グリア族」という新種族の追加。グリア族はオウガに登場した翼人に近い。
-店売りの装備品はデフォルトの品目に加え、おたから(敵を倒すと取得できる素材アイテム)の合成を行うことで「ほりだしもの」として新たに買えるようになる。
-前作にあったロウ・アンチロウカードやエリア防衛、ワールドクリエイション、一部ジョブは削除されている。
-パブで聞いたうわさ話が記録されるクランメモが登場し、シナリオやシステムを振り返りやすくなった。

-バランス調整を施し、より幅広いユニット運用ができるようになった。
--前作で強すぎた忍者やアサシンはステータス上昇率が低下。よって他のジョブにも日の目が出てきた。
--前作ではサポートアビリティ「精神統一」が無いと攻撃を安定して命中させられず、精神統一が覚えられないバンガ族とン・モゥ族は苦しい立場にあったが、今作は命中率の上昇や精神統一の弱体化で、他種族と変わらないような運用ができる。
---バンガ族は、高いステータスと状態異常耐性に加えて2回攻撃「連続拳」を持つ「マスターモンク」を筆頭に新規ジョブが強力である。また魔法攻撃が伸びる新規ジョブ「トリックスター」を下積みにすることで魔法系として育てる事もできるようになった。
---MP0スタート、ターン毎に10回復という仕様のせいでン・モゥ族は弱体化しているように見えるが、序盤では低MPかつ威力の高い黒魔法が光る上、中盤以降はノーコストでMPを回復する手段も揃うので運用次第では十分能力を発揮できる。~
「消費MP半減」と合わせる事で1ターン目から使えるヘイスガ、魔法攻撃力依存になった事で一撃必殺の威力を誇るようになった「アルテマブロウ」は強力。

-経験値が戦闘終了後に配分されるため、弱いユニットを育てやすくなった。
--これまでは何かしら行動をしなければ経験値が貰えないようになっていたが、本作では戦闘終了後に一定の経験値が全ユニットに配分されるようになっている。そのため、レベルの低いユニットを戦闘に出しやすくなった。
--また、エンカウントバトルではレベルや行動に関係なく最低60の経験値がもらえる。本作では経験値が100貯まればレベルアップするので、最低でも2戦すれば確実にレベルが上がるようになっている。

-連続するクエストが多くあり、ストーリー性を持っている。
--デュアルホーン関連のクエストやフリメルダ関連のクエストはサブクエストとは思えないほどかなりドラマチックな展開になる。

-FF12からヴァン、パンネロ、アルシドが、FFTAからエゼル、モンブラン、ノノ、ミュートがゲスト出演する。
--カミュジャ、エナビア記、ゴーグ、赤チョコボなどFFTをやっている人にはニヤリとできる単語も。
--余談だが、当初はバルフレアの登場案もあったがスタッフに反対されて没にされた経歴もある。そういや[[ディシディア>ディシディア ファイナルファンタジー]]でも…。
-また、技名・武器名にFF11由来のものが多く、ゲーム中にもFF11の存在を匂わせるような内容がある。
-隠しユニットに新しくグラフィックが用意されている。

-音楽も好評。DS音源とは思えない重厚さを持っている。

-ゲーム開始時にノーマルモードとハードモードの選択が可能。ハードモードでは敵のダメージ量と回復量が増加し、歯ごたえのあるプレイが楽しめる。
--前作の難易度が低すぎるという批判に応えた形である。
--ノーマルの場合かなり控えめな難易度だが、ハードでは最序盤のチュートリアルからガチで殺しにかかってくる。装備・レベルが限られている+負けたら最初からやり直しということもあって、「&bold(){FF一難しいチュートリアル戦闘}」の異名を賜った。

-新たに「オークション」が登場。
--前作に続きクラン同士によるエリアの争奪戦が展開されるが、単純に戦闘により勝負をつけていた前作と異なり、今作ではオークションによりエリアの覇権を争う。
---他にもアイテムを買い取っていくタイプのオークションがあり、上記のエリアを競うオークションで全てのエリアを勝ち取ると登場する。
--オークションは通常のものと異なり、あらかじめ決まった量が割り振られた「トークン」を一定のタイミングで出し合っていき、最終的に最多のトークンを出したクランが勝者となる。つまり、どのタイミングでどれだけトークンを出していくかが重要となり、クラン同士の駆け引きが楽しめる。
--もっとも、オークションの参加数が増えるとトークンは購入が可能になるため、こういった要素が苦手な人でも力押しで勝てるようになる。

-タッチペンを使った操作が一切存在しない。
--元々GBA用に作られたらしく、タイトルの「A2」はその名残だという。
--ハードの特性を活かせてないとも言えるが、無理なタッチペン操作を押し付けるゲームの存在を考えると評価点だろう。
---ちなみにタッチペン操作が存在しないため「上下画面の入れ替え」というかなり珍しいオプションがある。文字通り上下画面を入れ替える''だけ''。自分の好みに合わせて選ぶといいだろう。

-DSのGBAスロットに前作『FFTA』を挿しておくことで特別なアビリティを入手できる。
--これは他の手段でも補完可能で、同様の効果を持つ技もあるためさほど重要なアビリティというわけではない。

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**賛否両論点
-固有キャラをクランから外す方法が存在しない。クランメンバー25人中、最終的には10人近くが固有キャラで埋められることになるため、枠的にすこし窮屈に感じられるかも。
--前作では味方ユニットを「死亡」させる方法が存在し、通常は除名できない固有キャラも死によって外す事ができた。しかし本作では死亡させる方法が完全に無くなった事で、固有キャラを外す事ができなくなった。
---大抵のプレイヤーには特に問題にもならない事だが、「こだわりのクランを作りたい」というプレイヤーにとっては大きなマイナス要素となる。
---前作の固有キャラは主人公を除くと1人だけで、シナリオでの立ち位置もさほど重要ではなかったが、本作では固有キャラが大幅に増えた上にシナリオに大きく関わる者もいる。そのためシナリオ上の問題から固有キャラを外せるようにするのは難しいと言える。
-本作では基本的に装備品をクエストで手に入れた素材をショップで合成することにより入手するが、運が悪いとなかなか素材が集まらずほしい装備品が手に入らない。このゲームではアビリティも装備品から覚えるため、二重に苦労することになる。
-前作ではシーフのアビリティ「盗む」が非常に強力で、武器だろうと防具だろうと装備品が盗み放題だったが、今作では武器を手に入れることは不可能になり、防具も入手が困難になった。そのかわり、アクセサリは前作と違ってすべて盗めるようになった。
--強力な武具の入手に制限がかかり、ゲームバランスはよくなったが、前作で盗むの魅力に取り付かれていた人にとっては物足りなく感じられるかもしれない。

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**問題点
-バランス調整をしてもなお、相変わらず一部のアビリティが強すぎる。

#region(バランスブレイカ―級のアビリティ)
-「二刀流」、「マジックバースト」(ヒュム族)
--「二刀流」は前作でも登場した、武器を2つ装備でき、2回攻撃が可能になるアビリティ。
--「マジックバースト」は自分が覚えている魔法を1つ選んで使用した後、その魔法の対象となったユニット全員に「たたかう」で攻撃する新規アビリティである。
-どちらも共に攻撃回数を増加させるというシンプルかつ強力な効果で、習得に必要となる膨大なAPも気にならない。防御よりもまず敵の戦力を素早く削る事が重要な本作において、攻撃性能が強化されるメリットは非常に大きい。
--さらに注目すべきは後者の『「たたかう」を遠隔範囲攻撃として運用できるようになる』という点で、二刀流と併用すれば''複数の敵をまとめてタコ殴り''できるようになり、物理特化ジョブでこれを運用すれば暴力的な殲滅性能を発揮する。
---幻術師であれば、二刀流+マジックバースト幻術((幻術:敵全体を対象とした攻撃魔法。))で敵全体をボコボコに殴るというとんでもない光景も見られる。もっとも幻術師は物理攻撃面が貧弱で、物理特化ジョブほどの爆発力は期待できないため、半分ネタ的な運用ではあるが。

-「HP消費魔法」、「連続魔法」(ヴィエラ族)
--「HP消費魔法」はMP消費をHP消費(消費量は元の2倍)に変えられる。MP0スタートという仕様でこの効果が反則なのは想像に難くないが、''武器攻撃力と魔法攻撃力が20%増加する''という効果まで付く。
---要するに''強力な魔法がさらに強力になり、1ターン目から使えるようになる''のである。これで「アルテマシアー((ヴィエラ族ジョブの最上級攻撃スキル))」でも出せば1ターン目で敵1人がほぼ確実に消し飛ぶ。
--「連続魔法」は前作にも存在した1度に2回魔法が使えるアビリティ。
---相変わらず強力だが、上記のHP消費魔法と組み合わせれば「開幕から召喚魔法((通常の魔法よりも対象範囲が広い魔法。))2連発」という事もでき、敵の群れをあっという間に壊滅させられる。
-カムダン(ヴィエラ族)
--今作の新ジョブ「緑魔道士」が使うサポート魔法で、ユニット1体の命中率を上昇させる。
---一見効果は地味だが、''一部のアビリティを除いて+30%''と上昇率が凄まじく、石化などの状態異常がほぼ確実に成功するようになる。
---敵全員を石化orカエルにすれば勝利扱いとなるため、これで命中率を底上げしたうえで敵を片っ端から石化にでもさせれば、「敵にダメージを与えて倒す」というRPGでは当たり前の行動すらバカバカしくなる。
---そして石化など相手の動きを止める状態異常が成功しやすくなると言う事は、相手の強力な防具やアクセサリを確実に盗める機会が増えると言う事であり……

-スマイル(モーグリ族)
--前作から据え置かれた、指定したキャラを行動順無視で即行動可能にする反則サポートアビリティ。クイックと違ってMP消費は0で、魔法では無いのでサイレスで使えなくなる事もない。

-こうかぎゃくてん(シーク族)
--アイテムの効果を逆にするアビリティ。HP回復アイテムはHPにダメージを与えるアイテムになるし、状態異常回復アイテムは状態異常を与えるアイテムになる。
---これに「薬の知識(アイテムの回復量2倍)」をつけて「エクスポーション(HP200回復)」を使うと毎ターン400ダメージを叩き出せる。大半の敵はこれ一撃で死ぬ。
---相手に隣接しなければならないのが欠点だが、次にアクションを実行するまで透明状態になる「みをかくす」と併用すれば敵がいくら強くても簡単に懐に潜り込める。これらを覚えたシーク達で味方を固めれば、低レベルクリアも難しくない。

-ただし、上記の強力なアクションもロウ毎にしっかり制限を受ける。また「自警団デビュー」など、これらを使ってもなお苦戦必至のクエストも存在する。
#endregion

-前作よりはかなりマシになってはいるが、相変わらず種族間の格差も存在する。
--爆発的な物理攻撃力を誇るヒュム族、アビリティや種族特性に恵まれたグリア族、優秀なジョブの揃ったヴィエラ族が使いやすい反面、魔法が主力で魔力以外の成長率も悪いン・モゥ族は今作のシステム((MP0から始まり、どんなに成長しても回復量は毎ターン10で固定なのでMP消費コストの重い魔法は数ターン待たないと使えない))や調整((アスピルでMPを吸収できなくなったため、アスピルでMPを確保する戦法が使えなくなった))に愛されておらず、いまいち使いづらい。
---アビリティ「消費MP半減」やMP回復アイテムでそれらの弱点をフォローする事も可能ではあるが、そんなフォローをしなくても強い他の種族たちがいる上、ン・モゥ独自の強みが特に無いどころかスピードが遅いという欠点があるため、使えないわけではないが影が薄くなりがち。
---また唯一前作からジョブが削られている((めたもる士。確かに前作の時点でかなり癖のある使いにくいジョブだったが…。))上に追加ジョブである裏魔道士((グラビデ系やレベル~系など、相手を選ぶ魔法が多い。))と学者((敵味方全員に攻撃する魔法を覚える。敵だけ攻撃できる幻術と威力とMPに差がないため普通に使うとデメリットしかない。味方を特定属性吸収装備で固めれば攻撃と回復を同時に行える強みはある。))双方の使い勝手がイマイチなのもマイナスポイント。
//↑魔法が主力のジョブは消費MP半減が覚えられるし、このゲームにはMP回復手段も揃っているので運用次第でどうにでもなる。ン・モゥが弱いわけではないのは上述の通り。ヒュムやヴィエラが強すぎるだけ。

-育成に不便な仕様
--本作でのレベルアップによるステータス上昇値は、ジョブごとにある程度ランダムな振り幅があるため、ステータス吟味をどれだけ行ったかによって、最終的なステータスにかなりの差が出る。
---汎用ユニットは「パーティの平均レベルで加入してくる」という仕様のため、序盤だけレベル上げを抑制すれば低レベルで加入させる事が非常に容易。
---逆に固定ユニットの多くはLv.20以上で加入して来るため、ステータス吟味ができる回数が汎用ユニットよりも大幅に少なく、固定ユニットはどうしてもステータス面で劣りがちになってしまう。
---しかも固定キャラはクエスト派遣ができず、育て直しも効かないという点でも汎用キャラに劣る。ドーピングアイテムも無くステータスの底上げもできないので、何かこれといった取り得が無いと扱いに困るのだが……(後述)
--「レベルアップの際には小数点以下の範囲でステータスが変動し、その小数点以下の数字がゲーム中に表示されない」という仕様が不便。
---正確には0.25単位でステータスが上昇するようになっており、例えばゲーム中には「42」と表示されている数値でも、42.00ではなく 42.25 or 42.50 or 42.75のどれかである可能性があるのだが、それがパッと見ではユーザーには判別できない。
---0.25や0.5程度の差異が分からなかったところで大した問題はないように思えるかも知れないが、Lv.が1上がるごとに0.5の差があれば、Lv.99になる頃には49もの差になっている。
---本作のカンスト値は249.75なので、49という数字は決してバカにならない数値である。そういった差がパッと見で判別できないというのは、育成にこだわるユーザーにとっては不便極まりない。
---育成をやり込まないユーザーにとっては特に気にならない仕様ではあるが、かと言ってそういったユーザーにとってメリットがあるわけでもない。やり込みたいユーザーにとって純粋に面倒なだけの仕様である。
---249.75というカンスト数値といい、0.25刻みのステータス上昇率といい、何故わざわざ4で割った数値が使われているのかは不明。
--ただ、本作の難易度は低めに抑えられているため、あまり育成にこだわらなくともクリアは充分に可能である。

-汎用ユニットと比べて性能が微妙な固定ユニットが多い。
--固有ジョブ「エージェント」を持つアルシド。
---エージェントはヒュム族では唯一銃を使った遠距離攻撃が可能で、「味方の女性ユニットの数に応じて強くなる」など個性的ではあるが、ステータスの上昇率はパッとしない。
---ついでにアルシドの加入はクリア後で、レベルが高い状態での加入になるため、彼自身の能力値もエージェントの平凡な上昇率に合わせた微妙なものになってしまう。
---極めつけは''ジョブチェンジ不可''(専用ジョブである「エージェント」で固定)であるという点。よって、「二刀流」などヒュム族の有用なアビリティは一切覚えられない。
---恐らくはキャラクター付けの一環なのだろうが…と言うかまあ確かにインパクトとしては成功しているのだが、その結果キャラクター愛が芽生えても正直非常に使いづらい。
--前作のメインキャラ、モーグリの「モンブラン」の悲惨な扱い。
---クリア後にしか仲間にならないのはともかくとして、初期ジョブが基本ジョブの「黒魔導師」((一応前作におけるモンブランの初期ジョブであり、リスペクトしていると言える。))でレベルが高い状態で加入するので育てる余地があまりない。
---ついでに本作は素早さ(SP)が重要なのだが、低レベルのうちからステータス厳選を行ってSPを伸ばせる他のユニットと違い、SPの伸びにくい上記ジョブで高レベル固定で加入してしまうモンブランはSPの伸びしろがあまり無いため、2軍落ちしやすい。
---頑張って低レベル攻略&初期ステータスの吟味を行えば、SPの限界値に近い値にまで育てる事も一応可能なのだが、モンブラン以外のユニットにそれと同程度の手間をかければ普通に成長限界まで目指せる。やっぱり不遇。((初期ステータスの吟味でとことん高ステータスを狙えば、モンブランで成長限界を目指す事も理論上は可能になると言われる…が、そんな高いステータスでモンブランが出現する確率は約0.000007%。途方も無い運の良さが無い限り無理である。もちろん現在でも達成報告は無い。))
---しかも「チョコボに乗れない」設定を持ち「チョコボ士」になれないため通常のモーグリより就けるジョブが1つ少ない。哀れ。
---ちなみに本作では彼の弟、「ハーディ」が比較的早い段階で加入する。彼も兄と似て「チョコボに乗らない」というポリシーを持つが、強力な専用ジョブ「吟遊詩人」に就いており、なにより早い段階で加入するのでパラメーターの調整も可能。((ただし、SPカンストが達成可能なステータスで彼が出現する確率はわずか0.1%。彼のカンストを目指す場合は初期ステータスの吟味に相当な労力をかける必要があり、やり込みユーザーの間では「ハーディ吟味」と呼ばれ、茨の道とされている。しかし兄モンブランのどうしようもなさと違い十分狙えるレベルの確率である。))
---ぶっちゃけ''兄が勝っている点が一つもない''。モンブランが何をしたというのか…。
--扱いが汎用ユニットとほぼ同じなシドや主人公ルッソらも「微妙」と言われることがある。
---欠点が無いだけ上記二人に比べればはるかにマシな部類で、むしろ育て方如何では強力な前線ユニットにはなれるのだが、ヒロインのアデルが強力な専用ジョブを持つのでやはり扱いの差が出る。
---ルッソに関しては、まあごく普通の一般人という設定なので間違ってはいないのだが…。
---前作の主人公も同じだったが、前作の場合味方専用ジョブが存在しなかったので、特に不遇なわけではなかった。しかし今作では専用ジョブ持ちの固定ユニットが大幅に追加された((そこまで強くもないパンネロの専用ジョブ「踊り子」など、専用ジョブがあるからと言って性能的に優遇されているというわけではないが))ので、結果的に比較的物足りない扱いとなってしまった。

-メインクエストのシナリオが薄い。演出や話もシンプルで、あまり盛り上がりも無く、ただ単純にクエストをクリアしていっている感が強い。
--何か設定のありそうな悪役の経歴などについても特に語られることはなく、シナリオの大筋自体も「悪い奴が出てきたので倒した」程度しか読み取れない。人によっては「TAのシナリオの方がキャラクターの心情の描写が細かく秀逸だった」という声も。
---他方サブクエストは個性的なサブキャラ達によるバラエティ豊かなシナリオが勢揃い。本作最大の連続サブクエストである「デュアルホーン」やユトランドの闇を描いた「カームカンパニー」は特に評価が高い。メインクエスト進行はサブクエスト解禁のためと割り切り、豊富なサブクエストで寄り道を堪能するのが本作の賢い楽しみ方と言えるかもしれない。
---前作との比較の面でも、TAは「かつての友人や肉親と戦う」という陰鬱な側面もあったため本作では対照的に明るい内容にしようという方針が企画当初からあり、敢えてシナリオを軽めにしたという見方もできる((なお、本作も最初期のシナリオプロットは「オープニングでルッソの故郷が壊滅する」という内容だったらしい))。

-戦闘がもっさりしている。
--カメラワークが悪く、全体攻撃時に全てのユニットの被ダメージが分からない。
-演出スキップ機能も無いため、戦闘中のアビリティ演出が冗長に感じる場面が多い。
-当時のゲームにはありがちだが、イベントシーンはスキップできない。育成をやりこむ際などはやや不便。
-仲間にできるキャラクターの最大人数が少ない。種族の追加と仲間にできるイベントキャラが増えたことを考慮すれば最低でも後6人は最大数を増やすべきだったのではないだろうか。
-オークションで手軽に最強クラスの装備が手に入ってしまいゲームバランスを悪くさせてしまっている。ただしオークションは参加が必須ではなく、オークションでアイテム入手が可能になるのもかなりあとのことなので、半ば救済措置と考えていいかもしれない。

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**総評
システムに賛否両論点があり遊びづらい部分もあった前作と違い、本作はかなり遊びやすくなり、万人向けになったといったところか。~
一方、シナリオ面は可もなく不可もなく…といった具合で、メインクエストに前作までのようなシナリオを期待していると肩透かしを食らう。~
その辺りは一長一短だが、ゲーム性については良好でかなり長く遊べるので、育成や戦闘を楽しみたい・やり込みたいユーザーには是非おすすめ。

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