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LIMBO - (2023/02/28 (火) 16:05:40) のソース

*LIMBO
【りんぼ】
|ジャンル|アドベンチャー((PSNの分類によるとアドベンチャーとなっているが、内容は下記のとおりアクションに近い。))|&ref(Limbo.jpg)|
|対応機種|Xbox 360&br()プレイステーション3&br()Xbox One&br()プレイステーション4&br()プレイステーション・ヴィータ&br()Windows&br()Macintosh&br()Nintendo Switch|~|
|メディア|ダウンロード専売ソフト|~|
|発売・開発元|Playdead|~|
|発売日・価格|【360】2010年7月21日 1,200MSP&br()【PS3】2011年8月4日 1,234円&br()【One】2014年12月5日 1200円&br()【PS4】2015年12月2日 1,234円&br()【PSV】2013年6月18日 1,234円&br()【Win/Mac】2011年8月3日 980円&br()【Switch】2018年6月28日 980円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
デンマークのインディーデベロッパーPlaydeadの処女作。
謎と悪意に満ちた世界で、妹を探して彷徨うパズル要素の強いアクション。~
タイトルの「LIMBO」は「辺獄」の事。キリスト教において「善良だが洗礼を受けられず原罪を持ったまま死んだ者の行く場所((キリスト誕生以前に死んだ者や、洗礼を受けるより早く死んだ子供、異教徒など。混同されやすいが「天国には行けなかったが地獄にも落ちなかった者」が行くのは「煉獄(Purgatorium)」である。))」の意味。~
見た目も操作も簡素だが、それだけにハマる人はとことんハマる。上記のCS機・PC版だけでなくスマホ版も存在し、全世界で数百万単位のDLを記録した。

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**特徴
-操作の基本は三つだけ
--方向キーでの左右移動と、あとは「ジャンプ」と「アクション」のみ。最初から最後まで、それらを組み合わせた操作しか存在しない。
--「オブジェクトを押す/引っ張る」「タイミングを合わせて○○する」というのがこのゲームの基本であり殆どである。

-モノクロームの世界
--画像は全て白黒で、濃淡の差以外に描画の違いはない。主人公にしても、目玉の部分が白丸になっているだけで後はシルエット同然。

-その世界観や操作性、謎解き等から『[[リトルビッグプラネット]]』と『[[SILENT HILL]]』から影響を受けたのではと言われている。

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**評価点
-心地よい「不親切感」
--何をするべきかどころか、どういう物語なのかすら全く提示されず、さらに謎解きも一切ヒントは貰えない。主人公は無力な少年なので、悪意に満ちたトラップに掛かればすぐに死んでしまう。
--ついでに言えば、「妹を探すため辺獄に足を踏み入れる」というストーリーでさえ、ゲーム内で語られる事はない。公式サイト等で僅かに語られる程度。
--しかし、だからこそ「思考する楽しみ」が非常に大きい。オブジェクトの意味や周囲の変化などを文字通り死んで覚えつつ、少しずつ先へと進んでいく楽しさはシンプルだが非常に良い。
---ストーリーについても同様であり、多くを語らないからこそ考察する楽しみがある。現にWed上では多数の考察が存在している。
--謎解きも理不尽ではなく、周囲をよく観察すれば必ず答えは導き出せる。&br例えば序盤の蜘蛛のシーンは、そのままでは只殺されるだけだが「攻撃を空撃ちさせて振動を起こし、引っかかっているトラバサミを持ってきて罠にする」という手法に気づけば後はタイミングさえ計れば突破可能。
--残機という概念は存在せず、死によるペナルティはほとんどない((死亡回数が関係するトロフィー/実績のみ。))。ミスしてもその直前からやり直しができる。

-無駄をそぎ落とした、超理詰めパズル要素
--もはや物理演算モデルのようで、偶然性を一切もたないシンプルなもの。しかし、運不運でも腕前でもなく思考、タイミングだけがキーになるというパズルゲームの原理のようなゲームデザインになっている。

-グラフィック・SE・演出
--上記のとおり世界はすべて白黒の濃淡であり、システムと同じく非常にシンプル。余計な色味がないからこそ幻想的な雰囲気がしっかりと出ており、それ自体が現代美術のよう。
---白黒の雰囲気によるものだけではない。僅か1000円そこそこの作品ながらグラフィックは極めて高品質、霧や煙の表現、風で揺れる草花や滴り落ちる水滴等もきっちりリアルに描写されている。逆を言えば、グラフィックに手を抜いていないからこそ芸術的な世界観がより映えるのだろう。
--SE(=サウンドエフェクト)もリアル…というか''リアルすぎる。''
---白黒の画面・残虐な罠・奇怪な怪物などリアルとは程遠い世界観の本作であるが、ありとあらゆる音が異常までにリアルであるため、高品質のグラフィックも相まって奇妙な現実感を連想させる。
--演出も練られており、特に中盤の「妹との再会」の描写は非常に上手い。誰もが絶望した事だろう。

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**賛否両論点
-人を選びすぎる描写の数々
--主人公の死に様はとにかく酷く、容赦がない。人によっては不快感を持つかもしれない。
---「トラバサミに鋏まれ、直立したまま首だけが転げ落ちる((本作のトラバサミは大型で、踏んだ際にちょうど首のところで歯が噛み合うようになっている。))」「バズソーに切り刻まれる」「水に落ちて苦悶のまま水死」「足場に流れていた電気にやられ、焼け焦げて死亡」など。
--ただしこれらの死亡描写はオプションのゴアフィルター機能をオンにすることでカットできる((死亡時に即暗転するように演出が変更される。))ため苦手な人も安心。
--デストラップを抜きにしてもゲームを通して不気味な雰囲気が強く、エンディングも暗鬱な描写。

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**問題点
-後半は謎解き要素がほぼなくなる
--「何がどうなってるか」は初見で分からずとも一度引っ掛かれば判る事が多く、「いかにタイミングよくアクションを起こすか」が問題になる事が多くなる。
--その為、「謎は解けてるのに、いつまで経ってもアクションで成功しない」といった事態が増えてしまう。

-PS3版で追加された隠しルートが難しいと言うより''理不尽''
--真っ暗な中、音と発光だけで罠を回避していくルートである為、とんでもない難易度になっている。
--トロフィー獲得以外にはこれといって意味はないので、本編以上の難易度を求めた人向けのやりこみ要素ではあるのだが、それにしても内容が人を選び過ぎる。

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**総評
かなり人を選ぶ内容ではあるのもの、パズルゲームとしては秀逸。~
トライ&エラーを繰り返し、じっくりと歩んでいく姿勢が求められる。~
この手の思考パズルが好きな方、あるいは死に描写を楽しめる方にはオススメである。