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Schwarzschild - (2021/08/01 (日) 15:32:36) のソース

当ページでは、SLG『Schwarzschild』シリーズのナンバリングタイトル5作品を紹介しています。
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*狂嵐の銀河 Schwarzschild
【きょうらんのぎんが しゅゔぁるつしると】
|ジャンル|SLG|
|対応機種|PC-9801VM/UV以降、PC-8801mkIISR以降、MSX2|
|発売・開発元|工画堂スタジオ|
|発売日|1988年12月9日|
|定価|12,800円|
|配信|[[プロジェクトEGG>http://www.amusement-center.com/project/egg/cgi/ecatalog-detail.cgi?contcode=7&product_id=1334]]:2016年2月23日/540円/MSX2版|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|
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**概要
『コズミックソルジャー』『サイキックウォー』『[[覇邪の封印]]』などを発売してきた工画堂スタジオのSFシミュレーションゲーム。~
シナリオシミュレーションとでも言うべき独特のゲーム性を持ち、ストーリー性を兼ね備えたものとなっている。~
戦略、戦術の両面を持ったSLG。プレイヤーはサンクリ星国の王となり、列強が割拠する銀河の中で、自国の勢力を広げていくのが目的。~
かつての銀河帝国や「真王と108人の光の戦士の転生」など壮大な背景設定があり、それを語っているマニュアルはとても分厚い。

**ストーリー
>星暦3960年、シュヴァルツシルト銀河外縁部ジロ星団に、「サンクリ星国」という国があった。~
KGB星域に遊学中であったサンクリ星国皇太子に凶事の知らせが入る。惑星ウーリィに行幸中の父が暗殺され、さらにウーリィで反乱が起こったのだ。~
そして、皇太子は急ぎ帰国すると、すぐさま即位式をあげ国王となる。そして反乱鎮圧と父の仇を討つために、行動を起こすのだった。

**特徴
-シナリオシミュレーション。
--ストーリー性を持ったSLGには、[[ファイアーエムブレムシリーズ]]や[[スーパーロボット大戦シリーズ]](双方ともRPG要素もある)などがあるが、本作はこれらと一線を画している。
---通常、この性質を持ったゲームの多くに見られるのが、ミッションスタイルでの戦術SLGだ(準備→マップ攻略→次の準備…)。この方法は、ミッション間のインターバルがあるため、ストーリーを導入しやすい。~
だが本作は、言わば[[信長の野望シリーズ]]のような群雄割拠スタイルとなっている。つまりどこを攻めるのも、同盟を結ぶのもプレイヤーの自由なのである。
---そこまで自由度が高い状態でストーリー性を導入するのは不可能に思えるかもしれない。そこには巧妙な仕掛けがあるのだ。一見複数の選択肢があるようで、論理的に考えれば実は選択肢は一つしかない場面が多いのである。~
このため、プレイヤーは自分の考えで選択したようでいて、実はシナリオ通りに進む事となる。自らの意思による選択が、ドラマチックな展開を生み出すかのような爽快感を得る。そういうゲーム性なのだ。
---もっともプレイ毎に細部は異なるようになっているし、プレイヤーの意思次第では普通敵に回すことのない国家を敵にしたり、滅びる運命にある国を救えたりするので、あえて最適以外の選択肢を取る意味は確かに存在する。

-コマンド群は戦略を中心としたもの。内政はほとんどなく、外交・軍事など、戦略に専念するコマンド構成となっている。
--外交は国家間関係を良好にするための各種援助と不可侵条約、同盟、そして戦争を始めるための開戦準備がある。
--軍事は軍事行動から軍備の充実等様々。
---造船ドックの建設。戦艦は各惑星にあるドックで作られる。一度に作れる戦艦の上限は当然ドックの数だけ。戦力の増強ペースを上げるためには造船ドックを増やす必要がある。
--本作の戦艦は一系統で、戦艦・巡洋艦や空母などといった種別は無い。艦隊戦も惑星攻略も同じ艦船で行う。
---戦艦は強さにより段階的にランク付けされ(最弱のA型からアルファベット順に強くなる)、『NT値』(新技術力)開発により製造可能な艦が更新される。また一個艦隊が保有できる艦船数も上限があり、これも『SV値』(統括コンピューター能力)開発により上昇させられる。
--艦隊への命令。戦略マップ上で艦隊を戦略目標に向け移動させる。移動方法にはマス上で移動する通常移動と、惑星間を一瞬で移動できる「亜空間移動」がある。このSFらしい亜空間移動システムだが、一瞬にして前線へ戦力を送り込むことが出来るので冗長な部隊移動が不要というゲーム上の利点にもなっている。
--そして全ての行動はターン開始時に20ポイントある『戦略STEP値』を消費して行動する。これが結構ぎりぎりの数字であるためうかつな指示は出せず、プレイヤーの頭を悩ませる。
---自国や敵の情報については、STEPの消費なしで確認を行なえる。

-戦闘はシンプル。
--艦隊は1国、4艦隊まで持てる。
--亜空間移動の設定により、戦闘時は全艦隊が戦闘マップに集結するルールとなっている。よって戦闘中に壊滅した艦隊は戦略マップ上からも消滅してしまう。
--戦艦が敵艦隊もしくは惑星に攻撃を開始すると、正方形のマスで構成された戦闘画面となる。惑星戦・艦隊戦により配置は異なる。同盟国の援軍がある場合は、同じく配置される(NPCとなり操作は出来ない)。
---移動は前進しかできない。よって目的の場所へ向かうには方向転換が必要。当然移動力を使う。
---射程の概念はなく、隣接した敵に攻撃を加える事になる。攻撃は正面のみしかできないが、防御は基本的に正面、側面、後方の順で強く、大きな差がある。このためどう敵の弱い面を突くかが、勝利への道となる。
--艦隊戦は全滅や旗艦撤退で敗北する。惑星戦は防御力を失うと占領となり敗北する。

-最終局面での、想像だにしない展開。
#region(シリーズの核心に迫るもの)
-星団ほぼ全域を掌握すると、突如クラーリンという謎の存在が亜空間から現れる。生物じみたその戦艦や要塞は、全くの異質。さらに戦闘力・展開能力は、開発可能な最強の戦艦をもはるかに上回る。しかも彼らに占領された星々は、所属が変わるのではなく異次元化され消滅してしまうのだ。~
必死の抵抗をしつつも、次々と星を破壊されていく様は正に絶望。その先にあるのは…。
--ちなみにPC88版では、クラーリンを同士討ちさせる裏技(バグ)があり、惑星一つを破壊される程度に被害を抑える事ができる。
#endregion()

**評価点
-シナリオシミュレーションという、従来にないゲーム性。

-戦略重視のシステムは分りやすい点が、独特なゲームコンセプトを強調している。
--広がっていく国土に、改良されていく戦艦、国力の発展が実感できる。
--シンプルなシステムと言っても、同盟などの各種外交もしっかり効果があるのも良い。
--戦闘も分りやすく、それだけに戦艦の強さが実感しやすい。

-意表を突く最終局面の展開。

-実にスペース・オペラっぽい雰囲気にマッチしたBGM(『II』ではアレンジされて一部楽曲が引き続き使用されている)。

**問題点
-PC98版ではスタート時の状況が厳しく、最初の反乱軍相手に躓くプレイヤーも多かった。PC88版では多少緩和されている。
--それでもかなり厳しく、ある程度決まった攻略法を取らないと勝つことはまず無理。息つく間もなく次の戦いが始まるため、戦力を過剰に発展させることが必要不可欠なのも大変な点である。さらに、敵は生意気にも援助を受けて戦力を増大させてくる。
--反乱軍討伐後、ある国が「平和を望むなら、小惑星の権利をよこせ」と言ってくるが実はこれが罠。自分で軍隊に投資した方が最終的に強くなるという、初見殺しの展開も存在する。
//脅迫に応じるとろくなことにならないというのはありふれている。初見殺しというほどでは…。それに両者にメリットデメリットあるなら問題ではない。
//物語として考えるとそう思えるが、ゲームとして考えると序盤の状況はバランス的に厳しく、攻略法を見いだせないプレイヤーなら”ゲームとして”楽な方へ流れる可能性もあるという事。
--反乱軍との戦いに一見時間制限は存在しないかのように見えるが、実はリミットターンが設定されており、それを過ぎると敵の軍勢が異常に強化され、ほぼ勝つことは不可能になる。このため「序盤で敵を生殺しにし、粘って自軍を最高の状態に持っていく」という攻略法は不可能。もっともそれなりに時間はあるし、ちゃんとインフォメーションで警告されるので、意図的に狙わなければ早々は起きない。

-他国に資金や資源を援助できるが、PC98版では友好度を増やすぐらいしか効果がないので、特に後半は資金と資源の使い道に困ることがある。
--しかしPC88版では友好度を上げるだけでなく、援助によってその国の艦隊を強化できる。したがって余剰資金や資源を同盟国に援助し、全体戦力の底上げを図れる。

-セーブやロードのたびにディスクを入れ替える必要があり、かなり面倒。次回作の『II』では緩和されている。
--下記の復刻版はディスク入れ替え作業もシステム内でできるので(CDなので当たり前だが)、ディスク媒体だった頃より大分マシ。

-最終局面が意表を突きすぎ、かつここからよほどうまくやらないとクリアできない。初見でクリアできる可能性は極めて低いと考えられる。
--もっとも当時においてはこれくらいの初見殺し・高難易度ゲームはありふれているのだが。

-初期作品であるためか、国家名や惑星名が人名(スタッフ名?)をもじった物多くおふざけ感が目立つ。

**総評
本来SLGとは自由度の高いゲームだ。それにストーリーという自由度の低いものを組み合わせるのだから、一工夫必要となる。~
本作はプレイヤーを誘導する事により、実質的に選択肢を絞るという方法を選んだ。これによりSLGとしてのシステム上の自由度を確保しながら、ストーリーを満喫できる仕組みができあがった。~
さらに本シリーズの象徴となった最後の意外な展開は、このストーリーを最高に盛り上げる。~
この従来にないゲーム性が支持を得るのも当然だろう。~
やがて本作はシリーズ化し、壮大な世界観の歴史として組み込まれていくのである。

本作と同時期に、SLGにストーリー性を導入する試みがいくつかの作品で始まるが、本作はその答えの一つと言える。

**余談
-現在プレイするなら『シュヴァルツシルトV』の特典として付属する『狂嵐の銀河 シュヴァルツシルトI』や、同『II』のPC-9801版をエミュレーション仕様で収録した復刻版CD(Windows XPまで対応)があるので、それを探すのが無難である。
--2016年にはMSX2版がプロジェクトEGGに配信されたので、『I』及び『II』は安価に遊べるようになった。

-良く間違われるが((『シュヴァルツシルトV』の公式サイト内ですら間違っている。以前はwikipediaでもそうなっていた。))、3作目まで書かれている''肩タイトル''は「狂乱」ではなく「''狂嵐''」である。そして『II』が出て以降に付けられた第1作の''副題が「狂乱の銀河」''である。
--この誤用が氾濫しているのは、元々「狂嵐の銀河」は肩タイトル……というよりもSchwarzschildの造語和訳で要するに邦題にあたる訳だが、どちらの読み方も「きょうらんのぎんが」である事が混乱を招いているのだろう。

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*Schwarzschild II 帝國ノ背信
【しゅゔぁるつしるとつー ていこくのはいしん】
|ジャンル|SLG|~|
|対応機種|PC-9801VM/UV以降、PC-8801mkIISR以降、MSX2、&br();PCエンジンCD-ROM2、メガCD|~|
|発売・開発元|工画堂スタジオ|~|
|発売日|1989年6月30日|~|
|定価|9,800円|~|
|配信|[[プロジェクトEGG>http://www.amusement-center.com/project/egg/cgi/ecatalog-detail.cgi?contcode=7&product_id=1174]]:2014年6月10日/525円/MSX2版|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

**ストーリー(II)
>星暦3964年。シュヴァルツシルト銀河内のソマリ星系に「オーラクルム」という新しい王国があった。新しい国ながらも地理的条件を生かし順調な経済発展をしてきた。~
そんなある日、軍事国家ロッサリアが隣国トリスティアへの侵攻を開始したのだ。トリスティリアの盟友であるオーラクルムは、これをきっかけに動乱へと巻き込まれていく。

**特徴と従来作との違い
-基本システムは前作を継承。
-国家元首に映像がついた。が、キャラ名はない(ラスボスのエスパニアン皇帝の本名はエンディングで少しだけ語られる)。
--なお移植版の『スーパー~』ではキャラ名もついた。
-戦艦の種類が、格闘艦(対艦用)と爆撃艦(惑星、要塞攻略用)の2種類に分かれた。NT値を向上させると交互に開発される。
-前作でセーブ&ロードごとに要求されたディスクの入れ替えが、起動時だけでよくなった。ぶっちゃけ本作で一番評価されている改善点である。
-難易度の低い「演習モード」があり、序盤まで遊べる。文字通り操作に慣れるための演習用。
-前作クリア後に見れるパスワードをゲーム開始直後に入力すれば、開発チームから資金と資源の援助が得られ序盤がかなり楽になる。……が、パスワード入力画面そのものが隠し要素。

**評価点(II)
-元首に顔がついたため、国家にキャラ性がつき、世界観が馴染みやすくなった。
--ちなみに本作の国家名は実在する(した)国家のもじりが大半。だが各国家の立ち位置はモデルになった国より元首の顔で判断したほうが良い。
--&bold(){国家の顔ぶれ}
#region()
--オーラクルム:銀河北西に位置するプレイヤーの国家。ゲーム開始時は紛れもない最弱国家。
--トリスティア:オーラクルムの隣国で同盟国。ロッサリアに侵略されている。
--ラターニア:銀河東の国家。国家元首の見た目が妙にピッ○ロ大魔王に似てるが、場合によってはロッサリアに宣戦布告し支援してくれる上奪った惑星をポンとくれる、ほぼ無条件で攻守同盟を結んでくれるなどとても友好的。ここど同盟を結んだ場合ラターニアもゲル―マンに宣戦布告するため戦線が急拡大する。
--ロッサリア:敵性国。別名蛮国。トリスティアに侵攻中。トリスティアがここに滅された場合、その後オーラクルムに武装解除要求した上後に宣戦布告してくるなど非常にたちが悪い。だが追い詰められるとグレイブリーに泣きつき援助を得てパワーアップする。
--ゲル―マン:敵性国。ラターニアとは非常に険悪な関係。ロッサリアとは攻守同盟を結んでいる他、ここもグレイブリーがバックに居る。
--グレイブリー:敵性国。ロッサリアとゲル―マンを操る黒幕。他2国とは戦力が比較にならない位強力で、ラターニアと同盟を結ばなかった場合、ゲル―マンと共にラターニアを滅ぼす事も起きる。
--モーゴルハン:敵性国。北の大国で領土野心を隠さないが、エスパニアンに恫喝され占領星を手放す屈辱を味わう。オーラクルムがグレイブリーとの交戦中、漁夫の利を狙い宣戦布告してくる。
--ポートガルー:敵性国。北西の国家。モーゴルハンの侵略により惑星を奪われるもエスパニアンの介在で回復。以後エスパニアンと同盟を結ぶが、後にエスパニアンに強制併合されてしまう。
--ワルキュリア:南西の大国で桁外れの技術力を持つ。友好的と思われるが国境を接していないため基本的に最終盤までは縁がない。
--コルテナチス:銀河中央の大国。メヒコマーヤの独立を認めずエスパニアンからも支援を取り付ける。仲裁に出たアンウィンカを騙し討ちで滅ぼしてしまう。
--アンウィンカ:コルテナチスとエスパニアンの間に位置する小国。独自の外交政策でコルテナチスとメヒコマーヤの仲裁を行おうとするが…
--メヒコマーヤ:コルテナチスから分離独立を宣言する勢力。イストラムーに支援を取り付けた為、銀河中央部は二大国の代理戦争の場となる。
--イストラムー:別名雄国。南の超大国で国力が桁外れ。オーラクルムとは中立的で外交次第で味方にも敵にもなるが最終盤では同盟国となる。
--エスパニアン:別名暴国。謎の皇帝が率いる東の超大国。直接なり間接なり様々で手段で版図拡大を企てるが、最終的にはオーラクルムやイストラムーに追い詰められ…
--アズラテック:南東の弱小国。序盤早々エスパニアンに滅ぼされてしまう((が、クラ―リン出現後アズラテックの残党が「ネオテック」を称する新勢力として蜂起、同盟軍に加わる。))。
#endregion()
-戦艦の種類が二系統になったため、艦隊構成を考える必要性ができた。
-敵AIが少しは賢くなった。前作では敵旗艦ばかりを無闇に追いかけるなど単純な行動が多かったが、今作ではユニットの特性や状況に応じた行動を取るようになった。
--もっとも、無闇に飛び出して容易く背後を取られるような面などはあまり変わっていないが。
-一作目のPC98版での問題点である、援助の効果が分りにくいなどが、解消されている。
-セーブ、ロードが楽になった。

**問題点(II)
-ゲーム性的には、そう大きく変わり映えしない点。
-相変わらず序盤が高難度。上記のパスワード援助に頼らず隣国も救うには、継戦能力の差異を利用して敵を撤退に追い込むなど、ゲームシステムに精通していないと無理。一応、隣国を見捨てれば第三国が敵対国に侵攻し戦力を削減してくれるので結果的に救済してもらえる。
-そして中盤から終盤まではかなりダレる。敵国の戦力は開戦直後こそ十分に整っており緊張感の有る戦闘を楽しめるが、一度撃滅してしまえば後は雀の涙ほどの戦力が補充されるだけなので、敵主星陥落までの戦闘が「作業」と化してしまう。
-最終局面も相変わらずの初見殺し。しかもプレイヤーの開発状況次第((敵性国家以外のNT値はプレイヤー国のNT値に連動して上昇する。このため中盤程度までにNT値を上げすぎるとイストラムーがエスパニアンを圧倒してしまい短時間で追い込まれてしまう。これは前作で序盤からNT値を最高まで上げるプレイが横行した事への罠と思われる。クラ―リン出現をコントロールしたい場合はイストラムーやメヒコマーヤにちょっかい出してイストラムーの戦力を削るなどの対策が必要。))ではプレイヤーの意思とは無関係に最終局面に突入してしまう事もあるためなかなか質が悪い。ただ、前作経験や開発システムの特性さえ知っていれば考え得る最大限の備えを整えてから最終局面に突入できる上、最終勢力の性能もも抑え気味なので前作よりは鬼畜度は低い。
-前作では戦艦毎に用意されていた戦闘シーンのアニメーションが、ワイヤーフレーム風のシンプルなものに共通化され劣化。もっとも、慣れてきたらそうそう見るものでもないので大した問題ではないが。

**総評(II)
まさしく正当進化というべき作りの本作。前作の面白さを、そのまま継承したものとなっている。

**コンシューマー機移植版
-PCエンジンCDロムロム『スーパーシュヴァルツシルト』と、メガCD『メガシュヴァルツシルト』は、本作のアレンジ移植。PC-88やMSX2よりゲーム的な表現力が高かったPCE・MDの性能と、CD-ROMのポテンシャルを生かし、映像・音声面が大幅にパワーアップしている。
-PCエンジンでは、『スーパーシュヴァルツシルト』を起点としたPCEオリジナルの続編、『スーパーシュヴァルツシルト2』が作成された。
-MCD『メガシュヴァルツシルト』の戦闘は、ターン制ではなくリアルタイム制に変更されている。

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*Schwarzschild III 惑星デスペラン
【しゅゔぁるつしるとすりー わくせいですぺらん】
|ジャンル|SLG|&amazon(B000EWAX1U)|
|対応機種|PC-9801VM/UV以降、Windows|~|
|発売・開発元|工画堂スタジオ|~|
|発売日|1992年2月28日|~|
|定価|12,800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

**ストーリー(III)
>星暦3941年。銀河辺境の地にガーディナル星系がある。そのほぼ中央にアースマンの国であるパーシオン共和国があった。その他にも同じくアースマンのアプリオン共和国があった。~
そして協定により、かつてのアースマンの入植地にイノン共和国が設立される。~
ただしイノン共和国は、ミクトネス、ヴァルダムと言った軍事国家に隣接しており、けして安泰という訳にはいかなかった。特にミクトネスとは領有権問題を発生させている。~
軍備増強を続けるミクトネスは、ついにイノンへの侵攻を開始。~
イノンの友好国であるパーシオン共和国。その首相であるエグザスは、対応を迫られる事となる。

**特徴と従来作との違い(III)
-シュヴァルツシルト正史の中では時系列的に第2番目の物語。
//『V』が3577年の物語で、一番過去の話。
-プラットフォームはPC-9801VM/UV以降に固定化されたが、その分グラフィックや操作性が進化した。
-ベースは『I』『II』と同様だが、システムはさらに多彩になった。
--従来はポイント消費によるコマンド実行だったものが、制限がなくなった。ただし資金や資源を消費するものは当然限界がある。
--国家全体でのコマンドのみだったのを、惑星単位で実行するコマンドができた。
--艦隊司令官が新たに導入され、各艦隊を指揮するようになった。能力値の違いだけでなく、オート戦闘時の行動パターンも異なる。
--ターン制だった戦闘をリアルタイム制に。さらに射程の概念が導入された。そのため艦船のスペックの内容が前作より増え、戦闘のゲーム性も大きく変わっている。また艦船自体も、対艦、対惑星のような系統分類はなくなり、スペックによって得意分野が分かれるものとなった。
---前作では、戦闘に同盟国艦隊も参加するシステムだったが、本作は該当艦隊のみ戦闘で、同盟は同一の敵国に対処するという形になっている。
---惑星攻略と駐留艦隊戦が同時だった前作までの戦闘とは違い、全駐留艦隊殲滅後に惑星攻略となる。
--経済コマンドが増えた。
-通常のストーリー展開のほかに、ストーリーを無視して、全ての国を制覇する覇王モードがある。もっとも、おまけ程度の存在で、そのEDもあっさりしたものだった。難易度は鬼だが。
-本作にもパスワード入力による救済要素がある。が、これとは別に、資金が増殖できる裏技が存在しあまり意味がない。いずれにしよやりすぎるとゲームバランスが崩れるので注意。パスワード入力はwin版も存在。

**評価点(III)
-大きく発展した基本システム。
--国が全ての指示をしていたものが、惑星単位のものも加わり細かくなった。
--同盟も内容が変わり、本来の国盗りの意味合いに近くなった。
--経済的なコマンドが増え、収入面である程度の施策ができるようになった。
-戦闘システムの大きな変化。
--司令官がついたため、艦隊の意味合いがさらに多くなった。また艦隊そのものの印象が、強くなった。
--艦船も系統ではなく性能で特徴が分れるため、配備についても意味合いが深くなっている。
--リアルタイム制の戦闘は、従来とは大きく違う戦闘感覚を味わえる。
-シュヴァルツシルトシリーズとしてのストーリーは、本作から色濃くなった。

**問題点(III)
-クリアするための必須条件がある。これは中盤に発生するのだが、初プレイでは気づきにくく、見過ごしてしまう事も。結果、最初からやり直す場合もある。SLGでこれはつらい。

**総評(III)
システムをさらに増強。それも単に旧来のシステムを、少々変えただけではないもの。同盟の内容の変化や、惑星コマンドの追加、リアルタイム制の戦闘は、従来とは違うゲーム性を見せた。さらにストーリーも強化。シリーズの方向性を、決めるものともなった。続編として申し分ない出来。

**移植版
-グラフィック等を改善し、ムービー・ストーリーを追加した『Schwarzschild III TRUTH』がメディアカイトGreat Seriesより発売(Win95対応)。
--さらに『IV』とのセット移植でXP対応の『Schwarzscild III+IV -DETHPERANT- -CRADLE END-』が2006年に発売された。オリジナル版も同時収録されている。

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*Schwarzschild IV THE CRADLE END
【しゅゔぁるつしるとふぉー ざ くれいどる えんど】
|ジャンル|SLG|&amazon(B000EWAX1U)|
|対応機種|PC-9801VX/UX以降、Windows|~|
|発売・開発元|工画堂スタジオ|~|
|発売日|1993年4月2日|~|
|定価|12,800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

**ストーリー(IV)
>シュバルツシルト銀河に存在する八つの強大な国、八強国。~
その狭間にあるバルディス星系。ここは八強国も一目を置く古の禁断の星域、バウストクルツがあった。~
そこは6つの巨大要塞で封鎖されており、何人の侵入を妨げている。それぞれの要塞には守護国となる国があり、長らくこの封印を守ってきた。~
その守護国の一つにヤングリーフがあった。その現国王であるクレア・ヤングリーフは、「光の真王伝説」に関わる者として特別視する国もある人物である。~
しかしヤングリーフ自体は決して豊かとはいえず、近隣のウィルソード、そしてもう一つの守護国ウルカフィと同盟を組む事で自国維持を図っていた。~
星暦3958年。守護国ではないレビルレントが、弱小の守護国ウルカフィへ圧力をかける。その狙いは封印の巨大要塞にあるのは明らかだ。侵攻を開始するのは時間の問題である。クレア・ヤングリーフの決断の時が迫っていた。

**特徴と従来作との違い(IV)
-本シリーズを開発してきたねこさんちーむが作った、最後の作品。
-前3作とは違い外交を軸とした作りになっている。その他のゲーム性も、違ったものとなっている。
--前作まではある程度決まりきった相手と友好もしくは敵対するようになっていたが、本作はそれをかなり自由に選べるようになっている。もちろん、絶対に友好関係を結べない相手はいる。
---自軍の派遣をかなり抑えられるほど、外交が強力。ただし同盟国任せにするなら、戦略上重要な拠点を上手く攻略させてやるなど工夫が必要。
-一方でそれ以外のコマンドはかなり削られ、簡略化されている。1作目にすらあった経済的なコマンドはほぼなくなった。さらに開発も前作までは投入資金によってペースを上げる事ができたが、本作はターン毎の投入資金が固定されており、ペースを上げる事ができない。
-数百隻単位の戦いだったものが、数隻単位の戦いに。別にシナリオ上で1隻が前作の100倍強いというわけではなく、システム変更の都合である。
--巡洋艦や駆逐艦といった通常の艦種に加え空母が新たに追加。
--艦船に耐久力という要素が加わった。
-質量制限が導入され、艦船の数だけでなく合計質量が制限以下でなければならない。数・質量制限ともに技術投資で上限が上がる。
--概して空母や戦艦など単艦で強力なものは高価で重く、数を配備できない。逆に安価で軽い駆逐艦などは手数は増えるが脆く、損耗率も高い。
-戦略マップ、戦術マップともに四角のマスからヘクス構成となった。さらに戦術マップではマップ範囲が広がった。
--惑星戦では駐留艦隊と別途戦う要素は前作と同様だが、駐留艦隊が1艦隊の場合は惑星防衛システム(防御衛星・軌道砲)と共に戦闘が行われる。駐留艦隊のいる惑星は、前作以上に攻略が難しくなった。
-前作までは非人間タイプ(異星人種)の国家も多数あったのだが、本作は人間タイプ(アースマン:地球人種)の国家しかない。
--前作までは全て銀河辺境での話だったのに対し、本作は銀河中心部での話だからである。((かつて銀河全域は地球人類の帝国が支配していたのだが、帝国が衰退・崩壊して辺境から引き上げた後、帝国が残したテクノロジーを使って原住種族も星間国家を作り上げた。))
-インターフェースがWindowsライクへと変わった。

**評価点(IV)
-外交を主体とし、従来と違うコンセプト。
--それまでの同盟国はそれほど頼りにならず、ある意味、敵を減らす程度の意味しかなかった。しかし、本作では力強い味方とする事ができる。
-戦闘の戦術性はより深くなった。
--空母の加入にり、艦載機による射程を無視した攻撃ができ、戦術を多彩にしている。
--艦船の耐久力の概念により、修理という概念ができ、艦船を無闇に沈めないように気を配るため、戦術性が上がった。
--戦闘マップも広がり、機動的な戦術が取りやすくなっている。
---射程ギリギリまで敵をおびき寄せて集中攻撃したり、艦隊を分けて迂回させ敵旗艦のみを撃破する等。リアルタイム制なので意外と難しい。
-ストーリーには、シリーズファンへの思わぬサプライズがある。

**問題点(IV)
-開発が、毎ターン開発実行の指示を出すだけなので、作業感がやや強い。
-総艦船数が激減したため、世界観的に少々違和感がある。
--本作は、時系列的に『III』より後かつ『I』の前の話。双方とも本作の100倍程度の艦船で戦っていた。
-マップは広がったが、解像度の関係で枠線がなくなり、緻密な戦術をとるには一時停止と位置確認が欠かせない。
-インタフェースは出始めたWindowsタイプに近くなったが、操作性そのものは、前3作より悪い。移植版では改善されている。

**総評(IV)
自由度をある程度制限する事で、ストーリーとシミュレーション性を一体化していたこれまでのシリーズだが、本作はその逆とでも言うべきコンセプトとなっている。~
ただ、それでも一般の戦略SLGのように、完全に自由とはなっていないため、その魅力は失っていない。~
そして外交重視のゲームになり、頼りになる同盟国。戦闘も、これまでのシリーズで最も多彩な戦闘ができる。~
ねこさんちーむ最後のシリーズ作となったが、それにふさわしい出来である。

**移植版(IV)
-前作と同様、グラフィック等を改善し、ムービー・ストーリーを追加した『翳る銀河 Schwarzschild IV』が発売(Win98対応)。
--やはりこちらもセット移植版を探すのが無難だろう。

**その後の展開
-本作発売からSchwarzschildシリーズのゲームシステムをベースにしたPCエンジンのファンタジーシミュレーションRPG「機装ルーガ」が1993年12月3日に発売された。
--こちらは古代遺跡に関するシミュレーションRPGで、成長システムは鉱石による武具の作成などという変わったゲームシステムが特徴であり、豪華声優陣によるキャラクターボイスも対応している。
---プロジェクトEGGにも配信されている。
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*Schwarzschild V 真皇誕生
【しゅゔぁるつしるとふぁいぶ しんのうたんじょう】
|ジャンル|SLG|&amazon(B0000E68X8)|
|対応機種|Windows98/Me/2000/XP|~|
|発売元|工画堂スタジオ|~|
|開発元|有限会社くまさんちーむ|~|
|発売日|通常版:2003年11月7日/普及版:2008年4月25日|~|
|定価|オープンプライス/4,000円(税抜き)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|今まで設定だけだった過去を舞台としている&br;シリーズの伏線回収&br;システムは原点回帰&br;おまけが本編?|~|

**概要(V)
2002年に工画堂スタジオと別会社化された、有限会社くまさんちーむの制作した作品。~
『IV』の後は外伝作品が多数出ていたが(『EX』『GX』『WING』『WING2』『X』『Z』『N』『F』)、本作は正伝(ナンバリングタイトル)としては実に10年ぶりの新作となる。~

今までのシリーズ作品では作中会話や付属の読み物で語られるだけだった、第一次銀河帝国(銀河連邦帝国)を舞台としている。&br;通常版には同シリーズの『I』及び『II』のPC-9801版の復刻版CDが特典として付属した。

**ストーリー(V)
>銀河を二つに割った「第二次星間戦争」の開始から20余年。地球発祥の人類を主体とする「銀河帝国」と異星の先住種族主体である「レプシトール」、両陣営の疲弊は極みに達し、明確な決着のないまま終結を迎えた。~
未だ一触即発の火種を抱える両陣営を分かつ時空の境。その境界を守る「銀河帝国領辺境防衛機構〈ブルーインヴァルド〉」の任務は、存在し続けること。再び戦端が開かれた時に備え、帝国本土を守る時間を稼ぐことである。~
星暦3690年、その任務の一端を担うべく一人の皇子が派遣される。ネイハム・ブレッドローズ。銀河帝国第47戦略軍を率いる彼は、大いなる野望を秘めて動き出した。

**特徴と従来作との違い(V)
-星暦3900年代後半から4000年代前半を舞台にしていたそれまでのシリーズ作品から一転、3690年という過去の時代を描く。過去作で度々現れ猛威を振るった「第一次銀河帝国の遺産」が現役兵器として扱われている、技術レベルで言えばシリーズ最高峰の時代である。
--それに伴い、作中やムービーなどで「どこかで見た艦船に酷似した船」「どこかで聞いたような理論を唱える人物」「非常に見覚えのある機動要塞」等が多数登場する。従来からのファンをニヤリとさせた。
-戦闘システムは前作から離れ、一艦隊500隻(一部隊100隻×5)のリアルタイム制に戻った。
--通常の艦隊戦では敵旗艦を沈めれば勝利だが、拠点攻略戦では敵拠点の耐久力を削り切ればよいので、敵艦隊の排除は必須ではない。
-開発は艦種ごとに船体・攻撃兵器・充填装置・対ミサイル防御・対レーザー防御の5種のパーツの組み合わせで行う。古い船体に最新の武装を積む、なども可能なので戦術に合わせコストも考えて上手くバランスを取ろう。
--但し、一つでも違うパーツを組み込んだ艦船は同型艦とみなされず、同じ部隊に編制できない。
-内政コマンドはなく、各惑星固有の収入値(資金・資源)に拠点防衛官として任命されている司令官の行政能力補正の合計が勢力の収入となる。
--資金と資源には徴収率という数値があり、そのターンの収入分を使い切らないと次ターンから5%ずつ減少してしまう。銀河帝国軍は予算の使いきりを求める役所なのだろうか。
-外交コマンドは各勢力との印象値の操作がメイン。開戦タイミングの決定と、資金・資源のやりくりである。
--印象値が低下しすぎると宣戦布告されるが、相手に資金援助を行うことによって印象値を回復させ開戦を回避できる。何もしないとあっという間にほとんどの勢力から攻撃されることになる。援助額はシナリオが進むにつれ高騰していくので、いつまでも戦闘を回避しているとジリ貧になる。
---各勢力に宣戦布告した場合と、相手から宣戦布告を受けた場合では台詞が異なるが、ストーリーに違いはない。
--自国の資金や資源に余裕があると、交戦中でない他勢力から資源買取イベントなどがある。普通に売却するよりかなり割りの良い取引をしてくれる。

**評価点(V)
-シンプルで魅力ある戦闘
--俯瞰視点のSTGと化し苦手な人はクリア不可能だった前々作『N』や、初期スパロボのような形式で一戦闘に時間がかかり過ぎた前作『F』の路線とは決別し、数百隻単位のリアルタイム戦闘に戻った。各部隊に移動指示を出して一定時間を委任、攻撃と防御はオートで行う方式((システム的には『III』、『W』系、『Z』などの戦闘の折衷案的なもの。))。シンプルだが戦艦同士の相性や司令官ごとに固有の陣形、部隊の移動のさせ方によっては戦果は大きく変動する。プレイヤーの腕の見せ所は十分にあるが、腕だけあれば旧式艦で戦い抜けるほど甘くもない。良好なバランスである。
---司令官の能力値は重要な要素だが、固有の陣形や移動力はレベルを上げても変化しない。状況によっては戦闘能力の低い内政向け司令官を引っ張り出す必要もある。
--戦艦の種別による使い分け
---レーザー艦・攻略艦・ミサイル艦・突撃艦・防御衛星の5種があり(ミサイル艦と突撃艦は序盤は開発できない)、攻撃と防御に優れるレーザー艦、アウトレンジ攻撃ができるが装填が遅いミサイル艦、防御兵装では防げないレールガンを装備しミサイル回避力と速力に優れる突撃艦と種別ごとの特徴がはっきりしており、特定の種別だけ開発してゴリ押しは難しい。逆に相性をうまく利用すれば一、二世代旧型の艦でも勝利できる。攻略艦は対艦能力がないが、要塞攻略に必須なので開発を怠らずに。
-明かされるいくつかの謎
--『I』~『IV』と数々の外伝で出てきた第一次銀河帝国時代を由来とする要素に関し、いくつかの回答が用意されている。一例として、『III』で登場して以降存在感を放ってきた機動要塞「デスぺラン」が元々どのような経緯で建造されたかなどが明らかになった。((デスぺランそのものではなく、同系列の要塞とする説もある。が、そんなものが宇宙の各地に多数眠っているというのは極めて物騒な話である。))
-ある程度取り戻された自由度
--主人公勢力は宙域の中央近くに位置し、各勢力といつ開戦するかは自由なため、難易度さえ気にしなければ攻略順はある程度自由である。資金に都合のつく限り外交と開発を続ければいきなり強敵を屠ることもできる。
---但しチュートリアルに該当する最初の敵勢力は別で、時間をかけすぎると銀河帝国本国から超強力な艦隊が進攻してきて完全に詰む。この辺りは『I』~『III』を踏襲していると言える。

**問題点(V)
-基本的に一本道のシナリオ
--主人公がブルーインヴァルド宙域を統一し、銀河帝国に反旗を翻す……というシナリオの性質上仕方がないのだが、最終的に全ての勢力を打ち破る以外に道はない。ある勢力を早く倒しすぎると真のボスが出てこない、という変化はあるもののシナリオ分岐と呼べるものではない。
-会話イベントの乏しさ
--各敵勢力には元首以外のキャラはほぼおらず、会話イベントも開戦時と滅亡時のみ。その他のイベントも主人公・秘書官・参謀+他勢力の誰かの組合せで進行することが多く、バリエーションに乏しい。後半に登場する司令官などは着任時の挨拶でしか会話に出ないこともある。((但し、シュヴァシリーズのメイン以外の司令官は大体そんな扱いである。))
-グラフィック・音声関連
--グラフィックはこの時期のゲームとしては標準的で、前作と比較すれば向上している。しかし戦闘がレーダー画面を見て行うような表示形式のため、せっかくの戦艦や衛星のグラフィックも開発・編成画面でしか見ることはできない。戦闘効果音もない。もっとも、シュヴァシリーズの半分くらいはこの表示形式の戦闘なのだが。
---人物グラフィックは前作までとは担当が替わっている。今までは手癖が強く好みが分かれた絵柄だったが、今作は総じて評価が高い。……のだが、会話シーンや編成画面の人物グラフィックが小さすぎて良さを帳消しにしてしまっている。また司令官一覧にはグラフィック表示欄がなく、各人のグラフィックをじっくり眺める機会はほぼない。
--前作まであったボイスイベントはなくなり、イベントムービーではナレーターの語りが入るのみとなっている。

**総評(V)
ゲーム全体の構成としては難易度を抑えたうえで『I』~『IV』の正伝シリーズに近いものに回帰し、シナリオ的に前作までのキャラクター達と切り離して新規ユーザーも参入しやすくし支持層拡大を狙った、というべき作品。『I』『II』の復刻版を同梱したことからもそれが読み取れる。&br;しかし元がマイナーなシリーズなうえに(家庭用ゲーム機全盛期である)2000年代前半のPCゲームとしてはボリューム不足感が否めず、結局本作が事実上シリーズ最後の作品となった。&br;従来からのシリーズファン(特にそれまでの''高難易度に慣れ切った''層)にも「''復刻版CDが本体''」などと言われる羽目になった。

**その後の展開(V)
-2008年に『I』『II』の復刻版を含まない普及版(『V』単品版)が発売。工画堂作品では割とある手法。
-2009年に新作『シュヴァルツシルト~光の戦士伝説~(仮)』が発売予定と発表されたが、2009年4月に発売延期が発表されて以降情報がない。

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