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グローランサーIV Wayfarer of the time - (2024/01/10 (水) 18:00:14) のソース

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*グローランサーIV Wayfarer of the time
【ぐろーらんさーふぉーうぇいふぇあーおぶざたいむ】
|ジャンル|ノンストップドラマチックRPG|#amazon(B0000VEKH8)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|メディア|DVD-ROM 1枚|~|
|発売元|アトラス|~|
|開発元|キャリアソフト|~|
|発売日|2003年12月18日|~|
|定価|7,140円(税込)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|2Dグローランサー集大成&br;シリーズ随一の人間ドラマ&br;シリーズ随一の''鬱展開''|~|
|>|>|CENTER:''[[グローランサーシリーズリンク>グローランサーシリーズ]]''|
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#center{&size(20){''進化するドラマチック''}}
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**ストーリー
はるか2000年前、人類は魔法と科学によって、高度な文明を築いていた。~
しかし、強大な力を持つ、天使との戦いによって、人類は滅亡寸前まで追い込まれてしまう。~

そして現在。~
人類は滅亡の危機から復興し、新たなる文明を築いていた。~
しかし、2000年前の“天使”との戦いで失われたものは多く、古代文明の魔法や科学の技術は、おとぎ話の世界のものとなってしまっていた。~
そして天使も“人類を滅ぼす存在”として伝承の中に残るだけとなった。~
そんな世界の中にある大陸の1つ、ノイエヴァール。~
この地の南方に位置するランプラスト島に外大陸からの侵略から島を守るために雇われたアルテン・シュヴァルト傭兵団。~
だが、突如現れた天使に襲撃を受け、戦場から逃げ出すこととなる。~
そして、大陸へ引き返した日の夜、天使の出現を確認した団長のディクセンは、団員の一人であるクレヴァニールに衝撃的な事実を告げる。~
「おまえこそが“天使を止めるためのカギ”だ」と。~
そこから物語りは大きく動き出す事になる。~
(公式サイトより抜粋)

**概要
「ノンストップドラマチックRPG」を掲げたストーリー、リアルタイムストラテジーのような戦闘などで人気を博したグローランサーシリーズの4作目。~
世界観を一新しており、前三作とは異なる世界観での物語となっている。~
キャッチコピーが示すように、ストーリーを含めて様々な点が進化を遂げている。

**特徴
-一作目要素の復活
--移動画面がそのまま戦闘画面になる、自分の領地を持てる、など『[[I>グローランサー]]』で特徴的でありながら『[[II>グローランサーII The sense of justice]]』『[[III>グローランサーIII The dual darkness]]』では廃止されていた要素が多く復活している。
--『I』で印象的だった休暇イベントも復活。
---『III』でも一応復活したが、アパートの仲間の部屋を尋ねてイベントを起こすだけなのであまり休んでいる感じはしなかった。今回はほぼ『I』のものに回帰している。
---『I』では話した仲間はすぐに移動してしまったり、日が変わる演出も無く城に行くだけだったりとどこか機械的な所があったが、本作では台詞後も雑談している演出が入り、一日終わる度に自室で休む必要が出た。テンポで言えばやや劣るが、休暇の雰囲気は強くなった。
--『III』のワールドマップとランダム生成ダンジョンは廃止。これらも『I』同様、フィールドは街やダンジョン間が地続きの形式に、ダンジョンもランダム性の無い普通のマップになった。
---戦闘中は周囲の敵が寄ってくるという『III』の要素は継承されている。

-使い魔の育成
--シリーズお馴染み主人公の代弁的な妖精キャラクター(本作では使い魔と呼ぶ)を、本作では容姿・性格の異なる3種類の中から選択する事ができる。
--ドールハウスと言うアイテムを使って筋力、知力、魅力などの能力を成長させる事が出来る。使い魔は戦闘には参加しないものの成長させればゲームを有利に進める能力を習得する事が出来る。育成にはミッションクリアや特定アイテムによるエネルギーの充填が必要。
--戦闘で役立つスキルの他、ダンジョンの未取得アイテム数確認、買い物時の値切り、主人公の性格判定、仲間の好感度の表示などと言った能力もある。
---戦闘時は主人公への攻撃を確率で無効化したり、使い魔自身が敵に反撃する事もある。
---性格判定と好感度表示は『III』から追加されたが、特定の場所でしか聞けなかった。対して本作ではいつでも行う事ができる。
--前作には無かったメニュー画面での応答、操作を一定時間放置した際の独り言と言った、『I』の要素も復活。
--使い魔のD-TP型とD-LM型はそれぞれ『I』と『III』に登場した妖精キャラに酷似した容姿であり、ファン心をくすぐるデザインとなっている。
--今回は使い魔の休暇イベントが用意されており、他の仲間同様に個別イベントを起こして好感度が上げられ、エンディングも迎える事が出来る。
---イベント内容もタイプによって全く異なり、それぞれの使い魔との休暇が楽しめる。勿論、エンディングの内容と一枚絵も個別。
--また、コスチュームチェンジが可能になった。タイプ毎に複数のコスチュームが用意され、中には過去作キャラの衣装もある。

-RMC(リアルタイムミッションクリア)システム
--シリーズ恒例の戦闘システム。前二作同様、イベント戦闘は友軍や民間人に被害を出さなかったか、撤退する敵を逃がさず倒したか等の達成項目に応じて三段階の評価が下される。
--今回はそれに加え、ミッション毎にタイマーが追加されている。戦闘開始と同時に+50からカウントダウンが始まり、最低の-50まで減少していく。このカウントが多い時ほど多くの経験値、良い報酬がもらえる為、早い段階で多くの敵を倒すのが望ましい。
---「MISSION COMPLETE」を貰うにはカウントが1以上でなければならない。-50まで下がってしまうと無条件で「MISSION FAILED」が確定する。
---タイマーの減少速度はミッションに応じて異なる。

-フェイトシステム
--本作で追加された「運命を変える」システム。ストーリー上で本来なら死亡したり不幸な人生を送るキャラクターを、条件を満たす事で救う事ができる。
--尚、フェイトに成功したキャラについては後から「もし運命が変わらなかったら?」と言う展開を見る事が出来る。

-難易度の上昇
--難易度が過去作と比べて高く、強力な魔法を使う相手には「魔法耐性アップ」で魔法のダメージを軽減する、敵が多い場合には「スリープ」で眠らせるなど、スキルを駆使しなければクリアが難しい難易度である。
---特に一周目に「MISSION COMPLETE」を全ての戦闘で取ろうとすると難易度が非常に高くなる。増援の沸く戦闘も多く、出現位置も挟み撃ちになるような増援や近接攻撃できない、もしくは大回りさせられる位置に魔術師や弓兵が複数出現したりと、初見では対応のしにくい嫌らしいものもある。慣れないうちは「MISSION FAILED」ばかりなんて事も。
--事前に対策を取ったか否かでガラリと難易度が変わるミッションも多い。中には予め対策を立てたり適切な行動を取らないと、何も出来ないままゲームオーバーになるような初見殺しのケースも。
--そしてこれはシリーズの伝統だが、イベント戦闘はストーリーの一部であるため、初見では何が起こるか分からない。得意の戦略・戦術が使えなくなることなど日常茶飯事なので、常に臨機応変な対応が求められる。
--但し、スキルの使い方が分かってくれば問題なくクリアできるため、決して理不尽な難易度ではない。

-魔法の仕様変更
--過去作では、詠唱したレベル内で範囲魔法は威力と効果範囲を調整・単体魔法は威力と効果対象を調整(一例としてLV2の「アイスバレット」を1体に全て使用するか・2体にLV1ずつ振り分けるかの調整)が可能だったが、本作では不可能となった。
--最大レベルも前作までの9から3に減少したが、レベルによる威力上昇率と詠唱時間は増している。また、高レベルでも消費MPは変わらなくなった。
--前作に続き、協力魔法も採用されている。

-スキル習得方法の変更
--本作では魔石(前作までの精霊石)を装備して技能ポイントを稼ぐ事により、魔石に秘められたスキルを習得する事が出来る。
--前作までは精霊石はパラメーターアップや特殊効果を与える装備品であったが、本作ではそれに加えて魔石毎にスキルが設定されており、技能ポイントが一定数に達してレベルが1になると体得する。更に技能ポイントを得るとレベルアップし、各スキルの最大レベルに達すると「マスター」となる。
--スキルの他、特技と魔法も全て魔石によって取得する。
---魔石は魔法関連の緑、特技関連の赤、スキル関連の黄に色分けされており、リングの穴もそれぞれ色が付いている。同じ色の穴に装備すれば通常通り技能ポイントを獲得できるが、違う色だった場合は4分の3に減る。
---レベル1以上なら魔石を外しても技能ポイントは入るが雀の涙ほどしか得られない。
--前作まで同様キャラごとに習得可能なスキルは制限されており、全てのスキルは習得できない。主人公は「間接射程アップ」など本当にごく一部を除く全てが習得可能。

***登場人物
#region(クリックして展開)
-クレヴァニール(CV:なし)
--本作の主人公。幼少期に遺跡から発見された「ルイン・チャイルド」で、傭兵団で育った青年。団長に「天使を倒す鍵」と呼ばれ、数奇な運命に巻き込まれていく。
--シリーズ他作品では主人公も年齢を明記しているのだが、今作では何故か年齢が不明になっている((遺跡から目覚めた際に自分の年齢が分からなかったからかもしれないが、作中ではレジーナ(20)から「2つしか違わない」と言われる台詞がある。))。

-使い魔
--魔法技術によって生み出された人工生命体。魔法の素質があるか、魔法が使える者にしか認知できない。マスターとなる人間とは一心同体で、マスターに尽くす事を常とする。
--名前は「ピティ」「ユニ」「レミィ」から選択する。
--D-TP型(CV:豊口めぐみ)
---元気で活動的な使い魔。『I』の「ティピ」がモデルで、担当声優も同様。イメージは「ティピより少しお姉さん」らしく基本は敬語で、蹴りを喰らわせてくる事も無い((ただ、ファンディスクではD-LM型を蹴り飛ばすシーンがあるので、恐らく敵への反撃はキックでしているのだろう。))。
--D-LN型(CV:かかずゆみ(PS2)、藤田咲(PSP))
---思慮深く冷静な使い魔。一見オリジナルだが、実は同じイラストレーターの『[[ラングリッサーIII]]』に登場する「ルナ」がモデル。但し、性格は別物。
--D-LM型(CV:金田朋子(PS2)、矢作紗友里(PSP))
---周囲の空気をのんびりさせるほんわか系の使い魔。『III』の「ラミィ」がモデルで、声優は異なり立ち絵も新規だが、その姿は完全にラミィそのまま。ただ、使い魔として生まれただけあってラミィよりはよほどしっかりしている。
---『III』のクリアデータをコンバートした場合のみ選択可能となる((PSP版は無条件。))。

-レムス(CV:永田亮子)
--共に旅をしていた父が殺され、森の中に倒れていた少年。クレヴァニール達に助けられてからは傭兵団に身を置き、解散後もクレヴァニールと行動を共にする。立て続けに襲い来る悲劇から、天使に対して憎悪を抱く。

-フレーネ(CV:牧島有希((OPテーマ「Before The Daylight」、EDテーマ「Your Memories -セピア色の想い出達-」も歌唱。)))
--クレヴァニールの夢に出てきた少女。後に遺跡でルイン・チャイルドとして発見されるも、天使襲撃で覚醒処理を中断してしまった為に記憶を失ってしまう。クレヴァニールと同様、他のルイン・チャイルドとは違う存在である事をうかがわせる。理由は本人にも分からないが、天使に対しては肯定的なイメージを持っている。

-イライザ(CV:浅野真澄)
--イグレジアス王国の名家の令嬢。戦時下の故郷を離れて別荘に滞在中にクレヴァニール達と知り合い、その別荘を彼らの住まいとして提供する。地は御転婆で、身を案じられた事に反発して自ら髪とドレスを切り落とし、武器を手に取る。

-ヒエン(CV:辻親八)
--日本の武士のような出で立ちの剣豪。何らかの理由で追われていた所をクレヴァニール達に助けられるが、その際に受けた毒で記憶を失う。それでも武士道は忘れなかった為、クレヴァニール達の恩義に報いるべく同行する。

-レオナ(CV:釘宮理恵)
--猫耳と尻尾の付いた少女。別の世界から飛ばされてきたらしい。精神的に幼く「な」を「ニャ」と言ってしまうほど舌足らずだが、ペット扱いされると怒る。

-ヴァレリー(CV:櫻井孝宏)
--ルイン・チャイルドの1人。デュルクハイム軍にてクレヴァニールの班に配属されてしばらく行動を共にするが、ある事件でヴァルカニアに拉致され、やがて戦場で敵味方に分かれて再会する事に。
--序盤に一時加入するが、正式加入はフェイトイベントをこなす必要がある。

-レジーナ(CV:清水こずえ)
--傭兵団の団長の娘で、クレヴァニールとは姉弟のような間柄。天使打倒の旅に同行するはずだったが、謎の男に心臓を貫かれて死んでしまう。…と思いきや、以前とは別人のような態度で再びクレヴァニールの前に現れる。
--加入にはフェイトイベントが必要だが、事前情報無しではやや厳しい条件がある。
#endregion

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**評価点
''戦闘システム''~
『III』までに完成度を高めて来たシステムは残っていた問題点がほぼ改善されており、同時に戦闘のテンポも上がっている。また『V』以降戦闘システムが一新されたため本作の戦闘システムは『I』から続くシステムの最終型と言う事ができ、シリーズでも『[[VI>グローランサーVI Precarious World]]』と並んで高い評価を受けている。

-リング=ウェポンの付け替えが自由になった。
--前作まで町の特定の場所でお金を払うことでしか付け替えが出来ないため、戦闘中で入手したリングも町に戻るまで装備できないという不便さがあったが、今作では通常の装備品同様いつでも付け替え可能になった。
---但し、初めて手に入れたリングは鑑定が必要という点は同じ。今回は調律屋は無いので鑑定は普通のショップで行えるようになった。

-スキル習得方法の変更
--これにより育成の自由度が上がり戦略性も飛躍的に向上されている。
--また、前二作では精霊石と技能習得は別々のため使わないものもあったが、本作では多くの魔石を使う機会が増えている。
---前作までは効果が便利な精霊石を入手するとそれを終始つけっぱなしになる事もあったが、今回はスキル習得との兼ね合いもあり、装備魔石のスキルをマスターした時点で別の魔石に付け替えるプレイヤーが多い。

-魔法について
--後述のような問題はあれど、前作に比して協力魔法の種類が大幅に増えたこと等、一部は改善された。
---威力もLV1でも十分使える威力であり、メニュー画面で回復魔法や補助魔法を使用した場合は振り分けの手間がなく最大LVで発動するようにもなった。
--また、片方が詠唱中に倒されると協力魔法が使えなくなってしまう為、これを利用して、敵が強力な協力魔法を使用する前にこちらが単体に攻撃を集中させて敵の協力魔法を阻止する等の戦術的な楽しみはある。

''ストーリー面''
-薄く短かった前二作に比べ、密度とボリュームが『I』に匹敵するほどに増強された。作風は『I』とも前二作とも少々赴きが異なるが、その完成度は『I』と並んでシリーズでもトップクラス。

-「天使討伐」を目指すうちに「マーキュレイ王国」に力を貸す事になった主人公クレヴァニール達が「ヴァルカニア王国」や「デュルクハイム国」などとの戦争に身を投じ、世界の危機に立ち向かっていく。成り行きから戦争に巻き込まれ、やがてその戦争の裏で暗躍する黒幕と対決する流れはシリーズ恒例の王道戦記モノである。しかし従来よりも人間同士の戦争がクローズアップされている為、作中の死者はかなり多く、悲劇性は強い。
--全編を通して多くの「死」が描かれ、元々暗い展開の少なくない本シリーズでも特に悲壮な重いストーリーとなっている。序盤から村が丸ごと消されたり、人体実験で死にゆく仲間達を目の当たりにするなど容赦の無い展開が続き、最終盤の展開も熱さより切なさが際立つ。
--物語後半までの最大の敵にして討伐対象である「天使」は「かつて世界を恐怖に陥れた」「主人公とは浅からぬ因縁がある」「実は人間の手で作り出された存在」と、『I』のゲヴェルを彷彿させる設定を持つ。
---しかし大量虐殺を平然と行う非道ぶりを見せつける一方、そこに至ったのは悲痛な過去と苦悩を経た結果であり、同情するには非があり過ぎるにしても、ゲヴェルと違ってただの悪役では終わらない悲劇性を背負ったキャラとして描かれている。

-その為、王道ファンタジー的な化け物との戦闘が主軸に置かれた熱いストーリーだった『I』と比較すると若干の好みは分かれる。しかしその分、濃厚な人間ドラマを描けており、「ノンストップドラマチックRPG」に恥じない内容に仕上がっている。
--特に序盤から中盤にかけての「マーキュレイvsヴァルカニア」「ヴァルカニアvsデュルクハイム」「デュルクハイムvsイグレジアス」の4国による三面戦争は圧巻である。
---戦争はシリーズお馴染みの展開だが、過去作では「主人公が肩入れする国」vs「その敵国」の二国間の戦争がメインで、時折別の国を巻き込んで二面戦争に発展する程度だった。対して本作は各国に様々な思惑が渦巻き、それぞれの理由を以てそれぞれの敵国と対立する。戦記モノとしての複雑さ、完成度は『VI』まで出たシリーズ全体を見ても随一である。
--ヴァルカニア王国は歴代作品の「インペリアルナイツ」ポジションにあたる「ロイヤルガード」という1人で100を相手に出来る最強の騎士を複数人所有しており、戦術面での能力は非常に高い。
--イグレジアス王国は戦争開始時点でデュルクハイム国におされ気味であるが、「死翼傭兵団」と言うその世界で悪名高い傭兵団を雇い入れて戦線を押し返している。
--デュルクハイム国は、その二国を同時に相手にして「ルードヴィッヒ准将」や「ルーミス・リヒトマン大尉」の奇策によりその戦局を打開していき、彼らの昇進していく姿なども描かれている。
---民主主義国家というシリーズでは珍しい設定を採用しており、国民から選挙で選ばれた大統領が国家元首を務めている。それだけにきな臭い政治的な思惑の応酬も描かれ、この点でもこれまでのシリーズとは一味違う話運びを楽しめる。
--そして主人公達が手を貸す事になるマーキュレイ王国は人口も国土も軍事力もこれらの国には及ばないが、ある事件を機に同盟国であったヴァルカニア王国と事を構える結果となる。そこにヴァルカニアから離反したオーディネル独立領が同盟を結び、主人公達の協力も得て迫り来る強国と戦っていく。

-これら軍略の描写に関してはシリーズで最も優れていると言われている。
--手段を選ばない「ルードヴィッヒ」と人命を尊重する「ルーミス」は同じ軍に所属しながらも対比的に描かれており、特に「ルードヴィッヒ」はその知謀とカリスマ性からシリーズ最高の悪役との呼び声が高い。
--ロイヤルガードも最期まで忠を尽くして散る者も居れば、義によって国に反旗を翻す者も居たりと、それぞれの信念、生き様が色濃く描かれる。
--また、今回の主人公は度々使い魔の能力「遠見」((主人公の未来に関係する人物の様子を夢として見る能力。しかし、実際にどう関わるのかは主人公にも使い魔にも分からない。基本、寝なければ見られないが、一部起きたまま見せられる事もある。))で離れた場所の光景を見せられるのだが、これによって目まぐるしく動く世界情勢や幾重にも絡み合う思惑を間近で体験する事になる。まるで群像劇のような展開でプレイヤーを物語にグイグイ引き込んでいく。

-エンディングも、従来は基本的に「ラスボスを倒して世界が救われるハッピーエンド」だったのに対し、本作は丸く収まりつつも切なさの漂う結末となっている。
--しかしそれだけでは終わらず、最後はしっかりとハッピーエンドを迎えて後味よく終わらせてくれる。それに伴い、過去作ではあっさり目だったキャラ毎のエンディングも相応に濃くなっており、殆どのキャラに一枚絵付きの感動的な演出が盛り込まれている((これは後にも先にも本作のみ。他シリーズでは一枚絵自体が無いか、あったとしても最後の「FIN」が表示される画面用だけである。))。
---尚、本編だけでは何故最後にハッピーエンドを迎えられたのかは一切不明であり、ファンディスク『[[グローランサーIV Return]]』で真相が明かされる。
--誰ともカップリングにならなかった場合は最後の最後まで切ないままで終わる。前作までと異なり、本作のソロエンドは実質バッドエンドなのである((一応、希望は残っていそうな結末ではあるものの、スタッフロール後の最後の一枚絵はとてもそうは思えないものであり、『Return』にてこの場合のエンディングは本当にバッドエンドだった事が明かされている。))。

''その他''
-ストーリー上の重要キャラやパーティメンバーだけでなく、サブキャラにも個性的なキャラが多い。
--『II』以降同様、複数キャラの同時攻略も可能であり、さらには攻略可能なサブキャラもいる。
--特徴で触れたが、『III』では不可能だった妖精キャラの攻略も復活。『I』のように「一定以上蹴られる」と言ったとんでもない条件も無い。しかし、人間ではない彼女達とEDを迎えるにはただイベントをこなすだけでは足りない。

-豪華声優陣
--本シリーズらしく人気声優を多数起用している。パーティキャラもサブキャラも有名声優の面々が担当している。
--特にルードヴィッヒ役を担当した山崎たくみ氏は、そのカリスマ性に違わない不敵な演技を全編を通して聴かせてくれる((山崎氏によると「エロエロとちょっといやらしめに作ってみた」らしい。しかし「悪い奴だからと言ってあまりいじめないで」…だそうな。))。
--過去作に出演していた声優も何人か続投しているが、多くは過去作キャラとは大きく異なったイメージとなっている。

-マップの構成が『I』に近いものに戻されるなど、所々に『I』を意識した作風が見られ、『I』ファンでも安心して楽しめる内容となっている。
--闘技場やGLチップス等の寄り道要素も健在である。また、本作では『I』以来久しぶりに休暇システムが復活し、より仲間たちに感情移入しやすくなっている。
---GLチップスには『I』~『IV』のキャラのシールが付いてくる。メインキャラの他、当時のイメージイラストなんてものも。
---休暇場所は領地か隣接する都のみで『I』よりはかなり減っているが、『I』は候補が多過ぎてどこで誰のイベントが起こるか分かりにい部分もあったため、同時攻略がし易くなったとも言える。
--自分の領地は人材を雇う事で発展していくのも『I』同様。『I』では休暇で遊びに行く行楽地という扱いだったが、今作では主人公の拠点として機能する。
--また、条件を満たすと『I』~『III』のキャラ(…を模したホムンクルス)と戦う事も可能。

-前二作(特に『II』)はボリューム不足が指摘される事が多かったが、本作は『I』に匹敵するボリュームを誇る。
--ちなみに『I』はCD-ROM2枚組、前二作はCD-ROM1枚、本作はDVD-ROM1枚である。

-演出の回帰と強化
--イベントスチル(一枚絵)、オープニングアニメなど、『I』にはあったのに前二作で廃されていた演出が再び採用された。
--オープニングアニメは本作の切ないシナリオを反映してか、曲も相俟ってどこか哀愁を帯びたものとなっている。
---アニメだけではなく、歌詞やキャスト名、曲名と言ったクレジットも表示され、本当のアニメ番組のような作りになっている。
---尚、サビの部分のアニメでかなり重要なシーンのネタバレをしている。これを見ただけでも本作のシナリオの切なさ、重苦しさが伝わるだろう。
--また、一部イベントにはCGムービーが用意されている。前作、前々作にも一部魔法演出にムービーはあったが、本作ではストーリーの演出にも用いられている。
--従来には無かった要素として、戦闘中は仲間達も指示に対して受け答えするようになった((『I』では妖精キャラのボイスのみ、『II』『III』では受け答え自体が無かった。))。また、好感度やステータス異常の有無、ストーリーの状況に応じて使い魔や仲間達の態度も変わる演出も用意されている。

-ロード時間が非常に短い。

**賛否両論点
-ストーリーの暗さ
--人間同士の戦争をクローズアップしたストーリーであり、上述した通りそれが重厚なドラマを描けているのは確かだが、それ故にシリーズでも屈指の悲劇性と陰鬱さを誇り、好みが分かれるのも然りである。
--従来作では悪人以外のキャラの死が不可避という事はあまり多くは無かったが、今作では敵国の主要キャラは善人悪人問わず大抵死んでしまう。味方側の死者も少なくない。続編『グローランサーIV Return』の冒頭で主人公が「''俺の周りには死しか無かった気がする''」と回顧するほど。
---特に終盤、同じ軍で過ごして親交の深いルーミスと、主人公と同じ傭兵団で家族同然だったバウアーを倒さなければならない展開は本当にやるせない((この2人はキャラ人気も高く、『Return』に彼らが主役のシナリオが収録されたり、PSP版では生存するルートが用意されたほど。))。
---ラストダンジョン前、使い魔が「世界の為に命を散らした人物」と「戦争が無ければ仲良くできた敵国の人物」の名前を挙げていくシーンは、戦争や天使との戦いで失われたものの多さを嫌と言うほど思い返させられるだろう。
--前二作の敵の辞世の句は無くなったが、ストーリー中の描写はモブに至るまで濃くなっているのでどちらにせよ虚しい。
--それだけ、戦争の無情さ、悲惨さ、愚かさの表現としては申し分無いという事でもある。
--PSP版発売時のインタビューによると、やはり従来ファンからはこのストーリーの暗さについて残念がる声もあったと言う。PSP版新ルートの実装はこういった声を受けての事でもあったようである。

**問題点
''シナリオ面''
-ルードヴィッヒが目立ちすぎる反面、本作のラスボスは影が薄い。
--作中で脚本家を自称し、「ゲームマスターは表に出てはいけない」といった発言をしているので、あくまで裏方に徹する主義なのだろうが、裏方に徹しすぎて印象が弱くなってしまった。
---設定的には諸悪の根源であり、戦乱の裏での暗躍や重要キャラの殺害など、ラスボスとしての強さを遺憾なく発揮している等、少ない出番の割にインパクトは強い半面、遊んでいる(と評価される)行動が多い。それが主人公達に対処の隙を与える結果となっており、印象の薄さと併せてラスボスとしての評価を下げている。
--最終決戦もラスボスとの決着を付けるために戦いに向かうのではなく、「別の目的で向かった先で、それを阻止するべくラスボスが待ち受けていた」という形の為、その点でも印象が弱くなってしまっている。
---主人公達にも実際に最終決戦で相対するまでは「最大の敵」「諸悪の根源」とは認識されておらず、「正体や目的は分からないが恐ろしい敵」程度にしか思われていなかった。
--『I』のラスボスは設定、強大さ、恐ろしさ、所業、存在感全てにおいて申し分無く、ラストバトルも非常に盛り上がったのに対し、『II』『III』のラスボスは所業こそ壮大だが設定も強さもいまいちラスボスらしさに欠け、ラストバトルもあまり盛り上がらなかった。対して本作は設定上のラスボスらしさに関しては十分で、ラストバトルでも『I』以来の第二形態への変身も披露してくれる。
---しかしこの通り印象が弱く、ラストバトルも敵の強大さの割に地味さが否めない。倒しても台詞が無くただ断末魔の叫びと共に消滅するだけなのでカタルシスも薄め。
---また、第二形態も「真の姿への変身を妨害された結果の不完全な姿」なので、その点もラストバトルとしては地味な印象に。
---旧作のラスボスは初攻撃時に仲間キャラ全員に専用の台詞が用意されていたのだが、今作ではルードヴィッヒ戦でこそその演出がある一方でラスボスには無い。

-戦闘メンバーが増えるのが遅い。
--主人公を含め戦闘メンバーは最終的に8人になるが、うち4人で固定されたパーティーでストーリーの多くを進む事になる。
---ゲーム開始時からほぼずっと主人公と行動を共にする仲間が1人。序盤でもう1人仲間になるがすぐに外れ、本格的に冒険が始まる頃に2人加入し、その4人でそれからかなりの期間を冒険する。
---中盤を過ぎてようやく交代メンバーが2人増え、残り2人は後半~終盤に条件を満たすと仲間になる(うち1人は序盤で外れたキャラ)。
--取得スキルがキャラ毎に固定され、且つ技能ポイントがレベルアップで平等に入っていた前作までならあまり問題は無かっただろうが、今作は魔石による自由度の高いスキル取得システムとなっている為、新規加入メンバーの初期取得スキルはどうしても自分で育てたキャラに劣ってしまうのである。
---その為、有用なスキルを1から覚えさせる手間を考えると、それまでのメンバーを使う方が便利なのが実際の所である。
---また、初期メンバーがパーティバランスも良い為、そのまま最後までクリアは十分可能。キャラの個性を度外視して単純に育成の手間だけで見れば、メンバー編成のメリットは薄い。
--一応、加入が遅い4人のうち3人はかなり早い段階からストーリーに絡む為、愛着は湧き易くはなっている。登場が遅い1人もこの中では最も早く仲間になる。

-レムスについて
--主人公の弟分である「レムス」の言動について批判が多い。
#region(エンディングでのレムスについて(ネタバレ有り))
--最後の戦いの後、主人公が消滅し人々から主人公に関しての記憶が消える事になる。そして月日が流れ戦いの記憶が消えた仲間達は何のために戦っていたのか談笑していたのだが、主人公の弟分であるレムスが「''きっと忘れてもいい事だったんですよ。''」と発言。
---主人公と一緒に過ごした時間が一番長いだけに余計に批判されやすい。確かに一緒にいた時間が長いレムスですら忘れてしまうくらい深刻な状況ではあるのだが、だとしても上記の台詞を言わせるのは行き過ぎだろう。
---またエンディングだけでなく普段の言動も(特に使い魔・天使関連で)他人への気遣いに欠けたものが多いことから暴言まとめコピペがつくられるほどであり、シリーズを代表する嫌われキャラの一人になってしまっている。
//--ただしPSP版では大幅に改善され&bold(){「綺麗なレムス」}とまで言われた。
//PSP版の方で記載。
#endregion

''システム面''
-セーブポイントの制限
--今回は宿屋か自室で記帳するか、ダンジョン内のセーブポイントを使うかしないとセーブできなくなった。
--RPGとしては普通ではないかと思うかもしれないが、『II』は戦闘中含めていつでもセーブ可能。『I』『III』はセーブポイント制だが屋外やワールドマップでは自由にセーブできた為、それに比べると不便になってしまった。
--更に本作は戦闘難易度が高い分、連戦時など初見ではゲームオーバーになりやすい箇所が多く、結果的に次回作以降も含めたシリーズ他作品と比べてセーブポイントの少なさを指摘される事が多い。

-移動の不便さ
--『I』と同様の地続きのフィールドマップ性になったが、前述のようにセーブは出来ず、『I』のテレポートのようないつでも使える瞬間移動手段もない。
---フィールドでセーブできないのは、『I』で起きていた詰み状態でもセーブできてしまった事への回避、戻れない所でセーブをしてしまう事により逃げ場がなく戦闘で詰んでしまう事の回避といった側面もあると思われる。
--『III』に続き(設定は違うが)拠点と特定の場所を繋ぐ「トランスゲート」が再び登場するが、『I』の方式に戻った事で結果的に不便さが増している。
---トランスゲートは『III』と違って早い段階から使えるようになり、特定メンバーに起動させたりする必要も無いが、設置箇所は中盤までなかなか増えない。逆に後半になると一気に増えていく。
---今回は設定的にテレポートのような都合の良い魔法は存在せず、トランスゲートもシナリオに絡んでくる((奇襲に用いるなど。また、遠出した後に戦場を突っ切って帰ると言ったシチュエーションもあるので敢えて制限していると思われる。))都合もあるので仕方ない面もあるのだが、序盤からテレポートし放題で移動がこの上無いほど快適だった『I』に慣れている人が不便に思うのも然りである。
---ただ、今回は『I』の終盤ほど大陸中を右往左往させられる訳ではないので、そこまで面倒という程でもない。

-シリーズ恒例の冒頭のキャラメイク((いくつかのイベントで取った行動により主人公の初期パラメータを決定するシステム))が存在しない。
--インタビューによると『III』まで続けてきてマンネリ感があった為らしい。しかしやはり求める声が多かったのか次回作以降は復活し、いずれも『I』並に複雑な内容になっている。
--一応、使い魔については選択肢による簡単なキャラメイクが用意されている。

-育成が進むとキャラ個性が薄くなる
--どうしても汎用的に便利なスキルはある為、キャラに寄らずそれらを多用する事になりがち。
---とはいえ、主人公以外は習得不可能なスキルもあるし、よほど効率的にスキルを覚えさせるか、途中でスキル習得用の戦闘を繰り返しでもしない限り、ラスボス戦までに全スキル習得は難しい。
---また、能力値や武器の射程、待機時間もキャラクター毎に大きく異なり、リミットという各キャラ専用の特殊技も存在するので、スキルを覚えられる限り覚えても各種能力面でキャラクター毎の個性は残っている。

-協力魔法の問題
--メンバー4人中2人が詠唱に取られる。シチュエーション的に使い辛い。一方で敵は有効活用してくると言った問題点は『III』と大体同じ。
--更に終盤になると単独で協力魔法を放つ敵が当たり前のように出現する。大型ボスはともかく、その辺の雑魚モンスターまで。
---一応、習得スキルが強力になっている頃なのでゲームバランス的には問題はないが、システム的な不公平感は拭いきれない。
--周回プレイ時には魔石を引き継げるが、協力魔法に必須の「協力」スキル習得の為の「友情の証」は引継ぎ不可能。
---入手にイベントが絡む為仕方ないとも言えるが、結果的に周回時に他のスキルに比べ習得が遅れてしまい、やはり出番が減ってしまう。
---最強魔法「ブラスト」習得の為の「マテリアルマスター」も引き継ぎ不可で、しかも入手は終盤に差し掛かる頃なのでブラストを用いた協力魔法も使う機会が限られてしまう。

''その他''
-主人公の唇が&color(purple){''紫色''}。
--主人公クレヴァニールは本シリーズの例に漏れずイケメンなのだが、何故か唇の色が紫である。OPアニメや一部のイベントCGではやたらと目立つ。「主人公はカッコイイけど唇が気持ち悪い」と言った意見もちらほらと。
--批判があった為かどうかは不明だが、OVAやPSP版のアニメムービーでは普通の色になっている。

-一部キャラの年齢の違和感。
--どう見ても老剣士で作中でも老人扱いされるのに40代半ばのヒエン。見た目が渋いおじさまなのに30代前半のミュンツァーと、設定年齢が妙に低いキャラがいる。ファンディスクのDVDで担当声優にも軽く突っ込まれたほど。
--作中で年齢について言及される事は無いので普通にプレイしている分には問題は無いのだが、意識すると少々気になってしまう。

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**総評
ストーリーは久しぶりに好評で、特に4面戦争状態の演出は評価が高く、暗めで好みが分かれる点を差し引いてもシリーズでも『I』に次ぐ人気を誇る。~
また、戦闘システムも今までのシステムを昇華させた一つの完成形とも言える形であり、難易度が高めではあるものの、理不尽ではなくやり応えのあるバランスになっている。~
『I』~『III』は個別でも遊べるとはいえ世界観が繋がっていたのが本作では一新されており、シリーズ初見のプレイヤーにも勧めやすい作品になっているのもポイント。~
シリーズを『IV』から始めても良いだろう。

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**その後の展開
-2005年3月10日には本作のファンディスク『[[グローランサーIV Return]]』が発売された。
--ジャンルはADVで、本作のエンディングにおける謎((消滅したはずの主人公が一年後に帰還した件))を解き明かすシナリオの他、後日談や本編のサイドストーリーが描かれる。後日談はなんと本編の全エンディング分が用意されている(ただし、本編のクリアデータのコンバートが必要)。
--尚、この作品にて実は『IV』の世界も『I』~『III』の世界と間接的にではあるが繋がりがあった事が明かされている((『I』『II』世界と『III』世界のように、『IV』世界もまたそれらの世界と時空を隔てた別世界であったという事。また、『I』『II』世界から『IV』世界に転移した人物が『IV』の物語にも大きな影響を与えている。))。その為、『IV』のみならず過去作(特に『III』)をプレイ済みだとより楽しめるだろう。

-ゲーム以外にもDVDのファンディスクが発売されている。タイトルは『グローランサー -新たなる伝説-』。
--DVDとしてはシリーズでは第二弾にあたり、第一弾『グローランサー -伝説の遺産-』が『I』~『III』をテーマとしていたのに対し、今回は『IV』一本に絞っている。
--ゲームでの立ち絵を用いたショートドラマが複数収録されているが、副音声でキャラの心情が覗けたり、視点を変えると声優のアフレコ現場が見られたりと色々と仕掛けが施されている。
--ちなみに『Return』付属のOVAにはこのDVDのPVが収録されている。

-2011年8月18日、『''グローランサーIV OVER RELOADED''』と題したPSP版が発売された。
--シナリオ・キャラクターなどが大量に追加されており、リメイク版と言っても過言ではない内容となっている。詳細は下記の通り。

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*グローランサーIV OVER RELOADED
【ぐろーらんさーふぉー おーばーりろーでっど】
|ジャンル|ノンストップドラマチックRPG|#amazon(B004ZWG91S)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|メディア|UMD 1枚|~|
|発売・開発元|アトラス|~|
|発売日|2011年8月18日|~|
|定価|6,279円(税込)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[グローランサーシリーズリンク>グローランサーシリーズ]]''|

**概要(OR)
1作目に続くPSPリメイク版。基本は移植だが、追加シナリオ等をひっさげて大胆にリメイクされている。~
プロデューサーの高田慎二郎氏はインタビューにて、シリーズでは『I』と『IV』が気に入っていると答えており、高いポテンシャルを秘めた『IV』に特に思い入れがある様子をうかがわせていた。~
しかし「『I』が一番面白い」と言う意見も多いのが悔しく、今回のリメイクは『IV』を「シリーズ最高傑作」と呼ばれる作品にしたいと言う願いを込めていたとの事である。~
その熱意が形になったように、シナリオ分岐の追加、新キャラの追加、EDを迎えられるキャラの増加等、全体的にボリュームアップしている。

**変更点
-シナリオ分岐が存在。
--PS2版のルートの他、新規シナリオのルート、仲間と決別し戦う事になるルートの合計三通りのルートが存在する。

-新規キャラとそれに伴うシナリオが追加された。
--使い魔は新たにD-MD型を加えた4パターンに増え、PS2版では『III』のデータが必要だったD-LM型も最初から選択可能になっている。
--パーティーメンバーは新たに3人追加されている。

#region(新パーティメンバー)
-D-MD型(CV:日笠陽子)
--感情表現に乏しく事務的な使い魔。自分は所詮ただの道具であると考える。
--モチーフは恐らく『ラングリッサーV』の「ラムダ」。「MD」なのはD-LM型と被るのを防ぐ為か、或いは元ネタの本名(''マ''リアン''デ''ール)からか。
--本作初登場の中では旧ルートでもEDが迎えられる唯一のキャラであり、そのED専用のグラフィックやイベントスチルも新規に作成されている。

-メリーヌ(CV:志村由美)
--我儘で自己中心的、しかもお嬢様風の口調に反して明け透けに物騒な事を言い放つ少女。姉のシンシアと共に魔物を率いてクレヴァニール達と対峙するが…。
--その存在が結果として旧ルートと新ルートの分岐点となるキャラであり、生死によって物語を大きく変える。

-マグナス(CV:鈴木達央)
--ヒエンの弟子である二刀流の剣豪。ロイヤルガードの面々とも親交がある。卑怯な手で自分を負かした「オッター」という男を探している。
--新キャラの中では唯一フェイトイベントが存在し、運命を変えられなかった場合は永久離脱してしまう。

-トリシア(CV:寺本來可)
--デュルクハイム軍に所属するボクっ娘魔導兵。クレヴァニールにとっては年下ながら先輩だが、実戦経験が無い所為で頼りない。
--加入が遅いため新ルートでは活躍の機会が殆ど無く、決別ルートでの運用がメインとなるキャラ。
#endregion

-新規アニメーションの追加。
--『V』以降のようにストーリーの随所にアニメムービーが挿入されるようになった。PS2版ではCGムービーや通常形式の会話で進んでいた既存の重要シーン等にも追加されている。
---CGムービーはアニメに差し変わったもの以外はそのまま。
--OP、EDの主題歌も新規のものが用意された。尚、OPアニメは作中のアニメを編集したもので、『V』『VI』と同じ形式に。
---どこか哀愁が漂うPS2版OPに比べて曲、アニメ共にヒロイックな雰囲気になっておりで、オリジナルとは違う新規ルートの展開を予感させる。作中のアニメが多めという事もあり、『VI』のOPのような素材不足感も無い。

-一部キャラの声優変更。
--パーティーメンバーや主なメインキャラは続投しているが、使い魔はD-TP型を除いて一新されている。ミュンツァーやシドニーと言ったサブキャラも変更。
---但し、全体的にPS2版に近い声質の声優が起用されている為、PS2版プレイヤーでも違和感は少ない。
--担当声優の変わっていないキャラでも一部台詞は撮り直されている。使い魔の独り言も全て新録され、追加キャラとの会話も追加された。

-GLチップスの内容変更。
--PS2版では『I』~『IV』のキャラのシールが用意されていたが、今回は本作と直近の『I』PSP版のキャラのみとなっている。%%『V』『VI』のキャラを入れても良かったのでは。%%
--それに伴い、旧作キャラと戦えるエキシビションマッチにシールが必要無くなった。

-掲示板に貼られるレオナの落書きが描き直され、若干画力が上がっている。

**評価点(OR)
-シナリオ分岐の追加
--戦争をメインに描くだけに暗めのストーリーだったPS2版と比較すると、新規ルートは熱く希望の持てる展開が多く、『I』を彷彿させるストーリーになっている。
---原作では「どう足掻いても助けられない」「本来なら判り合えるはずなのに、立場の違いから倒さなければならない」と言ったキャラが多数存在したが、今回はその多くを救う事が可能になった。それに伴い、フェイトイベントも大幅増加。
---PS2版では倒さざるを得なかった敵国の人間達が生き残り、主人公達と共にラスボスに立ち向かっていくと言う王道ながら熱い展開も。
---『I』PSP版の追加ルートはあくまで新キャラのためのルートであって本来の展開からは完全に外れていたが、本作の新ルートは本筋を拡張して分岐を追加したものであるので、元々のストーリーの延長として楽しめる。
--決別ルートでは『II』の一部ルートのように味方同士での戦いが発生し、PS2版にはなかった独特の展開を楽しめる。
---通常ルートのようなキャラ別EDが存在しない代わりに、行動や選択肢によってEDが分岐する。
---PS2版でカリスマ性を発揮していた悪役・ルードヴィッヒもこちらのルートでは味方に。最終決戦は彼と共にラスボスに挑むと言う、PS2版からは想像も出来ないようなものになっている。
---主人公が野心に目覚め、血塗られた道を歩むと言う展開すら用意されている。一部エンディングでは''実に悪人顔なクレヴァニール''を拝める。
--勿論、PS2版のルートも収録されているので、そちらをプレイしたい人も安心。

-エンディングの大幅増加
--PS2版のEDは全て収録。それに多数の新規EDが追加され、総数40以上というGLシリーズでは桁違いの量が用意されている。
---新規ルートではPS2版でEDが用意されていたキャラ全員分の新たなEDが用意され、更には新規キャラは勿論、アリシアやマギーなどPS2版ではEDが無かったサブキャラともEDが迎えられる。立ち絵がある女性キャラの殆どが攻略可能に。
---決別ルートは上記の通り、プレイヤーの行動でEDが分岐する。中にはルードヴィッヒ、ルーミス%%、デリンガー元大統領%%と言ったキャラのEDとも言えるものもあり、時には大団円とは程遠い思い掛けない結末を迎える事も。
--EDリストも用意され、達成済みのEDが管理しやすくなった。EDにもそれぞれタイトルが付けられているので分かりやすい。中には妙にコメディチックなタイトルも。
--ラスボス撃破後はルートに関係なくセーブが可能になっており、データを残しておけばお気に入りのEDを好きなだけ鑑賞できる。

-新キャラがほぼ自然にストーリーに溶け込んでいる。
--普通であれば、既に一つの物語として成立しているシナリオに新キャラクターを追加すると、どうしても違和感を生じさせてしまうものだが、本作の場合は新規プレイヤーは勿論、PS2版経験者でも違和感をあまり感じない作りになっている。
--ストーリー中もほどよく存在感を示しており、空気化する事も悪目立ちする事も無い。
---トリシアはデュルクハイム関連のドラマ性の更なる強化に、メリーヌとシンシアの姉妹は後述の通りラスボスの存在感を高める事に貢献している。パメラは序盤は多少違和感はあるものの、中盤からは自然にストーリーに関わってくる。
---唯一の新男性キャラであるマグナスもヒエンやカーギルとの因縁などのシリアス要素は勿論、もみあげがトレードマーク、スイーツが好物、''女装イベントがある''、などと妙に濃いキャラになっており、存在感は強い。

-多くの既存キャラもストーリー中の出番が増え、より深い掘り下げが成されている。
--上記のようにPS2版では必ず死ぬキャラを助けられたり、新規シナリオにも深く絡んできたりと描写が更に濃くなっており、新キャラに喰われる事なく存在感をしっかり発揮している。
---一部は新規キャラ関連の設定が追加されている者もいるが、いずれも整合性が取れており、矛盾や違和感は殆ど無い。
---ある敵はPS2版では途中でフェードアウトし、決着は『Return』までお預けになったが、本作では本編中に倒す事が可能になった。
--クレヴァニールも「世界を守る為に命を削って戦う」と言った『I』のカーマインを彷彿させる姿や、1人だけで戦うミッション、アニメムービーでの描写などの主人公らしい見せ場が大幅に増えており、存在感を更に強めている。
---特にラストバトルでの活躍ぶりは歴代主人公でもトップクラスであり、グローランサー(光の救世主)の名に相応しいヒーローとしての姿が描かれる。
---勿論本編では台詞は無いが、アニメムービー内では「くっ!」などと僅かに声を発するシーンがある((OVAでは高橋直純氏がクレヴァニール役を担当していたが、本作ではクレジット表記は無く不明。))。
---追加選択肢もどこかコミカルなものが少なくなく、時には『Return』で見せた茶目っ気を想起させる事も。%%同社の[[別シリーズ>女神転生シリーズ#id_c8e64bff]]の雰囲気にも近付いたような…。%%
---クレヴァニールの兄・ブリュンティールもストーリー途中で死亡する結末こそ変わらないが、新ルートでは大きな役割を果たし、更にはラストバトル後に…。
--PS2版では影の薄さを指摘されていたラスボスだが、新規ルートではイベントや関連キャラの追加によってラスボスらしさが大幅に増した。
---ストーリーの途中から悪の親玉としての姿もはっきり描かれるようになり、最終盤では自ら世界を危機に陥れるという実にラスボスらしい行動に出てくれる。
---上述した通り、PS2版ではラストダンジョンにもラスボスを倒しに行く訳ではなかったので印象を薄めていたが、新規ルート及び決別ルートではラストダンジョン、ラスボスはそのままに、最後はしっかり決着を付ける為に赴く展開になっている。
---PS2版では真の姿への変身を阻止し、不完全な姿である第二形態を倒して終了だったが、新規ルートでは真の姿である第三形態が登場し、ラスボスとしての風格は十分過ぎるものになった。
---『I』ではPSP版で新規ルートが追加された際、オリジナルのラスボスが新ラスボスにあっさり取って代わられる展開になっていたが、本作ではオリジナルのラスボスであるこの人物が''全てのルートでラスボスの座を守り通している''。ラスボスとしても面目躍如を果たしたと言えるだろう。
--他にも死翼傭兵団団長、ディライン、マウラー大尉などの脇役すらも出番が増えている。残念ながら、立ち絵の無いキャラへの新規立ち絵追加は無いが…。%%『I』PSP版もチョイ役に追加されただけだったし%%
--レムス関連のイベントが改善されている。特にエンディングでの問題発言は全く逆の台詞に変更されており、ファンには「''綺麗なレムス''」とまで称された。

-このように本作は新旧のバランスが絶妙で、追加シナリオやリメイクでありがちな「新キャラが悪目立ちして原典のストーリーをぶち壊しにする」事も逆に「元の展開に忠実過ぎて新要素が異物感しか生まない」事もほぼ皆無で、両者が上手く融合されている。
--(『I』PSP版含む)アトラス作品のシナリオやキャラを追加したリメイクや完全版では、新キャラばかり持ち上げられたりオリジナルの展開が蔑ろにされる例も散見されるが、本作の新規ルートはお手本と言って良いほどに調和の取れた新要素となっている。

-アニメムービーの追加自体も然る事ながら、生死が分かれるキャラが出る場合は、その有無による差分がしっかり作られている。
--それも該当キャラが複数いた場合は、有り得る組み合わせのアニメがそれぞれ収録されている。映さないようにするなどの不自然な誤魔化しは無い。
--使い魔関連でも、誕生時と新ルートのエンディングにアニメがあるのだが、こちらも4体分が全て個別で用意されている。

**賛否両論点(OR)
-シナリオ分岐が遅い。
--でかでかとシナリオ分岐や仲間との戦いを宣伝し、パッケージにも「オリジナルの展開を覆す複数の新規ストーリー」と書いてある割には共通ルートが長い。
--確かに「オリジナルの展開を覆す」は間違いではないし、共通ルートにも新規イベントは多いが、実際にシナリオが分岐するのは物語後半も過ぎる頃である。
--決別ルートへの分岐は更に遅く、しかもこちらは2周目以降でなければ選択できない。

**問題点(OR)
-使い魔が4体に増えたが、選択可能な名前は3種類のままで、新規の使い魔に当たる名前が存在しない。
--その為、4周して4体全員を選択すると必ず名前が被ってしまう。

-会話前に読み込みが発生すると口パクだけを見せられる。
--UMDによる読み込みの都合で、インストールしてもそこそこの頻度で発生する。

-仕方のない事だが、年月の経過によって声優の声質が若干変化している部分も。特にレオナは既存と新規の差が激しい((2003年と2011年の時期では担当声優の釘宮女史の声質は大きくは変わっていないはずなのだが、今作のレオナはオリジナルに比べて妙に高い声になっている。))。
--上記の通り、オリジナルの台詞も一部新録されているのだが、演技のし方が変わっているケースもあり、新規プレイヤーは問題無くともPS2版をやり込んだ人には違和感を覚える部分も。
---例えばD-TP型の独り言は、PS2版では怒り気味に言っていた台詞がPSP版では優しく諭すような言い方に変わるなど、PS2版に比べるとかなり落ち着いた演技になっている。

-新規追加の戦闘メンバーの加入も遅い。
--オリジナルでもメンバーが増えるのが遅い問題があったが、追加された3人も全員序盤から登場する割には加入が遅い。
---早いキャラでも後半に差し掛かった頃、遅いキャラはラストダンジョン直前という遅さ。御蔭でそのキャラだけ休暇イベントが無い。
---ただしその一番加入の遅いキャラは決別ルートでも仲間になるので、2周目以降にこちらへ行けば活躍の機会は増える。
--また、その3人全員を使えるのは新規ルートのみで、他のルートでは死亡したり離脱するケースがあり、全員は揃わない。PS2版準拠ルートに至ってはオリジナルに忠実な為、誰も仲間にならない。
---『I』PSP版の新キャラは元のストーリーに関係無く、新規ルートがそれら専用の展開だという都合もあったが、今作の新キャラは元のストーリーにもがっつり絡んでいるため、仲間になったとしてもそこまで不自然ではない。

-さほど気にならない程度だが、画面表示の都合上キャラのドットが少し粗くなっている。

-ごく一部だが、新規イベントにおいてキャラのブレやミスがある。
--フレーネは基本的に他人をさん付けで呼ぶのだが、新規イベントでは主人公を呼び捨てにしているシーンが多く存在する。
---二人の関係を考えれば、途中から呼び捨てに変わってもさほど不思議はないが、原作では常にさん付けだった上に新規イベントでも呼び捨てにするシーンとしないシーンが混同しており、不自然さが生じている。
--また、新規イベントには一部原作の設定を間違えている部分も。例えば大佐まで昇進したルーミスを「大尉」を呼んでいるシーンがある。しかも一ヶ所だけではなく、その場でルーミスについて発言するフレーネとトリシアが二人とも間違えている。
---デュルクハイムを離れて久しいフレーネはともかく、直前までデュルクハイム軍にいたトリシアが昇進を知らないはずがないので、シナリオ追加時のミスだろう。
--フレーネ初登場時の天使襲撃イベントはアニメ化されて豪華になっているのだが、この後の台詞との不整合が出来てしまっている。
---アニメの中では女の天使の姿が描かれているのだが、このイベントの後、基地に戻ってからレムスに話しかけた際の「遺跡を破壊した天使は''男''のようでしたね」という台詞がそのままになっている。PS2版では天使の姿が映らないため男女どちらが襲撃したのかは分からず、問題は無かったのだが…。任意で話しかけないと聞けない台詞なので見逃したのだろうか。
---また、この時点のクレヴァニールは「女の天使が近付くと意識を失う」状態にある。しかしこのイベントでそのような事は無いので、アニメで女の天使を描写してしまった事でやや矛盾が生じてしまっている。

-『II』も分岐のイベントはかなり強引な流れだったが、今作の決別ルートへ分岐する展開もやや不自然。
--相手側からの条件を呑んでそちらの勢力に移る訳だが、その条件というのがわざわざ悩むような美味しい条件とは言えない。実際、通常であれば条件を呑む選択肢は選べない。
---しかし仲間達は「どちらが良いとは言えない難しい選択」と悩んでしまうので、プレイヤーからすると少々頭に「?」が浮かぶ展開になっている。
--二周目からは相手側からの手紙を受け取る事でその選択肢が選べるようになるが、その手紙も主人公の気持ちが一気に傾くような内容とは言い難い。主人公に野心があるという流れならともかく、そうでないならあっさり流されたようにも見える。
--どちらにせよ決断を下した後は使い魔が「屋敷に戻って皆さんにお伝えしないといけませんね」と言うが、決別ルートに進んだ時以外では「皆さんにお伝えする」イベントは無く、普通に自室で休むとストーリーが進むだけ。あれだけ皆で悩んだのに事後は何も無く、違和感が否めない。

-PS2版準拠ルートの扱い。
--PS2版準拠ルートは本当にオリジナルに忠実であり、整合性を取る為の台詞などの必要最低限のイベントしか追加されていない。設定的に蔑ろにされている訳ではないのだが、新規ルートに比べるとどこか作り込みが中途半端な印象を受ける。
--本作でイベントやEDが追加されたキャラも、こちらのルートに入った途端に追加イベントはほぼ全て消滅する為、それまでのイベント達成状況はほぼ無意味になる。
---EDが追加されたマギー、アリシア、シルヴァネールにはPS2版準拠ルート版EDは無く、分岐前に救出可能なミュンツァーを救出しても以後は一切登場しない。救出イベントが分岐後に追加されたアルフォンスは、こちらのルートでは手段があるにもかかわらず助けられない。
--PSP版追加キャラ5人については、1人は分岐の際に生死が分かれ、もう1人は設定上描写が不可欠な為か結末が描かれる。しかし残り3人に関しては分岐後はそのままフェードアウトし、最初からいなかったかの如く触れられないまま終わってしまう。
---確かにPS2版では影も形も無かったキャラ達だが、PSP版では序盤からがっつり本筋に関わっている為、いくらPS2版準拠の展開に進んだからと言って何の描写も説明も無く消えるのは流石に違和感がある。
---中でも1人はラスボス配下なので、ラストバトルに至っても一切姿を見せないのは流石におかしい。
--その一方でこちらのルートでも決別ルートへの分岐イベントは入る。
---しかしこの際の相手側からの申し出とは新規ルートの展開だからこそ意味があるものであり、PS2版準拠ルートで提案されても仕方ない話なのである((デュルクハイム側に渡ってすぐに召喚師を処刑するという非情な段取りなら意味は無くも無いが…。しかし大統領であるルードヴィッヒ自身も召喚師である為、それが通る事は無いだろう。))。
---にもかかわらず、仲間達は新規ルート同様に大真面目に悩み、決断を委ねてくる。しかし当然ながらこの場合は申し出を受けて決別ルートに移る事はできない。何の為に挿入したのだろうか。

-その他
--贅沢な望みだが、PS2版のオープニングアニメは未収録。主題歌もOP、ED共に同様。
//---例えばPS2からPS Vitaへの移植だが、本作の翌年に出た同社の『[[ペルソナ4 ザ・ゴールデン>ペルソナ4#id_12a007d8]]』は旧OPも鑑賞可能だった。出来れば本作も欲しかった所。
//VITAだから出来た事だから比較にならない
--セーブの際にPS2版では使い魔の音声が入る演出があったが、PSPの仕様ではセーブ方式が固定なので無くなっている。仕方ない話だが、PS2版に慣れていた人は少し寂しいかも。

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**総評(OR)
主にシナリオ面でボリュームアップし、元々がシリーズ内でも長い方だったシナリオが更に増量された、正に『OVER RELOADED』な内容である。~
レムス等の一部不評だった箇所のシナリオが修正された他、新規ルートはPS2版の人を選ぶ要因だった「暗さ」を解消した大団円のルートとなっている。~
また、仲間と袂を分かつシナリオもシナリオの方向性ががらっと変わるため、なかなか面白いルートになっている。~
元々シリーズでは評価が高い方だったシナリオが大幅に拡張されているので、高田氏が目指した通り、人によっては『I』を超えるシリーズ最高傑作にも成り得るだろう。~
~
今GL4をプレイするならシナリオの追加されたPSP版をお勧めする。~
ただし、『グローランサーIV Return』に繋がるシナリオはPS2版のルートのみであるため、新規追加ルートが気に入った上でプレイする場合には、繋がりに少々困るかもしれない。~
また、『Return』で後日談を見るにはPS2版のクリアデータが必要という点も注意。
----
**余談(OR)
-本作の発表当初のタイトルは『グローランサーIV OVER LOAD(オーバーロード)』だった。
--しかし新規要素を盛り込んだ新生作であるという想いや気合いが伝わらないと判断された為、『OVER RELOADED』へと変更されたと言う。