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ドラグナーズアリア ~竜が眠るまで~ - (2021/07/20 (火) 18:34:43) のソース

*ドラグナーズアリア ~竜が眠るまで~
【どらぐなーずありあ りゅうがねむるまで】
|ジャンル|ロールプレイングゲーム|CENTER:&image(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51G2K5IvrFL.jpg,https://www.amazon.co.jp/dp/B000QHUJUS,height=160)|CENTER:&image(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51iHdrjIiFL.jpg,https://www.amazon.co.jp/dp/B001RCU2B2,height=160)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|~|
|メディア|UMD|~|~|
|発売元|日本一ソフトウェア|~|~|
|開発元|ヒットメーカー&br;NIS America|~|~|
|発売日|2007年8月23日|~|~|
|定価|5,040円(税込)|~|~|
|プレイ人数|1人|~|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|~|
|廉価版(税込)|PSP the Best&br;パッケージ版:2009年3月26日/2,940円&br;ダウンロード版:2009年11月19日/2,200円|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|~|
|ポイント|&color(blue){''2007年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点''}&br;薄すぎるシナリオ&br;理不尽な戦闘バランス|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[クソゲーオブザイヤー関連作品一覧>KOTYゲーム一覧]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
3社の共同開発プロジェクトから生まれたファンタジーRPG。竜と竜騎士との戦いをメインテーマにし、フル3Dで描かれる。&br;韓国の有名オンラインゲーム『リネージュII』のイラストを手掛けたジョン・ジュノをイラストレーターに起用、北米版が2007年8月21日に発売された。
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**評価点
声優陣の熱演のおかげで、イベントシーンは聴き応えがある。~
だが、下記の通り棒読みの所もあるので…。
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**問題点
***シナリオ
-シナリオの薄っぺらさが半端ない。ほとんどないといっても過言ではないくらい。 
--「助けられたからお礼にお手伝いします」と仲間になるヒロインの正体が説明書でバレバレ。王道と言うべきなのだろうか……。
--ドラゴンをテーマにした作品である筈だが、ドラゴン達は揃いも揃って出オチ。サンダードラゴンだけは(一応ウォーターも)見せ場もそれなりにあるが……。少なくとも竜が好きだからと手を出すと肩透かしを食らう。
---「彼はまだ知らない、竜の悲しき運命を……」まさかそういう意味での悲しさだとは夢にも思わない。
---全員キャラは立っている(威厳あるファイア、優しい女性のウインド、気さくな若者風のサンダー等)のだが、外見は色以外一緒。特に始めてウインドの聖女風ボイスが聞こえてきた時の違和感は半端ではない。
--何故か無駄にひらがなの文章が多い(「ほねおりぞんのくたびれもうけ」が全てひらがななど)ので、人によっては違和感を覚える。英語との兼ね合いだろうか。

***戦闘
- 戦闘のテンポが全体的にもっさりしている上、マナ(通常攻撃以外の攻撃に必要なもの)の効率の悪さが余計にテンポの悪さに拍車をかけている。
--味方からの攻撃はまだマシなのだが、敵の場合は攻撃の動作→ワンテンポ遅れて対象キャラにズーム→ワンテンポ遅れてダメージモーションという有り様。さらに一つ一つの動作も遅い。全体攻撃でもされたら冗談抜きに数十秒かかる。そして演出は地味。
--ガードは攻撃される度にルーレットが回り、正しい位置で止めた個数により軽減率が決まる(失敗すればリセットされるが、制限時間中は何回でもやり直せる)。マナも溜まるのでそれ自体は非常に優秀なのだが、テンポの悪さに貢献しているのは言うまでもない。全員ガード+全体攻撃など喰らった日には1回につき1分を軽く超す。そもそもRPGでガードする度にミニゲームが挿入されるのはいかがなものか。
--マナについて具体的に言うと、普通の攻撃やガードをすればマナが溜まるのだが、明らかに戦闘で消費するマナのほうが多い(攻撃で50溜まるのに対して魔法攻撃や回復で100減らされる)。
--仲間の一人はマナを大量に集められるスキルを持っているが、そのスキルを発動させるのにもマナがいる。
---だが、そのキャラが倒されたらどうしようもならない。 
--それぐらい重要かつ面倒くさいものなのに、このマナは全員の共有物なので、全員が通常攻撃以外のことをしてしまうとあっというまに無くなってしまう。溜めれる量も1000が限界。
-フィールドの移動速度まで遅いのでかなりイライラする。
--高速移動もできるがそれにもマナがいる。 

***敵の強さ
-このゲームのプレイヤーの大半が「[[街を出て2、3回目の戦闘でいきなり強い敵に遭遇し、逃げるを選んでも逃げ切れずに全滅>星をみるひと]]」という経験をすることになる。
--敵のパーティー構成やレベル差は確認出来る(強い敵は名前が赤く、弱い敵は青く表示。差が大きいほど色が濃くなる)のだが、まさか最序盤でさっき楽勝で倒せた敵の色違いになすすべもなくやられる羽目になるとは思わないだろう。
---そもそもいくらレベル差を確認したところで、新しいマップではどの敵を見ても真っ赤。
--画面が切り替わる前と後での敵の強さが極端に違う。しかし最序盤は能力値の上がり方も極端に大きいので、''「強すぎてまともに戦えず、逃げることもできず全滅した」モンスターが「レベルをたったの1上げただけで互角に戦える」というバランス''になっている。
--最序盤さえ乗り切ればシステムや装備の充実などで大分改善されるのだが、プレイヤーからすれば「レベル上げを強要されている」と感じてしまいやすい。
-中盤からはパーティー以上に''敵の強さがインフレしていく''。
--経験値に露骨なまでのレベル差補正がかかり、自分より強い敵を倒せばすぐさまレベルが上がる。その代わりに必要経験値はどのレベルでも変わらない(「スパロボ」や「ファイアーエムブレム」シリーズと似たようなシステム)のだが、言い換えれば次のフィールドに行かなければレベル上げに限界が出てくる。これが示すのは、&bold(){これ以上強いザコが出ない最終ダンジョンのザコに補正が適用されてしまうレベルになると、以降のレベル上げが一気に苦行と化す}ということだ。後述のボス戦闘についての一節と合わせればとたんに最終面へ進むのが億劫になるだろう。筆者もラスボス手前でこのゲームを投げ出した。
-途中から敵の強さがいきなり理不尽なレベルになり、雑魚戦でも下手したら10分や20分はかかる。
--凶悪な性能の攻撃が多い上、ザコによっては複数体出る分、単体でしか出ないボスよりも強かったりする。
--しかもHPがやたら多いので、集中攻撃しても1ターンに1体も倒せないのがほとんどである。
---戦闘時間に関しては、演出のもっさり具合とマナ溜めの作業が原因の大部分である。マナをどうせ消耗品と考えて惜しみなく使ってやれば効率も上がってくる……が、マナが無い時にボスに奇襲されると悲惨。
---そしてやはり何回か倒してレベルが上がるとあっさり勝てるようになってくる。
-当然ボスの強さも同じなのだが、何の前触れもなくいきなり現れる分ますますタチが悪い。
--中盤にもなれば、全体大ダメージ+状態異常を全てのボスが完備していると考えていい。回復役のヒロインかマナブースト役が動けなくなると立て直しは非常に苦しくなる。そしてボスはザコと比にならないぐらいタフ。
---技の使用は基本的にランダムであるらしく、大技を連発してくる事もザラ。特に瀕死になると狂ったように技を乱射してくる。ラスボスの大技は全員瀕死、女性陣は悪くすれば即死するほどの威力なので、マナを注ぎ込んで立て直したと思ったらまた壊滅したりする。2回ならまだ立て直せなくもないが、3連発されたら諦めたほうが早い。
---難易度が高く歯ごたえがあると言えば聞こえはいいのだが、全体的に理不尽さを感じる方向での難しさ。こちらは攻撃か回復程度しかやれる事は無いので戦略の練りようも殆どない。レベル差補正の為にレベル上げでゴリ押す事も出来ず、大技が何発来るかで勝敗が決まる運ゲー要素も強い。
---もちろんマナの使い方などをしっかり考えれば勝率は上がるが、どうしようもない時は本当にどうしようもない。
---パーティーの行動順は好きなように設定出来るが、大抵の場合はマナブースト→通常攻撃役→残る二人で攻撃や回復という流れでマナを溜めた後、ドラゴンスキル(マナを消費して出せる強力な攻撃)による連携(同じ敵にドラゴンスキルを使った時、属性の順番に応じて追加攻撃が発生)を狙うというパターンになる。一応、これ自体は評価出来るシステムであろう。その他のバランスがおかしいだけで。

***魔法の扱い
-魔法が弱すぎる。使えるのはヒール(HP回復)とリザレクション(蘇生)くらいである。
--前述のマナを消費する、威力弱い、演出は地味なのに詠唱とかで無駄に長いの三重苦。各キャラで基本詠唱が違うなど、そういう部分では凝っているが……。攻撃魔法を使うならばドラゴンスキルを使ったほうが数倍強い……どころか通常攻撃の方が強い。どう見ても魔法キャラのヒロインや四人目であっても。
---魔法にはレベルがあり、レベルが上がると使用時に何レベルの魔法を使うか選べる。が、レベル×100のマナを消費する割に威力の上昇率が小さすぎる。そしてドラゴンスキルはレベル上昇で威力だけが上がり消費は100固定。
---しかし、特定の魔法のレベルを上げないと開かない宝箱があるので、欲しければ適度に使っていかなければならない。
--なお、[[フィールド上では魔法が使用できない>摩訶摩訶]]。

***演出面
-戦闘に関するイベントシーンでは戦う者の動きが小さく、とにかく遅いため迫力に欠ける。効果音も乏しい。
--「竜の背中を突き刺し、飛び降りてくる」一連の動作が 無音 。
--「無数の剣が突き刺さる」一連の(ry
--何故か英語音声も収録されているが、棒読み。
---例:戦闘開始時の掛け声
---主人公:日本語「どんな相手でも、全力でぶつかるだけさ!!」 英語「ought you my best!!」
---ヒロイン:日本語「よおし、いくわよ!!」 英語「ought you my best!!」
--同じじゃね?と突っ込んではいけない。一応戦闘終了後のボイスは各キャラで異なる(この記事を書いている人間は最序盤でゲームを投げ出したため、他のキャラの戦闘開始時の掛け声は未確認)。
-ラスボスの行動があまりにも唐突。それまで高潔で優れた人格者だったのに、とある事実を聞かされた途端に闇堕ちして誰の話も聞かない困った人になる。
--今までの自分に誇りを持っていただけに絶望するのも分からなくはないが、同じ境遇の主人公は別に今まで通り。そもそも主人公にまで急に決別を告げる辺り、完全に自分の殻に閉じ籠ってしまっている。その事実を忌避するあまり、自分からそういう存在になっていくという本末転倒っぷり。
---設定的に、絶望した段階で既に乗っ取られていた可能性はあるが……直前まで普通に会話出来ていたので突然すぎる。
---そしてエンディングであっさり和解。直前に(半ば洗脳状態だったとは言え)色々とやらかしてしまっているのだが。一応本人も悔いてはいるようだが……。
--なお、さんざん持ち上げられてきた闇の竜は、それ自体とは通信プレイでないと戦えない。
-それらを乗り越えて辿り着くエンディングはあっさりという次元ではなく薄い。ラスボスとパーティーが少し会話して、何か納得して終わり。後日談など無い。
--主題歌「扉をひらいて」はスタッフロールでしか流れないが、この有り様で何人聞く事が出来たかは謎。

***その他
-街が無駄に広い割には人通りが少ない。
--無駄に街の造りを凝ったが、街の広さの分だけ話し掛けられるNPCを用意するのが面倒だったのだろう。
-合成システムがあるが、素材の入手がイベント限定のものが多く恐ろしく面倒。調べずに自力で活用するのは非常に難しい。そもそも通信が無いとまともに合成出来るアイテムのほうが少ない。
-通信プレイで協力してミッションに挑める。が、このソフトを持っていてなおかつ投げなかった友人が周りにどれだけいる事だろうか。そしてお約束の、通信が無いと手に入らないアイテムの山。

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**総評
シンプルに言ってしまえば、80年台後半~90年台の評判が芳しくないタイプのJRPGレベル。~
シナリオの展開が中途半端で腰を折られる上に意外性もなく陳腐なもので、オチも打ち切り漫画レベルの無さ。~
そんな薄っぺらさをカバーするかのように、一方的に強くなる敵、理不尽に強いボスなど時間がかかる戦闘がクソゲー化に拍車をかける。~
評価点がBGM、グラフィック、声優はちゃんと起用しているという点もまたレトロゲーっぽさを醸し出しているだろう。

//-そんな作品を2007年に発売した日本一ソフトウェア、ヒットメーカーの実力の無さが垣間見える一本となった。
//-このゲームをプレイしたことがある人ならば、そりゃあラストリベリオンみたいなゲームを製造しちゃうわ、と思ったことだろう。
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**余談
本作を手がけた日本一ソフトウェアとヒットメーカーのコンビは、後にKOTY2010大賞作となる『[[ラストリベリオン]]』を発売することになる。