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トランスフォーマー コンボイの謎 - (2023/12/31 (日) 08:02:55) のソース

*トランスフォーマー コンボイの謎 
【とらんすふぉーまー こんぼいのなぞ】
|ジャンル|アクション|&amazon(B000068GYP,image=https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/2618/809/konbo1.jpg,width=160)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|メディア|512KbitROMカートリッジ|~|
|発売元|タカラ|~|
|開発元|開発:トーセ&br;制作:イスコ|~|
|発売日|1986年12月3日|~|
|価格|4,900円(税抜)|~|
|配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2008年6月10日/500Wiiポイント|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|~|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|&bold(){『コンボイのマゾ』}と揶揄される凶悪な難易度&br;ミクロの決死弾&br;「コンボイが死んだ!」キャンペーン&br;マグナス伝説の始まり&br;ウルトラマグナスNo.2&br;白コンボイ&br;''「61万人を不幸にしたってことじゃねえか!」''|~|
|>|>|CENTER:''[[トランスフォーマーゲームリンク>トランスフォーマーシリーズ]]''|
//開発元のソースぽいもの→twitter.com/#!/adimatic/status/13531281282
//またアドバンスコミュニケーションは元トーセスタッフが立ち上げたメーカーらしい…
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#contents(fromhere)
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#center(){{
 &big(){''コンボイが死んだ!''}
 }}
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**概要
玩具・アニメともに大ヒットを記録した『戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー』をゲーム化した作品。~
映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』やアニメ第2作『戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー2010』の主役級キャラの1人ウルトラマグナスを操作する。~
その異常な難易度と「謎」だらけの内容から、タカラ(現・タカラトミー)のファミコン参入第1作目にして今もゲーマー達の間で語り継がれる''クソゲーの一等星''となった。

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**ストーリー
 今や地球は、その豊かな資源を狙い征服を企む悪の軍団、「デストロン」により、絶体絶命のピンチに立たされていた。
 地球を愛し平和を守るため「サイバトロン」は「デストロン」に闘いを挑んだ。
 しかしその闘いのなかで、「サイバトロン」総司令官コンボイは傷つき倒れた。
 瀕死の「サイバトロン」総司令官コンボイは、スクランブルシティーの総指揮にシティーコマンダー、ウルトラマグナスを任命し、
 コンボイの体内に収納されていた「マトリックス」を手渡した。
 ウルトラマグナスは総司令官コンボイの命を受け、地球の平和を取り戻すため敢然と「デストロン」に闘いを挑んでいった。
 (説明書より)

要するに、映画「トランスフォーマー ザ・ムービー」でコンボイが死んでウルトラマグナスがマトリックスを受け継ぐという説明。

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**問題点
''あまりにも理不尽過ぎる難易度''
-''本作をクソゲーたらしめている最大の原因。''~
主人公のウルトラマグナスは''敵兵や敵弾に触れただけで爆発(ミス)する''((特定の敵を倒すとバリアのアイテムを入手して攻撃を3回だけ耐えられるようになるが、猛攻の中で取るのは難しいうえにこの程度の防御力では焼け石に水である。))うえに、ステージ中の敵の攻撃が激しく、とにかく死にやすい。
--それでいて、ザコ敵は小さくこちらの攻撃を当て辛い。''ステージ1のスタート地点''に現れるジェットロンが顕著で、飛行機形態時は当たり判定が縦方向に数ドットしかないうえに、逆放物線を描いて攻撃しながら突っ込んでくる。弾を1発当てると人型に変形するのだが、その際の身長がマグナスの銃口よりも微妙に低く、''地上に居るとこちらの弾がちょうど当たらない''。こんな敵を、ゲーム開始直後に2体同時に相手にすることになる。
---ただし、倒そうとするのではなく無視して避けていくという思考に切り替えれば、それほど難しくはない。
--さらに凶悪なのが、敵弾も''白の2×2ドット''と小さく、背景に紛れて見えにくいことである。
//---このゲームが発売された当時は14~21インチの小型のブラウン管テレビが多く、また当然アナログ。いま以上にドットは小さく見づらかった。
//にじみがあるほうが弾が大きく見えて視認しやすかった
--このため、初見のプレイヤーのほとんどが、ステージ1のスタート地点でジェットロンに衝突したり知らない内に敵弾に当たり続けたりして、''何もしていないうちに1ミスになる''ことが多く、レビューなどで''「なぜミスになったのかが分からなかった」''と言われやすい。
---「トランスフォーマー」だけあって、ビークルモード(車両形態)に変形する((ロボットモードの時に十字ボタンの下を押すとビークルモードに、ビークルモードの時に上を押すとロボットモードに変形する。ちなみに、一瞬ちょこんと上や下キーを押すだけではダメで、少しの間上や下キーを押し続ける必要がある))とジェットロンの攻撃は当たり難くなり、ジャンプが出来なくなる代わりに前方ショット(Aボタン、放物落下弾道で飛ぶので当てるのにコツが要る)と真上ショット(ロボット時のショットと同じでPを取っていると少し角度を変えた方を加えた二方向にショットできる)で攻撃できるようになり、それぞれの形態を使い分ける事がゲームの基本である。ゲームが進むと「メカ生命体クラック」(空中を漂う茶色いエビのような敵)などビークルモードでもこちらを正確に狙ってくる敵が多く出てくるので油断はできないが。
---とにかく、ゲームが始まったらまずは十字ボタン下を押して、ビークルモードに変形しよう。そうすれば開始直後にミスする事はなくなる。

-ステージ9はいわゆるループ面になっている。
--3つのルートから正しいものを選ぶ分岐が''6連続''で続くのだが、正しい道を判別するヒントが一切ないため、初見では&color(red){''729通り''}ものルートを総当たりすることになる。攻略本なしで突破した人間はおそらくほとんど存在しないだろう。
---例えば有名な「難しいループ」だった『[[スーパーマリオブラザーズ]]』の7-4後半でも、ルートこそ162通りあったものの、正否判定に関係ない道が多く、あまりメモを取らないプレイヤーが適当にプレイしても正解率1/12で突破できる程度の難しさに抑えられていた。

''ステージは難しいのにボスは弱過ぎる''
-ステージの理不尽な難易度に対して、ボスは''話にならないほど弱い''。
--ステージ1:本作オリジナルの「機械惑星デビルスター」((説明書無しで裸カセットを買ったりエミュでプレイするレビュアーが、ユニクロンと誤解してることがままある。))。''定位置から小型機を発射してくる''だけのボスで、適当に連射しながらジャンプしていれば勝てる。
---逆に、アクションが苦手な人間にとっては、微妙な高さに攻撃を当てなければならないのがなかなか難しい。そのため真下に行こうとしてやられるケースも多い。
--ステージ2:ダブルデビルスター''(デビルスター×2)''。
--ステージ3:なぜか''デストロンのエンブレムマーク''。こちらは上下にフワフワ移動しながら弾を撃ってくる。ステージ6と8にも出てくる。
--ステージ4:''デストロンボート((原作『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』では地球に来る際にデストロン軍団が乗り組んでいた宇宙船で地球で破壊された物))''。
--と、ここまでまともなデストロン兵がまったく登場していないのだが、ステージ5以降は原作に登場した合体戦士メナゾール(ステージ5)・合体戦士ブルーティカス(ステージ7)・メガトロン(ステージ9)・ダイナザウラー(ステージ10)がボスとして立ちはだかる。ただし、''攻撃パターンはエンブレムと同じで弱点も全員同じ''。倒すのはただの作業である。
--ちなみに、ステージ3以降は3つのリフトに乗って戦うが、実はこのリフト、''マグナスの弾で破壊できてしまう''。一番遠いところから撃ち続けているとリフトを破壊してしまい、ボスに弾が届かなくなるのでご注意を。

''その他残念な要素''
-全10ステージ構成だが、''ステージ3と6の構造がまったく同じ、ステージ8と10の構造もまったく同じ''で、それぞれ昇るか降りるかの違いしか無い。
--これはステージ3・6と8・10はそれぞれ『戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー』(1985年)と『ザ・ムービー』(2005年)、『2010』(2010年)の時代を行き来するタイムトンネルだという設定があるためで、昇り降りが時間の移動に対応している。ステージ3・6・8のボスが同じなのも同じタイムトンネルだからだと考えられるが、その設定を''知っているか否かにもかかわらず手抜きに見えてしまう''。

-エンディングには、ローマ字が使われており妙にかっこ悪い。
--ちなみにコンボイの名前が間違っている。「CO''M''VOY」となっているが、コンボイは「CO''『N』''VOY」である(パッケージの英題も「MYSTERY OF CO''M''VOY」となっている)。

-条件を満たしてクリアするとエンディングが変化し、自機がロディマスコンボイに変更されるが、''横向きのドットがウルトラマグナスの色違いという手抜き''。変形後の姿はさすがに違う…と思いきや、''変形途中の姿も実はウルトラマグナスの色替え''である。なおキャラ性能は全く変わらない。

-''ステージ中のBGMが1曲しかない上、すぐにループする。''
--ボス戦、無敵(タイトルのアレンジ)、ボーナスステージ(全2曲)は専用曲があるがいずれもすぐにループする物ばかりである。

-スタートボタンを押したりボスを撃破したりした時に、[[&color(aqua,red){''某事件''}>ポケットモンスター 赤・緑]]&color(aqua,red){''の如く画面全体が赤青交互に激しく点滅する''}(VC版では修正されている)。
--当時は大きな問題にはならなかったが、点滅表現自体が大きく問題視されている今なら回収ものである。このゲームをやるときには体調を万全の状態にしておくことをお勧めする。
--前述の某事件が起きた際の調査で、画質が不鮮明だったりテレビ画面が小さいと影響があまりなく症状が出たのは鮮明な受信環境ばかりという結果が出ている。昔のテレビ環境下では問題が起き難い要因が揃っていた一方、これから高画質・高輝度なディスプレイ環境でVC版ではなく実機でプレイするつもりのある方は注意。

-特定の敵を破壊することによって出現するパワーアップアイテムや、集めることにより2周目はロディマスコンボイに変身できるアイテムが自機の弾で破壊できてしまう。
--そのくせパワーダウンアイテム(Dマークのエネルゴンキューブ)は破壊できない。

-タイム制限が存在しないので永久パターンが簡単に構築でき、スコアにまるで意味が無い。
--スコアによるエクステンドがあるので一見稼ぎに意味があるように思えるが、無限にコンティニューができかつミスしたらステージ最初からなので残機を増やしても意味が無い。

-残機表示がついてこれないこともある。
--ステージ5の火山弾は基本的には破壊不能なのだが、バリア状態ならば一発で破壊できる。そしてなんと5万点も入るのでバリア1回で15万点ゲットできることになり残機換算7UPor8UPになる。やられる前にもう一度バリアをつけて同じことをすれば15UP(残機は最初1万点で以後2万点につき1UPする)。
--あまりに急激に増えすぎて処理が追い付かないのか、しばらく残機表示が正しく出なくなるバグがある。
---やられた直後に少なめの正しくない残機数が出て、次にやられても補正しきれず「やられているのに(見た目の)残機数がモリモリ増えていく」という怪現象が発生する。

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**評価点
ゲーム性のクソさはいかんともしがたいが、それ以外の要素を見ると原作を無視した要素は意外と少なく、評価できるところも結構多い。

-アイテムの種類が豊富で、ワープ、隠しマップなど、アクションゲームの基本がきちんと揃っている。

-当時のFCのゲームということを考えれば、グラフィックのクオリティはまあまあ。だが、ブルーティカスやダイナザウラーなどのグラフィックはあまり似ていない。
--ブルーティカスは玩具の公式変形版のデザインが元になっており、アニメで特徴的だった左膝の戦車の砲塔がない((ブルーティカスの左足をアニメ通り砲塔を前にして合体させると、バランスが悪くなり転倒しやすくなる。))。
--ダイナザウラーは割とよく再現されているが頭部武装のカバーが閉じている(本格登場の『2010』では開いたカバーが前向きの一本角の様に展開している)、目の色合いと形が悪くて目だと気づき難い、色が白っぽい((おそらくボスステージ背景が黒一色の為、背景に紛れて見えなくなるので行った変更と思われる))(トイでも『2010』劇中でも機体カラーは黒基調)等が原因で「[[ゾイド>ゾイドシリーズ]]」のゴジュラスの様に見える。
--どうもこの辺りの作り込みは「ザ・ムービー」に先行して展開されていた「スクランブルシティ発動編」を参考にした為の様だ。
---「スクランブルシティ発動編」ではウルトラマグナスと本作ボス陣を務める合体戦士、ザ・ムービーでガルバトロンに変化する前のメガトロン、頭部カバーの閉じたままのダイナザウラー、TVアニメシリーズでは『2010』から登場のカセットロン「ラットバット」が登場しているなど本作との関連性が高いと見做せる部分が多い。

-低音質だが日本版の主題歌をタイトル画面で使っている。ステージのイントロでは海外版アニメの主題歌の一部が流れる(国内放送時でもBGMとしてアレンジが流れた)など、原作の曲を取り入れている。ただし、低音質かつ8bitアレンジが強い物なので知らないと簡単には気付けない。
--ステージ開始時にも、アニメで&s(){しつこいくらいに挿入されていた}サイバトロンのシンボルマークが回転しながらデストロンのマークに、またはその逆に切り替わるアイキャッチの様な時に流れていた音楽が使用されているなど、原作の要素を大切にしていると思われるところもある。もっともこちらも上述の様に8bitアレンジが強い物なので、よくよく聴いてみたらそうだったといった具合になってしまっているのだが。

-自機の動きに慣性があり、多少滑るのがちょっと気になるくらいで、操作性は実は優秀な方。「足場が少ないステージでは飛行カプセルが出現する(ことがある)」という救済措置があるなど、意外と工夫されているところも多い。
--本作が難しいのは敵の攻撃の激しさによるところが大きく、''ステージ9のループを除けば''そこまで絶望的な難易度というわけではない。何度も死にながら出現パターンを覚える「避けゲー」と見れば、件の「飛行機」や「茶色いエビ」なども案外すんなり避けられるようになる。

-「トランスフォーマー」の象徴でもある「ロボットモード⇔ビークルモードの変形」をゲームにきちんと組み込んでおり、これが進行上不可欠のシーンも存在する。こういう設定が再現できているキャラゲーは意外と少ないのではないだろうか。

-コンティニューは無制限。
--''「ゲームオーバー画面でA+Bボタンを押しっぱなしにしながらスタートボタンを押す」''という裏技のような扱いになっているが、これはこの時代のソフトなら一般的であり((かの名作『スーパーマリオブラザーズ』ですら、「Aボタンを押しながらスタートボタン」がコンティニュー方法となっており、裏技のような扱いになっている。))、特に問題点という訳ではない。

-この時期に発売された他のクソゲーにありがちな「詰み」になる要素が無い。
--ステージ道中でミスをした場合そのステージの最初に戻されるので、ロディマスコンボイに変身するアイテムを取り忘れた場合、ボスに行く前にわざとミスすることによりやり直せる。また、ボス戦でミスした場合はボス戦からのやり直しになるので(コンティニューした場合も自機数やスコア表示をせずいきなりボス戦が始まる)、その点では親切な設計となっている。
--ただし、6面の隠し面であるサイバトロンゾーン・8面の隠し面であるデストロンゾーンへは1回しか行けないため、取り損ねたらそれっきりである。

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**総評
全国の子どもたちを絶望のどん底へと突き落した''伝説のクソゲー''の一つであり、「トランスフォーマー」は知らないがこのゲーム(がクソゲーであるということ)は知っているという人は多いことだろう。~
バグ抜きではあるが理不尽すぎる難易度、あまりにもお粗末なボス、異常に短くひたすらループするBGMなど、ストロングスタイルのクソゲーとしては隙のない出来と言っていい。~
あまりに酷いorクソすぎる難易度と、理不尽な高難易度のゲームを表現するジャンルを現すゲーム用語の一つとして『マゾゲー』という単語が普及したせいもあってか、誰が言ったか&bold(){『コンボイのマゾ』}などという渾名が定着してしまった。~
ただしアクションゲームとしての体裁は最低限保たれており、キャラゲーらしく創意工夫されている点もいくつか見受けられる。「難易度さえ調整できていれば…普通のありふれたゲームだった」と惜しむ声も。~

発売から長い年月が経った現在では、原作の人気や''クソすぎて見ている分にはむしろ笑える''ことなどから、妙に愛されているクソゲーでもある。~
だが、実際にプレイするとなれば相当なストレスとの闘いになることは言うまでもない。~
''「もういい! もうたくさんだ! このクソゲーを破壊する!」''とコンボイ司令官になってしまうこと請け合いである。
//内容的に記載位置が中途半端だったのでこっちに移動。

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**そもそも「コンボイの謎」とは何か
本作を語るうえで欠かせないのが、''「サブタイトルの『コンボイの謎』とは何だったのか」''ということである。今でも「何が謎なのかが謎だ」とネタにされてしまうほどだが、一応謎は明かされているのである。~

本作の元になったのはアニメ『戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー』とその続編『2010』で、この2作の間には『トランスフォーマー・ザ・ムービー』という映画がある。前作の主人公的存在であるコンボイをはじめとするキャラクターが軒並み戦死し、世代交代が行われるなどストーリー的に重要な位置を占める作品なのだが、この映画が公開されたのは海外のみ((日本でもTV放送に合わせる形で公開する予定があり、吹き替えも完了していたが、後述のように放映は見送られた。ちなみにこの映画、アメリカ側から作画を担当した日本側に当時の為替レートで約40億円という破格の予算が与えられたが日本側は使い切れず、半分ほどを返却したという逸話がある。))で、日本では何の説明も無く『2010』の放送が開始された。というのも、北米では日本の無印シリーズにあたるシーズン1・2と、『2010』にあたるシーズン3以降には約8ヶ月((シーズン2終了が1986年1月9日、シーズン3開始が9月15日だった。ちなみに『ザ・ムービー』公開は8月8日のため、無印シリーズの放映真っ只中だった日本ではとても公開できない。))の長期に渡るスパンがあったものの、日本では無印シリーズの''わずか1週間後に『2010』が開始されてしまい''、『ザ・ムービー』で補完をするタイミングが無くなったのだ。~

そこで、''映画に代わって事情を説明するために作られた''のが本作であった。本作の主人公がウルトラマグナスなのは彼がコンボイの死の真相を探るためであり、エンディングで条件を満たすとロディマスになるのはコンボイからロディマスへの世代交代を現すものであった。つまり、「コンボイの謎」とは「誰がコンボイを殺したのか」という''コンボイの(死の)謎''、あるいは「新しい司令官は誰なのか」という''コンボイの(後継者の)謎''だったのである。~

また、『2010』放映に先駆けて「コンボイが死んだ! キャンペーン」なるものが実施された。本作もその一環であり、「隠し面に行けばコンボイを殺した人物が明かされる」「ニューヒーローは誰か」「それらの人物が誰かを書いて送ると抽選で3000名、日本未発売の玩具『ルナボート』(原語では『ラナバウト』)が貰える」というキャンペーンが行われていた。この広告では「ニューヒーロー」を問う絵としてロディマスのシルエットが掲載され、犯人を問う絵には新発売のダイナザウラーがコンボイを倒している仮の光景が描かれていた。~

しかし、肝心の隠し面の演出が''「メガトロンの一枚絵が現れるだけ」''という説明をしていないに等しいものだったため、コンボイの死の真相は仇敵メガトロンが犯人という実に普通な事実を伝えるだけというほとんど無意味な結果に終わってしまった。また『2010』放映より先に新司令官を知ることができるというもう1つの謎も(どれだけロディマスをプレイできる所まで到達したプレイヤーがいたか以前の問題として)、後述のように発売日が1ヶ月遅れて無意味になった。~

そして、ゲーム中では事情を一切説明されないため(ゲームの詳細が説明書にしか載っていないのは当時のゲームでは普通のことである)、パッケージや説明書あるいはチラシや広報ビデオを見られる環境にない人、「理不尽な難易度のクソゲー」としか知らない人など、キャンペーンのことを知らない彼らには、''何が「謎」なのかさっぱり分からなかった''。クソゲーとして有名になってしまった今では「ゲームの目的そのものが謎だ」というネタが独り歩きしてしまい、「自機の名前はコンボイ」(正しくは前述のとおりウルトラマグナス)と誤解するなどトランスフォーマーを知らないレビューも多く見られる。

-ついでに言ってしまうと、「ザ・ムービー」本編においてウルトラマグナスはコンボイを看取っており、死因がメガトロンとの一騎討ちでの負傷であることも知っている。つまり、本作のように&bold(){なぜ死んだのか探りに行く必要がある立場ではなかったりする}。
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**余談
''クソゲー関連''
-人気ゲーム番組「ゲームセンターCX」において、DVD-BOX vol.1の特典映像として有野課長が挑戦した。
--課長は挑戦前に「まあファミコン世代のソフトなんでね」等と甘く見ていたが、背景に溶け込んだ敵弾が見えず、開幕と同時に即死するというお約束を披露。本作でゲームオーバー最短記録を樹立したうえ、それから一時間余りも開幕に囚われるという稀に見る苦戦を強いられた。最終的に序盤をADが攻略するハメになるという異例の事態となった。
--新型のモニタを使ってもなお敵弾の見づらさは尋常でなかったらしく、何度も「あら?死んだ?」と不可解そうに呟いており、本作の厳しさを改めて印象づける形となった。
--一面から全然進めないといった様なあまりの内容に「イライラするゲームやなコレ〜」と口走ってしまったりもしていた。他にも一面でいきなり「ギブアップしますか?」というカンペを出されたり…。
--DVDの特典映像でもガッツリ挑戦する現在と違い、本作は初の特典映像における挑戦ということもあってか、&bold(){収録できる容量がいっぱいになったので終了(サポートAD曰く「死にすぎたため」)}という、挑戦成功or失敗以前に終わりを迎える展開で終了してしまっていた。そのため有野課長は「謎」を解き明かすことのないまま終わってしまった。その後初代サポートADである東島が「謎」を解き明かすため、しっかりと2周してロディマスコンボイが使用可能になるところまで持って行った様子が、ダイジェスト的な感じ(東島によるナレーション付き)で収録されていた。

-WiiのVCで500ポイント(500円相当)で配信されている…のはいいのだが、配信に際してメーカーのブログでは[[こんなコメント>https://web.archive.org/web/20090227100626/http://www.takaratomy.co.jp/products/gamesoft/blog/i0300/post_46.html]]が出されていた。(2012年3月末にタカラトミーのゲーム関連のページが縮小されゲーム情報局ブログも終了したためリンクはWebArchive)
--''「レッツトラウマ」「CERO:A(全年齢対象)←ホントに!?」''といった文字が並ぶあたり、''業界内(どころか内部)でもクソゲーとしての知名度が高い模様''。

''トランスフォーマー関連''
-アニメ『戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー』のDVD第5巻と10巻には本作の業者向けPVが1本ずつ収録されている。
--PVでも、隠しステージで犯人が判ることや、条件を満たせば2周目でロディマスコンボイが使えるのは「TVに先駆けてコンボイに替わる新司令官を知る事ができる」という仕掛けであることが言及されている(PVでは11月発売と言っているが、実際は12月に発売延期され、2010でロディマスが登場するテレビ放送よりもゲーム発売日の方が遅くなってしまったが)。
---またそのPV内で明確なTFのネタ元が無い敵キャラは本作オリジナルの「メカ(機械)生命体」でありトランスフォーマーとは別種系列の機械生命体である事が判明している。

-『トランスフォーマー・ザ・ムービー』は、前述のPVにおいて公開を予定している旨が語られていたものの、&bold(){結局日本では劇場で公開されることなく}、北米での公開から&bold(){約4年後}の1989年10月にやっとVHSで発売された(いわゆる”ビデオスルー”)。レーザーディスク版やDVD版も発売されたが、以降はリイシューが行われていないため、現在は入手困難である。
--『ザ・ムービー』では多くのキャラクターがほとんど一撃で死ぬため、マグナスの弱さも原作とかけ離れているわけではないという見方もある。映画でもマグナスは一度バラバラに破壊されている。
--そしてゲームでの弱さに始まり、無反応なマトリクス、『ザ・ムービー』でバラバラにされた姿、その直前の情けない台詞、格下のホットロディマスに次期指令の座をとられる、最終回のアレ、『2010』のEDの歌詞…ウルトラマグナスという男は未だにネタキャラ扱いされている(ただし''『トランスフォーマー』という作品自体が高レベルのネタ''なのだが)。

-2009年に発売された「トランスフォーマー オルタニティ」(玩具のみで展開するシリーズの一つ、超常的な力を得た様々な次元のコンボイやメガトロンが時間や次元を超えた戦いを繰り広げる)によって本作の背景設定がついに明らかにされた。発売から20数年経ってようやく真の「コンボイの謎」が明かされたと言えるかもしれない。
--それは、''本作は「別次元のコンボイとメガトロンの介入によって行われる、死と苦しみに満ちたゲーム」であった''というもので、とある未来のメガトロンはかつてこのゲームと似たような強化された状況でウルトラマグナスに敗北しており、自分の敗北が偶然であったことを証明するためにコンボイにこのゲームを持ちかけたという。
--メガトロンはデストロン軍団全体に異常な強さを与える・コンボイは選んだ1人のサイバトロン戦士にのみ力を与える・そしてそのサイバトロン戦士が死ぬたびに1面開始時点から新しい歴史ルートの平行世界を派生させて、強化デストロン軍団が100通りの歴史で全勝すればメガトロンの勝利となるというルール。100通りの中で1つでもサイバトロン戦士が1人で勝ち抜く歴史が生まれたらコンボイの勝利となり、メガトロンが現在進行中の作戦の「謎」をコンボイが聞き出せるというもの。
---なお、メガトロンの企みは、二次元宇宙の法則と同化して生きた膜宇宙に進化した二次元生命体の群体「プラニクロン」を犠牲とする魔術(宇宙の操作盤「コズミック・ドライバー」)で、多次元全能に近いコンボイ集合体本体とメガトロン集合体本体の拮抗した戦いに終止符を打つ計画であった。
--各歴史のウルトラマグナスにしてみればいい迷惑だが、ロディマス司令官がやられてしまうよりはマシか。
--何はともあれ、''こんな設定がわざわざ未来の後付けで作られるほど本作の印象があまりにも強かった''ということなのだろう。ちなみに、この設定に従うと本作も含めたいくつかの作品がパラレルワールドの話ということになってしまうが、''トランスフォーマーの世界ではよくあること''なので気にするな!((パラレルワールドの設定自体はアメコミなど向こうのサブカル界隈ではよくある話である。トランスフォーマー関連でも、マーベルコミックス(Target 2006など)の頃から取り上げられている。))
--『コンボイの謎』の版権イラストで、いかにも黒幕として描かれているメガトロンは黒っぽい色をしている。これを汲んで上記設定のメガトロンの玩具も黒い。

-また発売から30年弱も経った2014年8月、「キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎((タイトルのキューは、『チョロQ』のようなデフォルメを施されているという意味。英語の「キュート」とも掛けている。))」として''Androld・iOSにリメイクされて移植''という誰もが予測していなかった事態が発生した。開発は「秘密結社 鷹の爪」関連のアプリでも知られるディー・エル・イー。
--しかし、''難易度は原作そのまま''と言っているものの、変形とジャンプ以外の操作がオートの強制スクロールゲーになっていたり、死にゲーなのにソシャゲーのスタミナ制を取り入れていたり、''ゲーム開始直後の即死が再現されていない''という有り様で、皮肉にも原作とは別方向のクソゲーになってしまった。タカラ(トミー)はスマホでもあくどいのであった。
--しかも公式にライセンスを得て制作したにもかかわらず、iOSの開発元であるAppleから「''公式ライセンスを得ていない偽物のアプリではないか''」と疑われ予定日にリリースができず、公式サイトで「まぎれもない本物」だと弁明しなくてはならないハメになってしまった。こればかりは開発サイドに非はないが、原作を知らない者からすれば出来の悪い海賊版だと思われても仕方がないのかもしれない。
--2015年1月~3月に、本作及びオリジナル版をネタにした5分ショートアニメ(タイトルは同じ)がTOKYO MX、ニコニコ動画、YouTubeで放送&配信された(現在は第1話のみ無料配信中)。制作はゲームと同じくディー・エル・イー。
---作中でも主人公のオプティマスプライム(コンボイ)が「61万本も売れたヒット商品なんだぞ」と言った事に対し、ライバルのロックダウンが''「61万人を不幸にしたってことじゃねえか!」''と切り返すなど、凄まじい難易度を幾度となくネタにしている。
---第7話と第8話は「昔のクソゲー研究」という名目で、[[ファミ>たけしの挑戦状]][[コン>いっき]][[時代の>ミシシッピー殺人事件]][[クソゲー>元祖西遊記スーパーモンキー大冒険]]を取り上げた、かなり際どい内容となっている(サブタイトルも[[あのゲーム>スペランカー]]と[[このゲーム>マインドシーカー]]が元ネタ)。ご丁寧な事にBGMまで説明されているゲームに沿ったものになっている。
---最終回でのメガトロンの抗議(?)を受け、2015年3月31日より、難易度を下げた(ホイルジャック曰く「面白くない」)「ステージ0」の配信が開始された。