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ザードの伝説2 偽神の領域 - (2023/01/05 (木) 20:33:03) のソース

*ザードの伝説2 偽神の領域
【ざーどのでんせつつー ぎしんのりょういき】
|ジャンル|RPG|&image(http://www.suruga-ya.jp/database/pics/game/165000366.jpg,height=160)|
|対応機種|ゲームボーイ|~|
|メディア|4MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|ビック東海|~|
|開発元|グラフィックリサーチ|~|
|発売日|1993年2月19日|~|
|定価|4,800円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~|
|ポイント|独特なシステムのオンパレード&br;へんたいオヤジが倒せない&br;専門用語ザックザク&br;「お''ピー!''に''ピー!''を、ぶ''ピー!''で…」|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
前作『[[ザードの伝説]]』の20年後を舞台とした続編。~
前作は魔王を倒して世界を救うというオーソドックスな話(''大筋だけは'')であったが、本作では「実はこの世界は異星人によって作られた人工惑星だ」という設定が明かされ、その異星人の技術者である主人公が惑星のプログラムの修復を目指すというストーリーになっている。

この作風の変化の理由は、前作のライターが退社していた為に別の人物がシナリオを担当する事になったが、その人物が王道中世ファンタジーに辟易していた為だとか。

**システム
-オーソドックスなRPGだった前作と異なり、コマンド選択式の形式を採っている。
--町では主人公を直接操作するのではなく、カーソルを動かしてマップ上の商店や市民を選択し、アクションを起こす。
--町やダンジョンから次の場所の移動はオートで行われる。
--時間の概念があり、何日も歩きづめだとだんだんフォウス・ポイント(HP)が減少していく。キャンプを張るとその状態は回復する。
---指定された日までに目的地を目指すイベントもある。時間設定が結構ギリギリ。

-独特のシステムが多数存在する。
--敵を倒して手に入るのはお金ではなく「キバ」。これを街の取引所で売ってお金に替えるのだが、相場の概念があり日にちによって売却価格が変動する((キャンプで使う食料にも相場がある。))。
--ステータス画面ではフォウス・ポイント(HP)以外の能力は、数値ではなく''文章で表示される''。~
「''おれのちからときたら かなしくなっちゃうよ''」と言う具合。
---仲間のステータスの文章は主人公と比較してどうかという観点になる。~
「ぼうぎょりょくは おれとおなじくらい」など。
--フォウス(魔法)はMPではなくフォウス・ポイント(HP)を消費して使う。消費量が大きいほど効果も上がる。
--なんと武器防具の概念が無い。店で買えるのは消費アイテムのみで、ステータスの強化手段はレベルアップのみ。

-メインイベント以外はフリーシナリオであり、多くのイベントはクリアするも飛ばすも自由である。
--メインシナリオの中にも進め方が一つではない物もある。

**問題点(特徴)
-本作をプレイする上で、何よりも戸惑うのはその専門用語の多さだろう。時間の単位や方角まで専門用語に置き換えられており、いちいち脳内変換しながらプレイしなければならない。説明書にも用語辞典が載っているし、ゲーム中にも用語が出る度に注釈が入るので鬱陶しいことこの上ない。
--東西南北→イス・ウス・サス・ノス((前作では普通に「きた」「みなみ」などと言っていたが…?))
--午前・午後→モーン・アタン
--年・月・週・日→ヤー・マス・''しゅん''((なぜか週だけ平仮名である。しかもこの「しゅん」だけは用語辞典に載っておらず、イベントの途中で解説が入る。))・テイ
--ヒットポイント→フォウス・ポイント

-戦闘中に「逃げる」というコマンドは無い。但し前進・後退というコマンドが有る。
--敵は前列・中列・後列のどこかに位置しており、前列にいる時に前進すると「○○を振り切った!」、後列にいる時に後退すると「○○はフィールドから外れた!」と表示され、戦闘から消える。
---但し必ず成功するわけではないし、敵の位置はバラバラなので全員を一度に消せる可能性は低い。
---因みに敵の位置はダメージに関係しない。
--敵キャラのグラフィックは、パーティーとの距離によって単純に拡大縮小しているので、前列にいる時はモザイクをかけたようなよく分からない姿に、後列にいる時は''小さすぎてよく分からない姿''に見える。
---スタッフによると、拡大縮小処理を試してみたかったとのこと。

-パーティは最高4人だが、主人公とヒロイン以外はNPCであり、任意で加える事ができる。しかし仲間になりたいという申し出を断ったり、その際に既に4人パーティだったりすると、そのキャラは二度と仲間にできなくなる。
--主人公とヒロインは戦闘を重ねると強くはなるが、NPCの能力は仲間になった時点で固定されている。しかし仲間をクビにするコマンドは無い。HPを0にしたまま戦闘を終らせれば外れる。これらの事から仲間の入れ替えが非常にやりにくい。
---成長にしても経験値は存在せず、いつ強くなるのかがわからない。また主人公と敵の強さは連動しているので、いくら成長してもあまり強くなった気がしない。フリーシナリオなためこういう仕組みにせざるを得ないのはわかるが…。
--フォウス(魔法)は生まれ持った能力と設定されており、いくら強くなっても新しいものは覚えられないし、威力補正値も成長しない。魔法防御力だけは成長する。

-町やダンジョンから次の場所へ移動する場合、移動先を指定すると「○テイ掛かるぜ」と言われる。実行すると、パーティが目的地に向かって歩き始める。ここでは基本的に眺めていることしかできず、かなりストレスがたまる。
--ダンジョン内部でも同様。違いはたまに分かれ道があるくらい。おかげで構造が非常に分かりづらい。
---ただし、ダンジョンに関しては分かれ道は近道か遠回りになるかしかないのでいつかは目的地にたどり着ける。
--セーブはこの移動画面でも出来るが、ロードすると出発点に戻されている。

-意味不明だったり、ギリギリな表現だったりするイベントが多数存在する。
--ヒロインを人質にとられ、''悪党と一緒に村人を殺しに行くパーティ''。そして村人2人を殺してから''人ごとの様に「やりすぎだ」と言い''、悪党と戦い出す。その後ヒロインはあっさり救出。わけがわからない((もっとも、その時パーティーに入っている悪党が必ず最初に行動できる上に即死必殺技使い放題なので、ワザと順番を回さない限り主人公は見ているだけではある。))。
---因みにそのイベントで殺す村人の名前は''「おとーさん」と「おかーさん」''。更にその息子が主人公に復讐しようとするのだが、その名前は''「おにーちゃん」''。実はギャグイベントか!?
--女を食い物にした挙句主人公の目の前で殺人までやらかした極悪人と戦うイベントがあるが、''勝っても逃げられておしまい''。主人公の''「納得いかーん!!」というセリフが全てを物語る''。
--そのほかにも、放送禁止用語を連発しピーの伏せ字だらけの人物、幼女を誘拐する変態オヤジなどヤバそうなネタが満載。
---ちなみにそのオヤジが幼女に手を出そうとすると、''主人公が「製品にしてもらえなくなるぞ!」と発言する''。
---しかもこのオヤジとのバトル、なぜか主人公との一騎打ちで行われ、''しかも負けバトル''。倒しても「''いまのは私の影です''」と言われ、負けるまでエンドレスで戦闘が続く。
--なんと隠しマップでラブホテルまである。条件を満たすと…。
--ヒロインがシナリオライターの傾向に言及するなど楽屋ネタも多い。
---あるイベントでは「''こんど ザードの3をつくりましょう''」なんて台詞まで…。%%実現する前にビック東海はゲーム事業から撤退したが。%%
--これらのイベントの数々やコンピュータ関係の用語が頻出する事など、明らかに当時のGBのメインターゲットである子供に向けたシナリオではない。
---前作は%%主人公がヒロインを孕ませると言った展開を除けば%%子供にも''大筋は''理解できる勧善懲悪モノだったが、2年経てば本作も理解できるほど成長すると見込んでいたのだろうか?

-前作のパーティキャラ達も登場する。
--しかし仲間にはならないサブキャラばかり。特にタイトルにもなっているザードは''OPイベントにしか登場しない''。
---その息子はパーティに加わってくれるのだが、''「ザード」の息子だから「ジード」とはあんまりなネーミングではなかろうか''?
--前作の主人公とヒロインに至っては''前作の直後にさらわれて20年間封印されていた''。本作のパーティが救出するイベントもあるのだが必須ではない為''放置してクリアする事もできる''。
---''特にショックを受ける様子も無く「もうトシなんだから''」と発言しているが、封印されている間の肉体は年を取るのだろうか?少なくとも意識は無かったようだが、その辺りの説明も無い。
---因みに前作のヒロインの母親は、本作では''娘と同じ若い女のグラフィックで登場する''。何歳なんだよ!

-「なんかのたま」というアイテムがあるが、使うと変な効果音と共に「''しかしべんじょのたまだった…''」というまったく意味不明のメッセージが表示され、何も起こらない。
--敵の防御力を下げる「なんかのつえ(軟化の杖)」というアイテムがある為騙されがちだが、「軟化の玉」ではなく「''何か''の玉」という意味らしい。''普通に店で売られている(しかも妙に高い)のが嫌らしい''。
//べんじょのたまとは多分男性用便器に入れる球状の芳香剤の事だと思う。最近見ないねアレ。

-''いやしいたまやま・げんきんたまやま・ばっきんたまやま''というわけのわからないアイテムも登場する。「たまやま」とは実はスタッフの1人の名前なのだが、スタッフロールでしか表示されないので全く意味不明なアイテムである。''由来がわかっても意味不明だが''。

-ニューゲームのコマンド名が「B''I''GINNING」と表記されている。「B''E''GINNING」の誤植である。

-ラスボスとの会話は、これまた今まで出てこなかった設定や人名が唐突に出てくるなど、もうシナリオライターや主人公にしか理解できない展開となる。「ジオットのくそヤロー」って誰ですか?

**評価点
-非常によく作りこまれた音楽。場面に合わせて多くのBGMが用意されている。隠しでサウンドテストもある。
--ただいくつかの曲は有名ポップスやコナミゲー等のオマージュと思われるものがある。サウンドスタッフの1人も後に''「あれは○○のパクリ」という感じでぶっちゃけている''。

-グラフィックは当時のGBソフトとしては描き込まれている方である。
--全体的にドットのクオリティが上昇している。特に背景や戦闘のカットインなど。接近した敵は上記の通り粗くなるが。
--イベントシーンではキャラに口パクや表情の変化が付いている。キャラ毎のクオリティの差こそあれど、顔グラフィックの種類も多い。
--演出も手が込んでいる。時間が経過するにつれて月が満ち欠けするなんていうものも。
---途中で旅商人にであったりキャンプで仲間と会話する等「旅をしている」と言う感覚を掴みやすくなっている。

-シナリオも当時としてはなかなか意欲的。
--剣と魔法、光と闇の王道ファンタジーに辟易して作っただけあり、この時代では前例があまりない世界観と、独特の物語を構築している。
--全体的に登場人物が人間臭く、中にはウィットに富んだ会話や深い台詞も少なくない。テキスト量も前作より飛躍的に増加し、街のNPCの台詞すら人間味がある。
--尤も、独特&人間臭過ぎて脱力モノになっているテキストも多く、シリアスシーンをぶち壊しにしているケースが目立つが。
---極悪人に対しても「こんどこそ おまえの''ふざけたのーみそ'' このよからけしてやる」「おそれいったか ''ええっ くやしーか''!?」といった調子なので。ハードの都合上、漢字が使えない点も拍車を掛ける。

-GBのRPGで珍しいフリーシナリオ制の採用と高い自由度
--主人公のレベルで敵の強さが決まる仕樣上、レベル上げの意味が薄くどこへ行ってもアッサリ死亡するという展開がないのでメイン以外のシナリオは全てすっ飛ばしても問題なく、メイン自体もある程度進めるルートを決めやすいので自分の思う通りの進め方がしやすい。
---パーティ人数に対して仲間に出来るキャラも多く、仲間にする条件も豊富なのでプレイ毎に違った展開を楽しみ易い。

**総評
前作は''大筋は''王道ファンタジーだったのに対し、本作はあらゆる点が明後日の方向に突き進んでいる。~
他に類を見ない独特のシステムの数々によくわからないシナリオにぶっ飛んだイベントと、とにかく人を選ぶゲームである事は間違いない。~
ハマる人はハマる、とも軽々しくは言えないが、それでもこのシステムやシナリオに何か感じるものがある人、変なRPGをやりたい人は触れてみるのもいいかもしれない。

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**余談
-ソフトを起動すると、最初にスタッフからの感謝メッセージが表示されるのだが、すぐに消えてしまい、しかも普通にやっていては''二度と見る事が出来なくなる''((セーブデータが消えてしまった場合はまた表示される。逆を言えば最初にこれが表示されたら、データは消えてしまったという事。他にもフラグをリセットする隠しコマンドが存在する。))。なぜこんな仕様にしたのだろうか?
--しかも微妙に文法がおかしい。

-仲間キャラはそれぞれ違った「必殺技」を身に付けているのだが、''[[「しょうりゅうけん」と「はどうけん」という名前の技>ストリートファイターシリーズ]]が存在する''。大丈夫だったのだろうか…?

-説明書に載っている主要キャラのイラストが下書きの様な線画で、''しかもヘタ''。特に主人公は''潰れ顔で鼻のでかいブサイクなおじさん''にしか見えない。
--ゲーム中の顔グラフィックは''別人にしか見えないまともな青年顔''になっているし、作中で明確に若者と扱われているのだが。
--ヒロインもイラストではメガネをかけているが、ゲーム中ではかけていない。
--おそらくゲーム中とイラストでグラフィックデザイナーが違っていると思われる。そうだとしても、もう少しはなんとかならなかったのだろうか。