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R-TYPE II - (2024/03/30 (土) 16:25:11) のソース

*R-TYPE II
【あーるたいぷ つー】 
|ジャンル|横スクロールシューティング|~|
|対応機種|アーケード|~|
|販売・開発元|アイレム|~|
|稼動開始日|1989年12月|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|初心者お断りの難易度&br()マニアには支持されるも前作の様なカリスマ性は得られず|~|
|>|>|CENTER:''[[R-TYPEシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-斬新なステージやシステムを導入し、大ヒットとなった『[[R-TYPE]]』の続編。
-前作の自機「R-9」を強化改良した「R-9カスタム(R-9C)」を操り、新生バイド帝国の打倒を目指す横スクロールSTG。全6ステージ2周END。
-しかしシリーズ屈指の高難易度を誇り、この時期の「STG全体の高難易度化」という傾向もあって、本作の難易度に魅力を見出した一部のファン以外にはこのゲームシリーズ(さらにはSTG自体)を離れていくことになる。

**特徴
-武装の追加
--波動砲の2段チャージが可能になり、2段目までフルチャージすると「拡散波動砲」が撃てるようになった。
---発射後小さく拡散し、一度収束してから大きく拡散する軌道で飛び、広範囲に攻撃可能。また、収束してる部分に当てると大ダメージを与えられる。
---本作では2段階チャージを維持できる時間に制限があり、チャージ完了後もボタンを離さずにいると自動的に1段階目の通常の波動砲に戻ってしまう。
--レーザーは基本の3種に加え、サーチレーザー(緑)とショットガンレーザー(灰色)が追加された。
---サーチレーザーは横に発射されたレーザーが、敵との位置関係によって斜め→横と計2回曲がる。
---ショットガンレーザーは何かに命中、又は一定距離飛ぶと強力な爆風が発生する。ショットガン(散弾銃)と言うよりグレネード(炸裂弾)。
--ミサイルは既存のミサイル(対空ミサイル)に加え、対地ミサイルが追加。
---対地ミサイルは斜め下に投下される単発のミサイルで、地形や敵に接触すると爆発して爆風が地を這う。

-シビアなパターン性
--本作以降、随所の「初見殺し」を覚えてパターン化し攻略するゲーム性が確立されたが、特に本作後半のステージは「攻略パターン以外の動きをする=死」と言えるほどシビアな展開が続く。
--敵配置はやりすぎな感もあり、「ドリフのたらい」ばりに狙ったように突っ込んでくる敵や弾には落ち着く暇が無い。
--復活時はもちろん、赤レーザーフル装備でさえゴリ押しがきかない場面が多い。
--いらないアイテム、特に緑・黄色レーザーやスピードアップを持つ「POWアーマー(破壊するとアイテムを出すキャラ)」が狭い通路などに嫌らしく配置されることも多々あり、こいつをあしらう行為すらパターン化しなければならない。
--最初のエクステンドが20万点ということも厳しい要因の一つ。このゲームとしては高いハードル。

#region(各ステージ内容)
-1面「遺跡」
--最初のステージにしては敵が多め。壁背面に置かれたハッチ以降、下から飛び出してロケットを撃ってくる敵が初心者キラーか。
--シリーズ慣れしている人ならここは初見突破も可能なレベルだが、ここで挫折した人もまた多い。「1面はチュートリアル的な位置づけ」というセオリーは、本作の開発陣に省みられなかったようである。
--ボス「ザブトム」は頭部が破壊可能。中には前作のボスである「ドブケラドプス」の姿が。


-2面「洞窟」
--下半分が水に浸かっているステージ。撃つと特攻をかけてくる敵等、嫌な動きをする敵が多数登場。''この時点ですでに前作の後半並の難易度。''
--最後に待ち受ける恒例のエログロボス「バラカス」は細かい位置調整を強いられるが、本作ではまだ最弱クラスのボス。

-3面「紅の空(巨大戦艦隊)」
--本作以降も恒例となる巨大戦艦ステージ、今回は艦隊として登場(どちらかといえば後の『FINAL』5.0面に近い構成)。ここより後ろから来る敵が増え、初見殺しが目立ち始める。
--浮遊要塞型のボス「コルベルト」は、赤レーザーを持ち込めば瞬殺が容易になるが、無い場合はフォースシュートでコアを狙わなければ速攻はできず、弾避けを強いられる。

-4面「資源採掘場」
--可動する地形が特徴のステージ。高耐久力の浮遊戦車の行列と地上敵の連携攻撃など、全体的に敵配置が凶悪でフル装備でも全く安心できない。
--しかも高速通路内で戦闘となるボス「ライオス」は、入り組んだ地形を高速で避けつつ撃ち込まねばならないという激しい地力・アドリブ要素で後半戦への道を阻む、本作最強(最凶)と言われる山場である。

-5面「増設基地」
--前作の4面を凶悪にしたようなステージ。壁を産む(食う)敵が縦横無尽に暴れ回る。
--とりわけ破壊不能な壁を産んでいく敵による多数の初見殺しが最大の脅威で、その壁を食う敵の扱いなど、倒すべき敵に関するパターン化は必須。さながら爆弾を解除するがごとく、迂闊に手順を誤れば死あるのみ。
--固定式のボス「ブレンドア」は、雑魚が大量に出現し、何かが触れる度に90度ずつ回転する棒状の障害物が画面中に大量に敷き詰められている、半ばパズルゲームのようなボス。まともに破壊を狙おうとするとかなり地獄を見る。

-6面「バイド帝星」
--前半は前作最終面同様、上下から雑魚が沸いてくるという構成。ただしそのスピードと量は尋常ではないほどにパワーアップしている。
--後半は高速弾を撃つ強敵「ドグラ」が左右前後から大量に出現する通称「ドグラッシュ」。フォースとビットをフル活用してその猛攻に耐えねばならない、最後の難所である。

#endregion

-人にもよるが、1周目ならば許容できる範囲の内容の為、頑張れば攻略出来るレベルである。&br()が、2周目は主に、敵の移動速度・弾量・弾速・強度が大幅に強化され、さらなる高難度として立ちはだかってくる。
--ただでさえ凶悪な4面ボス「ライオス」の攻撃パターンの激化及び耐久力増加、常に高速弾の嵐にさらされる3面と5面の道中、6面の「ドグラッシュ」の増量+高速化された弾幕等、1周目を遥かに凌ぐ難関がそびえ立つ。

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**評価点
''徹底してマニアに向けた難易度調整''
-徹頭徹尾、前作を遊び尽くしたプレイヤーに向けたゲームバランスである。序盤からシステムをフル活用せねば生き残れないし、息つく間も無い。
-改修され立ちふさがる前作の1面ボス、前作の巨大戦艦よりは小さい戦艦が大挙して襲い来る3面、前作5面では破壊できる地形を吐き出していた小型敵に対し本作では破壊不能な壁を吐き出して来る中型敵が居る、最終面は縦からだけでなく横からの挟撃も追加…と、セルフオマージュ的にギミックを発展させたステージが多い。
--さながら前作の最終面から地続きであるかのような構成は、前作のマニアには絶妙に映る。

''順当に進化した世界観とグラフィック''
-グラフィックと派手なサウンドは健在。雰囲気を色濃く継承しつつも、淡い色使いのお陰で大幅な進化を感じさせる。
--タイトル画面でのレーザー光線でタイトルを描く印象的な演出やエンディングでの基地が崩れていくドットアニメーションの滑らかさはまさに芸術的。
-サウンドもこの時期のアイレム前後作と比べて卓越したものに。

''ラストシーンの壮絶さと隠しエンディングの存在''
-本作まではまだ基本的にストーリー性はそれほど濃いものではないが、本作のラスボス戦は比較的意味深な構成に仕上がっている。
#region(ネタバレのため格納)
-6面最深部に待ち受けるのは、前作ラスボスの風体を機械で無理やり再現したかのような歪な骨子。それが、前作ラスボスのコアを幼体化させたような本体2つを包み込んでいる。
--なんと前作の自機「R-9」が4機、触手によって捕獲されている。触手を断つことで彼らを救出できる。
--ラスボス撃破後は、救出した友軍とともに敵基地を脱出するデモが始まるのだが、基地の爆発に巻き込まれ友軍機は次々に脱落していく。最後は自機のみとなるが、分厚い壁が立ちふさがり万事休す……そこへ、ロストしたかに思われた友軍が高速で駆けつけ、''波動砲の一斉掃射で壁をこじ開けてくれる''。だが敵基地消滅の余波で友軍機はひしゃげ宇宙の塵となっていき、自機は結局単機で帰還する……というところでスタッフロール。
---ところが二周目のエンディングでは最後、4機中3機が助かって共に生還する内容へと変化。途中までは全く同じ展開なだけに意表をついた、そして粋な計らいと言えるだろう。
#endregion
&br()
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**難点
''役に立たない追加武装''
-せっかく追加された武装の数々はことごとく攻略の足を引っ張るものばかりで、シビアなパターン性も相まって遊びで使う余裕は全く無い。
--レーザーは5種類になったが、判定・威力共に優れる「赤レーザー(対空)」以外はどれも分離時のフォースのショットに性能が劣り、戦力外扱いされている。
---特に黄レーザー(対地)と緑レーザー(サーチ)のアイテムは、某攻略サイトで「''敵なので避けてください''」とまで言われた。
---青レーザー(反射)は使えなくはないが火力不足。期待の新装備の灰レーザー(ショットガン)は火力が最強であるも、射程が短くクセが強いため不利な場面が多すぎる。
---そのため、常に赤レーザーを維持する展開になるのだが、最悪なことに''2面開始~4面ボスまでの間は一つも赤レーザーアイテムが出ない''というとんでもない配置で、中盤でのミスは取り返しがつかないことになる。
--「拡散波動砲」は役に立つ場面がほとんどなく、後述のリスクから「無い方が良かった」という声すらある。
---非常に広い攻撃範囲を誇るが、弾がバラけすぎて狙いを付けられない。しかも本作は5面を筆頭に、攻撃範囲が広い事は必ずしも利点になるとは限らない場面さえある。
---総ダメージ量が波動砲の2倍程度しかなく、長いチャージ時間と釣り合っていない。
---拡散直前の集束点を上手く当てる事により拡散波動砲を複数ヒットさせ、普通の波動砲の4倍のダメージを与えるテクニックも存在するが、それらを考慮してもあまり実用的な武器とは言えない。むしろ普通の波動砲が安定して撃てなくなるリスクの方が大きい。

''理不尽感を抱かせる難易度''
-初見殺しがあまりに露骨すぎるため、難しさの性質がプレイヤーに理不尽感を抱かせるものと言われることが非常に多い。
--序盤(具体的には1周目の2面)から初見殺しの要素が頻出する。ボス戦も攻略法を看破することがやや難しく、手がつけられないまま死ぬ可能性が高い。
--前述のようにせっかくの新要素も悪質な罠のような扱いであり、ゲーム性を妨げているとも言える。
-ただし、本作の1周目は流石に前作の2周目ほど難しくはない。前作ともども2周目は「BONUS GAME」であることを考えれば、ギリギリクリアできるレベルの凶悪なバランスでも一応問題はないとも言える。
--同年の『[[グラディウスIII>グラディウスIII -伝説から神話へ-]]』(こちらは&i(){1周目の時点で正真正銘の凶悪難易度})の影響もあり「超難しい」という印象だけが残りがちだが、少なくともワンコイン1周はしっかり練習することで安定するところまでは持っていけるバランスである。下記の情報規制による影響も大きかったのではないだろうか。
//全体的に文章がかぶりがちだったので纏めてみた。

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**総評
「難しくて反復練習を必要とする」という点はアイレムのSTGにはよくあること(『R-TYPE』や『[[イメージファイト]]』など)なのだが、ハードルが相当高くなった事もあってトライ&エラーのプレイ意欲を徹底的になくす感がある事が人気を得られなかった要因に。 ~
しかし1周目だけに関してはやり込んでいくとプレイヤーの腕が成長が実感できる絶妙なバランスである事が見直されている所もあり、SUPER難易度である2周目と混同してる傾向がある評価で斬り捨ててしまうのはもったいないことも事実である。
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**余談
-実は『[[ドラゴンブリード]]』が稼働を開始して以降、メーカーのアイレムはメディア(ゲーム雑誌)に情報規制をかけるようになっていた。~
アーケード専門誌の『ゲーメスト』においてすら、大ヒット作の続編にもかかわらず本作の紹介記事や攻略情報がほとんど掲載されないという状況だった。((このあまりにも不可解な情報規制が解除されるようになったのは1991年2月にリリースされた『剣豪』からである。))
--どのような意図でアイレムがこのような規制をかけたのか不明だが…。
//(2017/08/15)情報規制は企業側の姿勢という側面が強いので余談部分に移動。
//情報規制を掛けたのはこれが起点じゃない。稼働開始時期から見て『ドラゴンブリード』が一番先。)

-その影響では無いだろうが、当時の美少女エロ漫画誌((エロ漫画雑誌の中でも大手メジャー系が発行する通常雑誌サイズでは無い、A4サイズのコンビニでも置いていない明らかにB級の雑誌。))に今作の攻略がなぜか掲載された。攻略といってもたった1Pの、しかも殆どボスの攻略を書きなぐった様な絵で文章も乏しい、同人誌でありがちなイラストを載せて行うフリートークページみたいなもの。
--おそらくエロ漫画作家さんの穴埋めページと思われる。同人誌でもそうだが、作家は雑誌類の印刷の都合上8の倍数のページで執筆せねばならないのでエロ漫画業界で構成力が乏しい絵師は穴埋めページを商業媒体でもやってしまう。((いくら絵がうまくてもプロとアマチュアの絵師の違いは、漫画において規定数のページで構成出来るかどうかとされる。))エロ本故に多くの読者には関係ないものであったが、後の読者感想ページにて「役にたった」という読者も多かった模様。
-因みに、他にはX-マルチプライ、イメージファイト等にも同様の事例があった。
//たしか「アットーテキ!」だったと記憶していますが、自信がないのでふせておきます。

-前作の2面ボス「ゴマンダー」等で話題になったエログロなボスは今回も健在。2面ボス「バラカス」は''デザイン、挙動が前作の「ゴマンダー」以上に色々と自重していない。''~
下記のPS版でのボス紹介文にて''「驚異のフォルムで圧倒してくる」''と書かれる始末であった。
--あまりにも%%卑猥%%ヤバすぎるデザインだったのか、続編で度々登場する「ゴマンダー」に対して再登場することが中々なかったが『[[FINAL2>R-TYPE FINAL 2]]』のDLCステージにて遂に復活。…のはいいが、%%案の定%%''そのデザインが海外のレーティングに引っかかってしまい一部のリージョンではデザイン変更の処置を喰らうハメに。''
--更に「エストラス・ゴマンダー」がボスのY7.0面である条件を満たすと''ボス戦中に背景出演で「バラカス」が乱入してくる''%%シリーズファンなら一度は想像したであろう%%演出も。…%%やはりこの人達自重してないよ!%%
-他にも3面ボス「コルベルト」はメカボスで一見まともっぽく見えるが、よく見ると''女性の子宮を連想させるデザインだったり・・・。''

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**移植
-SFCに移植される際は大幅アレンジを加えた『[[スーパーR-TYPE]]』として発売された。
--特に問題視された難易度には特段の調整が入っている。1ループの短い地味な曲が多かったBGMはほぼ全てが新曲に書き直された。
---ボスもザブトム、ライオス、最終ボス以外はすべて差し替えとなっている。バラカスが変更されたのは難易度の他、任天堂チェックにかかったとの噂もある。…代役のインエグゼスもきわどいデザインだが。

-その後GBに移植(こちらはそのまま『R-TYPEII』として)。やや無理のある移植で変更点も多めだが、雰囲気は出ている。
--このバージョンの取扱説明書に「過酷な戦場と機体の性能に普通の人間は耐えられないため、パイロットは四肢を切断され、実に脳だけの状態にされて機体に乗せられた」との記述がある。当シリーズの暗黒面や鬱設定の始まりとなった。
---早合点する人も多いが、「実に脳だけの状態」とはそのものずばり脳だけを取り出すのではなく、人間から思考以外の全てを奪う状態にするということ(だからどうしたという程度ではあるが)設定が整理された現在では「脳だけの状態にされて」という部分は削除されている。
---とは言うものの、ゲーム開始直後のデモで、走ってきたパイロットが乗り込み出撃するシーンがある。&s(){まさか、乗った直後に手足をちょん切られるのだろうか?}恐らくだが、制作担当とシナリオ担当で意思疎通が出来ていなかったか、完成直後に後付設定されたものと思われる。
--GB版は後にゲームボーイカラーにて前作とのカップリングタイトル『R-TYPE DX』としても発売された。この他にも3DSで発売された『パチパラ3D 大海物語2 With アグネス・ラム ~パチプロ風雲録・花 消されたライセンス~』収録モードの「アイレム名作コレクションvol.2」にもGB版が収録されている。
---『DX』収録のカラーリメイク版はグラフィック類が原作寄りになっている他、タイトル画面や出撃デモ、3面の背景など、GB移植当時ではカット・変更された要素の一部が追加された力作になっている。

-国内での完全移植は、PS『R-TYPES』に収録が初となっている。また、XboxLIVEアーケード『R-TYPE DIMENSIONS』として前作とともにリメイクされた。
--ちなみに海外では『スーパーR-TYPE』発売と同年の1991年にホビー用パソコンであるAmigaにてアーケードに忠実な移植が実現していたりする。AC版との違いは3面と5面のBGMが入れ替わっている点。

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**その後の展開
-『III』以降のシリーズ作では、レーザーアイテムの色が初代と同じく「赤」「青」「黄」の3種類のみに統一。従って、レーザーアイテム色が5色の作品は本作のみという事になった。
--レーザーの差別化は、機体やフォースの種類を増やして開始前に選択できるようにしたことで対応している。