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グレート魔法大作戦 - (2023/08/09 (水) 21:28:21) のソース

「[[修正依頼]]」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。依頼内容は「総評の余談への一部移行と加筆」です。
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*グレート魔法大作戦
【ぐれーとまほうだいさくせん】
|ジャンル|シューティング|~|
|対応機種|アーケード(CPシステムII)|~|
|発売元|カプコン|~|
|開発元|ライジング&br;エイティング|~|
|稼働開始日|2000年|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|自機の攻撃力低すぎ&br()かなり空気な属性システム&br()''自機性能克服のための難解な稼ぎがクリアに必須''&br()後半ボスの弾速が凄惨|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
『魔法大作戦』『疾風魔法大作戦』に続く、魔法大作戦シリーズ3作目の作品。~
地底からの攻撃を仕掛けてきた地底ゴブリン達に多額の賞金が設定され、賞金稼ぎたちが戦いを挑むという設定の縦スクロールシューティングゲーム。

-本作はカプコン外注作品群「カプコンパートナーシッププロジェクト」の一環として作成された。カプコンの名基板CPSIIを使用した縦シューティングゲームである。
--ライジング開発にもかかわらず、カプコンの隠しアイテム(ホルスタインやモビちゃん等)も登場。

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**システム
8方向レバー+2ボタン(ショット、超魔法ボンバー)で操作。~
全6面、1周エンド(設定によっては2周エンドやエンドレスにもできる)。

-本作の特色はショットボタン押しっぱなしによるエレメンタルチャージ(属性変化兼「おたからゲージ」上昇)、エレメンタルバースト(溜め撃ち)の存在が挙げられる。
--溜め撃ちで倒された敵は、その時の「おたからゲージ」によって価値の違う「おたから」(得点アイテム)を出す。同種のアイテムを全て取得すると以後、取るアイテムの得点に倍率がかかるようになる。
---アイテムの1カテゴリーをコンプリートすると、コンプリートを達成したカテゴリにより「攻撃力アップ」「移動速度アップ」「当たり判定」などの地味ながら莫大な恩恵が受けられる。
---因みにゲームオーバー後、同社『D&D』のような取得したアイテムリストが出る。総数は全108種類。
--敵によって出るアイテムの種類は異なるので、アイテムコンプリートのためにはどこの敵がどの種類のアイテムを出すか把握する必要があり、さらにエレメンタルバーストのレベルをなるべく上げて雑魚を倒す必要がある(「敵を倒した瞬間の溜め撃ちレベル」によって出るお宝のレベルも決まるため、高いレベルで解放したほうが一度の溜め撃ちで出現させられるアイテムの種類を稼ぎ易い)。
---ただし、溜め撃ちすると''その時点でのレベルを少しの間保ち、急激にレベルが減衰していく''性質があるため、闇雲に最大レベルで溜め撃ちしてもアイテムの種類は稼げない、というジレンマがある。

-全ての自機と一部の敵には属性が設定されている。属性と聞くと『[[斑鳩]]』を思い出すが、開発・稼動はこちらの方が先である。属性は赤の「クリムゾンファイア」という炎属性、青の氷属性「エメラルドアイス」の2種類。
--「赤属性」と「青属性」は互いに相反し、異属性同士の場合は攻撃力と入手得点が2倍、同属性同士の場合は攻撃力と入手得点が1/2となる。

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**問題点
-属性フィーチャーはあまり活かされていない。
--インストカードに「攻めたい時は異属性、守りたい時は同属性」という趣旨の事が述べられているが、本作は『斑鳩』とは違い、同属性弾に当たるとパワーダウンしてしまう。
---しかもパワーが最低レベルまで落ちるとサブウェポンが撃てなくなり、チャージも出来なくなる(溜め撃ちや属性変更も不可)。攻撃面で非常に苦しくなる。
---同属性のサブウェポンで相殺はできるとはいえ、同属性弾にも無闇に当たることは許されないことになる。むしろ異属性で攻撃力を上げてさっさと敵を片付けたほうが有効な場面のほうが多い。
--それに、敵弾の大部分は属性弾(炎や氷)ではなく、黄色く光る「無属性弾(仮)」。自機の属性に関わらず当たるとミスとなり、属性が無いのでサブウェポンで相殺する事も不可能。
---雑魚敵でさえこうなのに、ボスキャラともなるとこの無属性弾を大量に撃ってくる。この事が、このゲームをクリア不可能な程ではないにしろ激ムズにしてしまった感は否めない。

-ゲームの難易度はかなり高い。2面以降は、弾速や弾の量がぐっと厳しくなる。それまでの魔法大作戦シリーズと違い、本作は彩京テイストを取り入れたようなデザイン性が見受けられるが、敵の特徴にもそれが顕著となって現れている。
--全体的に中型機、ボス敵の耐久力がかなり高く、パワー型の呪術師「グリムレン」の溜め撃ち「スカルハーケン」でないととてもじゃないが倒しきれない。
--5面ボス・ケルベライザーとラスボス・ガン=メンは特に弾の量も弾速度も尋常ではない。同じ時期の『[[ドラゴンブレイズ]]』の2周目と比べてもひけをとらない極悪な攻撃の前に屈したシリーズファンは多い。
---特にラスボス・ガン=メン最終形態における「シューティング史上最も楽しくない弾幕」と称される地味に避けさせる気ゼロな攻撃は必見。''近距離からの等間隔全方位超高速弾''は、全一級シューターにすら残機押しとボム押しを強いる。第三形態の広範囲弾幕が行ったり来たりする攻撃もかなりの曲者((通称「スクラッチ弾幕」。ただし見た目のインパクトこそ凄まじいが弾の間を見極めていれば、回避する事自体はそう難しくない。))。

-自機の性能に一癖あるものが多い。そして機体のバランス面の調整に関しても大いに疑問が残る。デフォルトで選択できる4機+隠しコマンド入力で選択できるようになる4機の合計8機だが、隠し機体の性能は基本的に、デフォルト機体のサブショット・溜め撃ち・ボムを組み替えたようなものと思った方がいい。
--スピード型の竜人「ミヤモト」は移動速度があまりに速すぎて敵弾を避けづらい。ただ、ミヤモトが速過ぎるのはシリーズの伝統でもあるため、過去作に忠実な仕様と言えなくもない。
---ミヤモトは過去作において「速くて強い」性能が売りだったのだが、今作ではサブショットの『大忍術つぶて』の威力低下、溜め撃ちの使いにくさ(それでもアイテムを出す為に仕方なく使わざるを得ない)から、''速いけど弱い''と言う有様になっている。
--最初からカーソルが合っている魔術師「カルテ」は、「FOR BEGINNER」と書かれている割に、攻撃力があまりに低く(中盤以降のボス敵は大抵倒せずに逃げられるほど)、厳しい避けを長時間強要されるためにランクも上がりやすくクリアは難しい。何が「FOR BEGINNER」なのか全く理解出来ない性能である。
--一方、隠し機体の「バースディ」は溜め撃ち「地獄の電ノコ!」の威力がやたら強い。はっきり言ってクリアを目指すならバースディ一択である。
--なお、キャラごとに演出の差異は無い。
---『初代』、『疾風』ではステージクリア時キャラクターの台詞が入ったり、『蒼穹紅蓮隊』、『バトライダー』ではキャラごとにエンディングが違っていたが、本作では一切なくなっている。キャラやステージごとの裏設定はしっかり用意されていたのに、残念でならない。%%もっともゲーム難易度が高い上にクリアが非常に厳しいキャラもいる為、キャラごとのエンディングが無かっただけまだマシな気もするだろうが…%%

-そもそも自機の基本性能が低すぎる。''自機性能は「おたからシステム」で全アイテムコンプリートが前提''と言って良い。
--難解極まる稼ぎを強要する事には重大な問題があるし、そもそもゲーム性を根底から変えてしまうほど基本性能が下がった状態からゲームを始めさせる事にはアーケードゲームの態度としても疑問を禁じ得ないだろう。
---一応、このゲームをやりこんだ猛者によって、&bold(){おたからを一つも手に入れずともクリアできることは証明されてはいる}のだが…。
--また、公式サイトにおいては「稼がなくても普通に楽しいけど、稼ぐともっと楽しい」というような、初心者は適当にプレイ・上級者は神経質に稼ぎを実行…という近年のシューティングの基本を押さえたような言い回しがあったが''前述の通り真っ赤なウソ''である。稼がないと自機の基本性能が低すぎ、初心者の腕ではまともに進めず、そもそも点数が足りずエクステンドもしてくれないためである。

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**評価点
-稼ぎと攻略を両立させたパターンの構築は熱いものがあり、評価されている。ちなみにカンストは99,999,999点。
--上記にある低性能のカルテでカンストを達成した猛者もおり、動画サイトから探して見てみれば、いかに綿密な稼ぎパターンが構築されているかが分かるだろう。
--長らくカンストが出ていなかった「ソロバン」も、2020年7月19日の日本ハイスコア協会への申請においてカンスト達成された。プレイヤーは有名シューターのClover-TAC氏。

-初代『魔法大作戦』の本山淳弘が手がけたBGMは名曲揃い。セルピュータレーベルからサントラCDが発売され、その後株式会社ウェーブマスターからシリーズ3作品をまとめたサントラが発売された。
--ただし、SEの大半は直前作品『バトルバクレイド』の流用。本作にもマッチしたSEであるため問題はないのだが、ライジング内部のゴタゴタを感じずにはいられない部分だろう。

-ドット絵もしっかり描き込まれており、1面の背景を歩き回る村人や敵兵など、芸の細かい演出は本作も健在。%%プレイ中に見てる暇なぞ無いのが残念。%%

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**総評
本作は溜め撃ちによって様々な得点アイテムを集めたり、炎と氷の属性を切り替えて効率よくダメージを与えるといった新しい試みがなされた意欲作であった。

しかし調整不足による取っつきの悪さは大きな非難を浴び、色々変な方向に走りすぎて消化不良との声も出た。そういった賛否両論な一面が災いしてか、結果として本作が魔法シリーズ最後(ライジング名義で)の作品となってしまった。

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**移植
1作目は[[M2 Shot Triggersシリーズ]]の一作としてPS4でプレイ可能。また、いわゆる[[復刻ミニ>復刻版ミニゲーム機収録タイトルリンク]]の「アストロシティミニV」に2作目が収録された。しかし本作は2023年現在、一切移植されていない。

今まで移植の機会が無かったカプコンパートナーシッププロジェクト作品のうち、『プロギアの嵐』と『1944』が『カプコンアーケードスタジアム』の収録作品として移植された為、本作はコンシューマー機に一度も移植されていない唯一の作品となってしまった。

なお、本作の版権自体はカプコンではなくエイティングが保有している((エイティング公式サイトに本作は載っているが、開発を担当した『1944』が掲載されていない。))((パートナーシッププロジェクト作品でカプコンが版権を持っている作品の場合はタイトル画面の著作権表記に「Supported By○○○(開発元の会社名)」と言う文言が書かれている。一方、本作の著作権表記は「EIGHTING/RAIZING ALL RIGHTS RESERVED」が先に書かれていることからもわかるようにカプコンは代理販売/流通のみ関与した形となっている。))。

**余談
-同年リリースされた『ブレイブブレイド((ナムコが発売元のため使用基板が同社のPS互換基板であるSystem11や12という記述も多数見られていたが、実際に使われてたのはSCE純正のZN-1))』や『[[1944 THE LOOP MASTER]]』も難易度の高騰、とっつきの悪さが目立ち、本作同様初心者離れなどが原因となったSTGの衰退の流れに巻き込まれてしまった。

-ライジングも2000年10月1日、エイティングに吸収合併され解散した((ライジングの実質的な最終作はナムコのガンシューである『ゴルゴ13』の第3弾にあたる『ゴルゴ13 銃声の鎮魂歌』。但し、発売が吸収合併後の2001年だったため、クレジットはエイティングのみになっている。))。
-そのエイティングも現在は業務用ゲーム部門から撤退し、現在は携帯電話用コンテンツの運営・アプリケーションの開発と家庭用ゲームの請負/受託開発に場を移している((その後、2016年にオンラインゲームの開発・運営企業であるコロプラの子会社となり現在に至る。))。

-雑誌『アルカディア』の読者投稿コーナーでは、名指しで最も叩かれたゲームが本作である((タイトルやキャラを特定出来ない形で「昔大好きだったキャラが復活したと聞いて喜んでたら見る影もなく改悪されていた」と嘆く投稿なら有った。『クイズマジックアカデミーVII』すら、生徒キャラ削除に関する話題が掲載されたのは次作『VIII』で復活した事を喜ぶ投稿が初))。理由は「難しい」。
--かつて誌では好意的な意味でよくネタにされていた((「ゲーム検定(試験?)」と称したクイズ集ではほぼ毎問このゲームのキャラ名等が使われていた(一方、他のシューティングゲームに関する問題は少ない)等))が、ある号で「(要約)''初心者を完全に排除したゲーム性の時点で商品失格だ、このゲームのせいでシューティングゲームは滅びる、こんなゲームが好きなプレイヤーも同罪だ''」という、反論を一切許さない口調で異常に激しく糾弾する投稿が載って以来、もう二度と同誌にグレート魔法大作戦の記事・ネタや投稿イラスト等が載る事は無くなってしまった…ハイスコア集計コーナーを除いて。
--皮肉にもカプコンから販売された次回作は、本作以上にクセが強く初心者排除な『マーズマトリックス』(開発:タクミコーポレーション)であった。
---マーズマトリックスはパワーアップなしでも自機性能が非常に高いため爽快感という点では問題ない。ただし自機性能にとてもクセがある点((操作形態は8方向レバー+1ボタンだが、ボタンを少し離してから押すと短距離の貫通弾、ボタンを押す長さによって、至近距離レーザーや敵弾を跳ね返すモスキート(ギガウイングの「リフレクトフォース」に相当)、ボム(GHB)を発動させる独特の攻撃システムがある。))では共通している。
--もっとも、その後も本作なんかとは比べ物にならない難しさの無理シューも、逆に初心者向けのシステムを搭載したSTG入門と言っていい作品も数多く作られ続けた事からわかるように、この投稿が正しいのは「グレート魔法大作戦は難しい」というただ一点以外には全く無かったと言えよう。