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サクラ大戦 ~熱き血潮に~ - (2023/12/29 (金) 19:48:05) のソース

*サクラ大戦 ~熱き血潮に~
【さくらたいせん あつきちしおに】
|ジャンル|ドラマチックアドベンチャー|&amazon(B00007L4X3)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|セガ|~|
|開発元|オーバーワークス|~|
|発売日|2003年2月27日|~|
|定価|通常版:6,800円&br()初回限定版:9,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|初代を『3』ベースでリメイク&br()新規シナリオ追加するも紅蘭シナリオは不評&br()ミニゲーム削除|~|
|>|>|CENTER:''[[サクラ大戦シリーズ]]''|
//微妙リメイク廃止に伴い変更

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#contents(fromhere)
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**概要
『[[サクラ大戦]]』(シリーズのナンバリングタイトル第1作目)のリメイク版。~
新規シナリオの追加やグラフィックの改定など((細かいことだが、敵幹部の一人・白銀の羅刹役を演じる声優も小野英昭氏からTV版で同役を演じている江川央生氏に変更になった。小野氏は2000年以降声優活動を行っていないため、新録が撮れない関係上キャストを変更したと思われる))、制作者である広井王子らが『''スーパーリメイク''』とまで銘打って発売した作品だったが…。~
副題である「熱き血潮に」は、『2』とおなじく与謝野晶子の詩から取られている。


**原作からの変更点
''アドベンチャーパート''
-新規エピソードなどを追加に伴い、10章構成だったものが11章構成になった。
-サブキャラに好感度が設定された。

''バトルパート''
-戦闘が「ヘックス戦闘」から『3』以降の「ARMS戦闘」に変更されている。
--さらにそれぞれのキャラクターに沿った特殊効果が付加された。
-合体攻撃が技ごとオリジナルから変更された。
--止め絵を動かして二人で技名を叫ぶだけだった旧作とは違い、ヒロインとの恋愛描写アニメムービーがそのまま攻撃になる『2』以降の路線になった。


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**評価点
-ヒロインに新イベントが大量追加。旧作で不自然だった点もすべて消えた。なお、新イベントに合わせて結構な量のボイスが新録されている。

-フリー移動でのイベント大量追加。かつ、旧作で存在したイベントもリメイクし全て収録している。

-ファンの強い要望があった三人娘とのデートイベントやエンディング、あやめさんや米田のエンディングなどが追加された。 
--厳密には「エンディング」という表現は正確ではない。各サブキャラの好感度が一定以上の時に、エンディング直前にある自由行動パートで各サブキャラに会うと、会話イベントの内容が一枚絵付きのちょっとイイ感じのものに変化するというもの((『3』や『V』にも同じ要素がある))。ちゃんとしたエンディングを迎えられるのは、やはりヒロインキャラの6名のみである。

-キャラが固まったことにより、旧作で不自然だったセリフが変更されている((すみれがカンナを呼び捨てにする、カンナの一人称が「俺」等直りきっていないところも存在するが))。
--たとえばヒロインの一人・アイリスは初登場時に「お兄ちゃん、さくらさんの恋人?」と聞いてきたが、アイリスはさくらのことを呼び捨てにするため、新作では「さくらの恋人?」に変更された。

-ミニゲームで唯一残った花札は、敵キャラなど対戦できるキャラが大幅に増加、また思考ルーチンもキャラごとに違う作り込みに。
--さらにシナリオモードが追加された上に、コンティニュー無限になっている。これにより、SS・DC版では凶悪な強さを誇っていたあやめ戦でも再戦が容易になった。

-「ARMS戦闘」は初心者でもプレイしやすく、見目もよく戦略性も高いシステムで好評であった。

-システム周りがかなり親切((1のベタ移植だとかなり不便である))。バグらしいバグもない。
--例えば、『1』~『2』まではどこでイベントが起るか分からなかったが、『3』や『4』のようにイベント発生場所が表示されるようになった。

-BGM全体がこれまでのSS、DCの圧縮された音源ではなく、PS2の性能を最大限に生かした高音質音源となっている。
--またヒロイン固有BGMがいかにもゲーム音源と言った感じのアレンジ版から、歌なしのカラオケ版に変更されている。


**賛否両論点
-搭乗する霊子甲冑「光武」のデザインが大幅に変更。
--シナリオ前半部の機体は『4』のデザインをほぼ流用しているため、リボンや袴がついたりする。光武の後継機である「神武」では、元々あった足がガンタンクのようなキャタピラになっていたり、ジオングのようにそもそも足が無かったりとよりエスカレートしている。
--不評の多くは後半部の「神武」であり、とにかく兵器や飾りを盛りまくっているため「ガチャガチャしていてダサい」「狙い過ぎている」と殆ど歓迎されず、グッズも発売されなかった。
--余談だが、漫画版ではアイリスとさくらが上記のデザインを紅蘭に提案するが、「メカの機能美を解っていない」として却下される一幕が存在する。
---ただし、漫画版の敵のメカの一部は、このリメイク版のデザインが使われている、また、上記の「神武」が漫画版に登場した際のデザインは、ガンタンクのようなキャタピラが普通の足に戻った点を除いて、このリメイク版とほぼ同じである。
---賛否両論あるが、これ以後に発売されたねんどろいどやアクションフィギュアの光武は、全てこのリメイク版が元になっている。

-合体攻撃の内容。
--『2』や『3』では、主人公とパートナーがシリアスなセリフと掛け合いで放つ『合体攻撃』と、主人公とエンディングが確定したパートナーがバカップルぶりを発揮しながら放つ『ヒロイン合体攻撃』の2種類で段階を踏んでいたのだが、本作では後者のみの収録となったため、「そこまで深い仲になったわけじゃないのにバカップル化してる」と旧作プレイヤーから批判された。
---必殺技がフルアニメムービーになった関係で、容量と開発リソースが喰われるのが原因ではないかと言われている。
--ちなみに後に発売された『5』も同様に、合体攻撃はバカップル(?)っぽいノリのムービーのものがヒロインキャラ別に各1種ずつのみの収録であった。

-こいこい大戦のシナリオモードの内容はギャグの番外編ではあるが、「仙台出身のさくらが雛人形を仕舞う風習を知らない」「キャラ性格崩壊」「時代設定無視」など突っ込みどころが多い。
--ただし、キャラ崩壊や設定の矛盾は『花組コラムス』など過去のシリーズでも起こっており、本作に限った話ではない。


**問題点
''追加された李紅蘭シナリオ''
-このソフト最大の問題点とも言われる程に評判が悪い。
--紅蘭は、例え失敗しても「発明は爆発!」と豪語するほど前向きな性格で、機械は人間を幸せにするものだ、という考えのもとに機械を愛している。機械は使用する者によって善にも悪にもなる、だからこそ悪用されるのを憤るような少女として描かれていた。
---しかし追加シナリオの彼女は、敵メカを破壊する、されるたびに「壊されるために生まれたんじゃない」とヒステリックに叫んでしまうような性格になってしまった。挙句、機械から市民を守るために戦う仲間を責めだしてひきこもるという始末。
--「追加」シナリオのため、後は「いつもの紅蘭」に戻る。そのため、このシナリオにおける紅蘭だけが非常に浮いてしまっている。

''『2』へと続かないシナリオ変更''
-紅蘭シナリオ内で紅蘭が繰り返し見ていたという「欧州大戦における星組」のムービーには『2』から花組に参戦する二名(ソレッタ・織姫とレニ・ミルヒシュトラーセ)が、はっきり顔出しで映っている。その内容も星組が街で破壊活動をしているというもの。上記のヒステリックな状態になった原因にもなっている。
--その為、『2』のような完全初対面であることにはならないし、紅蘭が二人に対して(一方的に)悪感情を持ったまま出会う可能性が出てきてしまう。
-ラスボスは原作では最後まで悪を貫くのだが、本作では改心する。これも『2』の伏線となる要素なので矛盾が生じている。


''新録の少なさと使いまわし''
-イベントごとの一枚絵はレベルが低い上に、ほとんどのシナリオムービーは旧作の使い回しである。
--新録シナリオムービーとムービー中のCGのクォリティは高いが、その新録部分はオープニングと出撃シーンぐらい((旧作ムービーにおける光武が登場する部分も、わざわざCGに差し替えしている))である。

''ミニゲーム削除''
-旧作にあったミニゲームが削除されてしまっている。
--代わりに選択肢のゲーム要素で遊ぶイベント、または連続してイベントを起こしていく連鎖イベントに置き換えられたが、連鎖イベント自体は『2』からあったため事実上の劣化移植といえる。
--削除されたミニゲームは、携帯サイト((iモード限定、登録有料。ezwebの携帯サイトではプレイ不可))でのゲームとなった。
---この作品以降、一部のシリーズ作品に携帯サイトとの連動要素(パスワードでの追加要素の開放など)が盛り込まれるようになった。ゲームだけで全要素を解放できなくなったことには、当然不満の声が上がった。


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**総評
既に生産中止となっていた機種から現行機種にプラットフォームを移したことにより、新規ファン層を開拓したことは評価できる。~
単体としての面白さは原作譲りで、旧作から改善された点もあるが、それ以上に削られた部分・改悪ともとれる部分が散見されたため、リメイク作品としての完成度は今ひとつと言わざるを得ない。~
古参ファンからの評価は芳しくなく、かつての勢いを取り戻すことはできなかった。

//-それなりに売れた(20万本)が、利益が出たのかは微妙。
//--しかし既に過去の遺物と化したSS、生産中止のDCがプラットフォームのサクラ大戦をPS2に移植し、新規のシリーズファンを開拓した実績は素直に認めるべきであろう。

//これ以降、『サクラ大戦』シリーズは『ミステリアス巴里』『[[サクラ大戦V>サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~]]』と微妙な作品を生み出し迷走していく。

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**余談
-OPムービーの謎の宇宙戦
--ゲーム中、かなり高空で戦う場面はあるが、''宇宙空間では戦わない''。
---『3』や『4』にもOPムービーだけで本編では存在しないシーンがあるので、サクラ大戦では定番ネタでもあるのだが。

**その後の展開
-その後、PSPにて『サクラ大戦1&2』がリリースされた。
--そちらはサターン版を基にしたカップリングリメイクであり、旧来のファンからも概ね好意的に受け入れられたようだ。