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バーストエラー イブ・ザ・ファースト - (2021/07/13 (火) 20:51:54) のソース

*バーストエラー イブ・ザ・ファースト
【ばーすとえらー いぶ・ざ・ふぁーすと】
|ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B002VUB3CG)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|発売元|角川書店|~|
|発売日|2010年3月25日|~|
|定価|6,090円|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~|
|~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|
|ポイント|オールドファン激怒&br;いっそ別作品にしてくれ|~|
|>|>|CENTER:''[[EVEシリーズリンク>EVEシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
PC-98時代から続くADVシリーズ『EVE』の最初の作品『[[EVE burst error]]』をリメイクしたもの。コンシューマーではセガサターン・プレイステーション2に続く三度目のリメイクとなる。~
二人の主人公がそれぞれの目線から物語を紐解いていく「マルチサイトシステム」を採用し、長きに渡ってファンに支持されてきた作品である。~
「新たなるEVEシリーズのスタート」「すべての部分を1から作り直した21世紀向けの新たな『バーストエラー』」と謳い、シナリオ、キャラクターデザイン、システム、音楽、声優と大幅な変更を施している。~
シリーズ初の携帯機版ということもあり、ここから後発作のリメイクへとつながるのではないかと期待されたが……。

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**問題点
大胆な変更がことごとく原作よりも悪くなっている。~

''シナリオ関係''
-物語のアウトライン以外はすべて別物だと思った方がいい。
--まりなが帰国前にかかわった事件が「ハイジャック」から「シージャック」に変わっていたり、小次郎が捜索を頼まれる物品が「イスラムの文様絵画」から「宝剣」に変更されているのを皮切りに、数え切れないほどにシナリオが変更されている。
---大人の事情もあるのだろうが、こういう細かい所まで変わっている為、原作の面影はほぼない。
--シナリオ展開や情報の開示時期も変わっている為、終盤の重要な情報が中盤にネタバレされたりもする。
---原作が少々唐突に思える所もあったので伏線を張ったのだろうが、シナリオ変更でオチがある程度予想がついてしまうために終盤の衝撃がなくなっている。
-原作の名シーンがことごとく悪化。名台詞もなくなっている。
--名シーンとして挙げられる事も多いハッキングシーンはなんとギャグシーンに。
-追加キャラと追加シーン、そしてクリア後には別視点によるシナリオも追加されるがことごとく微妙。

''人物関係''~
見た目も内面も大きく変わっている人物が多く、「大人の事情への配慮」のためか重要な設定が消えている人物も。~
-活躍しなくなったばかりか、駄目人間と化した主人公
--元々は二人とも凄腕であり、作中でも観察眼や推理、アクションシーンでの活躍でその設定を遺憾なく発揮していたが、小次郎は的外れな推理をし、まりなはとにかく思慮が足りない。
---例えば、まりな編のひき逃げシーン。原作では逃げられる一瞬に車のナンバーが工作されている事を確認し、護衛対象の保護を第一にするが、本作ではたまたま再会した頼りになる人物と共に''護衛対象を放置して追跡''、しかもわざわざ追いかけたのに取り逃がし''ナンバー確認すらしない''。~
失敗しながらもその中でしっかり任務をこなして有能な点を見せていたのが、ただの駄目なエージェントになっている。
--必要以上に出会う二人。
---原作では直接出会うシーンは少なく、だからこそ印象的なシーンになっていた遭遇シーンだが、やたら出会いが増えているためにそれぞれのシーンの印象が弱くなっており、またそのシーンもそれぞれのしょうもない印象が強くなっている。
--原作で酒は飲むが煙草は嫌いな小次郎が煙草を吸ったりと、趣味嗜好においても細かい変更がされている。
-サブキャラもことごとく魅力がなくなっている為、単純にシナリオを見ていていらいらする。以下に例を挙げる。
--「所長職が忙しくて探偵の仕事をできていないが本来は優秀」な弥生が、「ただ小次郎の足を引っ張るだけの無能な探偵」に。
--「自分なり信念を持ち、権謀術数で大人と渡り合う」まだ若い姫が、「ただのわがまま家出娘」に。
--「小次郎に対抗心を燃やす野心家」だった二階堂も「事件に巻き込まれるただのヘタレ」になってしまった。
-何人かは一部設定を引き継がれて新キャラになっている。
--つまり存在そのものが消されているのが何人か。

''キャラデザ''
-緒方剛志によるキャラデザも「今風になった」というよりも「安っぽくなった」という印象。
--原作ファンに特に気になる変更点が「目の隠れていない小次郎」と、あるヒロインキャラ。
---前者はこれまでシリーズで一貫されてきた小次郎の髪の毛で目が隠れた「エロゲ主人公」のようなビジュアルは原作スタッフのこだわりでもあるためそれを変更しただけでも不評である((『new generation』のコミカライズ版で作者が目の隠れていない小次郎のイラストを描いた所、スタッフから即座に修正するよう言われた。))。
---後者は本来「見た目は高校生だが実はもっと年上」だったのが「つるペタロリ」になっている。
--まりなのデザインも「動きにくい」という印象を与えている。
--サブキャラも大きく様変わりしてしまっているキャラが多い為、旧作をプレイしたユーザーからすれば違和感が半端ない。

''その他''
-コマンド選択式からノベルゲームへの変更
--「自分で捜査をしている」という感覚がなくなり、味わいが大きく変わってしまった。
--掲示板の張り紙や珍奇な行動等の、コマンド選択式だからこその遊び要素も消えている。

-声優の一新
--声が変わるとそれだけで印象が変わってしまう。

-一新されたBGMも微妙。

-奥井雅美が唄うテーマソングが、劇中では着信メロディー程度でしか聞けない為、印象が薄い。
--しかもシングルカットされてないためこのソフトでしか聞けない。もったいない。
//これは評価してない

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**評価点
-ノベルゲームへのジャンル変更で、遊びやすくなったとは言える。

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**総評
分かりやすく一言で言えば「発売当時のラノベ風EVE」である。~
絵柄やシナリオの変更、メイドキャラの追加など、「若い世代に受けるように今風に作り直そう」という狙いと思われるが、その結果、原作の良かった所がことごとく潰され、新たに作ったシーンもことごとく微妙という散々な出来になってしまった。~
大元のPC98版の発売から13年も経っている為「今風の作品にしよう」と考えた事自体は理解できなくもないが、その結果、捻り過ぎて大失敗してしまっている。~
EVEシリーズの存続自体危ぶまれている状況で『[[EVE new generation]]』は多少なりとも盛り返していたが、本作でシリーズ展開に大打撃を与えてしまい、シリーズはまた長い沈黙期に入る事になる。~
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とはいえ、元々が評価の高い名作であり大筋の部分はある程度引き継いでいるため、クソゲーと言えるほどの出来ではない。~
その為、発売当初は「どうしても携帯機でEVEを遊びたい!」という需要もなくはなかったが、2016年にPS Vitaでほぼ完全移植された『EVE burst error R』が発売された為、携帯機で出来る利点も失われてしまう事となった。~

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**その後の展開
-本作には続編を匂わせる描写も追加されていたが、一切音沙汰がないまま数年が経ってしまった。
--原作そのままにグラフィックのみ改める形での移植が再開された事もあり、恐らくはお蔵入りになったと思われる。

-2019年4月25日&bold(){『burst error』の続編として}『[[EVE rebirth terror]]』が発表された。
--お馴染みのキャラのデザインや声優も一部を除いて旧作に回帰しており、当然と言えば当然だが本作の要素は受け継がれていない。