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SIMPLE1500シリーズ Vol.56 THE スナイパー - (2022/08/31 (水) 17:00:11) のソース

*SIMPLE1500シリーズ Vol.56 THE スナイパー
【しんぷるせんごひゃくしりーず ぼりゅーむごじゅうろく ざ すないぱー】
|ジャンル|シューティング|&amazon(B00005OUXH)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|D3パブリッシャー|~|
|開発元|ソル&br()ベストメディア|~|
|発売日|2001年3月22日|~|
|定価|1,500円(税抜)|~|
|配信|ゲームアーカイブス:2010年5月26日/300円|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|ワンショット・ワンキル。ただそれだけ&br()すぐプレイでき、すぐ終わる&br()強いて言うなら池田秀一ファン向け?&br()ある意味見逃せない3周目|~|
|>|>|CENTER:''[[SIMPLE1500シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
SIMPLEシリーズのPS版レーベル『SIMPLE1500シリーズ』の56作目。~
まだ簡素なテーブルゲーム・スポーツゲームが多くを占めていた当時の『SIMPLEシリーズ』において、やや異彩を放っていたネタゲーのひとつである。~
タイトル通りスナイパーとなって標的を撃ち殺す、一種のTPSにあたる作品。

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**ストーリー
消防士だった主人公ハリー・C・スペンサーは火災現場から偽札製造の証拠物証を発見する。~
だがそのためにマフィアや悪徳警官達の陰謀に巻き込まれ、婚約者を殺されてしまう。~
復讐を誓ったスペンサーは1年間軍事訓練を積み、スナイパーライフル一丁を抱えてかつての街へと帰ってきた。~

-なお、ここでは短くまとめてあるが、実際のオープニングのストーリー説明はやたらと長くくどい。
-ボイスもムービーもなく文章だけで一気に説明する上にスクロールがかなり早く、大半のプレイヤーは混乱すること必至だろう。
--同じ文章が説明書にそのまま載っていることが救い。
-ゲーム内のストーリーは薄めのハードボイルドで特に言うところはない…かと思いきや、最後にちょっとだけオカルトな超展開がある。

**ミッション
どのミッションでも、やることは「時間内に目標を探し出して狙撃する」だけである。

-全8ミッションであり、サクッと終わる。''プレイ時間は長めに見ても1時間半程度、慣れれば30分を切る。''

-ミッションを行う前に狙撃対象の情報が表示された後、狙撃する時間(朝・昼・夕方・夜)とハリーが陣取る位置をそれぞれ2~3通りから選択することになる。
--ハリーの位置は対象との距離や角度が変わるので難易度に影響する。時間は明るさが変わるくらいで大した影響はない。

-ハリーからの視点では通行人は小さすぎてまともに視認できない。そのためスコープで拡大して狙うのだが、こんどは見える範囲が狭すぎてごく狭い範囲しか探せない。
--結果的に、目標が簡単には見つからない。まるで『ウォーリーをさがせ!』である。
--なお、通行人の数は不自然なほど少ない。

-肝心の狙撃では、''ライフルの弾速が非常に遅く、''撃ってから着弾するまでに1秒近くの間がある。
--そのため、歩いている相手を狙うときは''移動速度を考えて偏差射撃をしなくてはならない。''
--一般的な狙撃ライフルの速度は音速を超える。本ゲームのようにノロいことはまずない((マッハ1(音速)はおよそ秒速340mで狙撃ライフルの速度はマッハ3近くはある。そのため撃たれる側からすると発射音が聞こえる前に着弾することになる。))。
---ただし、音速を越えていようと当然距離が離れていれば着弾は遅れるので、そのせいだと解釈できないこともない。&br()この理屈で考えた場合、主人公は''約1kmというゴルゴ13レベルの長距離狙撃''((ちなみに、このゲームで使用されるスコープの拡大率は五十倍と百倍。狙撃銃としてはかなりの倍率だが、確かに1km先にいる相手の顔はこの倍率でなければわからないだろう……別の問題が発生するのはともかく。))を行っていることになってしまうが。
--リアルな弾速にしてしまったら明らかにヌルくなってしまうので、ゲーム性を重視したのであろう。しかし、他に方法はなかったのだろうか…。
---風の影響・弾道変化等もない。尤も、[[リアルと名乗っていながらかけ離れている>SIMPLE2000シリーズ Vol.32 THE 戦車]]よりはマシと言える。

-''基本的に一発しか撃てない。''早まったらそれっきりである。正にワンショット、ワンキル。
--防弾車を狙う第7話や最終話では複数回撃てるが、弾着まで次弾が撃てないという困った仕様。

-最終話のように特殊な方法で相手を倒すこともあるが、全編を通して狙撃は屋外のみで行われる。
--パッケージには部屋の中にいる男を窓越しに撃つイラストが描かれているが、このようなことをやるミッションはない。

**隠しモード(バカゲー要素)
なお、1周終えてもこのゲームは終わりではない。~
説明書にも書かれているのだが、このゲームにはクリア後のおまけモードが存在するのである。

#region(一応ネタバレ注意)
-「裏」プラクティスモード
--ゲームをクリアすると、「裏」プラクティスモードへの行き方が英文で表示される((未クリアでコマンドを見ていなくても移行すること自体は可能。))。
--対象が1体しかいない通常のプラクティスとは違い、''目標となるマフィアの男が1面につき10人前後(面によって変わる)に激増する。''
--弾数制限は撤廃されており撃ち放題で、ガンシューティングのような趣になっている。ただし、弾速が遅いのは同じ。

だが、全8面の裏プラクティスもそこまで変化がある訳ではなく、クリアしたことを記録してくれることもないのでおまけ要素としては乏しい。~
「なんだ、おまけモードってこれだけか」と思いゲームを終えてしまうプレイヤーも多いが、実はまだ続きがある。
-2周目
--クリア済のデータをロードした後に新しくゲームを始めると、2周目が始まる。
--第1話のムービーが始まると、''なぜか茶髪だったハリーが金髪になっている。''
---しかもこのムービーはそれ以外何も変わっておらず、ハリーの髪の色だけが変わっているのである。一体なんなんだ。
---まさか赤い彗星だというのか
---ハリーは2周目の間はずっと金髪。その他、狙撃対象の位置や服装が微妙に変わっていたり、エンディングのオチも若干変わっている。
--どうやらこれは本編の再放送という設定らしく、セーブデータにも「再放送」の文字が付く。

とは言え、これも「それがどうした」という感じで、どこが変わったのか分からないプレイヤーもいるだろう。~
しかしまだ更に3周目があり、ここからゲームは急展開…というか超展開を見せる。
-3周目
--2周目を終えて3周目を始めると、ハリーが出てくるムービーではなく、''謎のストーリー説明が現れる。''
 我々は気が付かないうちに支配されている。
 奴らは昔からこの地球に居るのだ。
 静かに、しかし着実に…。
 
 異星人は巧妙に人間になりすましている
 『特殊スコープ』で正体を見破り奴らを倒せ!
 
 『決して、間違えて地球人を撃つな!』
--''完全に別のゲームである。''タイトルも『THE SNIPER』となっていたところが『THE ALIENS』に変わっている。
--「異星人編」と呼ばれる3周目では、通行人のなかに1人だけ人間に化けたエイリアンが混じっている。スコープを拡大すると特殊スコープモードになり、人間とエイリアンを見分けられるようになるので、見つけて撃てばクリア。
---映画『ゼイリブ』風の展開だが、宇宙人はいかにもなタコ似の火星人型エイリアンである。
---''いくつかの面ではUFOまで飛び回っており''、車がターゲットだった最終面は対象がUFOに変わっている。
--ただし、本編のようなムービーやストーリーは一切ない。その後は投げっぱにされ、淡々とエイリアンを撃ち殺す作業と化す。
--3周クリアすると、キャラクターの設定画が見られるイメージイラストモードが追加される。
#endregion

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**評価点
-主人公・ハリーの声優は『機動戦士ガンダム』のシャア役でも知られる大ベテラン声優の''池田秀一氏''が担当。
--いきなり声優の話から始まるのもどうかというところではあるが、なにぶんこれが''最大の評価点のひとつ''である。
--氏の出演しているネタゲー繋がりとして、しばしば『[[ノットトレジャーハンター]]』と比較される。

-音楽やオープニング・エンディングムービーなどの質は地味ながら良く、比較的雰囲気が出ている。
--各ミッションがテレビドラマの1話1話であるということが示唆されており、''オープニングとエンディングの同じムービー、および次回予告が毎話必ず流れる''という演出は凝っている。
--オープニングやエンディングのムービーはすぐスキップ可能なので、この構成自体は演出の一環として受け入れられるだろうが、いかんせん''ミッション自体が2~3分も経たずに終わってしまう''のでドラマとしてのリアルさはあまりない。
--「''君は闇の向こうに何が見える?''」というのがハリーの決めゼリフらしく、次回予告は毎回これで締める。

**問題点
-ヒロイン役の女性声優2人は''Googleで検索しても本作以外の記述がほとんどない''ほどの無名声優であり、池田秀一氏との演技力の格差が酷い。

-3Dグラフィックは、プレイステーション作品とは言え''ゲーム全体を通して非常にチープ''である。
--前述の声優問題も含めて、プレイヤーには「池田秀一でほとんどの予算使ってしまったんだな」と邪推される。
--設定画の時点では凛々しいハリーや美麗な女性キャラ達が描かれており、ポリゴンとのあまりの違いに勿体無さを感じること必至。

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**総評
ゲーム性はお世辞にも高いとは言えず、ポリゴンも劣悪でストーリーも説明不足と、稚拙な要素があちらこちらに漂う。~
一方で、妙なところでこだわった雰囲気作りやネタ性などは好意的に評価されており、12万本を売り上げている。

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**余談
-『CONTINUE』誌のクソゲーオブザイヤー2001を取得している。
--ただし、同誌の「クソゲーオブザイヤー」はいわゆる「クソゲー」というよりは、バカゲー・ネタゲー的な評価を強く加味して選ばれる賞であった。
--「B級映画をとことん狙ったバカゲー」と見るのが適切。レンタルビデオの替わり的な感覚?

-本作、『[[ゴルゴ13>ゴルゴ13 (AC)]]』『ラストバレット』と、日本の狙撃ゲーはどこかヘンなところがあるようだ。

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**その後の展開
-SIMPLE2000シリーズで続編『THE スナイパー2 ~悪魔の銃弾~』が出ている。もちろん池田氏主演で、良くも悪くも本作の正当進化と言える作品になっている。
--後に2本入りの『SIMPLE2000シリーズ 2in1 THE武士道~辻斬り一代~ & THE スナイパー2 ~悪夢の銃弾~』という謎の抱き合わせ販売があった。