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イデアの日 - (2023/12/29 (金) 12:37:06) のソース

*イデアの日 
【いであのひ】
|ジャンル|RPG|&image(ideanohi1.jpg,height=160,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068H84)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|16MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|ショウエイシステム|~|
|開発元|オフィス恒環|~|
|発売日|1994年3月18日|~|
|価格|9,700円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|~|BGCOLOR(MistyRose):''怪作''|~|
|ポイント|[[摩訶摩訶]]と似たカオスな世界観&br()その世界観とは裏腹のシリアスなストーリー&br()後半の未来世界は強烈なトラウマ|~|
//救えない展開あり⇒''鬱ゲー''
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#contents(fromhere)
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**概要
『[[摩訶摩訶]]』でキャラデザインを担当したギャグ漫画家・相原コージ氏が、製作総指揮を担当したRPG。((ソースhttps://twitter.com/kojiaihara/status/777587384439361540))~
キャラデザも同氏が担当しているため、パッケージの雰囲気は摩訶摩訶と似ている。~
そのため、「摩訶摩訶の続編」「同じくらいのクソゲー」と誤解している人も少なくないが、実際はメーカーも異なり、続編でも外伝でもなく世界観も全くの別物。~
プログラミングは摩訶摩訶と同じスタッフが担当しているが目立ったバグはなく、魔訶魔訶で猛威を振るっていたバグ嵐も本作ではほとんど見当たらない。
ちなみに発売日は1994年3月18日。魔訶魔訶のミジサイバーにかけたか。


**ストーリー
>主人公は幼少の頃に両親を殺害された上に、愛犬と共に拉致され見知らぬ研究所に収容されていた。
>そこでは主人公の超能力を引き出すため、昼夜を問わず過酷な人体実験が行われていた。
>唯一の支えであった愛犬が殺害されたのが引き金となり主人公は暴走、
>怒りと悲しみから来る力で博士は絶命し研究所は崩壊。約10年の時を経て外の世界を見る事が出来た。
>しかし、世界は災害に見舞われ、化け物まで出没するようになり大きく荒れ果てていた。
>一体何が起きたというのか、そして研究員が言っていた「イデア」とは何者なのか?
>旅を進めるにつれ、それは徐々に明らかになっていく。

**世界観
序盤は日本から始まり、アメリカ、南極など、全世界が舞台となっている。ただし、ヨーロッパの半分は無くなっているが、現在でパンダや、中国拳法の使い手や、ロシアダコなどが登場しており、作中で未来へ行った際には世界が殆ど消失しているところを見ると、元々は全世界が存在していたと思われる。~
昼夜の概念もあり、地底世界、海底、はてには未来にまで行けたりもする。~
「荒れ果てていた」とはいうものの、通貨(単位は"マネー"略してM。世界各地で共通。)は機能しており、役所、病院、ホテル、デパート、学校、骨董屋などの施設は存続し更には自動販売機なども設置されているあたりから現時点では『北斗の拳』よりはマシ。~
そのような状況下の中でも、たくましく生き抜く人々とのドラマも見所の一つと言える。~

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**キャラクター
相原の手がけた世界観だけに、一癖も二癖もある人物たちばかり。能力も非常に個性が強い。~
パーティーは最大で、4人+NPC又はペットで構成される。他のメンバーは預かり所で待機する事になる。~
それぞれが1人旅を経た後主人公に合流するという『[[ドラゴンクエストIV 導かれし者たち]]』に近い形式をとっている。

-メインキャラクター
#region(クリックして展開)
:カメキチ(名前は変更可能)|
--職業:超能力者(パッケージでは、おにぎりを食べている緑髪の少年)
--本作の主人公。超能力者。長崎に住んでいたが囚われの身となり研究所で超能力研究実験の被験者をさせられている。
--主人公だが普通に会話する場面もある。その会話をみるに心優しく正義感に溢れた性格をしている。
--ストーリーで様々な苦難に直面するためか、''運のステータスがえらく低く設定されている。''そのため状態異常に弱い。
--動物から好かれるという設定があり、気に入られた動物をペットとして仲間にすることも出来る。
--特技は超能力。
---レベルアップに応じて、攻撃、防御、回復といった特技に加え、状況に応じてテレポートや乗り物召喚といった様々な超能力を覚えていく。
---敵から攻撃を受けると怒りのゲージが溜まっていき、満タンになると強力な特技「怒りのさくれつ」を使うことが出来る。使用後またはホテルに泊まるとゲージが0に戻る。
--得意武器は凶器。
---ただし終盤まではやや使いづらいものが多く、この手のRPGの主人公にしては珍しく打撃による戦闘力は高くない。終盤は武器に恵まれるため十分な打撃要員になるのだが。

:りんこ|
--職業:女子高生(パッケージでは、おにぎりを食べている女子高生)
--女子高生。フクシマに住んでいるが、両親を亡くして以来、姉と二人暮らし。弓の名手でもある。
--明るく元気な性格だが、自分にコンプレックスを抱いている節がある。
--運が非常に高く、状態異常にかかりにくい。また、仲間の中でもトップクラスに高い素早さも売り。
--勘が鋭いという設定があり、隠し通路や宝箱の罠などを察知する能力に長けている。
--得意武器は弓。
---グループ攻撃が得意であり、擬似的に攻撃回数が増える都合上クリティカルヒットも出やすい。特技を持たないためできることが限られてくるのが弱点であり、補助・回復アイテムを持たせるなどの工夫が必要。

:雷岩(らいがん)|
--職業:すもうとり(パッケージでは、おにぎりと肉を食べている力士)
--四国のマツヤマで力士をしていたが、ある理由から格闘の試合に出場したために親方から破門を言い渡される。
--大らかで逞しい性格をしているが女性にはやや弱いらしく、ミコトにちょくちょく弄られる。ちなみに方向音痴でもある。
--特技は無いものの、力士だけに力が飛び抜けて高く、体力(HP)もずば抜けて多い。素早さが低いのが難点だが、戦闘でも高い攻撃力を発揮して存分にメインアタッカーたりえる。
--序盤のうちは負けイベントだの、そこいらの雑魚で赤チン片手に苦戦を強いられたり難儀ではあるものの、~
ストーリーが進むにつれ何度か強化イベントもあり、規格外のパワーを活用した力仕事などの場面もあり、頭角を現し終盤では白熊やトリケラトプス以上の強さを発揮するようになる。性格も戦い方もド直球と言ったところ。
--防具が一切装備できず(そのためすもうとりがフンドシを装備できないというおかしな仕様になってはいるが)、極寒耐性を得られない事など、特定の服に着替えなければならないシーンでは活躍できないのが弱点。
--得意武器は素手。
---非常に高い攻撃力を繰り出す、ただし武器を使うのは苦手で逆に攻撃力が落ちる。とはいえ多少の攻撃力低下を織り込んで複数攻撃が出来る武器を使わせるのも有り。

:ミコト|
--職業:霊能力者(パッケージでは、化粧をしている黒髪の女性)
--ボディコン霊能力者。別に高飛車でもワガママでも守銭奴でもない。むしろフランクでさっぱりした性格の持ち主。
--霊能力による回復や攻撃を得意とする僧侶、魔法使い、賢者系キャラで、特にアンデッドに対してはボス戦すら1ターンで軽く済ませるなど圧倒的な力を見せ付ける。ただし特効対象ではない相手に対しては全体的に火力不足なのがネック。
--終盤では永久機関とも言えるような技術までも習得する。
--亡くなった者と会話をする事も出来て、それが非常に重要になって来る場面もある。
--彼女だけが1人旅で始まらない。しかし冷遇されているわけでもなく、ストーリーの途中で1人旅するシーンがあるし、他にもれっきとした出番をもっている。
--割とみんなが言えないようなこともずばずば言う。エンディングでは不謹慎な事も言ったりする。
--得意武器は日用品。
---ガスホースだのものほしざおだの振り回して戦う彼女は想像するとシュール。

:ジャド|
--職業:ドロボウ(パッケージでは、立ちションをしている金髪の男性)
--アメリカの義賊。一般人からの印象は、金髪で口の曲がった変な人。表向きは、貿易商としてロサンゼルスで大成功している大金持ちの社長。
--義賊らしく人情味があるが、やや口が悪く短気な一面もある。
--かつて彼が世話になっていた孤児院『ハッピーハウス』に寄付をしているが、1億マネーの負債から孤児院の子供たちを救うべく、100カラットのダイヤを狙う。
--エバという彼女がいる。
--ドロボウだけに、ドア、金庫、牢屋の鍵をこじ開けたり、宝箱の罠の解除も出来る。
--得意武器はナイフ。
---戦闘では素早さが非常に高く先手を取れる。高い攻撃力と素早さを生かした高速アタッカーであり、りんこと比較すると火力で勝るが攻撃範囲と運の良さ(=状態異常耐性)で劣る。癖がなく扱いやすいがりんこ同様特技を持たないのでアイテムを生かさないと器用貧乏になる場面も。

:Dr.ポー|
--職業:発明家(パッケージでは、フラスコで飲み物を飲んでいる白髪の男性)
--科学者。いわゆるマッドサイエンティストで、最初はイデア側にいた。プロローグにも登場する。
---あることをきっかけに主人公側へ寝返るが、マッドサイエンティスト部分はエンディングまで変わらず。良くも悪くも科学者である。
--特技は機械。
---機械の扱いが得意で、戦闘の際も、攻撃以外にも味方を強化する補助系特技を多く使えたり、敵のHPを調べる事も出来るなど多彩な能力が持ち味。
--ストーリーでも乗り物を強化したり、機械を解読したりする事になる。
--得意武器は銃器。
---銃によるダメージは固定であるため、素の攻撃力が低くてもそれなりのダメージが出せる。弱点はHP、素早さが低く撃たれ弱いこと。

#region(隠しキャラ)
:トムトム|
--職業:謎の生命体
--期間限定(未来に行く前まで)のタイミングで仲間になる。
--防具が一切装備出来ないが防御力、素早さなどが高く、4属性の耐性も非常に高い。ただしHPは低めで固定ダメージには弱い。
--敵モンスターの技をノーコストで使う事が出来る。クリアに必須ではないものの、状況によっては大いに活躍する場面もありうる。
--ホテルに宿泊したときに夢の中に現れることがあるが、それ以外では全くのノーヒント。攻略を見なければまず気が付かないだろう。
--正体はエンディングで明らかになる。
--実はさりげなくパッケージに描かれている。
#endregion

このように個性的な仲間達と冒険をする。4人までなので、何人かは預り所で待機することになる。~
主人公の超能力少年の仲間には、女子高生、力士、ボディコン除霊師、盗賊、科学者など(それとなく前作を彷彿とさせる)個性豊かな人が勢ぞろい。~
得意分野も違うので上手く協力するバランスも面白い。

NPC又はペット
ハリネズミ、タヌキ、更には白クマ、恐竜などもいる。~
4人パーティとは別枠で戦闘に参加する。ただしレベルアップなどが無いため実質進行により固定でお荷物になる事も……~
ちなみにタヌキ、イノシシ、シロクマは相原氏のギャグ漫画「かってにシロクマ」からのゲスト出演。

:ハリネズミ(ハリネズ)|
--序盤では頼りになるであろう。日本からアメリカに渡るまで活躍する。
:タヌキ(タヌタヌ)|
--あるアイテムを数回与えるとペットにできる。パッケージにも描かれている。
--最初は戦闘の度に逃げだすため全く役に立たないが...。
:イノシシ(ウリボウ)|
--中盤のイベントで加入。そこそこ頼りになる。
:半魚人(ハンギョ)|
--同時複数攻撃や往復ビンタで敵を攻撃してくれる。火炎、冷気、電撃には弱い。世界に異変が起こった後は仲間にできなくなるので注意。
:シロクマ(シロ)|
--攻撃防御ともに優れる。冷気耐性がある代わりに火炎に弱い。
:トリケラトプス(トリケラ)|
--攻撃防御ともに優れる。火炎耐性がある代わりに冷気に弱い。
:グィーガー(グィーガ)|
--終盤のイベントで加入するエイリアンのような生物。過酷な環境でも行動可能。
#endregion

-重要人物
#region(クリックして展開)

:ムナカタ|
--冒険家。単独行動を好み、あらゆる乗り物を乗りこなし、地底世界から自力で戻って来るなど超人的なのだが、毎回毎回、無様な形で再会する。その正体は………

:イデア|
--かつては争いの無い理想郷を作り出す為に尽力して来た女性。しかし、ある事件をきっかけに豹変してしまう。それ以降はイデア四天王を従えてノア計画を進めるようになる。

-イデア四天王
名前はポジティブな意味を持つ英単語からとられている。いずれも忠誠心も高い実力者ぞろい。カメキチ達に対しても本格的に牙を剥いてくる。
:デモク|
---名前は「民主」(デモクラシー)から取ったもの。
---見た目はアホ面剣士だが、目的のためには手段を選ばず、紳士や研究助手を装い接触して人の命を平気で弄ぶ本作一の外道。チヂクカタムケールの製作に大きく関与、多くの人々の命を奪うなど、四天王の中で飛び抜けて目立つ。
---剣技や、超兵器アトミック砲でカメキチ達を苦しめて来る。
:エクアル|
---名前は「平等」から取ったもの。
---寝込みを襲うなど卑怯な奴。見た目通り力技で攻めて来る。
:ピーズ|
---名前は「平和」(ピース)から取ったもの。
---ゲームのフォントの仕様で間違え易いがビーズではなくて、ピーズ。
---相手の考えを読む事が出来る。~
それによりイベント面もさることながら、戦闘の際も相手の攻撃を完全に読み切ってあらゆる攻撃が全く当たらないという独自の強さを発揮する。アメリカ海軍すらも単独で一方的に壊滅させている。ある意味、本作最強。
:ジャスティ|
---名前は「正義」(ジャスティス)から取ったもの。
---その名の通り、誇り高き戦士で正々堂々戦う。


:寺切|
--フクシマの村長をしており、女子高生のりんこに怪物退治を依頼するが‥‥

:エバ|
--ジャドの彼女、100カラットのダイヤをデモクに騙し取られ、刺殺される。

:UTR-7X|
--Dr.ポー自らマンジュウムを取りに行く際に、デモクから護衛を仰せつかった補佐兼監視役のロボット。
--攻撃も回復もこなす優れもので、雑魚相手にズタボロ(戦闘不能)になる事はまずない。
--人々の優しさにふれ、最後はアトミック砲と刺し違えた。

:ニコラ|
--ポーの息子。真面目で心の優しい科学者。イデアは、ニコラの研究の事を知り、デモクを研究助手としてニコラの所へ来させ、未完成のウイルスを盗み出させた。~
イデアは人類を滅亡させる前に、もう1度だけ最後のチャンスを与えようとした。~
そこで、ニコラの作り出した生物進化を促すウイルスを散布する事によって人類が進化し愚かさが消え、正しく美しい新人類に進化するかも知れない事に期待したが、結果は裏目に出た。
--彼もまたデモクに殺害されるが、ミコトの力を借りてDr.ポーを改心させる。

:ネモ船長|
--南極までやって来た人物。潜水艦の発明者でもある。
---それは殺人鬼フレディを追うためであり、夢の中に入る能力を奪う事が出来る「ユメダメ~ン」というバンドを作り出した。

:フレディ|
--南極の町で、眠っている人々の夢の中に現れては命を奪って行く殺人鬼。大陸のどこかに潜伏しているため実態は掴めていない。

:ベルヌ|
--地質学者。なまり口調が特徴。

#endregion


**シナリオ内容
-ストーリーはお使いイベントばかり異常にある((「敵基地に乗り込むにはアイテムAが必要→それを取るにはアイテムBが必要→それを取るにはアイテムCが…」といった具合である。))が、シナリオの根底には、人間のエゴ、理想といった要素があり、一応シリアス系であり、単なるバカゲーで片付けられるものではない。
--ストーリーの項でも示したが、冒頭から相当な受難が待ち受ける。
---いきなり主人公が拷問にかけられ、愛犬が殺され、そして研究施設を脱出して10年ぶりに朝日を見る…~
「マカマカと似てるから」「ギャグ漫画家が作ったから」そういう期待を込めてこれをプレイした人は面食らったろう。そして「オッチャンドリ」「ナットウマン」という魔物を見て吹き出し、安堵することになる。
---しかし、主人公は悲しみを乗り越えることで超能力を習得したりレベルアップしたりパワーアップに繋がっている。
--他の仲間になるキャラクターも、基本的に何かしらの鬱展開が待ち構えている。
---両親や姉を殺害されるりんこ、相撲部屋から破門され地下格闘技に堕ちた雷岩など。


-モンスター関連
#region(クリックして展開)
-あるアメリカの研究所で事故が起こりウイルスが蔓延してしまった。
--フィールドやダンジョン内部で襲い掛かって来るモンスターの中には、そのウイルスのせいで狂ってしまった元人間というのも多い。
--人間と言うものはどこかしらおかしい部分もあるわけだが、それが増幅されてしまった格好であり、中にはとんでもなく下品な敵キャラも多い。
#endregion

-放射能関連事項
#region(放射能関連事項)
-イベントでは濃縮ウラン、雑魚敵にもハイキダコ、ロシアダコ、使って来る技はロシアリキッドなどがある。
--地底世界でも、ンパンパを作り出した元凶は、人間が棄てた放射性廃棄物という…。
--フクシマはヒロインの出身地であり普通に扱われている。もっとも''このゲームが世に出たのは東日本大震災の17年前''なので当然だろう。
#endregion

-イデアの計画について
#region(ネタバレ注意)
-イデアは、自身の理想郷をダムに沈められた事をきっかけに豹変して以来とんでもない計画を実行する。~
そのノア計画というのは、''選ばれた人間だけをノアの方舟に集め世界を海の底に沈める''いうもの。
--そのノア計画の一環として『地球の地軸を傾け現在の赤道の位置に南極を持っていき''南極の氷を溶かし水位を上昇させ、現在の陸地をほとんど海の底に沈めてしまう''恐怖の兵器』が開発されてしまう。
--さらに、ダイヤや濃縮ウランといった兵器の材料をめぐり多くの人間が犠牲になってしまう。~
(イデアによれば)人類を救い理想郷を作りだす計画の筈なのになんとも皮肉である。
--この「自分たちに同調しないものは全力で排除する」「目的と手段が入れ替わってしまっている」点は、『[[真・女神転生]]』のロウ側の独善的な思想に似ているものがある。
#endregion

-未来世界について
#region(ネタバレ注意)
-物語の後半では、未来に飛ばされるのだが、そこには想像を絶する悲惨な光景が広がっていた・・・
-ノア計画の行き付く先は、ユートピアではなく、暗黒の世界であったのだ。(絶望の未来には専用BGMも用意されており更に恐怖を煽る)
--そこには人間の営みは無く、代わりに見た事もない怪物がうごめいていた。唯一の家具であるベッドの並びも乱雑で、隅には大量の人骨が埋葬されないまま放置してある。
--住人は''アメンボのように4足歩行をし、顔は赤ん坊のよう、肌は赤黒く、全身に奇妙なブツブツがある''というエグい外見。
---言語も奇妙。たとえば住人の一人は「ポニーパーン アパピ パワナーイ! ピャスクピトプパ ププ パピース プルパヨ。」と喋る。~
これ、イデアの日ファンが独自に内容を解読しており、それによると「おにいさーん あたし かわなーい! やすくしとくわ ふふ さびーす するわよ。(''お兄さんあたし買わない?安くしとくわ フフ サービスするわよ'')」と言っているらしい。
---この住人は敵としても登場する。その名前が『ニウヒウメン(New Humen→新人類)』。(漂流教室((相原氏は本ゲームのシナリオについて「俺が30年生きてきた中で見聞きした面白いお話の要素を全部ぶち込んだ」「要するにパクリの極地なんですよ」と語っており、また「面白いお話」の一つとして「漂流教室」も挙げているためゲーム中の未来世界の描写が「漂流教室」から直接的影響を受けていることはほぼ間違いないであろう。))の方はまだ知性があった)つまり、敵サイドが目指した理想の行き付く先を目の当たりにするのであった…
--この世界の一番奥には、敵のトップだった人物が住んでいたであろう部屋があり、自分の理想が上手くいかなかった事を嘆くメッセージが入ったテープを入手することができる。
-このような強烈な鬱イベントではあるが更に元の世界に帰った後に起こった事が追い打ちをかける、だがしかし同時に''「敵側の計画はなんとしても阻止しなければならない」という事に対してこれ以上ないぐらいの説得力を持たせている''。
#endregion

-終盤の展開
#region(ネタバレ注意)
-ノア計画を進めようとするイデアに対し、「いい人だっていっぱいいるじゃないか」という主人公の言葉に対して、「''お前らは金と経験の為に生物((余談だが本作に出てくるモンスターは人間の欲望などが肥大化した結果、らしい。))を虐殺し人様のタンスを荒らしてきただろ?''」と若干、いや超メタな反論をされる。
--心、否、耳を痛めた人は多いことだろう。
-バカと鬱が入り混じったストーリーではあるが、終盤の展開はかなり熱い。
--ラスボス戦直前で明かされる主人公の実の父親は、ある意味このゲームで一番衝撃的な事実かもしれない。
--最後には''主人公の実の両親が殺される''という、ぎりぎりまで鬱な展開であるが、その直後、主人公が怒りでレベルが10上がり、ラスボスに挑むという熱い展開が繰り広げられる。なお、この時よく見ると、主人公の運の良さが急速に上昇している。
-ラストはこれまでの重い話を吹き飛ばす笑えるハッピーエンドである。
#endregion


**ゲームシステム
-主なシステムは以下の通り
--戦闘は、相変わらずターン制バトル。サイドビューからフロントビューになった。各キャラクターは武器を装備しないで、アイテム欄から選択する方式である、勿論アイテムも使える。仲間毎に得意武器も設定されている。
--4属性(熱さ、寒さ、電気、精神)も健在
---弓系・銃系の武装に関しては使う前に矢・弾丸の装填を行う必要がある。戦闘中に弾切れを起こした場合も同様。
---攻撃だけでなく、装備品とは別枠でアイテムを使った「防御」も可能。また、素手での攻撃や防御も可能。
---戦闘中に使うことで特殊な効果を発揮する便利な装備品も存在する。事前に能力が確認できないのは少々不便ではあるが。
--各キャラの能力が偏っている。例えば、主人公は運の良さが極端に低く絶対に敵から逃げられない、力士のキャラはHPと力が極端に高い((しかし、力士だということもあり素手の戦闘に慣れており、武器を装備すると逆に攻撃力が低下してしまう。))など。
-武器には大きく分けて2種類ある。
--バットやナイフ等の接近戦用の武器。キャラ本来の攻撃力にさらに武器の攻撃力が加算される。
--ブーメラン、弓矢、銃のような遠距離の武器。キャラ本来の攻撃力によらず武器の攻撃力のみが適用される。
---ブーメランはともかく、銃がキャラによらず一定の攻撃力になるのは現実的であり、他のゲームにはなかなか見られない。
---また、盾に相当するアイテムもあり使用するという形で使う事になる。無制限。
-「特力」
--一部のキャラは特殊能力を使うことが可能。ただし、特殊能力を使うのに必要な「特力」の回復アイテムはそれぞれのキャラ専用の回復アイテムが必要。

--防具の装備は、「きがえ」システムという形で実装されている。
---これは、防具装備画面において、装備する防具に応じてキャラクターの見た目が変化するシステムである。~
基本的にマップ上のキャラグラフィックに変化はないが、男装や女装をした場合はマップでの見た目も変化する。場所によっては暑さや寒さが過酷な状況になっており、それに適応した服装を選ばないとダメージを受けるようになる。
---なお、一部のキャラは防具の装備ができない。%%また、完全な全裸にすることは不可能である。%%
--アイテムの所持は各キャラ毎に上限があるので取捨選択も問われる。
--戦闘で全滅したら所持金が半分になり、役所(DQで言う教会)に戻されるが、一部、本当にゲームオーバーになるような状況もある。
--仲間にしたペットは1匹だけ連れて行く事が出来、戦闘にも参加させられる。ただし、操作を受け付けず、成長もなし。
--一部、特定の仲間を連れていないとイベントが進行しない場所や、特定の仲間がいると突入できないダンジョンがある。
//↑特定の仲間がいると突入できないダンジョンってありましたっけ?
//↑雷岩やペットを連れてると、耐圧服を着れないということで海溝の洞窟に入れない。
--フィールドマップではランダムエンカウントだが、ダンジョンではシンボルエンカウントである。
---シンボルの方は動きも速く、的確に向かって来るので回避はほとんど無理と言える、~
とはいえ、大貝獣物語みたいに頻繁にエンカウントしたり、ロマサガ1みたいに大量に配置されるとか、そういう不快さは無いようになっている。~
ひとつのダンジョンでシンボルの出現場所は決まっており、倒すと脱出するまで復活しない為倒せば後の移動は快適である。
--ダッシュはHPを削りながら行う仕様だが、1人でも瀕死状態になるとダッシュは出来ない。特に何かに追いかけられている状況でこうなると非常に危険である。~

-乗り物
--馬(2人までしか乗れない)、トラック(後で改造される)、ヘリコプター、スノーモービル、潜水艦と豊富。
--後に主人公の能力で豊富な種類の乗り物を呼び寄せる事も出来るようになる。
--意外と不便なヘリ
---ヘリは有用な乗り物であり、改造すれば悪天候の中も進めるようになる。しかし本作においては終盤ではヘリでないと行けない場所は最早存在しないどころか、乗ってる際に敵とエンカウントする仕様まであるため不便さばかりが目立っている。
---そのため、出番が潜水艦に食われてしまっている。
--一方、飛行より海上・海底移動のほうが後に登場するという珍しいスタイルである。

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**評価点
''広大な世界観''
-どこかで見たような展開もあるがあらゆる場所であらゆる事に立ち向かうのは冒険しているという実感を与えてくれる。

-世界観に合った施設
--ゲームセーブは役所、宿泊はホテル、買い物はデパートや専門店など舞台にマッチしている。
---自動販売機というのもあるがそこは本作。通常の回復アイテムは勿論、地域によって色々と異なり、レアアイテムや武器を買えたりもできるようになっている。
--摩訶摩訶に存在した、鑑定システム、預かり所呼び出し、宝箱2重底、換金アイテムなど数少ない良点は受け継がれている。~

-昼夜の概念
--他のRPGでは泊まって朝になるが、本作では休憩があり夜まで進める事も出来る(HPは宿泊する場合の半分回復する)。回復したいけど、節約したい時や時間帯を夜まで進めたい場合にありがたい。
---上述した怒りの炸裂ゲージは、一泊すると0に戻るが、休憩では半分減るだけで済む。特にボス戦前はそこも踏まえて選ばなければならない。

-預かり屋
--アイテムの他、イベントが進むと仲間やペットを預かってくれる。
--戦闘に参加していない仲間にも、自主トレーニングしているという形で経験値が入り、長期間離脱していたから大きく後れを取ったという事はない。
--アイテム『ポケベル』を使うとほとんどの場所で、ダンジョン内でも呼び出せる。
---ストーリー上、多くの仲間を使い分ける必要があるため、経験値の件も含めてかなり便利。
---ちなみに預かり屋でポケベルを使うと『店にまで来て使うのはやめて下さいよ…』と突っ込まれる。

-''ゲームバランスも良好といえる。''これもまた摩訶摩訶をやれば分かるだろう。
--というか現代の観点から見てもゲームバランスへの作り込みはかなり丁寧。
--但し上でも書いたように、魔物がひとくせもふたくせもある為、ドラクエやFFに慣れていると若干違和感があるかもしれない。
---7人中3人が特技を持たない為、アイテムの使用が他RPGに比べ優遇されている。逆に言うと、「特技があるからアイテム不要」となるケースはまずない。
---打撃、特技、アイテムを最後までバランス良く使っていくような作り込みがされている((終盤は軍用秘薬(全員のHP全快+戦闘不能及び状態異常回復)が比較的楽に購入できるようになるのでやや大味なバランスとなってしまうが))。
--仲間キャラ同士のバランスも十分良いが、これまた別のRPGに慣れていると違和感を持つだろう。但しこのゲームらしいともいえるが。
---具体的には、主人公は一見勇者っぽいがHPが低く(女の子よりも低い)、攻撃力も武器は強いが力自体は盗賊より低い。
---いわゆる「万能家」は存在しないと言っても過言ではない。要は主人公も含め、強すぎ弱すぎというキャラは存在しないのである。
---また女子高生は技は使えず弓矢を得意とし打撃一辺倒(もちろん十分強い)といった感じ。
--シナリオ全体を見ても、長丁場に難儀したりして若干難易度は高めで全滅して役所へ戻される以外に、本当にゲームオーバーになる場合もあるが、詰む事だけは絶対に無いようになっている。
-''目立ったバグがない。''摩訶摩訶をやれば分かる最大の評価点である。
--0という訳では無いが、十分許容できるレベル。

''グラフィック・演出''
-豊富なグラフィック
--顔のグラフィックが豊富、通常からそれぞれの状態異常に応じた表情まで用意されている。ペットの顔もそれぞれ豊富。
--装備品ごとにグラフィックまで用意されているのは純粋に評価できる。%%''パンツを平気でかぶれるのはどうかと思うが。''%%
---見た目を気にせず機能最優先にするのも、ファッションを楽しみながら冒険するのも、パンツを頭にかぶったまま女の子を助けるのも、男女で服装を逆転させるのも、プレイヤーの自由である。
---着せ替えシステム、防寒や薄着、さらには男装女装などあらゆる状況に対処するのが斬新。
---絵に力を入れてるからこそ、相原の世界観をよく表現し、おバカな演出がさらに引き立っているといえる。
--さらに斬新なことにセットで集めると真の力を発揮できる装備品が存在する。
---ただし、単体では非常に弱く更に売却も出来てしまうという落とし穴があり、本作のアイテム管理の難儀さも相まって処分してしまったプレーヤーも多い。
--回転拡大縮小機能も使われているようで、馬に乗って亀裂を飛び越える際や、ヘリコプターに乗る際も立体感もある。
-個性豊かな兵士団
--敵キャラも攻撃をして来るだけでは終わらず、分裂したり、クイズを出題したり、磁石でアイテムを奪ったり、変化したり、心を読んで攻撃を回避したり、とにかく個性派ぞろいが多数。
---しかも敵アニメーションも用意されている。これはDQ5にすら無かった仕様である。勿論、凍結状態にすれば停止、眠り状態ならZZが表示と分かり易い。~
個性的な上にかなりの種類の敵キャラのグラフィックが用意されているため、それらを見るためだけに進める価値もある。アニメーションするアニメ女が見れるのは本作くらいである。~
他にも、裸にセーター一枚着ただけの「静電気女」など、摩訶摩訶同様に微妙にエロいデザインの女性モンスターも多い。~
但し全体的に状態異常を起こす魔物が多い為通常戦闘の難易度は高い。火力にもしぶとさにもよらずに通常戦闘の難易度を上げている点でも個性的である。

-アイテム
--アイテムには簡易だがアイコンまで付いている。体力回復の「赤チン」、パーティ編成できる「ポケベル」((前作は携帯電話なのに、何故か本作はポケベルと退化している))、ステータスの増強に使う「''爪あか''((「爪の垢を煎じて飲め」とかいうことか?))」等センスが光る。
---赤チン(マーキュロクロム液)は実在する消毒薬であるが、水銀が問題視されたためあらゆる国から姿を消した。
--種類も豊富で400種類以上あり、服装にいたってはグラフィックも豊富に取り揃えている。
---多少色違いはあるものの、使い回しはない。
--メモ帳
---人々の会話を覚える事が出来る。ドラクエよりも先取りしている。ただし、途中でキャンセルは効かないので長い台詞を読み上げたら難儀する。
--買い物をすると、たまにオマケもくれたりする。

-フォント
--会話などの文章では、重要な用語には色違いの文章で強調して分かり易い。
--アイテムや敵の名前にまで漢字が使われている。これはFFVIにさえ無かった仕様。

''音楽も良い''
-音楽
--作曲は摩訶摩訶同様、J-WALK(現JAYWALK)の知久光康が担当。
--通常戦闘曲だけでも3曲ある。乗り物には、トラックやヘリコプターや潜水艦など乗り物ごとにBGMが用意されている。
--未来世界で流れて来る曲は恐怖を倍増させる。((相原が「もっと神経に障るようなイヤ~な感じの曲にして欲しい」とリテイクを出し、このような曲になったとTwitterで明らかにしている。))そして、終盤のフィールド音楽は力強さを感じる。

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**賛否両論点
***バカ要素

-そしてギャグ漫画家が作っているだけに、物語の本流と戦闘システム以外の点がほぼバカで構成されている。
--奇怪な生物というのがナットウマンとかオッチャンドリとかいうギャグ以外の何物でもない。
--クソまで敵キャラで登場する。
--マカマカで登場した魔物のパロディも健在。
---「アソコ」と片仮名で書かれた魔物が登場したが、今作では「アレ」である。
---透明の魔物として『カメレオンナ』((倒したときに正体がわかる。%%結構色っぽい%%))、透明ではないが小さくて見えにくい『ノミ』がいる。マカマカと違い、戦っている魔物のリストが無いため出現していることに気付かず面くらった人も多いだろう。
---「ちくわ女」や「ダザイはん」のようなコージ苑からのゲストキャラや、「ウニ女」や「ジキルハイド」などマカマカ用にデザインされたが登場しなかった敵も一部登場している。
--戦闘画面は一人称視点だが、画面下には味方側の顔も表示される。そして被ダメージや混乱した時の表情は''ギャグ顔''。
--上述した着せ替えシステムで、''頭に女物のパンツをかぶったりしてもしっかり反映される。''
--クリティカルヒット時の叫びが''電波''。「ほにゃぷー!!」「もひもひ~ん!!」「べらめんちょ!!」「ずんばらぴ!!」「ぷももぽ~ん!!」など。『摩訶摩訶』にあったクリティカルメッセージ入力は出来ない。
--重要用語のネーミングセンスが安直。前述した南極の氷を溶かす兵器「''チヂクカタムケール''」の他、夢の力を封じる「''ユメダメーン''」など。
--RPGでよくある「はい」「いいえ」の選択肢の他「う~ん」という項目があるが、選ぶと誰であろうと「''はっきりせんかい!''」と怒られる。
--とある村では「わははは」が悲しいときの叫びになり、「バカヤロー」が感謝を意味する言葉になる。なんとも緊張感がなく、そして村を助けたのに罵声を浴びるのかと苦笑物である。

#region(では、なぜバカゲーでとどまらないのかというと…)
説明書の「ライナーノート」というコーナーにおいて、企画者の相原氏自身が明かしている。氏は「RPGにギャグは不向きなのではないか」と考え、あからさまなギャグは控えめにしたのだという。
-バナナの皮を踏んで転ぶというギャグがあるが、これは転ぶ奴を傍から見ているから笑えるのであって、主人公自身が転んで頭を打ってHPがガクンと減りでもしたら笑えないだろう。~
最強装備をするのも、感動的なシーンで泣くのも結構。だが''感動的なシーンで主人公をフンドシ一丁にして「なんちゅーアホなんだ」と笑い転げるのも一興だと思う''。~
ギャグはプレイヤー自身が作り出して欲しい、発見して欲しい。そんな気持ちで作ったつもりだ。~
…とのこと。

-またこの文章を読んでしまうと、ゲーム中に度々出てくる''シリアスなシーンでのマヌケな描写''が、狙ったギャグなのかそうではないのか判断できなくなり、笑っていいのかどうか困ってしまう。
--序盤ではイデアをよく知る人物が書いた日記を読むことが出来るが、「イデアが何を企んでいるか分かった」と散々書いてるくせに''何を企んでいるかについては一切残してくれていない。''なお日記の筆者はそれを書く前にイデアに消された模様。
//--「ぶち殺す!」「未来はヘドが出そうな世界だったよ」など、シリアスな場面に下品な表現が出てくることもやや多い。
//口は悪いが下品とは違うだろう。それにこういうセリフがシリアスシーンに出たって別におかしくも珍しくもない。
--主人公の愛犬「ペス」や、ヒロインの姉が死亡するシーンで''「ペスは 死んだ」「お姉さんは 死んだ」''とわざわざ表示される。
---そもそも重要人物の死亡が多く、鬱要素が多いのは間違いない。
---ほとんどのメンバーが、身内に死者を出している。雷岩も危うくそれに近い危機に遭っている。お気楽なのはミコトだけである。
--遊び半分で町の住民を殺していたモンスターが、能力を封じられた途端''「これじゃもう悪さはできない、いやー参った、これからは真面目に生きていきますよ!」と言い出し、制裁もされない''。
--他、主人公が一時的にりんこに代わった直後、いきなり[[キドラント>ロマンシング サ・ガ3]]のようなむかつくイベント(但し町長は制裁を受けるが)があったり、騙されたとはいえ町ぐるみでのイジメに加担してしまう等、苛立ち要素も用意されている。
#region(そのムカツクイベントの内容)
>フクシマの町長が、「うちの息子が魔物にさらわれ、金鉱へ逃げられた。誰か助けてもらえないだろうか」とオロオロしている。
>りんこがその魔物と戦うも、負けそうになる。そこへりんこの姉が助けに来る。
>しかし魔物は悪あがきをし、姉と相討ちになってしまう。姉はそのままりんこへの想いを告げ死亡。…ってあれ、町長の息子はいったい…?
>フクシマへ戻ると、町長の内緒話が聞こえる。
>金鉱を掘り当てたのはりんこの両親であること、それを一人占めするために町長がりんこの両親を事故に見せかけ殺したこと、その金鉱に魔物が住み着いてしまったため息子がさらわれたという作り話で誰かに倒させるつもりだったということ。
>りんこがそれを聞いて町長の場に現れるも、逆にりんこはつかまる。その挙句、「お前の姉はイイ女だ、相手したいくらいだ」と下種なセリフまで。
>さらに、りんこを拘束し、その上でギロチンの振り子をするなどやりたい放題。その際のセリフは「もっとなけ!さけべ!''おしっこもらせ〜い!そうせんとつまらんぞ〜!''」。正に外道。
>最後は主人公に倒されてスカッと解決…と思いきや、これだけやっておいて死に際に「二重人格で、悪の人格を制御できなかった」などと語り、止めてくれた主人公に感謝して死亡。と、中途半端にいい話にしようとして死に逃げするというモヤモヤの残る最期を遂げる。ちなみにりんこや姉に対する謝罪は''一切無し''。
#endregion

--ボートが沈むのでアイテムを捨てなければならないイベントがある。現実的だが苛立ったことだろう。''しかもその直前には嫌がらせのように金塊が手に入る''。しかしミコトのセリフは脳天気である。
--人々をモンスター化させたという濡れ衣を着せられて殺された悲劇の科学者が、実は''自分の息子を実験台にしていた''ことがエンディングで判明する。''やっぱりマッドサイエンティストだったのでは''?
--人質に取られた父親が、主人公に母親への変わらぬ愛情を打ち明け、「私に構うな!奴を倒せ!」と叫ぶ。実にかっこいいシーンである。…が彼は''自宅に妻をほったらかしにして来ている''(主人公の母とは別人)。「この浮気親父め!」と見捨てるのが正しい選択という事だろうか?
//↑どこからそんな情報が?
//↑八王子だか福島だかにいただろ、宗像のかみさん。「うちの旦那は冒険家でずっと帰ってこない」っての。
//↑宇都宮にいた。しかし、旦那が主人公の父親と仄めかす部分は見当たらない。旦那のほうは「妻を置いてきた」と言っていただろうか?
---その主人公の父親にせよ母親にせよ意外な人物であり、そのような意表を突く作り込みもなされている。
--『ロミオとジュリエット』にも似た恋愛イベントまで存在する。結果としては同様に2人は結ばれてハッピーエンドとなるのだが、これまでの鬱展開から考えて「と、見せかけて…?」と疑った人も多いのでは?
#endregion

-シナリオ内容で触れた通り、最後は鬱展開を吹き飛ばすハッピーエンドなのだが、その中にとんでもない「ハッピー」が存在する。
#region(それは…)
-''ヒロインが主人公の子供を身籠っていた''という衝撃の事実が明かされる。ラスボス戦から数週間後で、久しぶりにヒロインと対面した際に明かされるので、つまり''冒険の最中に孕ませた''という事に。『[[ザードの伝説]]』か!
--ちなみに主人公はゲーム開始時点で15歳。ヒロインもエンディングでもまだ高校生である。そんな年齢設定でこのような展開を持ってくるのは正に前代未聞だろう。
#endregion

***多数仕込まれたパロディ要素
--本作でも摩訶摩訶よろしくパロディ要素が多い。
--ボディコン霊能者、アノ本(ちいさなメダルに相当)、ブーメランで全体攻撃、南極から来たネモ、金属製の武具が仇となる場所、など枚挙にいとまがない。裏を返せば、あらゆるゲームを研究している事が窺い知れる。
--パロディ自体には否定的な意見があるものの、ゲームに仕様や流れに合うようにアレンジし、組み合わされている部分は十分評価できる。
--また、パロディを取り込みながらこのゲームそのものの個性は非常に強い。その点も評価が高い。
//--キャラ毎に得意武器があるのはラグランジュポイントを参考にしたか。

***バランス
-ミコトが覚える特技「奇跡」の反則的性能
--効果は対象者を完全に回復するというもの。この技は''HPもMPも完全回復できてしまう''。自分にも使えるため、お手軽な永久機関である。
--例えば、他の仲間が高威力の全体攻撃を打ちまくり、MPが切れたらミコトの奇跡でフル回復、ミコトのMPが少なくなったら自分に奇跡…ということを繰り返せば、戦闘が途端に楽になってしまう。今までのゲームバランスがひっくり返ってしまうので、手応えを求めたい人はないものと思ったほうが良いだろう。
--ただしボス戦においては高火力で猛威を振るって来るのも多いため決してヌルゲーにはならない。

-ヘリコプターでのエンカウント
--本作ではヘリコプターでもエンカウントする仕様である。研究所に向かうところを迎撃されるのなら分かるのだが、全世界でエンカウントする。
--内容はなぜか簡易なシューティング。シューティングと言っても相手のヘリが3つの個所を反復横跳びするだけで、そこを狙って先に3回攻撃を当てた方の勝ち。初見では厳しい。戦利品として必ずアイテムは手に入るものの経験値などは得られない、それなのに負けたら全滅扱い。
---どんなにレベルが上がっても難易度は変わらない。そのうえ敵の動きが結構トリッキーのため、ある意味空中が最大の全滅ゾーンである。
---潜水艦でも1度こういう戦闘がある。

-南極の長丁場
--殺人鬼を追いつめた時点である場所へ飛ばされるのだが、ここがかなり長い上に脱出するまでセーブも出来ない((しかしそれが詰み防止にもなってはいる))。
--その時点では規格外とも言えるボスの猛攻に対抗するために"ある行動"が求められるのだが、初見ではそのヒントがない。正確に言えば街の住人の会話をある方法で解読すると倒し方が分かるようになっている。
--ただしこの解読方法のヒントが、その敵に負けて初めて表示される。確かにこのヒントが無ければ勝つのはほぼ不可能だが、初見で全滅することを前提にしてるようにも思える。
---ついでに言うとフレディは犠牲者を出した殺人鬼であり、カメキチ達を窮地に追いやってもいる。ユメダメ~ンで能力を封じたとは言え野放しになってしまっているのは‥‥やはり人々に引き渡した方が良かった。

-上の方で述べた馬鹿ゲー、鬱ゲーとなりうる要素、また多数のパロディや下ネタはある意味''全てが賛否両論''と言っても過言ではないかもしれない。
//現代なら確実にCEROにひっかかるだろう。
//確かにそうなっても不思議では無い要素もあるが、範囲が曖昧過ぎ。

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**問題点
''ゲーム性''
-タイマーについて
--時間制限イベントがあるが、戦闘中はタイマーが減らないので難易度に関わっていない。勢いを壊す事は無いが盛り上がりには欠ける。

-預かり所のアイテムの並び替えが出来ない。『摩訶摩訶』では種類毎に分類されていたのに。
--本作では400種類以上のアイテムがあるため、上手く管理しないと難儀する事になる。
--アイテムの中には、一見大した事がないから処分したら実は有能アイテムだった事もありうる。

-人数オーバーの場合のパーティメンバー管理
--新規メンバーが加入してくる場合、パーティーメンバーが満杯(4人)だと人数制限で加入できない。1人外して来ることを要求されるため、非常に面倒。
--ペットのタヌキを仲間にする際
---スズメバチの巣を何度も渡すと仲間になっているが他のペットを連れている場合いったん出直してくる必要になる。その際はスズメバチの巣も再度取って来る事になる。
--これが特に難儀なのがDr.ポー加入時。
---彼が仲間になるのはボス戦の後に引き返す途中にいるのだが。しかもその場所に預かり屋は呼べないため出直してくるのが手間である。
---そもそも、この施設はボスを倒すために向かった場所であり、4人から1人外して行く理由が一切ないので、多くのプレーヤーがこのように手間取ったのは想像に難くない。

-ペットのステータス画面が難儀
--一応、ステータスは全員を見ればわかるが、耐性は見られない。
--耐性を見るには預かり所に預けなければならず、不便である。

//-名前を入力する際に、デフォルト名が表示されていない。
//--特にペットの方は説明書にも名前が出て来ないのでプレーヤー自身で考えなくてはならない。そして後から変更する事も出来ない。
//その程度では問題点とは言い難い。デフォルメ名が出ないのはこの頃の他のゲームにもあるし、プレイヤーに名前を考えさせる事を問題点だなどと言い出したらドラクエだって問題だらけになる。

-終盤、とある理由により殆どのダンジョンに入れなくなる。
--普通にクリアする分にはさほど気にならないが、本作の雑魚敵は個性的なものばかりでダンジョンでしか出現しないものも多い。その為、それらの敵と遭遇出来なくなるのは純粋に寂しいところである。

-お使いイベントの冗長さ
--その多さは上に書かれている通りだが、中には同じ町同士を何度も行き来したり、同じ手順を何度も繰り返さなくてはならない面倒なイベントがある。

//-ラスボス戦に穴がある
//--ある超能力を使っていれば長期戦になるが楽に勝てる。
//これだと裏技的な攻略法でしかない。「その方法があからさまで誰でも分かる」とかもっと問題点足り得る根拠が必要。

''演出面における問題点''
-演出は平凡
--「魔法エフェクトを凝って作っても、どうせ何度も見て飽きるから、そこは頑張らなくていい」と言っているだけに、夕焼けの場面以外には、特筆するようなカットシーンはない。
--説明書には温度だの降雨だの記載されているが、実際に雨や雪が降って来る事もないし、曇って来たから輝度を下げるという事もない。
--マップは多重スクロールも半透明もなく、暗闇の表現も黒く塗りつぶして、懐中電灯も円の内側を表示するだけ。外との出入り口だけ明るく表示するという事もない。
--ある箇所ではポケモンフラッシュのような激しい点滅がある。それで派手さを表現したか。

-歩行グラフィックの退化
--キャラのグラフィックは16*16にまで退化している。FFVのように動きが豊かという訳でもなく、見た目も1994年製のゲームとしては物足りない。
--但し、厚着をすればグラフィックが変わるなどそれなりの演出はしている。

-フォント・文字の関係で、若干だが読み辛い個所がある。
--「自動はん売機」「海底キチ」「幻ワク」「産業はいき物」「除きょ」など、漢字とかなが混じって分かりにくい。
--フォントが若干見づらく、特に「ピ」と「ビ」の区別が付きにくい。

-潜水艦の海中の揺らぎ
--海底では画面を波形に歪める演出があるが、進行方向が上に向かうか下に向かうかで、地形の歪み表示が明らかに違う。ドップラー効果によるものだろうか。

''その他''
-マムシの毒について
--りんこ(現役女子高校生)が洞窟に入ったらそこで冒険家ムナカタ(初対面のオッサン)の''尻からマムシの毒を吸い出させられる''という悪趣味極まる展開がある。しかも野グソをした直後。%%もっとも、そういうプレイを好む人には(ry%%
---毒を吸い出した後に町へ戻ると人々から臭いという文章まで用意されている。%%立場が逆だったら良かった。(その際は腐ったタマゴを食べて腹を下したという理由が良いだろうか)%%
---挙句、この洞窟では「''生きているクソ''」という敵と遭遇する。まるで[[あのクソゲー>里見の謎]]の先駆けである。
--序盤から下品な内容というのもさることながら、マムシの毒は非常に危険であり病院に行かないと命に関わる。吸い出しても毒は抜けないどころか下手をすれば共倒れの危険性もある。
---…のだが、洞窟に猛毒を使う敵がいない事、ムナカタを放置しても吸い出しても後に元気に再会する事、これらから本当はマムシに噛まれていない、比較的無害なヘビに噛まれただけだったのではないかと思われる。本人がマムシに噛まれたと言っても必ずしもそうとは限らない。
--それでいて、このムナカタは今後もレギュラーの如く何度も登場し、しかも''ストーリー上の超重要人物''だったりする。

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**総評
当時のゲームとしては相原コージの独特の世界観をアニメーションを使い上手に表現しており、~
着替え等の意欲的な部分を取りそろえながら当時としては丁寧なゲームバランスに仕上がっていることは非常に評価が高い。難易度は若干高いが行き詰る個所は特に無い。~
もしあの『摩訶摩訶』に酷いバグが搭載されていなければ?システムこそ違うが全体的なノリは似ているため、このゲームは一つの答えになっているかもしれない。~
下品なネタやお使いイベント過多と若干人を選ぶ側面はあるものの、%%作り手たちの人品評価はともかく%%ゲームの評価を落とすほど悪いものではない。~
普通のRPGに飽きた人、高難易度は嫌だがパンチの効いたシナリオを求める人、相原コージの独特の世界観が好きな人には十分におススメできる出来栄えで、『[[仮面の忍者 赤影]]』と同様に「[[北斗の拳シリーズ]]でクソゲーを量産し悪名高かったショウエイシステム((同社は1999年に倒産した。))でもやればこれだけのことができる」ということを証明した一作でもある。

一見バカゲーであるのだが、シリアス、現実的、サプライズ、トラウマ、苛立ち、盛り上がり、幸福の要素が不思議と違和感なく共存しており、その意味で『摩訶摩訶』とも他のバカゲーとも一線を画している。~
そして鬱とバカが合わさり中和されているかのように存在するためむしろ丁度良いという変な現象が起こっている。これが本作が怪作たる最大の理由である。~
鬱ゲーに挑戦してみたいという人には案外うってつけかもしれない。

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**余談

''ゲーム内容について''
-上記画像のタイトルロゴを見てもらえれば解るが、タイトルを「イデアの目」だと思っている人もいる。

-ラスボスの断末魔は、「そんなバカな!バカな!バナナー!!」。
--「[[ウボァー>ファイナルファンタジーII]]」並にマヌケなのだが、もとがギャグだらけだからなのか、個性的でないからなのか、知名度の問題なのか、さほどネタにはされなかった。

-最高レベルは999。現在でこそそう言った作品は散見されるが、当時は正に前代未聞であった。
--そこまでやるとキャラ性能差が目立つようになる。無論そんな人はまずいないので問題無いのだが。
--最後に主人公のレベルが10あがるが、既に最大だったからと言ってバグるわけではない。つまり、わざわざレベル最大まで育てることが想定されているのである。
--ここまでやれば、パンツ一丁でラスボスを倒すことも可能である。はじめからそれをやらせるためにこんなぶっとんだレベル設定にしたのかもしれない。

-名前に「ぃ ぅ ぇ ぉ」が無い。魔訶魔訶でも同じだが何故なのか。
--ちなみに「ゃ、ゅ、ょ、ぁ、っ」はある。

-PARを使って全裸にした%%変態%%猛者がいるが、アノ部分は真黒に表示される。わざわざ用意したのか…。

-最強の隠しアイテム
--一見何もなさそうなところを調べると最強防具が手に入るというネタがある。これは『摩訶摩訶』ではデバッグコマンドを使わないと入手ができない没ネタだったが、本作では正式採用されている。

''漫画家の書籍関連''
-攻略本
--ダンジョンマップが載っておらず、かなりいびつなつくりではあるが、『摩訶摩訶』に関する裏話も少し掲載されている。また攻略本の製作にはかのゲームフリークが関わっている。
--作中でもパクリが多いがそれについては「パクリじゃないものはこの世には無い」と言っている。

-本作発売当時、相原氏がヤングサンデーで連載していた『ムジナ』という漫画で、漫画に関するクイズに正解すると抽選で本作が当たるというキャンペーンがあった。なお『ムジナ』は「シリアスなストーリーに実験的な演出やギャグをちりばめる」という点で本作と共通するものがあると言える漫画であった。

-別冊漫画ゴラクにて、相原コージ氏によるゾンビ・パニック・ホラー漫画『Z~ゼット~』が連載していた。同誌の休刊に伴い連載終了を余儀なくされる。全3巻。
--相原テイストのユーモアは健在ながら、ゾンビパニックらしくグロ&鬱要素満載の内容であり、救いのない展開が多い。ある意味、本作の鬱、ショッキング、悲しみと言ったネガティブな面を突き詰めた作品とも言える。
--主人公的なキャラとしてこちらでも凛子(りんこ)と言う女学生が登場。本作のりんことはセーラー服を着ているぐらいしか共通点は無い別人だが、こちらは薙刀の名手となっており、ゾンビの蔓延る絶望的な世界で逞しく戦っている。しかし最後は本作のりんことは真逆の衝撃的な結末を迎える。

-noteにて
--「相原コージ スーパーファミコン全仕事」というタイトルで、本作と『摩訶摩訶』のイラスト、キャラデザ原画、ラフスケッチ等計455ページに及ぶ資料が販売されている。

-書籍『ゲーム超絶テクニック Vol.3 大好き♥ スーファミ倶楽部 mini』
--本誌の目玉は「摩訶摩訶」と「イデアの日」
---100ページくらいであらゆるゲームについて解説された書籍であるが、中でも「摩訶摩訶」と「イデアの日」は10ページ近くにわたって特集レベルで組み込まれており、相原コージ先生の制作話が漫画で7ページにわたって描かれている。
--発売時期が『[[FFVI>ファイナルファンタジーVI]]』と被ってしまった。
---色々と御多忙につきゲームの完成は予定より1年遅れてしまった。それにより本作が94年3月18日発売になりその翌月の4月2日に「FFVI」が発売される。そのため全く売れなかった事、それに激しく絶望しゲーム制作を辞められた事も書かれているが、これは先生だけではなく我々にとっても大きな損失と言えるだろう。
---ちなみに当時のクロスレビューは25点(6点、5点、6点、8点)である。ちなみに摩訶摩訶は20点(6点、5点、5点、4点)。
//--その後
//---2016年個展を開かれた際に本作のファンが多い事を言われ、22年ぶりにゲームを始められた。それは『ポケモンGO』だ。
//ちょっと文章がおかしくて意味が分からない。作者の事を言っているのか。

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