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アンダーカバーコップス - (2021/03/13 (土) 19:46:18) のソース

*アンダーカバーコップス
【あんだーかばーこっぷす】
|ジャンル|ベルトスクロールアクション|&image(https://www.suruga-ya.jp/database/pics/game/167000941.jpg,height=160)|
|対応機種|アーケード|~|
|販売・開発元|アイレム|~|
|稼働開始日|1992年|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|''ヒヨコも食料だ!''&br;難易度そのものは相当のもの|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
西暦2043年、大災害によって荒廃しきった地球は悪人が跋扈するなど治安の悪化に悩まされていた。事態を解決すべく、統合軍政府は「シティスイーパー」と呼ばれる傭兵の派遣を依頼した、という設定のベルトスクロールアクションゲーム。全5面。

本作は他のアイレム作品『[[エアデュエル]]』『[[海底大戦争]]』『ジオストーム』と世界観を共有しており、それらをまとめて敵組織の名前(デストロイ・アンド・サツジン)から『D.A.S.四部作』と呼ばれている(本作は2作目)。~
ちなみに『海底大戦争』の操縦士(2P側)高原仁は本作の主人公の一人・ザンの兄という設定となっている((1P側も仁の妻なので義姉である。))。

**特徴
-8方向レバー+2ボタン(攻撃、ジャンプ)で操作。基本的な操作体系はファイナルファイトに準ずる。
--方向レバーを同じ方向に2度押しするとダッシュ可能。
--武器アイテムに投げて使う事の出来る鉄のブロックやジープ、''冷凍マグロ''や、リーチが長く攻撃力も大きい鉄柱や''地中から引き抜いて使う電柱''がある。
--空中でキャラクターごとに異なるコマンドを入力すると、体力を約3割消費して画面上の敵に大きなダメージを与える超必殺技が使える((北米版は使用できない))。
--通常は2人同時プレイまでだが、基板によっては3人同時プレイが可能である。

-プレイヤーは元空手家のザン・タカハラ((漢字表記は「高原 斬」。超必殺技の「斬気弾」の名は彼の名前から取られている。))(スピード型)、元アメフト選手のマット・ゲーブルズ(パワー型)、紅一点のローザ・フェルモンド(バランス型)から一人選んでプレイする。
--ローザは恋人募集中という設定であり、その事がOPデモのキャラクター紹介や''インストカードに記載されている。''((ただし別のインストには「恋人なんてまずムリだ」とも書かれてしまっている。))

-査定システム
--本ゲームにおいては体力ゲージの下に☆マークで示される「芸術点」があり、敵を倒したり、ステージ内に落ちている勲章を取ると増加する。レバー↓を入れっぱなしにして連続技やつかみ技を決めると「大技」に変化し、これで敵を倒すと通常1点の芸術点が2点入る。
--また、ボスを「超必殺技」で倒すと大きく芸術点が増える。ステージをクリアすると、''ステージ内に出現したザコやボスのボコボコにされた顔が映し出されつつ''得点及び芸術点の精算画面になる。
--芸術点がステージごとに設定されたボーダーラインを上回っていると「合格」とみなされ、体力が回復する(フル回復ではない)。下回っていると「不合格」とみなされ、体力は回復しない。「合格」判定を2度出す度にエクステンドとなる。~
体力回復やエクステンドを狙うためにも、ステージ内で芸術点を意識して稼ぐ事は必須である。

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**おバカな点
''敵キャラクターは変な奴ばかり''
-ムエタイ選手か何かのようにマゲを結っている雑魚の「ドゥービィー」、バットで攻撃してきてプレイヤーキャラクターがダウンするとゲラゲラ笑い声を上げる巨漢の「マカク」、ピョンピョンと片足で飛んでいるかと思うと突然えびぞりキックで攻撃してくるパンク女の「フォックス」などなど。~
変なマスクを装備した「ハサミマン」と呼称されるキャラクターは、両手にハサミを持ち、「シネシネ」と挑発しながら背負ったジェット噴射装置を生かした上空からの高速突撃攻撃を仕掛けてくる。強敵だが、やられると''「だめだぁ~!!」''と特徴的なボイスを残し爆死する。

ボスキャラクターはイカレっぷりにさらに磨きがかかっている。
-1面のボス「パークス」は初めは人間の姿だが、ダメージを与えると「お手伝い用の人間型ロボット」の姿を露わにする。画面右にはプレス機があり、掴まれるとプレスに投げられてしまう。その状態で押しつぶされてしまうと即ミスとなるが、逆にプレイヤー側がボスを画面右に投げ、プレス機で押し潰すと即ステージクリアとなる。
-2面のボス「フランソワーズ」はモヒカン頭でピンクの服を着た太った女性。背負った削岩機で地面を叩きつけ、上から降ってくる物でプレイヤーを攻撃する。体力が減ると泣き叫びながら画面をうろつき回るようになる。
-3面のボス「モグラリアンβ」は片言の日本語で「コニチワ!」と喋るモグラ男で、4面のボス「バルバロッチ」は妙な奇術師、ラスボス「Dr.クレイボーン」に至っては自ら肉体改造したマッドサイエンティストなのだが、背中から飛び出したアレな突起物が光弾を撒き散らす有様。流石『R-TYPE』の制作メーカーだけのことはある…。

''異質過ぎる体力回復手段''
-''画面上をうろつくヒヨコ、ネズミ、ニワトリ、カエル、カタツムリ、豚を拾うと「DELICIOUS!」「GOOD!」というボイスと共に体力が回復する。''事実、''インストカードに「ヒヨコも食料だ!」という文言がローザがヒヨコを手にするイラストと共に書かれている''((ただし、旨そうと目を光らせるではなく、戸惑っている表情である。))。一応、地面に落ちているティーセットなどの調理品を拾って回復というお馴染みの手段もある(常識的な話をすれば、どちらもおかしいのだが)。
-「プレイヤーキャラを追いながら画面をうろつく」という性質上、本作では[[回復アイテムを出現させたまま長い距離を移動出来る>ラッシング・ビート乱 複製都市]]というベルトアクションでは掟破りの芸当が出来る他、食べ物をとると短時間ながら無敵状態になるので、ボス戦にヒヨコを連れて行く→ヒヨコを取って無敵のうちにボスを掴みに行く、が戦術として成立してしまう。
-後述のギャグ漫画版はこの事が更に強調されていて、人間の子供を食べそうになった事もある。捨てられていた子猫は食べた((正確には遠景で「デリシャス」等の吹き出しが浮かび、次のコマで空になった「拾ってくださいと書かれたダンボール箱」が写っていた。))。

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**評価点
-描き込まれたグラフィック
--制作・販売元のアイレムはR-TYPE等綿密なグラフィックのゲーム作品に定評があるが、本作もそれらの例に漏れず良く描き込まれている。
--ゲームの舞台は日本とされているが、とても日本には見えない。しかし『北斗の拳』をモデルにしたかのような荒廃しきった世界観が、良い意味で薄汚いドットグラフィックで表現されている。
--それでいながら各種キャラクターも動きまくるのも実に魅力的と言わざるを得ないだろう。

-良質なBGM群
--本作は荒廃した日本が舞台ではあるが、それに対してBGMは殺伐とした雰囲気を吹き飛ばすかの如くノリノリな楽曲が揃っている。
--特に4面や最終ステージBGMは後半の山場という事も相まって人気が高い。
--他、ローザでクリアした際には''スタッフロールBGMが歌詞付きの物に差し替えられる''という衝撃の演出も存在する。

**問題点
-ゲームの難易度は高い。
--査定の条件次第によってはステージクリア後に体力が回復しないという仕様に加え、プレイヤー側の縦横両方向の攻撃判定がザコよりも弱いので、パンチの連打だけでなく、ダッシュ技、つかみ技、ジャンプ技を使い分けないとクリアは出来ない。敵の攻撃力も全体的に高い。~
なかでも上述の「ハサミマン」は動きが素早い上に攻撃判定が強く、鉄柱や電柱が無い場合、同時押し必殺技か超必殺技を使わないと倒すのは非常に難しい。
--ボスも、パークスはいいとして(弱くはない)、フランソワーズから先は攻略パターンを確立しなければ手も足も出ない。相手の攻撃判定が基本的に強い上に似た行動パターンを持つボスがいないせいである。しかもどいつもこいつも体力が減ると行動が変わるため少なからずパターンを崩される。

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**総評
精緻なグラフィック、コミカルなテイスト、様々なギミック、高いデザインの独自性などから客付きは良かったが、高難易度により客が離れるのが早かった。~
ザコにも苦戦し、ボスはハメパターン以外で倒すのは極めて困難。1面だけならそこそこ遊べるが、それ以降は遊びの要素など無いといえるほど、で面白みを感じられるのはごく一部なのも当然だろう。

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**家庭用移植等
-''SFC版''(1995年)
-バリエ(開発はアイレム)から販売された移植版。
--キャラクターが多少小さくなった他は内容はほぼ業務用と同一で、グラフィックの描き込みや操作性も良好であるが、1人プレイ専用である。
--ただ、AC版で出来た「回復アイテム出現させながら長い距離を移動する」というテクニックが出来なくなっているので、若干だが難易度が上昇している模様。
--SFC末期に発売された為流通量が少なく、現在入手は非常に困難である。

-''GB『アンダーカバーコップス 破壊神ガルマァ』''(1993年12月10日)
--GBで発売された派生作品。
--ゲームジャンルがベルトアクションからカードバトルすごろくに変更された他、タイトルの通りストーリーも変更されている。
--同作は3DS『パチパラ3D 大海物語2 ~パチプロ風雲録・花 希望と裏切りの学園生活~』にも収録されている。

**『メタルスラッグ』シリーズにおいて
-AKIO氏を代表とする本作を開発したスタッフは旧アイレム倒産後、新たにナスカを立ち上げ『[[メタルスラッグ]]』シリーズを開発している。
--同シリーズでは本作からコミカルな演出群や、本作のローザEDの歌詞を彷彿とさせるスタッフロール、特有の回復手段を彷彿させる演出を引き継いだ何でも得点アイテムになるシステムも存在している他、他の「D.A.S.四部作」の演出やグラフィックの描き込みも受け継がれている。~
ゲームシステム的には『ジオストーム』の方が近いが。

**余談
-「コミックゲーメスト」にて本作の漫画版が連載されていた。もっとも、キャラクター設定を利用しただけのギャグマンガだが。
--世紀末救世主もどこへやら、何やら昭和を感じさせる時代設定になっている。「なんでも食べ物なのは貧乏だから」と理由が付いているため、ザン達はホームレス寸前のボロ安アパート住まい。ローザは割りとマシな性格だが、ザンは働きも何もしない、マットはパワーバカでなにかと暴走して床や天井を破壊する。敵ボスだったはずのフランソワーズが近所のおばさんだったりなど。最終盤では一転してシリアスになったりするが、結局ゲームとはほぼ全く関係無い。
---ちなみに原作の彼らは決して貧乏ではない。法外な報酬を受け取るが凄腕のスイーパー(掃除屋)として知られており、今回の事件でもちゃんと報酬を貰う予定がある(マットのエンディングの台詞で確認できる)。
--作者の古葉美一氏は後の18禁エログロ漫画家で有名な「氏賀Y太」氏である。

-ロケテスト時のバージョンでは、何と操作系が4方向レバーになっていた。
--このため斜め歩きなどができなかったが、代わりに2面ボスなどが今とは比べ物にならないほど弱かったりした。他にもローザの超必殺技「アークセイバー」で''下乳が見えていた''のだが、残念ながら正式製品版ではカットされてしまった。((ちなみに、開発スタッフのインタビューでは「恋人兼パートナーであったトーマスを悪人に殺された怒りから身に付けた技がアークセイバー」であることが明かされている。))

-『[[R-TYPE FINAL]]』のSTAGE1.0にて敵機として登場する赤いゲインズは、本作マット・ゲーブルズの専用機だったという設定が付加されている。