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クイズ殿様の野望 - (2022/01/21 (金) 23:22:28) のソース

*クイズ殿様の野望
【くいずとのさまのやぼう】
|ジャンル|クイズゲーム|&image(qtono-01.png,height=200)|
|対応機種|アーケード|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|稼働開始日|1991年1月|~|
|プレイ人数|1~2人|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|国取り合戦とクイズの融合作&br()人気を博し多機種に移植|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
-アドベンチャークイズ カプコンワールド(1989年)・ハテナ?の大冒険(1990年)に続く同社のクイズゲーム第3弾として1991年1月にリリース。それまでのスゴロク形式によるゲーム進行スタイルを一新、実在した8人の戦国大名の中から1人をプレイヤーキャラとして選び、国取り形式でを領土拡張を目指す。
-メインとなるクイズシーンは従来作同様、一問一答・4択のクイズ形式で進められ、お手つきが全て無くなる他、10問以内にノルマを達成できなかった場合にゲームオーバーとなる。
-2人同時プレイが可能であり、2プレイヤー側は選択した大名の配下武将となる。
-登場する大名はそれぞれゲームを有利にする特殊能力を保持しており、徳川家康以外は敵との対戦時にランダムで発動する。
#region(使用可能大名)
|&image2(qtono-06.png,width=200)|織田信長&br()戦国の風雲児。時代のすべてを超越した野望家。&br()鉄砲隊の出撃によりクイズが3択になる。2P側の担当武将は羽柴秀吉。|
|&image2(qtono-07.png,width=200)|徳川家康&br()天下を盗れるか?三河武士団の若大将。&br()他の大名よりもお手つき数が増えやすい。2P側の担当武将は本多忠勝。|
|&image2(qtono-08.png,width=200)|武田信玄&br()風林火山。戦国時代最強の騎馬隊を誇る。&br()騎馬隊がクイズの不正解を2個消し、2択にしてくれる。2P側の担当武将は武田勝頼。|
|&image2(qtono-09.png,width=200)|上杉謙信&br()越後の虎。正義を貫き通した天才的兵法家。&br()車懸の陣を敷くことによりジャンルセレクトが可能。2P側の担当武将は上杉景勝。|
|&image2(qtono-10.png,width=200)|北条氏康&br()関東制覇を目指す知勇兼備の名将。&br()夜襲を仕掛けることによりジャンルセレクトが可能。2P側の担当武将は北条氏政。|
|&image2(qtono-11.png,width=200)|毛利元就&br()中国地方の覇者。戦国一の知略の将。&br()毛利水軍がクイズの不正解を2個消し、2択にしてくれる。2P側の担当武将は毛利輝元。|
|&image2(qtono-12.png,width=200)|三好長慶&br()将軍の座に最も近かった男。&br()三好三人衆が援軍に駆けつけ、ジャンルセレクトと3択ができる。&br()特殊能力を2つ持つ唯一の大名だが、史実同様寿命が短い。&br()2P側の担当武将は松永久秀。|
|&image2(qtono-13.png,width=200)|長宗我部元親&br()僅か一代で四国を平定した若き英雄。&br()奇襲を仕掛けるとジャンルセレクトが出来る。2P側の担当武将は香宗我部親泰。|
#endregion

**ルール

#region(画像)
&image2(qtono-03.png,width=600,center)
#center(){右・全体マップ画面。最大8国が攻撃対象国になる。/中・クイズ画面。/右・ジャンルセレクト画面、序盤は2個だけ。}
#endregion

-1560年の春からゲーム開始、4ターンで1年が経過する。
-全体マップ画面から攻撃する国を任意で選択し、設定されたノルマ数をクリアできればその国を領土にすることができる。ノルマ数は国ごとに異なり、城の防御力とその国にいる武将の武力の合計値により、1から8までの幅で設定されるが、ランダムで敵がノルマを1つ減らしてくれる他、ジャンルセレクトをさせてくれることもある。
-基本的にプレイヤーが攻撃を仕掛けていくことでゲームが進行していくが、COMに攻めこまれ防衛側に回る場合があり、ノルマを達成できなかった場合はその国は敵に奪われることとなる。
-クイズの選択肢を囲む枠が制限時間を表すタイマーとなっておりこれが一周する間に回答しなくてはならない。正答した時点での残り時間が得点に加算され、短時間で正解すれば速さに応じて10,000~1,000点が上乗せされるため、早く答えるほど高得点が得られる。
-ゲーム中に豊作・南蛮商人来訪・陣中見舞いなどのイベントが発生することがあり、おてつき数の回復や次の戦争でジャンルセレクトが可能になるなどプレイヤーを手助けしてくれる。ただし凶作だけはタイマーの減りが早くなるマイナスイベントである。
-特定の国を領有すると軍師が仕官し、ランダムでジャンルセレクトが使えるようになり、ジャンルセレクトの選択ジャンルも増える。

#region(画像)
&image2(qtono-04.png,width=600,center)
#center(){ゲーム中におこるイベント。軍師は山本勘助の他、宇佐美定満・竹中半兵衛・黒田如水}
#endregion

**評価点
-日本人に馴染み深い戦国大名をプレイヤーキャラとして操作し、歴史シミュレーションのように小難しいことを考えずに手軽に楽しめるクイズゲームに仕上げた本作は好評を博し、反射神経を必要としないことからアクションゲームが苦手な歴史ゲームユーザーの獲得にも成功した。本作で培われた基本システムやゲームスタイルは、『殿様の野望2』(以下2と表記)や「クイズ三国志・知略の覇者」などに受け継がれている。
-攻め込む国を選択するだけですぐにクイズが始まるシステムを採用、スゴロクマップ形式のため、「カード選択画面(進むマスの数を決める)→カードをめくる→キャラがマップ上を移動→クイズ開始」とテンポにやや欠けた1・2作目に比べ、よりテンポよくゲームが進むようになった。
-自由度の高い攻略法。どの国を攻略するかはプレイヤーの自由。強い国を序盤に潰し安全地帯を確保しながら堅実に攻めるもよし、強い国をわざと残し、攻め込ませることによりスコアを稼ぐのもよしと、様々な進め方が可能。
-各大名にテーマ曲が用意され、マップ画面にてそれらを聴くことができる。しかし周りが騒がしいゲームセンターでは聞き取り辛い上、制限時間内にマップ画面から抜け出る(攻撃国を選択する)必要があるため、1ループ聞くことが出来ない大名曲がある。
-複数国を領有する大名を退却させずに討ち取れば、全ての国を奪える「総取りシステム」を採用している。ただし、クイズバトルの機会が減り、その分スコアを稼げなくなるので「稼ぎプレイ」をしている人は注意しなくてはならない。

#region(画像)
&image2(qtono-05.png,center)
#center(){総取りしたくない人は大名の所在国(国番号が明るくなっている場所)を避ける必要がある。}
#endregion

-特定の大名同士では有名な戦いのイベント(例:武田で徳川に攻め込むと三方ヶ原の戦い)が起こり単調さを緩和させている。
--これは1 つのノルマをクリア=一部隊を突破となり大将を倒すまで複数のノルマをクリアするというもの。各敵部隊ごとにジャンルセレクトや二択などを選択できる。

**問題点
-大名の個性が希薄。紹介文の文言が多少違えども武田・毛利は共に2択、3択の織田はこの2人の下位互換、上杉・北条・長宗我部はジャンルセレクト、水軍を擁するため海戦に強い、騎馬隊だから野戦に強いなどということは無く、特殊能力が同じならば、違いはゲーム開始時の領有国と顔グラだけというになる。

-10問以内にノルマ達成できないと、お手つきがいくら残っていても即ゲームオーバーとなってしまう。
--ただしコンティニューした場合は問題数がリセットされるため、ノルマの多い後半はともかくゲームオーバーの方が早い事が多い。またゲームオーバー確定中に途中参加した場合はゲームオーバーまで参加待機となるため、クレジットが無駄になることはない。
--これは「クイズカプコンワールド」以来延々と残っていたゲームオーバー要素でもあったが、続編の『~2』で、お手つきが1つ減るだけに緩和された。

-ゲームを進行させないとジャンルセレクトのジャンルが増えない。歴史・ゲーム・グルメ・スポーツ・地理などのジャンルが用意されているがゲーム序盤はこれらの中から2つしか選択ジャンルに上がらないため、ジャンルセレクトの意味をあまりなさない。ジャンルを増やすためには全国に散らばる軍師を多く集める必要がある。

-コンティニューしてもスコアがリセットされない。『天地を喰らうII』や『マジックソード』のようにスコア末尾でコンティニュー回数がわかる(コンティニューする毎に1点ずつ加算される)システムを採っていないため、傍目には1コインで記録したスコアかどうかがわからない。この点を反省したのか続編の2では継続プレイの回数により、エンディングが変わるマルチエンディングを採用、ゲーム終了後に表示されるハイスコアにもコンティニュー回数が表示されるようになった。

-ゲームタイトルからもわかる通り光栄の人気歴史シミュレーションソフト『信長の野望』を意識して制作され、本作に於いて使用されている九州・東北地方が割愛されたマップは、『[[信長の野望 戦国群雄伝]]』のそれと酷似し、各国に割り振られている国番号も全て同じである。この九州・東北地方が存在しないマップのため、島津・伊達といったこれらの地域の有力大名が使えない。

-大雪イベントが起きると、北陸だろうが四国だろうが東海だろうが全ての領土でのクイズでノルマが減る。ちなみに続編ではこれに相当する洪水・地震・大雪イベントは被災した領土に限定され、それぞれ被災しやすい地方が設定された。

#region(画像)
&image2(qtono-02.png,center,width=600)
#center(){左が戦国群雄伝マップ・右が本作マップ}
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**総評
それまでのゲームセンターに設置されていたクイズゲーは、ただ出題されるクイズを解き続ける、決められた一本道をクイズを解いて進むというゲーム性に限られていたが、国盗り戦略SLGの要素をクイズゲームに採用したことでプレイヤーにゲーム進行の自由度を与えた画期的なゲームと言える。~
しかし、後半になると敵国増強によりクリアノルマが8問にほぼ固定(10問以内に国を落とせないとゲームオーバーになるので、お手つき数が幾らあろうと実質ミス許容が2問までになる)となるシステム上の難易度上昇に総問題数の少なさ(約3000問)と熟達したプレイヤーがスコアアタックを行うと、わざと敵に攻め込まれやすくなるような国盗りによる点数稼ぎでプレイ時間が1コインで1時間を超えるので(これは同社のクイズ三國志、クイズ殿様の野望2全国版でも改善されず)客層によりインカムにかなりの差がでるゲームでもあった。~
手を加えればさらに良くなる所はあるが、それが成されなかったある意味惜しいゲームとも言える。

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**移植版
-''PCエンジン CD-ROM2版''(1992年10月10日発売)
--業務用をほぼ忠実に移植、メディアがCDとなったことからBGMがCD-DA音源となり、より迫力あるものとなった。ただしボイスは業務用のものを流用している。
--全体マップ画面における時間制限が撤廃され、各大名のテーマ曲はフルに聴ける様になる。
--クレジット数が最大9までとなり、業務用のようにクレジットにものをいわせるゴリ押しプレイが不可能となった。

-''メガCD版''(1992年12月25日)
--シムスより発売。正式タイトルは『カプコンのクイズ殿様の野望』。
--クレジットを増やすことができるミニゲームが加わるなど、新要素が加わったアレンジ移植。グラフィックも業務用と相違点が多い。
--オープニングのナレーションやクイズ開始前の前口上を始め、問題文も全て音声付で出題されフルボイス仕様となる。ただしキャラクターのボイスも業務用と異なり新録されている。


-''PC-9801版''(1993年4月24日)
--システムソフトより発売。正式タイトルは『クイズ殿様の野望 全国版』。
--その名の通り九州・東北地方を加えた全国マップとなり、選択可能な大名として大友宗麟・島津忠良・伊達晴宗・最上義守が追加された。
--天下統一シリーズで有名な同社のタイトルのため、マップは天下統一同様、リアルな日本地図を使用している。
--アーケード版とは異なり、20問以内にノルマクリアできない場合はゲームオーバー&撤退となる一方で、コンティニューしても第1問とはならずそのまま問題数が通算されるようになった。
--領土の増加やストレージを備えたパソコンということもあってか、移植作の中で唯一ゲームを途中で中断できる機能を備えている。
--後にアーケード版の続編が『クイズ殿様の野望2 全国版』としてカプコンからリリースされているが、本作はあくまで初代をベースにした作品となっている。