''アットウィキの仕様上、ページ名に「/」(スラッシュ)を連続して使えないため、ページ名を『.hack/感染拡大 Vol.1』としています。'' ---- *.hack//感染拡大 Vol.1 【どっとはっく かんせんかくだい ぼりゅーむわん】 *.hack//悪性変異 Vol.2 【どっとはっく あくせいへんい ぼりゅーむつー】 *.hack//侵食汚染 Vol.3 【どっとはっく しんしょくおせん ぼりゅーむすりー】 *.hack//絶対包囲 Vol.4 【どっとはっく ぜったいほうい ぼりゅーむふぉー】 |ジャンル|アクションRPG|CENTER:&amazon(B00006671P)&amazon(B00006BXPG)|CENTER:&amazon(B00006IQRE)&amazon(B00006IQRF)| |対応機種|プレイステーション2|~|~| |発売元|バンダイ|~|~| |開発元|サイバーコネクトツー|~|~| |発売日|Vol.1: 2002年6月20日&br;Vol.2: 2002年9月19日&br;Vol.3: 2002年12月12日&br;Vol.4: 2003年4月10日|~|~| |定価|5,800円|~|~| |プレイ人数|1人|~|~| |レーティング|CERO:全年齢対象((廉価版で付与されたレーティングを記載。))|~|~| |廉価版|PlayStation2 the Best((『Vol.1』と『Vol.2』・『Vol.3』と『Vol.4』のセット。))&br;2006年3月2日/各2,800円|~|~| |判定|なし|~|~| |ポイント|前代未聞の4分割販売&br;ストーリー&キャラは完成度高し&br;アクション面では微妙&br;カオスなクリア後のお楽しみ|~|~| |>|>|>|CENTER:''.hackシリーズ''&br;''.hack'' (fragment) - [[G.U.>.hack/G.U. Vol.1 再誕]] - Link - Versus| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 架空のオンラインゲーム「The World(ザ・ワールド)」を軸に、ゲーム世界の内外で起きる事件の謎に立ち向かうプレイヤーと人々の姿を描くメディアミックスプロジェクトである「.hackプロジェクト」の中心となったアクションRPG。~ [[オンラインゲームを題材にした作品>ソードアート・オンライン -インフィニティ・モーメント-]]は今でこそ別に珍しくもないが、''本シリーズはその「先駆け」と言っても過言ではない''。~ タイトルは何も知らない人は「ハック」と読んでしまいそうだが、「.」まで含めるので「ドットハック」が正しい。~ メディアミックスは伊達ではなく、OVA、小説、コミックスと様々な媒体で本作は展開された。一般的なメディアミックスと異なるのは、これら一連の媒体で繰り広げられる物語はそれぞれ異なり、全てを見ることで初めて『.hack』という物語全体の構造を知ることができる点にある。~ 中でも本作に先行して放送開始されたTVアニメ版「.hack//SIGN』は本作の前日談にあたり、本編とも密接な関係にある。オンラインゲームが舞台という事もあり、両作品間でデザインが酷似したキャラも多数登場する。~ 本作にも『''.hack//Liminality''』という、本編と同時期に現実世界で起きた事件を描くOVAが一作毎に付属している。Best版には付いていないが、『SIGN』のDVDボックスには収録されている。~ 前代未聞の3か月の間をおいての、4作品連続発売が話題を呼んだ。~ 海外版も発売されており、サブタイトルはそれぞれ『感染拡大』→『INFECTION(感染)』・『悪性変異』→『MUTATION(突然変異)』・『浸食汚染』→『OUTBREAK(増加)』・『絶対包囲』→『QUARANTINE(隔離)』と原題の一部を訳した物になっている。~ &br **物語 ごく普通の中学生である主人公は友人に誘われ「The World」という有名なネットゲームに参加することになる。~ 双剣士PC(プレイヤーキャラ)「カイト」を作成し、友人のPC「オルカ」に導かれつつ初めてのネットゲームを楽しむ主人公は、謎のモンスターに追われる少女に遭遇する。~ 当初はゲーム内のイベントと思っていたものの、彼らの前にあの少女が再び現れ、オルカに謎の本を差し出した。~ だがその直後、先程の謎のモンスターが出現。熟練プレイヤーのオルカですら一方的に倒されてしまい、主人公もシステムエラーによってログアウトさせられた。~ その後、友人がリアルで意識不明になったことを知った主人公は、真相を探るため「The World」へとログインするのだが、~ 同じく初心者のブラックローズとパーティを組んだ矢先、ウイルスに侵食されたモンスターと遭遇してしまう。~ ダメージを与えられない「ウイルスバグ」を前に、主人公はあの少女の声を聞く。~ それと同時にオルカが受け取ったはずの本が開き、主人公のPC…カイトに力を与えた。The Worldの理、即ちシステムに干渉する力を。 &br **キャラクター #region(詳細) -主人公(デフォルトネーム「カイト」):双剣士(CV:相田さやか) --PC名とリアルの本名は自由に変更可能。前述の通りネットゲームは初体験。意識不明になった友人を救うべく「The World」の闇を調べていくことになる。 --アウラによって授けられた「黄昏の書」により、データの改竄・ハッキングを可能とする「腕輪」を得たことで、仕様を逸脱した存在となる。 --あまり自己主張の強い性格ではなく、どちらかと言えば引っ張られていくタイプ。しかし物語の進行に伴い、主人公らしく成長していく。 -ブラックローズ:重剣士(CV:浅野真澄) --本作のヒロイン。カイトと同じく、「The World」になにかを感じているらしい。「The World」について調べているのは理由があるようだが…? --出会ったばかりの主人公を怒鳴りつけるなど気の強い性格。だがストーリーが進むと時には女の子らしい表情を見せることも。 ---また彼女の性格を反映してか、このキャラクターのパラメーターは攻撃力にやたら特化している。 -オルカ:剣士(CV:増谷康紀) --主人公の友人。リアルの名前は「ヤスヒコ」。二つ名を「蒼海のオルカ」という凄腕のプレイヤー。 --初心者である主人公のためにわざわざ簡単なダンジョンを探しておくなど気の利く人物。しかしそれが仇となり謎のモンスターに襲撃され、意識不明となる。 -アウラ:?(CV:坂本真綾) --オルカが探しておいた簡単なダンジョンの中で謎のモンスターに襲われていた少女。 --その正体については本作では詳しく明かされない。メディアミックス作品を見ることでより深く理解できるだろう。 -バルムンク:剣士(CV:檜山修之) --二つ名は「蒼天のバルムンク」。その名の通りオルカの相棒であったハイレベルなプレイヤーである。背中の翼は高難易度ミッションクリアの報酬。空も飛べるがなぜか戦闘では使わない。 --主人公を危険な存在とみなしているが、それも「The World」を愛しているため。不正を嫌う潔癖症な一面もある。 -ヘルバ:呪紋使い(CV:冬馬由美) --度々主人公の前に姿を見せ、力を貸す謎の女性PC。どうやらプレイヤー側ではなく、開発側に近い人間のようだが…。 ---クリア後のおまけで彼女を仲間にすることもできるが、全パラメーターカンストの完全チートキャラである。 -ミア:剣士(CV:高山みなみ) --本来なら存在しないはずの猫のような外見のアバターをしたPC。それ以外にもカイトの能力を知っているなど明らかに普通のPCとは異なる。 --外見通り猫のように気まぐれでいたずら好きな性格をしている。彼女のいたずらが元になるサブイベントもある。 -エルク:呪紋使い(CV:斎賀みつき) --ミアを慕う少年。ミアがいなくなると途端に不安になる。心優しく回復アイテムと回復スキルは欠かさない。 --引っ込み思案な性格。ミアに対する好意は憧れを通り越して依存心にまでなっている。 -ミストラル:呪紋使い(CV:榎本温子) --とあるダンジョンで主人公に遭遇し、その不思議な力を見たプレイヤー。 --当初は主人公の周りで起きる不思議な現象をゲーム内のイベントと考えていたが、後にある程度の真相に近づく。その後彼女はある決断を下すことになる。 -リョース:管理者(CV:西村知道) --「The World」の管理を任されている人物。アイテムショップの店員の姿でよく現れるが、姿は固定ではなく頻繁に変わる。 --管理者と言ってもさほど立場が上なわけではなく、中間管理職に近い。そのため「The World」内の真実も知らされていなかった。 -ワイズマン:呪紋使い(CV:山崎たくみ) --「ワイズマン(賢人)」の名の通り様々な事情に通じた情報屋。多数のプレイヤーに尊敬される存在。 --主人公たちに興味を抱き協力を申し出、以降は参謀的な立場になる。メールなどからするとリアルの年齢は意外に幼いようだ。 #endregion() &br **特徴 ***The World -本作の主な舞台は前述の通り「The World」というネットゲームになる。 --このため作中に登場するキャラクターは全て現実に存在する(という設定の)人間が操作しているキャラである(一部例外あり)。 -基本的なジャンルを言うならば「アクションRPG」だろう。 --現在の装備品によって使えるスキル(技や魔法)は変わってくるシステムになっている。 -「The World」の基本的な流れは、「ルートタウン」と呼ばれる街で仲間を募ったり装備を整え、「カオスゲート」という装置から冒険に旅立つ。 --特徴としては固定のダンジョンやフィールドが存在せず、「カオスゲート」に3つのエリアワードを打ち込むことによりフィールドやダンジョンが生成される独特のシステムがある。 --各エリアにはフィールドとダンジョンが存在する。最初はフィールドに降り立ち、ダンジョンを探して進入する。ダンジョンの最深部にはアイテム神像と呼ばれる像と宝箱があり、クリア報酬となるアイテムが手に入る。それを入手すればそのエリアは取り敢えず攻略完了となる。 -他のPCとは「メンバーアドレス」を交換する事でパーティを組めるようになる。メンバーアドレスを交換した仲間とはメールのやり取りも可能。 --メンバーアドレスの無いPCともアイテムのトレードはできる。 -「The World」は複数のサーバーで構成されており、それぞれに1つずつルートタウンが存在する。 --サーバーは「Δ(デルタ)」「Θ(シータ)」「Λ(ラムダ)」「Σ(シグマ)」「Ω(オメガ)」の5種類で、Δが最も初心者向け、Ωは最も上級者向けの難易度となっている。 --エリアワードは全サーバーで共通。しかし生成されるエリア内容はサーバーによって全く異なる。 以上はネットゲーム「The World」の特徴。以下主人公が取れる独自の行動について述べる。 -主人公は謎の少女「アウラ」により「黄昏の書」という開発者が本来想定していないデータ(簡単にいうとチートファイル)をインストールされている。それにより「データドレイン」と「ゲートハッキング」という特殊な行動ができるようになっている。 -''データドレイン'' --一定以上体力を削って「プロテクトブレイク」を起こした敵に対して使用できる。データをドレイン(吸収)することで装備品やウイルスコア(後述)を手に入れ敵を大幅に弱体化できる。 --ここでしか入手できない装備品は多い。また弱体化は本当に半端でなく弱体化するため、手強い敵も簡単に倒せる(獲得経験値が少なくなるデメリットもあるが)。 ---但し、「The World」の汚染されたデータを吸収するため、リスクも当然ある。使えば使うほど主人公のPCの「浸食度」が上がっていき様々な害悪が生じる。最大まで高まると「システムエラー」が発生し、強制ゲームオーバーとなってしまう事も。 --データドレインを使わずに敵を倒せば浸食度は下がるが、後半はデータドレインなしでは倒せない敵も増えるので常に気を配る必要がある。 --データドレイン使用を重ねると、複数敵を吸収する「ドレインアーク」、入手アイテムのレア度が高いが侵食度上昇も高い「2128ドレイン」、複数体に放つ2128ドレイン「ドレインハート」を会得する。 -''ゲートハッキング'' --ウイルスコアを使いプロテクトされたエリアに無理矢理侵入する技術。 --プロテクトエリアは「開発者にとって見られたくないエリア」=「事件の真相が隠されたエリア」なので後半は主にプロテクトエリアを中心に探っていくことになる。 --ウイルスコアはウイルスバグをデータドレインして入手する他、通常の雑魚モンスターからも吸収できる事がある。 ---コアの種類はアルファベットで区別されており、ウイルスバグから入手するもの(ストーリー上で強制入手)と、雑魚モンスターから入手するもの(任意で入手)に分かれる((「The World」のモンスターは多かれ少なかれ全て汚染されているため、ウイルスバグ以外からもウイルスコアが手に入る。前述した侵食度の上昇もこれによる。))。ストーリーが進むと後者も必要になっていき、自発的に雑魚からコアを入手しないとゲートハッキングが出来なくなる。 -主人公だけではなく、その敵対する者達もゲームの仕様から逸脱したイリーガルな存在である。 -''ウイルスバグ'' --その名の通り、コンピューターウイルスに侵食された「The World」のモンスター。通常の方法ではダメージを与えることができず((名前とHP表示は文字化けで表現される。))、設定上はこのウイルスバグにPCが倒されたプレイヤーはリアルにて意識不明になるとされる。本編中は基本的に中ボスとして登場する。 --唯一の対抗策はデータドレインで、ウイルスを除去してしまえば通常のモンスターに戻るため、倒すことができる。ウイルスバグはHPは減らないが、攻撃を続けるとプロテクトブレイクは起こせるため、データドレインが通じる。 -''八相'' --「The World」の原案となる叙事詩「黄昏の碑文」に登場する「禍々しき波」とも呼ばれる8体の存在。「The World」の異変の元凶とされ、主人公にとっての最大の敵となる。 --物語の節目で大ボスとして対峙し、何体かは各Vol.のラスボスとしても登場する。 --ウイルスバグ同様、通常の方法ではダメージを与えられないため、データドレインが唯一の対抗手段となる。データを吸収すると碑文石化し、撃破が可能になる。 --しかしただ倒せば解決という単純な存在ではなく、撃破に成功する度にネットとリアルの双方に多大な影響を与えてしまうため、主人公達を悩ませる。 --また、彼らもデータドレインを使用可能で、PCがこれを喰らったプレイヤーはやはり意識不明になる。但し、主人公達は腕輪の加護によって威力を抑えているため、大量のステータス異常を喰らう程度で済む。 ***四部作 -本作はVol.1『感染拡大』、Vol.2『悪性変異』、Vol.3『侵食汚染』、Vol.4『絶対包囲』の四作品からなる四部作構成となっている。 --ストーリーは全て地続きで、Vol.1~Vol.3は「次回に続く」という形で終わる。作品としてのグランドエンディングはVol.4で迎える。 --各Vol.はエンディングを迎えるとクリアフラグが立ち、次のVol.にデータを引き継ぐ「コンバート」が可能になる。パラメーター、アイテム、装備、所持金、仲間の好感度、メール、プレイ記録などほぼ全ての要素を引き継げる。クリアフラグが立った後もストーリーは進まないが続けてプレイ可能であり、十分に鍛えてから次のVol.に映る事も可能。 ---途中のVol.から始める事も出来るが、そのタイトル毎の決まったレベルや装備品から始まる上、やり込み要素も一切手を付けていない状態なのであまり推奨されない。 --Vol.が進む毎に行動範囲が広がり、「The World」のアップデートという形で新機能が追加されていく。 -OVA『.hack//Liminality』は各Vol.に1本ずつ付属。一つにつき30分程度のアニメーションとなっている。 --ゲーム本編は「The World」をプレイする事で事件を追うが、こちらでは元「The World日本語版」開発スタッフの徳岡純一郎(CV:江原正士)を中心に、「The World」プレイヤーである三人の女子高生にそれぞれ焦点を当てつつ現実世界から「The World」の謎に迫っていく。 &br **評価点 -ネットゲームという雰囲気はかなり再現されている。 --登場人物のうち実際になんらかの事件が起きていることを認識しているものは意外に少なく、多くのキャラクターは純粋に「The World」というゲームを楽しんでいる。 ---このため主人公の周りで様々な現象がおきるのも「ゲームのイベント」と考えている者、なにかあるだろうと感じても深くは聞かない者、おそらくなにも考えていない者まで様々。このあたりも「色々な楽しみ方がある」というネットゲームらしさがある。 ---「使い道のないアイテムを集めるとレアアイテムと交換してくれる」というRPGらしいイベントもそういう変なアイテムのコレクションをしているプレイヤーという形で登場している。 --キャラクターの名前に統一感はない。そこが逆に「らしい」というか。 ---ちゃんとした理由があるキャラもいれば、多分その場の勢いで決めたであろうキャラまで。中には「ネットに不慣れだからキャラクターに本名を付けてしまった」という誰でも経験があるようなミスを再現しているキャラもいる。 ---例を挙げると「レイチェル」「なつめ」「ぴろし」「ニューク兎丸」「砂嵐三十朗」「寺島良子」「月長石」など。これらは全て''パーティメンバーに加えられるキャラである。'' ---街を歩く他のPCには同社過去作の『[[テイルコンチェルト]]』や『[[サイレントボマー]]』のキャラの名を冠した者もいる。 --仲よくなればメールで連絡をとってくるようになる。そこからリアルの人物像をある程度推察できるのが面白い。 --本作の説明書は「The World 日本語版」の説明書という体裁をとっており、その巻末にデータドレインを初めとする「.hack」の説明が載っている、という形になっている。 -演出面も抜かりない。 --ニューゲームを選択してオープニングイベントが終わった後や、データをロードしてゲームを再開すると、実際にThe Worldをこれからプレイするかのようにパソコンが立ち上がりゲーム内で使用されるOS「ALTIMIT」のデスクトップ画面が表示される演出が施されている。この演出の徹底ぶりはゲームのみならず公式HPにも表れている。 ---このデスクトップは壁紙やBGMの変更が可能。自分好みのデスクトップで「ALTIMIT」を操作している気分になれる。 --敵役の「八相」は生物性を排した無機的なデザインといい、バグを思わせる登場時の演出といい非常にカッコよく仕上がっている。 ---「八相」に並ぶ強敵として主人公と因縁を持つ「クビア」もそのおぞましく威圧的な外観からインパクトは絶大。初登場となるVol.1のエンディングはプレイヤーに衝撃を与え、これからの波乱を予感させる。 --データドレインやゲートハッキングも、サイバーチック且つバグのような目まぐるしい演出により、主人公がただネットゲームをプレイしているのではなくサイバー空間で本気の戦いを繰り広げている事を実感させてくれる。 --「The World」にログインするだけではなく、メールやBBS、ニュースサイトの閲覧を行える。 ---メールは仲間とのやり取りの他、ストーリー進行やサブイベントのフラグにもなっている。メールを受信し、それを読む事でストーリーは更に動いていく。 ---ニュースサイトも本物のように作り込まれており、世界観を掘り下げに一役買っている。単なるフレーバーでもなく、ネットから波及した現実での事件や情勢も報道され、プレイヤーに緊張感を与えてくる。 ---BBSも同様。プレイヤー達の書き込みがまたリアルで、ストーリーに関係する時もあれば全く関係ない雑談や有益な「The World」の攻略情報もある。また、''運営側に都合の悪い書き込みは削除される''という事も。 -「RPG」としては及第点の出来。 --装備品の数は一般的なRPGに比べて多彩であり、しかもそれぞれに固有のグラフィックが存在する。 ---本作のスキルは全て装備品依存となる。使いたいスキルと装備品自体のスペックの兼ね合いが重要になる。 --本作のダンジョンは、エリア侵入前にプレイヤーが複数のワードを組み合わせ、ワードに応じたダンジョンが生成される、という「エリアワードシステム」を採用している。ワードはかなりの数が揃っている為、ダンジョン数は天文学的数字となる。 ---エリアワードは非常に多彩。中には「不倶戴天の」「猫市場」「禁断の」など中二心をくすぐり、思わず「なんじゃこりゃ」といいたくなるものも多い。 -ストーリーの評価は高い。 --設定は異色だが流れは王道と言える、「特殊な力を持った主人公が仲間と力を合わせて友を救うべく隠された謎を追う」というもの。 ---しかし演出や個々のキャラクターの個性の強さにより「ありきたり感」はほとんど感じられない。 ---「特殊能力を持つがゆえに狙われる」というありがちな展開もあるがここでの敵は「The World」の管理人。つまりこの世界において絶対の権限を持つ人物であり、その管理人に歯向かわざるを得なくなった主人公はどうするのか…?という形でうまくオンラインゲームという形式を活かしている。 --後述の通り4分割販売は批判も多いが、先の気になるストーリーでプレイヤーの期待を煽る事には成功している。 ---四部作という事で各Vol.が「起」「承」「転」「結」にまとまっており、(メインストーリーの流れに限れば)メリハリのある中弛みしにくい構成となっている。 --付属OVAの『Liminality』も、「The World」という繋がりこそあれど主人公の物語とはあまり関係無さそうには見えるが、読み解けばしっかりリンクしている事が分かり、特にVol.2はゲーム本編が切っ掛けで起きた事件の現実での様子を描いた内容となっている。 ---そして最終章たるVol.4ではラスボスと対決する主人公達を『Liminality』組が間接的にサポートする形になり、明確なリンクが描かれる。 -豪華スタッフ。 --総監督に『NOIR』や後に放送開始した『ツバサクロニクル』をはじめ多数のアニメ監督を担当した真下耕一、脚本は『うる星やつら』『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』等を手掛けた伊藤和典、キャラクターデザインは『新世紀エヴァンゲリオン』で有名な貞本義之と、メンバーも然ることながらプロモーションでも大々的に名前を載せるほど開発スタッフの本気ぶりが見て取れる((パッケージのタイトルロゴの下にもこの御三方の名前が併記されている。))。 --特に貞本氏の描くキャラクター絵はプレイヤーからは非常に高い評価を受けた。 ---当初貞本氏はプロジェクト参加に消極的であったが、開発スタッフがPS2で動く綾波レイのポリゴンモデルをわざわざ製作してまで貞本氏に依頼を持ちかけ、半年をかけて口説き落とす三顧の礼を持って迎えられた逸話がある([[参照>http://www.4gamer.net/games/083/G008320/20111030004/]])。 --『Liminality』も真下監督、伊藤氏の脚本によって製作されており、更にVol.毎にSee-Sawが手掛ける主題歌が用意されている(EDテーマは全て同一)。 -サブイベントが豊富。 --仲間を増やすイベント、特殊なアイテムがもらえるイベント、プチグソという謎の生き物を餌を集めて育てるイベント、また前述の通りメディアミックス作品に隠されたワードを使ったイベントもある。 ---サブイベントで仲間にしたキャラは本筋にこそ基本的に関わらないものの、個別のサブイベントが存在し、掘り下げが行われている。勿論、メールのやり取りも可能。 ---最終盤のあるイベントにはこの任意加入の仲間達も登場し、Vol.4のグランドエンディングにも全員登場する。 --各Vol.クリア後にはここでしか手に入らないアイテムを入手するためのオマケダンジョンがある。ここのボスはいずれも一筋縄では行かず、アイテムの入手は楽ではない。 --また、『Liminality』のアニメ内にも本編で使えるエリアワードが隠されており((例えば画面に映る本の背表紙など、さり気ない場所に書かれている。チャプター選択画面である事をすると当該場面から始まる隠しチャプターが選択できる。))、お得なアイテムが手に入ったりする。 -豪華声優陣。 --人気声優、ベテランがそろっている。しかもイベントはフルボイス。 --主人公の名前は変更可能。通常このような場合、主人公の名前が入るところはボイスがなくなるが本作では巧みな台詞回しにより、主人公の名前を一度も呼ばせることなくストーリーを成り立たせている。 ---このため本当に全編に渡ってフルボイス。しかも主人公が名前を一切呼ばれないのに違和感を感じさせないのも素晴らしい。 -クリア後のおまけ、パロディモード。 --各Vol.の本編をクリアすると選択可能。選ぶとそのタイトルの冒頭からゲームが始まるが…… ---その内容は、在ろうことか本編の台詞やメールを悉く''ギャグ調''に書き換えたものであり、文字通り本作の物語をセルフパロディ化している。しかも本編同様''フルボイス''。 ---ギャグ自体もとにかく''濃い''。このゲームを語るに当たってある意味欠かせない要素である。 #region(パロディモードの詳細) -本編未プレイの人にも、明らかにヤバイと感じさせるぐらいのカオスなストーリーになっており、それ以上にキャラクターの性格改変、電波っぷりがすさまじい。 --以下に改変されたキャラ設定を記す。上述した本編の設定と見比べるとその暴走ぶりがよく分かるだろう。 #region(パロディモードのキャラ改変) -主人公 --重篤な''中二病患者''。どれぐらいかというと自分の技、「データドレイン」に「''奥義暗黒吸魂輪掌破''」という名前をつけるぐらい。ただ、年齢はリアルに中二である。 ---それでも登場人物の中では、まだしも常識人でツッコミ役に回ることも多い。というか他の連中がひどすぎるだけなのだが。 -ブラックローズ --記憶喪失で常に自分に自信がない。歴史をごちゃまぜにしたデタラメな発言が特徴。「いけません、いけません」は彼女の象徴とも言える台詞だろう。 ---ネットゲームに自分の記憶の手掛かりがあると思っている。その正体は…。 -オルカ --主人公の友人。リアルの名前は「''田中わび助''」。二つ名の「蒼海のオルカ」には重要な意味がある。 ---ネットゲームにおけるカッコイイ自分に陶酔している。ちらりと見たアウラに一目ぼれし、彼女を守るために戦うもあえなく昇天。なぜか彼を知るほとんど全ての人から「''足が臭いバカ''」呼ばわりされている。初対面のはずのアウラにもそう呼ばれているので実際臭いのかもしれない。 -アウラ --オルカをおちょくるような発言をするなど妙に無邪気な性格。「''ガッツ石松''」と実在の人物名を出しているが、いいのだろうか。 ---主人公は彼女を昔飼っていたハムスターの「たみよ」だと信じており、そのことについてメールで文句をつけてくることも。本編では彼女から来るメールは文字化けしてまともに読めないのだが、このモードでは文字化けしているように見せかけて普通に読める%%が内容は普通じゃない%%。 -バルムンク --SFを愛し、オカルトを嫌っている。科学用語を散りばめた本筋に関係ありそうで関係ない発言が多い。 ---主人公は彼を「タカラヅカモドキ」と呼んで嫌っている。見るだけで無性に腹が立つらしい。 -ヘルバ --一見詩的で謎めいた発言を繰り返す。しかしその意味を裏読みすると、全年齢対象どころか''18禁''でもおかしくないほどヤバイことを言っている。 ---主人公、ブラックローズ、バルムンクといった面々となにか因縁があるらしい。 -ミア --''電波その一''。どこからか高濃度の電波を受信しており、台詞も支離滅裂である。それだけでなく「霊が見える」などの発言も。 ---ゲートハッキングを「''超次元霊界航法''」と呼ぶなどこちらも病気をこじらせている。 -エルク --''電波その二''。ミアに比べると言ってることの前後はまだ整っている。その代り、擬音をやたら多用して話す。 ---電波を受信できない主人公を馬鹿にしたりもする。本作の電波発言の8割方はこの2名によるものである。 -ミストラル --多重人格者。彼女の肉体は普通ではないらしいが…。 ---謎の方言を多用する人格、やたら子供っぽい人格などどのキャラクターも普通ではない。 -リョース --やたら渋味のある発言が多く、ハードボイルドかつダンディ。芝居臭いとも言う。 ---主人公に試練を与え続けるが、単に管理者という立場からいじめている、というわけでもない様子。 -ワイズマン --全身に多数の病を抱えた身。主人公に「ゲームなんかやってていいのか?」と心配されている。 ---「動け…僕の心臓…」などどこか切なさと悲壮感を感じさせる発言や、細菌の名前を乱発する傾向がある。 #endregion -本編が比較的シリアスに進むため、そのギャップで酷さが二乗になっている。 --フルボイスなので本編と同じ声優が下ネタ・電波発言もきっちり言ってくれる。 ---そのカオスさから、タイトル・キーワードになぞらえて「公式が悪性変異」「公式が未帰還者」などと言われてしまう。しかもこれで「''全年齢対象''」である。 --主人公が最初から高レベル、かつウイルスコアを大量に持っているので、詰まることなくサクサク進む。無駄な所で気を使っている。 -こんな代物が全ボリュームに用意してあるのだからたまらない。しかも伏線を全て回収しきる(伏線じゃない場所は大抵その場限りのギャグである)、本編にも劣らないクオリティのシナリオである。ちなみにシナリオ担当は本編と同じく伊藤氏。 -いわゆる「公式が病気」系のゲームだが、ここまで酷い(褒め言葉)作品もそうそうないだろう。というか、一度パロディモードをプレイすると、製作者はこれがやりたいがために本編を作ったんじゃないのかと疑いたくなる。 -次回作『[[G.U.>.hack/G.U. Vol.1 再誕]]』にはパロディモードが存在せず、ファンが一様に漏らす不満が「''パロディモードがない!''」である。 --その声に応えたのか、後の映画版やリマスター版ではショートムービー扱いながらパロディモードが導入されている。『G.U.』もまた''染まって''しまった。 #endregion &br **問題点 -4作品分割販売について。 --やはり「1本のゲームを無理やり4つに分けただけ」のような批判は存在する。 ---例としてはレベルキャップ。大体Vol.1では30、Vol.2では50、Vol.3では70、Vol.4では90前後でクリア可能で、そのプラス5~10程度がそのVol.の最高レベルに設定されている。つまり99レベルまであるゲームを4つに割っただけである。ラスボス撃破後に少しやり込むだけでレベルキャップに達するため、余計に「分割商法に付き合わされている」感が強い((ちなみに次のVol.でコンバートしない場合の初期レベルは前述のものになる。Vol.2なら30。Vol.3なら50である。))。 ---一本一本がフルプライスなのも問題だった。当時は全て買うとかなりの値段になってしまっていた。 --作り込みの甘さを分割商法で誤魔化している部分も感じられる。 ---例えばVol.2に移行するとキャラの走る標準速度が上がる。1では移動速度があまりに遅かったので、2から上昇させたのだろう。アップデートと言えば聞こえは良いが、後付けで改善していることには変わりない。 ---逆に金のゴブリンを撃破する際などに重要となるアイテム「巻物」が、Vol.3からは魔法屋で購入できなくなる等、Vol.を進めると改悪されるシステムも存在する。 --そもそもVol.1から通してプレイしないとストーリーが訳がわからなくなる。 ---最新版と思い込んでVol.4からやると悲惨。一応最初に簡単な解説はあるものの、到底カバーしきれるものではない。 ---本作のストーリーは王道だが、単純ではない。様々な勢力の思惑が絡み合い、ネット上と現実世界が相関する中で、仲間たちとの絆とともに主人公は成長していく。最初からストーリーを追っていないと、置き去りにされることは請け合いである。 ---にもかかわらず本作のパッケージは「生まれるには、一度死ななければならなかったのかもしれない」等やたらと抽象的な文言ばかりが並んでおり、外面からゲーム内容を把握することが困難である。せめて引き継ぎ作品だという旨は記載しておくべきだろう。 -アクションRPGのアクション部分の不出来さ。 --通常攻撃一種類、ガードや緊急回避なし、スキルの使用にいちいちメニュー画面を開く必要がある(その間時間が止まってしまう)…など、テンポを悪くする要素が盛りだくさん。 ---というか、誰かがメニューを開くたびに戦闘が止まっては、オンラインゲームとしては''完全失格''である。無論、本作はあくまで「オンラインゲームをテーマとしたオフラインゲーム」なので成立しない訳ではないのだが、雰囲気はかなり削がれる。 ---戦闘バランスとしては物理スキルが弱く、対して魔法スキルは非常に強い。よって戦法としては、敵が近付いてくる前に魔法スキルを連発して倒すのが最も確実なのだが、困ったことに主人公の職業は双剣士で固定されている。双剣士は最大魔力の伸びが悪いので、最悪の場合主人公が最大のお荷物となる。 ---しかもAIがあまり賢くないので、主人公が死亡すると命令系統が無くなる。仲間に蘇生アイテムを持たせておかないとほぼ詰む。その為、主人公が前に出て戦う事がリスキーになってしまい、アクションRPGなのに積極的に攻めていけないという事に。 --魔法のターゲットにされたキャラが硬直する。詠唱開始の時点で硬直するため回避不能。複数の敵の範囲攻撃のターゲットにされると何もできず理不尽死することも。 ---硬直状態でもアイテムと命令はできるので回復と強化で凌ぎ切ることはできるが、複数の状況が重なるとお手上げである。 --確かにオンラインRPGの多くはアクションRPGだが、この出来ではいっそのことアクション要素を抜いた方がマシだったのではないだろうか。 -実はダンジョンのバリエーションは決して多くない。 --フィールドの方は6属性各2種類の合計12種類とそれなりに見た目の違いはある。 --しかしメインとなるダンジョンはなぜか4種類しか内装の違いがなく、同じようなダンジョンをひたすら攻略させられる。 ---構造もそこまで奇抜ではなく、内装ごとに仕掛けが違うということもない。 --また、PS2初期のタイトルであるためPS1並に表示能力が弱く、遠景は常にぼんやりしていてダンジョンやオブジェクトは接近するまで表示されない。 -難易度が歪。 --一部のザコ敵の攻撃力が高く、油断すると死にかねない。しかも前述の通りガードや回避がないため、攻撃をかわす手段は距離を取ることのみ。 --普段の難易度はそこまででもないが、主人公一人での攻略が強制されるダンジョンは途端に難しくなってしまう。 --ボスである八相にも問題があり、多くのプレイヤーの一致した意見として、最も強いのは「第一相・死の恐怖・スケィス」。最初に戦う八相である。 ---初戦ということもありレベルや装備品が整っていないこともあるが、それを差し引いても強すぎる。 ---ただし、ストーリー面では非常に重要な位置を占めるキャラクターであり、「オルカとアウラをデータドレインした主人公にとっての因縁の相手」、「戦う時期がVol.1のクライマックス」と盛り上がる場面での勝負である。「弱すぎて拍子抜け」よりはよほど演出としては正解だろう。 --逆にその次に戦う「第二相・惑乱の蜃気楼・イニス」はスケィスを倒せたプレイヤーなら楽勝とは行かずとも、ほとんど苦労しないほど弱い。 ---その外観から「地図」「スケィスの外枠」などと言われる始末。 --前衛タイプの仲間、特にブラックローズの精神系状態異常への耐性が異常に低い。魅了を回復した次の瞬間にはまた魅了されているのが日常風景。 --蘇生魔法を使う敵が2体以上出現し延々と相互蘇生し続けることがある。 ---魅了などの弱体で対策できるが耐性がある場合もあり万全でない。データドレインなら確実だが、連続で同種のグループに遭遇することもあり頼り切ると浸食ゲージがあっという間に真っ赤になる。 -職業間の扱いの格差。 --本作に登場する職業は、「双剣士」「剣士」「重剣士」「重斧使い」「重槍使い」「呪紋使い」の6種類。このうちVol.4終了までに仲間に加わる17名(主人公含む)の構成は双剣士3名、剣士5名、重剣士2名、重斧使い2名、重槍使い2名、呪紋使い3名とやたら剣士に偏っている。 --しかも上のキャラクター紹介を見ればわかる通り、ストーリーに絡むのはほとんどが剣士か呪紋使い。呪紋使いに至っては仲間に加わる3名全員がシナリオに関わってくる。 --一方、割を食っているのが重斧使い。なんとVol.1で1人目が加入した後、Vol.3まで2人目が加わらない。そこまでの間、重斧使いが使いたければこのキャラ1人でやりくりするしかない。 ---ただし、この1人目、「ぴろし」((CC2社長で本シリーズの原案を務めた松山洋がモデル。))はやたらキャラクターが濃く、コメディリリーフとしての人気は高い。完全に冷遇されているわけではない。~ …が、パーティに加えるとエリアが''彼専用BGM''に変わってしまうという呪い付き。Vol.が進むとダンジョンまでは変わらなくなったが、それにしても雰囲気が良くも悪くも壊れる。~ また、彼は強制加入キャラでメインストーリー中にも毎回専用イベントがあるのだが、本筋には関わらないためか''パロディモードでも一部を除いて台詞に変化無し''。よって、パロディモードでは(強制加入キャラでは)''一番平凡なキャラと化すという逆転の現象''が起こる。 --使える時期で言うならば呪紋使いも若干扱いが悪い。 ---比較的早い段階で3人全員がメンバーになるものの、シナリオの関係上内2人がほぼ常に連れていけない状態にある。3人全員を自由に使用できるようになるのはほぼクライマックスである。 -武器の外見が詳細に設定されているのに、実際に装備しないとデザインがわからない。 --ついでにムービーでは装備が反映されず、常に初期装備で表示される。 -ストーリーの問題点。 --前述の通り完成度は高い。しかしメディアミックスの関係上、本作と『Liminality』だけでは補完しきれない面が多く、もやもやしたところが残ってしまう。 ---特に終盤の展開は『SIGN』に密接に関係している為、ゲームだけをプレイしていると突然登場するキャラクターや敵の意味が全く分からない。 ---後半になると『SIGN』関連のサブイベントがあったり、『SIGN』のキャラが街を歩いていたりする。更にエンディング後には『SIGN』のメインキャラ((本人ではなく、PCデータがリアルの本人から離れて自我を持った放浪AI。))が仲間になる。視聴済みプレイヤーにとっては嬉しいファンサービスだが、そうでないプレイヤーにはいまいちよく分からない。 --敵である「八相」は諸悪の根源である存在の化身(名前の通り、8つの相)なのだが、ゲームをやっただけではその正体がよく分からず「ネット危機を起こす危険なプログラム」「何か恐ろしいバグ、ウイルス」ぐらいにしか認識できないかもしれない。 ---最終的に八相を全て倒すことでその諸悪の根源も消滅するのだが、これもゲーム本編だけではよく分からない。倒せずに終わってしまったのではないかと思っても不思議ではない。 -終盤アイテムが余り気味になる。 --特にイベントでしか使わないウイルスコアと、全てのプチグソを育てると不要になるプチグソの餌が余ってしまう。 ---どちらも重要アイテム扱いなので換金不可。ますます役に立たない。 -アイテム所持数が少ない --アイテム所持指数は40種類。ラスボス以外はレベルを上げて物理で殴るだけで済んでいたVol.1では問題なかったが、Vol.2以降、耐性の実装により状況に応じた装備の付け替え、巻物や強化弱体アイテムの活用が必要になってからはカツカツ気味。ゲーム内BBSで公式からもそうした戦い方を推奨するようになった割には、それに併せてアイテム所持数を増やしてくれることは最後まで無かった。 --本作における耐性とは完全無効を意味するため、多様な属性へ対処が必須となっている。無限相互蘇生などの理不尽な状況も道端で拾える弱体アイテムを生かせば劇的に楽になるのだが、戦利品の持ち帰りを踏まえるとそれらを生かす余裕はあまり無い。 --仲間はVol.2から過去に受け取った装備を全て保持し、個別指示で行動中以外は付け替えさせることが可能になったので様々な状況に対応可能。これがカイトの不遇ぶりに拍車をかけている。 -クリア後ダンジョンの仕様。 --Vol.4クリア後に行くことが可能となるダンジョン「Ω隠されし 月の裏の 聖域」が、あまりにも理不尽な難易度。 --まず本作のダンジョンは部屋の連続で構成されており、部屋の中に敵が発生した場合撃破しない限り先には進めないシステムとなっている。 --そして本ダンジョンでは上述した「ウイルスバグ」が恒常的に登場する。上述されているが、データドレインはリスクを伴うもので、連続で使用し続けると最悪、一定確率で即ゲームオーバーとなる。 ---通常、ウイルスバグは中ボス的存在で道中に大量に湧く訳ではないので、よほどデータドレインを乱用していなければ死ぬこともなく本編中にそれで詰む心配は無い。 ---しかしそのウイルスバグが延々と登場する本ダンジョンではデータドレインを連続で使用し続けざるを得ず、即死リスクを回避することが出来ないのである。~ 雑魚のウイルスバグが出るダンジョン自体はストーリー終盤にも登場するがここまで極端ではない。 --よって本ダンジョンを攻略する為には''かなりのリアルラック''が必要。データドレインを行う度にGAMEOVERの表示が出ないことを祈りながら、ビクビクと最奥を目指すしかないのである。「難しい」ではなく「理不尽」と上述したのはこの為((但しデータドレインによる強制ゲームオーバーは侵食率100%でない限り起こらない。またアイテムで地図を表示した上で最短ルートを進む、ドレインアークで複数敵をまとめて吸収する、といったやり方で侵食率上昇を抑えつつダンジョンを突破して行ける。))。 --単純にダンジョンも長い。ラストダンジョンは地下10階なのに対し、このダンジョンは''地下15階''である。 ---ラストダンジョンもウイルスバグが出現するダンジョンの類だが、この通り長さが違うのでこのダンジョンほどリアルラックは必要ない。 --何よりこのダンジョンは''クリアする事で本作の真のエンディングが描かれる''ものである。 ---Vol.1~Vol.3のエクストラダンジョンはあくまで裏ボスがいて難易度が高い程度でストーリーは特に無く、無理にクリアする必要も無かったのだが、このダンジョンは本編で描き切れなかったとある人物達の結末を描くものであるため、本作を完全クリアするには攻略せざるを得ない。 ---「ラスボスを倒して本編のエンディングを迎えたから満足」ならそれでも良いのだが、そのキャラについては解決せず終いなのでモヤモヤしたものが残ってしまう。そしてそれを解消するにはこの悪夢のダンジョンに挑まなければならない。 --更にこのダンジョンは本編で長期間離脱して育成の機会が少なかったキャラが強制参加なので、まずそちらの強化から始める必要がある。 &br **総評 発売当時はまだ一般的ではなかった「オンラインゲーム」を取り上げ、壮大なプロジェクトへと発展させた意欲作。~ 前代未聞の4作品分割販売は大きな波紋を呼んだが、ゲーム自体の完成度は決して低くない。~ シナリオ、キャラクター重視でゲームを遊ぶ人間には特に楽しめるだろう。~ 本作のキャラクター人気は後に外部出演として、『[[PROJECT X ZONE]]』にバンナム枠の一角として参戦していることからも窺えるだろう。~ それだけにアクション面の不出来さ、ダンジョンバリエーションの少なさなどの欠点が目立ってしまう残念な点もある。~ .hackプロジェクトの中心核を担うことはできたが、評価としては「良作になりきれなかった佳作」といったところか。~ **余談 -「The World」の運営会社「CC社」の正式名称は「サイバーコネクト社」。つまり''開発元のサイバーコネクトツー自身が名前の元ネタ''である。 --CC社自体は正常な運営を望むが故に主人公と対立するのであって絶対悪ではないにしても、上層部がプレイヤーの安全よりも事態のもみ消しを図ったり、後のシリーズではかなりあくどい事をしていたりと、悪の組織じみた面も度々描かれる。そのような組織に自分達の名前を用いるCC2の気概には感嘆を覚える…かも? -多数のメディアミックスが展開された本作だが、中でも漫画『.hack//黄昏の腕輪伝説』は本編の4年後を描く後日談でありながら''本編に先駆けて始まり''、途中で放送されたアニメ版は''本編完結前に完結''という異例の展開を見せている(漫画は本編より半年以上後に完結)。 --作品自体の評判はあまり良いとは言えないが、こちらの原案を担当したのは次回作のシナリオを手掛ける浜崎達也である。 -本作を中心とする作品群は.hackシリーズ第1期と位置付けられ、以後も規模の差異はあれど第2期、第3期と展開は続いた。 --中でも勢いがあったのはゲーム次回作『[[.hack//G.U.>.hack/G.U. Vol.1 再誕]]』を中心とする第2期である。こちらは発売から10年以上経ってから追加シナリオ込みのリマスター版が発売されるほどの人気である。 --一方、第3期はそれまでのような流れを作れず、ほぼ漫画や小説のみのひっそりとした展開となっていった。 ---ゲーム3作目『.hack//Link』も発売されたが、「.hackシリーズ最終章」「メディアミックスを含む全キャラクターが集結」をPSPソフト1本のみでやるというかなり無茶なことをしており、肝心のゲーム内容もあまり良い評価は受けていない。更に作中にも次回作への伏線があり、実際にその後はOVAや映画が出たりと結局「最終章」ですらもなかった。 ---その後もスマホアプリやWeb小説として規模を縮小し、作品の雰囲気も変わりつつ細々とシリーズは続いていたが、2017年のリマスター版『.hack//G.U. Last Recode』まではゲーム作品が出る事は無かった。 --第1期に関してはオンライン対応の『.hack//fragment』が2005年に発売している。しかしあくまで本命は翌年の『G.U.』だった為か、サービスは1年ほどで終了した。 ---オフラインはその後もプレイ可能。尚、オフラインの内容は本編のifストーリーで、メディアミックスを含む第1期キャラのオールスターとなっている。 ***パロディモード #region(とりあえず見てもらった方が早い) &video(https://www.youtube.com/watch?v=7kFVWVwmupo) #endregion