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Circus - (2022/12/20 (火) 17:19:18) のソース

*Circus
【さーかす】

|ジャンル|ブロック崩し|&image(http://www.arcade-museum.com/images/118/118124207024.jpg,height=160)|
|対応機種|アーケード|~|
|発売・開発元|Exidy|~|
|稼働開始日|1977年|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|サーカス風ブロック崩し&br;ピエロの動きが極めてトリッキー|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
1977年に海外ゲームメーカーであるExidy社がリリースしたブロック崩しゲーム。~
ブロック崩しゲームとしては『[[Breakout]]』に次ぐヒット作といわれる。
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**特徴
-サーカスが舞台という設定で、「移動型シーソーを用いて二人のピエロのどちらかを上にバウンドさせ、画面上部で左右浮遊する風船をピエロの体当たりで割る」という目的でゲームが進行する。
-本作のキャラを従来のブロック崩しのギミックに例えるならば、「シーソーはボールを跳ね返すパドル」「ピエロはボールそのもの」「風船はブロック」といった役割となっている。

**操作体系及び基本ルール
-パドルコントローラーのみを使用し、コントローラーでシーソーの左右移動調整を行う。
--相方のピエロが落下するタイミングに合わせてシーソーを調整し、ピエロがシーソーを踏んだ重力による「テコの原理」でシーソー側に待機する相方のピエロを上部に吹き飛ばしてバウンドさせ、その状態でさらにシーソーを調整して相方ピエロを上部吹き飛ばしてバウンド…の繰り返しとなる。

-風船(ブロック)は下から「黄、緑、青」の順で配置されており((筐体によっては画面が白黒二色でカラーではないものもあるらしい。))、上の色風船の方が入手スコアが高い。同色の風船をすべて割っても再度風船が復活する為、本作はステージクリアの概念が存在しないエンドレスゲームとなる。
--ピエロを風船の上に引っ掛けるような感じで接触させると(状況にもよるが)周りの風船を連鎖的に破壊しやすくなり、大量スコアの獲得チャンスとなる。

-画面左右横端にはジャンプ台が設置されており、ゲーム開始時やミス後の再トライ時はピエロがここから落下(発射)された状態でのスタートとなる。また、ジャンプ台そのものも障害物として扱われている為、バウンド中のピエロがジャンプ台に接触するとあらぬ方向へ飛んでしまう恐れもあるので注意が必要である。

-シーソーの調整が間に合わずにピエロを地面に落下させてしまうと1ミスとなり、すべての残機がなくなればゲームオーバーとなる。ゲームオーバー時に特定スコアを稼いだ状態だと、一回だけ再ゲームが可能となるエクシデンドボーナスが存在する。

-本作のピエロ(ボール)は従来のブロック崩しのような直進的なボールの動きではなく、かなりトリッキーな放物線状の動きをする為、それを踏まえないと''全くピエロの動きの機軸が読めないままにあっという間のミスを連発する可能性が極めて高い''ので要注意。
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**評価点
-非常に短いながらも&bold(){世界で初めてBGMを採用した作品}であること。
--ピエロがミスすると「葬送行進曲」が流され、急落下から地面に叩き付けられたピエロの様も相まって妙にマッチした雰囲気を醸し出している。
--ちなみに、ピエロがミスするとあり得ない体位でグジャと潰れ、なんか軽くグロテスクである。~

**問題点
-難易度的には上記の述べた機軸が読み辛いピエロの動きの件と、初回から異様なまでにピエロの落下スピードが速い事もあり、相当厳しいものとなっている。
--今のブロック崩しに慣れたプレイヤーが初回で本作をプレイすれば「''難しいという以前にミスした原因が理解できない''」という事態に陥る可能性も否定できないところ。更に、ブロック崩しと異なり、左右端にピエロが落下してきた場合''絶対に''ピエロを受け止めることのできない「''手詰まり''」状態が存在することが難易度上昇の要因になっている(左右のジャンプ台は手詰まり緩和の役割も果たしているが)。
--これは「ピエロの乗っている側では受け止めることができない」というルールによるものである。
--この難易度の高さゆえか、最上段の風船を全て消すとエクステンド(ストック不可)になる上に上述のようにスコアによるリプレイまである気前の良さになっている(それでも長時間プレイはほぼ非現実的)。
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**総評
ブロック崩し誕生期において新たな方向性を示した作品である。~
そのゲームの発想も然る事ながら、「ピエロをピョンピョンと跳ねさせて風船を割る」という滑稽な外見も人気に繋がったといっても過言ではないだろう。
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**関連作品について
-『[[スペースインベーダー]]』が空前のヒットを遂げるまでは、インカム貢献の主要商品として扱われており、当時のプレイヤーを中心に高い知名度を持っている作品である。日本では「風船割りゲーム」という愛称で呼ばれやすい。タイトー(アクロバット)、セガ(シーソージャンプ)、ユニバーサル販売(サーカスサーカス)、ウィリアムズ(クラウンズ)などの商品名のみ変更されたライセンス生産品やデッドコピーも出回っている。

-本作のヒット後に他社メーカーが類似品を多くリリースしており、純正品である本作と若干混同されている節がある模様。また、本作に幾らかの新要素を加えたリメイク作もいくつか存在する。タイトーが1988年にリリースした本作のリメイクの一つ『プランプポップ』は、プレイステーション2版『タイトーメモリーズII 下巻』に収録されており、今最もプレイする環境に恵まれている関連作といえる。

-ブロック3色が画面上部に浮遊し、同色をすべて消す毎に復活するという本作のギミックは、後のタイトーから1979年にリリースされた『[[フィールドゴール]]』にも採用されている(これもPS2版『タイトーメモリーズII 下巻』に収録)。
--一方で、アイレムが制作したリメイクの一つ『小僧隊ガッチョ』は最終ロケテストまで行われながら、正式販売には至らなかった。現在のアピエスにはビデオゲーム事業は残されていないので、日の目を見る可能性はほぼないだろう。

**余談
-テクノポップブームを巻き起こしたバンド「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」が、1978年に発表したデビューアルバムで本作のサウンドを取り上げている。実機の音楽再生が不安定なためか、シンセサイザーの生演奏((YMO、もしくはテクノポップの特徴である打ち込みではない。))で、効果音まで再現している。
--同アルバムの最後の曲「アクロバット」((翌年に発売されたアメリカ版(ジャケットが芸者の格好をしたサイボーグのイラスト)では削除。))も、本作のBGMをアレンジしたものである。
---同バンドのリーダー(兼プロデューサー)は後に「[[スーパーゼビウス>ゼビウス]]」を制作した細野晴臣氏。まだジャンルとして成立すらしていなかったゲームミュージックに注目するあたり、氏の先見の明が垣間見れる。