新聞記事(当時、新聞社公式サイトに発表されていたもの)を、記録として引用しております。記事に書かれていた個人名は伏せております。

 

                      ブルトレ“第二の旅路”、特別ツアーや列車ホテル

「ブルートレイン」の愛称で親しまれ、3月のダイヤ改正で姿を消した九州発着の寝台特急の車両が、現役引退後も活躍している。旅行会社の企画商品の顔として利用されたり、簡易宿泊所に生まれ変わったり……。出会いや別れなど様々な人生ドラマを運んできた青色の列車は、“第二の人生”を快走中だ。

九州最後のブルトレは「はやぶさ」(東京―熊本)と「富士」(東京―大分)。いずれも旧国鉄時代の1960年代に登場したが、3月14日に廃止された。JR九州によると、87年のJR発足時に8本運行していた九州発着のブルトレは、新幹線や高速バスなど他の交通機関の発達で乗客が減り、車両の老朽化もあって次々にダイヤから消えた。

「再び走らせてほしい」。3月以降、JR九州には鉄道ファンを中心に要望が相次いだ。同社は客車31両のうち9両の存続を決定し、6~8月には門司港―鹿児島中央間などで期間限定の特別運行を計9便実施したところ、全国から応募が殺到。当選倍率が11倍になった便もあった。

根強い人気を背景に、旅行会社2社とJR九州は9~11月、ブルトレ車両を使った特別ツアーを相次いで企画。9月26日、門司港―長崎間を走るツアーには約60人が参加した。2段式ベッドなど客車の中は当時のままで、列車のヘッドマークも公開された。

横浜市港南区の会社員Aさん(36)は小学生の頃からブルトレに乗って、母の実家がある長崎に行っていた。「思い出深い列車で、復活を知ってすぐに予約した。ゆっくりと乗り心地を楽しめますね」。北九州市門司区のBさん(80)、Cさん(76)夫妻は「6年ほど前に長男の住む横浜まで乗って以来。次は孫と一緒に」と喜んでいた。

特徴を生かし、「列車ホテル」としても復活する。JR九州は11月2~4日に佐賀県唐津市で行われる「唐津くんち」に合わせて、2段ベッド式の客車4両(定員128人)を同月2日、唐津駅内に配置。くんち期間中は宿泊施設が不足することに目をつけた。9月28日から予約を受け付けたところ、1泊4000円の手頃感もあって2日間で満杯に。「こんなに反響があるとは思わなかった」と同社も驚く。

町内にホテルが1軒しかない熊本県多良木町は、JR九州から「はやぶさ」の客車3両を購入し、簡易宿泊所として活用する。購入・運搬費など計約7000万円を盛り込んだ今年度一般会計補正予算案は9月の定例町議会で可決。町は2010年度の開業を目指している。「イベント時には宿泊施設が足りずに困っていた。ブルトレホテルが話題となって、来訪者が増えてほしい」と町は願っている。
                                   YOMIURI ONLINE  2009年10月15日付 

     ムーンライト九州、事前発表もなく姿消す

2009年7月12日7時51分配信  読売新聞

 JR九州と西日本が共同運行していた夜行の臨時快速列車「ムーンライト九州」(博多-新大阪)が10日、廃車処分され、姿を消した。

乗客減で今春の運行が見送られ、鉄道ファンから復活を求める声が出ていたが、かなわなかった。若者を中心に重宝された長距離列車は、臨時列車ゆえに事前に発表されることもなく、静かに引退した。

ムーンライト九州は1990年4月に博多-京都間で運行が始まり、春、夏、冬休みの期間に1日1往復していた。近年は、博多-新大阪間で運行。約620キロの道のりを9時間半から10時間かけて走った。寝台車両はなく、乗客は座席をリクライニングさせて体を休めた。

それでも乗客にとっては魅力的な列車だった。全国のJR線で普通、快速列車で乗り降り自由の「青春18きっぷ」を使えば、指定席料金を含め、5110円で済み、新幹線(自由席)に比べ、6割以上安く乗車できた。特に年末年始や盆には、帰省の若者の姿が目立ったという。

しかし、近年は低料金の高速バスとの競合などで空席が目立ち、運行本数も次第に減少。2003年度に往復で計160本あった本数は、昨年度は半減となる86本にまで落ち込んでいた。

加えて2編成16両ある車両も平均車齢35年と老朽化。今春のダイヤから姿を消し、このほど車両の処分が決まった。車両は順次解体されるという。

九州と本州を結ぶ夜行列車は、JR発足時の1987年には特急のブルートレインだけで8本あった。だが、乗客の減少で次々と運行が終わり、今年3月に寝台特急「はやぶさ」(東京-熊本)、「富士」(東京-大分)の廃止で、特急はすべてなくなっている。ムーンライト九州は、元々、臨時列車扱いだったため、公表はされなかった。

旅行の際に頻繁に利用したという九州鉄道記念館(北九州市門司区)のUさん(59)は「乗り合わせた人と盛り上がった旅の話は本当にいい思い出。時代の流れなのだろうが、本当に寂しい」と惜しんでいる。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20090315-471337.html 
(日刊スポーツ紙)
ブルトレ最終便に爆破予告 途中駅で点検

ダイヤ改正で13日が最終便となった寝台特急「富士・はやぶさ」(東京-大分・熊本)の運行中に「爆弾を仕掛けた」との書き込みがインターネット掲示板で発見され、京都府警などが車内を点検する騒動があった。爆発物は発見されず、悪質ないたずらとみられる。東京発着のブルートレインの最終便は、上下線とも定刻より遅れて終着駅に到着。強風や別の貨物列車の事故などもあり、最大で2時間の遅れが出る運行となった。

 京都府警によると、爆破予告の書き込みがあったのは、ネット掲示板「2ちゃんねる」。13日午後11時20分ごろ、掲示板を見た人から「午後11時10分ごろに『富士・はやぶさ車内に爆弾を仕掛けました』との書き込みがあった」との110番があったという。同掲示板には「今は名古屋を発車した頃だな。日付が変わって京都に到着する辺りが見ものだな。ご乗車の皆さ~ん、ご愁傷様」との書き込みがあり、同一人物のものとみられる別の列車の放火予告もあった。

 爆破予告が書き込まれた午後11時9分当時、下り列車は岐阜駅を出発し、京都駅に向かっていたため、京都府警七条署の警察官20名がJR京都駅に急行。記念撮影のためにホームで待ち受けていた鉄道ファンらの混乱を避けるため、14日午前0時36分に定刻で京都駅に到着した列車を、ホームに入る直前の線路上で停止。JR社員と車内のトイレや通路、連結部などで爆発物の有無を確認したが、不審物は発見できず。京都駅を定刻の12分遅れの午前0時49分に発車した。

 一方、東京に向かっていた上り列車も、京都府警からの連絡を受けた岡山県警岡山西署員らが岡山駅で点検。不審物はなく、定刻の午前0時48分から1~2分遅れで発車した。七条署では、予告は悪質ないたずらとみており、捜査関係者は「最後のブルートレインなのに、悲しい話ですね」と話した。

 上り列車は強風による徐行などの影響もあり、定刻から88分遅れの午前11時31分に東京駅に到着。下り列車は、14日午前1時40分ごろに兵庫県加古川市のJR踏切で貨物列車に無職女性(29)がはねられ死亡した事故の影響で、さらに遅れが出た。

 結局、「富士」が定刻午前11時17分から約2時間遅れで終着の大分駅に到着。「はやぶさ」も、終着の熊本駅到着が、定刻から1時間半遅れの午後2時過ぎになり、上下線とも大幅な遅れが出るラストランとなった。

 [2009年3月15日7時58分 紙面から]

「ありがとう」=富士・はやぶさ、ラストラン-東京発ブルトレ、半世紀の歴史に幕

「ありがとう」「お疲れさま」-。寝台特急「富士・はやぶさ」(東京-大分、熊本)が13日発の運行で姿を消し、東京駅発のブルートレインが半世紀の歴史を閉じる。同駅などにはファンが詰め掛け、最後の勇姿を見送った。13日午後6時3分、東京駅では富士・はやぶさの連結列車が「ピー」という汽笛を鳴らし、定刻通り出発。カメラを手にした約3000人が「ありがとう」「ウォー」という歓声を上げ手を振った。
電車の撮影仲間10人と午前4時半に来たという川崎市の高1Sさん(16)は「当たり前に走っていたので寂しい」と熱心に機関車先頭部を撮影。「お疲れ様 はやぶさ 富士」と書かれた横断幕を掲げた新宿区の会社員Oさん(33)は「2月に会社を休み博多まで乗った。昭和のにおいのする電車だった」と廃止を惜しんだ。
一方、大分駅では「富士」の上り列車入線後、車掌と運転士に花束を贈呈。初代「かぐや姫」メンバーの森進一郎さんが「なごり雪」を歌った。横浜市の会社員Zさん(36)は乗車を前に「約10回乗った。のんびりした雰囲気が好きだった」と残念そう。約1200人が見守る中、午後4時46分、駅長の合図でゆっくり発車した。(2009/03/14-02:01)


さらばブルトレ、拍手・涙で見送る人の波

ブルートレインの愛称で親しまれ、14日のダイヤ改正で姿を消すJRの寝台特急「はやぶさ」(東京―熊本)と「富士」(東京―大分)の下り最終便が13日夜、東京駅を出発した。

 両列車の廃止で、東京駅を発着するブルートレインはすべてなくなるため、最終便の乗車券が発売された先月13日は、寝台席券320枚が10秒で完売した。

 この日は、夕方から両列車が出発する10番ホームや隣接するホームなどに、カメラを手にした約3000人もの鉄道ファンが詰めかけた。

 午後6時3分、汽笛とともに両列車が出発すると、ホームは「ありがとう」「お疲れさま」などという声と拍手で包まれた。

 東京・大田区の多摩川河川敷でも午後6時18分、鉄橋を通過する両列車に向かって、約100人のファンが「ありがとうブルートレイン」と書かれた長さ約20メートルのボードを掲げ、ペンライトを振って別れを惜しんだ。

 このイベントを企画した神奈川県相模原市の大学3年、Mさん(20)は「小学1年の時からのあこがれの列車。さびしいですね」と涙ながらに話した。

(2009年3月13日20時31分   読売新聞)


 

        ブルトレ、最後のフィーバー 引退目前、東京駅に人波


寝台特急「富士・はやぶさ」(東京―大分・熊本、定員320人)が13日発で引退し、東京駅発のブルートレインが姿を消す。最終列車の切符は10秒で完売し、東京駅には連日多くのファンが詰め掛けるなど異様な盛り上がりを見せる。

 

 平日の午後5時40分過ぎ、東京駅10番線に止まった「富士・はやぶさ」の寝台車に機関車がゆっくり連結されると、100人近いファンがカメラのシャッターを切った。

 「黄色い線の内側に下がって下さい」「脚立は使わないで下さい」

 駅員の大声が響く。隣の新幹線ホームからシャッターチャンスを狙う人もいる。土日は400人が集まる。ホームの混乱に備え、駅員と警備員ら約20人が警戒する。

 列車は東京駅を出発後、門司駅(北九州市)で「富士」と「はやぶさ」(共に6両)に分かれ、大分と熊本に向かう。17~18時間の旅となる。

 ブルトレの一般的な定義は20系や14系などと呼ばれる青い色の寝台車を機関車が引っ張る特急。全盛期の70年代には20列車ほどあったが、新幹線や飛行機に押され、JR化後は急速に減った。今後残るのは北斗星(上野―札幌)と北陸(上野―金沢)、あけぼの(上野―青森)、日本海(大阪―青森)のみだ。

 「富士・はやぶさ」は「東京駅発の最後のブルトレ」だけに、ファンの関心はとりわけ高い。今月1、2日、東京都港区の車両センターで開かれた撮影会。線路上から機関車を撮影できるとあって、「鉄道博物館」(さいたま市)の入場券と東京―大宮往復の新幹線チケット付きで5千円の募集(定員600人)に、724人が応募した。

 インターネットのオークションでは、9450円のB寝台(乗車券除く)が5万円以上に跳ね上がっている。

 

■最終は13日18時3分、大混雑を予想

 56年にデビューした元祖ブルトレの「あさかぜ」(東京―下関)が引退した05年2月末には東京駅のホームに1千人が集まった。ビジネスマンに人気だった寝台急行「銀河」(東京―大阪)は昨年3月に引退。午後11時という深夜の出発だったが、2千人が詰めかけた。

 今回、廃止される「富士・はやぶさ」は午後6時3分発。金曜日のラッシュ時と重なるうえに、人気ブルトレだけに、3千人が集まるとも言われる。JR東日本は「ホームへの入場を制限する可能性もある」とする。

 朝日新聞 2009年3月5日

 

 

寝台特急が緊急停止 JR山陽線
倉敷、尾道 非常スイッチ押された形跡

 5日午前3時25分ごろ、倉敷市のJR山陽線庭瀬―中庄間を走行中の東京発大分・熊本行き下り寝台特急「富士・はやぶさ」に非常ブレーキがかかり、緊急停止した。

 車掌らが確認したところ、3号車の非常停止スイッチが押された形跡があった。列車は約1時間後に運転再開したが、同5時15分ごろにも尾道市の同線東尾道―尾道間で4号車の同スイッチが入り、再び緊急停止した。

 JR岡山支社は、乗客がスイッチを作動させた可能性が高いとみており、広島駅で広島県警鉄道警察隊が列車に乗り込み車内を巡回した。

山陽新聞 2009年3月5日

 

 


ブルトレ思う心 終着点なし

《九州ゆかり8列車 全廃前にJR企画》


■記念乗車券3日で完売

 3月14日のダイヤ改定で九州を走る寝台特急が全廃されるのを前に、県内の鉄道ファンたちが思い出集めに奔走している。JR九州長崎支社が今月初め、九州を走っていた寝台特急8本の記念乗車券を売り出したが、用意した5千部が3日間で完売した。九州鉄道記念館(北九州市門司区)のUさん(59)は「長崎には8本のうち5本が乗り入れていた。深いつながりのある土地だけにファンが多いのだろう」と話している。

 

 考案したのは同支社員のPさん(26)。ダイヤ改定で「富士」(東京~大分)、「はやぶさ」(東京~熊本)がなくなり、九州内を走る寝台特急がすべて消えることから、「何か記念になるものを」と企画した。

 記念乗車券は縦5センチ余、横15センチ。「富士」「はやぶさ」のほか、昨年3月に廃止された「あかつき」(京都~長崎)など、宇都宮さんが撮影した寝台特急8本の写真と、ヘッドマークのイラストが刷られている。

 8枚を収めた台紙には、「ありがとう 九州寝台特急」の題字。九州の地図と共に、蒸気機関車が牽引していた時代から、来月のダイヤ改定までの寝台特急の歴史が記された。寝台特急の客車として使われたブルートレインの内部や、各地を走る往年の雄姿を写した写真もふんだんに盛り込まれている。

 同支社は当初、8枚1セット(5千円)で3千部を用意していたが、発売前から問い合わせが殺到したため、さらに2千部を増刷したという。購入者の半数は寝台列車の全盛期に利用した年配層で占められた。郵送での申し込みも受け付けたが、「この列車で嫁ぎました」「家族で旅行に出かけた思い出があります」など、手紙を同封したものが多かったという。

 Pさんは「寝台特急に、これほど思い入れを持った人たちがいたとは」と、一世を風靡(ふうび)した寝台列車の人気ぶりに、改めて驚きを感じている

2009-2-17



ブルートレイン:「はやぶさ」「富士」有終切符、10秒で完売

 JRグループの春のダイヤ改正で姿を消す現役最古のブルートレイン「はやぶさ」(東京-熊本)と「富士」(東京-大分)のさよなら運転のチケットが13日午前10時に全国一斉発売され、わずか10秒足らずで完売した。

 乗車定員はそれぞれ160人で、この日は受け付け開始と同時に、主要駅のみどりの窓口に設置した端末から東京の旅客販売総合システム(MARS)に予約が殺到、あっという間に定員に達した。 「はやぶさ」と「富士」の最終運行は3月13日。午後6時3分に連結して東京駅を出発し、北九州市の門司駅で分かれ、それぞれの終着駅に向かう。東京駅から出発するブルートレインはこれが最後で、半世紀の歴史にピリオドが打たれる。

 両ブルトレの利用客は昨年秋の廃止報道後、一時的に増えたものの、長期的には低落傾向が続いていた。昨年4月1日から12月31日までの双方の上下線の乗車率は約5割程度。運賃・料金の割高感や車両の老朽化が響いているという。

 同じブルトレでも、車内設備が充実している「北斗星」(上野-札幌)の人気は堅調で、乗車率は約8割を維持しているという。

 JR東日本の担当者は「寝台特急は旅情を楽しむための快適な設備や車内サービスが不可欠。鉄道ファンの支持を集めているブルトレの乗客をこれ以上、減らさないよう努力したい」と説明している。

毎日新聞 2009年2月13日 東京夕刊



「はやぶさ」「富士」、10秒で切符完売 廃止の寝台特急

 春のダイヤ改正で廃止される寝台特急はやぶさ(東京―熊本)と富士(東京―大分)の最終列車(3月13日)のチケット販売が13日午前10時から全国のみどりの窓口で始まり、わずか約10秒で完売した。

 青い客車の寝台特急“ブルートレイン”は近年、乗客減で廃止が相次ぎ、両特急の廃止で東京駅発着のブルトレは姿を消す。ラストランは3月13日午後に熊本、大分をそれぞれ出発する上りと、同日夜東京発の下りで、定員計640人。前日までの列車も満席に近い状態が続いているという。

 あるJR関係者は「これだけの人気が続けば廃止されなかったのでは」と苦笑い。はやぶさは1958年、富士は64年に運転を開始。はやぶさ、富士は2005年から門司駅で上りは連結、下りは切り離し、東京―門司を1編成で運行していた。

 残るブルトレは北陸(上野―金沢)や日本海(大阪―青森)など4列車だけとなるが、JR各社は、乗客の利用状況を見ながら廃止や存続を検討するという。〔共同〕(14:45) 

日本経済新聞2009/02/13

 

 寝台特急 九州に別れ 富士 はやぶさ 来春廃止 利用者減 半世紀の歴史に幕

2008年12月20日 00:48 
JR九州は19日、九州と東京を結ぶ寝台特急「富士」(大分‐東京)と「はやぶさ」(熊本‐東京)を来年3月14日のダイヤ改正に伴い、廃止すると発表した。青い車体から「ブルートレイン」の愛称で親しまれた寝台列車は、すべて九州から姿を消し、約半世紀の歴史に幕を下ろす。

 JR九州によると、日本初の寝台特急「あさかぜ」が1958年に博多‐東京間で運行開始。「はやぶさ」は60年に西鹿児島‐東京間、「富士」は64年に大分‐東京間で運行を始めた。2005年からは、門司‐東京間を一編成でつなぎ、1日1往復している。

 利用者はこのところ年を追って減少。07年には1日の平均利用者が百数十人にまで減った。

 飛行機などの高速交通機関の普及により、寝台特急の廃止が相次ぎ、今年3月に「なは」(熊本‐京都)「あかつき」(長崎‐京都)が廃止されてからは、「富士」「はやぶさ」が九州を走る最後のブルートレインとなっていた。

 車両は引退後、解体される予定だが、同社は「要望があれば、譲渡も検討したい」としている。

■特急列車 すべて禁煙 来年3月JR九州

 JR九州は19日、来年3月14日のダイヤ改正に合わせ、特急列車をすべて禁煙とすると発表した。

 これまでは運転時間が比較的長い「にちりん」「ゆふいんの森」など特急列車に一部喫煙車や喫煙コーナーを設けていたが乗客の要望を受け、全車禁煙とする。「かもめ」や「みどり」、「ソニック」などは既に全面禁煙。九州新幹線「つばめ」も禁煙となっている。

 ダイヤ改正では、鹿児島線で朝夕のラッシュ時間帯で上下線の定員を増やす。

 日豊線では特急「ひゅうが」を午前6時台(下り)と午後9時台(上り)に1便ずつ増発する。長崎線でも、長崎発諫早行きを1便増やし、最終列車の発車時刻を30分繰り下げ、午前零時とする。

=2008/12/20付 西日本新聞朝刊=

 


ブルトレ、東京駅から消える 3月に富士・はやぶさ廃止

2008年12月19日7時21分

JR旅客6社が来年3月14日に行うダイヤ改定の概要が18日わかった。東京と九州を結ぶ唯一のブルートレインが無くなるなど、夜行列車衰退の流れに拍車がかかる内容となった。

 JR関係者によると、ダイヤ改定で寝台特急「富士」(東京―大分)と「はやぶさ」(東京―熊本)が廃止され、東京駅発着のブルートレインは姿を消す。

 毎夜運行している夜行快速「ムーンライトながら」(東京―大垣)と「ムーンライトえちご」(新宿―新潟)は臨時化され、乗客が多い夏休みや春休み、年末年始などに限定する。安い運賃で長距離を移動できることから重宝され、「青春18きっぷ」の利用者も多かったが、深夜バスなどに押されて乗客が減っていたという。

 東海道新幹線は、金曜夜などの混雑時に「のぞみ」を現在の1時間8本から9本に増やす。上越新幹線の大宮―越後湯沢間では09年2月に新型のATC(自動列車制御装置)を整備し、東京と新潟・長野方面を平均で1~2分短縮する。新幹線「はやて・こまち」の一部は大宮駅を通過しているが、すべて停車するようになる。
 

NHK熊本放送局 2008年11月11日12時32分更新
寝台特急「富士」廃止へ

大分と東京を結んできた寝台特急「富士」が来年3月のJRのダイヤ改正で廃止されることが明らかになりました。これにともなって連結して運行していた熊本発の寝台特急「はやぶさ」も廃止されて九州のブルートレインは姿を消すことになりました。

寝台特急「富士」は昭和39年に大分と東京を結ぶ寝台特急として運行を始め出張のビジネスマンなどが利用していますが、最近は航空機や格安の高速バスなどに押されて乗車率が落ち込んでいました。現在JRは来年3月のダイヤの改正作業を進めていますが、関係者によりますと、新しいダイヤに「富士」は掲載されず、3月以降廃止されるということです。
「富士」は昭和4年につけられた東京と下関を結ぶ特急列車の名前を受け継ぎ食堂車も備えたブルートレインとしてかつては新婚旅行客などの人気を集めました。
一時は西鹿児島までの1500キロ余りを走りましたが、平成9年からは大分と東京の間で1日1往復が運行されています。
また「富士」の廃止で門司駅から「富士」に連結されて運行していた熊本発の寝台特急「はやぶさ」も廃止されることになり、これによって九州のブルートレインは姿を消すことになりました。
「富士」の廃止についてJR九州は「現在、JR各社で検討中でコメントできない」としています。

 

ブルートレイン:東京発が来年3月全廃 夢乗せ半世紀

JR東京駅からブルトレが消える--。戦後の復興期から約50年間にわたって首都圏と九州方面を結び続けた唯一のブルートレイン(寝台特急)「はやぶさ」(東京-熊本間)「富士」(東京-大分間)が来年3月のダイヤ改正で姿を消す。東海道・山陽本線を併結運転してきた最古参のブルトレは新幹線や航空機との競争に敗れ、廃止に追い込まれた。東京駅を起点としたブルトレは全廃となり、58年10月の運行開始以来、半世紀の幕を下ろす。

 ブルトレは客車がブルーの寝台特急。東海道・山陽新幹線の速度向上や航空各社の割引、低料金の長距離高速バスの参入で苦戦を強いられてきた。JRグループは列車の統廃合を進めたもののブルトレ発祥の東京駅始発着にこだわった。一方で、鉄道ファンの要望を受け、九州方面唯一のブルトレを存続してきた。

 しかし、運賃・料金の割高感や車両の老朽化、車内サービスの低下もあって敬遠され、07年度の乗車率は87年度のJR発足当初と比べて5分の1以下の10%台に落ち込んだ。季節によっては「空気を運んでいる状態」だった。このため11年春の九州新幹線鹿児島ルート全線開業を控え「ブルトレの社会的使命は終わった」と判断した。

 勇退が決まった「はやぶさ」は58年10月、東京-鹿児島間に特急列車としてデビュー。2年後にブルトレ編成となり、48年間にわたって東京-九州間をひた走った。ロビーカーを連結するなど最先端の設備を整えた青い客車を重厚な電気機関車がけん引し、鉄道ファンの人気を博した。05年3月から「富士」と東京-門司間を併結運転している。

 もう一つの「富士」は戦前の29年9月、東京-下関間の特急列車に付けられた国内最古の列車名を継承。東海道新幹線が開業した64年10月に運行を開始した。

 はやぶさの営業距離は約1293キロ、所要時間は17時間46分、運賃は2万4150円(B個室)。富士は約1240キロ、17時間14分、2万3730円(同)。

 来年春以降も引き続き運行されるブルトレは「北斗星」(上野-札幌間)▽「あけぼの」(同-青森間)▽「北陸」(同-金沢間)▽「日本海」(大阪-青森間)の4本となる。【斎藤正利】

 (毎日新聞 2008年10月3日)


 

東京駅発、消えゆくブルトレ 「銀河」「富士」「はやぶさ」…利用客減、廃止の方向

2007年11月26日

 「ブルトレ(ブルートレイン)」の愛称で親しまれてきたJRの寝台列車が、09年春にも、東京から西へ向かう路線から姿を消す可能性が高まっている。利用客の減少が主な原因で、ほかの路線も同様の事情を抱えている。一部の豪華列車を除き、将来的には廃止の方向にあるという。

 

 JR各社の複数の関係者によると、08年3月中旬のダイヤ改定で消えるブルトレは、京都―熊本間を走る「なは」と京都―長崎を結ぶ「あかつき」、東京―大阪の「銀河」。また、大阪―青森の「日本海」と上野―札幌の「北斗星」は、現行の1日2往復から、1往復に減る。このダイヤ改定は今年11月中旬に正式決定し、12月中旬に発表される予定だ。

 さらに、09年春のダイヤ改定では、東京―大分の「富士」と東京―熊本の「はやぶさ」の廃止が、JR各社の担当課長レベルで合意済み。これが正式に決まれば、大阪以西を走るブルトレは皆無になり、東京駅でブルトレは見られなくなる。ブルトレ発祥の地である九州などでは、地元の反発も予想されるという。

 新幹線や飛行機、夜行バスに押され、「利用率が低い」のが廃止の最大の理由で、「車両が老朽化している」「夜間の要員確保が難しい」などの事情もある。

 JR東日本の調べでは、JRが発足した87年のブルトレ利用者数と比較すると、東京から西へ向かう路線全体の利用者は05年には21%にまで落ち込んでいる。

 例えば、「はやぶさ」は東京駅を午後6時過ぎに出発、熊本駅に着くのは約18時間後の翌日正午前。飛行機なら2時間もかからない。

 ブルトレの一般的な定義は、14系や24系と呼ばれる青い塗装の寝台車を機関車が引っ張る特急列車(銀河は急行)。現在、東京と九州、北海道、大阪と東北などを結ぶ9路線がある。このほか、電車タイプの寝台特急である「サンライズ出雲・瀬戸」(東京―出雲市・高松)や、比較的新しい車両の豪華寝台特急である「トワイライトエクスプレス」(大阪―札幌)や「カシオペア」(上野―札幌)がある。

 ブルトレの歴史は、56年に営業を始めた東京―博多の「あさかぜ」に始まる。あさかぜは58年から冷暖房完備の新型車両に編成を変えて以来、「走るホテル」と呼ばれて親しまれたが、乗車率が2割台に落ち込み、05年春に廃止された。

 JR各社は、関係部署の担当者による通称「ブルトレ会議」で、ブルトレの将来について検討を進めている。ほかの路線についても、新幹線の開業時期などに合わせて廃止することを視野に、検討しているという。

 

 ◆キーワード

 <ブルートレイン> 青い寝台車を、機関車が引いて走る列車の愛称。商標権はJR東日本のほか、サンリオやタカラトミーなど数社が持つ。56年に運行を始め、松本清張の推理小説「点と線」にも登場する「あさかぜ」が国内の第1号。70年代後半にはブームが起き、小説の舞台に何度も使われたが、新幹線開通に伴って利用は減少、路線は相次いで廃止された。海外では「世界一豪華」と称される南アフリカの寝台列車「ザ・ブルートレイン」が有名。

 

 ■現行のブルートレイン

 (かっこ内は路線)

北斗星   (上野―札幌) 

あけぼの  (上野―青森)

北陸    (上野―金沢)

日本海   (大阪―青森)

富士    (東京―大分)

はやぶさ  (東京―熊本)

銀河〈急行〉(東京―大阪)

あかつき  (京都―長崎)

なは    (京都―熊本)

 

(11月18日付け朝刊1ページ 総合1面)
 
最終更新:2012年05月03日 01:20