民明書房刊「死者蘇生術探求の世界史」

『語呂合わせ復活の呪文』

古代中国(夏王朝もしくは殷王朝とも)のとある一地方の
16の県からなる羅流(らりゅう)州に呪術師を自称する一人の男がいた
名は語 呂合(ご りょごう)
彼は、死者を甦らせる研究を行っていた。
というのも、当時度々大規模な洪水を起こし民衆を苦しめた長江、
それを何とかするための治水工事を計画・指揮したが、道半ばで
やはり洪水に呑まれ命を落とした、米 卯世(べい うせい)を復活させるためである。
そして、彼が、25年の歳月を費やして研究し、辿り着いた方法は、
64種の今でいう漢字の元型にあたる文字の1つが書かれた蛍光性を持つ丸い石、
その中から20個を選び出して、死者の亡骸の側に特定の順番で並べて
その20文字を読み上げるというものである。
これにより、奇跡的に復活を果たした米 卯世により、頓挫していた治水工事は再開され、
完成後は、百年に渡り洪水が起こることは無かったと言われる。

現代、RPGというコンピュータゲームの一ジャンルで
国民的な人気を誇る『ドラゴンクエスト』シリーズ
その第1作目の物語は、この逸話を元にしているという見方もある。
ラルス16世という王様(羅流州は"らるす"とも読める)が登場し、
ゲームを中断し後日再開するために必要なパスワード「復活の呪文」を教えてくれたり、
また、洪水により溢れ出る水流が、荒れ狂う竜に見立てられることもよくあるからだ。

ちなみに、その選び出され特定の順番で並べられた20個の蛍光石に書かれた文字は、
当時の言葉としては意味を成さなかったようだが、それを現在の漢字にあてはめ
さらにその読みの最初の音を取り出していくと、次の様に意味の通るものとなっている

よみがえり きれあくりゆう うちはたせ ろとよ (蘇り、斬れ!悪竜、討ち果たせ!! ロトよ)

また、そればかりか、この20文字は、パスワード「復活の呪文」としても使え
これにより、よみがえる勇者はレベル20で名前は「こめうせ」である。
この偶然から、基本的に意味不明な文字列になってしまう「復活の呪文」の中から
意味のある文字列を探し出す行為を、呪術師"語 呂合"に敬意を表し
"語呂合わせ"と称して、某巨大インターネット掲示板の片隅では、今も行われている。


民明書房刊 「死者蘇生術探求の世界史」 より

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最終更新:2011年01月10日 19:57