貴方のギルド脱退理由@ウィキ

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dattai

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48-420


420 :1/4 [sage]:07/09/17(月) 18:01 ID:vk7d9ipV0
2年ほど前の冬、臨時広場で変わった募集チャットを見た。
もうよく覚えていないのだが、落)や臨)のようないわゆるROっぽいものではなく
興味を引かれた俺は、ちょうどLvの合うアコがいたのでチャットを叩いてみた。

「こんにちわ。Lv○○のアコですがよろしいですか?」
「よろこんでー。あ、でもその前に」
「なんでしょう?」
「私、リネから来たばかりでROは三日前にはじめたばかりなんですけどいいですか?」


こんな感じで出会った彼女はいわゆる「ネトゲ廃人」であり、リネでは98のキャラ持ち。
ROしか知らない俺にはよくわからないが、リネというネトゲはLv上げに・・・というか
PT狩りそのものに結構時間のかかるものらしい。そこで98までLv上げて飽きたそうだ。

そんな彼女だから、ROは初心者とはいえネトゲそのものには熟練しており、
俺の貸し出したいくつかの初期装備や回復剤を有効に使い、サクサクLvを上げ、
またちょうど最初のプレミアムパックの発売もあり、それを売ったゼニーを
元手に過剰にも手を出し、あっというまに一財産を築いてしまう。

俺のほうはというと、初めての支援職であるプリが楽しくてしかたない時期で
戦闘職を選んだ彼女とのペア狩りが楽しく、またみるみる上達する彼女のいわゆる
『プレイヤースキル』というものに憧れ、切磋研磨する毎日だった。

幸運にも相性の合った俺たちはどちらからともなく半固定PTを組むようになり、
その流れで彼女は、当時俺の所属していたギルドに加入することとなる。


その年の暮れ、12月25日。いわゆるクリスマスの夜。
残業で遅くなった俺は、ログイン早々彼女に呼び出される。

「あっ! やっときたっ! 早くっ早くっ!」

421 :2/4 [sage]:07/09/17(月) 18:02 ID:vk7d9ipV0
会うなら出された取引要請を承諾すると取引窓には彼女の名前入りのリング。

「作るの大変だったんだからっ! 大事にしてよっ!」

そりゃあもう大事にするさ。でもゴメンな。こっちは仕事が忙しくて何も準備してないんだ。

「いいよいいよ。そんなの気にしてない。それより遊ぼうっ!」

雪のルティエを観光した。カップルを冷やかした。大聖堂でソロ軍団呼び出して笑った。
普段、話すことよりも観光よりも狩りを好む二人だったけど、この夜だけは違った。
ROの世界を遊び尽くしてみた。とても楽しかった。

・・・そして明け方。落ちる前に彼女は言う。とても言いにくそうに。

「・・・あのさ、隠してた事があるんだ」

彼女にとってROはただの暇つぶし・・・というか「つなぎ」だったそうだ。
彼女が本当にやりたかったネトゲは「FEZ」。当時、β会員募集中だった。
ちょうどリネの課金の切れた彼女は、「FEZ」開始までの「つなぎ」にROを選び
そしてもうすぐ「FEZ」のβテストが始まると言う・・・。

「だから」

「いっしょにFEZに来てもらえないかな?」


俺はそれを承諾・・・するつもりだった。
せっかく出来た友人や苦労して集めた武器防具に未練がないわけでもなかったが
そんなものよりも彼女との狩り(FEZでも『狩り』というかは知らないが)が好きだった。
・・・しかし当時の俺はテレ隠しにこう言ってしまう。


「FEZって支援職ないじゃん!」

422 :3/4 [sage]:07/09/17(月) 18:03 ID:vk7d9ipV0
今はどうか知らないが当時のFEZには支援職はなかった。対人メインのゲームだから
そういう仕様なのも仕方ないだろう。

「あー。うん。そうだねー。支援職はないね。確かに」
「でもきっと楽しいよっ! だからいっしょに行こうよ!」
「私も(俺)といっしょならきっと楽しいと思う!」
「返事は今度でいいからさっ!」

そう言って彼女はログアウトした。


・・・事実は小説より奇なり。

その後、地獄のような年末年始を経て久しぶりにログインしようとした俺は
PCが壊れているのに気が付く。ログインが出来ない。
慌てて修理を依頼するも、結構時間がかかるといわれる。
諦めて近所のネカフェに行ってみたが、間が悪く彼女はINしていない。
不幸は重なる物で、平日昼間に繋げるのはギルド内ではサービス業勤務だった
俺と彼女だけで、伝言も出来ずに終わる。


帰宅後、体調の悪さに気が付いた俺は病院へ行く。
即、入院を言い渡された。年末の疲労で肝臓がイカレかけていたらしい。


・・・三週間の入院生活を経て復帰した俺は、彼女がギルド脱退しFEZに行ったことを知った。

せめて彼女に「YES」と伝えられていれば、そうすれば待っていて貰えたろうか・・・。
そう考えた時もあった。即座に追いかける手もあった。しかしその行動力もなかった。

423 :4/4 [sage]:07/09/17(月) 18:06 ID:vk7d9ipV0
・・・月日は流れ、あれからそろそろ2年がたとうとしている。
結局、ROに残った俺はその後、彼女に勝るとも劣らない相方を手にいれ、それなりに
楽しいRO生活を送ってきた。彼女ほど狩りがうまいわけではないがとても優しいコだ。

その彼女も先週、とうとうROを引退した。
最期に二人で話した時に、相方がこう言った。

「(俺)といっしょにいられて楽しかったよ~」
「でもね。私、(俺)の『彼女』さんにちょっと妬いてたw」
「隠さないでくれたのはうれしいけど、あんなに褒めるんだもんw」
「私だって女の子ですからね~。あれじゃ妬けますw」

「だから」
「もう私に遠慮しなくていいから」
「いってらっしゃいw」

・・・相方を見送った翌日、マスターに理由を全て話してギルド脱退した。
FEZに鯖がいくつあるか知らないし、彼女のキャラ名も知らない。
そもそも彼女がまだ続けている保障も何もないのだが。

でも、行ってみようと思う。手がかりはROでのキャラ名のみ。
会ってどうしたい訳じゃない。もし会えたらただ一言、謝ってこようと思う。

「あの時は悪かった。誘ってもらってうれしかったよ」

・・・もし、このスレの住人にFEZもやる人がいるのなら、覚えていて欲しい。
そしていきなり「失礼ですが○○という名前に心当たりありませんか?」と尋ねられたら
ちょっとだけでも親切にしてもらえるとありがたい。


脱退理由:「昔の仲間に会いに行きます」

・・・ウソ臭い長文にお付き合い頂き、感謝する。捏造かどうかの判断はお任せします。


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