欧州評議会・子どもに関わる面会交流に関する条約(2003年)


前文

 欧州評議会の加盟国およびこの条約の他の署名国は、
 子の監護の決定の承認および執行ならびに子の監護の回復に関する欧州条約(ETS NO. 105)を考慮し、
 国際的な子の奪取の民事面に関する1960年10月25日のハーグ条約、および、親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する1996年10月19日のハーグ条約を考慮し、
 婚姻問題および子に対する両配偶者の親責任の問題についての管轄権ならびに判決の承認および執行に関する2000年5月29日の評議会規則(EC)No. 1347/2000を考慮し、
 欧州評議会の種々の国際法文書および子どもの権利に関する1989年11月20日の国際連合条約第3条で定められているとおり、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されなければならないことを認め、
 人権および基本的自由の保護に関する1950年11月4日の条約(ETS No. 5)第8条で保護されているとおり、子どもとその親および子どもと家族的つながりを有する他の者との面会交流を保障するためさらなる規定を設ける必要があることを認識し、
 子どもの権利に関する国際連合条約第9条で、親の一方または双方から分離されている子どもが、子どもの最善の利益に反しないかぎり、定期的に親双方との個人的関係および直接の接触を保つ権利について定められていることを考慮し、
 子どもの権利に関する国際連合条約第10条第2項で、異なる国々に居住する親をもつ子どもは、例外的な状況を除き、定期的に親双方との個人的関係および直接の接触を保つ権利について定められていることを考慮し、
 親のみならず子どもも権利の保有者として認めることが望ましいことを認識し、
 したがって、「子どもへのアクセス」の概念に代えて「子どもに関わる面会交流」の概念を用いることに合意し、
 子どもの権利の行使に関する欧州条約(ETS No. 160)を考慮し、かつ、親および子どもと家族的つながりを有する他の者との面会交流に関わる事柄について子どもを援助するための措置を促進することが望ましいことを考慮し、
 子どもは親のみならず子どもと家族的つながりを有する他の一定の者とも面会交流できる必要があること、および、親およびこれらの他の者が子どもの最善の利益を条件として子どもとの面会交流を維持することが重要であることに合意し、
 とくにこの分野における国際文書の適用を促進する目的で、諸国が子どもに関わる面会交流に関する共通の原則を採用する必要があることに留意し、
 子どもに関わる面会交流についての外国の命令を実施するために設置された機構は、これらの外国の命令の基礎となる原則が当該命令を実施する国における原則と同様のものである場合に、より満足のできる結果を生み出しやすくなることを認識し、
 子どもと親および子どもと家族的つながりを有する他の者とが異なる国々に居住している場合に、司法機関に対し、越境面会交流をより頻繁に活用すること、および、当該面会交流が終了すれば子どもは返還されるという関係者全員の信頼感を高めることを奨励する必要があることを認め、
 実効性のある保護措置および追加的保障を定めることにより、とくに越境面会交流の終了時に子どもの返還が確保される可能性が高まることに留意し、
 とくに子どもに関わる越境面会交流についての解決策を用意するため、追加的な国際文書が必要とされていることに留意し、
 子どもとその親および子どもと家族的つながりを有する他の者との面会交流を促進しおよび向上させ、ならびに、とくに越境面会交流に関わる事案における司法協力を促進するため、すべての中央当局その他の機関間の協力を確立することを望み、
 次のとおり協定した。

第1章-条約の目的および定義

第1条-条約の目的

 この条約は、次のことを目的とする。
  • a. 面会交流命令に適用されるべき一般的原則を決定すること。
  • b. 面会交流の適正な行使および面会交流期間終了時の子どもの即時返還を確保するための適切な保護措置および保障を定めること。
  • c. 子どもとその親および子どもと家族的つながりを有する他の者との面会交流を促進させおよび向上させるため、中央当局、司法機関その他の機関間の協力を確立すること。

第2条-定義

 この条約の適用上、
  • a. 「面会交流」とは、次のことをいう。
    • i. 子どもが、第4条または第5条に掲げられた者であって子どもが通常生活をともにしていない者のもとに限られた期間滞在し、または当該人物と会うこと。
    • ii. 子どもと当該人物との間の、いずれかの形態のコミュニケーション。
    • iii. 子どもについての情報を当該人物に対し、または当該人物についての情報を子どもに対し、提供すること。
  • b. 「面会交流命令」とは、面会交流に関わる司法機関の決定をいう。これには、面会交流に関わる取決めであって、権限ある司法機関によって確認され、または公正証書として公式に作成もしくは登録されかつ執行可能なものを含む。
  • c. 「子ども」とは、締約国においてその者に関する面会交流命令が発令または執行される可能性がある18歳未満の者をいう。
  • d. 「家族的つながり」とは、法律または事実上の家族的関係に基づく、子どもとその祖父母または兄弟との関係のような緊密な関係をいう。
  • e. 「司法機関」とは、裁判所、またはこれと同等の権限を有する行政機関をいう。

第2章-面会交流に適用される一般的原則

第3条-原則の適用

 締約国は、面会交流命令を発令し、修正し、停止しまたは撤回する際にこの章に掲げられた原則が司法機関によって適用されることを確保するため、必要と考えられる立法上その他の措置をとる。

第4条-子どもとその親との面会交流

1.子どもおよびその親は、相互の定期的な面会交流を確保しかつ維持する権利を有する。
2.当該面会交流は、子どもの最善の利益のために必要な場合でなければ、制限しまたは禁止することができない。
3.親のいずれかとの監督なしの面会交流を維持することが子どもの最善の利益にかなわないときは、該当する親と監督付で対面しまたはその他の形態で面会交流を行なう可能性が検討される。

第5条-子どもとその親以外の者との面会交流

1.子どもの最善の利益にかなうことを条件として、子どもと、その親以外の者であって子どもと家族的つながりを有する者との面会交流を確立することができる。
2.締約国は、1に掲げられた者以外の者に対しても、自由にこの規定を拡大適用することができる。このような拡大適用を行なう際、国は、第2条aが定める面会交流のいずれの側面が適用されるか、自由に決定することができる。

第6条-情報を提供され、相談されかつ意見を表明する子どもの権利

1.国内法によって十分な理解力を有すると見なされる子どもは、その最善の利益に明らかに反する場合を除き、次の権利を有する。
  • 関連のあらゆる情報を受け取る権利。
  • 相談される権利。
  • 自己の意見を表明する権利。
2.これらの意見ならびに確認可能な子どもの希望および気持ちは、正当に重視される。

第7条-面会交流に関わる紛争の解決

 面会交流に関わる紛争の解決に際し、司法機関は、次の目的のため、あらゆる適当な措置をとる。
  • a. 双方の親に対し、その子どもとの定期的な面会交流を確立しおよび維持することがその子どもにとっておよび双方の親にとって重要であることについて、十分な情報が提供されることを確保すること。
  • b. 親および子どもと家族的つながりを有する他の者に対し、面会交流について、とくに家族調停その他の紛争解決手続を通じて友好的合意に達するよう、奨励すること。
  • c. 子どもの最善の利益にかなう決定を行ない、かつ必要なときは他の関連の機関または者からさらなる情報を得る目的で、決定の前に、とくに親責任を有する者からの十分な情報が活用できる状態にあることを確保すること。

第8条-面会交流に関する取決め

1.締約国は、適当と考える手段により、親および子どもと家族的つながりを有する他の者に対し、子どもに関わる面会交流に関する取決めを行ないまたは修正する際に第4条から第7条までに掲げる原則を遵守するよう奨励する。
2.司法機関は、国内法で別段の定めがあるときを除き、要請に基づき、子どもに関わる面会交流に関する取決めを確認する。ただし、当該取決めが子どもの最善の利益に反するときは、このかぎりでない。

第9条-面会交流命令の実行

 締約国は、面会交流命令が実行されることを確保するため、あらゆる適当な措置をとる。

第10条-面会交流に関してとられる保護措置および保障

1.各締約国は、保護措置および保障を整備し、かつその使用を促進する。締約国は、当該締約国についてこの条約が効力を生じた後3か月以内に、この条約の第4条第3項および第14条第1項bに掲げられた保護措置および保障に加えて国内法で利用可能な、少なくとも3種類の保護措置および保障について、自国の中央当局を通じて欧州評議会事務総長に通告する。利用可能な保護措置および保障の変更については、可及的速やかに通告する。
2.事案の状況によって必要とされるときは、司法機関は、命令が実行されること、および、面会交流期間の終了時に子どもが通常の生活場所に返還されまたは子どもが不適正に連れ去られないことを確保する目的で、いつでも、面会交流命令をいずれかの保護措置および保障の対象とすることができる。
  • a. 命令が実行されることを確保するための保護措置および保障には、とくに次のものを含むことができる。
    • 面会交流の監督。
    • 子どもおよび適当と考えられるときは子どもに付き添う他のいずれかの者の旅費および宿泊費を負担する義務。
    • 子どもとの面会交流を求める者が当該面会交流を妨げられないことを確保するため、子どもと通常生活をともにしている者が供託すべき保証金。
    • 子どもと通常生活をともにしている者が面会交流命令にしたがわない場合に科される金銭的制裁。
  • b. 子どもの返還を確保しまたは子どもの不適正な連れ去りを防止するための保護措置および保障には、とくに次のものを含むことができる。
    • パスポートまたは身分証明書類の提出、および、適当なときは、面会交流を求める者が権限ある中央当局に対し面会交流期間中の当該提出について通知したことを示す書類の提出。
    • 保証金。
    • 裁判所に対する誓約書または約定書。
    • 子どもと面会交流を行なう者が、面会交流地にある青少年福祉機関または警察署のような権限ある機関に、子どもとともに定期的に出頭する義務。
    • 子どもとの面会交流を求める者が、監護命令もしくは面会交流命令またはその両方が執行可能である旨を承認しおよび宣言する、面会交流地である国によって発行された証明書を、面会交流命令が言い渡される前または面会交流が行なわれる前に提示する義務。
    • 面会交流が行なわれる場所に関して条件を付すこと、および、適当なときは、子どもが面会交流地である国から出国することの禁止をいずれかの国内的または越境的情報システムに登録すること。
3.いかなる保護措置および保障も、書面により作成されまたは証明され、かつ面会交流命令または確認された取決めの一部をなすものとする。
4.保護措置および保障が他の締約国で実施されるときは、司法機関は、可能であれば、当該締約国において実施可能な形で当該保護措置および保障を命令する。

第3章-越境面会交流を促進しかつ向上させるための措置

第11条-中央当局

1.各締約国は、越境面会交流の事案においてこの条約が定める任務を履行するため、一の中央当局を指定する。
2.連邦制の国、二以上の法制を有する国または自治権のある領域的単位を有する国は、二以上の中央当局を指定し、かつその職務が及ぶ領域的または属人的範囲を定めることができる。二以上の中央当局を指定した国は、いずれかの連絡が自国内の適当な中央当局に転送されるよう、連絡先となる一の中央当局を指定する。
3.欧州評議会事務総長は、この条に基づいて行なわれたいかなる指定についても通告を受ける。

第12条-中央当局の職務

 締約国の中央当局は、次のことをする。
  • a. 条約の目的を達成するため、相互に協力し、かつそれぞれの国内の権限ある機関(司法機関を含む)間の協力を促進すること。中央当局は、必要な最大限の迅速さをもって行動する。
  • b. この条約の運用を容易にする目的で、面会交流を含む親の責任に関する自国の法律についての情報、ならびに、第10条第1項にしたがってすでに定められているもの以外の保護措置および保障ならびに自国の利用可能なサービス(公的資金によるものその他の法律サービスを含む)に関するより詳細な情報、ならびに、これらの法律およびサービスのいずれかの変更に関わる情報を、要請に基づき、相互に提供すること。
  • c. 子どもの所在を明らかにするため、あらゆる適当な措置をとること。
  • d. 権限ある機関からの情報の要請および係属中の手続に関わる法律上または事実上の問題に関わる要請が確実に転送されるようにすること。
  • e. 条約の適用上生ずる可能性があるいずれかの困難について相互に十分な情報を得ているようにし、かつ、可能なかぎり、条約の適用の妨げとなる要因を解消すること。

第13条-国際協力

1.それぞれの権限の範囲内で行動する関係締約国の司法機関、中央当局および社会機関その他の機関は、越境面会交流に関する手続に関して協力する。
2.とくに、中央当局は、締約国の司法機関が相互に連絡し、かつこの条約の趣旨を達成するために必要と考えられる情報および援助を獲得することを援助する。
3.越境事案において、中央当局は、とくに、子ども、親および子どもと家族的つながりを有する他の者が越境面会交流に関する手続を開始することを援助する。

第14条-越境面会交流命令の承認および執行

1.締約国は、適用可能なときは関連の国際文書にもしたがい、次の制度および手続を設ける。
  • a. 面会交流および監護権について他の締約国で発令された命令を承認しおよび執行するための制度。
  • b. 面会交流および監護権について他の締約国で発令された命令が、その対象となる国において面会交流が行なわれる前に承認されかつ執行可能宣言を受けられるようにするための手続。
2.締約国が、外国の命令の承認もしくは執行またはその両方について条約の存在または相互主義を条件としているときは、締約国は、この条約を、外国の面会交流命令の承認もしくは執行またはその両方の法的根拠と見なすことができる。

第15条-越境面会交流命令の実施条件

 他の締約国で発令された越境面会交流命令の実施地である締約国の司法機関は、当該面会交流命令を承認しもしくはその執行可能宣言を行なう際またはその後のいずれかの時点で、当該命令の実施の条件、および、当該面会交流の実行を容易にするために必要なときは当該命令に付されるいずれかの保護措置または保障を、当該命令の本質的要素が尊重されることを条件として、かつ、とくに状況の変化および関係者による取決めを考慮しながら、定めまたは修正することができる。いかなる状況においても、外国の決定について実質的再審査を行なうことはできない。

第16条-子どもの返還

1.面会交流命令に基づく越境面会交流期間の終了時に子どもが返還されないときは、権限ある機関は、要請に基づき、適用可能なときは国際文書および国内法の関連規定を適用することにより、かつ適当なときは面会交流命令に定められた保護措置および保障を実施することにより、子どもの即時返還を確保する。
2.子どもの返還に関する決定は、可能なときは常に、返還申請の日から6週間以内に言い渡すものとする。

第17条-費用負担

 各締約国は、送還費用を除き、自国の中央当局自身が申請者のためにこの条約に基づいてとったいずれかの措置について、申請者によるいかなる支払いも請求しないことを約束する。

第18条-言語要件

1.関係中央当局間で締結されるいずれかの特別協定にしたがうことを条件として、
  • a. 対象国の中央当局への連絡は、当該国の公用語または複数の公用語の一で、または当該言語への翻訳を添付して行なう。
  • b. 対象国の中央当局は、aの規定に関わらず、英語もしくはフランス語で行なわれる連絡またはそのいずれかへの翻訳が添付された連絡を受理する。
2.対象国の中央当局からの連絡(実施された調査の結果を含む)は、当該国の公用語もしくは複数の公用語の一または英語もしくはフランス語で行なうことができる。
3.ただし、締約国は、欧州評議会事務総長に宛てた宣言により、自国の中央当局に送付されるいずれかの申請、連絡その他の文書においてこの条の1および2に基づいてフランス語または英語のいずれかを使用することに異議を申し立てることができる。

第4章-他の文書との関係

第19条-子の監護の決定の承認および執行ならびに子の監護の回復に関する欧州条約との関係

 子の監護の決定の承認および執行ならびに子の監護の回復に関する1980年5月20日の欧州条約(ETS NO. 105)第11条第2項および第3項は、この条約の締約国でもある締約国間の関係においては適用されない。

第20条-他の文書との関係

1.この条約は、この条約の締約国が現に締約国であるまたは締約国になるものとされる他の国際文書であって、この条約が規律する事柄についての規定を含んでいる他の国際文書に影響を及ぼすものではない。とくに、この条約は次の法的文書の適用を妨げるものではない。
  • a. 未成年者の保護に関する公的機関の権限および準拠法に関する1961年10月5日のハーグ条約
  • b. 子の監護の決定の承認および執行ならびに子の監護の回復に関する1980年5月20日の欧州条約(ただし前掲第19条にしたがうことを条件とする)
  • c. 国際的な子の奪取の民事面に関する1960年10月25日のハーグ条約
  • d. 親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する1996年10月19日のハーグ条約
2.この条約のいかなる規定も、締約国が、この条約の規定を完全に履行しもしくは発展させまたはその適用分野を拡大する国際協定を締結することを妨げるものではない。
3.欧州共同体の加盟国である締約国は、その相互関係において共同体規則を適用するものとし、したがって、関係する特定の主題を規律する共同体規則が存在しない場合を除き、この条約から生ずる規則を適用しない。

第5章-条約改正

第21条-改正

1.締約国がこの条約について行なったいかなる改正の提案も、欧州評議会事務総長に送付され、事務総長により、欧州評議会加盟国、すべての署名国、すべての締約国、欧州共同体、第22条の規定にしたがってこの条約への署名を慫慂されたすべての国および第23条の規定にしたがってこの条約への加入を慫慂されたすべての国に送付される。
2.締約国が提案したいかなる改正案も欧州法的協力委員会(CDCJ)に通告され、同委員会は、閣僚委員会に対し、当該改正案についての意見を提出する。
3.閣僚委員会は、当該改正案およびCDCJから提出された意見を検討するものとし、欧州評議会加盟国以外のこの条約の締約国と協議した後、当該改正を採択することができる。
4.この条の3にしたがって閣僚委員会が採択した改正文は、受託のため、締約国に送付される。
5.この条の3にしたがって採択されたいかなる改正も、すべての締約国が改正の受託を事務総長に通告した日の後1か月が経過した月の1日に効力を生ずる。

第6章-最終条項

第22条-署名および発効

1.この条約は、欧州評議会加盟国、その作成に参加した非加盟国および欧州共同体による署名のために開放しておく。
2.この条約は、批准、加入または承認されなければならない。批准書、加入書または承認書は、欧州評議会事務総長に寄託する。
3.この条約は、少なくとも2か国の欧州評議会加盟国を含む3か国が、前項の規定にしたがって条約に拘束されることへの同意を表明した日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。
4.1に掲げられたいずれかの国または欧州共同体が、その後、条約に拘束されることへの同意を表明したときは、条約は、当該国または欧州共同体について、その批准書、加入書または承認書が寄託された日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。

第23条-条約への加入

1.この条約の発効後、欧州評議会閣僚委員会は、締約国との協議を行なった後、欧州評議会の非加盟国であって条約の作成に参加しなかったいかなる国に対しても、欧州評議会規程第20条dに定められた過半数による決定をもって、かつ閣僚評議会に出席する資格を有する締約国の代表の全会一致の投票をもって、この条約に加入するよう慫慂することができる。
2.条約は、加入したいかなる国についても、欧州評議会事務総長に加入書が寄託された日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。

第24条-領域的適用

1.いずれの国または欧州共同体も、署名時または批准書、受託書、承認書もしくは加入書の寄託時に、この条約が適用される単一のまたは複数の領域を特定することができる。
2.いずれの国も、その後のいかなる時点においても、欧州評議会事務総長に宛てた宣言によって、当該宣言で特定され、かつ国際的関係について自国が責任を負っているまたは自国が代わって保証を行なうことが認められている他のいずれの領域に対しても、この条約を新たに適用することができる。当該領域については、条約は、事務総長が当該宣言を受領した日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。
3.1および2の規定に基づいて行なわれたいずれの宣言も、当該宣言で特定されたいずれの領域についても、欧州評議会事務総長に宛てた通告によって撤回することができる。撤回は、事務総長が当該通告を受領した日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。

第25条-留保

 この条約のいかなる規定についても、いかなる留保も付すことができない。

第26条-廃棄

1.いかなる締約国も、欧州評議会事務総長に宛てた通告を行なうことによって、いつでもこの条約を廃棄することができる。
2.当該廃棄は、事務総長が通告を受領した日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。

第27条-通告

 欧州評議会事務総長は、欧州評議会加盟国、すべての署名国、すべての締約国、欧州共同体、第22条の規定にしたがってこの条約への署名を慫慂されたすべての国および第23条の規定にしたがってこの条約への加入を慫慂されたすべての国に対し、次の事項を通告する。
  • a. すべての署名。
  • b. すべての批准書、受託書、承認書または加入書の寄託。
  • c. 第22条および第23条にしたがってこの条約が効力を生ずるすべての日付。
  • d. 第21条にしたがって採択されたすべての改正および当該改正が効力を生ずる日付。
  • e. 第18条に基づいて行なわれたすべての宣言。
  • f. 第26条の規定にしたがって行なわれたすべての廃棄。
  • g. とくにこの条約の第10条および第11条に関わる他のいずれかの行為、通告または連絡。

以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。

2003年5月15日、ストラスブールにおいて、ひとしく正文である英語およびフランス語により本書1通を作成した。本書は、欧州評議会に寄託する。欧州評議会事務総長は、欧州評議会の各加盟国、この条約の作成に参加した非加盟国、欧州共同体およびこの条約に加入するよう慫慂されたすべての国に対し、その認証謄本を送付する。


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最終更新:2011年08月11日 14:51