総括所見:インドネシア(予備的所見・1993年)


CRC/C/15/Add.7(1993年10月18日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、1993年9月22日および23日に開かれた第79回、第80回および第81回会合(CRC/C/SR.79-81)において、インドネシアの第1回報告書(CRC/C/3/Add.10)の検討を開始した。今会期中、条約の実施に関して文書および口頭により出された多くの質問に対する十分な説明を得る十分な時間がなかったことにかんがみ、委員会は、同報告書の検討を今後の会期において継続することを決定し、以下の予備的所見を採択した(注)。
  • 1993年10月8日に開かれた第103回会合において。

A.序

2.委員会は、インドネシアが条約を早期に批准し、かつ条約第44条にもとづきその第1回報告書を時宜を得た形で提出したことに反映されているように、締約国が子どもの権利の促進および保護に決意を示していることを歓迎する。しかしながら、委員会は、第1回報告書およびその検討の結果として行なわれた対話から得られた情報にもとづき、現行法は条約の実施を確保するのに十分ではないと感ずるものである。

B.積極的な側面

3.委員会は、インドネシアが子どもの権利の実施を向上させるための措置に関する委員会の助言および援助を重視していることに満足感とともに留意し、かつ、子どもの状況を増進させるための政策およびプログラムを見直しかつ発展させる目的で、締約国が委員会および他の国際連合機関との協力に決意を有していることを歓迎する。
4.委員会は、締約国が、条約にもとづく義務および1992年8月の「北京コンセンサス」に反映された義務に照らして国内法を見直すことに前向きな姿勢を表明したことに留意する。委員会はまた、締約国が、条約に付した留保の撤回を検討する方向でその見直しを行なう決意を示したことも歓迎するものである。
5.委員会はまた、とくに開発戦略の文脈において子どもの問題により高い優先順位を与えるためにとられた措置にも留意する。

C.条約の実施を阻害する要因および困難

6.委員会は、締約国における条約の迅速な実施を阻害する困難、とりわけ、360の民族グループの存在、住民がインドネシア列島全域に散在していること、および、締約国一般およびとくにインドネシア住民の一部の層がいまなお直面している経済的問題に、留意する。

D.主要な懸念事項

7.委員会は、締約国が条約に付した留保の範囲を深く懸念する。委員会は、これらの留保の広範かつ不明確な性格は、条約の趣旨および目的との両立性に関して深刻な懸念を生じさせると感ずるものである。
8.条約に掲げられた子どもの権利は憲法と矛盾するものではないという代表団の発言には留意しながらも、委員会は、国内法において、外国人も含むすべての子どもが条約で保障された権利による保護を受けることが確保されていないように思えることを懸念する。
9.委員会はまた、条約第14条に掲げられた権利が、効力停止は不可能であるにも関わらず全面的に保護されていないことも懸念する。
10.子どもが婚姻できる年齢に関する国内法が条約第2条に反映された差別の禁止規定と両立しない可能性があることも、委員会の懸念するところである。
11.委員会は、条約の原則および規定を子どもに広く知らせるための努力が不十分であることに、懸念を表明する。
12.委員会はまた、子どもの権利の促進および保護への非政府組織、とくに人権団体の参加が行なわれていないこと、および、直接子どもとともに働いている職員に対して子どもの権利に関する訓練を提供するための努力が行なわれていないことも懸念する。
13.委員会は、条約の一般原則、とくに第2条、第3条および第12条の実施に対して向けられている注意が不十分であることを懸念する。委員会は、これらの原則の実施は財源に左右されるものではないことを強調したい。
14.委員会は、社会部門、とくにプライマリーヘルスケアおよび初等教育に対して割り当てられる予算の比率が少ないことを懸念する。これとの関連で、委員会は、経済的、社会的および文化的権利は入手可能な資源を最大限に用いることにより実施されるべきであると強調した条約第4条の規定を尊重する必要があることに、締約国の注意を促すものである。委員会は、そのような行動は締約国がいかなる経済モデルをとっていようとも必要であることを強調する。
15.委員会は、宗教の自由に関連する条約第14条の実施に関して懸念を表明する。委員会は、公的認可を一部の宗教に限定することは差別的慣行を生じさせる可能性があるということを強調することが重要であると考えるものである。
16.委員会は、特別な保護措置に関して要請されている情報が文書によって提供されなかったことを遺憾に思い、かつ、少年司法の運営の制度が条約第37条、第39条および第40条ならびに少年司法に関する他の国際連合基準と両立していないことに懸念を表明する。
17.委員会は、ディリのサンタクルスでデモをしていた子どもに治安部隊が過度の実力を行使したことに関する委員会の1991年11月の緊急通報に対し、インドネシア政府から回答がないことに懸念を表明する。これとの関連で、委員会は、このような侵害が二度と起こらないようにするため、条約第37条および第40条にしたがって設けられた保障に関して委員会が情報を要請していることに、インドネシア政府の注意を促すものである。委員会はまた、条約第39条にしたがって、深刻な人権侵害の被害者のリハビリテーションのために策定された戦略および提供されている便益に関する情報も要請する。
18.委員会はまた、児童労働の状況、および生き残るために路上で働きまたは生活することを余儀なくされている(しばしば「ストリートチルドレン」として知られている)子どもの状況に関する情報が提供されていないことも懸念する。

E.さらなる行動

19.委員会は、インドネシア政府に対し、条約の規定との一致を確保するために子ども関連の法律の見直しを行なうよう奨励し、かつ、これとの関連で、国際連合人権センターの助言サービスおよび技術的援助プログラムによって展開されてきた活動に注意を促す。前者との関連で、委員会は、代表団が、委員会の委員が締約国を訪問するよう招待したことを歓迎するものである。委員会は、この文書の7~18項に掲げられている、代表団との対話の過程で提起された懸念に関する書面による情報を要請する。委員会はまた、委員会がインドネシアの第1回報告書に関する総括所見を1994年9月/10月までに作成することができるよう、この書面による情報が1993年12月31日までに事務局に送付されるようにも要請するものである。


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