総括所見:タイ(第1回・1998年)


CRC/C/15/Add.97(1998年10月26日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、1998年10月1日および2日に開かれた第493回~第495回会合(CRC/C/SR.493-495)においてタイの第1回報告書(CRC/C/11/Add.13)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。
  • (注)1998年10月9日に開かれた第505回会合において。

A.序

2.委員会は、締約国の第1回報告書および委員会の事前質問票(CRC/C/Q/THA/1)に対する文書回答が提出されたことを歓迎する。委員会は、報告書が詳細かつ包括的な構成をとっていることに留意するが、確立されたガイドラインに全面的にしたがっていないことを遺憾に思うものである。委員会はまた、締約国代表団との間で持たれた建設的な、開かれたかつ率直な対話ならびに議論の過程で受け取った追加的情報にも留意する。委員会は、締約国との対話に子どもおよび非政府組織が活発に参加したことに、評価の意とともに留意するものである。

B.積極的な側面

3.委員会は、締約国が最近新憲法(1997年)を採択したことに留意する。これは、条約で認められた子どもの権利を含む人権の促進および保護を保障し、かつ人権の監視を担当する国内人権委員会の設置を求めるものである。
4.委員会は、法改正の分野で締約国が最近行なった努力に留意する。これとの関連で、委員会は、男女双方に対するわいせつ行為に関わる改正刑事手続法、18歳未満の少年被疑者に関わる刑事手続法、女性および子どもの人身売買の防止および禁止の措置に関する法律(1997年)、売買春行為防止禁止法(1996年)、職業訓練促進法(1993年)および労働保護法(1998年)の制定を歓迎するものである。
5.委員会は、第8次国家経済社会発展計画(1997~2001年)において、子どもの保護および参加を含む人間的発展に優先順位が与えられていることに留意する。これとの関連で、委員会は、傷つきやすい立場および不利な立場に置かれたグループに対する発展の機会を拡大し、かつ、子どもの労働および売買春の領域で特別な監視システムを実施するための取組みを歓迎するものである。委員会はまた、締約国が、社会指標(最低限の基本的ニーズ)、子どもおよび青少年の発達に関する指標および子どもの権利に関する指標を含む諸指標を確立したことも歓迎する。
6.委員会は、とくに報告書の作成における締約国と非政府組織との協力、および、条約との一致を確保するため現在進められている政策および立法の見直しの取組みに留意する。

C.条約の実施を阻害する要因および困難

7.委員会は、締約国が現在直面している経済的および社会的困難が子どもの状況に悪影響を及ぼし、かつ条約の全面的実施を阻害していることを認識する。とりわけ、委員会は、高水準の対外債務、構造調整プログラムの要求、および失業および貧困の水準の上昇に留意するものである。

D.主要な懸念事項および委員会の勧告

8.締約国が条約第29条に関する留保を撤回したことには評価の意とともに留意しながらも、委員会は、締約国が条約批准時に行なった(第7条および第22条に対する)残りの留保を懸念する。これとの関連で、委員会は、締約国が最近(1997年)市民的および政治的権利に関する国際規約を留保なしで批准したことに留意し、かつ、とくに規約第2条および第24条に対する注意を促したいと考えるものである。ウィーン宣言および行動計画(1993年)ならびに最近の市民的および政治的権利に関する国際規約の批准に照らし、委員会は、締約国に対し、留保を撤回の方向で見直す可能性を検討するよう奨励する。
9.委員会は、締約国が立法上の枠組みを相当に発展させてきていることに留意する。しかしながら、委員会は、国内法がいまなお条約の原則および規定を全面的に反映していないことを懸念するものである。委員会は、締約国が、条約の原則および規定との全面的一致を確保するため国内法の見直しを行なうよう勧告する。これとの関連で、委員会はまた、締約国に対し、包括的な子ども法を制定する可能性を検討するようにも奨励するものである。
10.腐敗慣習委員会が設立されたことには留意しながらも、条約が対象とするあらゆる領域において法執行を強化しかつ腐敗慣習と闘う必要性があることは、いまなお委員会の特段の懸念の対象である。したがって、委員会は、締約国が、法執行を強化しかつ腐敗慣習を防止するため研修を含むあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
11.子どもの権利の問題に関する調整を促進しようとする国家青少年局の努力には留意しながらも、委員会は、地方レベルにおける参加および調整がいまなおやや限られていることを懸念する。委員会は、締約国が、とくに子どもの権利を促進しかつ保護するプロセスを地方分権化することにより、条約の実施に対する包括的なアプローチをとるよう勧告するものである。委員会はまた、国家青少年局による調整をとくに地方レベルにおいて強化するため、締約国がさらなる措置をとるようにも勧告する。
12.条約の実施を監視するための指標が開発されたことには留意しながらも、委員会は、子どもに関わって達成された進展を監視しかつ評価し、かつ子どもに関わってとられた政策の影響を評価することを目的として、あらゆるグループの子どもとの関連でかつ条約が対象とするあらゆる領域に関して細分化された量的および質的データを体系的にかつ包括的に収集することを確保するためには、現行のデータ収集機構では不充分であることをなお懸念する。委員会は、条約が対象とするあらゆる領域を編入するため、データ収集システムの見直しを行なうよう勧告するものである。そのようなシステムは、18歳までのすべての子どもを対象としつつ、経済的に搾取されている子ども、ひとり親家庭の子ども、婚外子、施設措置された子ども、およびノマドおよび丘陵地帯民のコミュニティの子どもを含む、弱い立場に置かれた子どもをとくに重視すべきである。
13.委員会は、条約に基づく自己の権利の侵害に関わる子どもからの苦情を登録しかつそれに対応する独立した機構が存在しないことに、懸念を表明する。委員会は、自己の権利の侵害の苦情に対応しかつそのような侵害に対する救済を提供する、子どもに優しい独立機構に子どもがアクセスできるようにすることを、提案するものである。委員会はまた、締約国が、子どもによるそのような機構の効果的活用を促進するため意識啓発キャンペーンを開始するようにも提案する。
14.委員会は、困難な経済条件にも関わらず締約国の社会支出への配分が増大していることに留意する。しかしながら、委員会は、条約第4条に照らし、子どものための予算配分を「利用可能な手段を最大限に用いて」行なうことに充分な注意が払われていないことを、依然として懸念するものである。条約第2条、第3条および第6条に照らし、委員会は、締約国に対し、利用可能な手段を最大限に用いて、かつ必要な場合には国際協力の枠組みにおいて子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施を確保するための予算配分を優先させることにより、条約第4条の全面的実施に特段の注意を払うよう奨励する。
15.条約の原則および規定に関する意識を促進するための締約国の努力は認識しながらも、委員会は、専門家グループ、子どもおよび公衆一般が一般的に条約のことを充分に認識していないことを、依然として懸念する。委員会は、非都市部および都市部のいずれに住んでいるおとなおよび子どものあいだでも同様に条約の規定が広く知られかつ理解されることを確保するため、さらなる努力を行なうよう勧告するものである。これとの関連で、委員会は、条約をあらゆるマイノリティまたは先住民の言語に翻訳し、かつそのような言語で条約が入手できるようにすることを勧告する。委員会はまた、裁判官、弁護士、法執行官、軍隊の士官および要員、教職員、学校管理者、心理学者を含む保健従事者、ソーシャルワーカー、中央または地方の行政職員ならびに子どものケアのための施設の職員のような、子どもとともにおよび子どものために働く専門家グループに対し、適切なかつ体系的な研修および(または)意識喚起を行なうようにも勧告するものである。委員会は、締約国に対し、メディアおよび公衆一般のあいだで子どもの権利に関する意識を向上させるための措置をとるよう奨励する。委員会はまた、締約国が、条約が学校および大学のカリキュラムに全面的に統合されることを確保するよう努めることを、提案するものである。これとの関連で、委員会はまた、締約国がとくに人権高等弁務官事務所およびユニセフの技術的援助を求めるようにも提案する。
16.委員会は、刑事責任に関する法定最低年齢が低いことに懸念を表明する。委員会はまた、成人に達する法定年齢が定められていないことも懸念するものである。委員会は、締約国が、立法を条約の規定と一致させるためその見直しを行なうよう勧告する。
17.委員会は、締約国が、子どもに関わる立法、行政上および司法上の決定または政策およびプログラムにおいて、条約の規定、とくに第2条(差別の禁止)、第3条(子どもの最善の利益)、第6条(生命、生存および発達への権利)および第12条(子どもの意見の尊重)に反映された一般原則を全面的に考慮にいれていないように思えることに、懸念を表明したい。条約の原則、とくに一般原則が、政策および意思決定の指針となるのみならず、いかなる法改正および司法上および行政上の決定においても、かつ子どもに影響を与えるあらゆる事業およびプログラムの開発および実施において適切に反映されることを確保するため、さらなる努力が行なわれなければならないというのが、委員会の見解である。
18.委員会は、弱い立場に置かれたグループに手を差し伸べるため締約国が行なっている努力を認知する。しかしながら、委員会は、すべての子どもが教育および保健サービスへのアクセスを保障され、かつあらゆる形態の搾取から保護されることを確保するためにとられた措置が不充分であることを、なお懸念するものである。とりわけ、女子、障害をもった子ども、丘陵地帯民を含むマイノリティに属する子ども、非都市部で暮らす子ども、貧困下で暮らす子ども、路上で暮らしかつ(または)働いている子どもおよび庇護希望者である子ども、不法移民の子ども、少年司法制度における子どもならびに婚外子を含む、傷つきやすい立場に置かれた一部のグループの子どもが懸念の対象となる。委員会は、締約国が、とくに、傷つきやすい立場に置かれたグループとの関連で、差別の禁止の原則の実施および条約第2条との全面的一致を確保するための努力を増大させるよう勧告するものである。
19.子どもの参加権を奨励するため締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、伝統的な慣行、文化および態度がいまなお条約第12条の全面的実施を制約していることを懸念する。委員会は、締約国が、子どもの参加権に関する公衆の意識を高めるために体系的なアプローチを発展させ、かつ、家庭ならびに学校、ケア制度および司法制度における子どもの意見の尊重を奨励するよう努めることを勧告するものである。
20.委員会は、締約国が出生時の登録を保障する立法(住民登録法)を制定したことに留意するが、いまなお多くの子ども、とくにノマドおよび丘陵地帯民のコミュニティで暮らしている子どもが登録されていないことを懸念する。条約第7条に照らし、委員会は、すべての子どもが出生時に登録されることを確保するため、締約国が、政府職員、コミュニティ指導者および親の意識を高めるための努力を増大させるよう勧告するものである。委員会はまた、締約国に対し、丘陵地帯民の子どもの状況を正規化し、かつ、そのような子どもに対し基礎保健、教育その他のサービスへの権利を保障しかつアクセスを促進するため証明書類を提供するよう、奨励する。
21.委員会は、学校における体罰の使用を禁止するため締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら、委員会は、体罰がいまなお実践されており、かつ、家庭、少年司法制度および代替的養護制度ならびに社会一般における体罰の使用が国内法により禁じられていないことを、懸念するものである。これとの関連で、委員会は、締約国が、家庭、少年司法制度および代替的養護制度ならびに社会一般における体罰を禁止するため、法的措置を含むあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、代替的形態のしつけおよび規律の維持が子どもの人間の尊厳と一致する方法で、かつ条約、とくに第28条2項に従って行なわれることを確保するため、意識啓発キャンペーンを行なうよう提案するものである。
22.委員会は、締約国が、家族環境の強化を奨励しかつ父母双方の子育てのスキルを高めるためのプログラムを確立したことに留意する。しかしながら、委員会は、子ども、とくに婚外子および貧困家庭の子どもが高率で遺棄されていることを依然として懸念するものである。これとの関連で、委員会は、また、代替的養護のための充分な便益およびこの分野における資格のある人材が存在しないことにも、懸念を表明する。委員会は、締約国が、子どもの遺棄を抑制するため、親に対して訓練も含む支援を提供するための努力を増大させるよう勧告するものである。また、里親養護を含む代替的養護を促進し、ソーシャルワーカーおよび福祉ワーカーに対して追加的な研修を行ない、かつ、代替的養護施設を対象とした苦情申立ておよび監視のための独立機構を設置するために、締約国が追加的プログラムを発展させることも勧告されるところである。
23.委員会は、被害を受けた子どもに保護を提供するため締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら、家族間暴力、(家庭の内外における)性的虐待を含む子どもの不当な取扱いおよび虐待に関する意識および情報が欠如していること、適切な資源が(財政的にも人的にも)存在しないこと、および虐待を防止しかつそれと闘うための充分に訓練された人材が存在しないことは、依然として懸念の対象である。条約第19条に照らし、委員会は、締約国が、充分な措置および政策を採択しかつ伝統的な態度を変えることに貢献することを目的として、この現象の規模および性質を理解するため家族間暴力ならびに性的虐待を含む子どもの不当な取扱いおよび虐待に関する研究を行なうよう勧告する。委員会はまた、家族間暴力ならびに家庭内の性的虐待を含む子どもの虐待および不当な取扱いの事件が子どもに優しい司法手続において適切に調査され、加害者に対して制裁が科され、かつ、子どものプライバシーへの権利の保護を正当に考慮しつつそのような事件において行なわれた決定を広報することも、勧告されるところである。法的手続において子どもに支援サービスを提供すること、条約第39条に従い、強姦、虐待、放任、不当な取扱い、暴力または搾取の被害者が身体的および心理的に回復しかつ社会的に再統合できるようにすること、および、被害者が犯罪者として取り扱われかつスティグマ(烙印)を押されることを防止することを確保するための措置がとられるべきである。
24.幼児および乳児の死亡率を削減するため締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、母乳育児の実践が依然としてはかばかしくないことおよび栄養不良率が高いことをなお懸念する。委員会は、締約国に対し、母乳育児の実践を促進しかつ向上させる包括的な政策およびプログラムを発展させること、子ども、とくに傷つきやすい立場および不利な立場に置かれたグループの子どもの栄養不良を防止しかつそれと闘うこと、および、小児疾病統合管理その他の子どもの健康改善の措置に関してとくにユニセフおよびWHOの技術的援助を求めることを検討することを、奨励するものである。
25.委員会は、10代の妊娠、中絶、自殺、事故、暴力、有害物質の濫用およびHIV・エイズを含む、青少年の健康に関するデータが存在しないことをとくに懸念する。これとの関連で、委員会は、締約国が、青少年の健康に関する政策を促進し、かつリプロダクティブ・ヘルスに関する教育およびカウンセリング・サービスを強化するための努力を増大させるよう、勧告するものである。委員会はさらに、HIV・エイズおよび性行為感染症に感染した、その影響を受けているまたはそれに感染しやすい立場にある子どもの特別な状況を含め、青少年の健康上の問題に関する包括的かつ学際的な研究を行なうよう提案する。加えて、青少年を対象とした、青少年に優しいケアおよびリハビリテーションの便益を発展させるため、締約国が充分な人的および財政的資源の配分を含むさらなる措置をとることも、勧告されるところである。
26.委員会は、締約国が障害者リハビリテーション法(1991年)をまだ全面的に実施していないことを懸念する。これとの関連で、委員会は、子どもも含む障害者のための充分な便益およびサービスが存在しないことにも懸念を表明するものである。障害者の機会均等化に関する標準規則(総会決議48/96)に照らし、委員会は、締約国が、障害を予防するための早期発見プログラムを発展させ、障害児の施設措置に代わる措置を実施し、障害児のための特別教育プログラムを確立し、かつ、社会へのそのインクルージョンを奨励するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、障害児とともにおよび障害児のために働く専門職員の養成および研修のための技術的協力を求めるよう勧告するものである。この目的で、とくにユニセフおよびWHOの国際協力を求めることができる。
27.とくに初等段階における就学率が高いこと、および非都市部に補助学校を設置する取組みが最近行なわれていることには留意しながらも、委員会は、一部の子ども、とくに貧困下で暮らす子どもおよびノマドおよび丘陵地帯民のコミュニティで暮らす子どもが教育にアクセスできていないことをなお懸念する。最近の経済的制約に照らし、委員会はまた、労働に従事するため時期尚早にして退学する子ども、とくに女子が多いことも懸念するものである。委員会は、タイのすべての子どもに対して教育への平等なアクセスを提供するため、あらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、子ども、とくに女子および貧困家庭および丘陵民家庭の子どもに対して学校に留まるよう奨励し、かつ早期の就業を抑制するために、追加的な措置を実施するよう努めることを勧告するものである。
28.委員会は、避難民の子どもに対して保護および人道援助を確保するため締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら、委員会は、保護者のいない子どもおよび庇護希望者である子どもの保護のための法的枠組みが依然として不明確であるという懸念を表明するものである。委員会はまた、出入国収容センターに措置されて自由を奪われた子どもの状況も、とくに収容期間が長期であることにかんがみて、懸念するものである。委員会は、人身の安全、健康および教育の分野におけるものも含めて保護者のいない子どもおよび庇護申請中の子どもの十分な保護を確保するための締約国の法的枠組みを、明確にするよう勧告する。また、家族の再統合を促進するための手続も確立されるべきである。庇護申請中の子どもが出入国収容センターに措置されることを避けるため、締約国によってあらゆる適切な措置がとられるべきである。締約国は、これとの関連でUNHCRの援助を求めることを検討することもできる。委員会はまた、締約国が、難民の地位に関する条約(1951年)およびその議定書(1966年)、無国籍者の地位に関する条約(1954年)ならびに無国籍の削減に関する条約(1961年)の批准を検討するようにも提案するものである。
29.労働保護法が最近採択され(1998年)、そこにおいて法定最低就業年齢が13歳から15歳に引き上げられたことは歓迎しながらも、委員会は、経済的搾取が高い割合で行なわれていること、および、自己および家族を支えるために働く目的でときには幼くして退学する子どもの数が増えていることを、依然として懸念する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、労働法制の執行を確保する監視機構を導入するよう奨励するものである。委員会はまた、締約国が、就業の最低年齢に関するILO第138号条約の批准を検討するようにも提案する。
30.委員会は、子どもの売買春ならびに子どもの取引および売買を含む子どもの性的虐待が依然として高い割合で生じており、そのことが男女の子ども双方に影響を与えていることに、懸念を表明する。これとの関連で、委員会は、法執行を強化しかつ締約国の国内防止計画を実施するための措置を緊急にとるよう勧告するものである。さらに、締約国は、コミュニティのレベルで意識啓発キャンペーンおよび徹底した監視システムを実施する努力を、強化するよう努めるべきである。施設の内外におけるリハビリテーションがさらに強化されるべきである。委員会は、国際的な子どもの取引および売買と効果的に闘うための努力において、締約国が、取引された子どもの帰還を促進しそのリハビリテーションを奨励するため、地域会議である移住に関するメコン会議の枠組みにおけるものも含めて、近隣諸国との二国間および地域間協定の分野における努力を増大させるよう提案する。委員会は、締約国に対し、子どもの商業的性的搾取に反対するストックホルム世界会議(1996年)で採択された行動綱領に掲げられた勧告を引き続き実施するよう促すものである。委員会はまた、締約国が、人身売買および他人の売春からの搾取の禁止に関する条約(1949年)の批准を構想するようにも勧告する。
31.締約国が少年裁判所の設置に関わる立法を制定したことには留意しながらも、委員会は、少年司法の運営に関わる一般的状況、および、とくにそれが条約および他の関連の国際基準と両立するかどうかについて、なお懸念する。委員会は、とくに、少年司法制度が締約国全土で実施されていないことを懸念するものである。委員会はまた、法執行官による子どもの不当な取扱いの事例が報告されていることも懸念する。委員会は、締約国が、条約、とくに第37条、第40条および第39条、ならびに少年司法の運営に関する国際連合最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国際連合指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則のようなこの分野の他の国際連合基準の精神にのっとり、少年司法制度を改革するため追加的な措置をとることを検討するよう、勧告するものである。自由の剥奪は最後の手段としてのみかつ可能なもっとも短い帰還でのみ考慮すること、自由を奪われた子どもの権利を保護すること、および、締約国全土が対象とされることを確保するため少年司法制度を拡大することに、特段の注意が払われるべきである。少年司法制度に関与するあらゆる専門家を対象として、関連の国際基準に関する研修プログラムが組織されるべきである。委員会はまた、締約国が、拷問および他の残酷な、非人道的なおよび〔または〕品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約の批准を検討するようにも勧告する。委員会は、締約国が、少年司法における技術的助言に関する調整委員会を通じて、とくに人権高等弁務官事務所、国際犯罪防止センター、少年司法国際ネットワークおよびユニセフの技術的援助を求めることを検討するよう、提案するものである。
32.委員会は、第1回報告書において締約国が提案している、条約の実施に関する勧告に留意する。委員会は、締約国に対し、提案されている勧告を実施するよう奨励するものである。
33.最後に、委員会は、条約第44条6項に照らし、締約国が提出した第1回報告書および文書回答を公衆一般が広く利用できるようにし、かつ、関連の議事要録およびこの委員会の総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。そのような文書は、政府および関心のある非政府組織を含む公衆一般のあいだで条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年9月18日)。