総括所見:中国(OPSC・2005年、マカオ特別行政区を含む)


CRC/C/OPSC/CHN/CO/1(2005年11月24日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2005年9月19日および20日に開かれた第1062回~第1065回会合(CRC/C/SR.1062-1065参照)において、2005年5月11日に提出された中国(マカオ特別行政区を含む)の第1回報告書(CRC/C/OPSA/CHN/1 and Part II)を検討し、2005年9月30日に開かれた第1080回会合(CRC/C/SR.1080)において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、本土およびマカオ特別行政区(SAR)における選択議定書の実施状況を取り上げた締約国の第1回報告書の提出を歓迎する。委員会は、代表団との間に持たれた率直かつ開かれた対話を評価するものである。

B.積極的側面

3.委員会は、第1回報告書を、〔条約に関する〕第2回定期報告書とあわせて検討できるように時宜を得た形で提出するために締約国が行なった努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、選択議定書の適用が香港SARに拡大されていないことを遺憾に思うものである。

C.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置

選択議定書の実施の調整および評価
4.委員会は、中国本土において人身取引および性的搾取と闘うために締約国がますます努力を行なっていること、および、代表団から提供された情報によれば、とくに被害者とその家族の再統合に関して本土と諸SARの間の調整がますます行なわれるようになっていることを、歓迎する。にもかかわらず、委員会は、本土における問題への対応は主として公安部によって行なわれていて他の省庁とは限られた調整しか図られていないこと、および、人身取引の社会経済的側面に十分な注意が払われていないことを懸念するものである。
5.委員会は、締約国が、関連省庁、影響を受けている子どもおよび若者ならびに非政府組織(とくに人身取引および性的搾取の社会経済的側面に対処できる組織)を含む中央調整機関を中国本土で設置することを検討するよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、被害者に対する援助ならびに犯罪の防止および訴追に関する活動を本土と諸SARの間でさらに調整するよう促すものである。
国家的行動計画
6.締約国が、2004年10月、メコン圏における人身取引対策に関する了解覚書に調印したことには評価の意とともに留意しながらも、委員会は、本土またはマカオSARのいずれについても、人身取引および性的搾取と闘うための適用可能な行動計画が存在しないことを懸念する。
7.委員会は、締約国が、ストックホルム〔宣言〕および行動綱領、横浜グローバル・コミットメントおよび選択議定書の規定に基づき、本土およびマカオSARにそれぞれ適用される行動計画を策定しかつ実施するよう勧告する。
データ収集
8.委員会は、中国本土およびマカオSARのいずれについても、締約国報告書に、性的搾取および国境を越えた人身取引に関する限られたデータしか記載されていないことを遺憾に思う。委員会はさらに、データに表れているのはほぼ例外なく、誘拐された女性および子どもではなく救出された女性および子どもの人数であること、および、データでしばしば異なる期間が扱われていることを懸念するものである。このことは、子ども売買、児童買春および児童ポルノに関する状況の正確な評価および監視を阻害することにつながる。
9.委員会は、締約国が、SAR、本土、本土の省および地域ならびに適用可能な場合には近隣諸国の別に分類された、人身取引、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの被害者に関する細分化されたデータ(影響を受けている男女の子どもの人数に関するデータも含む)を収集する努力を強化するよう勧告する。

2.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止

現行刑事法令
10.本土において子どもの取引および売買が1997年刑法により犯罪化されていることには留意しながらも、委員会は、同刑法で、選択議定書第3条1項に掲げられたあらゆる目的によるおよびあらゆる形態の子どもの売買が対象とされていないことを懸念する。
11.委員会は、締約国が1997年刑法を改正し、養子縁組目的の売買および取引にとくに注意を払いながら、選択議定書第3条1項に列挙されたあらゆる目的による子どもの取引および売買を禁止するよう勧告する。

3.刑事手続

犯罪人引渡し
12.委員会は、国外で行なわれたとされる犯罪に関わる犯罪人引渡しについても国内訴追についても双方可罰性が要件とされているため、選択議定書第1条、第2条および第3条に掲げられた犯罪の訴追が妨げられることを懸念する。
13.委員会は、締約国が、国外で行なわれた犯罪に関わる犯罪人引渡しおよび(または)本土における訴追についての双方可罰性要件を廃止する目的で法改正を行なうよう勧告する。

4.被害を受けた子どもの権利の保護

被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置
14.委員会は、再統合および回復に関わって被害を受けた子どもを援助するための本土におけるサービスについて提供された情報が限られていることを懸念する。委員会はまた、マカオSARにおいて、人身取引および性的搾取の被害を受けた子どものためにとくに立案された援助プログラムが存在しないことも懸念するものである。
15.委員会は、締約国が、人身取引および性的搾取の被害を受けた子どもに対してその回復および再統合を援助するために本土およびマカオSARで提供されるサービスを拡大するとともに、当該サービスがこのような被害者のニーズに対応することをとくに目的として立案されることを確保するよう、勧告する。

5.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止

選択議定書に掲げられた犯罪を防止するためにとられた措置
16.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関わる犯罪を処罰するために中国本土でとられた措置には留意しながらも、委員会は、これらの犯罪の防止に対して十分な注意が払われていないことを懸念する。委員会はまた、領域内における遊技活動の拡大にともなって防止の努力も強化されつつあるという、マカオSAR代表から提供された情報にも留意するものである。
17.委員会は、締約国が、とくに社会経済的原因に対応するための措置、公衆意識啓発キャンペーン、ならびに、人身取引および性的搾取の防止およびそのリスクの削減に関する親および子ども向けの教育を通じて子どもの売買、児童買春および児童ポルノを防止することに、いっそうの注意を払うよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、マカオSARにおける防止関連の努力をさらに増進させ、かつ、次回定期報告書でこれらの努力に関する追加情報を提供するよう促すものである。

6.国際的な援助および協力

18.委員会は、締約国とベトナム等の近隣諸国との間でいっそうの地域的協力が行なわれていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、性的搾取および買春が目的であると思われる、国境を越えた女子の人身取引(締約国からのおよび締約国への取引の双方)が増えているという報告に懸念を覚えるものである。
19.委員会は、本土において締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 国際機関または地域機関および近隣諸国と連携しながら、子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよびセックス・ツーリズムを目的とする、国境を越えた人身取引の規模および性質についてのさらなる調査研究を実施すること。
  • (b) 子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよびセックス・ツーリズムをともなう行為の防止、摘発および捜査ならびに責任者の訴追および処罰を目的としたさらなる二国間、地域間および多国間協定を通じ、国際協力を拡大すること。

7.フォローアップおよび普及

フォローアップ
20.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を本土の国務院および全国人民代表大会ならびにマカオSARの行政会議および立法会の構成員ならびに適用可能なときは省および地方の当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
21.委員会は、条約〔ママ〕、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。

8.次回報告書

22.選択議定書第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって2009年3月31日が提出期限とされている、条約に基づく次回(第3回・第4回統合)定期報告書に記載するよう要請する。

  • 更新履歴:ページ作成(2011年9月13日)。