総括所見:韓国(OPSC・2008年)


CRC/C/OPSC/KOR/CO/1(2008年7月2日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2008年5月23日に開かれた第1323回会合(CRC/C/SR.1323)において大韓民国の第1回報告書(CRC/C/OPSC/KOR/1)を検討し、2008年6月6日に開かれた第1342回会合(CRC/C/SR.1342)において以下の総括所見を採択した。

2.委員会は、時宜を得たやり方で提出された、締約国の第1回報告書および事前質問事項(CRC/C/OPSC/KOR/Q/1/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国の代表団が、建設的対話のために必要な若干の情報を有していなかったことを遺憾に思うものである。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2003年1月15日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.197)および武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して2008年6月6日に採択された総括所見(CRC/C/OPAC/KOR/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

I.一般的指針

A.積極的側面

4.委員会は、以下の立法上その他の措置が採択されたことに、評価の意とともに留意する。
5.委員会は、以下の機関の設置も歓迎する。
6.委員会はさらに、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書に加入したこと(2006年)、ならびに、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、国際組織犯罪防止条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書ならびに陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書に署名したこと(2000年)について、締約国を称賛する。

II.データ

データ収集
7.委員会は、締約国報告書および事前質問事項に対する回答で提供された統計データ(性的虐待の被害を受けた子ども、売買春に関与させられた子どもおよび犯罪者の訴追に関するデータを含む)を歓迎するものの、当該データが性別または年齢によって細分化されていないことを遺憾に思う。委員会はまた、委員会が入手した情報によれば子どもの人身取引は締約国に影響を及ぼしている問題であるのに、人身取引の被害を受けた子どもに関する統計的情報が何ら入手可能とされていないことも、遺憾に思うものである。委員会はまた、データの収集および分析に関して政府省庁間で調整が行なわれていないように思われることも懸念する。
8.委員会は、とくに年齢および性別によって細分化された児童買春および児童ポルノに関するデータが体系的に収集および分析されることを確保するため、中央政府機関内に包括的なデータ収集システムを設置するよう勧告する。これらのデータは、政策の実施状況を数値により評価するための必須手段を提供してくれるためである。データには、犯罪の性質によって細分化された、これらの犯罪の訴追件数および有罪判決件数も含めることが求められる。

III.実施に関する一般的措置

9.委員会は、選択議定書が施行されている国内法と同一の効力を有するとはいえ、たとえば児童買春および児童ポルノの分野において、国内法が選択議定書の規定に全面的に一致していないことを遺憾に思う。
10.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 自国の法律を選択議定書の規定と全面的に調和させるために必要な措置をとること。
  • (b) 裁判官および法律家に対し、選択議定書の規定に関する体系的研修を提供すること。
国家的行動計画
11.青少年保護5か年基本計画(2002~2006年)および国家人権対策基本計画(2007~2011年)が採択されたことには留意しながらも、委員会は、いずれの計画にも選択議定書にとくに関連する戦略およびプログラムが掲げられていないことを懸念する。
12.委員会は、締約国が、関係者と協議しおよび協力し、かつ、それぞれ1996年にストックホルムでおよび2001年に横浜で開催された第1回・第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された「宣言および行動綱領」ならびに「グローバル・コミットメント」を考慮に入れながら、議定書から生じる具体的義務の実施を自国の国家的戦略およびプログラムに編入するよう勧告する。
調整および評価
13.国務総理室に子ども政策調整委員会が設置されたこと(2004年)および3年間の試行事業として子どもの権利モニタリング・センターが設置されたこと(2006年)は歓迎しながらも、委員会は、選択議定書の実施に携わるさまざまな機関間の効果的調整を可能にする、機能中の恒久的機構が存在しないことを依然として懸念する。
14.委員会は、締約国が、選択議定書の実施における効果的調整を確保するよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、子どもの権利モニタリング・センターの全面的運用を可能にするため同センターに十分な人的資源および財源を提供するとともに、同センターを、選択議定書の評価および実施〔ママ〕を担当する恒久的機構とすることを検討するようにも勧告する。
普及および研修
15.委員会は、児童買春および児童ポルノに関する無数の広報キャンペーンおよびセミナーを組織すること等の手段により、選択議定書で対象とされている問題に関する意識を高めるために締約国が行なっている努力に評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、関連の専門家集団に対して選択議定書の全分野に関する十分な研修が体系的に提供されているわけではなく、かつ、これらの専門家集団および公衆一般の間で意識が低いままであることを、依然として懸念するものである。
16.委員会は、締約国が、全国のあらゆる関連の専門家集団(警察官、検察官、裁判官、医療スタッフおよび選択議定書の実施に携わるその他の専門家を含む)を対象とする研修資料および研修コースを開発するため、使途が指定された十分な資源を配分するよう勧告する。
17.さらに、選択議定書第9条第2項に照らし、委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび長期的意識啓発キャンペーン(メディアも含む)、ならびに、防止措置および選択議定書に掲げられたすべての犯罪の有害な影響に関する研修を通じて、選択議定書の規定をとくに子どもおよびその家族の間で広く知らせるよう勧告する。これとの関連で、コミュニティおよびとくに子どもの参加が奨励されるべきである。
資源配分
18.委員会は、選択議定書が対象とするさまざまな分野の実施のために配分されている予算についての具体的情報が締約国から何ら提供されなかったことを遺憾に思う。
19.委員会は、締約国に対し、とくに、防止、被害者の保護、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を目的とするプログラムの開発および実施ならびに選択議定書が対象とする犯罪の捜査および訴追のために必要な人的資源および財源を提供することにより、選択議定書が対象とするあらゆる分野の実施のために十分な資源が配分されることを確保するよう、奨励する。
独立機関
20.委員会は、韓国国家人権委員会(NHRCK)の独立を維持するという、締約国が2008年2月20日に行なった決定を歓迎するとともに、同委員会が、国の代理人による個別の子どもの権利侵害を監視する権限を有していることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、NHRCK内に、選択議定書の十分な監視および促進を可能にするであろう子どもの権利部局が存在しないことを遺憾に思うものである。
21.委員会は、第2回定期報告書に関する総括所見(CRC/C/15/Add.197、パラ18)で述べたことを繰り返しつつ、締約国が、NHRCKに対し、選択議定書を十分に監視しおよび促進し、ならびに子どもにとっての可視性およびアクセス可能性を高めるための意識啓発措置をとる子どもの権利部局を設置できるような、必要な人的資源および財源が提供されることを確保するよう、勧告する。

IV.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止(第9条第1項および第2項)

選択議定書に掲げられた犯罪を防止するためにとられた措置
22.委員会は、児童買春および児童ポルノを禁ずる法律についての広報資料の作成といった防止措置のための取り組みを歓迎するものの、買春およびポルノを含む子どもの性的搾取の根本的原因、性質および規模に関する資料の記録および調査研究が欠けていることを遺憾に思う。
23.委員会は、締約国に対し、関連の防止措置を発展させる目的で、売春およびポルノを含む子どもの性的搾取の根本的原因、性質および規模に関する、ジェンダーに配慮したさらなる調査研究およびさらなる資料の記録を、とくにユニセフ、国際労働機関および国際移住機関ならびに市民社会組織と連携しながら行なうよう奨励する。委員会はまた、締約国が、使途指定をともなう予算資源を防止措置に配分するようにも勧告するものである。
24.委員会は、売春根絶特別委員会の性取引防止計画の一環として2004年に導入された取り組み「ジョン・スクール」に留意する。これは、子どもを買春のために使用したまたはその容疑を受けている男性が、裁判所の命令に基づき、義務的な更生プログラムを受ける施設である。委員会は、加害者がこのプログラムに参加すれば刑事判決を免除されることにより、売春者、とくに買春の被害者である子どもの勧誘を犯罪化する現行法の抑止効果が弱まる可能性があることを懸念する。
25.委員会は、締約国に対し、買春目的のための子どもの使用を犯罪化する現行法を厳格に適用しおよび執行するよう奨励しつつ、選択議定書に定められた性犯罪を行なった者を更生させるための努力を継続しおよび強化するよう促す。
26.委員会は、「大韓民国が、キリバスのような南太平洋島嶼国において子どもの人権を侵害している国のひとつに挙げられている」(締約国報告書パラ74)ことを懸念する。検察庁および警察庁の提携事業として国外買春対策特別班が設置されたことには留意しながらも、委員会は、子どもセックス・ツーリズムと闘うための具体的戦略が存在しないことを遺憾に思うものである。
27.委員会は、締約国が、とくにこの目的のための公的キャンペーンに追加的資金を割り当てることにより、セックス・ツーリズムを防止するためのさらなる措置をとるよう勧告する。締約国はまた、観光業界の従業員の間で世界観光機関の行動規範を普及し、かつ一般公衆向けの意識啓発キャンペーンを組織することによって責任ある観光を促進するため、関連の公的機関を通じ、観光産業、非政府組織および市民社会組織との協力を引き続き行なうべきである。
28.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪に関わるサイバー犯罪に対応するために締約国が行なっている努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、選択議定書に掲げられた性犯罪のうちインターネットその他の形態の情報技術(携帯電話を含む)を通じて行なわれるものに対応するための、明確かつ包括的な戦略が存在しないことを依然として懸念するものである。
29.委員会は、締約国が、子どもの参加を得ながら、サイバー犯罪に対応するための現行の行動計画に選択議定書に関わる措置を含めるとともに、子どもおよびその親にインターネットの安全な利用について知らせる目的で一般公衆の意識啓発の努力を強化するよう、勧告する。

V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに関連する事項の禁止(第3条、第4条第2項および第3項、第5条、第6条ならびに第7条)

現行刑事法令
30.委員会は、とくに性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)ならびに売春防止および被害者保護等に関する法律および売春斡旋等行為の処罰に関する法律(2004年)の制定をはじめ、子どもの売買、児童買春および児童ポルノからの子どもの法的保護を強化するために行なっている努力について、締約国を賞賛する。にもかかわらず、委員会は、選択議定書第2条および第3条に掲げられた犯罪のすべてが締約国の立法で十分に網羅されていないことを、依然として懸念するものである。とくに、委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 人身売買および人身取引に関わる犯罪は刑法第324条および労働基準法第113条で対象とされているものの、締約国の刑法には、人身取引を違法とする具体的規定であって、欺罔的計画、有形力その他の形態の威迫が用いられたか否かおよび金銭その他の報酬が提供されたか否かに関わらず、子どもの取引を犯罪とする規定が掲げられていないこと。
  • (b) 性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)に掲げられた児童買春の定義で、挿入をともなわない性的行為または子ども自身が性的行為の対価の支払いを受領する事案が対象とされない可能性があること。
  • (c) 売春者の斡旋に関する刑法の規定が、売買春のために子どもを使用するすべての事案に系統的に適用されるわけではないこと。
  • (d) 売春防止および被害者保護等に関する法律において、子どもを含む売買春の被害者が犯罪者として扱われていること。これは、売買春の被害者は処罰の対象とされない(第6条)ととくに定めた売春斡旋等行為の処罰に関する法律に矛盾するものである。
  • (e) 性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)第2条第3項に掲げられた児童ポルノの定義において、児童ポルノの単純所持、および、選択議定書第2条(c)で求められているようにあからさまな擬似的性的活動または主として性的目的で子どもの性的部位を描いた性的表現が対象とされていないこと。
31.委員会は、締約国が、国内法を選択議定書第2条および第3条(児童ポルノの定義に関する規定(第2条(c))を含む)と全面的に一致させるために必要な措置をとるよう勧告する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、とくに女性および子どもの取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准するとともに、選択議定書にしたがって子どもの売買および取引を適切に定義しおよび犯罪化するために必要な措置をとること。
  • (b) 売買春の被害を受けた子どもに与えられる保護を強化するため、性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)に掲げられた児童買春の定義を改正すること。
  • (c) いかなる手段によるかを問わず、性的搾取の目的で子どもを提供し、引き渡しまたは受け取るすべての行為を犯罪化すること。
  • (d) 売買春の被害者である子どもが処罰の対象とされないことを確保するため、関連の法律を改正すること。
  • (e) 選択議定書第2条(c)で求められているようにあからさまな擬似的性的活動または主として性的目的で子どもの性的部位を描いた性的表現を児童ポルノの定義に含めるため、性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)を改正すること。
  • (f) 配布の意図を要件とすることなく、児童ポルノの所持を犯罪化すること。
32.委員会はまた、選択議定書に掲げられた犯罪に関わる法律の執行、とくに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関わる行為について責任を有する者の訴追および処罰が強力に行なわれていないことも懸念する。
33.委員会は、締約国が、選択議定書に掲げられたすべての犯罪について効果的かつ迅速な捜査、訴追および有罪判決を確保するよう勧告する。
34.委員会はさらに、選択議定書第3条第1項に掲げられた犯罪についての法人の責任を定めるためにとられた措置に関する情報が締約国報告書に記載されていないことを懸念する。
35.選択議定書第3条第1項に照らし、委員会は、締約国が、選択議定書に掲げられた犯罪についての法人の責任を定めるために必要な措置をとるよう勧告する。
養子縁組
36.韓国の子どもの国内および国際養子縁組が多数にのぼることに照らし、委員会は、締約国が選択議定書第3条第1項(a)(ii)について批准時に行なった宣言および条約第21条に付された締約国の留保に、遺憾の意とともに留意する。委員会はまた、締約国の法律において、選択議定書第3条第1項(a)(ii)で求められているように子どもの売買が犯罪とされていないことも、懸念するものである。
37.委員会は、締約国に対し、選択議定書第3条第1項(a)(ii)に関する宣言および条約第21条に対する留保を撤回するとともに、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ第33号条約(1993年)の批准を検討するよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、選択議定書第3条第1項(a)(ii)で対象とされている行為が国内法においても売買として犯罪化されることを確保するよう、勧告するものである。
裁判権および犯罪人引渡し
38.委員会は、選択議定書第3条第1項に掲げられた犯罪に対し、当該犯罪が自国の国民もしくは自国の領域に常居所を有する者によって国外で行なわれる場合または被害者が大韓民国の国民である場合に裁判権を設定するためにとられた措置について、締約国から何らの情報も提供されなかったことに、懸念とともに留意する。
39.選択議定書第4条第2項に照らし、委員会は、締約国が、選択議定書に掲げられた犯罪に対し、当該犯罪が自国の国民もしくは自国の領域に常居所を有する者によって国外で行なわれる場合または被害者が大韓民国の国民である場合に域外裁判権を設定するため、必要な立法措置をとるよう勧告する。

VI.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条ならびに第9条第3項および第4項)

選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置
40.委員会は、締約国によれば売買春の被害者である子どもが訴追されることは「考えにくい」とはいえ、売春防止および被害者保護等に関する法律において、売買春の被害者である子どもがとくに犯罪者として扱われていることを、深く懸念する。
41.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 選択議定書に基づくいずれかの犯罪の被害者である子どもがそのこと自体を理由として犯罪者にも処罰の対象にもされないことを確保するために法改正を含むあらゆる必要な措置をとるとともに、このような子どもがスティグマを付与されかつ社会的に周縁化されることのないよう、あらゆる可能な措置をとること。
  • (b) 被害者である子どもの法的代理を向上させるため、権限のある公的機関に十分な財源および人的資源を配分すること。
  • (c) 選択議定書第9条第4項にしたがい、この議定書に掲げられた犯罪の被害を受けたすべての子どもが、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを確保すること。
  • (d) 既存の子どもヘルプライン(1577、1391および1388)を合併させてひとつのヘルプライン(このようなヘルプラインは、十分な資金を提供され、子どもに対して全面的にアクセス可能とされおよび周知され、ならびに多言語様式で利用可能とされるべきである)にすることを検討するとともに、当該ヘルプラインと、子どもに焦点を当てた非政府組織、保健ワーカーおよびソーシャルワーカーならびに警察との連携を促進すること。
  • (e) とくに被害者である子どもに対して分野横断的援助を提供することにより、選択議定書第9条第3項にしたがって社会的再統合ならびに身体的および心理社会的回復のための措置を強化する目的で、使途指定をともなう資源の配分が行なわれることを確保すること。
刑事司法制度上の保護措置
42.16歳未満の子どもについて証人としての証言のビデオ録画が導入されたことを歓迎しながらも、委員会は、この実務が16~18歳の者には適用されないことに懸念とともに留意する。委員会はまた、選択議定書で対象とされている犯罪の被害者の地位が不明確であり、その結果、被害者が罪を犯した子どもと見なされ、かつそのために刑事司法制度において十分な保護を受けない可能性があることも、依然として懸念するものである。
43.締約国は、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(国連経済社会理事会決議2005/20)を指針とするとともに、とくに以下の措置をとるべきである。
  • (a) 被害者である子どもが罪を犯した少年と見なされまたはそのように扱われないことを確保するため、刑事司法制度における十分かつ明示的な保護をこのような子どもに提供することにより、被害者である子どもの権利および利益を保護すること。
  • (b) 被害者である子どもの個人的利益に影響がある手続において、当該子どもの意見、ニーズおよび関心事が提示されかつ考慮されることを可能にすること。
  • (c) 裁判手続中の困難から子どもを保護するため、子ども向けに設計された特別事情聴取室および子どもに配慮した事情聴取法を用いることならびに事情聴取、陳述および聴聞の回数を減らすこと等の手段によって子どもに配慮した手続を活用するとともに、これとの関係で、18歳未満のすべての子どもについて証人としての証言のビデオ録画を利用することを検討すること。
  • (d) 性的搾取の被害を受けた若年者について、疑いがあるときは成人ではなく子どもと推定すること。
被害者の回復および再統合
44.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪の被害者である子どもをリハビリテーションのための措置(2004年の売春防止および被害者保護等に関する法律に定められたものを含む)によって援助するために締約国が行なっている努力、および、売買春被害者のカウンセリング・センターの増設計画を歓迎する。しかしながら委員会は、被害者である子どもを対象として現在とられている社会的再統合ならびに身体的および心理社会的回復のための措置が不十分であり、かつこのようなプログラムを評価する機構が存在しないことを、遺憾に思うものである。委員会はまた、既存のプログラムおよびサービスが女性および女子の被害者のみを対象として、かつ韓国語のみで利用可能とされていることにも、懸念とともに留意する。
45.さらに、委員会は、性的搾取の被害者の回復およびリハビリテーションのためのプログラムであって、このような被害者を4週間以上、特定施設における「矯正教育」の対象とするものが実際のところ任意のプログラムなのかについて、締約国から十分な説明がなかったことを遺憾に思う。委員会は、このようなプログラムが、実際には性的搾取の被害者である子どもの心理的回復を阻害する可能性があることを、とりわけ懸念するものである。
46.委員会は、締約国に対し、選択議定書に掲げられた犯罪の被害を受けやすいすべての子どもを保護し、かつ被害者である子どもの全面的参加を得ながらその完全な身体的、心理的および社会的回復を図れるようにするため、十分かつ適切な行政上の措置、社会政策およびプログラムが整備されることを確保するよう、促す。これとの関係で、委員会は、締約国が、リハビリテーションのための措置を、女子のみならず男子に対しても、かつとくに人身取引および性的搾取の被害者である子どものもっとも一般的な出身国を考慮に入れながら多言語様式で、提供するよう勧告するものである。委員会は、締約国が、このようなプログラムが子どもの積極的参加を得ながら効果的に監視されかつ定期的に評価されることを確保するよう、勧告する。
47.委員会はまた、締約国に対し、性的搾取の被害者である子どもを対象とする「矯正教育」プログラムについての詳細な情報を次回報告書で提供するとともに、選択議定書第8条、少年司法における子どもの権利に関する一般的意見10号(2007年)および少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)にしたがい、当該プログラムにおいて被害者である子どもの権利および利益が優先されることを確保することも、要請する。

VII.国際的援助および協力(第10条)

多国間、地域的および二国間協定
48.委員会は、多くの国で行なわれている選択議定書の実施に関する国際協力プロジェクトへの締約国の支援を歓迎するとともに、締約国に対し、これらの国に関して委員会が採択した選択議定書関連の総括所見を考慮に入れながら、この点に関わる努力をさらに進めるよう促す。

VIII.フォローアップおよび普及

フォローアップ
49.委員会は、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、国務会議、国会議員および第1級行政区画の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
50.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびに採択された関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループおよび専門家グループが広く入手できるようにすることを勧告する。さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じ、選択議定書を子どもおよびその親に周知させるよう勧告するものである。

IX.次回報告書

51.第12条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第3回・第4回統合報告書(提出期限・2008年12月19日)に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年8月18日)。