総括所見:イスラエル(第2~4回・2013年)


CRC/C/ISR/CO/2-4(2013年7月4日)/第63会期
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2013年6月3日に開かれた第1796回および第1797回会合(CRC/C/SR.1796 and 1797参照)においてイスラエルの第2回~第4回統合定期報告書(CRC/C/ISR/2-4)を検討し、2013年6月14日に開かれた第1815回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、締約国の第2回~第4回統合定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/ISR/Q/2-4/Add.1)の提出を歓迎するとともに、部門横断型の締約国代表団との間に持たれた建設的対話について評価の意を表明する。
3.しかしながら委員会は、東エルサレムを含むパレスチナ被占領地域(以下OPT)およびシリア領ゴラン高原被占領地域に住んでいる子どもについての情報およびデータの提供ならびにこれらの子どもについて委員会が書面で行なった質問への回答を締約国が一貫して拒否しているために、報告プロセスの十分性および条約実施についての同国の説明責任に大きな影響が出ていると考える。委員会は、締約国に対し、OPTにおける「壁」の建設の法的帰結に関する国際司法裁判所の勧告的意見(I.C.J report 2004, para.163 (3) A.)にしたがうとともに、イスラエルおよびOPT(ヨルダン川西岸およびガザ地区を含む)ならびにシリア領ゴラン高原被占領地域において条約の全面的適用を確保する自国の義務を遵守するよう、促すものである。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

4.委員会は、以下の立法措置がとられたことを歓迎する。
  • (a) 犯罪を行なったとして申し立てられかつ(または)有罪判決を受けた子どもについて処罰よりも更生を優先させるものとし、かつ裁判所の命令なくして14歳未満の子どもの拘禁を禁ずるとした、青年(審判、処罰および処遇態様)法(法律第5731-1971号)の第14次改正(2009年7月)。
  • (b) 性暴力の被害を受けた子どもがクライシスセンターで即時の援助を受ける権利を確立した、性暴力軽罪被害者援助法(法律第5769-2008号)。
  • (c) 母性休暇を12週から14週に延長した、2006年および2007年の雇用法(法律第5714-1954号)改正。
  • (d) 立法が子どもの権利に及ぼす影響に関する情報の登録法(2002年、法律第5762号)。
  • (e) 障害のある子どもは普通教育施設に措置することを優先させるものとし、かつこの目的のための予算の増額について定めた、特別教育法(法律第5758-1998号)の2002年改正。
  • (f) 義務教育(身体的暴力の報告規則)規則(第5770-2009号)。
5.委員会は、障害のある人の権利に関する条約の批准(2012年9月)に、肯定的対応として留意する。
6.委員会はさらに、以下の制度上および政策上の措置を歓迎する。
  • (a) 自治体レベルの政策、プログラムおよび予算に子どもの権利を統合することを目指す「子どもにやさしいまち」イニシアティブ(CFCI)。
  • (b) いずれも教育制度の変革および改善を目的とするオフェク・ハダーシュ(新たな水平線)改革(2008年)およびオズ・ベトゥムーラ(変革の勇気)改革。
  • (c) アラブ系住民の言語スキルを向上させるための、就学前教育施設、小学校および高校におけるアラビア語教育プログラム。
  • (d) トラフテンベルグ委員会によって勧告されたように、社会経済的階層間の格差の縮減を目的として少人数による課外教育および社会教育を行なう放課後センター(就学前教育施設および小学校に通う3~9歳の年齢層を対象とするもの)を創設する「ツィーラ」プログラム。

III.条約の実施を阻害する要因および困難

7.委員会は、締約国が有する国家安全保障上の懸念を考慮する。しかしながら委員会は、パレスチナ地域およびシリア・ゴラン高原の長年にわたる違法な占領、西岸における違法入植の拡大の継続および「壁」の建設、ならびに、パレスチナ人の土地の没収ならびに住居および生計手段の破壊が、パレスチナ人の子どもおよびその家族の権利の深刻かつ継続的な侵害であり、屈辱と暴力の循環を煽るものであり、かつ地域のすべての子どもにとっての平和なかつ安定した未来を危険にさらしていることを強調するものである。委員会は、締約国に対し、OPTおよびシリア・ゴラン高原の占領を終了させること、国際連合事務総長が述べたように(A/67/375、パラ47)将来のパレスチナ国家の実現性に対する実存的脅威となっている違法に設けられたすべての入植地から撤退すること、および、シリア領ゴラン高原被占領地域への住民の移送を中止することを促す。

IV.主要な懸念領域および勧告

A.一般的実施措置(条約第4条、第42条および第44条第6項)

委員会の前回の勧告
8.委員会は、条約および子どもと武力紛争に関する選択議定書に基づく締約国のそれぞれの第1回報告書に関する総括所見に掲げられた、OPTに住んでいる子どもに関連する委員会の勧告(CRC/C/15/Add.195、パラ27(a)、37および62(2002年)ならびにCRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ11、17、35および38(2010年))のフォローアップに関する情報を、締約国が一貫して提供してこなかったことを遺憾に思う。委員会はまた、条約に基づく締約国の第1回報告書に関する委員会の総括所見(2002年)の多くについて対応が行なわれていないことも遺憾に思うものである。
9.委員会は、締約国に対し、条約および子どもと武力紛争に関する選択議定書に基づく締約国のそれぞれの第1回報告書に関する総括所見に掲げられた、OPTに住んでいる子どもに関連する委員会の勧告を、何よりも優先されるべき課題として実施するよう促す。委員会はまた、締約国が、これらの勧告のうち実施されていないものまたは十分に実施されていないものに対応するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告するとともに、とくに、締約国に対して以下の措置をとるよう求めた以下の勧告をあらためて繰り返すものである。
  • (a) 国および地方の行政段階においてならびにこれらの段階間で部門を横断した調整および協力を進めるための中央機関を設置すること(パラ13(a))。この点については、子ども、法律および立法の実施の分野における基本的原則の調査のためのイスラエル・ロトレビー委員会からも2003年に勧告されているとおりである。
  • (b) 条約が対象とするすべての分野について、もっとも不利な状況に置かれている子どもを含む18歳未満のすべての者に関するデータを収集するとともに、進展を評価し、かつ条約実施のための政策を立案する目的でこのデータを活用すること(パラ15(a)および(b))。
  • (c) 子どもおよび親、市民社会ならびにあらゆる部門および段階の政府機関の間で、すべての公用語により、条約およびその実施に関する情報を普及するためのプログラム(非識字でありまたは正規の教育を受けていない、被害を受けやすい状況に置かれた集団を積極的に対象とするための取り組みも含む)を強化しかつ拡大すること(パラ23(a))。
  • (d) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方行政職員、子どもを対象とする施設および拘禁場所で働く職員、教職員ならびに保健従事者など)を対象とした、子どもの権利を含む人権についての体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させること(パラ23(b))。
10.前回の勧告(パラ13(b))に照らし、委員会はまた、締約国に対し、子どもに関する包括的政策を作成するとともに、当該政策に基づき、その適用のために必要な要素を備え、かつ十分な人的資源、財源および技術的資源を提供される戦略を策定することも奨励する。
条約の法的地位
11.委員会は、条約の原則および規定を国内法体系に漸進的に編入していくことに関する、双方向的対話の際に代表団から提供された情報に留意する。しかしながら委員会は、このプロセスがまだ完了していないことから、締約国における子どもの権利の裁判適用可能性に影響が生じる事態がもたられされていることを懸念するものである。
12.委員会は、締約国が、すべての子どもの権利が裁判で適用できることを確保するため、条約に掲げられた権利ならびに原則および規定を国内法体系に統合していくプロセスをいっそう速やかに進めるよう勧告する。
資源配分
13.委員会は、条約の実施のために配分されている資源について、予算上の決定が子どもに与えている影響について、および、子ども(もっとも被害を受けやすい状況に置かれた子どもを含む)にきわめて重要な社会サービスを提供するための具体的な予算配分額について締約国から提供された情報が不十分であることを、遺憾に思う。委員会はまた、アラブ人居住地域における子どもひとりあたりの平均支出額がユダヤ人居住地域における当該支出よりも3分の1以上少ないと推定されていること、および、締約国が、アラブ人の子どもとユダヤ人との間で根強く見られる保健指標関連の格差を説明するにあたり、2つの保健制度に提供される資源の不平等な水準を考慮していないことも、懸念するものである。
14.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 予算全体を通じて子どものための資源がどのように配分されかつ使用されているかを追跡するためのシステムを実施し、もって子どもに対する投資を目に見えるものとすることおよびいずれかの部門における投資が子どもの最善の利益にどのように貢献しているかに関する影響評価を可能とすることによって、国家予算の策定に際して子どもの権利アプローチを活用すること。
  • (b) 公的な対話、とくに子どもたちとの対話および地方当局の適正な説明責任を確保するための対話を通じて、透明なかつ参加型の予算策定を確保すること。
  • (c) 予算配分(とくに保健部門に対する予算配分を含む)において、アラブ系イスラエル人の家族およびその子どもに対する差別がこれ以上行なわれないことを確保するとともに、不利な立場または被害を受けやすい状況に置かれた子ども(とくにベドウィン人、パレスチナ人およびアラブ人の子どもならびに移住労働者および庇護希望者の子ども)に関する戦略的予算科目を定めること。
独立の監視
15.会計検査オンブズマンが果たしている役割は認知しながらも、委員会は、ロトレビー委員会およびペレツ委員会から勧告されたように、条約に基づく進展を恒常的に監視しかつ評価する任務を委ねられた独立の機構を設置するべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.195、パラ17)以降、締約国によって限られた進展しか達成されていないことに懸念を表明する。
16.委員会は、子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割についての一般的意見2号(2002年)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)にしたがって、国および地方のレベルにおける条約の実施の進展の監視および評価、ならびに、子どもからの苦情に対する、子どもに配慮した迅速なやり方による対応を目的とした子どもオンブズパーソンを設置するためのプロセスを速やかに進めるよう勧告する。
市民社会との協力
17.委員会は、締約国報告書の作成への市民社会の関与について限られた情報しか提供されなかったこと、および、締約国が報告書において認めているように、子どものための政策および法律を立案する際に非政府組織の体系的関与がなされていないことを、遺憾に思う。委員会はまた、パレスチナの非政府組織およびOPTで活動している国際人権団体がますます国家安全保障に対する脅威とみなされるようになっており、かつ、とくにいやがらせ、逮捕および就労許可の拒否の対象とされていることにも懸念を表明するものである。委員会はさらに、OPTで人道機関のために働く外国人に対して就労許可が認められないこと、および、国際連合の事実調査団に協力する非政府組織への外国資金の統制が厳しくなっていることを懸念する。
18.委員会は、締約国に対し、子どもの権利に関連する政策、計画およびプログラムの立案、実施、監視および評価に際してコミュニティおよび市民社会(非政府組織および子ども団体を含む)の体系的関与を得るよう促す。委員会はまた、締約国に対し、市民社会との信頼関係および協力の雰囲気を醸成するための具体的措置をとるとともに、すべての子どもの権利を差別なく保護しかつ促進するための戦略を立案しかつ実施する目的で、市民社会の関係者(OPTにおける子どもの権利の状況を監視している関係者を含む)との継続的対話に従事することも促すものである。委員会はさらに、締約国が、非政府組織が子どもの権利の監視および促進のための資源を要請し、受け取りかつ活用できることを確保するよう勧告する。

B.子どもの定義(条約第1条)

19.委員会は、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく委員会の勧告(CRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ9)にのっとり、2011年9月に採択された軍令第1676号によって、軍事法廷における成年が16歳から18歳に引き上げられたことに留意する。しかしながら委員会は、これまでのところ、同軍令が実際には全面的に適用されているわけではないことを懸念するものである。
20.委員会は、締約国に対し、OPTに住んでいる子どもが18歳に達するまで子どもとみなされ、かつ条約(とくに少年司法の運営に関連する規定)に基づく全面的保護を効果的に享受できることを確保するよう、促す。

C.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
21.差別に関して裁判所が言い渡してきた諸決定には留意しながらも、委員会は、差別の禁止が締約国の基本法で明示的に保障されていない旨の懸念(CRC/C/15/Add.195、パラ26)をあらためて表明する。委員会はまた、とくに人種差別撤廃委員会から指摘されたように(CERD/C/ISR/CO/14-16、パラ11、15、16、18および27、2012年)報告期間中に多数の差別的法律が採択されたこと、ならびに、これらの法律が、主としてパレスチナ人の子どもに対し、その生活のあらゆる側面において、かつ、アラブ系イスラエル人、ベドウィン人およびエチオピア人の子どもならびに移住労働者および庇護希望者の子どもに対しても影響を及ぼしていることにも、懸念を表明するものである。委員会は、異なる交通機関の設置および道路整備が行なわれていることならびに2つの異なる法体系および制度が実施されていることが事実上の隔離に相当するものであり、かつ、自己の権利の享受に関するイスラエル人の子どもとパレスチナ人の子どもとの間の不平等につながっていることを深く懸念する。
22.委員会は、締約国に対し、差別の禁止および平等原則を基本法に含めるとともに、ユダヤ人ではない子どもに対して差別を行なってる法律が遅滞なく廃止されることを確保する目的で、法律および政策の包括的見直しを実施するよう促す。委員会はまた、締約国に対し、すでに人種差別撤廃委員会から指摘されたように(CERD/C/ISR/CO/14-16、パラ24)、OPTのパレスチナ人住民に深刻かつ不均衡な影響を及ぼしている政策または実務を禁止しかつ根絶すること、ならびに、OPTに住んでいるすべての子どもが差別なく条約に基づく権利を享受できるようにすることを目的とした即時的措置をとることも促すものである。
子どもの最善の利益
23.委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利の尊重を確保するために報告対象期間中にとられた多数の措置、とくに、新法に関する子どもの権利影響評価について定めた「立法が子どもの権利に及ぼす影響に関する情報の登録法」(2002年)を歓迎する。委員会はまた、子どもの最善の利益を考慮することなく父親に子どもの監護権を与えたシャリーア裁判所およびラビ裁判所の決定を取り消した、2006年および2008年の最高裁判所判決も歓迎するものである。しかしながら委員会は、自己の最善の利益を評価され、かつ第一次的に考慮される子どもの権利が、あらゆる立法上、行政上および司法上の手続ならびに子どもに関わりかつ子どもに影響を与えるすべての政策、プログラムおよびプロジェクトにおいて適切に統合されかつ一貫して適用されているわけではないこと、ならびに、とくに父性検査について行なわれた裁判所の決定に反映されているように、この権利が一部の裁判所による誤った解釈の対象になりうることを懸念する。委員会はまた、パレスチナ人の子どもの最善の利益が締約国によって軽視され続けていることも懸念するものである。
24.委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に対する注意を喚起するとともに、締約国が、この権利があらゆる立法上、行政上および司法上の手続ならびに子どもに関わりかつ子どもに影響を与えるすべての政策、プログラムおよびプロジェクトにおいて適切に統合されかつ一貫して適用されることを確保するための努力を強化するよう、勧告する。これとの関連で、締約国は、すべての分野で子どもの最善の利益に関する判断指針を示すための手続および基準を定めるとともに、当該手続および基準を、伝統的および宗教的指導者を含む公衆ならびに民間の社会福祉施設、裁判所、行政機関および立法機関に対して普及するよう、奨励されるところである。委員会はまた、締約国に対し、OPTに住んでいる子どもについての政策の全面的影響評価を実施するとともに、OPTにおける軍政および侵入防止法(2002年)においてこれらの子どもの最善の利益が全面的に考慮されることを確保することも促す。
生命、生存および発達に対する権利
25.武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく2010年の総括所見(CRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ10)を参照しつつ、委員会は、双方の紛争当事者の子どもが引き続き殺害されかつ負傷しており、かつ、被害者のなかにOPTに住んでいる子どもが不均衡なほど多数含まれていることについて、もっとも深い懸念をあらためて表明する。委員会は、報告対象期間中に、締約国の軍事作戦の結果としてパレスチナ人の子どもが数百人殺害され、かつ数千人が負傷したこと(このような状況は、締約国が、均衡性の原則および区別の原則を軽視し、子どもが相当する存在する人口密集地帯に対して空軍および海軍による攻撃を実施したガザにおいてとくに顕著である)に、深刻な懸念を表明するものである。委員会は、以下のことを深く懸念する。
  • (a) パレスチナ人の子どもが、住居の再建に関して家族を支えるために建設資材を集めていた際、ガザとの境界近辺で締約国軍により銃撃されてきたこと(報告対象期間中、このような事件が30件起きたと報告されている)。
  • (b) 西岸の入植者による攻撃の対象とされるOPTの子どもの人数が増えていること(2008年以降4人が殺害されており、かつ、報告対象期間中に数百人が負傷している)。委員会は、これらの事件のほとんどにおいて、イスラエル軍が暴力の防止および子どもの保護のための介入を行なわないのみならず暴力を行なう側を支援していることに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、ほとんどの事件で、加害者が裁判にかけられず、その犯罪について全面的な免責を得ていることに、懸念とともに留意するものである。
  • (c) 「壁」の建設および2007年以降のガザ封鎖(赤十字国際員会は、このような封鎖について、連帯罰を科すものであってイスラエルが国際人道法に基づいて有する義務に明確に違反していると判断している)、OPTに住んでいる子どもの生命、生存および発達に対する権利に破壊的な影響が生じていること。
26.委員会は、締約国が、人道法(戦時における文民の保護に関する1949年のジュネーブ条約を含む)に掲げられた均衡性および区別の基本的原則を遵守するために速やかな措置をとり、子どもを殺害しかつ負傷させるすべての行為に終止符を打ち、このようなすべての犯罪について即時的および実効的捜査を行ない、実行犯を裁判にかけ、かつ、これらの人権侵害の被害を受けた子どもが十分な補償、回復および社会的再統合のための縁jを受けられるようにするためにあらゆる必要な措置をとるべきである旨の勧告(CRC/OPAC/ISR/CO/1、パラ11(a)ならびにCRC/C/ 15/Add.195、パラ32(c)および(d))をあらためて繰り返す。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとることも促すものである。
  • (a) 人権高等弁務官から勧告されたように(A/HRC/19/20, para.52)、過度な実力行使のさらなる発生を防止するためにあらゆる必要な措置をとり、かつ、とくに、治安部隊および軍隊による実弾の使用に関するすべての規則を見直すこと。
  • (b) 入植者によるあらゆる形態の暴力を明確かつ公に非難し、かつ、このような行為がこれ以上容認されることはないという明確なメッセージを発信すること。締約国は、公の秩序を確保し、さらなる暴力を防止し、かつ、入植者が子どもに対して行なったあらゆる暴力行為およびそのような暴力の共犯行為に関する捜査および責任追及を確保するための即時的措置をとるべきである。
  • (c) とくに人種差別撤廃委員会から勧告されたように(CERD/C/ISR/CO/14-16, para.26)、かつ、「文民である住民に飢餓または苦痛を引き起こす目的」による焦土戦術の実施を禁じたイスラエル戦争法マニュアルにのっとって、住居、教育、健康、水および衛生に対する子どもの権利の尊重を確保する目的で、パレスチナ被占領地域における「壁」の建設を中止し、かつガザの封鎖を全面的に解除するとともに、パレスチナ人家族が住居および民生設備を再建するために必要なあらゆる建設資材の搬入を緊急に認めること。
子どもの意見の尊重
27.委員会は、家事手続に関与することとなった子どもの参加を得てハイファおよびエルサレムの家庭裁判所で2007年に開始された実験的プログラムを2014年までにすべての裁判所に拡大するためにとられた措置、および、医学的治療および処置についての意思決定に子どもを包摂するハダサ大学病院の実践に、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 裁判所が、改宗または精神病院への入院に関わる手続において、意見の聴取が子どもにとって害になると思われる場合には子どもの意見の聴取を義務づけられていないこと、および、養子縁組手続において意見を聴かれる子どもの権利を保障しないことが、子どもが養子にされることを認識していない場合には認められていること。委員会はさらに、子どもの移住者および庇護希望者が、自己に関する手続においてほとんど意見を聴かれていないことを懸念する。
  • (b) 意思決定プロセスへの子どもたちの参加が、締約国で注目が高まっている一方でいまなお広く実践されていないこと、および、子どもたちの意見が、とくに公共政策に関する決定において、十分に求められておらずまたは考慮されていないこと。
28.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)を参照しつつ、委員会は、締約国に対し、この権利が、子どもに影響を与えるすべての関連の司法手続および行政手続に制限なく適用されること、および、養子縁組に関する決定においては、子どもの意見を考慮することなく子どもの「最善の利益」について判断することはできないことを想起するよう求める。委員会は、締約国が、改宗、精神病院への入院または養子縁組の事件において意見を聴かれる子どもの権利に課している制限を再検討するとともに、子どもの移住者および庇護希望者が自己に関する手続において意見を聴かれる権利を効果的に確保するための措置をとるよう、勧告するものである。委員会はまた、締約国が、意見を聴かれる子どもの権利が実際に効果的に実施されるようにするための明確な機構および指針を定めるとともに、政策立案機関によって子どもの意見が考慮され、かつ、子どもに対してその提案についての十分な反応が与えられることを確保することも勧告する。

D.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条、第19条および第37条(a))

出生登録/国籍
29.委員会は、住民登録法第6条で、イスラエルで生じたすべての出生を内務省に通知する登録官の義務が定められていることには留意しながらも、以下のことについて懸念を表明する。
  • (a) イスラエル人である親とOPT出身の親との間に生まれた子どもへのイスラエル市民権の付与が禁じられていること、締約国の決定により、2000年以降、パレスチナ人の子どもの居住許可申請の処理が停止されていること、ならびに、東エルサレムに住んでいる者の居住許可および身分証明が恣意的に取り消されていることにより、登録されていないパレスチナ人の子ども数千人が保健サービス、教育およびあらゆる種類の社会給付へのアクセスから排除されており、かつ、数千人の子どもが親とともに住めなくさせられていること。
  • (b) 締約国で出生した移住者の子どもに対し、正式な出生証明書ではなく、父親の名前が記載されていない手書きの公式通知書がしばしば発給されていること。委員会はまた、入院費用を負担できない移住者家族が出生通知書の発給を拒否される場合があるという報告、および、出生通知書に父親の名前を記載するために法外なDNA検査費用を支払わなければならなかった移住者家族がいるという報告についても懸念を覚える。委員会はさらに、正式な出生証明書を取得するために自発的帰還宣言書への署名を強制された家族がいるという報告についても懸念を覚えるものである。
30.委員会は、締約国に対し、出生後直ちに登録されるパレスチナ人の子どもの権利の否定(条約第7条第1項の違反)ならびに国籍を取得する権利および親によって養育される権利の否定につながっているすべての法的規定を廃止するための即時的措置をとるよう促す。この目的のため、締約国は、住民登録をパレスチナ自治政府に移管するよう促されるところである。委員会はまた、締約国に対し、イスラエル人の子どもについて行なわれているのと同様に、移住者の子ども全員に対し、両親の名前を記載した無償の出生証明書を発給することも促す。出生証明書の発給において「自発的」帰還宣言への署名が条件とされることは、けっしてあるべきではない。
アイデンティティに対する権利
31.委員会は、子どもに対してその子どもが養子であることを隠すことを認めている子どもの養子縁組法の規定について懸念を覚える。委員会はまた、ハイファ家庭・地方裁判所が、2008年の決定理由において、父性検査を認めることは子どもがユダヤ法にしたがって「私生児」のレッテルを貼られることになる可能性があるために子どもの最善の利益にそぐわないと判断したことも懸念するものである。
32.条約第7条に照らし、委員会は、締約国が、養子または親の双方から認知されていない婚外子について、自己の親の身元を知る子どもの権利の尊重を可能なかぎり確保するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、宗教法が条約に一致したものとなること、および、宗教法において婚外子に対する軽蔑的な言葉が掲げられないことを確保することも促すものである。
33.委員会は、締約国が、代理母出産の取決めに関する規制において、生殖補助医療(とくに代理母が関与するもの)によって出生した子どもの権利および利益に十分な注意を払っていないことを懸念する。
34.委員会は、生殖補助医療(とくに代理母が関与するもの)の規制にあたり、締約国が、自己の最善の利益を第一次的に考慮され、かつ自己の出自に関する情報にアクセスする子どもの権利の尊重を確保するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、代理母および親となる予定の者に対する適切なカウンセリングおよび支援の提供を検討することも勧告するものである。

E.子どもに対する暴力(条約第19条、第37条(a)および第39条)

拷問および他の残虐なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰
35.委員会は、軍および警察による逮捕、起訴および拘禁の対象とされたパレスチナ人の子どもの拷問および不当な取扱いが行なわれており、かつ、この点に関して条約機関、特別手続の任務受託者および国際連合機関が繰り返し表明してきた懸念にもかかわらず、締約国がこのような慣行を終わらせられていないという報告があることについて、もっとも深い懸念を表明する。委員会は、OPTに住んでいる子どもが以下のような取り扱いを受け続けていることに、もっとも深い懸念とともに留意するものである。
  • (a) 日常的に、家族に対して大声で指示をする兵士によって真夜中に逮捕され、かつ、親に別れも言えないまま、手錠および目隠しをされてどこかわからない場所に連行されていること(子どもの連行先を知っている親はほとんどいない)。
  • (b) 組織的に、身体的暴力および言葉による暴力、屈辱的取扱い、苦痛をともなう拘束措置ならびに頭部および顔を袋で覆う措置の対象とされ、自分自身または家族構成員に対する殺害、身体的暴力および性暴力の脅迫を受け、かつ、トイレの利用、食事および水を制限されていること。これらの犯罪は、自白を得る目的で逮捕時からならびに移送および尋問の最中に行なわれているが、複数のイスラエル兵が証言したように恣意的に行なわれることも、未決拘禁中に行なわれることもある。
  • (c) 時として数か月間、独房に監禁されていること。
36.委員会は、締約国に対し、OPTに住んでいる子どもの拷問および不当な取扱い(これらは子どもの権利条約第37条(a)の深刻な違反であるのみならず、ジュネーブ第4条約第32条の重大な違反でもある)を防止しかつ根絶する、回避することのできない自国の責任を想起するよう求める。委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう強く促すものである。
  • (a) すべての子どもを直ちに独房監禁から解放すること。
  • (b) パレスチナ人の子どもの拷問および不当な取扱いが疑われるすべての事件に関する第三者調査を遅滞なく開始すること。これには、指揮系統のあらゆる段階で、これらの慣行を命令し、容認しまたはその便宜を図った者が裁判にかけられ、かつその犯罪の重大性に相応する刑により処罰されることを確保することが含まれるべきである。
  • (c) OPTに住んでいる子どもを対象として、逮捕およびその後の拘禁時に受けた取扱いに関して苦情(審判中に申し立てられるものを含む)を申し立てるための安全なかつ子どもにやさしい機構が用意されることを確保するため、即時的措置をとること。
  • (d) 関連の司法当局が、自白の取得方法について疑義を抱かせる事情が存在するときは、たとえ正式な苦情が申し立てられていなくとも、拷問または他の形態の不当な取扱いに相当する行為の捜査および訴追に関して相当な注意を払うことを確保すること。
  • (e) OPTに住んでいる子どもであって拷問および不当な取扱いの被害を受けたすべての子どもに対して、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための援助を確保すること。
体罰
37.委員会は、締約国であらゆる場面における体罰が全面的に禁止されていること、および、義務教育(身体的暴力の報告規則)規則(第5770-2009号)において、教育施設の長に対し、教育者と生徒との間で生じたいかなる身体的暴力についても書面で報告することが義務づけられていることを歓迎する。しかしながら委員会は、身体的および情緒的な不当な取扱いを経験したと報告する生徒の割合が高いこと、および、拘禁中の子どもに対して体罰が引き続き行なわれていることを懸念するものである。
38.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が、公衆および専門家を対象とする意識啓発プログラム(キャンペーンを含む)の実施等も通じ、体罰およびその心理的影響を解消するための効果的措置をとるよう勧告する。締約国はまた、体罰に代わる手段として積極的な、非暴力的なかつ参加型の形態の子育てならびにしつけおよび規律も促進するとともに、子どもにやさしい苦情申立て機構を設置するべきである。
虐待およびネグレクト
39.委員会は、子どもの虐待およびネグレクトを行なう親に対して軽い制裁を宣言した裁判所の諸決定に対する国の上訴(たとえば Cr.A (Be'er-Sheva) 7161/02 The State of Israel v. Z.Y. (12.2.2003))に、肯定的対応として留意する。委員会はまた、子どもが不当な取扱いを受けている証拠を福祉局が入手していたにもかかわらず、子どもを自宅から分離して虐待およびネグレクトから保護する措置をとらなかったことについてテルアビブ市を非難した、エルサレム治安判事裁判所の2007年の決定(C.C. 3970/98 Yitzhak Goldstein v. The State of Israel (14.01.2007))も歓迎するものである。しかしながら委員会は、責任のある子育てを促進するための支援およびサービスが不十分であること、ならびに、危険な状況に置かれている子どもの受け入れ先が不足しているために一部の子どもが拘禁施設に収容されていること(2012年5月には、10代の女子153人が受け入れ待ちで拘禁施設に収容されていたと報告されている)に、懸念を表明するものである。
40.委員会は、締約国が、虐待およびネグレクトから子どもを保護し、かつ積極的な子育てを促進するための努力を強化するとともに、心理社会的援助および適切なケアを享受できるべきである、危険な状況に置かれている子どもが利用可能な保護シェルターを増設するためにあらゆる適切な措置をとるよう、勧告する。締約国は、優先的課題として、危険な状況に置かれている子どもであって現在拘禁施設に収容されているすべての子どもを収容から解放し、かつリハビリテーションおよびケアのための適切な施設に措置するべきである。
有害慣行
41.委員会は、一部の伝統的な男性割礼の慣行によって短期的および長期的合併症が生じているという報告があることに懸念を表明する。
42.委員会は、締約国が、男性割礼の短期的および長期的合併症に関する研究を実施するよう勧告する。
あらゆる形態の暴力からの子どもの自由
43.委員会は、パレスチナ人およびイスラエル人の子どもが、とくにロケット攻撃、空爆および砲撃による爆発の際、暴力の雰囲気のなかで生活していることを深く懸念する。委員会はまた、親が殴打されまたは屈辱的取扱いを受ける様子および自宅が破壊される様子を目撃するパレスチナ人の子どもに対する心理的暴力、ならびに、このような暴力がこれらの子どもに及ぼす長期的影響についても重大な懸念を覚えるものである。
44.子どもに対する暴力に関する国際連合研究の勧告(2006年、A/61/299)を想起しながら、委員会は、締約国が、子どもに対するあらゆる形態の暴力の解消に優先的に取り組み、かつ、紛争の結果として生じる暴力を低減させるよりもむしろ悪化させている政策の採用および実施を行なわないよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)を考慮し、かつとくに以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対処するための包括的な国家的戦略を策定すること。
  • (b) 子どもに対するあらゆる形態の暴力に対処するための国家的な調整枠組みを採択すること。
  • (c) 暴力の人種主義的側面およびジェンダーに関わる側面に特段の注意を払い、かつこれに対処すること。
  • (d) 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表および他の関連の国際連合機関と協力すること。

F.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(第1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(第4項)および第39条)

家庭環境
45.委員会は、親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって援助および支援のサービスを提供するために締約国がとった措置(所得最低水準に達していない家族に対する所得支援手当の給付、および、障害のある子どもの親に対して子どものケアのための追加的休暇の取得権を認めた病休日給与法の2007年改正を含む)を歓迎する。しかしながら委員会は、庇護希望者、難民および移住労働者の子どもの状況(これらの子どもは、親が家の外で働いている間、社会サービス機関によるいかなる支援も受けることなく、多数の子どもを預かるベビーシッターに預けられ、またはアパートもしくは路上でひとりのまま放置されている)について懸念を覚えるものである。
46.委員会は、締約国に対し、子どものための民間の放課後プログラムの費用を負担することができず、働いている間は子どもをひとりにしておくしか選択肢がないすべての親に対して社会的支援が提供されることを確保するため、具体的措置をとるよう促す。庇護希望者、難民および移住労働者の子どもなど、とくに被害を受けやすい状況に置かれた子どもに対し、特別な注意が払われるべきである。
家庭環境を奪われた子ども
47.コミュニティを基盤とする入所環境および子どもの地元に設けられたグループホームなど、新たな入所型養護モデルの発展を加速させるために締約国が行なっている積極的努力には留意しながらも、委員会は、入所施設に措置される子どもに比べ、里親養育に委託される子どもの割合がごく少ないことを依然として懸念する。委員会はまた、人権高等弁務官から報告されているように(A/HRC/8/17, para.50)、イスラエル国防軍が、2008年、書面によるいかなる命令も適切な代替施設の計画もないままヘブロンにある子どものための施設2か所を閉鎖して、3192人の子どもを立ち退かせ、かつあらゆる衣料品、食料、文房具その他の物品を没収したことにも懸念を表明するものである。
48.委員会は、締約国が里親養育制度をさらに強化するべきである旨の勧告(CRC/C/15/Add.195、パラ41)をあらためて繰り返す。委員会はまた、締約国に対し、ヘブロンの児童施設の閉鎖における責任の調査を実施するとともに、立ち退かされたすべての子どもが適切な環境で保護およびケアを受けられるようにするために人的資源、財源および技術的資源が提供されることを確保するようにも促すものである。
49.委員会は、数千人のパレスチナ人の子どもが両親またはきょうだいのいる家庭環境で生活しかつ成長する権利を奪われており、かつ、数千人が、2005年および2007年に改正された市民権およびイスラエル入国法に基づく家族再統合の厳格な制限のために別離の恐怖のもとで生活していることに、懸念を表明する。委員会は、締約国の決定により、2000年以降、パレスチナ人の子どもの居住許可申請の処理が停止されており、かつ、東エルサレムに住んでいるパレスチナ人の居住許可が取り消されていることを、とりわけ懸念するものである。委員会は、親の一方を失った子どもでさえも、西岸において生存している親と再統合できなくさせられていることに、深い懸念とともに留意する。
50.委員会は、締約国に対し、家族と離れ離れになっているすべてのパレスチナ人の子どもが両親およびきょうだいと遅滞なく再統合されること、および、さらなる別離のおそれが生じないようにするため、すべての家族構成員が適正に登録されることを確保するために即時的措置をとるよう、促す。締約国は、これまでに自由権規約委員会(CCPR/C/ISR/CO/3、パラ15、2010年)、女性差別撤廃委員会(CEDAW/C/ISR/CO/5、パラ25、2011年)および人種差別撤廃委員会(CERD/C/ISR/CO/14-16、パラ18)から勧告されたように、市民権およびイスラエル入国法、および、条約第9条および第10条に違反し、かつ家族再統合を妨げるすべての政策を廃止するべきである。

G.障害、基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条および第27条(第1~3項))

障害のある子ども
51.委員会は、障害のある人の権利に関する条約が批准され、かつ障害のある子どもに関連する多数の法律(とくに特別教育法(法律第5758-1998号)の改正、および、中等教育施設における学習障害のある生徒の権利法(法律第5768-2008号))が採択されたこと、ならびに、障害のある子どもが普通学校に統合された際、補完的指導ならびに特別な心理学的サービスおよび医療サービスを受けられるようにするための措置がとられていることを歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 障害のある子どもの圧倒的多数が特別学校または普通学校内の特別学級に出席していること。
  • (b) 子どもを普通学校または特別学校のどちらに措置するかが、親の選択次第であり、子どもが自己の意見を表明し、かつ自己の最善の利益の評価および判断を受けられる手続によって決められるものになっていないこと。
  • (c) 普通学校における障害のある子どものインクルージョンのために配分される資源、とくに障害のある子どもを支援するために配置されるフルタイムの援助者の人数が不十分であること。
52.障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)を想起しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 親の選択モデルを再検討して、障害のある子どもの最善の利益を評価しかつ判断するための、厳格な手続的保障を備えた正式な手続を確立するとともに、意見を聴かれかつ考慮される障害のある子どもの権利がこの手続において全面的に尊重されることを確保すること。
  • (b) インクルーシブ教育の提供範囲を、その利益を享受できるすべての子どもに拡大する盲的で障害のある子どもに関する包括的な国家的戦略を策定すること。もっとも不利な状況に置かれている子ども、とくに自閉症の子どもに対して特段の注意が払われるべきである。
  • (c) ドーナー委員会から勧告された、いわゆる「ニーズに応じた資金拠出」制度を実施することにより、障害のある子どもに対して効果的にインクルーシブ教育を行なうための十分な人的資源、財源および技術的資源が学校に提供されることを確保すること。
健康および保健サービス
53.委員会は、締約国で、子どもを対象とする質の高い保健サービス制度が発展していることを歓迎する。しかしながら委員会は、これらのサービスへのアクセスに関して不平等が存在し、主としてベドウィン人およびアラブ人の子どもならびにエチオピア系イスラエル人コミュニティに属する子どもに影響が生じていることを遺憾に思うものである。対話の際に締約国から提供された情報にもかかわらず、委員会は、2002年に委員会が留意した、OPTにおける子どもの健康および子どものための保健サービスの状況の悪化が報告対象期間中に相当に進展していることに、深い懸念を表明する。このような悪化は、ガザの病院および診療所に対する攻撃(これらの施設の半数以上がキャストレッド作戦の際に深刻な被害を受けた)、ならびに、子どもおよび妊婦をOPT外の医療施設に移送する許可の否定および遅れ(これにより、報告対象期間中に多くの子どもおよび妊婦の死亡が生じている)によるものである。委員会はまた、以下のことを著しく懸念する。
  • (a) ネゲブ砂漠のいわゆる「未登録」村落に住んでおり、基礎的保健サービスを剥奪されているベドウィン人の子どもの死亡率が高いこと。
  • (b) ガザ地区の子どもが、高度な水質汚染に日常的にさらされていることから、血液疾患および衛生関連疾病(水様性下痢および腸チフスなど)に罹患していること(ガザにおける子どもの死亡の12%が水の質の劣悪さによるものとされる)。
54.到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、委員会は、締約国に対し、すべての子どもが差別なくこの権利を享受できることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。委員会はまた、締約国が、OPTに住んでいるすべての子どもおよび妊婦に対し、緊急医療ケアを含む保健サービスへの安全なかつ無条件のアクセスを保障し、かつ、十分な医薬品および訓練を受けた人材が利用できることを確保するべきである旨の、前回の勧告(CRC/C/15/Add.195、パラ45)もあらためて繰り返すものである。この勧告はネゲブ砂漠に住んでいるベドウィン人の子どもについても適用される。委員会は、締約国に対し、病院および医療施設への攻撃を中止するとともに、医療インフラの再建のために必要なすべての資材のガザへの搬入を緊急に認め、かつ、OPT外で医療ケアを必要とするすべての子どもおよび妊婦の時宜を得た移送を遅滞なく確保するよう、促すものである。委員会はまた、締約国に対し、安全な飲料水および十分な衛生サービスの復旧のために即時的措置をとり、かつ、復旧が完了するまで、これらのサービスを提供する人道機関のアクセスが妨げられないことを確保することも促す。
思春期の健康
55.委員会は、締約国の青少年、とくに女子の自殺率および自殺未遂率が高いことを懸念する。
56.思春期の健康に関する一般的意見4号(2003年)を参照しながら、委員会は、締約国が、若者の自殺およびその原因についてジェンダーの視点を含む詳細な研究を実施するとともに、この情報を活用して、子ども指導センター、ソーシャルワーカー、教員、ヘルスワーカーおよび他の関連の専門家と協力しながら若者の自殺に関する国家的な行動計画を策定しかつ実施するよう勧告する。締約国はまた、心理カウンセリングサービスの利用可能性を高めることも検討するとともに、思春期の子どもに対し、訓練を受けたソーシャルワーカーの支援を学校において提供するべきである。
生活水準
57.委員会は、子どもの貧困がこの数年増加していること、および、3人に1人が貧困下でまたは貧困すれすれの状態で生活していることを懸念する。委員会はまた、社会サービスが民営化されていることおよび無償サービスへのアクセスが限定されていることにより、困窮状態にある子どもおよびその家族が直面する困難が高まっていることも懸念するものである。
58.委員会は、締約国に対し、貧困下で生活している子どもおよびその家族が十分な金銭的支援および無償のかつアクセス可能なサービスを差別なく受けられることを確保するよう、促す。
59.前回の総括所見(CRC/C/15/Add.195、パラ50および51)に照らし、委員会は、パレスチナ人の子どもの貧困が増加しており、かつ、締約国によるパレスチナ地域の占領の結果として十分な生活水準に対するこれらの子どもの権利が深刻に侵害されていること、ならびに、イスラエル人入植地の拡大、コミュニティを分断するための「壁」の建設およびガザの封鎖を加速させるための措置がとられていることを、依然として深く懸念する。委員会は、以下のことをとりわけ懸念するものである。
  • (a) とくに西岸および東エルサレムにおける土地の接収、パレスチナ人の住居の大規模な取り壊し、数世代にわたって占有していた住居からのパレスチナ人家族およびベドウィン人家族の追放ならびに差別的な建築規制により、引き続き、パレスチナ人家族およびその子どもが数百人単位で移動を強いられ、ホームレス化し、または立退き強制および取り壊しを常に恐れなければならない状態が生じていること。
  • (b) 天然資源へのアクセスの禁止、水の使用の制限および給水機構(ベドウィン人の遊牧生活様式および農業様式を維持するために不可欠な、貯水池を基盤とする伝統的な水利機構を含む)の破壊を理由として、パレスチナ人の子どもおよびその家族ならびにネゲブ砂漠のベドウィン人の子どもが危機的な水不足に直面していること。委員会はさらに、東エルサレムで下水処理施設を設けること、および、いわゆる「未登録村落」に住んでいるベドウィン人の家族およびその子どもが安全な飲料水にアクセスできるようにすることに、たとえ最高裁がこれらの村落への配管が行なわれるべきであると判示した場合(民事上告審9535/06、Abdullah Abu Musa'ed, et al. v. The Water Commissioner and the Israel Land Administration事件、2011年6月5日言い渡し)であっても、締約国の当局が反対していることを懸念する。
  • (c) OPTの子どもがますます慢性的栄養不良に苦しむようになっていること。このような状況は、ガザ地区の封鎖およびガザで人道援助を行なっている諸機関に課される制約、農地および海へのアクセスに関する厳しい制限の維持、ならびに、パレスチナ人の生計維持のために必要な手段(イスラエル人入植者および国家当局によって損傷されまたは根元から抜かれた、オリーブの樹を中心とするパレスチナ人所有の樹木を含む)の破壊および没収によって著しく悪化している。
60.十分な生活水準に対するパレスチナ人およびベドウィン人の家族の権利との関連で国際連合事務総長、人権高等弁務官およびさまざまな条約機関が締約国に対して行なってきた多数の勧告に照らし、委員会は、締約国に対し、パレスチナ人およびベドウィン人の家族からこれ以上その土地を奪い、かつ安全な飲料水、衛生設備および食料へのアクセスを認めないいかなる行動もとらないこと、ならびに、人道機関が、迫害または他の逆襲を恐れることなく、困窮している家族および子どもに妨害なくアクセスできるようにすることを、無条件で誓約するよう促す。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとることも促すものである。
  • (a) 西岸のうち締約国の全面的管理下にある地域(東エルサレムを含む)に関する計画立案および地区制の体制が、適用される国際法上の基準に一致するようになるまで、取り壊しおよび立退きを停止するともに、西岸のパレスチナ人が公正な、実効的なかつ参加型の計画立案制度にアクセスできることを確保すること。
  • (b) 没収された土地をベドウィン人およびパレスチナ人の家族およびその子どもに返還すること。
  • (c) 社会権規約委員会からすでに勧告されているように(E/C.12/ISR/CO/3、パラ29、2011年)、OPTに住んでいる子どもが十分かつ安全な飲料水および十分な衛生設備を利用できることを確保するために即時的措置をとること。
  • (d) 土地、海および生計手段へのパレスチナ人によるアクセスに関して課されている制限を見直すこと。締約国はまた、パレスチナ人の生計手段を破壊した入植者が処罰されない状況に終止符を打つとともに、さらなる暴力および破壊を防止するための積極的措置をとるべきである。

H.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
61.委員会は、義務教育の範囲を広げ、かつ無償の義務教育を15~17歳の子どもまで拡大した、義務教育法の改正(2007年)を歓迎する。委員会はまた、ベドウィン人の子どもの教育における乖離を縮小するための5か年計画(2011~2016年)、および、エイラート市でまとめられた合意(移住してきた庇護希望者の子どもは、これまでのように別の教育枠組みのもとに置かれるのではなく、最終的に普通公立学校に統合されるとするもの)にも、肯定的対応として留意するものである。しかしながら委員会は、以下のことを懸念する。
  • (a) 親からの授業料の徴収が広く行なわれており、義務教育法に掲げられた無償教育に対する権利が脅かされていること。
  • (b) ベドウィン人の子ども(これらの子どもは、利用可能ないかなる学校もないまま、または安全な通学路および学校への移動手段も提供されないまま放置されていることが多い)およびエチオピア人コミュニティに属する子ども(これらの子どもは、適正なスクリーニングおよび特別なニーズの特定も行なわれないまま、不均衡なほど高い割合で特別教育に措置されている)に対する深刻な差別が存在すること。
  • (c) 人種差別撤廃委員会の所見(CERD/C/ISR/CO/14-16、パラ11)で指摘されているように、ユダヤ人とアラブ人の子どもが引き続き分離された学校制度のもとで教育されていること、および、アラブ人の子どものための教育制度への投資額のほうが低いために、深刻な教室不足、水準以下の教育条件および授業の質、低い学業成績ならびに多数の学校中退が生じていること。
62.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 義務教育法を効果的に執行するために必要な措置をとるとともに、子どもの教育のための授業料およびその他の非公式な拠出金の支払いを親に要請する慣行を打ち切ることにより、教育が無償のままとなることを確保すること。
  • (b) 教育に対するベドウィン人の子どもの権利を確保するために積極的な措置をとり、かつ、特別学校に不必要の措置されたエチオピア人の子どもの措置解除を直ちに行なうこと。
  • (c) 学校におけるアラブ人とユダヤ人の子どもの分離に終止符を打ち、かつ、あらゆるコミュニティ出身の子どもたちの間の寛容および理解に基づく教育制度を構築すること。
  • (d) 真にインクルーシブであり、違いを大切にし、かつ、違いにかかわらずすべての人間の尊厳および平等を尊重する社会を建設する目的で、個人の違いもしくは困難、民族的もしくは文化的背景または社会経済的地位にかかわらずすべての子どもを対象とした、インクルーシブな教育制度を確立すること。
63.委員会は、以下のことも懸念する。
  • (a) 締約国の「防衛の柱」作戦の際に300か所の教育施設に被害が出たこと、および、2009年以降、西岸において軍隊による32回の攻撃が報告されていること。パレスチナ人の学校は締約国の軍隊または入植者により攻撃されたものであり、かつ、軍の前哨地点または拘禁所として使用されることもあった。さらに、とくに国際連合総会が指摘するように(A/67/375, para.23)、子どもたちは、通学路において、締約国の軍隊および治安部隊ならびに入植者によるいやがらせ、脅迫および暴力の対象とされ続けている。
  • (b) 双方向的対話の際に締約国代表団が強調した新たな教室の建設にもかかわらず、OPT全域で学校が深刻に不足しており(会計検査オンブズマンによる2009年の報告によれば、東エルサレムでは1000の教室が足りない状態にある)、かつ学校インフラが破損した状態にあるために、パレスチナ人の子どもが教育を奪われ、または不適切かつ過密な環境のもと、テントもしくは移動住宅で行なわれる授業に出席しなければならなくなっていること。委員会はさらに、締約国が引き続き新たな教室の建設許可を与えず、かつ学校の取り壊しを命令しているために、パレスチナ人およびベドウィン人の子どもが教育に対する権利をさらに奪われていることを懸念する。
  • (c) ガザの封鎖により、2010年にはUNRWA〔国連パレスチナ難民救済事業機関〕が4万人の学齢児童の就学ニーズを満たせなかったこと。加えて、壁、封鎖、検問所および許可制度によって移動の自由に制限が課されているため、一部のパレスチナ人の子どもが引き続き通学できなくなっている。
64.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 入植者および治安部隊の責任が問われることを確保することにより、OPTの子どもをいやがらせ、脅迫および暴力から保護すること。
  • (b) OPTにおける学校への攻撃ならびに前哨地点および拘禁所としての学校の使用を停止するとともに、OPTおよびネゲブ砂漠における学校の破壊の一時停止を直ちに宣言すること。
  • (c) ガザで学校を再建できるようにする目的で二重用途品目リストから骨材、鉄棒およびセメントを外し、仮設学校の建設を促進するためにあらゆる必要な措置をとり、かつ、東エルサレムにおける学校不足に対処するための投資計画を優先的課題として作成すること。
  • (d) パレスチナ人の子どもの通学を妨げている、均衡性を欠いたあらゆる移動の自由の制限を撤廃すること。
教育の目的
65.委員会は、締約国が紛争状態にあることおよび教育制度が過度に軍事化されていることに鑑み、締約国において平和教育が著しく限定的である旨の懸念(CRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ26)をあらためて表明する。締約国代表団から提供された情報にもかかわらず、委員会はまた、東エルサレムのすべての私立学校および公立学校に2011年に配布された学校教科書から、パレスチナの歴史、遺産、旗および都市に関する相当の情報が削除されていることも懸念するものである。
66.委員会は、イスラエルおよびパレスチナ双方の学校制度に平和教育を体系的に包摂するべきである旨の勧告(CRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ27)をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、イスラエルおよびパレスチナ双方の子どもたちを集めて、平和教育を推進するための合同の取り組みを行なうことをふたたび奨励する。委員会はまた、教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)への注意も喚起し、かつ、締約国に対し、パレスチナ人の子どもが自己の文化的アイデンティティ、言語および諸価値について教育されることを確保する自国の義務を想起するよう求めるとともに、このような義務を理由として、締約国に対し、パレスチナの教科書およびカリキュラムの使用の禁止を取り消すよう促すものである。
乳幼児期の発達
67.委員会は、義務教育法が3歳以上のすべての子どもに適用されるにもかかわらず、乳幼児期教育に編入されるアラブ人の子どもの人数が引き続き不均衡なほど少ないことに、懸念を表明する。委員会はまた、締約国が、乳幼児期施設の認可および監督のために必要な法的枠組みをいまだに採択していないことも懸念するものである。
68.委員会は、締約国が、乳幼児期の教育および発達に関する包括的な国家的政策を採択し、かつ、すべての子どもが質の高い乳幼児期のケアおよび教育の機会に差別なくアクセスできることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、乳幼児期のケアおよび教育に適用される法的な規制の枠組みを採択するとともに、すべての施設が義務的登録を受け、かつ定められた基準に基づく監督の対象とされることを確保することも勧告するものである。

I.その他の特別な保護措置(条約第22条、第30条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)~(d)、第32~36条)

子どもの庇護希望者および難民ならびに移住労働者の子ども
69.委員会は、2011年、ニツァーナで保護者のいない子どものための「ユースビレッジ」が創設されたことを歓迎する。委員会はまた、法的地位を得ていない子どもの状況に対し、最近、会計検査オンブズマンおよびクネセト(議会)の子どもの権利委員会が注意を向けていることにも、肯定的対応として留意するものである。しかしながら委員会は、締約国において庇護希望者および移住労働者の子どもならびに保護者のいない子どもがますます周縁化されていること(これらの子どもは公的福祉機関によるいかなる支援も受けられないままでいることが多い)を懸念する。委員会はさらに、これらの子どもが保育所、教育および保健センターへのアクセスをしばしば否定されているため、親が家の外で働いている間ひとりのままであり、またはさまざまな形態の搾取にさらされていることを懸念するものである。委員会はまた、以下のことについて懸念を表明する。
  • (a) 2012年1月に制定された侵入防止法により、締約国に不法に移住してきた子ども(搾取、拷問および人身取引の被害を受けた子どもを含む)の長期拘禁が認められていること。
  • (b) 2011年8月以降、移住労働者の子ども(締約国で出生した子どもを含む)の、著しくストレス度の高い条件下で行なわれる逮捕(夜間に実施されるものなど)が増えていること。これらの子どもおよびその母親はその後、ベングリオン国際空港にあるヤハロム拘禁施設で家族にとって適切ではない狭い房に収容され、父親または他のいかなる家族構成員にも連絡できず、かつ保健サービス、ソーシャルワーカーまたは法律相談にもアクセスできないまま、退去強制を待つことになる。
  • (c) サハロニム拘禁センターにおける子どもの拘禁環境について、護民官が、2011年8月の報告書のなかで、苛酷かつ過密であると判定していること。2011年にはマタン拘禁施設(ハレラ)およびギボン拘禁施設で19人の男子が自殺を図っており、また女子は成人とともに収容されている。虐待、拷問または人身取引の被害を受けた子どもに対し、適切な心理社会的ケアおよび支援は提供されていない。
  • (d) 2012年、スーダン人の子ども(親による暴力および重度のネグレクトを理由として保護的ケア機関に委託されていた子どもを含む)が、親が苛酷な環境下で逮捕および収監の対象とされたのに続いて逮捕され、苛酷な環境下で収監され、かつ退去を強制されたために、これらの子どもに深刻な情緒面の被害が生じたこと。
70.委員会は、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての一般的意見6号(2005年)に対して注意を喚起するとともに、締約国に対し、国際的移住に関与しているまたはその影響を直接受けているすべての子どもに、年齢、性別、民族的または国民的出身および経済的地位または在留資格にかかわらず、自発的移住および非自発的移住のどちらの状況においても、保護者の同伴の有無、移動中であるかもしくは何らかの形で定住しているかの別、在留資格を有しているか否かまたはその他のいかなる状況に置かれているかにかかわらず、その権利を享受する資格があることを想起するよう求める。委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) 子どもの庇護希望者および移住労働者の子どもを保護しかつ十分に支援する目的で、公立学校、寄宿学校、幼稚園、保育所および保健サービスへのアクセスをこれらの子ども全員に保障するとともに、責任を有する政府機関間の調整を確保すること。
  • (b) イスラエルの庇護手続を規制するための国家的な法的枠組み(ノンルフールマンの原則を含む)の策定および制定に優先的課題として取り組むとともに、子どもの長期拘禁を認めている侵入防止法の規定を廃止すること。
  • (c) いかなる形態のネグレクト、搾取、虐待、拷問または他のいずれかの形態の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の被害を受けた子どもについてもその身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進するために、あらゆる適切な措置をとること。
  • (d) 出入国管理上の地位に基づく子どもの拘禁を、即時的効果をともなう形で停止すること。
  • (e) 子どもに影響を与える移住手続のすべての決定段階で、かつ子どもの保護の専門家、司法機関および子ども自身の関与を得ながら、子どもの最善の利益に関する個別の鑑別および評価を実施すること。また、子どもまたはその親の拘禁、送還または退去強制につながるいかなる手続においても、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されるべきである。
  • (f) 無国籍の削減に関する1961年の条約の批准を検討するとともに、国籍法制および現行の諸手続を、無国籍の防止および削減に関する国際基準との一致を図る目的で見直すこと。
武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書のフォローアップ
71.委員会は、パレスチナ人の子どもが人間の盾および密告者として使用され続けていること(2010年1月から2013年3月までの期間だけでこのような事例が14件報告されている)、ならびに、締約国が、この点について委員会が2010年に勧告したように(CRC/OPAC/ISR/CO/1、パラ25)、Adalah et al. v. Commander of the Central Region et al.事件における最高裁判所判決(HCJ 3799/02、2005年6月23日付判決)を遵守していないことに、深い懸念を表明する。委員会は、以下のことに深い懸念をもって留意するものである。
  • (a) テロ対策における人権および基本的自由の促進および保護に関する特別報告者が指摘しているように(A/HRC/6/17/Add.4, para.48)、締約国の兵士がパレスチナ人の子どもを利用して、危険な可能性がある建物に自分たちよりも先に入らせ、かつ軍用車両への投石をやめさせる目的でこれらの車両の前に立たせていること。
  • (b) 子どもを人間の盾および密告者として使用した者のほぼ全員が処罰されないままであること、および、9歳の子どもに対して銃を突きつけ、爆発物が入っている疑いのあったカバンを強制的に捜索したことを理由として有罪判決を受けた兵士らに対し、執行猶予付きの3か月の刑および降格処分しか科されなかったこと。
72.委員会は、締約国に対し、Adalah et al. v. Commander of the Central Region et al.事件における最高裁判所判決に直ちにしたがい、人間の盾および密告者としての子どもの使用を禁止するための積極的措置をとるとともに、人間の盾および密告者としての子どもの使用の禁止を実効的に執行し、かつ、加害者が裁判にかけられかつ犯罪の重大性に相応する制裁によって処罰されることを確保するよう、促す。
少年司法の運営
73.委員会は、法律に抵触したイスラエル人の子どものための広範な保障および保護措置を擁する同国の少年司法制度に相当の改善が見られたことについて、締約国を称賛する。しかしながら委員会は、締約国が、パレスチナ人の子どもの逮捕および拘禁ならびに拘禁環境について委員会が2002年および2010年に行なった勧告を完全に無視しており、かつ、依然として軍令の対象とされたままであるOPTに住んでいる子どもに対し、これらのあらゆる保障および保護措置を否定し続けていることを懸念するものである。委員会は、報告対象期間中に推定7000人のパレスチナ人の子ども(12~17歳、ただし9歳という幼さの子どもが含まれているときもある)が締約国の軍隊によって逮捕され、尋問されかつ拘禁されており(平均1日あたり2人の子ども)、かつ、国際連合事務総長が指摘するように(A/67/372, para 28)、2011年9月以降この人数が73%増加していることに、重大な懸念を覚える。委員会は、以下のことに深い懸念を表明するものである。
  • (a) 逮捕されたパレスチナ人の子ども(複数のイスラエル兵が証言したように、このような逮捕はしばしば恣意的に行なわれている)のほとんどは投石について罪を問われており、これは20年の収監刑を言い渡される可能性のある犯罪であること。
  • (b) 現在、236人の子どもが治安上の理由によるとされる拘禁の対象とされており、そのうち数十人は12~15歳であること。
  • (c) 逮捕されたパレスチナ人の子どもを、裁判官の前に引致するまで4日間(2012年8月までは8日間)拘禁することができ、かつ、これらの子どもに対し、親の立会いを受ける権利(親が自分の子どもの拘禁場所を知らないことさえしばしばある)および弁護士にアクセスする権利を含む権利の告知がほとんど行なわれていないこと。
  • (d) 締約国の軍隊および警察によって逮捕されたパレスチナ人の子どもが、品位を傷つける取扱い(およびしばしば拷問行為)を組織的に受けており、自らが理解できないヘブライ語で尋問され、かつ、ヘブライ語の自白調書に署名しなければ釈放されていないこと。
  • (e) 子どもが、刑務所の制服を着用し、かつ足鎖および手錠をかけられたまま軍事法廷に連行され、かつ、そこで強迫されて行なった自白が主たる証拠として使用されていること。子どもがここで初めて会う弁護士は、子どもに適用される軍令のアラビア語訳にアクセスできない。
  • (f) 成人に適用される量刑関連の規定が16~17歳の子どもにも適用されること。
  • (g) 拘禁されているパレスチナ人の子どもの多く(2009年以降215人)が、戦時における文民の保護に関するジュネーヴ第4条約第76条に違反する形で、OPT外への移送およびイスラエル国内での拘禁および服役の対象とされていること。これらの子どもの多くは、換気が不十分で自然光も入らない劣悪な環境下で、過密な収容房に成人とともに拘禁されている。食料の質の悪さおよび量の不十分さ、刑務所吏員による苛酷な取扱いおよびいかなる形態の教育も受けられないことが、これらの子どもの苦境に拍車をかけている。
74.委員会は、締約国に対し、少年司法に関する基準がすべての子どもに差別なく適用されること、および、裁判が、公正な裁判に関する最低基準にしたがって迅速かつ公正なやり方で行なわれることを保障するよう、強く促す。委員会はまた、締約国に対し、パレスチナ人の子どもを対象として制度化されている拘禁ならびに拷問および不当な取扱いの使用のシステムを、司法手続のあらゆる段階で解体することも促すものである。この違法なシステムに関与してきた者を全員裁判にかけ、かつ、有罪と認められたときには処罰することが求められる。委員会はまた、締約国に対し、委員会が2002年および2010年に行ない、かつすべての人権機構、国際連合事務総長および人権高等弁務官から一貫して繰り返されている勧告を遵守するとともに、とくに以下の措置をとることも促すものである。
  • (a) 投石を理由としてパレスチナ人の子どもに20年の収監刑を言い渡すことを認めているすべての法律について見直しおよび改正を進め、かつ、このような理由で収監されているすべての子どもを拘禁から解放すること。
  • (b) 拘禁された子どもが、逮捕から24時間以内に、逮捕および拘禁の合法性に関する独立の司法審査に実効的にアクセスでき、かつ、逮捕直後から十分な、無償のかつ独立した法的援助を提供されること、および、親または近親者に連絡できることを確保すること。
  • (c) 治安に関わる犯罪を行なったとして罪を問われている子どもの拘禁が、最後の手段として、その年齢および脆弱性に応じた十分な環境下で、かつ可能なもっとも短い期間でのみ行なわれることを確保すること。刑事責任年齢に達しているか否かについて疑いがあるときは、子どもは当該年齢未満であると推定されなければならない。
  • (d) ヘブライ語で書かれ、かつパレスチナ人の子どもが署名しまたは承認したすべての自白調書が裁判所によって証拠として認容されないこと、および、今後、子どもの自白のみを根拠とする決定が行なわれないことを確保すること。
  • (e) 拘禁されているすべてのパレスチナ人の子どもが成人から分離され、かつ、OPT内に設けられた施設において、適切な環境下でかつ教育へのアクセスを保障されながら収容されることを確保すること。これらの子どもの拘禁について、定期的かつ公正な再審査が実施されるべきである。
  • (f) 拘禁されている子どもが独立した苦情申立て機構にアクセスできること、および、不法に拘禁され、かつ拷問および不当な取扱いを受けたすべての子どもが救済および十分な補償(リハビリテーション、賠償、満足および再発防止の保障を含む)を得られることを確保すること。

J.国際人権文書の批准

75.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、まだ当事国となっていないすべての中核的人権文書、とくに通報手続に関する子どもの権利条約の第3選択議定書、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約、ならびに、市民的および政治的権利に関する国際規約、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約、女性差別撤廃条約、拷問禁止条約および障害のある人の権利に関する条約の諸選択議定書を批准するよう勧告する。

K.フォローアップおよび普及

76.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、クネセト(議会)、関連省庁、国防軍および治安部隊、最高裁判所ならびに地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
77.委員会はさらに、条約およびその選択議定書ならびにそれらの実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、第2回~第4回統合定期報告書および締約国による文書回答ならびに関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。

L.次回報告書

78.委員会は、締約国に対し、次回の第5回・第6回統合定期報告書を2018年11月2日までに提出し、かつ、この総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。委員会は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、今後の報告書は当該ガイドラインにしたがうべきであり、かつ60ページを超えるべきではないことを想起するよう求めるものである。委員会は、締約国に対し、当該ガイドラインにしたがって報告書を提出するよう促す。2012年12月20日の総会決議67/167にしたがい、ページの制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を見直し、かつ再提出するよう求められることになる。委員会は、締約国に対し、締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できないことを想起するよう、求めるものである。
79.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された調和化報告ガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap.I)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件にしたがい、最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2017年4月25日)。