総括所見:ベルギー(第3~4回・2010年)


CRC/C/BEL/CO/3-4(2010年6月18日)/第54会期
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2010年6月2日に開かれた第1521回および第1523回会合においてベルギーの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/BEL/3-4)を検討し、2010年6月11日に開かれた第1541回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、締約国の状況に関する理解を向上させてくれた、締約国の第3回・第4回統合定期報告書および委員会の事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/BEL/Q/3-4/Add.1)の提出を歓迎する。委員会はさらに、部門を横断した代表団の出席および同代表団との率直なかつ開かれた対話について、評価の意を表明するものである。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書への締約国の第1回報告書について採択された総括所見(CRC/C/OPSC/BEL/CO/1)、および、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書への締約国の第1回報告書について採択された総括所見(CRC/C/OPAC/JPN/CO/1、2010年6月9日)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

4.委員会は、以下の法令が採択されたことに評価の意とともに留意する。
  • (a) 障害者が社会の主体的かつ集団的生活に参加する目的でアクセスする場所における合理的配慮を確保することにより、障害者の社会的および職業的インクルージョンを向上させる目的で、締約国の法律に「合理的配慮」の概念を導入した、2003年2月25日の法律の施行令(2006年10月11日)。
  • (b) 親が離婚した場合の子どもの共同親権を促進する2006年7月18日の新法。
  • (c) 破片弾の使用、製造および輸送を禁じた2006年の法律。
  • (d) 人身取引に関する2005年8月10日の法律。
5.委員会はまた、以下の条約の批准も歓迎する。〔訳者注/号番号が前項より連続しているのは原文ママ〕
  • (e) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2006年3月17日)。
  • (f) 障害のある人の権利に関する条約およびその選択議定書(2009年7月2日)。
  • (g) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年のハーグ条約(2005年5月26日)。
  • (h) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(2000年)を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2004年8月11日)。
  • (i) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書(2004年6月17日)。
  • (j) 親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する1996年のハーグ条約(2003年4月1日)。
6.委員会はまた、ドイツ語共同体でオンブズパーソンが任命されたこと(2010年5月17日)、国家子どもの権利委員会が設置されたこと(2006年)、および、「子どものための国家行動計画(2005~2012年)」が採択されたことも歓迎する。

C.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項)

委員会の前回の勧告
7.委員会は、締約国の第2回報告書に関する委員会の総括所見(2002年、CRC/C/15/Add.178)を実施するために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら、一部の勧告については十分なフォローアップが行なわれていない。
8.委員会は、締約国に対し、締約国の第2回定期報告書に関する総括所見の勧告のうちまだ実施されていないものまたは十分に実施されていないもの(とくに、調整、データ収集、貧困下で暮らしている子どもに対する差別、意見を聴かれる子どもの権利、体罰および少年司法に関するものを含む)に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。この文脈において、委員会は、子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2004年〔2003年〕)に対して締約国の注意を喚起するものである。
留保および宣言
9.委員会は、締約国が、差別の禁止の原則に関する第2条についての宣言(ベルギー国民ではない子どもによる条約に掲げられた諸権利の享受を制限するもの)、および、刑事上の決定の上級司法機関による再審査に関する第40条についての宣言を維持していることに留意する。
10.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.178、パラ7)にのっとり、かつウィーン宣言および行動計画に照らし、締約国が、条約第2条および第40条について行なった宣言を撤回する手続を速やかに進めるよう勧告する。
立法
11.自国の法律を条約の原則および規定と調和させるために締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、立法上の進展が3つの言語共同体間で異なっており、一部の共同体の子どもが、同国の他の共同体の子どもが享受している諸権利を全面的に享受できない状況が生じていることに留意する。とくに委員会は、ドイツ語共同体における立法上の進展が他の2つの共同体における進展に追いついていないことを懸念するものである。
12.委員会は、締約国が、すべての言語共同体における立法および行政規則が条約の規定および原則と全面的に一致することを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
調整
13.2006年に国家子どもの権利委員会が設置されたことは歓迎しながらも、委員会は、条約の実施の全国的調整が行なわれていないことを懸念する。
14.委員会は、締約国が、子どもの権利政策の包括性および一貫性を達成する目的で、条約の実施を調整する効果的制度を設け、かつ、連邦レベルおよび共同体レベルで設置された調整機構の協力を確保するよう勧告する。
子どものための国家的行動計画
15.委員会は、子どものための国家的行動計画に関する勧告(CRC/C/OPAC/BEL/CO/1、パラ9)が実施されていないことを深く遺憾に思う。とくに委員会は、「子どものための国家行動計画(2005~2012年)」に明確な目標、達成目標、指標またはタイムテーブルが掲げられておらず、目標の達成における進展を監視するためのいかなる機構も設けられておらず、かつ同計画に対していかなる特別予算も配分されていないことを懸念するものである。子どもに直接影響を及ぼす同国の貧困その他の格差を減らしていく政策を進めなければならないことを考慮に入れ、委員会は、締約国の一般的開発政策枠組みおよび計画立案環境において「子どものための国家的行動計画」が考慮されていない可能性があることに、さらなる懸念を表明する。
16.委員会は、締約国が以下のことを確保するよう勧告する。
  • (a) 「子どものための国家行動計画」が、子どもの権利によって下支えされ、かつ異なる地域的環境を正当に考慮した、開発計画の不可欠な一部に位置づけられること。
  • (b) 「子どものための国家行動計画」において具体的な目標、達成目標、指標およびタイムテーブルが掲げられ、かつ、達成された進展の評価および存在する可能性がある欠点の特定を目的とする監視機構が設置されること。
  • (c) 国家行動計画の全面的実施のために十分な予算配分が行なわれること。
  • (d) 条約の原則および規定、条約の両選択議定書、ならびに、2002年5月の特別会期で総会により採択された行動計画「子どもにふさわしい世界」および2007年の「子どもにふさわしい世界+5」レビューの宣言が考慮されること。
独立の監視
17.フラマン語、フランス語およびドイツ語の各共同体に独自のオンブズマンが存在することには留意しながらも、委員会は、これらの機関の根拠法、任務および能力がそれぞれ異なること、ならびに、連邦レベルで2つの異なるオンブズマン機関が存在することにより、締約国のすべての地域の子どもに対し、その権利の平等な保護およびその苦情に対する対応が保障されない可能性があることを懸念する。
18.委員会は、締約国に対し、すべてのオンブズマン機関の任務の調和を図るとともに、共同体レベルの諸オンブズマンの十分な調整ならびに連邦レベルおよび共同体レベルで活動している諸オンブズマン機関間の十分な調整を確保するよう、促す。委員会はさらに、締約国に対し、オンブズマン機関が、子どもにとってアクセスしやすいものであり、かつ、子どもの権利侵害の苦情を子どもに配慮したやり方で受理しかつ調査する権限およびこれに効果的に対応する権限を有することを確保するよう、促すものである。
資源配分
19.委員会は、締約国における社会支出が他の経済協力開発機構(OECD)諸国との関連で相対的に少ないこと、および、貧困下で暮らしている子どもの割合が高く、かつ近年上昇していることを懸念する。委員会はまた、締約国において一貫した予算分析および子どもの権利影響評価が実施されていないために、国および言語共同体のレベルで子どもに配分されている支出を特定し、かつ公共支出が子どもの生活に及ぼしている影響を評価することが困難になっていることにも懸念を表明するものである。
20.委員会は、締約国に対し、「子どもの権利のための資源配分――国の責任」に関する一般的討議(2007年)後に採択された委員会の勧告(CRC/C/46/3参照)を考慮しながら、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 予算全体を通じて子どものための資源がどのように配分されかつ使用されているかを追跡するためのシステムを実施し、もって子どもに対する投資を目に見えるものとすることによって、国家予算の策定に際して子どもの権利アプローチを活用すること。委員会はまた、いずれかの部門における投資が子どもの最善の利益にどのように貢献しているかに関する影響評価のために、当該投資が女子および男子に与える異なる影響について測定が行なわれることを確保しながら、この追跡システムを活用することも促す。
  • (b) 子どもに関する優先的予算科目が資源水準の変化から保護されることを確保すること。
  • (c) 公的な対話および参加(とくに子どもたちによる対話および参加)参加ならびに地方当局の適正な説明責任を確保するための対話および参加を通じて、透明なかつ参加型の予算策定を確保すること。
  • (d) 不利な立場に置かれた子どもまたはとくに被害を受けやすい状況に置かれた子ども、および、社会的な積極的差別是正措置を必要とする可能性がある状況に関する戦略的予算科目を定めるとともに、これらの予算科目が、たとえ経済危機の状況またはその他の緊急事態下にあっても保護されることを確保すること。
データ収集
21.事前質問事項に対する回答とともに付属資料として提供された統計は歓迎しながらも、委員会は、データ収集に対するアプローチが断片的である(条約のすべての分野が網羅されておらず、かつ、広域行政圏および言語共同体のレベルで不均衡な形で行なわれている)ことを依然として懸念する。委員会はまた、国家子どもの権利委員会に対し、データ収集の調整責任に対応するために必要な資源が提供されていないことも懸念するものである。
22.委員会は、締約国に対し、常設のデータ収集機構を国レベルで設置するプロセスを速やかに進めるよう促す。委員会はまた、締約国に対し、とくに、締約国のすべての広域行政圏および言語共同体の比較研究の基礎となりうる統一的なデータ収集システムを創設する目的で2009年に設置された作業部会の活動を支えるため、国家子どもの権利委員会に対し、子どもに関するデータの収集を調整するための十分な人的資源および財源が提供されるようにすることも求めるものである。
普及および意識啓発
23.条約の普及および条約に関する意識啓発のために締約国が行なっている取り組み(とくに、条約を子どもにやさしく書き直したものの刊行)には留意しながらも、委員会は、締約国が、条約に関する普及活動および意識啓発活動を、体系的なかつ対象を明確化したやり方で進めていないことを遺憾に思うものである。
24.前回の勧告(CRC/C/15/Add.178、パラ17および26)にのっとり、委員会は、締約国が、条約のすべての規定が大人によっても子どもによっても同様に広く知られかつ理解されることを確保するための努力を強化するとともに、この目的のため、ベルギーで暮らしている子どもたちおよび若者たちが委員会に提出した2010年2月の第1回報告書で行なった提案を考慮するよう、勧告する。
研修
25.若干の研修活動が実施されてきたことには留意しながらも、委員会は、この研修において、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家が対象とされているわけではなく、かつ条約のすべての規定が含まれているわけでもないことを懸念する。委員会はまた、人権教育がいまなお締約国全域の学校カリキュラムで明示的に位置づけられていないことへの懸念をあらためて表明するものである。
26.委員会は、締約国に対し、子ども、親ならびに子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(裁判官、弁護士、法執行官、教員、保健ケア従事者およびソーシャルワーカーを含む)を対象とした、条約の原則および規定に関する体系的な教育プログラムおよび研修プログラムを実施するよう奨励する。委員会は、締約国に対し、子どもの権利を含む人権教育をすべての初等中等学校のカリキュラムに含めるよう求めるものである。
市民社会との協力
27.委員会は、国家子どもの権利委員会に市民社会の代表がいることおよびその活動に市民社会が関与していることを含む締約国と市民社会との協力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、締約国報告書に対する市民社会の意見が十分に反映されていないことを遺憾に思うものである。
28.委員会は、締約国が、子どもの権利の促進および保護への市民社会(NGOおよび子どもの団体を含む)の積極的かつ組織的な関与を促進するための努力を強化するとともに、政策の計画段階、委員会の総括所見のフォローアップおよび次回の定期報告書の作成に対する市民社会の意見が全面的に考慮されかつ反映されることを確保するよう、勧告する。
国際協力
29.委員会は、ベルギー開発協力法(2005年)、および、2008年に議会に送付された子どもの権利に関する戦略ペーパーの起草を歓迎する。しかしながら委員会は、子どもの権利が――子ども兵士の使用など、いくつかの特定の子どもの権利侵害以外は――開発協力の主流に位置づけられていないように見えることを遺憾に思うものである。委員会はまた、締約国が2009年には国内総生産(GDP)の0.55%を国際援助に振り向けており、かつ、国際合意目標であるGDPの0.7%に2010年までに到達する決意を示していることに留意する。
30.委員会は、締約国に対し、2010年までにGDPの0.7%に到達するという決意を達成し、かつ可能であればそれを超えるよう促す。委員会はまた、締約国に対し、子どもの権利の実現が、開発途上国との間で締結される国際協力協定の最優先課題のひとつとなることを確保することも奨励するものである。その際、委員会は、締約国が、当該受領国に関する子どもの権利委員会の総括所見および勧告を考慮するよう提案する。

2.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
31.委員会は、差別(とくに教育へのアクセスに関する差別)と闘うために言語共同体レベルで行なわれている取り組みに留意する。しかしながら委員会は、貧困下で暮らしている子どもが締約国で受けている複合的形態の差別(とくに教育、保健ケアおよび余暇へのアクセスに関わるもの)についての深刻な懸念をあらためて表明するものである。委員会はまた、障害のある子どもおよび外国出身の子どもが受けている継続的差別についても懸念する。
32.委員会は、締約国に対し、事実上の差別の効果的監視を可能とする目的で細分化されたデータを収集するとともに、あらゆる形態の差別(被害を受けやすい状況に置かれたすべての集団の子どもに対する複合的形態の差別を含む)に対応し、かつ差別的な社会の態度(とくに貧困下で暮らしている子ども、障害のある子どもおよび外国出身の子どもに向けられるもの)と闘う包括的な戦略を採択しかつ実施するよう、求める。
子どもの最善の利益
33.子どもの最善の利益の原則が、とくに養子縁組および被用者家族手当に関する法律に統合されていることには留意しながらも、委員会は、同原則がいまなお子どもに関わるすべての法律に一般的原則として反映されているわけではないことに、懸念を表明する。
34.委員会は、子どもの最善の利益の原則が、条約第3条にしたがい、すべての法規定、ならびに、子どもに影響を与える司法上および行政上の決定ならびにプロジェクト、プログラムおよびサービスに十分に統合されることを確保するために、締約国があらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
子どもの意見の尊重
35.委員会は、さまざまな分野で子どもの参加を促進するために多数の取り組みが行なわれていること(とくに、国家子どもの権利委員会の活動に子どもの関与を得ていること、および、ドイツ語共同体で2005年に「生徒議会」が創設されたこと)を歓迎する。しかしながら委員会は、ベルギーの子どもたちが、自分たちに直接関わる事柄についての意見がめったに考慮されないと感じていることに、懸念とともに留意するものである。委員会はまた、被害を受けやすい状況に置かれた子ども(すなわち貧困下で暮らしている子ども、障害のある子ども、精神医療施設の子ども)が参加型のプロセスからしばしば排除されていることも懸念する。委員会は、報告プロセスへの子ども参加が連邦政府またはフラマン語共同体によって支援されなくなったことに、さらなる懸念を表明するものである。
36.委員会は、意見を聴かれる子どもの権利に関する委員会の一般的意見12号(2009年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国が引き続き、条約第12条にしたがって意見を聴かれる子どもの権利の実施を確保し、かつ、被害を受けやすい状況に置かれた子どもに特段の注意を払いながら、すべての行政段階ならびに家庭、学校およびコミュニティにおけるすべての子どもの参加を促進するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、報告プロセスへの子ども参加を引き続き支援することも求めるものである。
37.委員会はさらに、司法上および行政上の手続において意見を聴かれる子どもの権利に関する委員会の勧告を実施するために必要な措置を締約国がとっておらず、実施がもっぱら裁量的なものに留まっていることに、懸念とともに留意する。委員会はまた、離婚の際の居所および面会権に関して12歳以上の子どもの意見を聴取する青少年裁判官の義務が、実際には実効的なものとなっていないことも懸念するものである。
38.委員会は、裁判所における手続および行政手続について定めた法律で、自己の意見を形成する力のある子どもが意見表明権を有することおよびその意見が正当に重視されることが確保されるべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.178、パラ22)をあらためて繰り返す。

3.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条および第37条(a))

体罰
39.委員会は、締約国が、家庭および非施設型の子どもの養護環境における体罰が法律で明示的に禁じられることを確保するために必要な措置をとっていないことを懸念する。
40.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)および前回の勧告(CRC/C/15/Add.178、パラ24(a))に照らし、委員会は、締約国に対し、すべての場面、とくに家庭および非施設型の子どもの養護環境における子どもの体罰を、優先的課題として禁止するよう促す。委員会はまた、締約国が、非暴力的な代替的形態のしつけおよび規律維持が子どもの人間の尊厳と一致するやり方で行なわれることを確保するため、意識啓発キャンペーンおよび親教育プログラムを実施することも勧告するものである。
子どもに対する暴力に関する国際連合研究のフォローアップ
41.委員会は、家庭における暴力に対応するための新たな行動計画が2008年12月15日に採択されたこと、および、その他の態様のジェンダー特有の暴力(女性性器切除、強制婚および名誉犯罪など)にもその範囲を拡大することが構想されていることを歓迎する。しかしながら委員会は、ブリュッセル地域において、緊急の状況下にある女性の暴力被害者およびその子どもを収容するシェルターが設けられていないことに、さらなる懸念を表明するものである。
42.委員会は、締約国に対し、女性差別撤廃委員会から2008年に勧告されたように(CEDAW/C/BEL/CO/6、パラ32)、女性および女子に対するあらゆる形態の暴力と闘うための包括的なかつ調整のとれた国家的戦略を速やかに策定するよう促す。委員会はまた、締約国に対し、女性およびその子どもが締約国全域で専門の緊急宿泊施設を利用できるようにすることも求めるものである。
43.子どもに対する暴力に関する国際連合研究について、委員会は、締約国が、ヨーロッパ・中央アジア地域協議(2005年7月5~7日、リュブリャナ)の成果および勧告を考慮しながら、子どもに対する暴力に関する国際連合研究の勧告(A/61/299)を実施するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。とくに委員会は、締約国が以下の勧告に特段の注意を払うよう勧告するものである。
  • (a) 子どもに対するあらゆる暴力を禁止すること。
  • (b) 非暴力的な価値観および意識啓発を促進すること。
  • (c) 回復および社会的再統合のためのサービスを提供すること。
  • (d) 体系的かつ全国的なデータ収集および調査研究を発展させかつ実施すること。
  • (e) すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的および心理的暴力から保護されることを確保すること、ならびに、このような暴力および虐待を防止しかつこれに対応するための具体的なかつ(適切であれば)期限を定めた行動に弾みをつけることを目的として、市民社会と連携しながら、かつとくに子どもの参加を得ながら、同研究の勧告を行動のためのツールとして活用すること。
  • (f) 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表を支援すること。

4.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(第1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(第4項)および第39条)

家庭環境
44.委員会は、家族および子どものための社会サービスが広く利用可能とされていることは認知しながらも、緊急の援助を日露とする多くの子どもが、適切な社会サービスを受けるまでに長期間待機しなければならないことに留意する。委員会は、現在の保育サービスの供給が需要をはるかに満たせておらず、フランス語共同体では、主として保育に振り向けられる資金が不十分であるために、需要の27.2%しか満たせていないことに懸念を表明するものである。委員会は、この供給不足により、もっとも不利な立場に置かれた家族の子どもおよび障害のある子どもがとりわけ影響を受けていることに懸念を表明する。委員会はまた、フラマン語共同体において、保育職員のうち保育の訓練を受けた者が80%に満たないことも懸念するものである。
45.委員会は、締約国が、適切な社会サービスを受けるまでに長期間待機しなければならない理由についての包括的な調査研究を実施するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、より多くの保育サービスを速やかに設置するとともに、子どもの特別な教育上のニーズまたはその家族の社会経済的状況にかかわらず、すべての子どもがアクセスできることを確保するようにも求めるものである。委員会は、締約国に対し、条約の原則および規定に照らして、障害のある子どものためにこれらの子どもが必要とする特別な援助を備えた保育体制を整備するとともに、保育サービスが訓練を受けた職員によって提供することを確保し、かつ乳幼児期の発達を促進するよう求める。
家庭環境を奪われた子ども
46.委員会は、子どもの養護においていまなお主として入所施設への子どもの措置に焦点が当てられていること、および、フランス語共同体における3歳未満児の施設措置率がヨーロッパでもっとも高いことを懸念する。委員会はさらに、措置までの待機期間が長いことおよび措置変更が頻繁に行なわれることを懸念するものである。
47.委員会は、締約国が、施設への子どもの措置を防止するために法的枠組みを見直すとともに、この目的のため、家族に対し、必要に応じて子育てのための社会的および経済的援助ならびに法的援助を提供するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、施設措置よりも家庭的な養護環境を優先させるとともに、条約第25条で要求されているように措置の定期的再審査を行なうことも勧告するものである。委員会はさらに、2009年11月20日〔12月18日〕に採択された総会決議64/142に掲載されている、子どもの代替的養護に関する国連指針に対して注意を喚起する。
虐待およびネグレクト
48.委員会は、締約国における児童虐待の規模について、深刻な懸念とともに留意する。委員会は、フランデレン地域で虐待が乳児死亡の原因の第2位になっていること、および、締約国で児童虐待による死亡率が非常に高く、ほとんどのOECD諸国よりも高いことに、特段の懸念とともに留意するものである。委員会はまた、全事案の3分の1が性的虐待事案であること、および、性的虐待がいまなお、刑法において、暴力犯罪ではなく道徳に対する犯罪として位置づけられていることも懸念する。
49.国内全域における虐待およびネグレクトの規模に鑑み、委員会は、締約国に対し、児童虐待と闘いかつこれを防止するために必要な措置を緊急にとるよう促す。とくに委員会は、締約国に対し、虐待およびネグレクトに対抗する包括的な国家的行動計画を策定するとともに、防止および虐待防止の調整のための直接支援介入を行ない、かつ不当な取扱いを受けた子どもに具体的ケアを提供するサービスを相当に増加させるために必要な資源を確保するよう、求めるものである。委員会は、締約国に対し、女性差別撤廃委員会からすでに2008年に勧告されたように(CEDAW/C/BEL/CO/6、パラ30)、性的虐待を暴力犯罪として位置づけるよう求める。
養子縁組
50.国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約第21条との一致を図るために法改正が行なわれたことには留意しながらも、委員会は、国内養子縁組に比して国際養子縁組の割合が高いことに懸念を表明する。
51.委員会は、締約国に対し、とくに国内養子縁組手続を容易にすることにより、子どものいっそうの国内養子縁組を奨励するよう促す。
52.自己の出自を知る子どもの権利を保障するための法律を採択する意図が締約国にあることには留意しながらも、委員会は、養子縁組の一件書類に含まれる情報(両親の身元ならびに子どもおよびその家族に関する医療情報を含む)を収集し、保存しかつこれにアクセスするための明確な方式が定められていないことを懸念する。
53.委員会は、締約国が、養子となった子どもの出自に関する情報を収集し、保存しかつこれにアクセスするための具体的方式を速やかに定めるよう勧告する。

5.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(第1~3項))

障害のある子ども
54.障害のある子どもの普通教育への統合に関する政令(2009年2月5日)がフランス語共同体で採択されたことには留意しながらも、委員会は、インクルーシブ教育が不十分であることおよび特別教育の定員数が足りないことにより、障害のある子どもがいかなる就学の可能性も奪われる可能性があることに、深刻な懸念を表明する。委員会はさらに、障害のある子どものなかでももっとも困難な状況を経験している子どもが、独自の基準にしたがって子どもを選抜する私立の保育所および入所ケアサービス施設からしばしば排除されていることを懸念するものである。
55.条約第23条および障害のある子どもの権利についての委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、障害のある子どもを対象とするインクルーシブ教育および保育所への統合を確保するためにいっそう実際的な措置をとるよう促す。委員会はまた、締約国に対し、障害のある子どもに対して配分される資源が、そのすべてのニーズ(普通学校において障害のある子どもを支援する専門家、とくに障害のある子どもを支援する教員の訓練のために設けられるプログラムを含む)を網羅するのに十分であること――および他の目的に流用されないように使途指定されたものであること――を確保するようにも求めるものである。
健康および保健サービス
56.委員会は、もっとも不利な立場に置かれた家族の子どもの健康状態について深刻な懸念を表明する。とくに委員会は、所得申告のない家族の子どもが生後1年以内に死亡する率が共稼ぎ家族の子どもの3.3倍であることに、懸念とともに留意するものである。委員会はまた、医療保険に適切に加入していない家族のもとで暮らしている子どもが多いことも懸念する。委員会は、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を執行するために締約国が行なっている努力についての情報が乏しいことに、さらなる懸念を表明するものである。
57.委員会は、締約国に対し、もっとも不利な立場に置かれた家族の子どもの健康状態を生後1年間監視し、すべての子どもに対して保健サービスへのアクセスを確保し、かつ、自己の子どものために利用可能な保健サービスを求めるよう親に奨励する目的で、対象を明確化した緊急の措置をとるよう促す。委員会はまた、もっとも不利な立場に置かれた家族を対象とする保健サービスの費用負担を引き下げる目的で、健康保険制度の見直しを行なうことも勧告するものである。委員会はさらに、締約国に対し、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の執行を国内のすべての地域で強化するよう勧告する。
精神保健および精神医療を受けている子ども
58.子どもの精神的な健康およびウェルビーイングを向上させるために締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、精神医療を受けている子どもの状況について深刻な懸念を表明する。委員会は、入院精神保健サービスを受けている子どもが、自己の見解を限られた形でしか表明できないこと、ならびに、外の世界からしばしば切り離されており、かつ、制限が正当である理由を明確に説明されないまま、家族および友人と定期的に面会する機会を制限されていることに、特段の懸念とともに留意するものである。さらに委員会は、隔離措置が一般的に用いられていること、および、子どもの不可侵性を制限する可能性がある投薬が広く行なわれていることなど、入院精神保健サービスを受けている子どもに不当な取扱いが行なわれているという報告があることを深刻に懸念する。委員会は、精神保健ケアサービスを必要とする子どもの待機期間が長いことを懸念する。さらに委員会は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断された子どもに対する精神刺激薬の処方が短期間に急速に増加していることを示す情報について懸念を覚える。
59.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 入院精神医療施設の需要を減少させ、かつ子どもが家族から分離されることなく必要なサービスを受けられるよう、子どもおよび若者を対象とする精神保健ケア制度のあらゆる構成要素(プライマリーヘルスケアにおける精神障害の予防および治療ならびに専門的アウトリーチサービスを含む)を引き続き発展させること。
  • (b) 待機期間を短縮し、かつ必要とするサービスに子どもがアクセスできることを確保する目的で、あらゆるレベルの精神保健ケア制度に人的資源および財源を配分すること。
  • (c) 入院精神保健ケア施設に措置された子どもが、自己の状況(精神医療のための入院期間を含む)に関する適切な情報を提供され、家族および外の世界との接触を維持し、かつその意見を聴かれかつ尊重されることを確保すること。
  • (d) 市民社会と連携しながら、精神医療を受けている子どもの権利を独立の立場から監視するしくみを実施するとともに、子どもの不当な取扱いに関するすべての苦情および訴えを透明なやり方で調査すること。
  • (e) 子どもに対する精神刺激薬の過剰処方現象を調査するとともに、ADHDと診断された子どもならびにその親および教員が広範な心理的、教育的および社会的措置および治療にアクセスできるようにするための取り組みを行なうこと。
思春期の健康
60.委員会は、締約国における青少年の薬物および有害物質の濫用について懸念を覚える。委員会はまた、締約国で子ども、とくに青少年の肥満が増加していることも懸念するものである。
61.委員会は、締約国が、青少年の薬物および有害物質の濫用と闘い、かつ子どもの過体重および肥満に対応するための努力を継続しかつ強化するとともに、条約の文脈における思春期の健康と発達に関する委員会の一般的意見4号(2003年)を考慮に入れながら、子どもおよび青少年の健康に緊密な注意を払うよう勧告する。委員会は、締約国が、薬物およびアルコールの濫用を防止するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。
有害な伝統的慣行
62.委員会は、有害な伝統的慣行の状況に関する意識啓発および監視を図り、かつ、これらの観光と闘うための努力において、これらの慣行が蔓延している国々と協力するために締約国が最近行なっている努力に留意する。にもかかわらず、委員会は、締約国で暮らしている数百人の女子が女性性器切除の対象とされており、かつ、このような慣行を禁止する法律が、ヘルスワーカーにさえ依然として知られないままであることを懸念するものである。委員会はまた、この問題に関して正確な情報が収集されていないことおよび有罪判決例が存在しないことにも懸念を表明する。
63.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 女性性器切除を禁じた法律を実施するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (b) ベルギーで、またはベルギーに暮らしている女子を対象として国外で実行されている女性性器切除の規模および性質に関する研究を実施するとともに、このような研究に、この分野で活動しているNGOの関与を得ること。
  • (c) このような慣行を防止するため、同研究の結果を考慮に入れながら広報プログラムおよび意識啓発プログラムを組織すること。
  • (d) 有害な伝統的慣行の撲滅に関する国際協力を強化すること。
生活水準
64.委員会は、締約国から提供された、子どもの貧困が国家的優先課題に位置づけられてきた旨の情報、ならびに、権利を基盤とする「貧困と闘うための国家行動計画」について連邦、言語共同体および広域行政圏のレベルで合意が成立し、かつ同計画に子どもの貧困に関する独立の章が設けられている旨の情報に留意する。しかしながら委員会は、子どもの16.9%以上が貧困線以下の生活を送っていること、ならびに、この割合が上昇しており、とくに外国出身の家族およびひとり親家族に影響を与えていることに、深刻な懸念を表明するものである。ホームレスの子どもに冬の間の宿泊施設を提供するために締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、ホームレスの女性および子ども(保護者のいない外国出身の子どもを含む)の人数が増えていると報告されていること、ならびに、このような女性および子どもの状況に対処するための統合的対応がとられていないことに、懸念を表明する。
65.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 来たるべき欧州連合議長国担当期間中に、子どもの貧困に優先課題として引き続き焦点を当てること。
  • (b) 人権に裏打ちされ、かつ科学的根拠に基づいた包括的な貧困戦略を策定する目的で、子どもに影響を及ぼす貧困の複雑な決定要因、そのような貧困の規模および影響についての詳細な分析を実施すること。
  • (c) とくにひとり親ならびに多子家族および(または)親が失業中の家族など不利な立場に置かれた家族を対象とした、家族給付および子ども手当の制度の強化に対して多面的アプローチをとること。
  • (d) ホームレスの女性および子どもならびに保護者のいない外国出身の子どもを、貧困戦略(これらの者に適切な住居およびその他のサービスを提供するために緊急のかつ持続可能な措置をとることを含む)の優先的受益者に含めること。

6.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条)

教育、職業訓練および職業指導
66.フラマン語共同体における教育の機会均等に関する政令の採択(2002年6月)および無償教育に関する2006年の通達を含め、教育への権利を確保するために締約国がとった措置には留意しながらも、委員会は、締約国の子どもの間に存在する教育への権利の享受における相当の不平等、および、とくに子どもがアクセスできる教育機会およびその学業成績に社会経済的地位が及ぼす影響について、懸念を表明する。委員会は、以下のことに特段の懸念をもって留意するものである。
  • (a) 無償教育が憲法で保障されているにもかかわらず授業料が課されていることにより、教育へのアクセスにおける差別が非常に助長されていること。
  • (b) 貧困家庭の子どもおよび外国人である子どもは特別教育プログラムに付託される可能性が高いこと。
  • (c) 学校中退が犯罪視される傾向にあり、学校に行っていない若者が司法機関に通報されていること。
  • (d) フラマン語共同体において、学校に通っていない子どもの就学手当を削減する動きが出ていること。
67.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 自国の憲法にしたがって授業料を廃止するために必要な措置をとること。
  • (b) すべての子どもがその社会的地位にかかわらず教育にアクセスできること、および、貧困家庭の子どもが今後特別教育プログラムに付託されないことを確保すること。
  • (c) 外国出身の子どもの教育の促進に特別な注意を払いながら、成績格差を削減するための努力を強化すること。
  • (d) 経済的および社会的にもっとも不利な立場に置かれた家族に悪影響を及ぼし、かつこのような家族による学校制度への関与の拡大に寄与する可能性が低い抑圧的措置をとることを控え、これに代えて、教員、親および子どもの関与を得ながら学校中退の根本的原因に対応する一貫した戦略を構築すること。
68.委員会は、学校でいじめ(とくに外国出身の子どものいじめ)が蔓延していることを懸念する。
69.委員会は、締約国が、学校におけるいじめおよび他のあらゆる形態の暴力と闘うための包括的な防止啓発プログラムを策定するよう、強く勧告する。
休息、余暇、レクリエーションおよび文化的活動
70.委員会は、休息、余暇ならびに文化的および芸術的活動への子どものアクセスを向上させるために地域レベルで進められている取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、とくに農村部および遠隔地において子どものための遊び場ならびに非公式な集まりおよびレクリエーションのための場所が不十分にしか利用できず、かつ、この点に関して自治体レベルで行なわれる決定への子どもの関与が限られていることに留意するものである。委員会は、もっとも不利な立場に置かれている家庭の子ども、難民受入れセンターの子ども、障害のある子どもおよび精神医学的ケアを受けている子どもがしばしばいかなる余暇活動へのアクセスも奪われているという懸念を表明する。委員会は、フランス語共同体で設けられていた、所得が不安定な家庭に手当を支給する「スポーツ小切手」が廃止されたことに、懸念とともに留意するものである。
71.委員会は、締約国に対し、すべての子どもの、休息および余暇に対する権利、子どもの年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション活動に従事する権利ならびに文化的生活および芸術に自由に参加する権利を保障するための努力を強化するとともに、この点に関するいかなる意思決定プロセスにも子どもの全面的関与を得るよう、促す。とくに委員会は、締約国に対し、難民受入れセンターの子ども、障害のある子どもおよび精神医学的ケアを受けている子どもが遊びおよび余暇活動を行なうための十分かつアクセス可能な遊び場空間を提供されることを確保するよう、求めるものである。委員会はさらに、締約国に対し、不利な立場に置かれている家庭に、その子どもが条約第31条にしたがって自己の権利を全面的に行使できるようにするために必要な資源を提供するよう求める。

7.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~36条、第37条(b)~(d)および第38~40条)

路上で物乞いをする子ども
72.委員会は、ブリュッセル控訴裁判所第14法廷が2010年5月26日に行なった、関与している成人が親であるかぎりにおいて物乞いのために子どもを使用することを禁止しない旨の決定(判決第747号)について懸念を表明する。
73.委員会は、締約国に対し、関与している成人が親であるか否かにかかわらず、路上での物乞いのために子どもを使用することを明示的に禁止するよう求める。
保護者のいない子ども
74.委員会は、締約国における現在の受け入れ危機に対処するために行なわれている取り組み(とくに、単独渡航の未成年者に関する部門横断型タスクフォースが設置されたこと、ならびに、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの庇護希望者を受け入れるセンターが2か所で開設されたこと)を歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どものうち、13歳以上であって庇護申請を行なっていない子どもが、受け入れセンターへのアクセスを拒否されて路上に追いやられていること。
  • (b) 受け入れセンターに利用可能な空きがないため、保護者のいない子どもが成人向けの庇護センターに収容されることがあり、かつ、場合によってはいかなるタイプの援助からも排除されることがあること。
  • (c) 2004年5月の後見法において、保護者のいないヨーロッパ出身の子どもが、後見人による援助を受けることから排除されていること。
  • (d) 時間および費用がかかる手続によって家族再統合が阻害されていること。
  • (e) 無国籍と認定された子どもに、締約国に在留する権利が認められていないこと。
75.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 庇護を申請しているか否かにかかわらず、保護者のいないすべての子どもに対して特別な保護および援助を確保する義務を遵守すること。
  • (b) 保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもであるすべての庇護希望者に対し、その国籍にかかわらず、庇護手続の期間中、後見人が任命されることを保障すること。
  • (c) 条約第10条にしたがい、かつ子どもの最善の利益を正当に考慮しながら、家族再統合への対応が積極的、人道的かつ迅速な方法で行なわれることを確保すること。
  • (d) 新たな無国籍認定手続に関する2008年5月の政府の宣言を実施するとともに、無国籍の認定を受けた者――子どもを含む――に対する在留許可の付与および無国籍の削減に関する1961年の条約の批准を検討すること。
庇護を希望している家族の子ども
76.委員会は、2008年10月1日以降は子どものいる家族を閉鎖型センターにもう収容しない旨の移住政策・庇護大臣の決定にもかかわらず、子どもにふさわしくない施設において不安定な条件下でいまなお収容されたままの子どもおよびその親がいることに懸念を表明する。委員会はまた、ソーシャルワーカー、非政府組織および面会者がこれらの施設にアクセスできないことも懸念するものである。委員会はさらに、庇護申請を棄却された家族が施設から出なければならず、しばしば路上へと追いやられていることを懸念する。
77.委員会は、締約国に対し、閉鎖型施設への子どもの収容を取りやめ、庇護を希望している家族のために収容に代わる措置を創設し、かつ、庇護申請を棄却されて路上で生活している家族を対象として一時的居住の解決策を緊急に見出すために必要な措置をとるよう、促す。
武力紛争における子ども
78.委員会は、上院が、武力紛争における子どもに関する詳細な決議を2006年4月に採択したことを歓迎する。しかしながら委員会は、締約国が、兵士の徴集について定めた法律(とくに戦時において、対象者が17歳に達する年の1月から民兵として採用することができるとするもの)の廃止のための措置をとっていないことを遺憾に思うものである。
79.委員会は、締約国が、前掲決議を政府の政策に統合することによってその全面的実施を進めるよう勧告する。委員会はまた、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく締約国の報告書の審査後に行なった、締約国が、戦時およびあらゆる態様の緊急事態下において18歳未満の者の軍隊への採用を認めたすべての法律を廃止するべきである旨の勧告(CRC/C/OPAC/BEL/CO/1、パラ11)もあらためて繰り返すものである。
売買、取引および誘拐
80.委員会は、強瀬労働および商業的性的搾取を目的とする子どもの人身取引と闘うために締約国が行なっている相当の努力(とくに、2008年7月11日に「人身取引・人の密輸対策国家行動計画」が採択されたこと、および、国際平和維持活動に派遣される軍隊を対象として人身取引対策に特化した研修が実施されていること)を歓迎する。しかしながら委員会は、人身取引の被害を受けた子どもが締約国で十分に保護されていないことに懸念を表明するものである。委員会は、子どもに在留許可が付与されるのは人身取引犯の捜査に協力する場合に限られていることに、特段の懸念とともに留意する。委員会はまた、人身取引の被害を受けた子どものシェルターへの収容または保護がしばしば十分でないために、これらの子どもが受け入れセンターから失踪し、かつ(または)しばしば路上へと追いやられていることも、深刻に懸念するものである。
81.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 問題の規模を評価すること等を通じ、性的目的の子どもの人身取引の発生を減少させかつ防止するための努力を強化すること。
  • (b) 人身取引の被害を受けたすべての子どもに保護を提供する義務を遵守し、かつ、これらの子どもに対し、その国籍および法的手続に協力する意思または能力の有無にかかわらず、在留許可を付与すること。
  • (c) 人身取引の被害を受けた子どもに援助を提供する入所施設を増設するとともに、社会サービスによる養護の対象とされた子どもが十分な援助を受け、かつ人身取引または再度の人身取引のおそれにさらされないことを確保するため、受け入れセンターおよびシェルターで被害を受けた子どもに対応する専門家の、子どもの権利に関する知識およびスキルを増進させること。
  • (d) それぞれ1996年、2001年および2008年に開催された第1回、第2回および第3回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議の成果文書、および、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)を考慮に入れること。
少年司法の運営
82.2006年5月15日および6月13日の法律によって少年司法制度に加えられた修正には留意しながらも、委員会は、条約で唱道されている、少年犯罪の問題への対応に関するホリスティックなアプローチを防止、手続および制裁との関連も含めて採用するべきである旨の以前の勧告が、締約国によって十分に考慮されてこなかったことを懸念する。委員会は、以下のことについて特段の懸念を表明するものである。
  • (a) 罪を犯した16~18歳の子どもが、いまなお成人裁判所における審理の対象とされ、かつ、刑を言い渡された場合に成人用の刑務所に収監される可能性があること。
  • (b) 子どもの弁護人選任権が、予審判事による尋問を受ける際に常に尊重されているわけではなく、かつ警察による取り調べの際には認められていないこと。
  • (c) 子どもが自ら法的手続きを開始できないこと。
  • (d) 拘禁は最後の手段として用いられるべきであるところ、締約国が、子どもを対象とする閉鎖型施設の収容定員を倍増させたことに表れているように、厳格な拘禁方針をますます適用するようになっていること。
  • (e) 閉鎖型施設と主要都市との間に距離があるため、家族が、拘禁された子どもとの定期的接触を維持するうえで困難に遭遇していること。
  • (f) 未成年者の一時的収容のための連邦閉鎖型施設(エーフェルベルグ)で独居拘禁がいまなお科されていること。
  • (g) 子どもに対し、反社会的行動を理由とする自治体の行政罰が、少年司法制度の枠外で科される可能性があること。
83.委員会は、締約国に対し、少年司法関連の基準、とくに条約第37条(b)、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国際連合最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国際連合指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則が全面的に実施されることを確保するよう促す。とくに委員会は、締約国に対し、少年司法の運営に関する委員会の一般的意見10号(2007年)を考慮に入れるよう促すものである。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 子どもが成人として審理され、かつ成人とともに拘禁される可能性を解消する目的で法律を見直すとともに、成人刑務所から子どもを直ちに退所させること。
  • (b) 手続のあらゆる段階(警察官による取り調べ中を含む)で、子どもが弁護士および信頼する大人の立会いを得ることを確保すること。
  • (c) 子どもが少年法弁護士の援助を得て法的手続を開始できるようにするための法的根拠を設けること。
  • (d) 子どもの拘禁が最後の手段として、かつもっとも短い期間でのみ行なわれることを確保するため、罪を犯した少年に対する代替的制裁についての包括的政策を、優先的課題として策定すること。
  • (e) 自由を奪われた子どもが居住地の近くの施設に収容されることを確保するための方法を模索するとともに、これらのすべての施設に公共交通機関でアクセスできることを確保すること。
  • (f) 言い渡された刑が定期的に再審査されることを確保すること。
  • (g) 子どもが今後は事実上の隔離の対象とされないことを確保すること。
  • (h) 行政罰と条約との両立可能性について評価を行なうこと。

8.国際人権条約の批准

84. 委員会は、締約国が、まだ加盟国となっていない国際連合の中核的人権条約およびその選択議定書、とくにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約、拷問ならびに〔および〕他の残虐な、非人道的なおよび〔または〕品位を傷つける取扱いおよび刑罰に関する条約、および、経済的、社会的および文化的権利に関する〔国際〕規約の選択議定書を批准するよう勧告する。

9.フォローアップおよび普及

フォローアップ
85.委員会は、とくにこれらの勧告を内閣、議会(上院および代議院)ならびに該当するときは言語共同体および広域行政圏レベルの政府および評議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
86.委員会はさらに、条約、その選択議定書ならびにそれらの実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回・第4回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、公衆一般、市民社会、若者グループ、メディアその他の専門家グループおよび子どもが同国のすべての公用語で広く入手できるようにすることを勧告する。

10.次回報告書

87.委員会が採択し、かつその報告書(CRC/C/114およびCRC/C/124)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、また締約国の第5回定期報告書の提出期限が第3回・第4回定期報告書の検討後4年を待たずに到来することに留意し、委員会は、締約国に対し、第5回・第6回統合定期報告書を2017年7月14日(すなわち、条約で定められた第6回定期報告書の提出期限の18か月前)〔まで〕に提出するよう慫慂する。この報告書は120ページを超えるべきではなく(CRC/C/118参照)、かつ、この総括所見のフォローアップ、ならびに、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の実施に関する情報を記載したものであるべきである。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待する。
88.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出することも慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2017年3月31日)。