総括所見:ベルギー(OPAC・2006年)


CRC/C/OPAC/BEL/CO/1(2006年6月9日)/第42会期
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2006年5月15日に開かれた第1123回会合(CRC/C/SR.1082参照)において、ベルギーの第1回報告書(CRC/C/OPAC/BEL/1)を、締約国の代表団の出席を得ることなく(締約国は、第39会期に採択された委員会の決定第8号にしたがい、報告書の技術的審査を選択した)検討した。委員会は、2006年6月2日に開かれた第1157回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、選択議定書で保障されている権利に関してベルギーで適用される立法上、行政上、司法上その他の措置に関する詳細な情報を提供してくれた、締約国の第1回報告書の提出および委員会の事前質問事項(CRC/C/OPAC/BEL/Q/1)に対する文書回答の提出を歓迎する。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの権利条約に基づく締約国の第2回定期報告書に関して委員会が2002年6月7日に採択した委員会の従前の総括所見(CRC/C/15/Add.178)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

B.積極的側面

4.委員会は、ベルギー軍への志願入隊に関する最低年齢が18歳を下回ることはなく、かつ、ベルギー法上、18歳未満のいかなる者も、戦時および平時において、あらゆる平和維持活動またはあらゆる種類の武装作戦行動への参加を絶対的に禁じられている旨の、選択議定書の批准時に締約国が行なった宣言を歓迎する。
5.委員会は、2003年の刑法改正(第136条quater第1項第7号)により、15歳未満の子どもを軍隊または武装集団に徴募することおよび15歳未満の子どもを敵対行為に積極的に関与させることが戦争犯罪とされたことを歓迎する。
6.委員会は、締約国の開発協力政策において、武力紛争への子どもの関与の防止が優先課題として位置づけられていることに、評価の意とともに留意する。
7.委員会は、欧州連合の総務・対外関係理事会が2003年12月に採択した子どもと武力紛争に関する指針の実施に対して締約国が貢献していることにも、評価の意とともに留意する。

C.主要な懸念領域および勧告

1.一般的実施措置

国家的行動計画
8.委員会は、2002年5月に開催された子どもに関する特別会期で総会により採択された成果文書「子どもにふさわしい世界」のフォローアップとして、2005年6月24日に子どものための国家行動計画が採択されたことを歓迎するとともに、武力紛争に関与させられる子どもの問題が同行動計画に含まれていること(第7章)に留意する。
9.委員会は、締約国が、関連するパートナー(市民社会を含む)との協議および協力に基づいて子どものための国家行動計画を実施するための具体的措置をとるとともに、同計画の実施のために具体的な予算配分を行ない、かつ十分なフォローアップ機構を設けるよう勧告する。
立法
10.締約国において徴集が1992年以降停止されていることには留意しながらも、委員会は、兵士の徴集について定めた、まだ廃止されていない法律で、とくに戦時において、対象者が17歳に達する年の1月から民兵として採用することが認められていることを懸念する。
11.委員会は、締約国が、戦時における18歳未満の者の軍隊への採用を認めたすべての法律を廃止するよう勧告する。
12.委員会は、2003年8月5日の法律により、国際人道法の重大な違反の事件に関する域外裁判権が限定されていることを遺憾に思うものの、15歳に満たないときに国の軍隊に徴募された子どもまたは敵対行為への積極的参加のために使用された子どもが、ベルギーと当該犯罪との間に結びつきがある場合にはベルギーの裁判所に直接アクセスできることを歓迎する。しかしながら委員会は、これらの規定で、軍隊または子どもを敵対行為に関与させる集団へのその他の形態の徴募〔から〕の保護について定められていないことを懸念するものである。
13.軍隊または武装集団への子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置を強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの徴募および敵対行為への関与に関する選択議定書の規定に違反することを、法律で明示的に禁止すること。
  • (b) これらの犯罪について、当該犯罪が締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合の域外裁判権を設定すること。
  • (c) 軍の要員は、選択議定書に掲げられた権利を侵害するいかなる行為も、その旨のいかなる軍令の存在にも関わらず行なうべきではない旨を、法律で規定すること。
普及および研修
14.戦争が子どもに与える影響についてユニセフ・ベルギー国内委員会が提供しているユニークなテレビ広告、ならびに、武力紛争に関与させられた子どもの地位および権利についてベルギー赤十字社が実施している研修活動およびキャンペーンには評価の意とともに留意しながらも、委員会は、選択議定書に関して締約国が行なっている普及活動および研修活動が、全体として軍隊および軍事訓練に限定されていることを懸念する。
15.委員会は、締約国が、軍隊を対象とした選択議定書に関する研修活動を引き続き実施するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもとともにおよび子どものために働くすべての関連の専門家集団(教員、武力紛争の影響を受けている国出身の子どもの庇護希望者および移住者のためにおよびこれらの子どものために活動している公的機関、裁判官ならびに弁護士など)を対象として、選択議定書の規定に関する、あらゆる国内言語による体系的な意識啓発プログラム、教育プログラムおよび研修プログラムを発展させることも勧告するものである。

2.武装解除、動員解除および社会的再統合に関してとられた措置

社会的再統合の措置
16.委員会は、締約国が、紛争地域からやってくる子どもの庇護希望者および移住者の目的地国であることに留意する。これらの子どもの多くがトラウマ性の経験の被害者である可能性があることに照らし、委員会は、ベルギー赤十字社が、連邦庇護希望者受け入れ庁(Fedasil)と連携しながら、武力紛争から逃れてきた子どもの庇護希望者に心理的および社会的援助を提供していることに、評価の意とともに留意するものである。
17.委員会は、元子ども兵士をとくに対象とする統合プログラムまたは統合活動についての情報がないこと、および、武力紛争に関与させられた18歳未満の庇護希望者について体系的なデータ収集が行なわれていないことを遺憾に思う。保護者のいない未成年の庇護希望者の事情聴取を担当するボランティアが、国外避難中の子どもが経験するトラウマおよび子どもの事情聴取のための特別な技法に関して随時開催される講座に出席していることには留意しながらも、委員会は、武力紛争に関与させられ、かつ即時のケアおよび援助を必要としている子どもを特定するために締約国が配分している資源について懸念を覚えるものである。
18.委員会は、締約国が、以下の努力を強化することにより、ベルギーにいる子どもの庇護希望者、難民および移住者であって武力紛争に関与させられまたは武力紛争の影響を受けた可能性がある子どもに対して特段の注意を払うよう勧告する。
  • (a) このような子どもを可能なもっとも早い段階で特定すること。
  • (b) これらの子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための、文化的配慮のなされた学際的援助を提供すること。
  • (c) 自国の管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移住者であって母国における敵対行為の被害者である可能性がある子どもについて、体系的なデータ収集を行なうこと。
  • (d) 子どもの庇護希望者および移住者であって母国における敵対行為の被害者である可能性がある子どものためにおよびこのような子どもとともに活動する公的機関を対象として、定期的な研修を実施すること。
19.委員会はまた、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての委員会の一般的意見6号(CRC/GC/2005/6)に留意することも勧告する。委員会は、締約国が、社会的再統合プログラムに関する情報を次回の定期報告書で提供するよう要請するものである。

3.国際的な援助および協力

被害者の保護
20.たとえば「子ども兵士が正規軍と連携していることが立証された」国への軍需資材の貿易を(小型武器貿易に関する法律の2003年改正に基づいて)禁ずることにより、子ども兵士が使用可能な軽兵器を国際的レベルで禁止することに向けて締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、この規定が16歳未満の子ども兵士にしか適用されないことを懸念する。小型武器および軽兵器の国際的貿易に関して、委員会は、締約国でこれらの兵器の製造および輸出が行なわれていることに留意するものである。
21.委員会は、18歳に達していない者が軍隊のまたは国の軍隊とは区別される武装集団の構成員として敵対行為に直接参加している国との軍需物資貿易を取りやめる目的で、締約国が、小型武器貿易に関する国内法を見直すよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、小型武器貿易に関する改正法を実施した結果として停止された販売件数を次回の報告書で明らかにするよう、慫慂するものである。
財政援助その他の援助
22.委員会は、武力紛争における子どもの問題への対処に関して締約国が多国間レベルで行なっている協力(国際連合専門機関への財政支援を含む)に、評価の意とともに留意する。委員会はまた、この分野における締約国の二国間活動も心強く思うものである。
23.委員会は、締約国が、とくに防止のための活動に焦点を当てながら、武力紛争への子どもの関与の問題に対処するための二国間および多国間の活動を継続しかつ強化するよう勧告する。

4.フォローアップおよび普及

フォローアップ
24.委員会は、とくにこれらの勧告を内閣、議会(上院および代議院)ならびに該当するときは州の政府および議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
25.委員会は、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じ、締約国で話されているすべての言語で子どもおよび親が入手できるようにすることを勧告する。委員会はまた、締約国が、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、選択議定書を公衆一般に広く周知することも勧告するものである。

D.次回報告書

26.選択議定書第8条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第3回・第4回統合定期報告書(提出期限・2007年7月15日)に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2017年3月31日)。