総括所見:ポーランド(第3~4回・2015年)


CRC/C/POL/CO/3-4(2015年10月30日)/第70会期
原文:英語(平野裕二仮訳)

I.序

1.委員会は、2015年9月18日に開かれた第2033回および第2034回会合(CRC/C/SR.2033 and 2034参照) においてポーランドの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/POL/3-4)を検討し、2015年10月2日に開かれた第2052回会合(CRC/C/SR.2052参照)において以下の総括所見を採択した。
2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解の向上を可能にしてくれた、締約国の第3回・第4回統合定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/POL/Q/3-4/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、締約国の部門横断型の代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、以下の条約の批准またはこれへの加入を歓迎する。
4.委員会はまた、以下の立法措置がとられたことにも評価の意とともに留意する。
  • (a) 家族支援および里親養育制度に関する法律(2011年)。
  • (b) 外国人法(2014年)。
  • (c) ポーランド共和国防衛のための一般的義務に関する法律(2009年改正)。
5.委員会はまた、以下の政策措置も歓迎する。
  • (a) ドメスティックバイオレンス対策国家計画(2014~2020年)。
  • (b) 人身取引対策国家行動計画(2013~2015年)。

III.主要な懸念領域および勧告

A.実施に関する一般的措置(第4条、第42条および第44条(6))

留保
6.委員会は、締約国が条約第7条および第38条に付した留保が2013年3月4日に撤回されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、条約第12~16条および第24条に関する宣言を締約国がいまなお撤回していないことを、依然として懸念するものである。
7.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.194、パラ10)を想起するとともに、世界人権会議(1993年6月)で採択されたウィーン宣言および行動計画に照らして、締約国に対し、条約第12~16条および第24条に関する解釈宣言の撤回を検討するよう奨励する。
包括的な政策および戦略
8.委員会は、人的資本開発戦略(2020年)で、子どもに関連するいくつかの問題が取り上げられていることに留意する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 同戦略でとられている措置が、条約が対象とするすべての分野を包含しているわけではないこと。
  • (b) 条約に全面的に合致しているわけではない措置(3歳未満児を対象とする子どものケアのための施設の開発を含む)があること。
9.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約で対象とされているすべての分野を包含する子どもについての包括的政策を策定するとともに、当該政策をもとに、その適用のための適切な要素をともなった戦略を策定し、かつ当該戦略が十分な人的資源、技術的資源および財源によって裏づけられることを確保すること。
  • (b) このような政策および戦略が条約に全面的に合致することを確保すること。
  • (c) このような政策および戦略を策定し、かつその実施の有効性を定期的に評価するための、あらゆる関係者(子どもたちを含む)との協議を確保すること。
調整
10.委員会は、条約に関連する国内の法律、政策およびプログラムの一貫性を監督する任務が、2014年、労働社会政策省に委ねられたことに留意する。しかしながら委員会は、条約の効果的実施を確保するための、省庁横断型のおよび国レベル・地方レベル間の調整機構が設けられていないことを懸念するものである。
11.委員会は、締約国が、さまざまな部門を横断して、国、県および地方のレベルで条約の実施に関連するすべての活動を調整するための明確な任務および十分な権限を有する適切な制度的機構を、高い省庁間レベルに設置するよう勧告する。締約国は、当該調整機構に対し、その効果的活動のために必要な人的資源、技術的資源および財源が提供されることを確保するべきである。
資源配分
12.委員会は、子どものための公共支出の十分性および有効性の評価を可能とするための、特定の省庁による子どもについての予算配分額および支出額を特定するシステムが存在しないことを懸念する。
13.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの権利の視点を含んだ予算編成手続を確立するとともに、関連部門および関連機関における子どものための明確な配分額ならびに具体的指標および追跡システムを定めること。
  • (b) 条約の実施に割り当てられる資源の配分の十分性、効率性および公平性を監視しかつ評価する機構を設置すること。
  • (c) 公的対話(とくに子どもたちとの対話)および公的機関(地方レベルの公的機関を含む)に説明責任を適正に履行させることを通じて、透明なかつ参加型の予算編成を確保すること。
データ収集
14.締約国のデータ収集システムには評価の意とともに留意しながらも、委員会は、全国的データ収集システムで条約のすべての分野が包含されているわけではなく、かつ、5歳未満の子どもおよび司法制度における子ども(子どもの被害者および証人を含む)についての細分化されたデータが乏しいことを依然として懸念する。
15. 実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) すべての子どもの状況に関する分析を容易にする目的で、データ収集システムを改善して条約のあらゆる分野およびあらゆる年齢の子どもが対象とされるようにし、かつ当該データの細分化を図ること。
  • (b) 収集されたデータが関連政府機関間でおよび一般公衆との間で共有されかつ分析されることをさらに推進するとともに、条約の効果的実施のためのデータの活用を促進すること。

B.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
16.委員会は、差別と闘うために締約国が行なっている努力を評価する。しかしながら委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) あらゆる理由に基づく、生活のあらゆる側面における、かつあらゆる形態(複合的形態の差別を含む)の差別の禁止に関する包括的法律が存在しないこと。
  • (b) 家庭および社会における女性と男性の役割および責任についての、ジェンダーに基づくステレオタイプが根強く残っていること。
  • (c) ロマ系、アラブ系、アジア系およびアフリカ系の集団、イスラム教徒、ユダヤ人、国民でない者(難民、庇護希望者および移住者を含む)、障害のある者ならびにレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダーの子どもを含む、民族的、言語的その他のマイノリティ集団に属する子どもが差別に直面しており、かつヘイトクライムの標的となる場合もあること。
  • (d) ヘイトスピーチを含む人種的暴力および虐待の発生件数が、排外主義的行為および同性愛嫌悪行為と同様に増えていること。
17.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 平等処遇法を改正することにより、あらゆる分野の、あらゆる理由に基づく差別の問題(ジェンダー、性的指向、障害、宗教または年齢に基づくもの、ならびに、教育、保健ケア、社会的保護、住居ならびに私生活および家族生活の分野におけるものを含む)が同法の対象とされ、かつ、複合的な形態の差別の定義が定められるようにすること。
  • (b) 刑法を改正することにより、人種主義、排外主義および同性愛嫌悪を動機とするヘイトスピーチその他のヘイトクライムを具体的な処罰対象犯罪として定めるとともに、これらの事件が徹底した捜査の対象とされることおよび加害者が裁判にかけられることを確保すること。
  • (c) 一般公衆ならびに国および地方の公的機関の間に存在するステレオタイプ、不寛容および差別を防止しかつ解消するための措置を再検討しかつ強化すること。

C.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条)

国籍
18.委員会は、2014年国勢調査によれば、2000人の無国籍者(子どもを含む)および8000人以上の国籍不定の外国人(子どもを含む)が締約国に滞在しているとされていることを懸念する。
19.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 無国籍の子どもにポーランド国籍を付与するためにあらゆる必要な措置を遅滞なくとること。
  • (b) 自国の領域内に滞在している国籍不定の子どもの問題に対処するため適切な措置をとること。
  • (c) 無国籍者の地位に関する条約(1954年)および無国籍の削減に関する条約(1961年)の批准を検討すること。
アイデンティティに対する権利
20.委員会は、締約国で、匿名での子どもの遺棄を可能にする赤ちゃんボックスの規制が行なわれておらず、かつその数が増えていることを深く懸念する。これは、とくに条約第6~9条および第19条の違反である。
21.委員会は、締約国に対し、赤ちゃんボックスの利用を禁止し、すでに存在する代替的選択肢の強化および促進を図り、かつ、最後の手段として、病院で秘密出産をできるようにすることの導入を検討するよう勧告する。
思想、良心および宗教の自由
22.委員会は、宗教的マイノリティに属する子どもが、公立学校で自己の宗教に関する授業を受けられず、代わりにカトリックの授業に参加しなければならないことがあることを懸念する。委員会はまた、イスラム教の授業で取得した評点が常に成績証明書に記載されるわけではないことも懸念するものである。
23.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 宗教的マイノリティに属する子どもが、公立学校で行なわれる自己の宗派ではない宗教の授業への参加を強要されないことを確保すること。
  • (b) 教育制度法(1991年)に基づいて定められているとおり、自己の宗派に合致する授業の設置を要請できることおよびそのための手続について、親および生徒の意識啓発を図ること。
  • (c) カトリック以外の宗教の授業で取得した評点が成績証明書に記載されることを確保すること。

D.子どもに対する暴力(第19条、第24条(3)、第28条(2)、第34条、第37条(a)および第39条)

あらゆる形態の暴力からの子どもの保護
24.委員会は、あらゆる場面における体罰の全面的禁止を立法化したことについて締約国を称賛する。しかしながら、委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 近年、警察の緊急青年保護センター、青年シェルターまたは少年院で行なわれる子どもの非人道的なまたは品位を傷つける取扱いについて正式な告発が行なわれまたは有罪判決が言い渡されたことはない一方で、これらの施設における若干の不当な取扱いが明らかになっていること(移行施設における長期間の収容、規則を遵守せずに行なわれる処罰、通信の制限ならびに面会に関する苦情および面会制限を含む)。
  • (b) 法律で禁止されているにもかかわらず、学校、青年センターおよび代替的養護施設で体罰がいまなお用いられていること。
25.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)およびあらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての委員会の一般的意見13号(2011年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 加害者が処罰されないことがないようにするため、子どもの不当な取扱いに関するすべての訴えについて十全な調査を行ない、かつ、そのような行為に対して司法手続を通じた適切な対応がとられることを確保すること。
  • (b) 現在設けられている苦情申立て機構を見直すとともに、自由を奪われたすべての子ども(刑事手続または矯正手続の過程で自由を奪われた子どもを含む)が、自己の自由の?奪、拘禁または収容の環境および処遇に関連する苦情を申し立てるための安全なかつ子どもにやさしい機構にアクセスできることを確保すること。
  • (c) 不当な取扱いの被害を受けた子どもに対し、ケアおよびリハビリテーションのためのプログラムが提供されることを確保すること。
  • (d) 体罰の禁止があらゆる場面で十分に監視されかつ執行されることを確保すること。
  • (e) 積極的かつ代替的な形態の規律の維持および子どもの権利の尊重を促進し、かつ体罰が子どもに与える有害な影響に関する意識を高める目的で、教員および子どものケアのための施設の職員を対象とする能力構築プログラムを強化すること。
  • (f) この点に関して子どもオンブズマンおよび人権擁護官との連携をさらに強化すること。
性的虐待
26.委員会は、聖職者による子どもの性的虐待の事件が真剣に受けとめられ、かつ訴追の対象とされていることに、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、多くの事件がまだ表面化していない可能性があり、かつこのような虐待がいまなお継続している可能性もあることを懸念するものである。
27.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの性的虐待のあらゆる事件(カトリック聖職者および他の宗教の代表者によって行なわれたとされるものを含む)が捜査および訴追の対象とされることを確保するための努力を継続すること。
  • (b) 被害者が十分な補償を受け、かつリハビリテーションのための支援を受けられることを確保すること。
  • (c) 子どもその他の者がこのような虐待を通報するための、子どもにやさしい経路を確立すること。
  • (d) 子どもの虐待を理由として有罪判決を受けた者が専門家として子どもに接することがないようにすることにより、子どもをさらなる虐待から保護すること。
  • (e) このような虐待の再発を防止するために必要な政策および措置を整備すること。
有害慣行
28.委員会は、締約国が、移住の状況にある女子ならびに女子の難民および庇護希望者の強制婚の防止に関して課題に直面していることに、懸念とともに留意する。
29.女性差別撤廃委員会と合同で採択した有害慣行に関する一般的意見18号(2014年)に照らし、委員会は、締約国が、移住者、難民および庇護希望者の間で強制婚が行なわれたすべての事案を追跡するための制度を確立し、加害者を裁判にかける目的でこのような事案の実効的捜査を行ない、かつ、被害者に対してシェルターならびにリハビリテーションおよびカウンセリングのための適切なサービスを提供するよう、勧告する。

E.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条(1)~(2)、第20条、第21条、第25条および第27条(4))

家庭環境
30.委員会は、両親が仕事を見つけるために海外に出ている間、子どもが長期にわたって親のケアを受けられないままでいることを懸念する。
31.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 両親が国外に出稼ぎに出ている間に締約国に残されている子どもについての全国的調査を実施するとともに、その結果を活用し、政策およびプログラムの指針とする目的でこのような層の人口動態的詳細を明らかにすること。
  • (b) 親が子どもとともにいられるよう、ポーランドにおいて仕事を見つけるのに役立つ支援を提供するための包括的戦略を採択すること。
家庭環境を奪われた子ども
32.委員会は、家族支援および里親養育制度に関する法律(2011年)において、家庭環境を奪われた子どもの脱施設化が促進されていることに留意する。しかしながら、委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 2014年に、10歳未満の多数の子ども(3歳未満の子ども800人を含む)が入所養護に措置されたこと。
  • (b) 障害のある子どもが、入所型養護施設の子どもの約半数を占めていること。
  • (c) 家族支援および里親養育制度に関する法律で、1歳未満児を対象とする養子縁組待機センターを発展させることがいまなお定められており、かつ、地域養護処遇施設で、家庭環境を奪われた子どもおよび特別な健康上のニーズを有する子どもを最大45名収容できるとされていること。
  • (d) 家庭を基盤とする里親養育の発展に関わる進展が、とくに地区行政機関がそのための取り組みを十分熱心に行なっていないために、相対的に遅れていること。
  • (e) 家庭裁判所裁判官が、実務上、出身家族が子どもを養育し続けられるようにするための支援を優先させ、または家庭を基盤とする養護への措置を選択するのではなく、施設養護への子どもの措置を選択する傾向にあること。
  • (f) 出身家族との接触の制限が、里親養育に委託された子どもに対する処罰の一形態として用いられていること。
  • (g) 子どもが養護の対象とされた後、その親に対し、養育能力を高めるための適切な支援が提供されていないこと。
  • (h) 養護を離脱する子どもおよび若者(障害のある子どもおよび若者を含む)の社会的再統合のための支援が不十分であること、および、十分な住居が存在しないことからこのような子どもおよび若者がホームレスになり、または入所施設に恒久的に措置されたままとなっていること。
33.子どもの代替的養護に関する指針(総会決議64/142付属文書)に対して締約国の注意を喚起しつつ、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 3歳未満児(障害のある子どもを含む)の入所型養護施設への措置を緊急に減らし、かつ家庭を基盤とする養護への措置を速やかに進めること。
  • (b) 子どものいる家族への支援および援助の制度をさらに発展させることにより、代替的養護(障害のある子どもを対象とするものを含む)の必要性の防止に努めること。
  • (c) 1歳未満児を対象とする養子縁組待機センターを廃止し、かつ大規模な入所型養護施設を回避する目的で、家族支援および里親養育制度に関する法律ならびに人的資本開発戦略を見直し、かつその改正を検討すること。
  • (d) 地区行政機関をより効果的に関与させることにより、家庭を基盤とする養護を発展させるプロセスを加速させること。
  • (e) 子どもが代替的養護に措置されるべきか否かを、その子どもの意見および最善の利益を考慮しながら決定するための十分な法的保障措置および明確な基準を確保するとともに、家庭裁判所裁判官の意識啓発を図ることによって当該基準を執行すること。
  • (f) 子どもとその家族との定期的かつ適切な接触の支援およびモニタリング(ただし、当該接触が子どもの最善の利益に一致することを条件とする)を行なうとともに、とくに、処罰の一形態としてのこのような接触の制限を禁止すること。
  • (g) 子どもが、その最善の利益にかなう場合には自己の家族のもとに復帰できるよう、子どもが養護の対象とされた家族に支援および援助を提供すること。
  • (h) 養護を離脱する子どもおよび若者(障害のある子どもおよび若者を含む)が社会に再統合できるよう、十分な住居、法律サービス、保健サービスおよび社会サービスならびに教育および職業訓練の機会へのアクセスを保障することにより、これらの子どもおよび若者への支援を強化すること。

F.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条(3)、第23条、第24条、第26条、第27条(1)~(3)および第33条)

障害のある子ども
34.委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 障害のある子どもの権利に関する法律および政策の実施の有効性に関するデータ、調査研究および分析がほとんど存在しないこと。
  • (b) 脱施設化に関わって進展が見られたにもかかわらず、とくに社会的援助制度が断片化していることを理由として、障害のある子どもの多くがいまなお施設で生活していること。社会的援助制度は、家族が子どもを家庭で養育し続けることを十分に奨励しかつ支援しておらず、また子どものライフコース全体を通じて子どもの自律および公的生活への主体的参加を支援するのに十分な包括性も備えていない。
  • (c) 障害のある子どもがインクルーシブ教育を受けない旨の決定を親が行なえることから、障害のある子どものかなりの割合がいまなお特別学校に通っていること。
  • (d) 普通学校で、障害のある子どものためのものと指定された資金が他の目的で使用される場合があり、これらの学校における教育のインクルージョン度が低下していること。
35.障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 障害のある子どもに関するデータ収集を強化するとともに、条約ならびに現行の法律および政策の実施の有効性に関する研究および分析を実施すること。
  • (b) 障害のある子どもおよびその家族のための社会的援助制度を改革することにより、その一貫性および調整を向上させ、かつ不必要な施設措置を回避すること。
  • (c) 障害のあるすべての子どもに対し、普通学校におけるインクルーシブ教育への権利を保障すること。
  • (d) 障害のある1人ひとりの子どもに対して合理的な配慮および支援が提供されることを確保するため、障害のある子ども向けの教育補助金の運用を監視するための制度を地方レベルで発展させること。
  • (e) 余暇活動、コミュニティを基盤とするケアおよび合理的配慮のなされた社会住宅の供給など、公的生活のあらゆる分野における障害のある子ども(知的障害および心理社会的障害のある子どもを含む)の全面的インクルージョンを促進するための措置を優先的にとること。
健康および保健サービス
36.委員会は、子どもの健康の分野で行なわれてきた努力について締約国を称賛するものの、以下のことを懸念する。
  • (a) 締約国で、現行の保健関連法制の一貫性および調整を確保する、公衆衛生に関する枠組み法が定められていないこと。
  • (b) 抑うつおよび摂食障害を有する子どもの人数が増えており、かつ子どもによる自殺未遂の件数が増加していること。
  • (c) 歯の問題が、子どもの間でもっとも広がっている健康問題になっていること。
  • (d) 子どもの過体重および低栄養の双方が同時に増加しているように思われること。
  • (e) 良質なプライマリーヘルスケアおよび専門的保健ケア(小児科ケアならびに子どもを対象とする歯科保健ケアおよび精神保健ケアを含む)の利用可能性が締約国において全般的に低く、かつ一部の件ではさらに低くなっていること、ならびに、締約国のすべての子どもにとってそのような保健ケアの費用が負担可能な水準になっているわけではないこと。
  • (f) 障害のある子どもによる保健サービスおよびリハビリテーションサービスへのアクセスが、保健サービス施設に物理的障壁があること、および、利用可能なサービスが欠如しているために長期間待たなければ治療を受けられないことを理由として、とりわけ阻害されていること。
  • (g) 締約国の法律で、ポーランド国民については医療ケアを無償とするとされているものの、貧困下で暮らしているロマの子どもについてはこの規定が適用されないため、これらの子どもが時宜を得た良質な医療ケアにアクセスしにくくなっていること。
37.委員会は、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 健康に対する子どもの権利を考慮しながら、公衆衛生に関する枠組み法および包括的政策を策定することを検討すること。
  • (b) 子どもの精神保健上の問題について子ども、親および教員のさらなる意識啓発を進め、学校およびケア施設における予防活動を継続しかつ強化し、容易にアクセスできるサービス(学校看護師および学校カウンセラーなど)の利用可能性を高め、かつ、児童心理学者および児童精神科医をさらに増員すること。
  • (c) 歯科ケアの分野における予防活動を継続しかつ強化するとともに、子どもに対し、親に主導される必要のない歯科検診を定期的に受けに行くよう奨励する制度を導入すること。
  • (d) 子どもの栄養状態に関するデータ(低栄養および過体重の双方を対象としたもの)を収集し、かつ子どもの栄養状態を向上させるための措置をさらに発展させること。これらの措置には、ジャンクフードならびに塩分、糖分および脂肪分の多い食品の広告および販売促進ならびに子どもへの提供を制限するための規制が含まれるべきである。
  • (e) 締約国のすべての子ども(農村部に住んでいる子どもならびに社会的および経済的に不利な立場に置かれた集団の子どもを含む)を対象として、良質なプライマリーヘルスケアおよび専門的保健ケアが提供され、かつ公平にアクセス可能とされることを確保すること。
  • (f) 障害のある子どもが保健ケアサービスおよびリハビリテーションサービスに平等にアクセスできることを確保するため、全国的保健制度の強化を目的とする国内法、政策およびその他の措置に障害のある子どもの権利を統合すること。
  • (g) 自国の管轄内にあるすべての子ども(ロマの子どもを含む)が無償の保健ケアサービスに平等にアクセスできることを確保すること。
思春期の健康
38.委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 学校で必修科目とされている「家族生活教育」(CRC/C/POL/3-4, para 570)において、セクシュアル/リプロダクティブヘルスについての包括的かつ年齢にふさわしい教育が行なわれていないこと。
  • (b) 思春期の男子および女子が、セクシュアル/リプロダクティブヘルスサービス(現代的避妊法を含む)へのアクセスに関して困難に直面していること。
  • (c) 不法なかつ安全性を欠いた中絶の蔓延に関する公式なデータおよび調査研究が存在しないこと。
  • (d) 現行法上、中絶の法的要件が厳格であり、かつ合法的中絶を実施するための明確な手続が存在しないことにより、社会的スティグマとあいまって、合法的中絶への女子のアクセスが阻害されていること。
39.条約の文脈における思春期の健康と発達についての一般的意見4号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 必修科目である「家族生活教育」の範囲を拡大し、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関する包括的かつ年齢にふさわしい教育(家族計画および避妊法、若年妊娠の危険性ならびに性感染症の予防および治療に関する情報を含む)を提供すること。
  • (b) 思春期の女子および男子が、セクシュアル/リプロダクティブヘルスサービス(秘密が守られるカウンセリングおよび現代的避妊法を含む)に妨げられることなくアクセスできることを確保するとともに、中絶の条件に関する制限を緩和し、かつ、思春期の女子との関連で、自己の意見を表明しかつ自己の最善の利益を考慮される子どもの権利を反映させる目的で、家族計画、ヒトの胎児の保護および合法的中絶の条件に関する1993年の法律を改正すること。
  • (c) 合法的中絶の条件の統一的かつ非制限的な解釈および関連の手続に関する明確な基準(個人情報の秘密保持の厳格な実施を含む)を定めること。
生活水準
40.委員会は、家族を支援するためにとられた措置を歓迎するものの、以下のことを懸念する。
  • (a) 貧困のおそれに直面する子どもの人数が近年増加していること、および、子どもの貧困率が住民の他の層と比較してあらゆる年齢層(0~18歳)で高く、かつ子どもの10%が極度の貧困に直面していること。
  • (b) ひとり親家族、多子家族(子どもが3人以上いる家族)および障害のある子どもがいる家族が、複合的貧困を経験するおそれがより高い状況に置かれていること。
  • (c) ホームレスの子どもの人数が増加していること。
41.委員会は、締約国が、とくに極度の貧困および子どもの剥奪状況を解消する目的で、子どもの貧困を削減するための具体的達成目標を、関連の政策およびプログラムにおける明確な時間軸および指標とあわせて定めるとともに、その際、以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの貧困削減のための戦略および措置の強化を目的で、子どもの貧困の問題に関する焦点化された協議を、家族および子どもたち(被害を受けやすい状況に置かれた子どもたちを含む)ならびに子どもの権利を扱ってる市民社会組織との間で持つことを検討すること。
  • (b) 貧困線以下の生活を送っている子ども、とくにひとり親家族、3人以上の子どもがいる家族および障害のある子どもがいる家族に提供される支援を強化するとともに、社会的保護措置において、人間にふさわしい生活水準を子どもに保障するためにかかる現実の費用(健康、栄養のある食事、教育、十分な住居、水および衛生設備に対する子どもの権利に関連する支出を含む)が対象とされることを確保すること。
  • (c) ホームレスを防止しかつ解消する目的で、子ども(障害のある子ども、その家族および代替的養護を離脱する子どもを含む)の特別なニーズを考慮に入れながら、住宅に関する法律、政策およびプログラムを見直すこと。このような措置に、自治体レベルにおける社会住宅の利用可能性および十分性を向上させること、ならびに、ホームレスとなるおそれのある者に対して一時的緊急シェルターを提供することを含めることも考えられる。

G.教育、余暇および文化的活動(第28~31条)

42.委員会は、良質な教育へのアクセスに関する都市部と農村部の格差を縮小し、乳幼児期教育の提供を強化し、ロマの子どもを普通学校に統合し、かつ、外国籍の子ども(子どもの庇護希望者および難民を含む)に対して無償の公教育および教育支援サービスへのアクセスを保障するために相当の努力が行なわれていることを歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを依然として懸念するものである。
  • (a) 農村部および小規模な町に住んでいる子どもが、良質な教育へのアクセスに関していまなお不平等に直面していること。
  • (b) 就学前教育、初等中等教育および職業教育へのロマの子どもの参加率が依然として他の子どもよりも低く、かつ、ロマの子どもの多くが、ポーランド語の水準が低いことおよび文化的配慮を欠いた試験が実施されていることを理由として、普通学校の授業についていくうえで困難に直面しており、または不適切な形で特別学校に措置されていること。
  • (c) HIV/AIDSに感染している子どもが就学前教育および義務教育において隔離される傾向にあること。
  • (d) 収容センターに措置されている子どもの庇護希望者がフルタイムの教育にアクセスできていないこと。
43.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 農村部および小規模な町における良質な教育へのアクセス(就学前教育、中等教育および高等教育へのアクセスを含む)を向上させるための努力をさらに増進させること。
  • (b) あらゆる段階の教育(就学前教育を含む)へのロマの子どもの参加およびインクルージョンを促進し、ロマの歴史および文化に関する教員および心理・教育カウンセリングセンター職員の意識を高め、かつ非言語的で文化的配慮のある試験が活用されることを確保するとともに、義務教育におけるロマ教育アシスタントの役割および能力を、その地位を明確に定め、その労働条件を向上させ、かつ能力構築の機会を提供することによって強化すること。
  • (c) HIV/AIDSと子どもの権利に関する委員会の一般的意見3号(2003年)およびHIV/AIDSと人権に関する国際指針(2006年)にのっとり、HIV/AIDSに感染している子どもに対するスティグマおよび差別ならびに教育制度における隔離を解消すること。
  • (d) 子どもの庇護希望者が、その地位または滞在もしくは在留の期間にかかわらず、締約国の他のすべての子どもと平等な立場で教育に対する権利を全面的に享受できることを確保すること。

H.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38~40条)

子どもの庇護希望者および難民
44.委員会は、外国人法(2014年)の制定によって庇護希望者の収容に代わる措置が導入されたことを歓迎する。しかしながら委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 外国人法において、成人の家族構成員が収容されている場合には子どもの庇護希望者をその家族構成員とともに収容することもできる旨、いまなお規定されていること。
  • (b) 子どもの庇護希望者およびその後見人に対し、自己の権利および義務、庇護手続ならびに利用可能なサービスについて組織的に情報を提供するための手続が存在しないこと。
  • (c) 保護者のいない子どもを含む庇護希望者に対し、国の資金による無償の法的援助が提供されていないこと。
  • (d) 家族再統合のための手続が、多くの庇護希望者および難民にとって物理的および経済的にアクセス可能となっておらず、かつ、申請者の身分証明書類および身体的確認の要件の点で要求が過度に厳しいこと。
  • (e) 締約国で国際保護を受けている者の大多数、とくに母子家族および多子家族が長期的に住むところのない状態または居住が不安定な状態に直面していること。
45.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 18歳未満の庇護希望者および子どものいる家族についてあらゆる形態の収容を行なわないようにし、かつ、収容前にあらゆる可能な代替的選択肢(無条件の放免を含む)を検討すること。委員会は、UNHCR「庇護希望者の拘禁に関連して適用される判断基準および実施基準に関する改訂指針」に対して締約国の注意を喚起する。
  • (b) 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての委員会の一般的意見6号(2005年)に照らし、庇護希望者であるすべての子どもおよびその後見人に対し、自己の権利および義務、庇護手続ならびに利用可能なサービスに関する情報が組織的に提供されることを確保すること。これとの関連で、ポーランドの領域内にある外国人の保護に関する法律(2003年)を含む関連国内法の改正を検討すること。
  • (c) 関連の法律を改正し、かつ、子どもの庇護希望者および難民に法的援助を提供している非政府組織(NGO)に財政支援を行なうことにより、無償の法的援助の範囲を、国際保護の申請手続のあらゆる段階における、あらゆる子どもの庇護希望者および難民に拡大することを検討すること。
  • (d) 家族統合のための行政上の要件をより柔軟かつ負担可能なものとする等の手段により、難民およびその子どもに対して家族の一体性の原則を保障するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (e) 特有のニーズを有する集団(シングルマザーおよび多子家族など)に対して十分な住居へのアクセスを確保し、かつ難民のホームレス化を防止するための積極的措置をとることにより、国際保護を受けている子どもの居住状態を向上させること。
マイノリティ集団に属する子ども
46.委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 子どもを含むロマに対するスティグマおよび差別がいまなお広範に存在しており、そのためロマに対する暴力およびヘイトスピーチが生じていること。
  • (b) 非公式な定住地で子どもとともに生活しているロマの家族が強制立退きに直面していること。
  • (c) 社会的保護サービスおよび社会的再統合プログラムのほとんどがロマの文化に配慮しておらず、またはポーランド国民もしくは欧州連合非加盟国の国民を対象としているため、移住者であるロマの子ども(とくにルーマニアなどの欧州連合加盟国出身の子ども)が、これらのサービスおよびプログラムへのアクセスに関して困難に直面していること。
47.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 社会一般に存在するロマへの否定的態度に対処することを目的としたキャンペーンをあらゆるレベルおよびあらゆる県で実施するとともに、ロマに対する暴力およびヘイトスピーチを防止するための効果的措置をとること。
  • (b) 強制立退きの防止措置を強化するとともに、立退きが避けられないときは、開発に基づく立退きおよび移転に関する基本原則および指針(A/HRC/4/18参照)にしたがってこれを実施すること。
  • (c) 移住者であるロマの子ども(とくに欧州連合加盟国出身の子ども)が置かれた特有の状況を評価するとともに、提供されるサービスの文化的配慮を向上させ、かつ社会プログラムの適用範囲の修正を図る等の手段により、社会的保護措置および社会的再統合プログラムへのこれらの子どもによるアクセスを促進するための措置をとること。
路上の状況にある子ども
48.委員会は、物乞いに従事している子ども(国外から人身取引により連れてこられた子どもを含む)を保護しかつ支援するための体系的努力が何ら行なわれておらず、かつ、このような子どもを代替的養護に措置する旨の決定等において、どのような保護措置が子どもの最善の利益を保障することになるのかについての一貫した政策も定められていないことを懸念する。
49.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 物乞いに従事している子どもについてのデータを収集するとともに、このような活動の根本的原因の判断および規模の評価を目的とした研究を実施し、かつ効果的な対応をとること。
  • (b) 子どもの物乞いの防止および解消を図り、かつ、被害者およびその家族に対して保護ならびにリハビリテーションおよび社会的統合のための支援を提供することを目的とした包括的戦略を策定するとともに、このような戦略を策定する際、当事者である子ども、その家族および市民社会組織の自由な、主体的なかつ意味のある参加を確保すること。
  • (c) 物乞いの被害者である子どもに対し、その最善の利益ならびに自己の意見を表明する権利および成長につながる家庭環境への権利を保障しながら十分な保護および支援を提供するための指針を策定すること。
性的搾取および人身取引
50.委員会は、国際基準により忠実な人身取引の定義の採用を目的とし、かつ人身取引の範囲を広げて労働搾取目的の人身取引も含まれるとした刑法改正を歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを依然として懸念するものである。
  • (a) 現行法において、被害者であると特定された者が、人身取引の対象とされたことの直接の結果として行なった行為について処罰されないことが確保されていないこと。
  • (b) 人身取引の被害を受けた子どもの特定が依然として課題となっていること。
  • (c) 検察官および裁判官の認識が欠けているために、人身取引加害者の有罪判決率が低く、より軽い刑または執行猶予刑が科される率が高く、かつ、被害を受けた子どもの保護に関して不適切な決定(このような子どもを、必要なカウンセリングその他のサービスが提供されていない、社会的不適応の子どものための施設に措置することを含む)が行なわれていること。
  • (d) 人身取引の被害を受けた子どもに対して専門的なケアおよび支援を提供する公的サービスが存在しないこと。
51.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 現行法を改正することにより、人身取引の対象とされた子どもを、人身取引の対象とされたことの直接の結果として従事させられた活動を理由として刑事訴追し、拘禁しおよび処罰することを禁止する規定を設けること。
  • (b) 人身取引の被害を受けた子どもの特定および保護を目的とした、十分なかつ調整のとれた機構(関連官吏間での組織的なかつ時宜を得た情報共有を含む)を設置するとともに、警察官、国境警備官、労働査察官およびソーシャルワーカーの、人身取引の被害を受けた子どもの特定能力を強化すること。
  • (c) 人身取引の被害を受けた子どもが有する特有の保護のニーズを考慮に入れながら、現行の国内的基準および国際的基準、ならびに、人身取引関連の法的手続で子どもの最善の利益を尊重する方法についての家庭裁判所裁判官および検察官の意識および能力を高めるための努力を強化すること。
  • (d) 人身取引対策国家行動計画(2013~2015年)の成果に関する評価に基づき、次期国家行動計画に、人身取引の被害を受けた子どもを特定し、保護しかつ支援するための、これらの子どもの最善の利益および特別なニーズを反映させた包括的措置を統合すること。
少年司法の運営
52.委員会は、以下のことを深刻に懸念する。
  • (a) 多くの子どもがいまなお、矯正手続の前および進行中に少年勾留施設に長期間拘禁されており、平均拘禁期間が3か月を超えていること。
  • (b) 13歳以上の子どもであって処罰対象の行為を行なったという合理的な疑いがある者またはそのような行為を理由として有罪判決を受けた者が警察の緊急留置所に拘禁されうること。
53.少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 少年勾留施設における拘禁期間を最高3か月と規定した規則を執行するとともに、このような拘禁の例外的延長について、当該延長について明確な上限を設けた法的保障措置を定めること。
  • (b) 可能なときは常に、ダイバージョン、保護観察、調停、カウンセリングまたは地域奉仕のような拘禁に代わる措置を促進するとともに、拘禁が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間で用いられること、および、拘禁がその取消しを目的として定期的に再審査されることを確保すること。
54.委員会はまた、以下のことも懸念する。
  • (a) 法律に抵触した子どもであって警察の留置下にある者がしばしば、関連の法律に違反して、弁護士または他の信頼できる大人の援助者の立会いのないまま、事情聴取を受け、かつ陳述を行なうことおよび調書に署名することを要請されていること。
  • (b) 少年司法法の改正(2014年1月2日)によって統一少年司法手続が確立され、この手続には民事訴訟法の手続が適用されるとされたために、子どもが刑事訴訟法上の手続的保障(無罪の推定、実体的真実の確認義務または疑わしきは罰せずの原則および弁護人選任権を含む)を奪われる可能性があること。
55.少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 少年司法制度を条約および他の関連の基準と全面的に一致させ、かつ子どもの手続的権利を保障すること。
  • (b) 少年司法に関する機関横断パネルおよびその構成機関(国際連合薬物犯罪事務所、国際連合児童基金、国際連合人権高等弁務官事務所およびNGOを含む)が開発した技術的援助ツールを活用すること。
子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書に基づいて提出された締約国の第1回報告書に関する総括所見(CRC/C/OPSC/POL/CO/1)のフォローアップ
56.委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 子どもの性的搾取関連犯罪についての刑事手続で、立証責任が犯罪者ではなく被害を受けた子どもに課される傾向があること。
  • (b) 売春に従事させられている子どもが、全面的な社会的再統合ならびに全面的な身体的および心理的回復のために必要な援助にアクセスできていないこと。
57.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 立証責任を選択議定書が対象とする犯罪の加害者側に移す等の手段により、被害を受けた子どもの保護を確保する目的で、適用される法律の実施を増進させること。
  • (b) 選択議定書で禁じられている犯罪の被害を受けた子どもへの、十分なかつ無償の法的援助ならびに心理的、医学的および社会的支援の提供を強化すること。
58.委員会はまた、児童セックスツーリズム産業が国境地域で増えていると報告されているものの、委員会の前回の勧告(CRC/C/OPSC/POL/CO/1、パラ7)にもかかわらずデータがまったく収集されていないことも懸念する。
59.企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての一般的意見16号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) リスクの高い状況に置かれた子どもを特定し、かつ問題の規模を評価する目的で、児童セックスツーリズムの規模および根本的原因に関する調査研究を実施すること。
  • (b) 締約国の領域で操業しているまたは締約国の領域から運営されている、とくに観光業界の企業およびその子会社の法的責任を確保するため、立法上の枠組み(民事法、刑事法および行政法)を検討しかつ修正すること。
  • (c) 説明責任および透明性を向上させる目的で、子どもの権利侵害の調査および救済のための監視機構を設置すること。
  • (d) 児童セックスツーリズムの防止に関して観光業界および公衆一般とともに意識啓発キャンペーンを実施するとともに、旅行代理店および観光業者の間で、観光産業名誉憲章および世界観光機関の世界観光倫理規範を広く普及すること。
  • (e) 児童セックスツーリズムの防止および解消のための多国間、地域間および二国間の取決めを通じて、児童セックスツーリズムに反対する国際協力を強化すること。
  • (f) 以上の勧告を実施する際、人権理事会が2008年に全会一致で受け入れた「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合『保護・尊重・救済』枠組みの実施」を指針とすること。
武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づいて提出された締約国の第1回報告書に関する総括所見(CRC/C/OPAC/POL/CO/1)のフォローアップ
60.委員会は、18歳以上の者しか軍務のために義務的に徴募しまたは志願を受け入れることができないことを保障した、ポーランド共和国防衛のための一般的義務に関する法律の改正(2009年8月27日可決)を歓迎する。しかしながら委員会は、暴力の被害を受けた子どもの庇護希望者および難民を、とくにこれらの子どもが武力紛争に直面している国の出身である場合に、特定するための手続が設けられていないことを依然として懸念するものである。
61.委員会は、締約国が、国外で武力紛争に関与させられた可能性のある子ども(子どもの庇護希望者および難民を含む)を特定するための機構を設置するべきである旨の前回の勧告(CRC/C/OPAC/POL/CO/1、パラ17)をあらためて繰り返す。委員会はまた、締約国が、これらの子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための適切な援助を提供するための措置をとることも勧告するものである。

I.通報手続に関する選択議定書の批准

62.委員会は、子どもの権利の実施をさらに強化する目的で、締約国が、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう勧告する。

J.国際人権文書の批准

63.委員会は、子どもの権利の実施をさらに強化する目的で、締約国が、まだ締約国となっていない中核的人権文書、とくにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約および強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約を批准するよう勧告する。

K.地域機関との協力

64.委員会は、締約国が、締約国および他の欧州評議会加盟国の双方における子どもの権利条約その他の人権文書の実施のために欧州評議会と協力するよう勧告する。

IV.実施および報告

A.フォローアップおよび普及

65.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、第3回・第4回統合定期報告書、事前質問事項に対する締約国の文書回答およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。

B.次回報告書

66.委員会は、締約国に対し、第5回・第6回統合定期報告書を2020年1月6日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2014年1月31日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.3)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短縮するよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できない。
67.委員会はまた、締約国に対し、国際人権条約に基づく報告についての調和化ガイドライン(共通コアドキュメントおよび条約別文書についてのガイドラインを含む)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件(HRI/GEN/2/Rev.6, chap.I参照)および総会決議68/268のパラ16にしたがって42,400語を超えない範囲で作成された、最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2017年2月28日)。