総括所見:ポーランド(第2回・2002年)


CRC/C/15/Add.194(2002年10月30日)/第31会期
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2002年10月1日に開かれた第827回および第828回会合(CRC/C/SR.827 and 828参照)において、1999年12月2日に提出されたポーランドの第2回定期報告書(CRC/C/70/Add.12)を検討し、2002年10月4日に開かれた第833回会合(CRC/C/SR.833)において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況に関する理解をいっそう明確にしてくれた、締約国の第2回定期報告書および事前質問事項(CRC/C/Q/POL/2)に対する詳細な文書回答の提出を歓迎する。委員会はさらに、締約国から派遣された部門横断型の代表団に評価の意とともに留意するとともに、率直な対話、ならびに、議論の際に行なわれた提案および勧告に対する前向きな反応を歓迎するものである。

B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、締約国が、子どもの権利条約の原則の多くを具体化した新憲法を1997年に採択したことを歓迎する。
4.委員会は、締約国が、ポーランド全域における子どもの権利の監視に責任を負う子どもオンブズマン事務所を2000年に設置したこと、ならびに、子どもの権利および条約の実施に関連する政府の政策の評価において議会監査庁が役割を果たしていることを歓迎する。
5.委員会は、条約をさらに実施するためにとられたさまざまな立法措置、とくに以下の措置を歓迎する。
  • (a) 地域家庭援助センターの設置について定めた、社会福祉法を改正する1998年7月24日の法律。
  • (b) 地域家庭援助センターを基礎とする社会福祉の枠組みのなかで家族の保護および子どものケアに関する一貫した制度を創設した、社会福祉法および年金法を改正する2000年1月7日の法律。
6.委員会は、締約国が国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)の批准したことを歓迎する。
7.委員会はまた、締約国が、家族問題全権事務所に代わる機関として、家族問題・男女平等政府全権事務所を創設したこと(2001年)にも留意する。

C.条約の実施を阻害する要因および困難

8.委員会は、自由市場経済への移行の結果、締約国が引き続き経済的困難および高い失業率に直面していることを認知する。これによって地域格差および貧困の増大が生じており、そのため、被害を受けやすい状況に置かれた、子どものいる家族の福祉および生活水準に悪影響が生じてきた。

D.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置

留保および宣言
9.委員会は、締約国が条約第7条および第38条に付した留保ならびに第12~17条および第24条に関して行なった宣言の撤回を検討するプロセスが2001年に再開された旨の、代表団によって提供された情報を歓迎する。
10.ウィーン宣言および行動計画(1993年)に照らし、委員会は、締約国に対し、締約国が条約に付した留保および条約について行なった宣言をいずれも撤回するプロセスを継続しかつ完了させるよう奨励する。
立法
11.1997年に新憲法が採択されたことおよびその後国内法の改正が行なわれたことには留意しながらも、委員会は、にもかかわらず、いまなおすべての国内法において条約の規定および原則が全面的に遵守されているわけではないことを依然として懸念する。
12.委員会は、締約国に対し、国内法が、とくに少年司法、保護者のいない庇護希望者および子どもの性的搾取の分野で条約の原則および規定に全面的に一致することを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
調整
13.委員会は、子どもおよび若者に関する政策の調整は国家教育スポーツ大臣が担当する旨の閣僚評議会議長の決定、および、締約国が国家的行動計画を策定中である旨の代表団の情報に留意する。それでも委員会は、さまざまな省庁によっておよび諸行政段階において運営されている活動およびプログラムが調整を欠いていることを、依然として懸念するものである。
14.委員会は、締約国が、国家教育スポーツ省に対し、政策調整に関する責任を効果的に履行するための十分な財源、人的資源および物的資源が提供されること、ならびに、子どもとともにおよび子どものために活動する諸省庁間およびあらゆる行政段階間で協議および調整を図るための適切な機構が設置されることを確保するよう、勧告する。
独立の監視
15.委員会は、前述のとおり、子どもオンブズマン事務所の設置および議会監査庁が果たしている役割を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、子どもオンブズマン事務所のための資源が十分でないことを懸念するものである。
16.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもに関する問題を評価する内部監視機関としての議会監査庁の役割を強化するとともに、国および地方双方における条約の実施の監視および自己評価のための包括的制度を確立すること。
  • (b) 子どもオンブズマンに対し、その責任を履行できるようにするための十分な資源を提供すること。
  • (c) 国および地方双方のレベルで子どもの権利および子ども政策を監視するにあたり、非政府組織よび市民社会組織と連携すること。
資源配分
17.委員会は、中央予算における子どものための配分額が、2000年から2001年にかけて減少しており、かつ、子どもの権利の保護および促進に関する国および地方の優先課題に対応すること、ならびに、子どもに提供されるサービスに関して農村部と都市部との間に存在している格差を克服しかつ是正することのためには不十分であることに、懸念とともに留意する。
18.困難な経済状況は認識しながらも、委員会は、締約国が、「利用可能な資源を最大限に用いて」子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施を確保するための予算配分を優先的に位置づけることにより、条約第4条の全面的実施に特段の注意を払うよう勧告する。締約国が行政改革およびサービス提供の地方分権化のために行なっている努力に留意しつつ、委員会は、締約国が、利用可能な資源を最大限に用いながら、子どもの経済的、社会的および文化的権利を平等に実施する農村部および都市部の地方政府の能力強化を図るよう、勧告するものである。
データ収集
19.委員会は、事前質問事項(CRC/C/Q/POL/2)に対する文書回答に掲載された追加の統計データ、および、省庁間のデータの交換を改善し、かつその比較および分析を促進する目的で「E-ポーランド」というプログラムが開始される旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、ジェンダー別にとくに細分化されたデータがごくわずかであること、および、条約が対象とするすべての分野についてデータおよび指標が利用可能であるわけではないことを、依然として懸念するものである。
20.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 現行のデータ収集・指標システムが、ジェンダー別に、かつ適切なときはマイノリティおよび民族的集団別ならびに都市部および農村部の別に、細分化されることを確保すること。現行のデータ収集システムは、条約が対象とするすべての分野(少年司法制度、および、性的搾取または性的虐待の被害を受けた子どもに提供される援助のあらゆる側面を含む)が含まれるようにするため、関連の省庁および公的機関の援助を得て拡大されるべきである。当該システムにおいては、とくに被害を受けやすい状況に置かれた子ども(虐待、ネグレクトまたは不当な取扱いの被害を受けた子ども、障害のある子ども、民族的集団に属する子ども、子どもの難民および庇護希望者、法律に抵触した子ども、働いている子ども、路上で生活している子ども、商業的性的搾取および人身取引に関与させられている子ども、ならびに、農村部および経済的に窮乏している地域の子どもを含む)を具体的に重視しながら、18歳までのすべての子どもを網羅することが求められる。
  • (b) 条約の効果的実施を目的とする政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のためにこれらのデータおよび指標を活用すること。
市民社会との協力
21.活気のある市民社会の存在にもかかわらず、委員会は、条約を実施するために政府が行なっている努力に非政府組織が全面的に関与しているわけではないことを懸念する。
22.委員会は、条約の規定の実施におけるパートナーとして市民社会が果たす重要な役割を強調するとともに、締約国が、国および地方のレベルで、条約の実施のあらゆる段階(政策立案を含む)を通じて、より体系的なかつ調整のとれたやり方で非政府組織の関与を得るよう勧告する。
普及
23.条約の原則および規定に関する意識を促進するための締約国の取り組みおよび子どもオンブズマンの多くの活動には留意しながらも、委員会は、子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家集団ならびに子ども、親および公衆一般が、条約およびそこに体現された権利基盤アプローチについていまなお十分に認識していないことを懸念する。
24.委員会は、締約国が意識啓発のための努力を強化するよう勧告するとともに、締約国に対し、とくに議員、法執行官、公務員、自治体職員、子どものための施設および拘禁場所で働く職員、保健従事者(心理学者を含む)、ソーシャルワーカーおよび宗教的指導者ならびに子どもおよびその親を対象として、条約の原則および規定に関する体系的な教育および研修を実施するよう奨励する。

2.子どもの定義

25.委員会は、刑事責任に関する明確な最低年齢が定められておらず、かつ、場合によって10歳という低年齢の子どもも刑として教育的措置を言い渡される可能性があることを懸念する。
26.委員会は、少年が関わる事件における手続についての法律(1982年)で少年が13~17歳の者とされていることから、締約国が、すべての事件で刑事責任に関する最低年齢を13歳と定め、当該年齢に満たない子どもに対しては矯正措置または教育的措置のいずれも刑として言い渡すことはできないようにすることを勧告する。

3.一般原則

差別の禁止
27.委員会は、被害を受けやすい状況に置かれた一部の集団の子ども(ロマその他の民族的マイノリティの子ども、施設で暮らしている子ども、障害のある子ども、貧困家庭の子どもおよびHIV/AIDSに感染している子どもを含む)との関連で差別の禁止の原則が十分に実施されていないことに、懸念とともに留意する。とくに委員会は、これらの子どもが十分な保健サービス、教育サービスその他の社会サービスに限られた形でしかアクセスできていないこと、および、人種的動機に基づく暴力が行なわれており、かつ警察が被害者を保護していないという報告があることを懸念するものである。
28.委員会は、締約国が、差別の禁止の原則を保障した現行法の実施および条約第2条の全面的遵守を確保するための努力を増進させるとともに、あらゆる理由に基づく、かつ被害を受けやすい状況に置かれたあらゆる集団に対する差別を解消するための積極的かつ包括的戦略を採択するよう、勧告する。
29.委員会は、「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条第1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。
子どもの意見の尊重
30.委員会は、行政上および司法上の手続において子どもの意見を考慮するよう求めるために締約国が行なっている努力に留意するものの、実際には、とくに保護者のいない子どもの難民申請者、罪を犯した少年および施設に措置された子どもが関わる手続ならびに監護権をめぐる審判において、この原則が常に実施されているわけではないことを懸念する。
31.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約第12条にしたがい、裁判所およびすべての行政機関による子どもの意見の尊重ならびに自己に影響を与えるすべての事柄への子どもの参加を促進しかつその便宜を図るため、立法を含む効果的措置をとること。
  • (b) とくに親、教員、政府行政官、司法機関、ローマカトリック教会およびその他の宗教的集団ならびに社会一般に対し、自己の意見を考慮され、かつ自己に影響を与える事柄に参加する子どもの権利についての教育的情報を提供すること。

4.市民的権利および自由

良心および宗教の自由
32.委員会は、公立学校で宗教の授業に代えて倫理の授業に子どもを出席させる親の選択権を保障する規則があるにもかかわらず、実際には、そのような選択を可能にする倫理の授業をほとんどの学校が実施していないこと、および、生徒は親の同意を得なければ倫理の授業に出席できないことを懸念する。
33.委員会は、締約国が、すべての公立学校で、子どもが、子どもの発達しつつある能力に一致するやり方で提供される親の指示を得て、宗教の授業または倫理の授業のどちらに出席するかを自由に選択することが認められることを確保するよう、勧告する。
不当な取扱いおよび暴力
34.委員会は、家族間暴力に対処するための「ブルーカード」プログラムが開始されたことには留意するものの、子どもの虐待ならびに家庭および学校における暴力が締約国で依然として問題となっており、かつ、子どもの虐待およびネグレクトについての苦情を受理しかつこれに対応する全国的制度が存在しないことを懸念する。委員会はまた、虐待の被害者およびその家族に対する回復および再統合の支援が限られていることも懸念するものである。さらに委員会は、家庭、学校および刑務所等のその他の施設においてならびに代替的養護の文脈で、体罰が広く実践されていることを懸念する。
35.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもに配慮したやり方で苦情の受理、監視および調査を行ない、かつ必要な場合には事件を訴追するための全国的制度を設置するとともに、法執行官、ソーシャルワーカーおよび検察官を対象としてこの点に関する研修を実施すること。
  • (b) 家族間暴力の被害者および加害者の双方に(介入または処罰に留まるのではなく)適宜支援および援助を提供し、かつ、暴力の被害を受けたすべての者がカウンセリングならびに回復および再統合のための援助にアクセスできるようにすることを目的とした包括的かつ全国的な対応制度を、とくに地方行政が家庭危機センターを設置するための十分な資源を有していないコミュニティで、設置すること。
  • (c) 問題の規模を適正に評価する目的で、虐待の加害者および被害者に関するデータ(ジェンダー別および年齢別に細分化されたもの)を収集するための機構を確立し、かつ、虐待に対応するための政策およびプログラムを立案すること。
  • (d) 家庭、学校および他のあらゆる施設における体罰を明示的に禁止すること。
  • (e) 子どもの不当な取扱いの有害な影響に関する公衆教育プログラムを実施するとともに、体罰に代わる手段として積極的かつ非暴力的な形態のしつけおよび規律維持を促進すること。

5.家庭環境および代替的養護

代替的養護
36.委員会は、締約国の多数の子どもが施設で生活しており、かつ、その相当の割合が本来の孤児ではなく「社会的」孤児であることを懸念する。
37.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの施設措置の定期的再審査が子どもの意見および最善の利益を考慮しながら行なわれることを確保するとともに、可能なときは常に、適切なカウンセリングおよび支援を提供しながら子どもをその家族に再統合させること、または施設措置以外の形態の養護を得られるようにすることを目指すこと。
  • (b) 里親家族にいっそうの金銭的支援を提供し、かつ里親家族のカウンセリングおよび支援のための機構を増やすことにより、里親養育制度を拡大すること。
  • (c) 子ども自身が置かれている環境での介入および子どもに対する援助をソーシャルワーカーがよりよいやり方でできるようにするため、ソーシャルワーカーの能力およびスキルを向上させること。
  • (d) 閉鎖が予定されている施設に現在入所している子どもが十分な情報を提供され、かつ自己の将来の措置に関する決定に参加できること、および、これらの子どもが社会的保護に対する権利を引き続き保障されることを確保するための手続を確立すること。

6.基礎保健および福祉

38.子どもの健康指標が良好であり、かつ継続的に改善されていることには心強い思いを感じながらも、委員会は、にもかかわらず、健康的ではない行動およびライフスタイルが増えていること、ならびに、母乳育児を続ける母親の割合が低いことを懸念する。
39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) とくに子どもおよび若者の間で健康的なライフスタイルを促進することにより、健康促進・健康教育プログラムの有効性を高めること。
  • (b) 母親に対し、生後6か月間は乳児を母乳だけで育てることおよび母乳育児を2年間継続することを奨励し、かつその利点に関する教育を行なうための措置をとること。
障害のある子ども
40.委員会は、障害のある子どもが全員、統合された学校および教育プログラムに出席する機会を有しているわけではないこと、ならびに、場合によって、自宅に近い場所で適切なプログラムが設けられていないために、障害のある子どもが施設に措置され、または定期的に通学しないこともあることを懸念する。
41.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 施設で生活する障害のある子どもの人数を減らし、かつ、これらの子どもを普通教育・職業訓練プログラムならびに社会活動、文化活動および余暇活動に統合するための、期限付きの計画を策定すること。
  • (b) 障害のある子どもにとってアクセシブルかつ適切であり、かつ社会への完全参加の確保につながる統合教育の便益がこれらの子どもに対して提供されることを確保するため、ポヴィヤト(郡)に対して十分な財源、人的資源および組織的資源を提供すること。
思春期の健康
42.委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 10代の妊娠率が相対的に高く、かつ、リプロダクティブヘルスに関する教育またはサービスに思春期の子どもが限られた形でしかアクセスできていないこと。
  • (b) 思春期の子どもの喫煙が過度に蔓延していること。
  • (c) アルコール、薬物および違法物質の濫用が10代の間で増えていること。
43.委員会は、締約国が、思春期の子どもをとくに対象とした、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関するかつ喫煙ならびに薬物およびアルコールの危険性に関する健康教育・意識啓発プログラムを、学校、地域クラブ、家族センターおよび子どもとともに活動しているその他の施設に導入するよう勧告する。

7.教育

44.委員会は、貧困家庭の子どもに対して教科書を給付し、かつすべての学校にコンピューターを備え付ける新たな取り組みには留意しながらも、都市部と農村部との間で、とくに幼稚園ならびに課外のプログラムおよび活動との関連で、教育へのアクセス、学校の物的条件および教室の差をめぐる格差が広がりつつあることを依然として懸念する。
45.委員会は、締約国が、以下の措置をとることにより、農村部の子どもが、労働市場に参入しまたは能力に応じて大学レベルの教育に進むためのスキルを与えてくれる良質な教育の機会を平等に持てることを確保するよう、勧告する。
  • (a) 農村部ですべての子どもを対象とする十分かつ適切な幼稚園施設が設けられることを確保しながら、とくに子どもと同世代の友人間の交流を涵養するプログラムおよび乳幼児期の教育の利点に関する親教育プログラムを通じて、子どもの認知的、社会的および情緒的発達を促進するための革新的手段を追求するとともに、条約第29条第1項および教育の目的に関する委員会の一般的意見1号に掲げられた目的に教育制度を適合させ、かつ、子どもの権利を含む人権を学校カリキュラムに導入すること。
  • (b) 農村部および貧困コミュニティに対し、都市部の学校と同一の質の教育および同一水準の課外プログラムを提供できるようにするための追加資金が提供されることを確保すること。
  • (c) 貧困家庭の子どもまたは農村部の子どもが、大学進学準備のために普通中等学校に通学できるようにするための奨学金その他の形態の金銭的支援にアクセスできることを確保すること。

8.特別な保護措置

子どもの難民および保護者のいない未成年の庇護希望者
46.委員会は、難民事案の処理をいっそう速やかに進めるために締約国が行なっている努力に留意するものの、保護者のいない未成年者による申請の処理が、難民申請を行なうそのような未成年者の法的代理人(このような代理人は行政上の事項についてのみ責任を負い、子どもの最善の利益にのっとって行動する義務を負わない)を選任する煩雑な手続によって滞っていることを懸念する。さらに委員会は、難民申請の処理が終了するのを待っている子どもが、緊急収容棟に収容される場合には教育の機会を与えられず、かつ場合によって罪を犯した少年とともに収容されていることを懸念するものである。
47.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 難民認定処理に関する現行法を改正して、保護者のいないすべての未成年者に対し、当該未成年者について責任を負い、その意見を考慮しながら当該未成年者の最善の利益にのっとって行動することを義務づけられる法的後見人が直ちに選任されることを確保すること。
  • (b) 一時的に緊急収容棟に措置された子どもが罪を犯した少年とともに収容されないこと、および、当該収容がもっとも短い可能な期間でのみ行なわれ、かつ法律により定められた上限である3か月を超えないことを確保すること。
  • (c) 緊急収容棟もしくは難民受け入れセンターにおいてまたはその他の形態のケアを受けながら難民申請の処理の終了を待っているすべての子どもが、教育に全面的にアクセスできることを確保すること。
性的搾取および人身取引
48.人身取引の防止および被害者の送還のための地域的プログラムへの協力の取り組みを締約国が強化していることには留意しながらも、委員会は、にもかかわらず、ポーランドが依然として、性的搾取目的で人身取引の対象とされる子どもの送り出し国、目的地国および通過国になっていることを懸念する。
49.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 国際労働機関(ILO)の最悪の形態の児童労働条約(第182号)、および、 国際組織犯罪防止条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准する旨の意向に沿った対応を進めるとともに、それぞれストックホルム(1996年)および横浜(日本、2001年)において開催された第1回・第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で合意されたとおり、子どもの商業的性的搾取に関する国家的行動計画を策定すること。
  • (b) 買売春およびポルノ的資料の制作に従事させられた18歳未満のすべての者が、犯罪者として扱われず、かつ全面的保護を享受できることを確保すること。
  • (c) 法執行官、ソーシャルワーカーおよび検察官を対象として、苦情申立てを子どもに配慮したやり方で受理し、監視し、捜査しかつ訴追する方法についての研修を実施すること。
  • (d) 人身取引および強制買売春の被害を受けたすべての者が、回復および再統合のための適切なプログラムおよびサービスにアクセスできることを確保すること。
少年司法
50.委員会は、未決勾留措置として、または少年矯正施設における行為への懲罰として、緊急棟に著しく長い期間収容される少年が多いことを懸念する。加えて、委員会は、すべての少年拘禁施設が、家族との接触を維持する子どもの権利を保障し、または十分な生活水準を提供しているわけではないことを懸念するものである。
51.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 少年司法の運営に関する委員会の一般的討議(1995年開催)に照らし、少年司法に関する基準、とくに条約第37条、第40条および第39条ならびに少年司法の運営に関する国際連合最低基準規則(北京規則)および少年非行の防止に関する国際連合指針(リャド・ガイドライン)の全面的実施を確保すること。
  • (b) 緊急棟への収容が認められる期間の上限を3か月と定めた規則を執行すること。
  • (c) 自由の剥奪を最後の手段としてのみ用いるとともに、自由を奪われた子どもの権利(拘禁環境に関わるものを含む)を保護すること。
マイノリティ集団に属する子ども
52.委員会は、ロマの状況の改善を目的とした試行事業が一部の件で行なわれているにもかかわらず、ロマがいまなお広範な差別に苦しんでおり、場合によっては教育、保健および社会福祉に対するロマの子どもの権利が阻害されていることを懸念する。
53.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 社会一般で、ならびに、とくに保健サービス、教育サービスその他の社会サービスを提供する公的機関および専門家の間に存在するロマへの否定的態度に対処することを目的としたキャンペーンを、あらゆるレベルおよびあらゆる県で開始すること。
  • (b) すべてのロマの子どもを普通教育に統合することおよび特別学級へのロマの子どもの隔離を禁止することを目的とし、かつ、ロマの子どもがコミュニティにおける第一就学言語を学ぶための就学前プログラムを含む計画を策定しかつ実施すること。
  • (c) ポーランド社会でロマについての理解、寛容および尊重を促進するため、すべての学校を対象とした、ロマの歴史および文化を含むカリキュラム資料を開発すること。

9.子どもの権利条約の選択議定書および条約第43条第2項の改正

54.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の両選択議定書をまだ批准していないことに留意する。
55.委員会は、締約国が子どもの権利条約の2つの選択議定書を批准するよう勧告する。

10.文書の普及

56.最後に、条約第44条第6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を公衆一般が広く入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。

11.次回報告書

57.委員会は、締約国の報告の遅延を認識しつつ、条約第44条に定められた規則を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調したい。これを担当する委員会は、子どもの権利の実施における進展を定期的に審査する機会を持てるべきである。これとの関連では、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことがきわめて重要になる。締約国が条約に基づく義務をふたたび全面的に遵守するようになることを援助するため、委員会は、例外的措置として、締約国に対し、第4回定期報告書を、当該報告書について条約が定める提出期限、すなわち2008年7月7日の前に提出するよう慫慂するものである。この報告書は、第3回および第4回報告書を統合したものとされる。


  • 更新履歴:ページ作成(2017年2月28日)。