子どもの権利委員会・一般的討議勧告:武力紛争における子ども


(第2会期、1992年)
原文:英語(PDF)
※CRC/C/10(第2会期の報告書)へのリンク。以下では、第3会期の報告書(CRC/C/16)の関連パラグラフもあわせて訳出した。
日本語訳:平野裕二

CRC/C/10(第2会期の報告書)

5.一般的討議のフォローアップ
75.行なわれたさまざまな貢献および検討された諸問題に鑑み、委員会は、その権限の枠組みのなかで、武力紛争における子どもという突出した複雑な問題に対して継続的に対応していく必要があることを認識した。したがって委員会は、この問題に立ち向かうためにとりうるさまざまな措置を構想した。
  • (a) より関連性の高い規定、とくに第38条および第39条の実施に関する、より具体的な指針を策定すること。
  • (b) 一連の勧告を起草すること。
  • (c) 予備的な一般的意見を検討すること。
  • (d) この問題の特定の側面に関する一般的研究を実現すること。
  • (e) 軍隊への子どもの採用年齢を18歳に引き上げる、子どもの権利条約の将来の選択議定書を予備的に起草すること。
76.これらのさまざまな措置について検討するため、委員会は、一般的討議を踏まえ、数名の委員から構成される作業部会の設置を決定し、1993年1月に予定されている委員会の次回の通常会期に最終的提案を提出する任務を委ねることとした。
77.さらに、委員会は、
締約国報告書の審査という任務を遂行するにあたり、以下のことを構想できることを強調した。
  • (a) 一部の締約国が行なった、18歳未満の子どもを採用しない旨の決定に関する宣言を歓迎すること。
  • (b) 第38条の適用に関するかぎりで、締約国の立法および実務に関する情報の必要性を強調すること。
  • (c) 第41条に照らし、もっとも権利の実現に資する規範が適用されているか否かについての情報を求め、またはいっそうの保護につながる規定を国レベルで採択することを奨励すること。
  • (d) 締約国に対し、軍隊への採用が18歳未満で認められている場合に、この状況において子どもの最善の利益がどのように第一次的に考慮されているかを検討するよう奨励すること。
  • (e) 締約国に対し、進展を監視する継続的プロセスのなかで、自国の管轄下にあるすべての子どもに対して子どもの権利の全面的実現を確保するためにあらゆる必要かつ適切な措置がとられてきたかどうかを検討するべきであることを強調しかつ奨励すること。

CRC/C/16(第3会期の報告書)

173.武力紛争における子どもについての一般的討議を第2会期に開催したことを受けて、委員会は、数名の委員から構成される作業部会の設置を決定し、表明されたさまざまな懸念および提案された多様な措置を踏まえて、当該討議のフォローアップとして確保されるべき対応についての提案を、委員会の第3会期で提出する任務を委ねることとした(CRC/C/10、パラ76)。
174.作業部会は、委員会に対し、この点に関してとりうる多数の措置についての検討結果(それぞれの措置にふさわしいと思われる優先度を含む)を反映した、作業部会の活動についての報告を口頭で行なった。作業部会は、この突出した現実について研究しかつ理解を深めるうえで、また作業部会の将来の活動についての重要な枠組みを確立するうえで、一般的討議が妥当性を有するものであったことをあらためて強調した。
175.委員会は、今後の措置を構想するために、とくに一般的意見または一連の勧告もしくは具体的指針の草案を検討するうえで、この問題に対して継続的に注意が払われるようにし、かつ締約国報告書の検討の経験を活かしていく必要があることを認識した。
176.委員会は、以下の措置を優先的にとることを構想した。
  • (a) 武力紛争が子どもによる基本的権利の享受に深刻な形で影響を及ぼしていることに鑑み、かつこの現実に対していっそうの注意を向ける目的で、条約第45条(c)に照らし、総会に対して、事務総長が武力紛争の悪影響からの子どもの保護を向上させる方法および手段についての研究を実施することを要請するよう勧告すること(本報告書の付属文書VI参照)。
  • (b) 委員の1名に対し、条約第38条に掲げられている年齢を18歳に引き上げる、条約の選択議定書の予備草案の作成を委託すること。この予備草案は本報告書に付属文書VIIとして掲載されている。この枠組みのなかで、委員会は、締約国に対し、第38条に掲げられている年齢を18歳に引き上げることを目的とする可能な措置をとることを検討するよう奨励した。
  • (c) 世界〔人権〕会議準備委員会の第4会期に提出する勧告で、武力紛争への子どもの関与の問題を取り上げること。委員会は、実のところ、総会による世界会議の暫定的議題の採択を受けて、この問題が、女性および男性が有するすべての人権(被害を受けやすい集団に属する者の人権を含む)の全面的実現における現代的傾向および新たな課題に関する議題の枠組みのなかで提起すべき、重要な論点のひとつになる可能性があると考える。
  • (d) 条約第39条に照らし、委員会が特定する論点のリストに、検討の対象となりうる主題として回復および再統合の問題を含めること。
(以下略)

付属文書V
武力紛争における子どもについての覚書(略)

付属文書VI
武力紛争における子ども:総会に対する勧告
1.条約第45条(c)の規定にしたがい、子どもの権利委員会は、総会が、事務総長に対し、子どもの権利に関連する特定の問題についての研究を委員会に代わって行なうよう要請することを勧告できる。
2.委員会は、1992年9月~10月に開催された第2会期で、1日を割いて「武力紛争における子ども」の問題に関する一般的討議を行なった。討議された主な論点としては、武力紛争における子どもの枠組みにおいて適用される現行の基準の妥当性および適切性、武力紛争の状況下にある子どもに効果的保護を確保するための措置、ならびに、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合の促進などがあった。第2会期に関する委員会の報告書(CRC/C/10、パラ61-77)ならびに第38回および第39回会合の議事要録(CRC/C/SR.38 and 39)に、委員会の第2会期で行なわれた諸論点についての討議の内容が反映されている。委員会は、第3会期(1993年1月11~29日)でこれらの問題についてさらに討議した。
3.委員会は、武力紛争における子どもという深刻な問題にいっそうの注意を向けるために、大規模な国際連合研究が実施されるべきであるとの結論に達した。現在の武力紛争において子どもたちが著しく苦しんでいることは明らかであり、また人道法の基準の違反がしばしば行なわれており、かつこれらの基準はあらゆる関連の状況を網羅しているわけではない。人道上のニーズを満たすために「平和の回廊」または「静穏の期間」を組織しようとする試みも、当事者によって常に歓迎されてはこなかった。したがって、これらの緊急の問題に対する国際的対応を見直し、かつその解決に対する新たなアプローチを議論することが必要である。そこで委員会は、条約第45条(c)にしたがい、総会に対して、事務総長が武力紛争の悪影響からの子どもの保護を向上させる方法および手段についての研究を実施することを要請するよう勧告する。この目的のため、事務総長として、関連の専門機関、その他の国際連合機関、非政府組織および赤十字国際委員会の協力を慫慂することも考えられる。
4.委員会は、事務総長に対し、この勧告に対する総会の注意を喚起して第48会期における検討に供するよう要請する。

付属文書VII
武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書予備草案(略)


  • 更新履歴:ページ作成(2017年2月17日)。