総括所見:ニュージーランド(第5回・2016年)


CRC/C/NZL/CO/5(2016年10月21日)/第73会期
原文:英語(平野裕二仮訳)

I.序

1.委員会は、2016年9月16日に開かれた第2138回および第2139回会合(CRC/C/SR.2138 and 2139参照)においてニュージーランドの第5回定期報告書(CRC/C/NZL/5)を検討し、2016年9月30日に開かれた第2160回会合において以下の総括所見を採択した。
2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させてくれた、締約国の第5回定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/NZL/Q/5/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルなかつ部門横断型の代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、前回の審査以降、締約国がさまざまな分野で達成した進展を歓迎する。これには、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の批准(2011年)、ならびに、被害を受けやすい立場に置かれた子ども法(2014年)ならびに子どもの権利に関連するその他の制度上および政策上の措置の採択が含まれる。委員会はまた、子どもの死亡率の削減に関する相当の進展も歓迎するものである。

III.主要な懸念領域および勧告

4.委員会は、締約国に対し、条約上のすべての権利の不可分性および相互依存性を想起するよう求めるとともに、この総括所見に掲げられたすべての勧告が重要であることを強調する。委員会は、緊急の措置をとることが必要とされる以下の勧告に対して締約国の注意を喚起したい――すなわち、暴力、虐待およびネグレクト(パラ23)、家庭環境を奪われた子ども(パラ28)、生活水準(パラ36)、マイノリティ集団または先住民族集団に属する子ども(パラ42)、児童労働(パラ44)ならびに少年司法(パラ45)である。

A.実施に関する一般的措置(第4条、第42条および第44条(6))

留保
5.委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ9)をあらためて繰り返し、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 一般的留保ならびに第32条第2項および第37条(c)に付した留保を撤回すること。
  • (b) 条約の適用をトケラウの領域にも拡張することを検討すること。
立法
6.委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ11)をあらためて繰り返し、締約国に対し、子どもに関連する国内法を条約と一致させるよう促す。委員会は、締約国が、条約のすべての規定と合致した包括的な子ども法の採択を検討するとともに、子ども、若者およびその家族法(1989年)について最近行なわれた改正および計画されている改正を含め、いかなる新法も条約の規定および原則と一致することを確保するよう、勧告するものである。
包括的な政策および戦略
7.前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ15)を想起しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約およびその最初の2つの選択議定書を実施するための包括的な政策および戦略を採択すること。この政策および戦略は、子どもの権利の促進および保護に関与している官民のセクターと協力し、子どもたちと協議し、かつ子どもの権利アプローチを基盤としながら策定されるべきである。このような政策は、締約国のすべての子どもおよび条約で対象とされているすべての分野を包含し、十分な人的資源、技術的資源および財源に裏づけられ、明確かつ十分な予算配分および時間枠を含み、かつ、フォローアップおよび監視のための機構を編入したものであることが求められる。
  • (b) 提案されている「被害を受けやすい立場に置かれた子ども省」について別の名称を検討するとともに、法律および政策において、スティグマにつながる可能性がある子どもの分類を行なわないようにすること。
  • (c) 「子ども影響評価:最善の実務のための指針」を完成させかつ実施するとともに、その使用を、公的資源の配分の際も含めて義務的とすること。
調整
8.条約の実施に関する調整機構として社会部門関連次官級委員会が設置されたこと、および、同委員会が子どもの権利条約モニタリンググループと連携していることには留意しながらも、委員会は、締約国が、同委員会に対し、その効果的運用のために必要な人的資源、技術的資源および財源、ならびに、さまざまな部門を横断して、国、地方および地域のレベルで条約の実施に関連する活動を調整するための十分な権限が与えられることを確保するよう、勧告する。
資源配分
9.子どもの権利実現のための公共予算(第4条)に関する一般的意見19号(2016年)に照らし、かつ前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ17)を想起しながら、委員会は、締約国に対して以下の措置をとるよう促す。
  • (a) すべての子ども関連支出を網羅した追跡システムを実施することにより、国家予算の策定において子どもの権利アプローチを採用すること。締約国はまた、いずれかの部門への投資がどのように子どもの最善の利益にかなうかについての影響評価を、当該投資が女子および男子に及ぼす異なる影響が測定されることを確保しながら実施するためにも、この追跡システムを活用することが求められる。
  • (b) 子どもたちとの対話を含む公的対話を通じて、かつ公的機関に説明責任を適正に履行させるための、透明なかつ参加型の予算編成を確保すること。
データ収集
10.実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約の全分野に関する包括的なデータ収集機構および情報システムを発展させること。データは、すべての子ども、ならびに、とくにマオリおよび太平洋諸島民の子ども、養護の対象とされている子ども、障害のある子ども、貧困下で暮らしている子ども、子どもの難民、庇護希望者および移住者ならびに被害を受けやすいその他の状況に置かれた子どもの状況に関する分析を容易にするため、年齢、性別、障害、地理的所在、民族的出身、国籍および社会経済的背景別に細分化されるべきである。
  • (b) データおよび指標が関連省庁の間で共有され、かつ、条約の効果的実施を目的とする政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のために活用されることを確保すること。
  • (c) 統計的情報の定義、収集および普及を行なうに際し、国際連合人権高等弁務官事務所の報告書「人権指標:測定・実施ガイド」(Human Rights Indicators: A Guide to Measurement and Implementation)[1] に掲げられた概念上および手法上の枠組みを考慮に入れること。
[1] www.ohchr.org/Documents/Publications/Human_rights_indicators_en.pdf より入手可能。
独立の監視
11.独立した人権機関の役割に関する一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもコミッショナーに対し、条約、その2つの選択議定書、および、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約の選択議定書にしたがって与えられている子ども関連の国内防止機関としての任務の適用を前進させかつ監視すること、ならびに、子どもからの苦情を受理し、調査しかつこれに対応することのための十分な人的資源、技術的資源および財源が与えられることを確保すること。
  • (b) 予算の提供における独立性も含め、子どもコミッショナー事務所の独立性のさらなる強化を検討すること。
普及、意識啓発および研修
12.委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ19および21)を想起し、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 親を含む一般公衆、養育者、教員、ユースワーカーおよび子どもとともに働くその他の専門家ならびに子どもたち自身によって条約の規定が広く知られることを確保するため、子どもコミッショナー事務所に対する意識啓発専用の資金拠出を増額する等の手段により、現状では限定的な意識啓発プログラム、キャンペーンおよび普及活動を強化すること。
  • (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(すべての法執行官、教員、保健従事者、ソーシャルワーカーおよび子どものケアのための施設の職員ならびに国家部門および地方政府の職員を含む)を対象とした、このような専門家の条約上の責任に関する体系的研修をさらに強化すること。
子どもの権利と企業セクター
13.委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ23)を想起し、かつ企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての一般的意見16号(2013年)に照らし、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 企業セクターが、とくに子どもの権利との関連で、国際的および国内的な人権基準、労働基準、環境基準その他の基準を遵守することを確保するための規制策を策定しかつ実施すること。
  • (b) 民間企業による子ども関連の必須サービスが条約の規定に一致する形で提供されることを確保すること。
  • (c) 環太平洋連携〔TPP〕貿易投資条約が〔子どもの権利〕条約の規定に合致したものになり、かつ、その批准が、子どもの最善の利益が正当に考慮されることを確保するため、市民社会および子どもたちとの協議によって進められることを確保すること。
  • (d) とくにビジネスと人権に関する指導原則にのっとり、締約国の管轄に服するニュージーランド企業その他の企業が国内外で行なう活動についての、子どもの権利に関するデュー・ディリジェンス(相当の注意)も含む企業の社会的責任指標を採択すること。

B.子どもの定義(条約第1条)

14.委員会は、締約国が、最低婚姻年齢を女子および男子の双方について18歳と定め、かつ、子ども、若者およびその家族法(1989年)の適用範囲を拡大して18歳未満のすべての者を対象とすること等の手段により、子どもの定義に関する国内法の矛盾に対応するために必要なあらゆる措置をとるよう勧告する。

C.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
15.委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ25)を想起し、締約国が、以下のものを含む措置をとることにより、あらゆる理由に基づく差別からの全面的保護を確保するよう勧告する。
  • (a) マオリおよび太平洋諸島民の子どもならびにその家族による教育、保健サービスおよび最低生活水準へのアクセスの格差に対応するため、緊急の措置をとること。
  • (b) 公衆の否定的態度と闘うための措置およびその他の差別防止活動を強化するとともに、必要であれば、被害を受けやすい状況に置かれた子ども(マオリおよび太平洋諸島民の子ども、民族的マイノリティに属する子ども、子どもの難民、移住者である子ども、障害のある子ども、レズビアン、バイセクシュアル、ゲイ、トランスジェンダーおよびインターセックスの子どもならびにこれらの集団の者とともに住んでいる子どもなど)のための積極的差別是正措置をとること。
  • (c) 子どもに対する差別の事案が、懲戒措置、行政上の制裁または必要であれば刑事的制裁等によって効果的に対応されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。
子どもの最善の利益
16.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が、家族紛争解決法(2013年)を改正して、この義務を遵守しなければならないとする明示的規定を含めるよう勧告する。委員会はまた、この権利が、とくに、家族法、社会保障法、養護の対象とされている子ども(とくにマオリの子ども)および親の量刑との関連でならびに難民認定手続において、すべての立法上、行政上および司法上の手続および決定に適切に統合されかつ一貫して適用されることを確保するための努力を強化することも、勧告するものである。締約国は、あらゆる関連の専門家に対し、あらゆる分野で子どもの最善の利益について判断し、かつそれを第一次的考慮事項として正当に重視することに関する指針を提供するための手続および基準を定めるよう奨励される。
生命、生存および発達に対する権利
17.委員会は、締約国が、マオリの子どもにとくに注意を払いながら、事故以外の原因による受傷から子どもを保護することおよび若者の自殺の根本的原因を防止し、特定しかつこれに対応することのために必要なあらゆる措置をとるよう勧告する。
子どもの意見の尊重
18.委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ27)を想起し、かつ意見を聴かれる子どもの権利についての委員会の一般的意見12号(2009年)に照らして、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 自己に影響を与えるすべての事案で意見を聴かれる子どもの権利を確保するため、家族紛争解決法(2013年)を含む法律を改正すること。
  • (b) 国家的政策の策定に関する公的協議(子どもに影響を与える問題に関する子どもたちとの協議を含む)を、高い水準のインク―ジョンおよび参加を前提としながら標準化するため、このような協議のためのツールキットを開発すること。

D.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条)

アイデンティティに対する権利
19.言語プログラムおよびテレビ番組等も通じてマオリのアイデンティティを保全するために締約国が行なっている努力は評価しながらも、委員会は、これらの努力が依然として不十分であることを懸念し、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 教育におけるマオリの言語、文化および歴史の促進および醸成を図り、かつマオリ語教室への編入率を高めるための努力を強化すること。
  • (b) 非マオリの親によって養子とされたマオリの子どもが自己の文化的アイデンティティに関する情報にアクセスできることを確保すること。
  • (c) 子どもに影響を与える法律および政策を策定するすべての政府機関が、マオリの文化的アイデンティティの集団的側面、および、マオリの子どものアイデンティティにとっての拡大家族(ファナウ)の重要性を考慮に入れることを確保すること。
プライバシーに対する権利
20.委員会は、「被害を受けやすい状況に置かれた子どものための公的サービス改善に向けた承認情報共有協定」が2015年に採択されたこと、および、締約国が子ども保護制度において予測リスクモデリングを活用しようとしていることに留意するとともに、締約国が、以下のものを含む手段をとることにより、プライバシーに対する子どもの権利を全面的に保護するために必要なあらゆる措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもおよびその家族に関する個人情報の収集、保存および共有を可能とするいかなる法律にも、子どもの最善の利益を考慮しなければならない旨の明示的要件が含まれることを確保すること。
  • (b) 予測リスクモデリングのあり方を定める「プライバシー・人権・倫理」枠組みが、このような実務から生じる可能性がある差別的効果を考慮に入れたものとされ、公表され、かつあらゆる関連の法律で参照されることを確保すること。
  • (c) 民族を理由として行なわれる可能性がある差別的実務の解消に特段の注意を払いながら、法執行および情報収集を目的として行なわれる監視の実施についての子どもの権利影響評価を実施すること。
適切な情報へのアクセス
21.学校におけるインターネットへのアクセスを向上させるために締約国が行なっている努力ならびに子どものオンラインセーフティに関する法律およびリソースの発展(有害なデジタル通信法(2015年)および学校向けの「ネットセーフキット」を含む)を歓迎しつつ、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) インターネットおよび情報へのアクセスを農村部に住んでいる子どもに対しても拡大すること。
  • (b) 放送基準局のテレビ放送コードおよび広告基準局の子ども向け広告コードで「子ども」に含まれていない14~17歳の子どもが、そのウェルビーイングにとって有害な情報および資料から十分に保護されることを確保すること。

E.子どもに対する暴力(第19条、第24条(3)、第28条(2)、第34条、第37条(a)および第39条)

暴力、虐待およびネグレクト
22.子どもの虐待およびネグレクトに対処するために締約国が行なっている多様な努力は歓迎しながらも、委員会は以下のことを依然として深刻に懸念する。
  • (a) 国の養護を受けている子どもの拷問または残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いに相当しうる暴力(抑制措置、および閉鎖型養護の形態をとった自由の剥奪の使用を含む)が発生していること。
  • (b) 国の養護において虐待およびネグレクトの被害を受けた子どもが、救済措置を求めるうえで困難に直面していること(苦情申立て機構について子どもの間で十分に知られていないこと、および、虐待事件を通報した子どもの被害者に提供される支援が不十分であることを含む)。
  • (c) とくにマオリおよび太平洋諸島民の子どもならびに障害のある子どもの間で身体的および心理的虐待ならびにネグレクトが引き続き蔓延していること、ならびに、あらゆる場面のあらゆる子どもを包含する、虐待およびネグレクトに対する包括的戦略が定められていないこと。
  • (d) あらゆる場面(家庭、学校および施設養護を含む)における子どもの虐待に関する包括的データが利用できない状態が続いていること。
  • (e) 子どもの虐待およびネグレクとの闘いにおいて、「被害を受けやすい状況に置かれた子ども計画」、「暴力介入プログラム」および「全国子ども保護警報システム」を評価するためにとられた措置が不十分であること。
  • (f) 子どもチームなどの現場のサービス提供機関が利用可能な資源が不十分であること。
23.あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)および持続可能な開発目標のターゲット16.2(子どもの虐待、搾取、人身取引ならびに子どもに対するあらゆる形態の暴力および拷問の廃絶)に照らし、かつ前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ35)を想起しながら、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 国の養護を受けている子どもに対する暴力の使用および虐待(抑制措置および拘禁の形態をとるものを含む)を根絶するための措置を速やかにとるとともに、子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家および職員が、必要な研修および監督を受け、かつ必要な背景照会の対象とされることを確保すること。
  • (b) 国の養護を受けている子どもに対する暴力および虐待の事案を速やかに捜査し、被疑者を訴追し、かつ加害者に対して適正な制裁を科すとともに、被害を受けた子どもが、子どもにやさしい通報のための経路、身体的および心理的リハビリテーションならびに保健サービス(精神保健サービスを含む)にアクセスできることを確保すること。
  • (c) マオリおよび太平洋諸島民の子どもならびに障害のある子どもに特段の注意を払いながら、あらゆる場面のあらゆる子どもを包含した、虐待およびネグレクトと闘うための包括的戦略を策定すること。
  • (d) 家庭、学校および施設養護において生じた子どもに対する暴力のあらゆる事案に関する全国的データベースを設置し、かつ、そのような暴力の規模、原因および性質に関する包括的評価を実施すること。
  • (e) 「被害を受けやすい状況に置かれた子ども計画」、「暴力介入プログラム」および「全国子ども保護警報システム」ならびに子どもの虐待およびネグレクトに対するその他の政策およびプログラムの有効性について、定期的なモニタリングおよび分析を実施すること。
  • (f) 子どもチームおよびその他の現場サービス機関に対し、通報された子どもの虐待事案に対して十分な対応をとるための、十分な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。
  • (g) マオリおよび太平洋諸島民の子どもならびに障害のある子どもに特段の注意を払い、かつ子どもたちの関与を得ながら、子どもの虐待を防止しかつこれと闘うための意識啓発プログラムおよび教育プログラム(キャンペーンを含む)をさらに強化すること。
性的搾取および性的虐待
24.児童性犯罪者登録簿の発展は歓迎しながらも、委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ52)を想起し、持続可能な開発目標のターゲット5.2(人身取引および性的その他の形態の搾取を含む、公私の領域におけるすべての女性および女子へのあらゆる形態の暴力の解消)に対して注意を喚起し、かつ締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 民族、ジェンダーおよび障害に特段の注意を払いながら、子どもの性的虐待と闘うための努力を強化し、かつ、子どもの性的虐待の事案の義務的通報を確保するための機構、手続および指針を確立すること。
  • (b) 適切な制度的対応を発展させるため、あらゆる場面(家庭、学校および養護のための施設を含む)における子どもの性的虐待の事案についての包括的なデータシステムを確立すること。
  • (c) 近親姦を含む性的虐待を防止するための意識啓発キャンペーンを実施し、そのような虐待の被害者に対するスティグマと闘い、かつ、そのような侵害を通報するための、アクセスしやすく、秘密が守られ、子どもにやさしくかつ効果的な回路を確保すること。
有害慣行
25.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 早期婚が子ども(とくに女子)の身体的および精神的健康およびウェルビーイングに及ぼす有害な影響についての、世帯、地方当局、宗教的指導者ならびに裁判官および検察官を対象とした意識啓発のためのキャンペーンおよびプログラムを発展させること。
  • (b) インターセックスの子どもに関する、子どもの権利を基盤とする保健ケア対応要綱(保健チームがしたがうべき手続および手順を定めたもの)を策定しかつ実施し、何人も乳児期または児童期に不必要な医学的治療または手術の対象とされないことを確保し、身体的不可侵性、自律および自己決定に対する子どもの権利を保障し、かつ、インターセックスの子どもがいる家族に対して十分なカウンセリングおよび支援を提供すること。
  • (c) 十分な情報に基づく同意を得ずに行なわれたインターセックスの子どもの手術その他の医学的治療の事件を速やかに調査するとともに、そのような治療の被害者に救済措置(十分な補償を含む)を提供するための法的規定を採択すること。
  • (d) 生物学的および身体的なさまざまな性的多様性ならびにインターセックスの子どもに対する不必要な手術その他の医学的介入がもたらす影響について、医療専門家および心理専門家を教育すること。
  • (e) インターセックスである16~18歳の子どもも、自己のインターセックス状態に関連する手術および医学的治療に無償でアクセスできるようにすること。

F.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条(1)および(2)、第20条、第21条、第25条および第27条(4))

家庭環境
26.委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ32)を想起し、締約国が、親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたり、地方レベルにおける時宜を得た対応によって適切な援助(子育てに際してカウンセリングを必要とする親向けのサービス、アルコールまたは薬物に関連する問題の治療のためのサービス、および、マオリおよび太平洋諸島民については、親としての役割を果たせるようにするための文化的に適切なサービスを含む)を行なうための努力を強化するよう、勧告する。
家庭環境を奪われた子ども
27.委員会は、子どもコミッショナーの報告書「養護白書」2015年版および2016年版、子ども・若者・家族の現代化専門家委員会の報告書、ならびに、両者の勧告に対応していくことについての締約国の決意を歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを深刻に懸念するものである。
  • (a) 子どもの最善の利益および自己に直接影響する決定についての子どもの意見が考慮されていないこと、ならびに、子ども中心アプローチが明確でないために子ども(とくにマオリの子どもおよび障害のある子ども)に対する実務に整合性が欠けていることを含めて、締約国の養護制度に欠陥があること。
  • (b) 最近行なわれている努力にもかかわらず、国の養護制度における文化的対応能力が依然として不十分であり、そのため国の養護を受けている子どもの半数以上をしめるマオリの家族および子どもに不均衡な影響が生じていること。
  • (c) 養護措置に配分される資源が不十分であること(ケース監督および養護職員の研修が不十分であることを含む)、養護者についても同様であること(そのために養護者の募集が阻害されている)、および、恒久的養護者が特別後見人としての地位を得る際に厳しい条件を課されていること(これは、子どものウェルビーイングに悪影響を与え、かつ子どもの最善の利益に逆行する可能性がある)。
  • (d) 養護を受けている最中および養護から離脱した後の子どもの状況(教育、健康およびウェルビーイングに関する状況を含む)に関するデータが不十分であること。
  • (e) 締約国が、説明責任を確保するための適切な枠組みを定めないまま、一部の養護サービスを民間のサービス提供者に外部委託しようとしていること。
28.子どもの代替的養護に関する指針(総会決議64/142付属文書)に対して締約国の注意を喚起しつつ、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 養護制度を改革する際、すべての事案で子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることおよび自己に影響を与えるすべての事柄について子どもの意見が聴かれることを確保し、養護制度全体を通じて子ども中心アプローチの共通理解を確保し、かつ、マオリの子どもおよび障害のある子どもに特段の注意を払いながら、改革の実施およびそれが子どもの状況に及ぼす影響を恒常的に監視すること。
  • (b) 国の養護を受けているマオリの子どもが過剰に多い問題に対処する目的で、「養護白書」と題する子どもコミッショナーの2015年の報告書 [2] の勧告を実施する等の手段により、養護・保護制度の文化的対応能力ならびにマオリのコミュニティ、ファナウ(拡大家族)、ハプ(準部族集団)およびイウィ(部族集団)への関与を向上させるための努力を強化すること。
  • (c) 養護サービス、とくに養護措置、養護の監督および養護者に対して十分な人的資源、技術的資源および財源を配分するとともに、後見に関する決定において子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保すること。
  • (d) 養護・保護制度の改善に対して科学的証拠に基づくアプローチを採用するため、養護を受けている最中および養護から離脱した後の子どもの状況(教育、健康およびウェルビーイングに関する状況を含む)に関するデータ収集を向上させること。
  • (e) 民間の養護サービス提供者へのいかなる外部委託も、条約の規定の遵守について緊密に監視の対象とされることを確保すること。
  • (f) 新たな運用モデルへの移行中およびその後に子どもの権利が全面的に尊重されるよう、社会開発省子ども・若者・家族局の改革が、十分な人的資源、技術的資源、財源および組織的資源によって裏づけられることを確保すること。
[2] www.occ.org.nz/assets/Publications/OCC-State-of-Care-2016.pdf より入手可能。
養子縁組
29.委員会は、養子縁組法(1955年)および成人養子縁組情報法(1985年)は年齢、性別、婚姻に関わる地位および障害を理由とする差別を行なっていると宣言した、2016年3月のニュージーランド人権審査審判所決定を歓迎する。前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ34)を想起しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 2003年から保留となっている養子縁組法制の再検討を、条約との整合性を図る目的で速やかに進めること。
  • (b) すべての養子縁組事案で子どもの最善の利益が最高の考慮事項とされることを確保すること。
  • (c) 養子縁組手続において、子どもの発達しつつある能力にしたがって子どもの意見が聴かれ、かつ子どもの同意が要件とされることを実際に確保すること。
  • (d) 自己の生物学的親、自己の文化およびアイデンティティに関する情報にアクセスする子どもの権利を確保すること。

G.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条(3)、第23条、第24条、第26条、第27条(1)~(3)および第33条)

障害のある子ども
30.子ども障害手当、総合的集中個別支援および家族ファナウ手話ファシリテーターサービスをはじめとして締約国がとった措置は歓迎しながらも、障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 障害のある子どもの権利の充足について包括的な、子どもの権利に基づく、かつ参加型のアプローチをとるとともに、障害行動計画においてこれらの子どものニーズが考慮されることを確保すること。
  • (b) 障害のあるマオリの子ども、貧困下で暮らしている障害のある子どもおよび複合的障害のある子どもに特段の注意を払いながら、保健、教育、ケアおよび保護のためのサービスへのアクセスに関する障害のある子どもの周縁化および差別と闘うための努力を強化するとともに、障害のある子どもに対するスティグマおよび偏見と闘い、かつこれらの子どもの肯定的イメージを促進する目的で、政府職員、公衆および家族を対象とした意識啓発キャンペーンを実施すること。
  • (c) インクルーシブ教育を発展させるための包括的措置を確立するとともに、インクルーシブ教育が分けられた施設および学級への子どもの措置よりも優先されること、ならびに、受給資格のあるサービスについて障害のある子どものいる家族が知っていることを確保すること。
  • (d) 学校におけるいじめの発生を防止するために、いじめ防止プログラムを実施すること。
  • (e) 知的障害(義務的ケアおよびリハビリテーション)法(2003年)に基づいて義務的入所ケアの対象とされた障害児の権利侵害について地区査察官が行なう調査の評価を実施すること。
  • (f) 十分な情報に基づく自由な事前同意を得ずに行なわれる障害児の不妊手術を禁止する法律を採択するとともに、重度障害のある子どものために、自己に影響を与える決定の際に独立の立場からの権利擁護が行なわれることを確保すること。
  • (g) 適切な政策およびプログラムを整備するために必要な、障害のある子どもに関する包括的なかつ細分化されたデータを、恒常的かつ体系的に収集するシステムを確立すること。
健康および保健サービス
31.前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ38)を想起するとともに、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、かつ持続可能な開発目標のターゲット3.2(新生児および5歳未満児の予防可能な死亡に終止符を打つこと)に留意しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) マオリおよび太平洋諸島民の子どもに特段の注意を払いながら、年齢にふさわしい精神保健サービスを含む保健サービスへのアクセスをすべての子どもに対して確保するため、速やかに必要な措置をとること。
  • (b) とくにマオリ、太平洋諸島民および貧困下で暮らしている子どもを対象として、住宅環境を向上させる等の手段により、予防可能な疾病および感染症の蔓延を少なくするための即時的措置をとること。
  • (c) 子どもが副流煙に晒されないようにするため、成人を対象とした、あらゆる適切な法律上および教育上の措置をとること。
思春期の健康
32.思春期の健康に関する一般的意見4号(2003年)に照らし、委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ42)を想起し、締約国が、学校で青少年に対して適切なリプロダクティブヘルスサービス(リプロダクティブヘルス教育を含む)を提供し、かつ青少年を対象として健康的なライフスタイルを促進するための努力を強化するよう、勧告する。
母乳育児
33.委員会は、締約国が、完全母乳育児の利点に関するマオリ住民(とくに母親)の意識を高めることにとくに焦点を当てながら、生後6か月まで母乳のみで育てられる乳児の人数を増やすよう勧告する。
気候変動が子どもの権利に及ぼす影響
34.委員会は、とくにマオリおよび太平洋諸島民の子どもならびに低所得環境で生活している子どもについて、気候変動が子どもの健康に有害な影響を及ぼしていることを懸念する。委員会は、持続可能な開発目標のターゲット13.5(気候変動関連の効果的な計画・管理能力を高めるための機構の促進)への注意を喚起するとともに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 気候変動による影響を受ける可能性がもっとも高い集団の子ども(マオリおよび太平洋諸島民の子どもならびに低所得環境で生活している子どもを含む)に特段の注意を払いながら、気候変動および災害リスク管理の問題に対応する政策またはプログラムの策定において、子どもの特別な脆弱性およびニーズならびに子どもの意見が考慮されることを確保すること。
  • (b) 気候変動関連の立法および政策の参考とするため、子どもに特段の注意を払いながら、健康影響評価を恒常的に実施すること。
生活水準
35.子どもの貧困解決に関する専門家諮問委員会の任命等を通じ、締約国における子どもの貧困の広がりに対して公的な議論および関心が向けられていることは歓迎しながらも、委員会は、子どもの貧困が依然として広く蔓延していること、および、十分な生活水準および十分な住居へのアクセスについての子どもの権利に対して剥奪状況が及ぼす効果によって健康、生存および発達ならびに教育への悪影響が生じていることを、深く懸念する。委員会は、これらの権利の享受に関してマオリおよび太平洋諸島民の子どもが引き続き格差に直面していることをとりわけ懸念するものである。委員会はさらに、制裁をともなう最近の福祉・給付改革が、給付に頼っている世帯で生活している子どもに及ぼす影響について懸念を覚える。
36.委員会は、持続可能な開発目標のターゲット1.3(すべての者を対象とした、全国的に適切な社会保護制度および社会保護措置の実施)およびターゲット11.1(すべての者を対象とした、十分、安全かつ負担可能な住居へのアクセスの確保)への注意を喚起するとともに、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 貧困の国家的定義を確立することも含め、子ども、とくにマオリおよび太平洋諸島民の子どもの貧困への対応に関する制度的アプローチを導入すること。
  • (b) 子どもの貧困に直接的かつ包括的に対処するために必要な資源の配分を相当程度増やすとともに、積極的な社会的措置を必要としている可能性がある、不利な立場、被害を受けやすい状況および貧困状況に置かれている子どものための予算科目が、たとえ経済危機、自然災害その他の緊急事態の状況下にあっても十分に確保され、かつ保護されることを確保すること。
  • (c) 社会的保護のための機構を強化するとともに、すべての子どもに安全かつ十分な住居を提供するための努力を強化すること。
  • (d) 貧困削減戦略に掲げられた子どもの権利充足のための戦略および措置を強化する目的で、子どもの貧困の問題に関する焦点化された協議を、家族、子どもたちおよび子どもの権利に関わる市民社会組織との間で持つことを検討すること。

H.教育、余暇および文化的活動(第28条~31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
37.持続可能な開発目標のターゲット4.a(子ども、障害およびジェンダーに配慮した教育施設の建設および改善、ならびに、すべての者を対象とした安全な、非暴力的な、インクルーシブなかつ効果的な学習環境の提供)に留意し、かつ前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ46)を想起しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 継続されている教育法(1989年)の見直しが、条約の規定および原則を遵守する形で、かつ子どもたちとの協議を踏まえて進められることを確保すること。
  • (b) 教育に配分される予算が、経済危機またはその他の財政的要因がある場合にも質量ともに十分であり、かつ保護されることを確保すること。
  • (c) 条約および教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)にのっとった、代替的教育に関する十分な規範的枠組みを策定しかつ実施するとともに、代替的教育の計画および施設(新たに設置されたパートナーシップスクールを含む)の質の評価を定期的に実施すること。
  • (d) 子どもに対して十分な社会的および心理社会的支援を提供する等の手段により、障害のある子どもならびにマオリおよび太平洋諸島民の子どもが過剰に懲戒手続の対象とされている状況に終止符を打つための措置をとるとともに、懲戒措置としての退学または停学は最後の手段としてのみ用いること。
乳幼児期の発達
38.持続可能な開発目標のターゲット4.2(すべての女子および男子が良質な乳幼児期の発達、ケアおよび就学前教育にアクセスできることの確保)に留意し、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 低層の社会経済的背景を有する子どもならびにマオリおよび太平洋諸島民の子どもが乳幼児期のケアおよび教育に効果的にアクセスできることを確保するために必要な措置をとること。
  • (b) 少なくとも低層の社会経済的背景を有する子どもについては無償であること、および、ケアを担当する職員が十分な研修を受けていること(マオリおよび太平洋諸島民の文化に関する研修を含む)を確保しながら、乳幼児期のケアおよび教育の提供および質に対してさらなる投資を行なうこと。
休息、余暇、レクリエーションならびに文化的および芸術的活動
39.締約国の努力は歓迎しながらも、委員会は、休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する子どもの権利についての一般的意見17号(2013年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国が、休息、遊びおよび余暇に対するすべての子どものアクセスを向上させ、かつ、遊びおよび野外活動(学校外ケア・レクリエーション補助モデルに基づくものを含む)へのアクセス面で存在している不平等に対処するための努力を強化するよう勧告する。

I.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38~40条)

子どもの庇護希望者および難民
40.委員会は、締約国が、家族再統合に対する子どもの権利の尊重を確保し、永住許可証の発給において子どもの最善の利益が第一次的に考慮されるようにし、かつ難民認定手続において子どもの意見および最善の利益が考慮されることを確保する目的で、2013年出入国管理(多数の集団の到着)法を改正するよう勧告する。委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ46)を想起し、締約国が、障害のある子どもに特段の注意を払いながら、子どもの庇護希望者および難民の統合ならびにこれらの子どもによるサービスへのアクセスを促進するための努力を強化するよう勧告するものである。
マイノリティ集団または先住民族集団に属する子ども
41.ファナウ・オラ〔家族の健康〕など文化的に適切なプログラムを実施するために締約国が行なっている努力は歓迎しながらも、委員会は、マオリおよび太平洋諸島民の子どもが締約国において直面している構造的および制度的不利益について、依然として深刻な懸念を覚える。
42.先住民族の子どもとその条約上の権利に関する委員会の一般的意見11号(2009年)を参照しながら、委員会は、締約国に対し、マオリおよび太平洋諸島民の子どもが権利を全面的に享受できるようにするための包括的なかつ部門横断型の戦略を、これらの子どもたちおよびそのコミュニティと緊密に協力しながら策定するよう促す。
経済的搾取(児童労働を含む)
43.委員会は、労働健康安全法が2015年に採択されたことには留意するものの、以下のことを深刻に懸念する。
  • (a) 就業が認められるための最低年齢が引き続き定められていないこと。
  • (b) 働いている子どもが業務災害の被害を受けやすく、かつ労働者の保護がより弱い不定期契約を結ばされやすいことを認めた子どもに特化した規定が労働健康安全法に存在しないこと。
  • (c) 危険物質の取扱いに関する規制第54号で提案されている新たな保護から15歳以上の子どもが除外されていること。
  • (d) 新たな「就労開始時賃金」イニシアティブ等においても、16歳未満の労働者に対する最低賃金保障がいまなお存在しないこと。
  • (e) 働いている子どもまたは働きたいと考えている子どもの間で、自己の権利に関する意識が不十分であること。
44.委員会は、前回の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ50)を想起し、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 国際基準にのっとって就業が認められるための最低年齢を定めること。
  • (b) 働いている子どもが業務災害の被害を受けやすいことを認識しかつこれに対処すること、および、いかなる態様の契約(不定期契約を含む)のもとでもこれらの子どもの権利が尊重されることを確保する目的で、労働健康安全法を改正すること。
  • (c) 働いている18歳未満のすべての子どもが危険な労働から保護されることを確保するため、規則第54号案を再検討すること。
  • (d) 新たな「就労開始時賃金」イニシアティブ等において、16歳未満で働いている子どもについての最低賃金保障を確立すること。
  • (e) 子どもおよびその親を対象とした、働く子どもの権利についての意識啓発プログラム(キャンペーンを含む)を実施すること。
  • (f) 国際労働機関の最低就労年齢条約(1973年、第138号)の批准を検討すること。
少年司法の運営
45.締約国が少年司法の分野で進展を達成していないことを遺憾に思い、従前の勧告(CRC/C/NZL/CO/3-4、パラ56およびCRC/C/15/Add.216、パラ50)を想起し、かつ少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)に照らして、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 委員会の一般的意見10号ならびにとくにそのパラ32および33にしたがって刑事責任に関する最低年齢を引き上げること。
  • (b) 刑事上の成年を18歳に引き上げること。
  • (c) 条約第37条(c)に付した留保を速やかに撤回し、かつ、自由を奪われたいかなる子どもも、男女を問わず、すべての拘禁場所において成人から分離されることを確保すること。
  • (d) 警察の留置場における子どもの拘禁を少なくし、拘禁環境を改善し、かつ、拘禁の使用を最後の手段およびもっとも短い期間に限定することを目的として、「警察によって拘禁された若者に関する合同テーマ別検証」で行なわれた勧告を実施するための努力を強化すること。
  • (e) 警察の文化的対応能力を向上させることおよび人種的偏見の訴えについて調査を行なうこと等の手段により、マオリおよび太平洋諸島民の子どもおよび若者が過剰に少年司法制度の対象とされている状況に対処するための努力を強化すること。
カンタベリー地震で被災した子ども
46.委員会は、締約国が、カンタベリーの子どもに対する精神保健サービスおよびカウンセリングサービス(学校で提供されるものを含む)に十分な資金が配分されることを確保するとともに、災害後の回復および復興の取り組みにおいて子どもの権利(意見を聴かれる権利および自己の最善の利益を第一次的に考慮される権利を含む)を考慮するための指針を策定するよう、勧告する。
武力紛争における子どもについての選択議定書に関する委員会の前回の総括所見および勧告のフォローアップ
47.委員会は、締約国が委員会の勧告(CRC/C/OPAC/CO/2003/NZL/1)の実施に関する十分な情報を提供しなかったことを遺憾に思い、締約国に対し、この点に関する包括的かつ詳細な情報を次回の報告書で提供するよう促す。さらに委員会は、締約国が、国以外の武装集団による18歳未満の者の徴募および敵対行為における使用を明示的に禁止しかつ犯罪化するとともに、選択議定書上のすべての犯罪について域外裁判権を設定しかつ行使するよう、勧告するものである。

J.通報手続に関する選択議定書の批准

48.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、通報手続に関する条約の選択議定書を批准するよう勧告する。

K.国際人権文書の批准

49.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、まだ締約国となっていない中核的人権文書、とくにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約の批准を検討するよう勧告する。

L.地域機関との協力

50. 委員会は、締約国が、とくに東南アジア諸国連合・女性および子どもの権利の促進および保護に関する委員会と協力するよう勧告する。

IV.実施および報告

A.フォローアップおよび普及

51.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、第5回定期報告書、事前質問事項に対する締約国の文書回答およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。

B.次回報告書

52.委員会は、締約国に対し、第6回定期報告書を2021年5月5日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2014年1月31日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.3)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短縮するよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できない。
53.委員会はまた、締約国に対し、国際人権条約に基づく報告についての調和化ガイドライン(共通コアドキュメントおよび条約別文書についてのガイドラインを含む)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件(HRI/GEN/2/Rev.6, chap.I参照)および総会決議68/268のパラ16にしたがい、最新のコアドキュメントを、42,400語を超えない範囲で提出することも慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2017年2月3日)。