総括所見:ネパール(第3~5回・2016年)


CRC/C/NPL/CO/3-5(2016年7月8日) and CRC/C/NPL/CO/3-5/Corr.1(2016年7月27日)/第72会期 ※日本語訳には正誤表による訂正を反映させた。
原文:英語(平野裕二仮訳)

I.序

1.委員会は、2016年5月19日および20日に開かれた第2110回会合および第2111回会合(CRC/C/SR.2110 and 2111参照)においてネパールの第3回~第5回統合定期報告書(CRC/C/NPL/3-5)を検討し、2016年6月3日に開かれた第2132回会合(CRC/C/SR.2132参照)において以下の総括所見を採択した。
2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させてくれた、締約国の第3回~第5回統合定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/NPL/Q/35/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、多部門にまたがる締約国の代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、以下の文書について批准または加入が行なわれたことを歓迎する。
  • (a) 障害のある人の権利に関する条約およびその選択議定書(2010年)。
  • (b) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書(2007年)。
  • (c) 国際労働機関の先住民および部族民条約(第169号、1989年)(2007年)。
4.委員会は、以下の立法措置がとられたことに、評価の意とともに留意する。
  • (a) 2015年のネパール憲法。
  • (b) ジェンダー平等の維持およびジェンダーを理由とする暴力の終了のために一部のネパール法を改正する2015年の法律。
  • (c) 2012年の国家人権委員会法。
5.委員会は、とくに以下の政策上の措置を歓迎する。
  • (a) 児童婚対策国家戦略(2016年)。
  • (b) 部門横断栄養計画(2013~2017年)。
  • (c) 国家子ども政策(2012年)。
  • (d) 児童債務労働対策国家行動計画(2009年)。

III.条約の実施を阻害する要因および困難

6.委員会は、2015年の地震の影響が続いていることによって条約に掲げられた諸権利の実施が阻害されていることに留意するとともに、締約国がこれに関連した努力を引き続き行なうよう勧告する。

IV.主要な懸念領域および勧告

A.実施に関する一般的措置(第4条、第42条および第44条(6))

立法
7.委員会は、子どもの権利を認めた2015年憲法の採択を歓迎する。しかしながら委員会は、子ども法案において、締約国の立法に対する包括的な、統合された、かつ権利を基盤とするアプローチが定められておらず、かつ主要な文言または権限が十分に定義されていないことを懸念するものである。
8.委員会は、締約国が、この総括所見に照らして条約実施のための包括的な、統合された、かつ権利を基盤とする立法枠組みを採用する目的で、子ども法案を見直すよう勧告する。締約国は、その際、自国の法律に定められたすべての子ども関連の規定が条約にのっとったものとなることを確保するべきである。締約国はまた、当該立法枠組みにおいて、その効果的実施を確保するために主要な文言および権限が十分に定義されるようにすることも求められる。
包括的な政策および戦略
9.委員会は、締約国が、2004/5年度から2014/15年度を対象とする子どものための国家行動計画を採択したことに、積極的対応として留意する。しかしながら委員会は、当該行動計画の評価がまだ行なわれていないことを懸念するものである。さらに委員会は、現在進められている締約国のさまざまな部門別国家計画に相当量の重複があり、かつ、その効果的実施のための十分な詳細、指標、達成目標および時間軸が欠けていることを懸念する。
10.委員会は、締約国が、条約で対象とされているすべての分野を包含する子どもについての包括的な政策を作成する目的で、従前の国家行動計画の評価を実施するよう勧告する。さらに、締約国は、部門別の諸計画を首尾一貫したやり方で調整する戦略を策定するとともに、これらの計画に対して十分な人的資源、技術的資源および財源が提供されることを確保するべきである。
調整
11.委員会は、締約国に対し、条約の実施に関わるあらゆる活動の調整、監視および評価のための、省庁および諸部門を横断した単一の機構を指定しまたは設置するべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ23)に関する措置をとるよう促す。このような機関は、国家計画委員会との緊密な調整の対象とされ、かつその職務を効果的に遂行するための強力な権限ならびに十分な人的資源、技術的資源および財源を提供されるとともに、市民社会の構成員、子どもの権利の専門家その他の専門家ならびに政府代表の参加を得たものであるべきである。
資源配分
12.委員会は、近年、子どもの権利の充足のために配分される資源が増えていること、ならびに、子どもにやさしい地方行政に関する国家的枠組み(2009年)およびそれにともなう実施指針(2010年)が採択されたことを歓迎する。にもかかわらず、委員会は以下のことを依然として懸念するものである。
  • (a) とくに子どものために配分される資源が引き続き不十分であること。
  • (b) 子どものニーズへの対応を目的とした国による資源の動員が限られており、かつ汚職によって相当程度妨げられていること。
  • (c) 2015年の地震への対応として国際協力を通じて提供された資源の活用の有効性、効率性および透明性が不十分であること。
13.委員会の見解は以下のとおりである。
  • (a) 委員会は、 条約第4条の実施を強化する目的で、かつ第2条、第3条および第6条に照らし、締約国が、利用可能な資源を最大限に用いて、かつ権利を基盤とするアプローチを活用しながら子どもの権利の実施を確保するための予算配分を優先させるべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ28)をあらためて繰り返す。
  • (b) 委員会は、締約国が、実効的な訴追および相応の制裁を確保することを通じて汚職と闘うための努力を強化する等の手段により、資源を動員するための努力を増進させるよう勧告する。
  • (c) 委員会は、締約国に対し、資源が、国際協力の枠組みのなかで、子どもに対するサービスを想定したインフラの再建を優先させながら、効率的に、有効にかつ透明なやり方で配分されることを確保するよう促す。
データ収集
14.委員会は、条約に一致し、かつジェンダー、年齢、地方行政区および被扶養関係別に細分化されたデータ収集および指標のシステムを発展させるべきである旨の、締約国に対する前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ30)をあらためて繰り返す。委員会は、締約国が、この点に関してとくに国際連合児童基金(ユニセフ)の技術的援助を求めるよう勧告するものである。
独立の監視
15.委員会は、締約国の国内人権機関であるネパール国家人権委員会の独立性が国家人権委員会法(2012年)によって阻害されていることを懸念する。同法は、委員会の職員の任命および費用を政府の承認の対象とし、かつ、人権侵害のすべての申立てが発生から6か月以内に提出されなければならないとしているためである。委員会はまた、子どもの権利侵害に関する苦情の受理を任務とする専門の国家機関が存在しないこと、および、いまのところ、国家人権委員会のなかで締約国における子どもの権利を監視するようとくに指定された職員がひとりしかいないことも懸念する。
16.子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割についての一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国が、職員の任命、資金拠出、権限および免責特権との関連も含めて人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)との全面的一致を確保する目的で国家人権委員会法を改正することにより、ネパール国家人権委員会の独立性を確保するよう勧告する。締約国はまた、子どもによる苦情を子どもに配慮したやり方で受理し、調査しかつこれに対応し、被害者のプライバシーおよび保護を確保し、かつ被害者のためのモニタリング、フォローアップおよび検証の活動を行なうことのできる、子どもに関するモニタリングのための具体的な機構または部署を国家人権委員会内に設置することも検討するとともに、当該機構または部署に対して十分な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保するべきである。この目的のため、委員会は、締約国が、とくに国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)、ユニセフおよび国際連合開発計画の技術的協力を求めるよう勧告する。
普及、意識啓発および研修
17.委員会は、条約の規定および原則がおとなおよび子どもの間で同様に広く認識されかつ理解されることを確保するための努力を強化するべきである旨の、締約国に対する前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ32)をあらためて繰り返す。委員会はまた、締約国に対し、子どもおよびその親ならびに子どものためにおよび子どもとともに働く専門家集団(とくに議員、裁判官、弁護士、法執行官、公務員、子どもを対象とする施設および拘禁場所で働く職員、教員、保健従事者ならびにソーシャルワーカー)を対象として、条約の権利に関する体系的な教育および研修を実施することも勧告するものである。委員会は、締約国が、この点に関してユニセフおよびOHCHRの技術的援助を求めることを検討するよう勧告する。

B.子どもの定義(第1条)

18.委員会は、子ども法案で条約にのっとった子どもの定義が定められていることには留意しながらも、現在のところ成人年齢が16歳とされており、かつ、18歳未満のすべての子どもが条約に基づく全面的保護を享受できるわけではないことを懸念する。
19.委員会は、締約国が、自国のすべての法律が条約に一致することを確保し、かつ18歳未満のすべての子どもが条約に基づく全面的保護を享受できることを確保するため、子どもの定義を速やかに改正するよう勧告する。

C.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
20.委員会は、新憲法の差別禁止規定を歓迎する。しかしながら、差別が法律で禁止されているにもかかわらず、委員会は、とくにジェンダー、血統、民族、宗教、社会的立場および障害を理由とする差別がいまなお蔓延していることを依然として懸念するものである。とくに、委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) とくに保健部門および教育において、ジェンダー差別があらゆる側面でいまなお著しく蔓延していること。
  • (b) カーストを理由とするダリットへの事実上の差別が根強く残っており、その結果、ダリットが周縁化されたコミュニティで暮らしていて、教育および公共の場所(水源および礼拝場所を含む)へのアクセスを妨げられていること。
21.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 女子が生活のあらゆる側面、とくに家族関係、刑事および民事の司法制度ならびに財産権において男子と同一の権利および資格を享受できることを確保するため、法律の効果的実施を確保すること。
  • (b) 家父長制的価値観およびジェンダーに関するステレオタイプを解消する目的で意識啓発活動を実施すること。
  • (c) ダリットの子どもに対する差別、スティグマ化および社会的排除と闘うための努力を強化するとともに、その際、これらの子どもが他のコミュニティに統合することの促進を目的とした対象の明確なプログラム(意識啓発プログラムを含む)を確立し、かつ、教育および公共の場所への差別のないアクセス権が執行されることを確保すること。
子どもの最善の利益
22.委員会は、憲法においても他のいかなる法律においても「子どもの最善の利益」への言及がないことを懸念する。
23.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)を参照しながら、委員会は、締約国が、あらゆる関連の法律に子どもの最善の利益を意思決定の基準のひとつとして明示的に含めるとともに、この権利が、すべての立法上、行政上および司法上の手続および決定、ならびに、子どもに関連し、かつ子どもに影響を与えるすべての政策、プログラムおよびプロジェクトに適切に統合されかつ一貫して適用されることを確保するために、さらなる措置をとるよう勧告する。これとの関連で、締約国は、公的権限を有するすべての関係者に対し、あらゆる分野で子どもの最善の利益について判断することに関する指針を提供するための手続および基準を定めるよう、奨励されるところである。
子どもの意見の尊重
24.委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ40)をあらためて繰り返す。
  • (a) 条約第12条にしたがい、社会のあらゆる分野、とくに家庭、学校およびコミュニティにおいて、自己に影響を与えるすべての事柄について子どもの意見の尊重を促進しかつそのための便宜を図り、かつ子どもの参加を確保すること。
  • (b) とくに監護権をめぐる紛争および子どもに影響を与えるその他の法的手続において、子どものが聴かれ、かつその意見が考慮されるよう、法律を改正すること。
  • (c) 子どもの意見が考慮されるようにし、かつ子どもの参加を可能とする目的で、とくに親、教員、政府行政機関の職員、司法関係者および社会一般に対し、子どもの権利に関する教育的情報を提供すること。

D.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条)

出生登録
25.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ43)をあらためて繰り返し、締約国に対し、すべての子どもが出生時に登録されることを確保するための努力(意識啓発キャンペーンを含む)を強化するよう促す。これとの関連で、委員会は、出生登録の事務を委ねられた地方政府当局が、出生が時機を失することなく実効的に登録されることを確保するために積極的に地域コミュニティの関与を得ることを、締約国が確保するよう勧告するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、とくにユニセフ、非政府組織および市民社会の他の構成員の援助を求めるよう促す。
国籍
26.委員会は、多くの子どもがネパール国籍の取得にあたって障害を経験していることを懸念する。委員会は、とくに以下のことを懸念するものである。
  • (a) 血統によるネパール市民権の取得が、子どもの父および母の両方がネパール市民であるという証拠の存在を条件としていること。さらに、そこでは母が婚姻していない子ども、母がネパール人であって父が外国人であるまたは父が知れない子ども、親が難民でありまたは市民権を証明できない子ども、および、両親が同性である子どもが除外されている。
  • (b) 母がネパール人であって父がネパール国民ではない子どもが成人に達するまでネパール市民権を付与されないため、成人まで無国籍となるおそれにさらされること。
  • (c) ネパール人の母からその子どもへの市民権の継承に関する基準が依然として差別的であること。そこでは、母のネパール居住が要件とされ、永住者ではない女性が出産した子は除外され、かつ、付与された市民権も、従前は特定されていなかった子どもの父が外国人であったことが後に証明された場合、取消しの対象となるためである。
27.委員会は、締約国が、条約第7条および第8条との全面的一致を確保するため、関連の法律、とくに出生、死亡その他の身元事項(人口動態登録)法(1976年)、市民権法(2006年)ならびに憲法第11条第3項、第11条第5項および第11条第7項を優先的課題として改正するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、以下の措置をとることにより、国籍の継承に関する法律を改正することも勧告するものである。
  • (a) 双方の親が市民権を証明しなければならないという要件を削除すること。
  • (b) 親の性別にかかわらず、親の一方の市民権の証明を通じて血統による市民権の取得を可能とすること。
  • (c) 子どもが血統によるネパール国籍の取得を出生時に行なえるようにすること。

E.子どもに対する暴力(第19条、第24条(3)、第28条(2)、第34条、第37条(a)および第39条)

拷問および他の残虐なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰
28.委員会は、子どもの拷問および不当な取扱いに対処するために締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら委員会は、以下のことを依然として深く懸念するものである。
  • (a) 拘禁施設および入所ホームにおいて子どもの拷問および不当な取扱いが広く行なわれているという報告があること。
  • (b) 子どもの超法規的殺害、強制的失踪および拷問が処罰されていないこと(同国の内戦中に行なわれたこのような人権侵害について依然として説明責任が履行されていないことを含む)。
  • (c) 国際法上の犯罪(拷問および強制的失踪を含む)を犯罪化する国内法が定められていないこと。これにより、このような行為に対する法的対応は懲戒手続および金銭的補償に限られてしまうことから、このような犯罪の被害を受けた子どもおよびその家族による司法および補償へのアクセスが阻害されている。
29.あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての委員会の一般的意見13号(2011年)および持続可能な開発目標のターゲット16.2(虐待、搾取、人身取引ならびに子どもに対するあらゆる形態の暴力および拷問の廃絶)を参照しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもが最後の手段としてでなければ拘禁されないことを確保し、かつ入所ケア施設の定期的査察のための独立機構を設置する等の手段により、あらゆる場面における子どもの拷問および不当な取扱いに終止符を打つための努力を強化すること。
  • (b) 内戦中および内戦後に行なわれたとされる子どもの拷問および不当な取扱いのすべての事案について独立の立場からの調査を速やかに開始すること、あらゆる決定レベルでこれらの慣行を命じ、黙認しまたは促進したすべての者が訴追され、かつ相応な制裁の対象とされることを確保すること、ならびに、拷問および不当な取扱いの被害を受けた子どもが救済および十分な補償(身体的および心理的回復ならびに再発防止の保証を含む)を得ることを確保すること。
  • (c) 国内法を、拷問およびその他の形態の不当な取扱いの明示的犯罪化を要求する国際基準と一致させるために改正すること。
体罰
30.委員会は、憲法第39条第7項で体罰が禁じられていることを歓迎する。しかしながら委員会は、子どもの権利に関連するすべての法律で体罰が明示的に禁じられているわけではなく、かつ、家庭、学校ならびにその他の施設および諸形態の子どものケアにおいて体罰が依然として蔓延していることを、依然として懸念するものである。
31.委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ48)をあらためて繰り返す。
  • (a) 家庭、学校その他の施設における子どもの体罰および不当な取扱いを法律で明示的に禁止すること。
  • (b) 条約第19条との一致を確保するため、子ども法および1963年ムルキアイン(民法)の関連規定の改正プロセスを速やかに進めること。
  • (c) 体罰および不当な取扱いが子どもに及ぼす悪影響についての情報を、親、教員および子ども(とくに施設の子ども)とともに働く専門家に対して提供するための意識啓発キャンペーンを強化するとともに、このプロセスに子どもおよびメディアの積極的関与を得ること。
  • (d) 積極的な、参加型かつ非暴力的形態のしつけおよび規律の維持が、体罰に代わる手段として、社会のあらゆるレベルで、子どもの人間の尊厳と一致する方法でかつ条約(とくに第28条2項)にしたがって行なわれることを確保すること。
虐待およびネグレクト
32.委員会は、子どもの虐待およびネグレクトが蔓延しており、かつこのような状況に対応する法律が定められていないこと、ならびに、虐待および(または)ネグレクトの事案に対応するための効果的なかつ子どもにやさしい通報機構が存在しないことを懸念する。
33.一般的意見13号に照らし、かつ持続可能な開発目標のターゲット16.2に留意しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) あらゆる場面における子どもの虐待およびネグレクトを明確に定義しかつ禁止する法律を制定すること。
  • (b) 子どもの虐待を防止しかつこれと闘うための包括的戦略を立案する目的で、子どもたちの関与を得ながら、意識啓発プログラムおよび教育プログラム(キャンペーンを含む)をさらに強化すること。
  • (c) 子どもに対する家族間暴力のあらゆる事案についての全国的データベースを設置するとともに、このような暴力の規模、原因および性質に関する包括的評価を実施すること。
  • (d) 暴力および虐待の根本的原因に対応するための長期的プログラムの実施を可能にする、十分な人的資源、技術的資源および財源の配分を確保すること。
  • (e) 子どもの元被害者、ボランティアおよびコミュニティの構成員の関与を得て、かつこれらの人々に研修による支援を提供する等の手段により、家族間暴力、子どもの虐待およびネグレクトを防止しかつこれに対処していくことを目的としたコミュニティ基盤型のプログラムを奨励すること。
性的搾取および性的虐待
34.委員会は、あらゆる場面で子どもに対する性暴力が蔓延していること、性暴力の被害者が社会的スティグマの対象とされていること、および、司法へのアクセスを妨げる障壁が存在することを深く懸念する。委員会は、以下のことをとりわけ懸念するものである。
  • (a) 強姦、とくに婚姻内強姦に対する制裁が軽く、かつ相応のものになっていないこと。
  • (b) 性的搾取および性的虐待の被害を受けた子どもに対し、援助および精神保健支援の措置がとられていないこと。
  • (c) 強姦について6か月の公訴時効が設けられており、司法へのアクセスが阻害されていること。
  • (d) 紛争中に性暴力を受けたサバイバー(そのなかには当時子どもだった者もいる)に対して補償が行なわれていないこと。
  • (e) 女子が強姦加害者との婚姻を強要されているという報告があること。
35.委員会は、締約国に対し、性的搾取および性的虐待(近親姦を含む)の被害者へのスティグマと闘う意識啓発活動を実施するとともに、このような人権侵害についての、アクセスしやすく、秘密が守られ、子どもにやさしくかつ実効的な通報の回路を確保するよう促す。さらに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 強姦についての相応の刑罰を確保し、かつ婚姻内強姦についての刑罰を婚姻外の強姦についての刑罰と一致させるために法律を改正すること。
  • (b) 性的搾取および性的虐待の被害を受けた子どもが心理的支援を利用でき、かつこのような支援にアクセスできることを確保すること。
  • (c) 強姦に関する6か月の公訴時効を廃止するとともに、子どもの性的虐待および性的搾取の事案の義務的通報を確保するための機構、手続および指針を確立すること。
  • (d) ネパール内戦中の性暴力被害者に補償を行なう、資金を十分に配分される機構を設置すること。
  • (e) 一連の子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された成果文書にしたがい、防止、被害を受けた子どもの回復および社会的再統合のためのプログラムおよび政策を発展させること。
  • (f) 強姦被害者に対する加害者との婚姻の強制を防止するための、実効的な通報および保護の機構を確保すること。
ジェンダーを理由とする暴力
36.委員会は、公私の領域におけるすべての女性および女子へのあらゆる形態の暴力(人身取引および性的その他の形態の搾取を含む)に関する持続可能な開発目標のターゲット5.2に対する注意を喚起するとともに、締約国に対し、ジェンダーを理由とする暴力関連の犯罪の訴えが独立の立場から徹底的に捜査され、かつ実行犯が裁判にかけられることを確保するよう、促す。締約国は、裁判官、弁護士、検察官、警察および他の関連の専門家集団を対象として、被害者に対応するための統一的な、かつジェンダーおよび子どもに配慮した手続についての、また司法機関によるジェンダーステレオタイプが厳格な法執行にどのように悪影響を及ぼすかについての、定期的かつ実質的な研修を実施するべきである。
有害慣行
37.委員会は、有害慣行の根絶のために締約国が行なっている取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、以下のものを含むそのような慣行が引き続き蔓延しており、主として女子に影響を及ぼしていることを依然として深く懸念するものである。
  • (a) カースト制度およびこれに関連する伝統的慣行(ダウリーなど)、債務労働(カムラリ、カマイヤ、ハリヤおよびハルワ-チャルワを含む)ならびに性的搾取(バディなど)。
  • (b) 広く報告されている、生理中の女性および女子の強制的隔離(チャウパディ)。これは農村部においてとくに有害であり、女子が性暴力および健康上の危険のおそれにいっそうさらされやすくなる。
  • (c) 魔女であるという告発に関連した深刻な暴力の報告。
  • (d) クマリに選ばれた女子に強制される社会的排除。
38.有害慣行に関する女性差別撤廃委員会および子どもの権利委員会の合同一般的勧告31号/一般的意見18号に照らし、委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ68)をあらためて繰り返して、締約国に対し、意識啓発プログラムを強化することおよびこのような慣行を明示的に禁止する法律を採択しかつ実施することにより、子どもの身体的および心理的ウェルビーイングにとって有害であるすべての伝統的慣行を根絶するために必要なあらゆる措置をとるよう促す。委員会はさらに、締約国が、その際、女子、とくに障害のある女子、農村部に住んでいる女子およびダリットの女子に優先的に対応するよう勧告するものである。
39.委員会は、憲法で児童婚が明示的に禁じられていること、児童婚に終止符を打つための戦略が最近承認されたこと、および、南アジアで児童婚に終止符を打つための地域行動計画(2015~2018年)の実施において締約国がリーダーシップを発揮していることを歓迎する。しかしながら委員会は、締約国が最低婚姻年齢を男子および女子について20歳と定めていながらも、とくに女子の児童婚が締約国で依然として蔓延していることを深く懸念するものである。委員会はまた、2015年の地震が女子にとっての児童婚のリスクに影響を及ぼしている可能性があることも懸念する。
40.委員会は、締約国に対し、最低婚姻年齢が適用されることを確保するよう促す。委員会はまた、締約国が以下の措置をとることも勧告するものである。
  • (a) 児童婚が、当事者である子どもの最善の利益に合致するときは無効とされうることを確保するため、刑法草案および民法草案のうち矛盾があるとされる法的規定を見直すこと。
  • (b) Sapana Pradhan Malla ほか 対 ネパール政府事件においてネパール最高裁判所から命じられた(2006年)とおり、早期婚が女子の身体的および精神的健康ならびにウェルビーイングに及ぼす有害な影響についての意識啓発のためのキャンペーンおよびプログラムを、世帯、地方当局、宗教的指導者、裁判官および検察官を対象として発展させること。
  • (c) 婚姻の無効を望んでいる子ども、とくに申立てを行なった子どもの保護および支援のための制度を確立すること。
  • (d) 2015年の地震が児童婚に対する女子の脆弱性に及ぼした影響に関する評価を実施し、かつ、その知見を、児童婚のリスクの高まりに対応するための措置を実施する際の指針として適用すること。
41.委員会は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスの権利の承認に向けて締約国がとった前向きな措置を歓迎する。これには、新憲法の第18条(平等に対する権利)に基づく差別禁止事由に「ジェンダーおよびセクシュアルマイノリティ」が挙げられていること、ならびに、最近、身分証明書類に、「男」および「女」以外のジェンダーを承認する第3のジェンダー分類が追加されたことが含まれる。しかしながら委員会は、以下のことを依然として懸念するものである。
  • (a) ネパールにおいてインターセックスの子どもに関連する問題についての認識が欠けており、かつ、インターセックスの子どもが高い水準のスティグマおよび差別に直面していること。
  • (b) インターセックスの子どもが、自ら選択した性別/ジェンダーアイデンティティに応じた身分証明書類にアクセスするうえで課題に直面していること。
  • (c) インターセックスの子どもに対し、十分な情報に基づく同意を与えることができるようになる以前に、医学的に不必要な手術その他の処置(これにはしばしば不可逆的な結果がともない、かつ深刻な身体的および心理的苦痛が引き起こされる可能性もある)が行なわれる場合があり、かつ、このような事案において救済および賠償が行なわれていないこと。
42.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) インターセックスの子どもに対するスティグマおよび差別と闘うための意識啓発キャンペーンを実施すること。
  • (b) インターセックスの子どもが、自ら選択した性別/ジェンダーアイデンティティに応じた身分証明書類にアクセスできることを確保すること。
  • (c) いかなる子どもも不必要な医学的または外科的治療の対象とされないことを確保し、当事者である子どもに対して身体的不可侵性、自律権および自己決定権を保障し、かつ、インターセックスの子どもがいる家族に対して十分なカウンセリングおよび支援を提供すること。
  • (d) 十分な情報に基づく同意を得ないままインターセックスの子どもに対して行なわれた手術その他の医学的治療の事案を調査するとともに、そのような治療の被害者に対して救済(被害賠償および(または)十分な補償を含む)を提供するための法的規定を採択すること。
  • (e) さまざまな性的多様性ならびに関連する生物学的および身体的多様性について、また不必要な手術その他の医学的介入がインターセックスの子どもに及ぼす影響について、医療専門家および心理専門家の教育および研修を行なうこと。

F.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条(1)および(2)、第20条、第21条、第25条ならびに第27条(4))

家庭環境を奪われた子ども
43.委員会は、締約国が代替的養護の規制に関する手続的指針案を検討している最中であること、および、里親養育の規制に関する政策案がまとめられたことに留意する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 代替的養護および里親養育に関する法的枠組みが引き続き存在しないこと。
  • (b) 必要性および適切性を基礎とするアセスメント制度が存在しないことから、子どもが不必要に施設養護に措置されていること。
  • (c) 最低基準を満たしていないことが多い私立の施設について政府の監督が行なわれておらず、かつ職員の資格が不十分であること。
44.子どもの代替的養護に関する指針 [1] に対して締約国の注意を喚起しながら、委員会は、金銭的および物質的貧困が、子どもを親による養育から分離すること、子どもを代替的養護に受け入れることまたは子どもの社会的再統合を妨げることの唯一の正当化事由とされてはならないことを強調する。これとの関連で、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 代替的養護および里親養育に関する、条約に一致した法律を速やかに成立させること。
  • (b) 子どもの施設措置を少なくする目的で、可能なときは常に家庭を基盤とする子どもの養育(ひとり親家庭の子どもである場合を含む)を支援しかつそのための便宜を図り、かつ、家族とともにいることができない子どもを対象とする里親養育制度を確立すること。
  • (c) 代替的養護が避けられないときは、子どもを代替的養護への措置の対象とすべきか否かの判断に関する、子どものニーズおよび最善の利益を基礎とした十分な保障措置および明確な基準を確保すること。
  • (d) 里親養育および施設への子どもの措置が定期的に再審査されることを確保するとともに、子どもの不適切な取扱いに関する通報、監視および救済のためのアクセスしやすい回路を提供すること等の手段により、当該措置における養育の質を監視すること。
  • (e) 施設入所児のリハビリテーションおよび社会的再統合を可能なかぎり最大限に促進する目的で、代替的養護施設および関連の子ども保護サービスに十分な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保すること。
[1] 総会決議64/142付属文書。
養子縁組
45.委員会は、国際養子縁組に関する政策および法規定を策定しかつ実施するべきである旨の、締約国に対する前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ54)を想起する。これとの関連で、委員会は、締約国がとくに以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 2015年の地震によって親または近親者から分離された子どもの親または近親者を実効的に追跡するために合理的時間が与えられることをとくに確保しながら、ネパール人である子どもの養子縁組に関する厳格な基準を策定しかつ実施するとともに、子どもの親の貧困が養子縁組の法的根拠になりうると定めた規定を廃止すること。
  • (b) 親の責任の終了および(または)子どもの分離を防止するためにあらゆる手段が尽くされたことが、養子縁組に関わるすべての事案において明確な基準のひとつとして定められることを確保すること。
  • (c) 教育および保健ケアに対する権利を含むすべての権利が全面的に尊重されることを確保するため、子どもを近親者等のもとに措置する慣行を規制しかつ監視すること。
  • (d) 養子縁組事案を担当する専門家が養子縁組事案の審査および処理を進めるために必要な専門性を全面的に身につけていることを確保する目的で、国内養子縁組および国際養子縁組に関する現行の機構および手続、とくに国および郡の段階の決定機関の役割および責任を見直すこと。
  • (e) とくに子どもの取引および密輸を防止する目的で、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約の批准を検討すること。

G.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条(3)、第23条、第24条、第26条、第27条(1)~(3)および第33条)

障害のある子ども
46.委員会は、新憲法に障害のある子どもの権利に関する規定が含まれていることを歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを依然として懸念するものである。
  • (a) インクルーシブ教育のための包括的な政策枠組みが定められておらず、かつ、障害のある子どもを対象とする隔離された特別教育が依然として当たり前に行なわれていること。
  • (b) 2015年の地震以降人数が増加している障害のある子どもに対する差別および社会的スティグマが蔓延しており、かつ、障害のある女子との関連も含めて、それが複合的かつ横断的な形態で表れていること。
  • (c) 障害のある子どもが保健ケアおよび住居へのアクセスに関して阻害要因に直面していること。
  • (d) 障害のある子どものための、物理的に十分アクセシブルなインフラが整備されていないこと。
  • (e) 障害のある子どものインクルージョンのために現在とられている措置が身体障害または感覚障害のある子どもに限定されており、精神障害または知的障害のある子どもが排除されていて、これらの子どもに対するスティグマを悪化させていること。
  • (f) 障害のある子どもの虐待およびネグレクトに関する細分化されたデータが存在しないこと。
47.障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、障害に対して人権基盤型アプローチをとり、障害(身体障害、精神障害、知的障害または感覚障害)のある子どものインクルージョンのための包括的戦略を策定し、かつ、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) インクルーシブ教育の発展に優先的に取り組み、かつ、それが特別施設および特別学級への子どもの措置よりも優先されることを確保するとともに、その際、学習障害のある子どもに対して個別支援およびあらゆる適正な配慮を提供する統合学級で活動する専門の教員および専門家を養成しかつ配置すること。
  • (b) 障害のある子どもに対するスティグマおよび偏見と闘い、かつ障害のある子どもの肯定的イメージを促進するため、政府職員、宗教的指導者、公衆および家族を対象とした意識啓発キャンペーンを実施すること。
  • (c) 障害のある子どもが保健ケア(早期発見介入プログラムを含む)にアクセスできることを確保するために即時的措置をとること。
  • (d) 現在進められている復興プロセス等において、物理的にアクセシブルな公共建築物がいっそう利用可能となるための措置をとること。
  • (e) 締約国における立法上およびプログラム上の障害の定義が障害のある人の権利に関する条約に合致すること、ならびに、当該定義に精神障害または知的障害も包含されることを確保すること。
  • (f) 障害のある子どもに関する適切な政策およびプログラムを実施する目的で、障害のある子どもに関するデータの収集に優先的に取り組み、かつ効率的な障害診断システムを発展させること。
健康および保健サービス
48.委員会は、保健ケアへの権利に関する憲法第35条を歓迎する。しかしながら委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 農村部における保健サービスの質および保健サービスへのアクセスが、都市部よりも依然として相当に貧弱であること。
  • (b) 5歳未満児の全般的な死亡率および罹病率の削減に関して進展があったにもかかわらず、アクセスしやすく費用負担の可能な保健サービスが存在しないために新生児死亡率が依然として高く、かつ、これらの死亡が締約国における5歳未満児の死亡の61%を占めていること。
  • (c) 慢性的栄養不良(発育阻害)および消耗症(急性栄養不良)が子どもの間で蔓延しており、かつ、栄養状態の悪さを原因とする死亡が締約国における子どもの死亡の60%を占め続けていること。
49.到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、かつ持続可能な開発目標のターゲット3.2(2030年までに新生児および5歳未満児の予防可能な死亡に終止符を打つこと)に留意しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) とくに農村部における保健サービスへのアクセスおよび保健サービスの質を向上させるため、追加的な人的資源、技術的資源および財源を速やかに配分すること。
  • (b) 感染症を予防し、かつ新生児期の新生児ケアを確保することならびに農村部で緊急サービスおよび蘇生措置を実施するための十分な資源を配分すること等の手段により、新生児死亡率を削減するための措置をとること。また、その際、5歳未満児の予防可能な死亡および罹病を削減しかつ解消するための政策およびプログラムの実施に対する人権基盤型アプローチの適用に関するOHCHRの技術的指針(A/HRC/27/31)を実施しかつ適用すること。
  • (c) 子どもの慢性的栄養不良に対処するための部門横断型栄養計画(2013~2017年)の効果的実施にあらゆる関連省庁が全面的に関与することを確保するとともに、栄養不良のあるおそれがある子どもに対し、2歳までの乳幼児にとくに焦点を当てながら食料および栄養補助食品を差別なく提供するプログラムの確立を検討すること。
50.上記の勧告の実施にあたり、締約国は、とくにユニセフおよび世界保健機関(WHO)の金銭的および技術的援助を求めるよう奨励される。
精神保健
51.委員会は、2015年の地震が子どもの精神保健に及ぼす短期的および長期的影響について懸念を覚える。委員会はまた、暴力またはトラウマの被害を受けた子どもに対する精神保健支援が行なわれていないことも懸念するものである。
52.委員会は、締約国が、2015年の地震および(または)暴力もしくはトラウマの影響を受けた子どもを含むすべての子どもに対して精神保健ケアサービスを提供するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
思春期の健康
53.委員会は、2015年に締約国全域の保健施設が改善され、リプロダクティブヘルス関連の問題についての秘密が守られるカウンセリングおよびサービスを提供する、思春期の子どもにやさしい診療所が併設されるようになったことを歓迎する。しかしながら委員会は、若年妊娠率が高いこと、妊娠調節の実践率が低く、かつそれにともなって性感染症およびHIVに感染しやすい状態が生じていること、ならびに、安全な中絶方法についての意識が低いことを依然として懸念するものである。
54.子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達に関する一般的意見4号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が、思春期の子どもを対象とする包括的なセクシュアル/リプロダクティブヘルス政策を採択するとともに、意味のあるセクシュアル/リプロダクティブヘルス教育が、若年妊娠および性感染症の予防にとくに注意を払いながら、学校の必修カリキュラムの一部とされ、かつ思春期の女子および男子を対象として行なわれることを確保するよう勧告する。
生活水準
55.委員会は、締約国における食糧不足が深刻であり、住民の相当の割合が日常的に食糧不足に苦しんでいることおよび5歳未満児のほぼ40%が栄養不良であることについて、重大な懸念を覚える。委員会は、以前から食糧不足であったなかで地震が起きたために農業生産力をさらに低下させられたダーディン郡、ドラカ郡、ゴルカ郡、ヌワコート郡、ラスワ郡およびシンドゥパルチョーク郡についてとくに懸念を覚えるものである。さらに委員会は、前回の総括所見(CRC/C/15/Add.261、パラ72)で提起された問題である子どもの貧困が引き続き深刻でありかつ蔓延していることを、依然として懸念する。
56.委員会は、締約国に対し、部門横断型の栄養計画に対する予算配分を増額し、かつ、被害を受けやすい状況に置かれた子ども(ダリットの背景を有する子ども、マイノリティおよび農村部に住んでいる子どもを含む)に特段の注意を払いながら、この計画にしたがって公正かつ非差別的な食糧配分を確保するための措置を速やかにとるよう促す。委員会はまた、地震で深刻に被災したダーディン郡、ドラカ郡、ゴルカ郡、ヌワコート郡、ラスワ郡およびシンドゥパルチョーク郡を優先的取り組みの対象とすることも勧告するものである。締約国はまた、この点に関して国際的援助を求めることも奨励される。
57.委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ73)をあらためて繰り返す。
  • (a) 貧困と闘うための戦略を、子どもの権利に対する影響の監視を正当に重視しながら強化するとともに、その実施に対して十分な人的資源および財源(国際援助を通じてのものも含む)を配分すること。
  • (b) 経済的に不利な立場に置かれている家族(とくに農村部、スラムおよび不法占拠地で暮らしている家族)に対して支援および物的援助を提供し、かつ十分な生活水準に対する子どもの権利を保障するための努力を強化すること。
  • (c) 貧困の程度を定義し、かつ、締約国における貧困の緩和および締約国の子どもの生活水準の向上における進展を監視しかつ評価することができるようにするため、貧困指標および公式の貧困線を定めること。
  • (d) 社会保障政策を、明確なかつ一貫した家族政策とあわせて確立し、かつ社会的セーフティネットとしての諸給付を子どもの権利の促進のために用いるための効果的戦略を定めるとともに、社会保障制度に十分な財源を提供すること。

H.教育、余暇および文化的活動(第28条~31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
58.委員会は、無償の義務的基礎教育および無償の中等教育に関する憲法の規定を歓迎する。しかしながら委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) この憲法の規定がまだ法律に掲げられていないこと。
  • (b) 国が提供する教育に配分される予算の割合の減少が、私立学校の登場とあいまって、教育制度における隔離および差別を悪化させており、一方で子どもが利用可能な教育の全般的な質の低下につながっていること。
  • (c) 隠れた就学費用のために通学していない子どもが多いこと。
  • (d) 男女別のトイレおよび生理衛生用品がないために、初等学校から中等学校にかけての段階および中等学校の段階で女子の脱落率が高いこと。
  • (e) 先住民族の子どもの就学率が低く、かつ脱落率が高いこと。
  • (f) 農村部と都市部で教育の質が相当に乖離していること。
  • (g) 乳幼児期のケアおよび教育の発展が不十分であること。
59.教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 教育に対する憲法上の権利の効果的実施を確保するための法律を制定すること。
  • (b) とくにもっとも周縁化された状況に置かれている子どもを対象として、国内の全地域で、すべての者に対して差別なく無償のかつ良質な教育が効果的かつ実際に提供されることを確保するため、適切な財政戦略を実施すること。
  • (c) とくに就学費用、授業シラバス、入学基準および生徒の背景の多様性ならびにアクセスを妨げるその他の障壁を規制することにより、民間の教育提供機関が社会的団結を阻害し、または隔離および差別を悪化させないことを確保するための適切な規制措置をとるとともに、法律の十分な実施を確保し、かつ私立学校における子どもにやさしい学校インフラを確保すること。
  • (d) 学校および(または)教員が子どもに通学のための隠れた費用を課す慣行と闘うため、通報のための機構を含む、規制および執行のための枠組みを確保すること。
  • (e) 教育に対する女子の権利を阻害する家父長制的価値観、ジェンダーに基づくステレオタイプおよび生理に関連する差別を解消する目的で意識啓発活動を実施するとともに、学校でジェンダー別の十分なトイレおよび生理衛生用品を提供するために十分な資源が配分されることを確保すること。
  • (f) 先住民族の子どもの就学率および中等学校修了率を高めるための、使途が指定された資金をともなう、目標を明確にしたプログラムを実施すること。
  • (g) 農村部をとくに重視しながら、教育のアクセス可能性および質を高めるために必要な措置をとり、かつ教員を対象として良質な研修を実施すること。
  • (h) 乳幼児期のケアおよび発達に関する包括的かつホリスティックな政策に基づき、乳幼児期教育の発展および拡大のために十分な財源を配分すること。

I.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38~40条)

子どもの庇護希望者および難民
60.委員会は、ブータン難民の第三国定住の問題に関して、締約国が国際連合難民高等弁務官事務所と強い協力関係にあることを歓迎する。しかしながら委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ80)にもかかわらず、締約国が、難民および無国籍者の法的保護に関する国家的枠組みを確立していないことを懸念するものである。さらに委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 子どもを含むチベット人の家族が、庇護申請を適正に審査されないまま中国に強制送還されているという報告があること。
  • (b) 1979年以降に生まれたチベット難民およびその子どもに対して難民証明書および身分証明書類が発給されておらず、かつ、そのためにこれらの者が無国籍になるおそれがあること。
  • (c) すべての子どもの難民および庇護希望者を対象とする出生登録が行なわれておらず、かつ、ブータン人である子ども、増加しつつあるロヒンギャ・ムスリム人に属する子ども、および、母がネパール人でない子どもまたは母が市民権を証明できない子どもについて身分証明書類の受領を妨げる障壁が存在すること。
  • (d) チベット難民の子どもに対して教育が提供されていないこと。
61.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ80)をあらためて繰り返すとともに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 難民および庇護希望者である親から生まれた子どもを含むすべての子どもが出生時に登録されることを確保するため、立法上、行政上および制度上の措置をとること。
  • (b) 国際基準にのっとって難民および庇護希望者の権利を網羅した国内法を採択すること。
  • (c) 難民および庇護希望者であるすべての子どもならびにその家族が保健サービスおよび教育サービスにアクセスでき、かつ、条約に掲げられたこれらの子どものすべての権利(出生時に登録される権利を含む)が保護されることを、優先的課題として確保するように努めること。
  • (d) 委員会の前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ43-44および80)ですでに勧告されているように、長期に滞在しているチベット人およびその子どもに身分証明書類を提供し、かつこれらの者の人権の享受および基礎的サービスへのアクセスを促進する目的で、これらの者を登録するための包括的取り組みを行なうこと。
子どもの国内避難民
62.委員会は、国内避難民に関する国家政策(2007年)が採択されたこと、および、2015年の地震で避難民化した子どものために恒久的解決策を見出すべく締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、同地震が子どもの権利に及ぼしている影響について、また食料、安全な飲料水、衛生設備、保健ケアおよび教育にアクセスできないままIDP〔国内避難民〕キャンプまたは非公式な定住地で暮らしている子どもの避難民の多さについて、深い懸念を覚えるものである。
63.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 国内避難民キャンプまたは非公式な定住地で暮らしている子どもの国内避難民およびその家族に対して十分な住居を提供するための努力を速やかに強化するとともに、これらの子どもおよびその家族が十分な食料、清潔な飲料水、衛生設備、保健ケアおよび教育にアクセスできることを確保すること。
  • (b) 女性および女子が男女別で施錠可能なトイレおよび安全な住宅にアクセスできることを確保すること、ならびに、警察による管理を強化し、かつ国内避難民キャンプおよび非公式な定住地で有効に機能する整備することなども含め、子どもの避難民に対するあらゆる形態の暴力を防止するために即時的措置をとること。
  • (c) 災害応急対策および災害への備えのあらゆる段階で、子どもが情報を提供されかつ協議の対象とされることを確保すること。
マイノリティ集団または先住民族集団に属する子ども
64.委員会は、国家ダリット委員会および国家先住民族開発財団が創設されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) とくに2015年の地震後の救出・救済活動の際の水へのアクセスに関して、子どもおよび先住民族への差別が行なわれているという報告があること。
  • (b) 2015年の地震後に行なわれてきた、自己およびその子どもに影響を与える再定住および再建についての決定との関連で、先住民族の自由なかつ十分な情報に基づく事前の同意が否定されていること。
65.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) マデシ、ダリットおよびジャナジャーティなど伝統的に排除されてきた集団にとくに注意を払いながら、給水へのアクセスを妨げる障壁を取り除くこと。
  • (b) 2015年の地震後に進められている復興の取り組みとの関連も含めて、先住民族に影響を与える可能性がある立法上または行政上の措置を採択しかつ実施する前に、その自由なかつ十分な情報に基づく事前の同意を確保する目的で、当事者である先住民族(先住民族である子どもを含む)と誠実に協議しかつ協力するとともに、先住民族の権利の侵害があった場合には実効的な救済措置を提供すること。
66.委員会は、新憲法で、母語による教育に対する先住民族の子どもの権利が認められていることに、満足感とともに留意する。しかしながら委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) この権利を実施するための責任が法的に明確にされておらず、かつ、母語による情報およびメディアへのアクセスに関する先住民族の子どもの権利が事実上抑圧されていること。
  • (b) ダリットの子ども、マイノリティに属する子どもおよびチベット人の子どもが教育、保健および社会サービスへのアクセスをしばしば阻害されていること、先住民族の子どもおよびその母親がアクセス可能な保健ケアの質および文化的適切性が不十分であること(2015年の震災以降を含む)、ならびに、その結果、先住民族およびダリットの子どもの死亡率が締約国のそれ以外の子どもと比べて不均衡なほど高くなっていること。
  • (c) 先住民族の子どもの母語による教材が作成されておらず、かつこれらの子どもの就学率が低いこと。
  • (d) 学校で、先住民族の子どもに対し、いじめを通じた暴力および(または)教員による暴力が行なわれていることが広く報告されていること。
  • (e) 2015年の地震により、孤児ならびに先住民族集団、宗教的マイノリティ、ダリットコミュニティおよび移住労働者の子どもが人身取引の被害をいっそう受けやすくなっていること。
67.先住民族の子どもとその条約上の権利に関する委員会の一般的意見11号(2009年)を参照しながら、委員会は、締約国に対し、すべての子どもが、いずれかのカースト、マイノリティ集団または先住民族集団に属しているか否かにかかわらず、条約に掲げられた権利の全体を享受できることを確保するための努力を強化するよう促す。委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 母語による情報およびメディアに意味のある形でアクセスする先住民族の子どもの憲法上の権利が効果的に実施されることを確保するために法律を制定し、かつ報告手続を定めること。
  • (b) 教育、保健および社会サービスへの意味のあるアクセスを確保するため、ダリット、マイノリティおよびチベット人のコミュニティにおいて、文化的かつ言語的な適合性を図った意識啓発キャンペーンおよび対象の明確な支援措置を実施すること。
  • (c) 教育シラバスが先住民族の子どもの母語で提供されることを確保すること。
  • (d) 学校における暴力を通報し、かつ、そのような暴力に対する十分な保障措置および相応の制裁を確保するための、アクセスしやすい措置を確立すること。
  • (e) 孤児、先住民族の子どもおよび宗教的その他のマイノリティのニーズへの対応がとられることを確保するため、締約国の社会サービス部門に特別部署を設けるとともに、その際、これらの部署に対して十分な人的資源、技術的資源および財源が提供されること、および、人身取引のリスクに特段の注意が払われることを確保すること。
経済的搾取(児童労働を含む)
68.委員会は、締約国で児童労働が蔓延していること、および、国際労働機関の最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)を批准したにもかかわらず、60万人以上の子どもが最悪の形態の児童労働に従事していると報告されていることを懸念する。委員会はまた、法律で禁止されているカムラリなどの慣行が続いていることも懸念するものである。
69.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 児童労働に関する必要な規制がすべての労働分野(最悪の形態の児童労働およびインフォーマル部門を含む)に適用されるよう、児童労働法その他の関連立法を改正すること。
  • (b) 児童債務労働の慣行を根絶するために現行の法律および政策の執行を強化すること。
  • (c) 労働に従事する子どもが有害な条件下で働かず、かつ教育に引き続きアクセスすることを確保するための防止措置をとること。
  • (d) とくに子どもの権利の保護に関する公的意識啓発キャンペーンおよび公衆教育を通じて、児童労働関連のあらゆる政策および法律を全面的に実施すること。
  • (e) カマイヤ禁止法の実施を強化するとともに、解放されたカマイヤ労働者の社会的統合を確保するための効果的措置をとること。
  • (f) これとの関連で、国際労働機関の児童労働撤廃国際計画に対して技術的援助を求めること。
少年司法の運営
70.委員会は、締約国が、少年司法に関する基準、とくに条約第37条(b)ならびに第40条2項(b)(ii)~(iv)および(vii)、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)[2] および少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)[3] の全面的実施を確保する目的で、かつ少年司法の運営に関する委員会の一般的討議(1995年)に照らし、法律および政策を見直すべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.261、パラ99)をあらためて繰り返す。これとの関連で、委員会は、締約国がとくに以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 18歳未満である子どもの被拘禁者が常に成人から分離され、かつ、自由の剥奪が最後の手段として、もっとも短い適切な期間で、かつ適切な環境においてのみ用いられることを確保すること。
  • (b) 18歳未満の者を対象とする独立の施設(児童矯正センター)および拘禁施設内の独立房の建設を速やかに進め、これらの施設がすべての郡に存在することを確保すること。
  • (c) 自由の剥奪が避けられず、かつ最後の手段としてもっとも短い適切な期間で用いられる場合、逮捕の手続および拘禁環境を向上させるとともに、法律に抵触した子どもの事件を扱う特別部署を警察内に設けること。
  • (d) 18歳未満の者が反テロリズム法に基づいて責任を問われ、拘禁されまたは訴追されないことを確保すること。
  • (e) 法律に違反したとして申し立てられまたは罪を問われた18歳未満のすべての者に対し、条約第40条第2項に定められた公正な裁判を受ける権利が全面的に保障されることを確保する目的で、郡行政事務所の手続を含むすべての手続(司法手続、法的手続および保護手続)を見直し、かつ必要なときは改正すること。
  • (f) 司法専門職を対象として、少年司法の運営と人権に関する公式な研修を実施すること。
  • (g) とくにユニセフおよびOHCHRの技術的協力を求めること。
[2] 総会決議40/33付属文書。
[3] 総会決議45/112付属文書。
子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する条約の選択議定書についての委員会の前回の総括所見および勧告のフォローアップ
71.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する条約の選択議定書に基づいた締約国の第1回報告書について委員会が2012年に行なった勧告(CRC/C/OPSC/NPL/CO/1)の実施に関する情報がないことを遺憾に思う。
72.委員会は、締約国に対し、委員会の前回の勧告、とくに以下のことに関連する勧告を実施するよう求める。
  • (a) 国内法が選択議定書第2条および第3条に一致することを確保すること(CRC/C/OPSC/NPL/CO/1、パラ30参照)。
  • (b) 被害を受けた子どもの逮捕および訴追に用いられている1970年公益犯罪統制法の規定を廃止するとともに、選択議定書上のいずれかの犯罪の被害を受けたいかなる子どもも刑事告発の対象とされないことを確保すること(CRC/C/OPSC/NPL/CO/1、パラ32参照)。
  • (c) 国内法によって、選択議定書で対象とされているすべての犯罪について域外裁判権を設定できかつ行使できることを確保すること(CRC/C/OPSC/NPL/CO/1、パラ36参照)。
  • (d) 刑事司法手続のすべての段階で、選択議定書で禁じられた慣行の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するための適切な措置がとられることを確保すること(CRC/C/OPSC/NPL/CO/1、パラ40参照)。

J.通報手続に関する条約の選択議定書の批准

73.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、通報手続に関する条約の選択議定書を批准するよう勧告する。

K.国際人権文書の批准

74.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、まだ締約国となっていない中核的人権文書、とくに拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約の選択議定書、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約、および、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約を批准するよう勧告する。

IV.実施および報告

A.フォローアップおよび普及

75.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、第3回~第5回統合定期報告書、事前質問事項に対する文書回答およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。

B.次回報告書

76.委員会は、締約国に対し、第6回・第7回統合定期報告書を2021年10月13日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2014年1月31日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.3)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短縮するよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できない。
77.委員会はまた、締約国に対し、国際人権条約に基づく報告についての調和化ガイドライン(共通コアドキュメントおよび条約別文書についてのガイドラインを含む)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件(HRI/GEN/2/Rev.6, chap.I参照)および総会決議68/268のパラ16にしたがい、最新のコアドキュメントを、42,400語を超えない範囲で提出することも慫慂する。


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