総括所見:カンボジア(OPAC・2015年)


CRC/C/OPAC/KHM/CO/1(2015年2月23日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2015年1月12日に開かれた第1931回会合(CRC/C/SR.1931参照)においてカンボジアの第1回報告書(CRC/C/OPAC/KHM/1)を検討し、2015年1月30日に開かれた第1983回会合(CRC/C/SR.1983参照)において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPAC/KHM/Q/1 and Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルな代表団との間に持たれた建設的対話を評価するものである。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、2011年8月3日に採択された、子どもの権利条約に基づく締約国の第2~3回統合定期報告書についての総括所見(CRC/C/KHM/CO/2-3)、および、2015年1月30日に採択された、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書についての総括所見(CRC/C/OPSC/KHM/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

II.一般的所見

積極的側面
4.委員会は、締約国が以下の文書に加入しまたはこれを批准したことを歓迎する。
  • (a) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、銃器ならびにその部品および構成部分ならびに弾薬の不正な製造および取引の防止に関する議定書(2005年12月)。
  • (b) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2002年5月)。
  • (c) 国際刑事裁判所ローマ規程(2002年4月)。
  • (d) 対人地雷の使用、貯蔵、生産および移譲の禁止ならびに廃棄に関する条約(1999年7月)。
  • (e) 1949年のジュネーブ諸条約(1959年6月)ならびにその第1および第2追加議定書(1998年7月)。
  • (f) 過度に傷害を与えまたは無差別に効果を及ぼすことがあると認められる特定通常兵器の使用の禁止または制限に関する条約(議定書I、IIおよびIIIとあわせての批准)(1997年3月)。
5.委員会は、カンボジア王国軍の軍人に関する一般法(1997年11月6日付)および義務的軍役法(2006年12月22日付)に基づき、義務的軍役および契約軍役の双方の登録年齢が例外なく18歳と定められていることに評価の意とともに留意する。

III.実施に関する一般的措置

調整
6.カンボジア国家子ども評議会が、国防省を含む関連省庁との効果的な連携を発展させ、かつ州、地区およびコミューンのレベルで機構を設置してきたことには留意しながらも、委員会は、これらの努力に選択議定書の実施の監視が十分な形で含まれていないこと、および、カンボジア国家子ども評議会の下に設置された既存の機構がその任務の遂行にあたって選択議定書を全面的に含めているわけではないことを懸念する。
7.委員会は、締約国が、カンボジア国家子ども評議会の調整責任に、部門別省庁ならびに政府および州のすべてのレベルを横断する形で選択議定書の実施の効果的監視を行なうこと(その地方分権化された機構によるものも含む)が全面的に含まれることを確保するよう、勧告する。
独立の監視
8.委員会は、選択議定書に基づく子どもの権利の充足における進展を恒常的に監視すること子どもからの苦情を受理しかつこれに対応することを目的とした、国内機関の地位に関する原則(パリ原則)にしたがった独立の国内人権機関の設置が遅れていることを懸念する。
9.前回の勧告(CRC/C/KHM/CO/2-3、パラ15)に照らし、委員会は、締約国に対し、選択議定書に基づく権利の充足状況を監視し、かつ子どもにやさしい迅速なやり方で子どもの苦情に対応するための独立機構を設置するよう促す。
普及、意識啓発および研修
10.選択議定書がクメール語に翻訳されたことおよび軍要員を対象とする研修活動が実施されていることは歓迎しながらも、委員会は、このような研修が組織的なものではないこと、ならびに、関連省庁、子どもおよび一般公衆の間で選択議定書についての情報を普及し、かつ選択議定書に関する意識啓発活動を発展させるために限られた努力しか行なわれてこなかったことを、遺憾に思う。委員会はまた、研修講座が体系的なものではなく、かつ主として軍人を対象としていることにも、懸念とともに留意するものである。
11.委員会は、締約国が、政府職員および法執行官(州レベルの職員を含む)の間で選択議定書の原則および規定を周知させること、ならびに、親、教員、学生、子どもおよび市民社会関係者の間で意識啓発を図るための具体的広報キャンペーンを発展させることを目的とした普及の努力を強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、関連のすべての専門家集団、警察学校および軍要員(国際平和維持活動に参加する軍要員を含む)を対象とした、選択議定書の規定および国際人道法に関する体系的かつ包括的な教育モジュールを含めることにより、研修活動を強化することも勧告するものである。
データ
12.委員会は、選択議定書が対象とするすべての分野についてデータ収集、分析および監視を行なうための組織的機構が設けられていないことを遺憾に思う。
13.委員会は、締約国が、選択議定書の実施に関連するすべての分野についての包括的なデータ収集システムを確立するとともに、収集された情報および統計を、武力紛争の影響を受けている子どもおよび武力紛争に関与している子どもの保護に関わる包括的な政策およびプログラムの立案の基礎として活用するよう、勧告する。

IV.防止

年齢確認手続
14.出生登録を確保するために締約国が全国規模で行なっている努力には留意しながらも、委員会は以下のことを依然として懸念する。
  • (a) とくに遠隔地および村落においてならびに路上の状況にある子どもの間で出生登録の水準が低いこと。
  • (b) 生後30日間の登録期間制限、登録遅延に対する制裁および住所要件など、出生登録キャンペーンの効果的実施を妨げる阻害要因があること。
  • (c) 偽造書類を発見するための措置が設けられていないこと(これは年齢確認手続の有効性に影響を及ぼす可能性がある)を理由として、軍隊および軍学校における現行の採用手続の実施に欠陥が生じていること。
15.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう求める。
  • (a) 前回の総括所見で委員会が勧告したように(CRC/C/KHM/CO/2-3、パラ37)遠隔地および村落に住んでいる子どもならびに路上の状況にある子どもを含む子どもの徴募を防止するための手段として、移動班なども通じ、すべての子どもの出生登録を確保するための努力を継続しかつ強化すること。
  • (b) 出生登録手続へのすべての者によるアクセスを促進する目的で、あらゆる阻害要因を取り除くこと。
  • (c) 専業要員または請負要員を採用するすべての軍機関および警察機関ならびにすべての軍学校によって現行の採用手続が遵守されることを確保するとともに、18歳未満の者による偽造書類の使用を発見するための措置を設けること。

V.禁止および関連の事項

現行刑事法令
16.委員会は、違反について何らの制裁も定められていないこと、および、締約国の法律が以下の点について定めていないことを懸念する。
  • (a) 戦時または平時において、締約国の軍隊で18歳未満の子どもを採用しまたは使用することを明示的に犯罪とする規定。
  • (b) 国以外の武装集団および(民間警備隊の統制に関する通達第3557号によって規制されている)民間警備業者が18歳未満の子どもを採用しまたは使用した場合の刑事責任。
  • (c) 敵対行為への直接参加の定義。
17.委員会は、締約国が刑法を改正し、王国軍、国以外の武装集団および民間警備業者・会社における18歳未満の子どもの採用および使用を明示的に犯罪化する規定ならびに敵対行為への直接参加の定義を設けるよう勧告する。
域外裁判権および犯罪人引渡し
18.委員会は、締約国の法律において、域外裁判権の行使が、犯罪の実行時に締約国の国民であった被害者に対して重罪が行なわれた限られた事案の場合にしか認められていないことを懸念する。委員会はまた、締約国が二国間協定を結んでいない国への犯罪人引渡しが双方可罰要件に服することも遺憾に思うものである。
19.委員会は、締約国が、国内法によって、選択議定書が対象とするすべての犯罪(軍隊もしくは武装集団への子どもの徴集もしくは徴募または敵対行為における子どもの使用を含む)について、当該犯罪がカンボジア国民もしくは締約国の住民によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合に域外裁判権を設定しかつ行使できるようになることを確保するために必要な、あらゆる法律上および実務上の措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、選択議定書上の犯罪に関わる犯罪人引渡しについて双方可罰性要件を廃止するよう勧告するものである。

VI.保護、回復および再統合

被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置
20.18歳未満の子どもは軍隊で役務を行なうことを認められていない旨の締約国から提供された情報には留意しながらも、委員会は、カンボジア-タイ国境沿いの紛争の際、軍服を着た子どもがいたという報告があることを懸念する。
21.委員会は、締約国に対し、制服を着たいかなる子どももカンボジア-タイ国境沿いにいないことを確保するとともに、武力紛争に関与させられた可能性のある子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための適切な援助を提供するよう促す。
22.委員会は、とくに締約国の管轄内にある子どもの庇護希望者、難民および移住者ならびに保護者のいない子どものなかから、国外において徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある子どもを特定するために設けられている機構についての情報がないことを、遺憾に思う。
23.委員会は、締約国が、武力紛争に関与させられた可能性のある子どもを早い段階で特定し、かつ、このような特定の担当者が子どもの権利、子どもの保護および子どもにやさしい面接スキルについての訓練を受けていることを確保することにより、締約国の管轄下にある子どもの庇護希望者、難民および移住者ならびに保護者のいない子どもの全面的保護を確保するための機構および手続を設けるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、そのような子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための十分な援助が提供されることを確保するよう勧告するものである。
身体的および心理的回復のための援助
24.地雷除去およびリスク教育のためのプログラムに関して締約国が進めてきた努力は認知しながらも、委員会は、依然として子どもが地雷および爆発性戦争残存物によって死亡しかつ(または)障害を負う高いリスクに直面していることに懸念を表明する。委員会はさらに、地雷に関しておよび爆発性戦争残存物の被害者のために現在行なわれているプログラムで、被害を受けた子どもが十分に保護されておらず、かつこのような子どもの特有のニーズが対応されていないことを懸念するものである。
25.委員会は、締約国が、地雷および爆発性戦争残存物から子どもを保護する目的で、地雷啓発プログラムおよび地雷除去活動を強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、被害を受けた子ども(とくに残存地雷および爆発性戦争残存物を原因とする障害のある子ども)の特有のニーズに適合した十分なサービスが提供されることを確保し、かつこれらの子どもに対して身体的および心理的リハビリテーションおよび社会的援助を提供するため、子どもにやさしいプログラムの開発を検討することも勧告するものである。

VII.国際的な援助および協力

国際協力
26.委員会は、締約国が、赤十字国際員会および子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表との協力を継続しかつ強化するとともに、選択議定書の実施における国際連合児童基金、国際連合人権高等弁務官事務所その他の国際連合機関との協力の強化を模索するよう勧告する。

VIII.通報手続に関する選択議定書の批准

27.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう勧告する。

IX.フォローアップおよび普及

28.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を議会、関連省庁(国防省を含む)、最高裁判所および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
29.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の総括所見を、インターネット等も通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。

X.次回報告書

30.選択議定書第8条第2項にしたがい、委員会は、締約国が、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2016年2月8日)。