総括所見:スウェーデン(第5回・2015年)


CRC/C/SWE/CO/5(2015年3月6日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

I.序

1.委員会は、2015年1月13日および14日に開かれた第1936回および第1938回会合(CRC/C/SR.1936 and 1938参照)においてスウェーデンの第5回定期報告書(CRC/C/SWE/5)を検討し、2015年1月30日に開かれた第1983回会合において以下に掲げる総括所見を採択した。
2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させてくれた、スウェーデンの第5回定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/SWE/Q/5/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルなかつ多部門型の代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、以下の立法措置の採択を歓迎する。
  • (a) スウェーデン社会サービス法および青年ケア(特別規定)法に対して加えられた立法上の修正(2013年1月)[1]。
  • (b) 子どもに対する性犯罪に関する法律の改正(2013年7月)[2]。
  • (c) 社会のより多くの層を含めるための法改正によって強化された、差別禁止法における年齢差別からの保護。
  • (d) 2011年7月の教育法。
[1] CRC/C/SWE/Q/5/Add.1、パラ108参照。
[2] 前掲パラ112参照。
4.委員会はまた、締約国による以下の条約の批准にも、評価の意とともに留意する。
  • (a) 性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約(2013年6月)。
  • (b) 親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関するハーグ条約第34号(2012年9月)。
  • (c) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、銃器ならびにその部品および構成部分ならびに弾薬の不正な製造および取引の防止に関する議定書(2011年6月)。
  • (d) 人身取引と闘うための行動に関する欧州評議会条約(2010年5月)。
5.委員会はまた、以下の制度上および政策上の措置も歓迎する。
  • (a) 反ジプシー主義対抗委員会の創設(2014年3月)。
  • (b) 子どもの人身取引、搾取および性的虐待に反対する国家行動計画(2014~2015年)(2014年2月)。
  • (c) 性的指向、ジェンダーアイデンティティまたはジェンダーの表現にかかわらず平等な権利および機会を促進するための長期戦略(2013年12月)。
  • (d) PRIO精神的健康障害行動計画(2012年5月)。
  • (e) ロマ包摂戦略(2012~2032年)。
  • (f) 開発協力における民主主義および人権に関する方針(2012年)。

III.主要な懸念領域および勧告

A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項)

委員会の前回の勧告
6.委員会は、締約国が、締約国の第4回定期報告書の検討(2009年)時に行なわれた前回の勧告(CRC/C/SWE/CO/4)のうち実施されていないものまたは不十分にしか実施されていないもの、ならびに、とくに締約国における条約およびその選択議定書の法的地位(前掲パラ10参照)、子どもの庇護希望者および難民(CRC/C/SWE/CO/4、パラ61)ならびに児童ポルノを含む性的搾取(前掲パラ67参照)に関する勧告に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。
立法
7.委員会は、条約が引き続きスウェーデン法として正式に承認されていないことに関する委員会の前回の懸念に対応するために締約国が行なった努力、および、とくに、法律その他の規則の適用において条約がどのように遵守されているかを分析するための調査が2013年3月に開始された旨の文書回答において提供された情報に、留意する。
8.委員会は、締約国に対し、2013年3月に開始された調査を速やかに進めることとともに、国内法を条約と全面的に一致させるためにあらゆる必要な措置をとること、および、国内法の規定が条約に抵触する際には条約が常に優先されるべきことを、促す。
資源配分
9.委員会は、国家予算に条約実施のための具体的世再配分額が含まれていないことに、懸念とともに留意する。
10.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 委員会に対する次回の定期報告書において、条約の実施に関連する国家予算についての具体的情報を金額および割合で提供すること。
  • (b) 予算全体における子どものための資源の配分および使用を追跡するシステムを実施することにより、国家予算の策定において子どもの権利基盤アプローチを採用すること。
  • (c) あらゆる部門における投資または予算削減との関連で「子どもの最善の利益」がどのように考慮されているかについての影響評価を実施するとともに、当該投資または予算削減が女子および男子の双方に与えている影響を測定すること。
調整
11.委員会は、市町村、県および広域行政圏における条約の実施に関して格差が残っており、子どものための支援およびサービスへのアクセスの不公平につながっていることを懸念する。
12.委員会は、締約国が、広域行政圏および地方のレベルであらゆる権利への平等なアクセスを確保する明確な権限および権威をもったハイレベルな機構を設置するとともに、その効果的運用のために必要な人的資源、技術的資源および財源を提供するよう勧告する。
独立の監視
13.委員会は、子どもの権利の実施のために子どもオンブズマンが行なっている多くの活動への評価をあらためて表明する(CRC/C/SWE/CO/4、パラ14参照)ものの、同事務所が子どもからのまたは子どもに代わって行なわれる個別の苦情を受理できないという懸念もあらためて繰り返す。
14.子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割についての一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国が、オンブズマンに対し、子どもによる苦情を子どもにやさしいやり方で受理し、調査しかつこれに対応すること、被害者のプライバシーおよび保護を保全することならびに被害者のためのモニタリング、フォローアップおよび確認活動を行なうことの権限および適切な資源を与えるため、あらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国がオンブズマンの独立性を強化することも勧告するものである。

B.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
15.委員会は、包括的な差別禁止法、性的指向、ジェンダーアイデンティティまたはジェンダーの表現にかかわらず平等な権利および機会を促進するための長期戦略および反ジプシー主義対抗委員会を含め、さまざまな形態の差別に対応するうえで締約国が行なっている努力について締約国を称賛する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 一部の集団の子ども、とくに不利な立場におかれた家庭および周縁化された家庭の子どもならびに移住者家庭の子ども(アフリカ人の子どもおよびアフリカ系スウェーデン人の子どもを含む)が引き続き差別に直面していること。
  • (b) 「人種」の語が新たな差別禁止法および統治法典から削除されたこと、および、人種差別撤廃委員会から以前指摘されたように(CERD/C/SWE/CO/19-21、パラ6および13)、人種的憎悪を助長しかつ煽動する団体を違法であると宣言しかつ禁止する明示的な法規定が存在しないこと。
  • (c) ロマの子どもが他の児童生徒から差別される事案があること。
  • (d) レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダー(LGBT)の子どもがいじめ、脅迫および暴力を経験する事案があること。
16.委員会は、締約国に対し、あらゆる形態の差別と効果的に闘うための努力をいっそう進め、かつそのための措置を強化するとともに、以下の措置をとるよう奨励する。
  • (a) とくに民族と関連した差別の禁止を執行するために法律を改正し、かつ、人種的憎悪を助長しかつ煽動する団体を違法であると宣言すること。
  • (b) 差別防止活動にとくに焦点を当てるとともに、必要なときは、被害を受けやすい状況にある子ども(周縁化された家庭および不利な立場に置かれた家庭の子ども、移住者としての背景を有する子ども、ロマの子どもおよびLGBTの子どもを含む)を保護するために積極的差別是正措置をとること。
  • (c) あらゆる形態の差別を解消するための意識啓発プログラム(青少年を含む子どもをとくに対象としたキャンペーンを含む)を実施すること。
子どもの最善の利益
17.自己の最善の利益を考慮される子どもの権利が一部の法律で取り上げられていることに評価の意とともに留意しながらも、委員会は、とくに子どもが関わる庇護手続において、この権利が不十分にしか重視されていないことを依然として懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。
  • (a) 子どもに関わるすべての措置について子どもの権利影響評価が義務化されていないこと。
  • (b) 最善の利益判定に関する関連の専門家の研修が不十分であること。
18.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が、子どもの最善の利益の原則の意味および実務的適用に関する意識を高め、かつ条約第3条が立法および行政措置に適正に反映されることを確保するための措置を強化するべきである旨の、前回の勧告(CRC/C/SWE/CO/4、パラ28)をあらためて繰り返す。委員会はまた、締約国が以下の措置をとることも勧告するものである。
  • (a) 子どもおよびその権利の享受に影響を及ぼす政策、立法、規則、予算、国際協力その他の行政決定のいかなる提案についても、その影響を判断するために義務的な子どもの権利影響評価を行なうこと。
  • (b) 移民委員会および社会福祉機関のスタッフを対象として定期的研修を行なう等の手段により、子どもの最善の利益の原則が、とくに子どもが関わる庇護案件におけるあらゆる決定の基盤および指針とされることを確保するとともに、最善の利益判定に関する研修を強化すること。
子どもの意見の尊重
19.委員会は、意見を聴かれる子どもの権利を実施するために社会サービス法および教育法に基づいてとられた措置には積極的措置として留意しながらも、とくに監護、居所および面会交流ならびに社会サービス調査との関連でまたは庇護手続において、この権利が実際には不十分にしか実施されていないことに、懸念とともに留意する。委員会はまた、外国人法(第1章第11条)上、子どもが意見を聴かれるのはそれが不適切でない場合に限られていることも懸念するものである。
20.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国が、条約第12条にしたがってこの権利を強化し、かつ、ソーシャルワーカーおよび裁判所がこの原則を遵守するようにするための制度および(または)手続を確立する等の手段により、意見を聴かれる子どもの権利を認めた法律の効果的実施を確保するための措置をとるよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、外国人法第1章第11条を修正し、不適切性の例外を廃止し、かつ、自己の影響を与える決定が行なわれる際に子どもが常に意見を聴かれることを確保するため、速やかに法的措置をとることも求めるものである。
生命、生存および発達に対する権利
21.委員会は、障害者権利委員会から以前指摘されたように(CRPD/C/SWE/CO/1、パラ29参照)、締約国において、障害のある人(子どもを含む)の自殺率がますます高まっていることを懸念する。
22.委員会は、締約国に対し、障害のある子どもの自殺の原因を防止し、特定しかつこれに対処するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。

C.市民的権利および自由(条約第7条、第8条および第13~17条)

適切な情報へのアクセス
23.「デジタルツーリスト」ツアー会議または毎年の「インターネット安全性強化デー」など、情報通信技術(ICT)の利用について子どもおよびその親に情報提供を行なうために締約国がとった措置には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、ICTの利用に関連するリスクについて、学校の児童生徒および親を対象として不十分な訓練しか行なわれていないことを懸念する。
24.デジタルメディアと子どもの権利に関する一般的討議の勧告に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どものプライバシーを保護するための規則を策定する努力を強化するとともに、ICTの安全な利用(とくに、子どもが小児性虐待者、自己の福祉に有害な情報および資料への接触ならびにネットいじめから身を守るための方法)について、子ども、教員および家族を対象とした十分な訓練を行なうこと。
  • (b) ネットいじめが他の子どもに及ぼしうる深刻な影響について、子どもの間で意識啓発を行なうこと。
  • (c) ICT関連の子どもの権利侵害を監視しかつ訴追する機構を強化すること。

D.子どもに対する暴力(条約第19条、第24条第3項、第28条第2項、第34条、第37条(a)および第39条)

拷問および他の残虐なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰
25.委員会は、法律に抵触した子どもを留置刑務所および警察の留置房で独房拘禁の対象とする実務が行なわれており、かつ後者に拘禁される子どもが多数にのぼっていること、および、精神保健ケアの現場で障害のある子どもに強制的かつ非任意的な取扱いが行なわれていること(とくに、革の紐またはベルトによる最長2時間の拘束が利用されていることおよび隔離措置がとられていること)を、深刻に懸念する。
26.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての委員会の一般的意見8号(2006年)およびあらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)を参照し、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) すべての子どもを独房拘禁から直ちに解放するとともに、あらゆる状況下で独房拘禁の利用を禁止するために法律を改正すること。
  • (b) 精神保健ケアの現場および他のいかなる施設においても革の紐またはベルトおよび隔離措置の利用を法的に禁止すること。
  • (c) あらゆるケア施設の子どもが独立の苦情申立て機構にアクセスできること、そのような施設の環境が定期的かつ効果的に監視されること、および、拘禁された子どもに対する残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いの報告が速やかにかつ公平に調査されることを確保すること。
  • (d) 医療スタッフおよび非医療スタッフを対象として、非暴力的かつ非強制的なケア方法についての研修を行なうこと。
  • (e) 警察の留置房に拘禁されている子どもについての警察の報告機構を統一すること。
虐待およびネグレクト
27.委員会は、家族間暴力と闘う全国調整官が2012年に任命されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、とくに6歳までの子どもの児童虐待が相当に増加していることを懸念するとともに、そのような虐待の通報の数件しか訴追に至っていないことに失望するものである。さらに委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。
  • (a) とくに締約国の多くの場所で一連のケア制度が明確なものになっていないことを理由として、虐待およびネグレクトの被害を受けた子どもが、リハビリテーションサービスおよび精神保健ケアにアクセスする際に困難を経験していること。
  • (b) 学校および施設の職員が虐待およびネグレクトの初期の徴候を認識する適正な訓練を受けておらず、このような状況によってごくわずかな事案しか社会サービスに通報されない事態が生じていること。
28.委員会は、締約国が、一貫したかつ調整のとれた子ども保護システムを創設し、かつ、子どもの虐待および子どもに対する暴力の事案の通報を奨励する目的で子どもの関与を得ながら意識啓発プログラムおよび教育プログラム(キャンペーンを含む)をさらに強化するとともに、子どもの虐待およびネグレクトを防止しかつこれと闘うための包括的戦略を策定し、かつ以下の措置をとるために、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
  • (a) 暴力および虐待の根本的原因に対処するための長期的プログラムを実施するため、十分な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。
  • (b) 学校および施設の職員を対象として、子どもの不当な取扱いの徴候を発見しかつ認識する方法についての定期的かつ継続的な研修を行なうこと。
  • (c) 元被害者、ボランティアおよびコミュニティの構成員の関与を得ることならびにこれらの者に研修および支援を行なうこと等の手段により、家族間暴力、子どもの虐待およびネグレクトを防止しかつこれに対応することを目的とした、コミュニティを基盤とするプログラムを奨励すること。
  • (d) 子どもに対する家族間暴力のあらゆる事件の全国的データベースを設置し、かつ、このような暴力の規模、原因および性質についての包括的評価を行なうこと。
  • (e) 暴力および虐待を受けた子どもが十分な身体的および心理的ケアに十分な形でアクセスできることを確保すること。
性的搾取および虐待
29.委員会は、性的搾取および虐待に対して締約国が措置をとってきたこと、ならびに、とくに、子どもに対する重大な性的虐待の犯罪の範囲が拡大され、刑罰が強化され、かつ子どもの性的搾取に関する時効が延長されたことを評価する。しかしながら委員会は、締約国において児童買春および児童ポルノが根強く存在しており、かつ、子どもの性的搾取に関するデータ(性的目的で人身取引により締約国に連れてこられた子どもおよび締約国内で取引された子どもまたはスウェーデン国民により国外で性的虐待もしくは搾取を受けた子どもに関するデータを含む)が存在しないことを懸念するものである。
30.委員会は、締約国が、性的搾取および虐待を解消するための努力を強化するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 年齢別、男女別、民族的出身別、国民的出身別、地理的所在別および社会経済的地位別に細分化されたデータを体系的に収集するための機構を設置すること。
  • (b) 子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択されてきた成果文書にしたがい、防止、被害を受けた子どもの回復および社会的再統合のためのプログラムおよび政策の発展を強化すること。
あらゆる形態の暴力からの子どもの自由
31.委員会は、いじめと闘うために締約国がとっている措置は評価しながらも、いじめに関する学校行動計画がニーズ調査に基づいていることは稀であるとされること、他の児童生徒による何らかの形態のいやがらせ(ネットいじめを含む)を受ける児童生徒の人数が増えていること、および、ソーシャルメディアの国内対応窓口がネット上のいじめおよびいやがらせとの闘いに十分に関与していないことに、懸念とともに留意する。
32.委員会は、締約国が、あらゆる形態のいじめおよびいやがらせ(ネットいじめおよび携帯電話によるいじめを含む)と闘うための努力を強化し、かつ、とくに以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) ソーシャルメディアの国内対応窓口の関与を強化し、学校における多様性を受け入れる教員および学校で働くすべての専門家ならびに生徒の能力ならびに生徒の紛争解決スキルを向上させ、かつ、いじめの解消を目的とする取り組みに子どもの関与を得ること。
  • (b) すべての学校が、いじめおよびいやがらせに関連した経験に関する生徒、職員および親の定期的調査を実施し、かつ、いじめと闘うための行動計画をこれらの調査に基づいて策定することを確保すること。
ヘルプライン
33.委員会は、締約国の自治体の多くが資格のあるソーシャルワーカーをスタッフとする24時間のヘルプラインを開設していることに評価の意とともに留意しながらも、日中しかヘルプラインサービスを提供できていない自治体が相当数にのぼることに留意する。
34.委員会は、締約国に対し、全国的に24時間のサービスを提供する目的でヘルプラインへの人的資源、技術的資源および財源の配分を増やすよう奨励する。

E.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第9~11条、第18条第1~2項、第20~21条、第25条および第27条(第4項))

家庭環境を奪われた子ども
35.委員会は、子どもと収監された親との接触を促進するために締約国がとったさまざまな措置(一部の刑務所における面会用居住施設の設置を含む)を評価する。しかしながら委員会は、「近接性の原則」が義務的なものではなく考慮される種々の要素のひとつにすぎないことを懸念するものである。このことは、親と面会するために子どもが長距離を移動し、また家族によっては経済的制約のためにそのような移動を行なえないということを意味しうる。委員会はまた、一部の刑務所において、長距離を移動しなければならないことが面会期間を延長する正当な事由として自動的に認められていないことも懸念するものである。
36.委員会は、締約国が、親が刑務所にいる子どもが親との個人的関係および直接の接触を維持できるようにするためにあらゆる必要な措置をとるとともに、近接性の原則を制度的に適用するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、刑務所における子どもにやさしい面会施設を引き続き増やすことも奨励するものである。
37.委員会は、アフリカ系の人々に関する専門家作業グループが締約国への訪問後に以前指摘したように、アフリカ系スウェーデン人およびアフリカ人の家族生活への恣意的干渉の事例が報告されていることならびに社会福祉機関による子どもの分離が行なわれていることを懸念する。
38.委員会は、締約国が、家族からの子どもの分離に関する実務を全面的に規制するとともに、分離が、常に徹底した調査の対象とされ、子どもの最善の利益にしたがって行なわれ、かつ最後の手段として用いられることを確保するよう勧告する。

F.障害、基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(第1~3項)および第33条)

障害のある子ども
39.一部の障害者を対象とする補助金およびサービスに関する法律第1993:387号の新たな規定で、障害のある子どもは自己に影響を与えるいかなる行動についても自己の意見を提示する機会を有すると定められていることは歓迎しながらも、委員会は、障害者権利委員会が強調したように(CRPD/C/SWE/CO/1、パラ19)、障害のある子どもが自己に関わる問題について制度的に意見を聴かれておらず、かつ自己の意見を表明する機会を有していないことを懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。
  • (a) 障害のある子どもに対する犯罪について個別の統計が作成されていないこと、および、障害のある子どもが障害のない他の子どもよりも高い割合で暴力に晒されていること。
  • (b) インクルーシブ教育にアクセスできている子どもの人数は非常に多いものの、教育法において、学校は、障害のある子どもを受け入れることに「相当の組織的または財政的困難」をともなうときは、自治体が同等の代替的選択肢を提示できることを条件として、障害のある児童生徒の入学を認めないことができるとされていること。
  • (c) 教育法で、、障害のある子どもは「最低限の知識要件」を達成しなければならないと定められていること。
  • (d) 親を対象としておよび障害のある子どもと働く職員を対象として、これらの子どもの特別なニーズに関する十分な情報提供および訓練が行なわれていないこと。
40.障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、障害に対する人権基盤アプローチをとるとともに、とくに以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 自己に関わるあらゆる事柄について協議の対象とされる障害児の権利について現在設けられている保障措置が効果的に実施されることを確保すること。
  • (b) 犯罪の被害を受けた障害児に関するデータを収集し、かつ次回の報告書でその知見に関する情報を委員会に提供すること、障害のある子どもに対する暴力についての調査研究ならびにデータおよび統計の収集を行なうこと、ならびに、親を対象としたおよび子どもとともに働く職員を対象とした感受性強化および訓練ならびに一般公衆の意識啓発のための戦略および取り組みを強化すること。
  • (c) すべての子どもが差別なく学校にアクセスできることを確保するとともに、この目的のため、障害のある子どもの受入れについて一定の要素を条件としている教育法の規定を廃止し、かつ、いかなる学校も完全にインクルーシブな教育を阻害する組織的または財政的困難に直面しないことを確保するために十分な人的、技術的および財政的支援を行なうこと。
  • (d) 障害のあるすべての子どもがその個別の能力を踏まえて可能なかぎり最高の教育水準に達する機会およびあらゆる必要な支援を与えられることを確保するため、速やかに法的措置をとり、かつあらゆる必要な資源を配分すること。
  • (e) 障害のある子どもの特別なニーズを認識しかつこれに対応する方法についての、親および教員を対象とした意識啓発プログラムおよび教育プログラムを発展させること。
健康および保健サービス
41.子どもの庇護希望者を対象として公平な保健ケアが提供されていることは歓迎しながらも、委員会は、経済的背景が異なる子どもの身体的および精神的健康に相当の格差が存在し続けていることを懸念する。
42.委員会は、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての委員会の一般的意見15号(2013年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国が、不利な立場に置かれた集団および周縁化された集団の子どもの健康状態を向上させるための努力を強化し、かつ、健康に対するこれらの子どもの権利を差別なく保障するために十分な財源、人的資源および技術的資源を配分するよう、勧告する。
精神保健
43.委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。
  • (a) いわゆる学習障害または行動障害、とくに注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断される子どもの人数が相当に増加していること。
  • (b) 副作用を適正に考慮することなくアンフェタミンおよびアンフェタミン様精神刺激薬(ほとんどはメチルフェニデートの形態をとる)が処方される事案が増加しており、かつ、そのような薬を服用することによる依存症が生じていること。
44.委員会は、締約国に対し、ADHDおよびその他の行動上の特異性の診断ならびに診断された子どもを対象とする薬物治療の使用について独立した専門家による監視を行なうシステムを設置するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの精神保健上の問題の判定において使用されている診断手法について独立の調査研究を行なうこと。
  • (b) 子ども、その親および教員を対象とする適切なかつ科学的基盤を有する心理カウンセリングおよび専門的支援が、ADHDおよびその他の行動上の特異性に対応する際の薬物の処方よりも優先されることを確保すること。
45.委員会は、精神保健障害および心理社会的障害の発生率が若者の間で高い一方で、学校保健サービスに対し、これらの障害に時宜を得た適切なやり方で対応するための十分な資源が与えられていないこと、ならびに、学校心理学者および心理社会的支援システムにアクセスするために長期間待機しなければならないことを懸念する。
46.委員会は、障害者権利委員会から以前指摘されたように(CRPD/C/SWE/CO/1、パラ18参照)、締約国が、子どもが適切な心理社会上および精神保健上の支援ならびに精神医学的保健ケアに時宜を得たやり方でアクセスしかつ当該支援およびケアを受けられることを確保するため、学校保健サービスに対して利用可能とされる資源を増やすよう勧告する。
生活水準
47.委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。
  • (a) 相対的に多数の子どもが貧困下で生活していること。
  • (b) 移住の状況下にある子どもが締約国の住民である子どもよりもいっそう経済的困難に服している一方、庇護希望者を対象とする日額手当の額が依然として低く、かつ1994年から変わらないままであること。
  • (c) 一般の子ども手当とは異なり、庇護希望者の家族を対象とする子ども手当は第3子以降減額されること。
  • (d) 2013年に、とくに家賃滞納の結果として、数百人の子どもが強制立退きの影響を受けたとされていること。
48.委員会は、締約国が、以下のことを目的とする戦略および措置を強化する目的で、人的資源、技術的資源および財源の配分を増やし、かつ貧困の根本的原因を検討するよう勧告する。
  • (a) 困窮している家族、とくにひとり親家族および困難な社会経済的その他の状況にある家族を支援するためのプログラムを強化しかつ増やすこと。
  • (b) 庇護希望者を対象とする日額手当を増額するとともに、2子以上の家族を対象として手当が減額されないことを確保するために速やかに法的措置をとること。
  • (c) 家族が移転または立退きを強制されないこと、および、十分な住居に対する子どもの権利が常に尊重されることを確保すること。

G.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~33条、第35~36条、第37条(b)~(d)、第38条、第39条および第40条)

子どもの庇護希望者および難民
49.委員会は、子どもの庇護希望者がノンルフールマンの原則に違反して出身国に送り返される事案が報告されていることを懸念する。委員会はまた、以下のことにも懸念とともに留意するものである。
  • (a) 保護者のいない子どもおよび庇護希望者である子どもが性的搾取および(または)性的虐待をとくに受けやすい状態に置かれていること、ならびに、保護者のいない子どもの失踪事案が毎年多数発生しており、かつその多くについて不十分な調査しか行なわれていないこと。
  • (b) 強制労働、児童婚、人身取引、女性性器切除または子ども兵士としての徴募の危険性など、子どもに固有の形態の迫害が、外国人法で庇護を得るための事由として明示的に挙げられていないこと。
  • (c) ネグレクトおよび(または)家族間暴力を理由として家庭外養護に措置された子どもが、外国人法にしたがい、親とともに退去強制の対象とされる可能性があること。
  • (d) 保護者のいない子どもの後見人に関する法律第3条で、子どもの後見人が「可能なかぎり早期に」任命されると規定されていて期限の定めがないことから、場合によっては後見人の任命まで子どもが数週間待たなければならないこともあること。
  • (e) 後見人が常に適正な訓練を受けているわけではなく、かつ、子どもと面会するときに常に通訳者をともなっているわけではないこと。
  • (f) 庇護申請の決定までに子どもが長期間待機しなければならない事案が報告されていること。
  • (g) 報告によれば、保護者のいない子どもおよび庇護希望者である子どもの多くに冬服、個人衛生用品または学校用品が支給されていないこと。
50.委員会は、締約国に対し、子どもが出身国に送還されることになっている場合にノンルフールマンの原則が常に尊重されることを確保するための措置を速やかにとるよう促す。さらに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 保護者のいない子どもが失踪したあらゆる事案を調査するとともに、これらの子どもの保護を強化するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (b) 外国人法の改正により、庇護を得るための事由として、強制労働、児童婚、人身取引、女性性器切除または子ども兵士としての徴募の被害を受ける危険性など子どもに固有の形態の迫害を明示的に含めること。
  • (c) いかなる子どもも、親または保護者による養育中に暴力および(または)虐待の被害を受けたという理由で分離された当の親または保護者とともに退去強制の対象とされないことを確保するとともに、そのような子どもに関わるいかなる決定についても最善の利益判定を実施すること。
  • (d) 保護者のいない子ども1人ひとりについて、十分な訓練を受け、かつ定期的かつ継続的な研修を受けている後見人が直ちに任命されること、子どもが自己の後見人と定期的に面会すること、および、言語上の問題があるときは子どもと後見人間の効果的コミュニケーションを可能とするために通訳者が任命されることを、法律で要件とすること。
  • (e) 庇護申請の処理を早めるとともに、庇護希望者であるすべての子どもに対し、基礎的必需品(とくに十分な衣服および個人衛生用品)ならびにあらゆる必要な学校用品が全面的に支給されることを確保すること。
移住の状況にある子ども
51.委員会は、「通過滞在」であるとみなされる子どもが教育へのアクセスに関して困難に直面していること、および、移住者としての背景を有する子どものほうが学校脱落率が高いことに、懸念とともに留意する。
52.委員会は、締約国が、「通過滞在」であるとみなされる子どもが教育への全面的アクセスを認められることを確保するために法律を改正し、そのような子どもの脱落率を効果的に減少させるためにあらゆる必要な措置をとり、かつ、学校から脱落した子どもに学校への再アクセスの機会を提供するよう、勧告する。
武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書についての委員会の前回の所見および勧告のフォローアップ
53.委員会は、ジェノサイド、人道に対する犯罪および戦争犯罪についての刑事責任に関する法律(2014年7月)が採択され、15歳未満の子どもの徴募および武力紛争における使用が戦争犯罪とされたことを歓迎する。しかしながら委員会は、志願制防衛組織の全体防衛青年活動に参加する18歳未満の志願隊員が火器の訓練を行なうことを依然として懸念するものである。さらに委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。
  • (a) 子どもが徴募されまたは敵対行為において使用されている国またはその可能性がある国にいかなる武器も輸出されないことを確保するために設けられている保障措置が不十分であること。
  • (b) 子どもの難民、庇護希望者および移住者であって国外で徴募されまたは敵対行為において使用された者に関する体系的なデータ収集を行なうための機構が設置されていないこと。
54.委員会は、締約国が、選択議定書の精神を全面的に尊重しかつあらゆる状況において子どもに全面的保護を提供する目的で、志願制防衛組織が行なう火器訓練に参加する志願隊員の最低年齢を16歳から18歳に引き上げるべきである旨の前回の勧告(CRC/C/OPAC/SWE/CO/1、パラ15)をあらためて繰り返す。委員会は、締約国が、18歳未満の者に火器訓練および軍隊式訓練を行なうすべての志願制防衛組織に対し、選択議定書および他の関連の国際基準に関する十分な情報提供および研修を行なうよう、あらためて勧告するものである。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 子どもが徴募されまたは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国が最終目的地国である場合の武器(小火器および軽火器を含む)の輸出を完全に禁止すること。
  • (b) 自国の管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移住者であって国外で徴募されまたは敵対行為において使用された者に関する体系的なデータ収集を行なうこと。
子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書についての委員会の前回の所見および勧告のフォローアップ
55.委員会は、子どもの人身取引、搾取および性的虐待に反対する国家行動計画(2014~2015年)ならびにストックホルム国境管理警察が策定した共通行動計画は歓迎しながらも、以下の懸念をあらためて繰り返す(CRC/C/OPSC/SWE/CO/1参照)。
  • (a) 締約国の法律で、選択議定書第1条、第2条および第3条に定められたすべての犯罪が具体的に定義されかつ禁じられているわけではないこと、および、選択議定書に含まれているすべての犯罪が締約国の刑法で対象とされているわけではないこと。
  • (b) 締約国の判例および法律が、15歳以上の子どもの被害者に対し、一貫して十分な保護を提供しているわけではないこと。
  • (c) 選択議定書が対象とする犯罪に関わるリスク要因の特定およびこれへの対処ならびにこのような違反の事案(外国人被害者が関わるものを含む)を通報しかつ処理する方法および機関についての知識が、子どもとともにまたは子どものために働く専門家の間で低いままであること。
  • (d) 選択議定書第2条(c)に関する締約国の宣言において、同条の「あらゆる表現」(any representation)という文言は児童ポルノの「視覚的表現」に関連するものとしてのみ解釈すると述べられていることにより、あらゆる形態の児童ポルノに対応するための選択議定書の全面的実施が阻害されること。
56.委員会は、締約国に対し、刑法を選択議定書の規定を全面的に一致させるためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。このような措置には以下のものが含まれる。
  • (a) 前回勧告されたように、選択議定書第1条、第2条および第3条に掲げられたすべての犯罪ならびにあらゆる形態の児童ポルノを犯罪化するとともに、性的搾取を犯罪の重大性にふさわしい制裁で処罰できるようにすること。
  • (b) 子どもの虐待の被害者全員(15歳以上の被害者を含む)に対して十分な法的保護を提供すること。
  • (c) 未成年者の性的行為の購入および性的目的での子どもの搾取は「子どもに対するそれほど重大ではない性犯罪」という評価を再検討するとともに、このような犯罪が領域外で行なわれた場合の犯罪人引渡しに関する双方可罰性要件を削除すること。
  • (d) 子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家を対象として、選択議定書に関する体系的研修を実施すること。
  • (e) 選択議定書第2条(c)に関する宣言を撤回すること。
少年司法の運営
57.委員会は、法律に抵触した子どもの権利を保障するために行なわれている努力は認識しながらも、以下のことを懸念する。
  • (a) 拷問禁止委員会から以前指摘されたように(CAT/C/SWE/CO/6-7、パラ7)、自由を奪われた子どもが、自己の権利についておよび自己に課された制限の理由について常に告知されているわけではなく、かつ、自由の剥奪が開始された時点からすべての基本的な法的保障(弁護士にアクセスする権利、独立の医師による検診を受ける権利および親族または自ら選択した者に通知する権利など)を与えられているわけでもないこと。
  • (b) スウェーデン子どもオンブズマンの2013年版年次報告書で提起されたように、拘禁に代わる措置を見出すための十分な努力が行なわれないまま子どもが引き続き審判前拘禁の対象とされていること、および、審判前拘禁の対象とされている子どもの取扱いについて一般的かつ正式な定型的手順が定められていないこと。
  • (c) 審判前拘禁を含む自由の剥奪の期間が法律で帰省されていないこと。
  • (d) 教育へのアクセスに関して留置刑務所間で格差があること。
58.少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(2007年)に照らし、委員会は、締約国に対し、少年司法制度を引き続き条約および他の国際基準と全面的に一致させるよう促す。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) 拘禁された子どもが、拘禁の理由および自己の権利(とくに弁護士に直ちにアクセスする権利、可能であれば自ら選んだ独立の医師による検診を受ける権利、ならびに、親族および適当なときは領事機関に通知する権利)について、その子どもが理解できる方法で直ちに説明されることを確保するとともに、法的助言者のいない状態で行なわれたいかなる陳述も法的手続において使用できないことも確保すること。
  • (b) 勾留および拘禁に代わる措置を促進するとともに、勾留および審判前拘禁を含む拘禁が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間で用いられること、および、当該拘禁が、その中止を視野に入れて裁判官によって定期的に再審査されることを確保すること。
  • (c) あらゆる場面における自由の剥奪の期間の上限をすべての関連法に編入すること。
  • (d) 拘禁されたすべての子どもが、教育に対する平等な制定法上の権利を有することを確保すること。
犯罪の被害者および証人である子ども
59.委員会は、親密な関係における暴力その他の形態の虐待を目的した子どもが犯罪被害者としての地位を有していながらも、法的手続においては被害当事者としての地位を認められておらず、そのため自分自身の被害者弁護人を提供されず、後見人の許可なくして警察による聴取の対象となることができず、かつ賠償を受けるうえで困難に直面していることを懸念する。さらに委員会は、被害を受けた子どもが関与する多くの法的手続が長期化していることに、懸念とともに留意するものである。
60.委員会は、締約国が、刑事司法制度が子どもの被害者および証人を取り扱う際に子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを要求するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの被害者および証人に対し、法的手続全体を通じて、弁護士による代理、情報および損害賠償へのアクセスとあわせて適切な支援サービスを提供するとともに、法的手続上の被害当事者としての地位を認められる権利を子どもに与えること。
  • (b) 子どもの被害者が関与する手続の長期化を防止するためにあらゆる必要な措置をとること。

H.通報手続に関する選択議定書の批准

61.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに進める目的で、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう勧告する。

I.国際人権文書の批准

62.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに進める目的で、まだ当事国となっていない中核的人権文書、とくにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約ならびに経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書を批准するよう、勧告する。

J.地域機関との協力

63.委員会は、欧州評議会および欧州連合との間で締約国が行なっている協力を評価するとともに、締約国が、締約国および他の欧州評議会加盟国の双方における子どもの権利の実施に関して引き続き欧州評議会と協力するよう勧告する。

IV.実施および報告

A.フォローアップおよび普及

64.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、第5回定期報告書、事前質問事項に対する締約国の文書回答およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。

B.次回報告書

65.委員会は、締約国に対し、第6回・第7回統合定期報告書を2021年3月1日までに提出し、かつ、この総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を短縮するよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できない。
66.委員会はまた、締約国に対し、国際人権条約に基づく報告についての統一ガイドライン(2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された共通コアドキュメントおよび条約別文書に関するガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap. I)および総会決議68/268(パラ16)を含む)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件にしたがい、42,400語を超えない範囲で最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2016年1月10日)。