CRC個人通報 No.1/2014:不受理


子どもの権利委員会(第69会期)
CRC/C/69/D/1/2014(2015年7月8日)
原文:英語
日本語訳:平野裕二

実体上の問題:家庭環境を奪われた子どもに特別な保護を付与する手続での年齢の決定
手続上の論点:委員会の時間的管轄権
条約の関連条項:第18条(2)および第20条(1)との関連における第3条、ならびに第8条、第20条、第27条および第29条
選択議定書の関連条項:第7条(g)

通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく子どもの権利委員会の決定(第69会期)

No.1/2014*

委員会の委員のうち本通報の検討に参加したのは、Amal Salman Aldoseri、Suzanne Aho Assouma、Hynd Ayoubi Idrissi、Bernard Gastaud、Peter Guran、Olga A. Khazova、Hatem Kotrane、Benyam Dawit Mezmur、Yasmeen Muhamad Shariff、Clarence Nelson、Wanderlino Nogueira Neto、Sara de Jesus Oviedo Fierro、Jose Angel Rodriguez Reyes、Kirsten Sandberg および Renate Winter である。
通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく委員会の手続規則の規則8第1項(a)にしたがい、委員会の Jorge Cardona Llorens 委員は通報の検討に参加しなかった。

提出人:A.H.A.(代理人弁護士=Albert Pares〔Collectiu Iuris and Associacio Noves Vies〕)
被害者とされる者:申立人
締約国:スペイン
通報日:2014年9月23日

子どもの権利条約第43条に基づいて設置された子どもの権利委員会は、
2015年6月14日に会合を持ち、
通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づいて提出された通報No.1/2014の検討を終了したうえで、
以下の決定を採択する。

受理許容性に関する決定

1.通報の申立人は、ガーナ国民であり、1994年7月24日生まれであると主張する A.H.A.である。申立人は、条約第18条(2)および第20条(1)との関連における第3条に基づく権利ならびに第8条、第20条、第27条および第29条に基づく権利の、締約国による侵害の被害者であると主張する [1]。申立人には代理人弁護士がついている。
[1] 通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書は、当該締約国について2014年4月14日に効力を生じた。

申立人が主張する事実関係
2.1 申立人は、スペインへの到着後、保護者のいない未成年者として警察により通報された。2010年10月24日、子ども・青少年保護総局は、申立人は遺棄されたものであり、国の当局による保護を必要していると宣言するための手続を開始した。しかし、医学的検査により、申立人は少なくとも19歳に達しているとの結論が出された。その結果、2010年11月16日、申立人は保護総局から、申立人は成人であることが確定したので国による保護を受ける資格は有しない旨、通知された。
2.2 申立人は、バルセロナ第18第1審裁判所において保護総局の決定に異議を申立てた。申立人は、自分は未成年者であり、自分の生年月日は出生証明書およびパスポート(マドリードのガーナ領事館が2010年12月21日に発給したもの)に記載されているとおり1994年7月24日であるので、国による保護を受ける資格があると主張した。2011年7月22日、裁判所は申立人の申立てを棄却した。
2.3 申立人は第18裁判所の決定に対して控訴した。2011年10月5日、バルセロナ州裁判所は申立人の控訴を棄却した。2012年11月5日、申立人は最高裁判所に対して上告を求めるさらなる申立書を提出した。2013年9月17日、最高裁判所は、上告の不受理を宣言した。

不服の内容
3.1 申立人は、締約国が、条約第18条(2)および第20条(1)との関連における第3条に基づく権利ならびに第8条、第20条、第27条および第29条に基づく権利を侵害したと主張する。
3.2 申立人の主張によれば、当局は、申立人が未成年者であることを恣意的に認めず、かつ、パスポートに記載された生年月日を、パスポートの有効性には一度も異を唱えなかったにもかかわらず、無視した。申立人の年齢を判断するために当局が行なった医学的検査は、経験を積んだ医師によって実施されたものでもなければ、年齢鑑別のための適切な技術および検査を含むものでもなかった [2]。さらに、申立人の主張によれば、年齢について判断するための医学的検査は、その者が自己の生年月日または年齢を明らかにする文書を持たない場合に限って実施されるべきである。
[2] 申立人は、United Nations Children's Fund, Ni ilegales ni invisibles. Realidad juridica y social de los menores extranjeros en Espana (2009)を参照している。
3.3 締約国当局の決定は、未成年者として締約国の保護を受ける資格を申立人から奪い、申立人に継続的危害を引き起こすものである。

委員会における論点および手続

受理許容性の検討
4.1 通報に掲げられた主張を検討する前に、委員会は、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく手続規則の規則20にしたがい、当該通報を受理できるかどうか決定しなければならない。
4.2 委員会は、子ども・青少年保護総局が、2010年11月16日、申立人は未成年者ではないとの結論に達し、申立人には子どもとしての保護を受ける資格は有しない旨を通知してきたこと、その後、当該決定を不服として申立人が行なった司法的申請はすべて棄却されたこと、および、2013年9月17日に最高裁判所が申立人の上告を不受理としたことについての申立人の主張に留意する。委員会の所見によれば、当該通報に掲げられたすべての事実関係(最終審の司法決定を含む)は、締約国について選択議定書が効力を生じた2014年4月14日以前の出来事である。したがって委員会は、選択議定書第7条(g)にしたがい、委員会には時間的管轄によって本通報を審査することが認められないと結論する。

5.以上を踏まえ、委員会は以下のとおり決定する。
  • (a) 本通報は、選択議定書第7条(g)に基づき、受理されない。
  • (b) 本決定は、通報の申立人に対して、また締約国に対しても参考として、送達される。


  • ページ作成(2015年9月26日)。/ページ名の表示がおかしかったので修正(2018年8月2日。