総括所見:ドイツ(第3回~4回・2014年)


CRC/C/DEU/CO/3-4(2014年2月25日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2014年1月27日および28日に開かれた第1866回および第1867回会合(CRC/C/SR.1866およびCRC/C/SR.1867参照)においてドイツの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/DEU/3-4)を検討し、2014年1月31日に開かれた第1875回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させてくれた、ドイツの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/DEU/3-4)および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/DEU/Q/3-4/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルなかつ多部門型の代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、以下の立法措置の採択を歓迎する。
  • (a) 法律上の父ではない生物学上の父の権利を強化する2013年7月4日の法律。
  • (b) 互いに婚姻していない両親の監護権を改革する2013年4月16日の法律。
  • (c) 後見監護法を改正する2011年6月29日の法律。
  • (d) 2011年12月22日の連邦子ども保護法。
  • (e) 2008年12月16日の子ども支援法。
  • (f) 子どもの最善の利益に危険が及ぶ場合の家庭裁判所による措置を促進するための2008年7月12日の法律。
  • (g) 2007年1月1日の連邦親手当および育児休暇法。
  • (h) 2005年10月1日の子ども・青年福祉発展推進法。
4.委員会はまた、以下の文書の批准にも評価の意とともに留意する。
  • (a) 通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書(2013年2月)。
  • (b) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2009年7月)。
  • (c) 強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(2009年9月)。
  • (d) 傷害のある人の権利に関する条約(2009年2月)。
  • (e) 人身取引と闘うための行動に関する欧州評議会条約(2012年12月)。
5.委員会は、以下の制度上および政策上の措置も歓迎する。
  • (a) 「連邦早期介入イニシアティブ」の確立(2012年)。
  • (b) 子どもの健康を促進する「連邦政府戦略」の策定(2008年)。
  • (c) 「子どもにやさしいドイツのために」(Fur ein kindergerechtes Deutschland)と題した2005~2010年の国家行動計画。
6.委員会は、締約国が、条約第40条第2項(b)(ii)および(v)に付した留保を撤回したことを歓迎する。

III.主要な懸念領域および勧告

A.一般的実施措置(条約第4条、第42条および第44条第6項)

委員会の前回の勧告
7.委員会は、締約国の第2回報告書に関する2004年の総括所見(CRC/C/15/Add.226)を実施するために締約国が行なった努力は歓迎しながらも、そこに掲げられた勧告の一部について十全な対応がとられていないことに、遺憾の意とともに留意する。
8.委員会は、締約国が、条約に基づく第2回定期報告書についての総括所見の勧告のうち十分に実施されていないもの(とくに調整、独立の監視、庇護を希望している子どもおよび移住の状況にある子どもに関するもの)に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。
条約の法的地位
9.委員会は、ほとんどの州が州憲法で子どもの権利を明示的に認めていることに、満足感とともに留意する。しかしながら委員会は、ハンブルグ州およびヘッセン州の憲法ならびに連邦憲法(基本法)で子どもの権利が明示的に認められていないことを依然として懸念するものである。委員会はさらに、基本法第59条第2項に基づき、条約が普通連邦法の段階に位置づけられていることに留意する。
10.前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ10)に照らし、委員会は、締約国に対し、条約が、基本法に編入されることを通じ、または他のいずれかの手続により、連邦法に優越することを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。
包括的な政策および戦略
11.委員会は、2005~2010年の国家行動計画によって子どもの権利に関する幅広い議論が開始されたことに留意する。しかしながら委員会は、同計画を実際に実施するにあたり、地方レベルで市民社会組織その他の主体の関与を得ることが十分に行なわれなかったことを遺憾に思うものである。青少年および若年成人に焦点を当てた新たな若者政策が2011年に開始されたことには留意しながらも、委員会は、子どもの権利に関するすべての問題が同政策で対象とされているわけではないように思えることを、依然として懸念する。
12.委員会は、締約国が、子どもの権利に関する包括的な政策を策定するための措置をとり、プログラムおよびプロジェクトの策定を進めるために必要な人的資源、技術的資源および財源を関連機関に提供し、かつ、これらのプログラムおよびプロジェクトの監視および評価のために、連邦および州のレベルにおける関連機関の役割および責任についてはっきりと明らかにしたシステムを確立するよう、勧告する。
調整
13.委員会は、締約国における条約の実施を連邦、州およびコミュニティのレベルで調整する中央機関が存在しないことにより、包括的かつ首尾一貫した子どもの権利政策の達成が困難になっていることを、依然として懸念する。
14.条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ12)をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、条約の実施を効果的に調整するための十全な能力および権限ならびに十分な人的資源、技術的資源および財源を備えた十分なかつ常設の機関を国レベルで設置しまたは指定するよう、求める。このような調整には、連邦レベルのさまざまな省庁間、連邦と州の間および諸州間で横断的に存在する問題への対応も含まれるべきである。
データ収集
15.委員会は、締約国が包括的なデータ収集システムの設置の重要性を認識していることに留意する。しかしながら委員会は、締約国が、条約が対象とするすべての分野についてのデータを収集するための包括的なシステムを有していないことを懸念するものである。このことは、とりわけ子どもに対する暴力、傷害のある子ども、少年司法および子どもの難民(とくに保護者のいない子どもの難民)の分野において、子どものための政策、プログラムおよびプロジェクトの効果的な計画、監視および評価を行なう際の主要な障壁のひとつとなっている。
16.条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)を想起しつつ、委員会は、締約国に対し、すべての州および18歳に至るまでの子ども時代の全期間を網羅した子どもに関するデータを収集するための包括的かつ統合的なシステムを設置し、かつ、これらの権利の実現における進展を分析しかつ評価するために活用できる、子どもの権利に関する指標を導入するよう、促す。子どもの全般的状況に関する評価を容易にし、かつ、条約を効果的に実施するための政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価の指針とする目的で、データは年齢、性別、障害、地理的所在、民族、移住者としての地位および社会経済的背景ごとに細分化されるべきである。
独立の監視
17.委員会は、連邦、州およびコミュニティのレベルにおける条約の実施を監視するための、また子どもの権利侵害の苦情を受理しかつこれに対応する権限を与えられた独立の中央機関が引き続き存在しないことを、依然として懸念する。
18.前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ16)にのっとり、委員会は、締約国が、ドイツ人権研究所に対し、連邦、州および地方のレベルで条約の実施を監視する権限を委任するよう勧告する。委員会はさらに、同研究所に対して十分な人的資源、技術的資源および財源が配分され、かつ、同研究所の権限に、子どもの権利侵害の苦情を子どもにやさしいやり方で受理し、調査しかつこれに効果的に対応できることが含まれるべきことを勧告するものである。
普及、意識啓発および研修
19.子どもにやさしい方法で条約を普及するために締約国が行なっている努力は歓迎しながらも、委員会は、おとなおよび子ども(とくに、被害を受けやすい状況に置かれた子ども)が子どもの権利に関する情報に不満足な形でしかアクセスできていないことを懸念する。委員会は、締約国が、条約に関する普及、意識啓発および研修のための十分な活動を、とくに学校において、また子どもとともに働く専門家を対象として、体系的かつ対象を明確にするやり方で行なっていない旨の前回の懸念をあらためて表明するものである。
20.これまでの勧告(CRC/C/15/Add.43、パラ26およびCRC/C/15/Add.226、パラ20)にのっとり、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 学校カリキュラムに条約および人権一般に関する必修単位を含めるとともに、庇護希望者、難民および民族的マイノリティ等の被害を受けやすい立場に置かれた集団にこのような情報を提供するための十分な取り組みを発展させること。
  • (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(裁判官、弁護士、法執行官、公務員、教員、心理学者を含む保健従事者およびソーシャルワーカー等)を対象とした、条約に関する体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させること。
  • (c) とくにソーシャルメディアの(同時に出版、ラジオ、テレビその他のメディアの)いっそうの活用を通じ、子どもにやさしい方法による条約についての意識啓発にメディアがいっそう取り組むことを奨励するとともに、公的な積極的周知活動への子どもたち自身の積極的関与を奨励すること。
国際協力
21.委員会は、欧州連合政府開発援助目標の枠組みのなかで締約国が示している、対国民総所得比0.7%という国際的に合意された目標を2015年までに達成することについての決意を歓迎する。委員会は、締約国に対し、当該目標を達成するとともに、開発途上国との間で締結される国際協力についての取決めにおいて子どもの権利の実現が最優先課題となることを確保するよう、奨励するものである。委員会は、その際、締約国が、当該援助受領国に関する子どもの権利委員会の総括所見を考慮するよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、関係国における緊縮政策の実施によって子ども政策のための資源配分に悪影響が生じないことを確保するよう欧州連合に求めることを勧告するものである。
子どもの権利と企業セクター
22.委員会は、締約国が発電のために相当量の石炭を用いていることに留意するとともに、石炭からの放出物が子どもの健康に及ぼす悪影響について懸念を覚える。委員会はまた、国外で事業を行なっており、かつ子どもの権利その他の人権を侵害しているとの報告があるドイツ企業に対して締約国が十分な措置をとっていないことも懸念するものである。
23.企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての一般的意見16号(2013年)にのっとり、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 締約国で操業する産業を対象とした、その活動が人権に影響を及ぼしまたは環境その他の問題に関する基準(とくに子どもの権利に関わるもの)を脅かさないことを確保するための明確な規制枠組みを確立すること。
  • (b) 子どもの権利に影響を及ぼす企業への補助金の配分といった予算措置をとる際、子どもの最善の利益を考慮すること。
  • (c) 締約国の領域で操業しまたは締約国の領域から経営されている企業およびその子会社が、子どもの権利および人権のいかなる侵害についても法的に責任を問われることを確保する目的で、民法上、刑法上および行政法上の枠組みを検討しかつ修正すること。
  • (d) 人権理事会が2011年に採択した「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合『保護・尊重・救済』枠組みの実施」にのっとり、企業活動から生じるいかなる悪影響からも地域コミュニティ(とくに子ども)を保護する目的で、ビジネスと人権に関する国際基準および国内基準を遵守すること。

B.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
24.委員会は、締約国がとった反差別のための措置、とくに理解および寛容の文化の促進を目的とした措置を歓迎する。しかしながら委員会は、障害のある子どもおよび移住者としての背景を有する子どもが、とくに教育および保健ケアサービスに関わって、締約国において引き続き差別に直面していることを依然として懸念するものである。
25.委員会は、締約国が、教育、保健および発達へのアクセスにおける不平等を縮小するためのプログラムおよび政策を通じ、差別(とくに障害のある子どもおよび移住者としての背景を有する子どもへの差別)と闘うための措置を増進させるよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、学校および子どものためのその他の空間において差別に関する意識を高め、かつインクルーシブで寛容な環境を醸成するための努力を継続することも勧告するものである。
子どもの最善の利益
26.子どもの福祉が締約国の法体系における指導原則のひとつであり、かつますます適用される原則となっていることには留意しながらも、委員会は、子どもの最善の利益の原則がまだ連邦法に全面的に編入されておらず、かつ、子どもの最善の利益の優先がまだ立法府、行政府および司法府のすべての分野に統合されていないことにも、懸念とともに留意する。とくに、教育面および社会経済的側面で不利な立場に置かれている子ども(子どもの難民および庇護希望者を含む)に関わる事件で、子どもの最善の利益が無視されることが多い。
27.委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に対して締約国の注意を喚起する。前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ27)にのっとり、委員会は、この権利が、すべての立法上、行政上および司法上の手続、ならびに、子どもに関連し、かつ子どもに影響を及ぼすすべての政策、プログラムおよびプロジェクトに適切に統合されかつ一貫して適用されることを確保するための努力を、締約国が強化するよう勧告する。これとの関連で、締約国は、すべての分野で子どもの最善の利益について判断することおよび子どもの最善の利益を第一次的考慮事項として正当に重視することについての指針を、権限を有する立場にあるあらゆる関係者に対して示すための手続および基準を策定するよう、奨励されるところである。このような手続および指針は、私立の社会福祉施設、裁判所、行政機関、立法機関および公衆一般に対して普及されるべきである。

C.市民的権利および自由(条約第7条、第8条および第13~17条)

出生登録
28.委員会は、国民および外国人であるすべての子ども(難民および庇護希望者を親とする子どもを含む)の出生登録についての締約国における発展を歓迎する。しかしながら委員会は、証明書の発行を担当する登録官が在留資格を確認し、かつその結果を出入国管理機関に通知しなければならないことに鑑み、在留資格が非正規である新生児のための出生証明書の取得に関して実際上の困難が残っていることを懸念するものである。
29.委員会は、締約国に対し、出生登録が、親の法的地位および(または)出身にかかわらず、すべての子どもにとって可能なかぎり早期に利用可能とされることを確保するために適切な措置をとるよう、促す。委員会は、その際、締約国が、教育施設の職員について2011年に行なったように、登録担当官について、出入国管理機関に情報を通知する義務を免除するよう勧告するものである。
アイデンティティに対する権利
30.委員会は、新たな赤ちゃんボックスを設置しない旨の決定が行なわれたことおよび匿名出産の規制が計画されていること、ならびに、遺棄される新生児の人数を減らすことを目的として妊婦および最近出産した女性への支援が提供されていることに留意する。しかしながら委員会は、赤ちゃんボックスが規制されておらず、かつ使用され続けていること(これは、とくに条約第6条~9条および第19条に違反する)を遺憾に思うものである。
31.委員会は、締約国に対し、匿名で子どもを遺棄する慣行を終了させるために必要なあらゆる措置をとり、かつ、可能なかぎり早期に代替的選択肢を強化しかつ促進するよう、強く促す。委員会はまた、締約国に対し、新生児の遺棄の根本的原因を研究し、かつこれに対処するための努力を増進させることも促すものである。このような対応には、家族計画およびリプロダクティブヘルスのためのサービスの提供、計画外の妊娠の場合の十分なカウンセリングおよび社会的支援、高リスク妊娠の防止、困窮している家族への支援、ならびに、最後の手段としての、病院における匿名出産の可能性の導入を含めることが求められる。この点に関して、締約国は、条約のすべての規定を全面的に遵守する義務を考慮し、子どもが将来的にアクセスできる、親に関する秘密の記録を保存しておくべきである。

D.子どもに対する暴力(条約第19条、第24条第3項、第28条第2項、第34条、第37条(a)および第39条)

体罰
32.委員会は、子どもが暴力を受けない養育に対する制定法上の権利を有していることに、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、相当数の子どもが家庭においてさまざまな形態の暴力を経験していることを、依然として懸念するものである。
33.委員会は、締約国が、暴力を受けない養育に対する権利がいっそう効果的に実施されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、体罰に代えて行なう積極的な、非暴力的なかつ参加型の形態の子育ておよびしつけを促進するために現在実施されている意識啓発プログラムを発展させかつ強化するよう、勧告するものである。
性的搾取および性的虐待
34.委員会は、性的搾取および性的虐待を防止し、かつ性犯罪の被害者に援助および支援を提供するための措置が不十分であることを懸念する。これには以下のことが含まれる。
  • (a) 学校および子どもが通っているその他の施設における防止措置が不十分であること。
  • (b) 同国の一部でカウンセリングサービスが不十分であり、かつ性暴力の被害を受けた子どものための治療施設が不十分であることから、とくに東部の州および農村地域において欠落が生じていること。
  • (c) 専門的サービスに対する資金拠出が不十分であること。
  • (d) とくに男子、障害のある子どもおよびドイツ語をまったくまたは十分に知らない移住者の子どもにとって、支援およびカウンセリングサービスへのアクセスが不平等であること。
  • (e) 子どもの性的虐待問題に関する独立コミッショナーに恒久的地位が認められていないこと。
35.委員会は、締約国に対し、以下のことを確保する目的で、すべての保護制度関係者間の調整を強化し、かつあらゆる必要な人的資源、技術的資源および財源を配分するよう促す。
  • (a) 学校および障害のある子どものための施設ならびに青年福祉施設その他の施設(宗教部門、スポーツ部門および文化部門の施設等)における、子どもに対する性暴力の防止。
  • (b) 性的搾取および性的虐待の被害を受けた子どもを対象とする、十分なカウンセリングサービスおよび治療施設への無制限のアクセス。
  • (c) 専門的サービスに対する資源配分。
  • (d) 外国語および手話による通訳の提供を通じた、カウンセリングサービスおよび治療施設へのバリアフリーなアクセス。
  • (e) 子どもの性的虐待問題に関する独立コミッショナーの恒久的地位。
36.教会職員が行なった児童虐待事件を捜査するために締約国がとった措置には留意しながらも、委員会は、複数の事件について捜査が行なわれていないことを懸念する。
37.委員会は、締約国が、教会職員が行なったとあsれる児童虐待事件の捜査および訴追を速やかに進めるため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
有害慣行
38.委員会は、締約国に住んでいる相当数の女子が、性器切除の影響を受けており、または性器切除が実行されている国へ一時的に送られもしくは締約国内で性器切除の対象とされる危険性にさらされていることを懸念する。委員会はまた、医師、助産師および病院職員が性器切除ならびに防止措置および保護措置について十分な情報を得ていないことが多く、そのため助言および援助ができないことにも、懸念とともに留意するものである。
39.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ47)をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、女性性器切除を禁止する国家的な政策および戦略を作成し、かつ以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) すべての関連の専門家集団(とくに医師、助産師、病院職員、教員、ソーシャルワーカーおよび子どもヘルプライン相談員)を対象として、女性性器切除の防止およびこれへの対応に関する研修を実施すること。
  • (b) とくに市民社会およびメディアの関与を得ることにより、この慣行を防止するための情報普及・意識啓発キャンペーンをさらに強化しかつ組織すること。これとの関連で、危険な状況に置かれた女子を対象とする、援助および助言へのアクセスに関する情報を提供するキャンペーンにとくに焦点が当てられるべきである。
  • (c) とくに、女性性器切除が実行されている国に対する財政的および技術的援助を拡大することにより、国際協力プログラムにおける女性性器切除の撤廃のための措置をさらに強化すること。
あらゆる形態の暴力からの子どもの自由
40.委員会は、学校その他の施設において子どもが経験している継続的な暴力(身体的暴力、いじめおよび増加しつつあるネットいじめを含む)について懸念を覚える。さらに委員会は、この問題に対応する十分な資格を有する教員およびスクールソーシャルワーカーが一部の学校で存在せず、かつ他の施設でも資格を有する職員が存在しないことを懸念するものである。
41. 子どもに対する暴力に関する国連研究(A/61/299)およびあらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利に関する委員会の一般的意見13号(2011年)を想起しつつ、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対応するための、包括的な国家的戦略を策定すること。
  • (b) 子どもに対するあらゆる形態の暴力に対応するための国家的な調整枠組みを採択すること。
  • (c) 暴力の発生を認識し、かつこれに効果的に対応できるようにするための学習を目的とした、教員およびソーシャルワーカーを対象とする全国的な意識啓発・研修プログラムを実施すること。
  • (d) 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表および他の関連の国際連合機関と協力すること。

E.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第9~11条、第18条第1~2項、第19~21条、第25条および第27条第4項)

42.親の関係の規制について締約国が行なった重要な変更、とくに子どもの共同監護権の確立に向けた大きな流れは歓迎しながらも、委員会は、締約国が、法律において、条約でおよび子どもの権利条約の発効後に採択された国際文書のいくつかで用いられている「親の責任」(parental responsibility)ではなく「監護権」(custody)という用語をいまなお用いていることに留意する。
43.委員会は、締約国が、条約の趣旨および目的にのっとり、「監護権」という用語に代えて「親の責任」を用いる可能性を検討するよう勧告する。
家庭環境を奪われた子ども
44.委員会は、家族再統合に関する締約国の厳格な規則について懸念を覚える。当該規則では、残された子どもが欧州連合市民ではない場合に締約国で親とともに暮らすことを認められるのは、その子どもが16歳未満であり、かつその生計維持手段が保障されている場合に限ると規定されている。
45.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が、家族再統合に対する外国人の子どもの一般的権利を制定法により18歳まで確保するよう勧告する。
46.親としての義務の履行に関して親を支援するために締約国がとった立法措置は歓迎しながらも、委員会は、以下の問題について懸念を覚える。
  • (a) 家庭環境を奪われて公的ケアの対象とされる子どもの人数が増えていること。
  • (b) 危険な状況に置かれた家族を支援するための公的青年福祉サービスに十分な資源が配分されておらず、かつ、親の言語によるサービスまたは通訳を提供している地方当局の数が少ないこと。
  • (c) 行動障害のある子どもを、適正な監督および評価を行なうことなく、欧州連合の他の国で里親委託する慣行が行なわれていること。
47.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 家族支援制度を向上させ、かつ、子どもの里親委託が子どもの最善の利益にかなう場合にのみ用いられることを確保すること。
  • (b) 社会的および経済的困難に直面しているすべての家族(とくに言語の障壁の克服に関して困難を有している移住者家族を含む)が福祉サービスを利用できるようにするため、福祉サービスに十分な人的資源および財源を提供すること。
  • (c) 子どもを欧州連合の他の国に措置する政策を修正するとともに、十分な監督、フォローアップおよび評価を行なうこと。
48.乳幼児期の教育およびケアを拡大するために締約国が行なっている努力は歓迎しながらも、委員会は、一部の州で、とくに3歳未満の子どもが利用できる乳幼児期の教育およびケアのためのサービスが少ないこと、ならびに、乳幼児期の教育およびケアのための施設の質的基準に関して州の間で格差があることを、依然として懸念する。委員会はまた、脆弱な状況に置かれた家族(とくに移住者家族)にとってそのようなサービスへのアクセスが困難であることも懸念するものである。
49.委員会は、締約国が、欧州2020年成長戦略にしたがって乳幼児期の教育およびケアに関する包括的な国家的政策を採択するとともに、すべての子どもが差別なく質の高い乳幼児期の教育およびケアにアクセスできることを確保するよう、勧告する。

F.障害、基礎保健および福祉(条約第6条、第18条第3項、第23条、第24条、第26条、第27条第1~3項および第33条)

障害のある子ども
50.委員会は、障害のある子どもの状況を分析しかつ向上させるために締約国が行なっている取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、教育が、とくに中等学校段階でインクルーシブな性質を有していないことを懸念するものである。この文脈において、委員会は以下のことにも懸念とともに留意する。
  • (a) 教育部門において連邦レベルと州のレベルとの間の協力が不十分であること、および、カリキュラムの適合が図られておらず、または、教育に対するインクルーシブなアプローチについての、すべての教員および学校職員を対象とする体系的な研修が実施されていないこと。
  • (b) 教育分野における個別支援および合理的配慮の必要性が認識されておらず、かつ、手話に関する規則が州によってさまざまであること。
  • (c) 一部の州で、初等段階の子どもがその親の意思に反して特別学校に就籍させられていること、障害のある児童の圧倒的多数が特別学校に通っていること、および、障害のある子どもの多数が修了証を得ないまま学校を離れていること。
51.条約第23条および障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、障害に対する人権基盤アプローチをとるよう締約国に促すとともに、具体的に、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 全国的なインクルーシブ教育の確立を追求するとともに、特別学校で利用可能な資源を活用すること等も通じ、必要な資源が利用可能となることを確保すること。
  • (b) インクルーシブ教育に対する権利が障害のある子どもに保障され、かつ、教育分野における個別支援および合理的配慮への権利が当該権利に包含されることを確保するため、あらゆる必要な法改正および構造的改革を行なうこと。
  • (c) 障害のある子どもおよびその家族が、当該の子どもが特別学校に通うべきか否かについて決定が行なわれる際に発言権を有することを確保すること。
52.委員会は、締約国が実施した最近の研究における、障害のある女子がしばしば性暴力を含む暴力の危険にさらされている旨の知見について懸念を覚える。
53.委員会は、締約国が、障害のある女子の安全に特段の注意を払いながら、障害のある子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止するためにすべての必要な措置をとるよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、暴力の被害者となった障害児を対象とする、保護および苦情申立てのための特別な機構を設けるよう勧告するものである。
54.委員会は、移住者家族の障害児が、情報がないために、または親が必要な書類および申請書になかなかアクセスできず、かつ(もしくは)障害について無知であるもしくは意識を欠いているために、移住者としての背景を有さない他の障害児と同一の支援を得られないことが多いことに、懸念とともに留意する。
55.委員会は、締約国が、移住者としての背景を有する障害児がいる家族に対して支援へのアクセスに関する十分な情報および援助が提供されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
健康および保健サービス
56.委員会は、以下の問題について懸念を覚える。
  • (a) 愛着障害(これは完全母乳の減少と関連している可能性がある)、ならびに、学校でよい成績を収めなければならないというプレッシャーを理由とする子どもの情緒的問題および行動上の問題と関連した、子どもの新たな不健全状態への対応が不十分であること。
  • (b) 庇護希望者である子どもおよび非正規移住の状況にある子どもが、急性疾患の治療、予防的保健ケアおよび心理社会療法を含む保健サービスに十分にアクセスできていないこと。
57.委員会は、締約国が、運動ならびに健康的な食習慣およびライフスタイルの重要性を強調しながら、学校および家族を対象とする働きかけおよび意識啓発のプログラムを実施するよう勧告する。締約国はまた、保健上の成果に関して存在している格差に対応するためにもあらゆる必要な措置をとるべきである。脆弱な状況にある子どもおよび若者、とくに社会的に不利な立場に置かれた背景または移住者としての背景を有する子どもおよび若者に、特段の注意を払うことが求められる。さらに委員会は、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての委員会の一般的意見15号(2013年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国が、母乳代替品の販売促進を規制し、かつ、新生児と母親との絆の向上を促進するはずである母乳育児を行なうよう締約国内の母親に奨励するため、あらゆる必要な立法上および制度上の措置をとるよう勧告するものである。
精神保健
58.委員会は、子どもに対する精神刺激薬の処方が増加しており、かつ注意欠陥多動性障害(ADHD)および注意欠陥(ADD)の診断が過剰に行なわれていること、ならびに、とくに以下のことを懸念する。
  • (a) 精神刺激薬であるメチルフェニデートが過度に処方されていること。
  • (b) ADHDまたはADDであると診断/誤診された子どもが家族から強制的に分離され、かつ、その後、里親委託または精神病院への措置の対象とされていること(精神病院に措置された子どもの多くは向精神薬による治療の対象とされている)。
59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの里親委託または精神病院への措置が、適正な診断後、最後の手段としてのみ用いられることを確保すること。
  • (b) 家族が心理カウンセリングおよび情緒的支援にアクセスできるようにすること。
  • (c) ADHDおよびADDの診断ならびに子どもを対象とする薬物治療の使用に関する、独立の専門家による監視制度を設置すること。
  • (d) 関連の保健機関が教室における注意欠如の根本的原因について判断し、かつ子どもの精神保健問題の診断を向上させることを確保すること。
  • (e) 医学的証拠によって確認されていない事案で子どもが「精神医学上の問題を有している」というレッテルを貼る慣行に終止符を打つこと。
思春期の健康
60.青少年の喫煙が減少していることは歓迎しながらも、委員会は、アルコールの消費が相当に増加していることを依然として懸念する。
61.思春期の健康と発達に関する一般的意見4号(2003年)を参照しつつ、委員会は、締約国が、薬物、アルコールおよび有害物質の濫用の悪影響に関する正確な情報が子どもに提供されることを確保するよう、勧告する。締約国は、このような濫用の有害な影響に関する当該情報が学校カリキュラムによりよい形で統合され、もってこのような濫用を防止するためのライフスキルが教えられることを確保するとともに、有害物質濫用を防止するためのメディアによる報道の増加を奨励するべきである。委員会はさらに、締約国が、秘密が守られる依存症のカウンセリングおよび治療に子どもが十分にアクセスできることを確保するよう、勧告する。
母乳育児
62.委員会は、締約国における母乳育児率の低下に留意しつつも、調製粉乳および離乳期用調製粉乳に関する欧州委員会指令(2006年)の採択のような、母乳育児を促進するための取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、生後6か月間の完全母乳育児率を上昇させるために行なわれている努力が十分ではない可能性があることを懸念するものである。
63.委員会は、締約国が、資料にアクセスできるようにし、かつ母乳育児の重要性および調製粉乳の利用のリスクについて公衆の教育および意識啓発を図ることにより、完全母乳育児および母乳育児の継続を促進するための努力を強化するよう勧告する。委員会は、締約国に対し、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を厳格に執行するよう促すものである。
生活水準
64.委員会は、子どもの貧困率および貧困リスク率が高く、かつ、ひとり親家族、大家族および民族的マイノリティの背景を有する家族の子どもが(とくに成人が失業しておりまたは不安定な就労状況にある場合に)とりわけ影響を受けていることを懸念する。さらに委員会は、失業扶助と関連する義務の不遵守があった場合に制裁を課すという、制定法により定められた慣行が、家族または失業中の青少年に対して制裁が課された場合には子どもの生活水準に影響を与える可能性があることを懸念するものである。
65.委員会は、締約国が、子どもの貧困の根本的原因に取り組むために必要な資源の配分および追加的努力を行なうとともに、家族がとりわけ貧困に陥りやすい地域の包括的評価を実施し、かつ適切な是正戦略の策定および実施を進めるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、すべての子どもが十分な生活水準を享受することを確保する目的で、経済的に不利な立場に置かれた家族への物質的援助および支援を増強するよう勧告するものである。

G.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条、第30条および第31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
66.委員会は、教育分野についての責任がほぼ完全に州にあることに留意する。しかしながら委員会は、さまざまな制度の調和が図られておらず、重要な分野で州による差異が生じていることを懸念するものである。委員会はまた、ほとんどの州で学校制度が初等学校、中間学校および進学学校に分類されていることにも留意するとともに、選択を非常に低い年齢で行なわれなければならず、かつその後に進路を変更するのは難しい場合があることを懸念する。委員会はまた、民族的マイノリティの背景を有する子どもの学校における成績が他の子どもよりも相当に低いことも遺憾に思うものである。民族的マイノリティの背景を有する子どもは、民族的マイノリティの背景を有しない生徒と比較して、修了資格を得ないまま学校を離れる人数が2倍にのぼる。
67.教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)、および、2006年のドイツ訪問についての報告書(A/HRC/4/29/Add.3)のなかで教育への権利に関する特別報告者が行なった勧告を考慮しつつ、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 州の間で生徒が移動することの便宜を図るため、すべての州の間で学校プログラムをいっそう調和させるために必要な措置をとること。
  • (b) 生徒が非常に早い段階でさまざまな進路に分離させられる現行教育制度の見直しを実施し、かつ教育制度をいっそうインクルーシブなものとすること。
  • (c) 民族的マイノリティの背景を有する子どもに対して学校施設のなかで追加的支援を提供するための十分な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。

H.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~33条、第35~36条、第37条(b)~(d)、第38条、第39条および第40条)

子どもの庇護希望者および難民
68.委員会は、条約第22条について締約国が行なった宣言の撤回を歓迎するとともに、締約国が、多くの国からやってきた数千人の子どもの庇護希望者および子どもの難民を受け入れていることに留意する。しかしながら委員会は、以下のことを依然として懸念するものである。
  • (a) 庇護手続法において、16歳の子どもは自ら庇護手続を開始する行為能力があると定められていること。その結果、実際には、16歳以上の子どもが、青年福祉サービスによる全面的保護の利益をしばしば享受できず、かつ成人の庇護希望者を収容するために設計されたセンターに措置されていること。
  • (b) 締約国における年齢鑑別手続で、品位を傷つけるおよび屈辱的な慣行が行なわれる可能性があり、かつ正確な結果が出ていないこと、および、子どもの庇護希望者および難民の相当数が成人と判断されていること。
  • (c) 子ども兵士または強制徴募を逃れてきた子どもの特定に欠陥があり、かつこのような事案で庇護申請が却下されるために、これらの子どもの保護のニーズに関して十分な評価が行なわれず、かつこれらの子どもに適切な注意が向けられないこと。
  • (d) 子どもに言い渡された退去強制が実行されるまでの収容が最長18か月まで継続しうること。これは、自己の最善の利益を第一次的に考慮される権利を直接侵害するものである。
69.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 18歳未満のすべての子どもに対し、平等のかつ子どもにやさしい取扱いを確保すること。
  • (b) 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する一般的意見6号(2005年)で勧告されているとおり、子どもの庇護希望者および難民に適用される年齢鑑別手続が、科学的に承認された手法を基盤とし、かつ子どもの尊厳を全面的に尊重するものであることを確保すること。
  • (c) 子ども兵士および徴募される危険がある子どもの保護のニーズの評価を向上させ、かつこれらの子どもが十分な心理的および社会的支援を得られることを確保する目的で、このような子どもの特定を向上させ、かつこれらの子どもに難民資格が付与されることを確保すること。
  • (d) 子どもの庇護希望者および移住者の収容が、条約第37条(b)にしたがい、常に最後の手段としてかつもっとも短い適当な期間で用いられること、および、当該収容が期間の制限および司法審査に服することを確保すること。
移住の状況にある子ども
70.委員会は、締約国のさまざまなサービス施設が、その知るところとなった者であって在留許可を得ていないすべての者(子どもを含む)について出入国管理機関に通知する、連邦法上の義務を負っていることを懸念する。実際上、これにより、在留資格が非正規な状態にある子どもが、とくに退去強制につながる可能性がある非正規な地位が発覚することを恐れて、サービス事務所への接触をためらうことになっている。
71.委員会は、締約国に対し、すべてのサービス施設に対して課された、非正規移住の状況にあるいかなる子どもについても出入国管理機関に通知する制定法上の義務を廃止するよう促す。
人身取引
72.委員会は、在留法において、子どもを含む人身取引被害者への在留許可の付与について法執行機関への協力が条件とされていることを懸念する。
73.委員会は、締約国が、人身取引の被害を受けた子どもに対する在留許可の付与と結びついたいかなる条件も撤廃するため、在留法を改正するよう勧告する。
少年司法の運営
74.委員会は、拘禁中の子どもを24歳以下の者とともに収容することを禁じた法改正に、満足感とともに留意する。しかしながら委員会は、すべての州が「最後の手段としての自由剥奪」の原則を適用しているわけでないことを遺憾に思うものである。
75.前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ61)にのっとり、委員会は、自由の剥奪があらゆる場合に最後の手段として、かつ可能なもっとも短い期間で用いられるべきことを勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、保護観察または地域奉仕命令のような代替的刑の可能性を拡大するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。
武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく締約国の第1回報告書に関する総括所見(CRC/C/OPAC/DEU/CO/1)のフォローアップ
76.委員会は、武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に関わる委員会の前回の勧告を実施するために締約国が行なった努力を歓迎する。しかしながら委員会は、以下の問題について懸念を覚えるものである。
  • (a) 訓練目的での軍への志願入隊に関する最低年齢が17歳であること。さらに、志願入隊した子どもは、試用期間終了後に脱退を決めた場合に訴追の対象とされるおそれがある。
  • (b) 軍のための広告キャンペーンの一部がとくに子どもを対象としており、かつ、軍の代表が時として学校の場にいて生徒に話をしたり活動を組織したりしていること。
  • (c) 子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国が最終目的地である場合における武器の販売を明示的に禁止する法律上の規定がないこと。
77.委員会は、前回の勧告(CRC/C/OPAC/DEU/CO/1)をあらためて繰り返すとともに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 軍への入隊に関する最低年齢を18歳に引き上げること。
  • (b) 子どもを対象とした、ドイツ軍のためのあらゆる形態の広告キャンペーンを禁止すること。
  • (c) 武器の移転に関して最大限の透明性を確保するとともに、子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国が最終目的地であるおそれがある場合の武器の販売を法律で明示的に禁止すること。
78.委員会は、締約国刑法第8条に掲げられた戦争犯罪に関する規定、および、15歳未満の子どもが軍隊または武装集団に徴募された場合は域外裁判権を行使できる旨の締約国の発言に、満足感とともに留意する。委員会は、15~17歳の子どもについても裁判権を設定できることには留意しながらも、これが双方可罰性の条件に服することを遺憾に思うものである。
79.委員会は、締約国が、子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用の防止を目的とした国際的措置をさらに強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもを徴募することおよび敵対行為に関与させることに関する犯罪についての域外裁判権を、双方可罰性の条件に服させることなく拡大することを検討することも、勧告するものである。

I.国際人権文書の批准

80.委員会は、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、締約国が、まだ当事国となっていない中核的人権文書、とくに経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書およびすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約を批准するよう、勧告する。

J.地域機関および国際機関との協力

81.委員会は、締約国が、締約国および他の欧州評議会加盟国の双方における子どもの権利条約その他の人権文書の実施に向けて、欧州評議会と協力するよう勧告する。

K.フォローアップおよび普及

82.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、議会、関連省庁、最高裁判所ならびに連邦、州および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
83. 委員会はさらに、条約および選択議定書ならびにそれらの実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、第3回・第4回定期報告書、締約国の文書回答およびこの総括所見を、インターネット等を通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。

L.次回報告書

84.委員会は、締約国に対し、次回の第5回・第6回統合定期報告書を2019年4月4日までに提出し、かつ、この総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。委員会は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、今後の報告書は当該ガイドラインにしたがうべきであり、かつ60ページを超えるべきではないことを想起するよう求めるものである。委員会は、締約国に対し、当該ガイドラインにしたがって報告書を提出するよう促す。2012年12月20日の総会決議67/167にしたがい、ページの制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を見直し、かつその後再提出するよう求められることになる。委員会は、締約国に対し、報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できないことを想起するよう、求めるものである。
85.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap. I)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出することも慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2014年5月6日)。/パラ18の「ドイツ人権機関」を「ドイツ人権研究所」に修正(2019年5月14日)。