総括所見:バチカン(OPAC・2014年)


CRC/C/OPAC/VAT/CO/1(2014年2月25日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2014年1月16日に開かれた第1853回(CRC/C/SR.1853参照)において法王聖座(Holy See)の第1回報告書(CRC/C/OPAC/VAT/1)を検討し、2014年1月31日に開かれた第1875回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、法王聖座による第1回報告書の提出を歓迎する。委員会はまた、法王聖座の多部門型代表団との間にもたれた建設的対話も歓迎するものである。
3.委員会は、法王聖座に対し、この総括所見は、いずれもやはり2014年1月31日に採択された、子どもの権利条約に基づいて法王聖座が提出した第2回定期報告書についての総括所見(CRC/C/VAT/CO/2)および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく第1回報告書についての総括所見(CRC/OPSC/VAT/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

II.一般的所見

積極的側面
4.委員会は、法王聖座による以下の条約の批准を歓迎する。
  • (a) 過度に傷害を与えまたは無差別に効果を及ぼすことがあると認められる特定通常兵器の使用の禁止または制限に関する条約(議定書I、IIおよびIIIとともに1997年7月22日に批准)。
  • (b) 対人地雷の使用、貯蔵、生産および移譲の禁止ならびに廃棄に関する条約(1998年2月17日)。
5.委員会は、法王聖座が「軍事機関」または「軍隊」を有さないことに留意する。委員会はまた、法王警護スイス衛兵部隊の最低入隊年齢が19歳であることにも留意するものである。
6.委員会は、武力紛争の影響を受けているコミュニティ間の平和および和解に関する教育に世界中のカトリック学校が関与していることを歓迎する。

III.一般的実施措置

普及および研修
7.委員会は、とくに徴募される被害および武力紛争に関与させられる被害を受けた子どもとともに働く者を対象として選択議定書を普及するため、法王聖座が、その権威のもとに活動する個人および機関を通じて行なった活動についての情報がないことを遺憾に思う。
8.委員会は、法王聖座が、選択議定書の規定に関する意識啓発活動および研修活動を支援するための努力を強化するよう勧告する。

IV.防止

選択議定書で言及されている犯罪を防止するためにとられた措置
9.委員会は、ローマ法王が、あらゆる状況における子どもの搾取(武力紛争における子どもの使用を含む)を断固として非難し、かつ、とくに被害を受けやすい状況にあって徴募のおそれに直面している子どもを援助するための防止プログラムを世界中で促進していることに、評価の意とともに留意する。
10.委員会は、法王聖座が、武力紛争における子どもの徴募および使用を防止するために引き続きその権威を活用するよう、勧告する。

V.禁止および関連の事項

現行刑事法令
11.委員会は、武力紛争で子どもを兵士として徴募しかつ使用すること(これは「教会の社会教説綱要」で容認できない犯罪とみなされている)に対する明確に非難を歓迎する。委員会はまた、「刑事上の問題に関する補完的規範-第4編:戦争犯罪」を掲げた2013年7月11日のバチカン市国法第8号において、15歳未満の子どもを兵士として徴募しかつ使用することが犯罪とされていること、および、そのような子どもの徴募および使用が戦争犯罪と定義されていることにも、積極的対応として留意するものである。しかしながら委員会は、法王聖座が、武力紛争における18歳未満の子どもの徴募および使用を犯罪化していないことを懸念する。
12.委員会は、法王聖座に対し、バチカン市国刑法が選択議定書第2条および第4条と一致することを確保し、かつ、武力紛争における18歳未満の子どもの徴募および使用を犯罪化するよう、促す。

VI.保護、回復および再統合

被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置
13.委員会は、武力紛争への関与が徴募された子どもにもたらす長期的影響に注意を喚起する目的で法王聖座が行なってきた多数の訴えを歓迎する。しかしながら委員会は、法王聖座が、そのような子どもの権利の保護に関して法王聖座の権威のもとにある個人および機関を支援するためにとった具体的措置について、不十分な情報しか提供されなかったことを懸念するものである。
14.委員会は、法王聖座が、被害を受けた子どもの権利の保護のために法王聖座の権威のもとに活動している個人および機関に対し、財政支援を含む援助を提供するよう勧告する。
身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための援助
15.委員会は、徴募され、かつ武力紛争に関与させられた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のためにカトリック系の学校および機関が発展させてきた多数の取り組みを歓迎する。委員会は、子ども兵士の救出および社会的再統合を目的としてウガンダのカトリック教育局が発展させてきたプロジェクト、および、イエズス会難民サービスによる子ども兵士のための一時受入れセンターの設置(コンゴ民主共和国・南キブ州)のようなプロジェクトに、とくに積極的な対応として留意するものである。
16.委員会は、法王聖座が、徴募され、かつ武力紛争に関与させられた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための取り組みを引き続き支援するよう、勧告する。

VII.国際的な援助および協力

国際協力
17.委員会は、法王聖座に対し、武力紛争における子どもの徴募および使用を撤廃することに向けた主要な役割を国際的舞台で引き続き果たしていくよう奨励する。

VIII.フォローアップおよび普及

18.委員会は、法王聖座が、とくにこれらの勧告を法王、法王庁、教理省、カトリック教育省、カトリック保健ケア関連施設、家庭評議会、司教協議会ならびに法王星座の権威のもとに活動する個人および機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
19.委員会は、選択議定書ならびにその実施および監視に関する議論の喚起および意識の促進を図る目的で、法王星座が提出した第1回報告書および文書回答ならびにこの総括所見を、インターネット等を通じ、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。

IX.次回報告書

20.武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書第8条第2項にしたがい、委員会は、法王聖座に対し、選択議定書およびこの総括所見に掲げられた勧告の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2014年4月28日)。