子どもの権利委員会・一般的討議勧告:国際的移住の文脈におけるすべての子どもの権利


(第61会期、2012年)
原文:英語〔PDF
日本語訳:平野裕二

I.背景(略)

II.開会会合(全体会)概要(略)

III.作業部会討議概要(略)

IV.勧告

56.国際的移住の状況にある子どもの権利の尊重、促進および充足に関して、国がその政策およびプログラムにおいて考慮すべき問題ならびに他の関連の主体が指針とすべき事項を明らかにする目的で、子どもの権利についての意識および議論を喚起する場を提供するというDGD〔一般的討議〕の趣旨にしたがい、委員会は、以下の勧告を支持する。これにあたり、委員会は、子どもはどのような環境にあってもまず何よりも子どもであることを強調するものである。委員会は、移住の影響を受けている子どもの権利を特定しかつこれに対応するに際して、国および関連の主体は、さまざまな態様の子ども、状況または権利を分類しまたは区別しないよう配慮しつつ、条約のすべての規定および原則に基づいたホリスティックかつ包括的なアプローチをとらなければならないことを、あらためて指摘する。国際的移住の当事者である子どもまたはその影響を直接受けているすべての子どもは、年齢、性別、民族的または国民的出身および経済的地位または在留資格の如何を問わず自己の権利を享受する資格があるのであって、このことは、子どもが自発的な移住および非自発的な移住のどちらの状況に置かれている場合にも、また保護・養育者がいるかいないか、移動中であるか何らかの形で定住しているか、在留資格を認められているか否か等の諸条件の如何を問わず、変わらない。以下の勧告は、その検討の便宜を図るため、条約の実施に関する各国の定期的報告書についての委員会の総括所見および勧告の構成にしたがって配列されている。

一般的勧告(立法、政策および調整に関するものを含む)
57.国は、条約に掲げられた権利が、子ども自身またはその親の移住に関わる地位の如何を問わず、国の管轄下にあるすべての子どもに対して保障されることを確保するとともに、これらの権利のあらゆる侵害に対応するべきである。国際的移住の状況にあるすべての子どもに関する第一義的責任は、出入国管理機関ではなく子どものケアおよび保護を担当する機関にある。
58.国は、国際的移住の当事者である子どもまたはその影響を受けている子ども全員が、年齢、経済的地位、自己または親の在留資格の如何を問わず、自発的な移住および非自発的な移住のどちらの状況に置かれている場合にも、かつ保護・養育者の有無等に関わりなく、時宜を得た形で条約の全面的保護を享受できることを確保するため、人権を基盤とする包括的な法律および政策を採択するべきである。
59.国は、移住に関連するすべての国内法ならびに地域的および(もしくは)国際的な枠組みまたは協定に条約が統合されることを確保するため、立法、政策ならびにプログラムおよび関連の研修を含む措置をとるよう、奨励される。
60.国は、空港および港のような移住者の到着/通過場所における実務が条約および国際人権基準に全面的に一致することを確保するための具体的指針を発布するよう、勧告される。
61.国に対し、移住および他のいずれかの問題に関する政策、プログラム、実務および決定が、国際的移住の影響を直接間接に受けているすべての子どもの権利、ウェルビーイングおよび発達に及ぼす影響について効果的評価を実施するとともに、条約の基本的原則が、移住政策その他の考慮事項との関連で効果的に優先されかつ意味のある形で実施されること、ならびに、移住政策および子ども保護政策のさらなる発展に〔評価の〕結果が反映されることを確保するよう、勧告されるところである。
62.国はまた、国際開発政策、移住政策および子どもの権利との連携を個別におよび集団的に強化することも、求められる。

データ収集および調査研究
63.国は、移住の状態および移住が子どもに及ぼす影響に関するデータ収集および分析を増進させかつ拡大するための具体的措置を確保するべきである。このようなデータは、とくに年齢、性別、出身国、教育歴およびその他の関連情報(移住に関わる地位、入国許可、出国許可および就労許可の発布ならびに国籍の変更など)の別に細分化することが求められる。さらに委員会は、国が、このようなデータが(とくに出入国管理当局によって)資格外移住者を害するようなまたは資格外移住者の不利益になるようなやり方で利用されないことを保障するための保護措置を確保するよう、勧告するものである。
64.国は、移住の影響を受けている世帯が、地方の統計制度およびデータシステム、ならびに、生活水準、支出および労働力に関する全国的標本調査で特定されることを確保するべきである。このようなデータおよび情報を、移住の影響を受けている子どもが科学的根拠に基づく社会政策、地方計画および予算策定プロセスの発展に包摂されることを確保するために活用することが、勧告される。また、国が、国の政策および(または)プログラムの立案に際して移住者である子どもおよび家族の意見および経験を考慮するため、これらの子どもおよび家族(とくに、脆弱な状況に置かれた子どもおよび家族)と協議することも、勧告されるところである。委員会に提出する締約国の定期報告書にこのような情報を記載することも求められる。
65.さまざまな組織からの呼びかけを認識し、かつ国際的な移住と開発に関するハイレベル対話(2013年)に鑑み、関係者は、国際的移住の文脈における子どもの権利を、移住に関する子どもの地位の如何を問わず確保するための具体的措置に関する世界的調査の実施を検討するよう、奨励される。
66.情報の監視および収集を推進するため、締約国は、自国の領域内にあって移住の影響を受けているすべての子どもに関わる条約実施の体系的評価を委員会に対する定期的報告に組みこむとともに、人権保障に責任を負う国内機関(オンブズマン、平等機関等)に対し、移住の影響を受けている子どもに対応することを具体的任務としながら条約の遵守状況の監視において鍵となる役割を果たす権限を与えるよう、求められる。
67.国は、移住者である子どもの状況を監視する責任が出身国にのみ負わされないこと、ならびに、情報およびデータが通過国および目的地国に転送され、かつこれらの国によって受領されることを確保するべきである。その際、国は、移住の際および到着時に子どもをとくに対象とする効果的なサービスを提供できるようにするため、ケースマネジメント・システムにおいて子どもの即時的および長期的ニーズを監視するための機構を確立することが求められる。

子どもの定義および18歳未満のすべての者への条約の適用
68.子どもの定義にしたがって18歳になるまで権利および保護が与えられていることを想起し、国は、16歳以上の者を含むすべての子どもに対し、かつ移住に関するその地位に関わりなく、平等な水準の保護が提供されることを確保するよう促される。
69.加えて、国は、18歳に達した子ども(とくに養護環境を離れる子ども)のために十分なフォローアップ措置、支援措置および移行措置を提供するべきである。そのための手段には、長期的な正規移住者としての地位へのアクセス、および、教育を修了し、かつ労働市場への統合を図るための合理的機会へのアクセスを確保することも含まれる。

差別の禁止
70.国は、いかなる事由に基づく差別とも闘うための十分な措置を確保するべきである。その際、外国人嫌悪、人種主義および差別と闘い、かつ、移住の影響を受けている家族の社会統合を促進するための努力を強化することが求められる。国はまた、移住者である子どもおよびその家族を暴力および差別から保護し、かつ諸権利へのアクセス、公平および尊重を促進する目的で、とくに地方レベルで、移住者に関する知識を向上させ、かつ移住者に関する否定的見方に対応するためのプログラムも実施するべきである。このような取り組みにおいては、迅速かつ効果的な救済機構ならびに言語的および文化的に適切な十分な支援措置への、移住者による公平なアクセスを確保することも求められる。
71.国は、自国の移民政策において障害のある子どもまたは親が障害者である家族の子どもが差別されないこと、および、障害を入国申請の却下事由と考えないようにすることを確保するべきである。

子どもの最善の利益
72.国は、子どもに影響を及ぼすいかなる移住手続についても、当該手続のすべての段階および当該手続に関する決定において、かつ子どもの保護に従事する専門家、司法機関および子ども自身の関与を得ながら、子どもの最善の利益に関する個別評価を実施するべきである。とくに、子どもまたはその親の収容、送還または退去強制につながるいかなる手続においても、子どもの最善の利益を第一次的に考慮することが求められる。
73.国は、自国の法律、政策および実務において、子どもの最善の利益の原則が移住に関する考慮事項、政策上の考慮事項その他の行政上の考慮事項に優先することを明確にするべきである。その際、国は、移住手続、リスクおよび権利、保健面および精神保健面での支援、法的代理および後見、面接ならびにその他の手続に関する情報が、子どもにやさしく、かつ文化的に配慮のあるやり方で利用できることを確保するよう求められる。
74.国は、子どもに影響を及ぼすいかなる移住手続についても、当該手続のすべての段階または決定において、子どもの保護に従事する専門家および司法機関の関与を得ながら、可能なかぎり最大限に、継続的かつ個別的な子どもの最善の利益評価および正式な認定手続を実施するべきである。これには、子どもまたはその親の退去強制につながるいかなる手続も含まれる。国は、法律、政策および実務において、子どもの最善の利益の原則が移住に関する考慮事項その他の行政上の考慮事項に優先することを明確にするべきである。その際、国は、移住手続、リスクおよび権利、保健面および精神保健面での支援、法的代理および後見、面接ならびにその他の手続に関する情報が、子どもにやさしく、かつ文化的に配慮のあるやり方で利用できることを確保するよう求められる。
  • 訳者注/パラ72~74の重複は原文ママ。

意見を聴かれる子どもの権利
75.国は、自国の法律、政策、措置および実務において、移住の文脈における子どもの権利および(または)その親の権利に影響を及ぼすすべての移住手続および司法手続における適正手続が保障されることを確保するべきである。すべての子ども(親その他の法定保護者とともにいる子どもを含む)は権利を保有する個人として扱われなければならず、その子ども特有のニーズは平等にかつ個別に考慮されなければならず、またその意見は適切に聴取されなければならない。子どもは、自分自身の状況に関する決定またはその親に関する決定に対し、すべての決定が自己の最善にのっとって行なわれることを保障するための行政上および司法上の救済措置にアクセスできなければならない。
76.とくに、国は、年齢の鑑別および決定の手続、面接の実務ならびに法的手続が、子どもの権利についての十分な専門性を有する職員によって、迅速な、子どもにやさしい、学際的な、文化的に配慮のあるやり方で進められることを確保するべきである。

アイデンティティ(名前および国籍を含む)に対する権利
77.国は、すべての子どもの出生登録を確保するための措置(移住者である子どもの出生登録を妨げるいかなる法律上および実務上の要因も取り除くことを含む)を強化するとともに、国籍を付与しなければ子どもが無国籍となる場合、自国の領域内で出生した子どもに市民権を付与するべきである。

人身の自由に対する権利および収容の代替措置
78.子どもは、移住に関わる自己の地位または親の地位を理由として、犯罪者として扱われまたは懲罰的措置の対象とされるべきではない。移住に関わる自己の地位または親の地位を理由とする子どもの収容は、子どもの権利の侵害であり、かつ、子どもの最善の利益の原則に常に違反する。これを踏まえ、国は、出入国管理上の地位を理由とする子どもの収容を速やかにかつ完全に取りやめるべきである。
79.国は、子どもが、通過国および(または)目的地国に家族構成員および(または)いる場合にはこれらの者といっしょにおり、かつ、その出入国管理上の地位についての解決が図られるまでの間、収容されるのではなくコミュニティを基盤とする環境で家族として滞在できるようにする立法、政策および実務を通じて、子どもの最善の利益を、人身の自由および家族生活に対する子どもの権利とともに充足する収容の代替措置を、可能なかぎり最大限に、かつもっとも制約の度合いの少ない必要な手段を活用しながら採用するべきである。委員会の一般的意見10号(CRC/C/GC/10、2010年)を強調しつつ、国には、自由を奪われた少年の保護に関する規則(ハバナ規則)を含む、拘禁環境に関する国際基準(これらの基準は行政拘禁または非刑事的拘禁を含むあらゆる形態の拘禁に適用される)を遵守する法的義務があることが、あらためて指摘される。このような措置は慎重に立案されるべきであり、また子どもの代替的養護に関する国連指針その他の人権基準にもしたがう形で立案されるべきである。国は、収容センターから放免された子どもが支援措置および適切な代替的養護を利用できることを確保するよう求められる。
80.にもかかわらず子どもが自由を剥奪されるときは、国は、いかなる場合にも、そのような措置を、もっとも短い期間で、かつ少なくとも人権法に掲げられた拘禁に関する最低基準を満たすような条件下で課すよう促される。これには、子どもにやさしい環境の確保、子どもの親または保護者ではない成人からの分離(たとえ子どもが16歳以上であっても同様である)、子どもの保護に関する保障措置および独立の監視が含まれる。
81.受入れセンターおよび(または)これに類する他の施設から失踪しまたは行方不明になった移住者の子どもの状況に関する懸念に照らし、国は、受入れセンターの手続/施設および環境についての、条約および子どもの代替的養護に関する国連指針に全面的にしたがった具体的指針を確保するべきである。

あらゆる形態の暴力(移住の文脈におけるものを含む)からの子どもの自由
82.国は、学校およびコミュニティ環境にとくに焦点を当てながら、国際移住の影響を受けているあらゆる年齢の子どもが、移住に関する自分自身のまたはその親の地位の如何を問わず暴力から平等に保護されることを確保するため、法的拘束力がありかつジェンダーに配慮した積極的な政策、プログラムおよび行動を採択するべきである。子どもに対する暴力に関する特別報告者および国連システム内外で同特別報告者を支援する諸機関は、連携して、かつ移住の状況にある子どもたちの意見およびニーズを全面的に考慮にいれながら、国際移住の文脈において子どもが暴力の被害をとりわけ受けやすいことを調査研究および行動における優先的問題のひとつとして取り上げていくよう奨励される。

家族生活に対する権利
83.国は、移住に関する自国の政策、法律および措置において家族生活に対する子どもの権利が尊重されること、ならびに、いかなる子どもも国の作為または不作為によってその親から分離されないこと(このような分離が子どもの最善の利益にしたがって行なわれる場合を除く)を確保するべきである。このような措置には、とくに、家族再統合の申請に対して積極的、人道的かつ迅速に対応すること、可能なときは常に移住に関わる地位の正規化のための選択肢を提供すること、および、残された子どもが通過国および(または)目的地国において親と合流できる(または親が子どもと合流できる)ようにするための家族再統合政策を、移住のすべての段階でとることが含まれるべきである。
84.国は、子どもが目的地国の国民である場合、その親の収容および(または)退去強制を行わないようにするべきである。逆に、親の正規化を検討することが求められる。決定によって子どもの最善の利益が否定されないことを確保するため、子どもは、親の入国許可、在留または追放に関わる手続において意見を聴かれる権利を認められるべきであり、かつ、親の収容命令および(または)退去強制命令に対する行政上および司法上の救済措置にアクセスできるべきである。子どもの最善の利益にしたがった、収容および退去強制に代わる措置(正規化を含む)を、法律によっておよび実務を通じて確立することが求められる。
85.国は、移住に関わる地位の如何を問わず、すべての移住者を対象として経済的、社会的および文化的権利へのアクセスを確保するよう努めるべきである。国は、移住の状況にある子どもおよび家族にとくに注意を払い、かつ残された子どもおよび(または)非正規な移住状況にある子どもを包摂しながら、社会政策、子ども期政策および家族保護政策にこのことが含まれることを確保するよう、求められる。

生活水準、経済的、社会的および文化的権利の享受
86.国は、移住の状況にあるすべての子どもが、移住に関わる自己のまたは親の地位の如何に関わらず、経済的、社会的および文化的権利ならびに基礎的サービスに対して国民である子どもと平等にアクセスできることを確保するとともに、このような子どもの権利を法律で明確にするべきである。その際、国は、移住の影響を受けている子どもおよびその家族(とくに非正規な状況にある子どもおよび家族)が、とくに保健ケア、教育、長期の社会保障および社会扶助等のサービスおよび給付に効果的にアクセスすることの妨げとなる、またはこれらの子どもおよび家族を差別する法律、政策および実務の迅速な改革を図るよう、強く奨励される。サービスにアクセスしにくくなることによってもたらされるジェンダー特有の影響(セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関わる権利ならびに暴力からの安全保障など)への対応に、とくに注意が払われるべきである。国は、「残された」子どもが権利およびサービスにアクセスしようとする際に直面する困難について、市民社会および地域コミュニティと連携しながら具体的対応をとるよう求められる。サービスへのアクセスを妨げる行政的および金銭的障壁は、身元および居住を証明する代替的手段(供述証拠など)を認める等の対応を通じ、取り除くべきである。住民登録機関および公共サービス提供機関への効果的アクセスを実際上も確保するため、これらの機関を対象とした研修および指導の実施が求められる。
87.国は、住民登録機関、公共サービス提供機関および出入国管理機関の間の情報共有について、このような情報共有が子どもの最善の利益に反せず、かつ子どもまたはその家族が潜在的な危害または制裁にさらされないことを確保するため、効果的な保障措置が設けられるようにするべきである。このような保障措置は、サービス提供機関を対象として明確な指針を発布すること、および、非正規な移住の状況にある者の間でこれらの保障措置に関する意識啓発プログラムを実施すること等の手段を通じ、法律上も実際上も実施されなければならない。
88.子どもを貧困および社会的排除から保護するための政策、プログラムおよび措置には、移住の状況にある子ども(とくに、出身国に残された子ども、および、移住者である親から目的地国で生まれた子ども)も、その地位の如何に関わらず、包摂されなければならない。移住に直接間接に関係する形で人が脆弱な状況に置かれるあらゆる事態を防止し、かつこれに対応するための、国家的な社会保護制度の能力強化が図られるべきであり、また移住の影響を受けている子どもおよびその家族は、移住に関わる地位の如何に関わらず、かついかなる種類の差別もなく、出身国、通過国および目的地国における社会政策および社会プログラムの具体的重点対象集団に位置づけられるべきである。社会保護政策には、移住の状況にある家族および養育者を対象とした、これらの家族および養育者が子どもの養育責任を果たすことの便宜を図るための支援(コミュニティを基盤とする社会サービスを通じて提供されるものを含む)に関する具体的規定を含めることが求められる。これらの規定には、代替的養護を受けている子どものための特別サービスも含まれるべきであり、また移住が子どもに及ぼす心理社会的影響の緩和にも焦点が当てられるべきである。

健康に対する権利
89.国は、移住の過程、庇護を求める過程または人身取引の対象とされた過程で子どもが経験したトラウマに対応するための、十分なかつアクセスしやすい措置を確保しかつ実施するべきである。子どもの最善の利益に関する評価および認定を行なう場合も含め、すべての子どもが精神保健サービスを利用できるようにすることに、とくに配慮することが求められる。

経済的搾取からの保護
90.国は、移住に関する自国の政策および措置において、条約、ならびに、就業が認められるための最低年齢に関する国際労働機関第138号条約、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する同第182号条約および家事労働者の適切な仕事に関する同第189号条約が考慮されることを確保するべきである。さらに、国が、労働の文脈で、とくにインフォーマル労働および(または)季節労働の状況で生じる子どもの権利侵害を特定しかつ是正するための監視制度および通報制度の設置を検討することも、勧告されるところである。

正規のかつ安全な移住経路および安定した在留資格へのアクセス
91.国は、可能なときは常に、正規のかつ非差別的な移住経路を利用できるようにするとともに、子どもおよびその家族が、家族の結合、労働関係および社会統合等の事由を根拠として長期的な正規の移住者としての地位または在留許可にアクセスできるようにするための、恒久的なかつアクセスしやすい機構を設けるべきである。これらの正規化プログラムにおいては、移住者の社会的統合の促進および子どもの権利(家族生活に対する権利を含む)の保護が目指されるべきである。

紛争状況
92.紛争によって生じた移住の状況等においても、国には条約および国際人権基準を遵守する法的義務があることを想起し、国は、紛争状況に関わる自国の移住政策および移住手続において子どもの権利に関する十分な保障措置が設けられることを確保するべきである。

V.結論(略)


  • 更新履歴:ページ作成(2013年2月22日)。
最終更新:2013年02月22日 00:50