総括所見:ナミビア(第2~3回・2012年)


CRC/C/NAM/CO/2-3(2012年10月16日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2012年9月20日に開かれた第1732回および第1733回会合(CRC/C/SR.1732 and 1733参照)においてナミビアの第2回・第3回統合定期報告書(CRC/C/NAM/2-3)を検討し、2012年10月5日に開かれた第1754回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、締約国の第2回・第3回統合定期報告書(CRC/C/NAM/2-3)および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/NAM/Q/2-3/Add.1)の提出により、締約国における子どもの状況に関する理解の向上が可能になったことを歓迎する。委員会は、ハイレベルなかつ多部門型の締約国代表団との間に持たれた建設的対話について、評価の意を表明するものである。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会はまた、以下の立法措置がとられたことも歓迎する。
  • (a) 2008年11月に施行された子どもの地位法(2006年の法律第6号)。
  • (b) 労働法(2007年の法律第11号)。
  • (c) 刑事訴訟法改正法(2003年12月の法律第24号)。
  • (d) 扶養料法(2003年7月の法律第9号)。
  • (e) ドメスティックバイオレンス対策法(2003年6月の法律第4号)。
  • (f) 教育法(2011年12月の法律第16号)。
  • (g) 強姦対策法(2000年4月の法律第8号)。
4.委員会はまた、以下の条約が批准されたことも歓迎する。
  • (a) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(2002年)。
  • (b) 子ども売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2002年)。
  • (c) 障害のある人の権利に関する条約(2007年)。
  • (d) 障害のある人の権利に関する条約の選択議定書(2007年)。
  • (e) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書(2000年)。
  • (f) 国際的な組織犯罪の防止に関する国連条約、および、同条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2002年)。
  • (g) 最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する国際労働機関(ILO)第182号条約(1999年)(2000年)。
5.委員会はまた、以下の政策措置も歓迎する。
  • (a) 子どものための国家的課題(2012~2016年)(2012年6月)。
  • (b) 万人のための教育国家行動計画(2005~2015年)。
  • (c) 子どもに関する重要な規定(乳幼児期の発達の重視を含む)を掲げた第4次国家開発計画(2012年7月)。
  • (d) 児童労働撤廃国家行動計画(2008年1月)。
  • (e) ナミビアの孤児および脆弱な立場に置かれた子どものための教育部門政策(2008年)。
  • (f) 教育訓練部門向上プログラム(2006年2月)。
  • (g) 孤児および脆弱な立場に置かれた子どものための国家行動計画(2006~2010年)(2007年10月)。
  • (h) 教育部門を対象とする国家HIV/AIDS政策(2003年1月)。
6.委員会は、締約国が国連特別手続受任者に対して行なった招待に肯定的に留意する。

III.条約の実施を阻害する要因および困難

7.委員会は、締約国が気候変動の影響をもっとも受けやすい国のひとつであり、かつ、洪水、暴風雨および旱魃のような自然災害の影響が高まることにより、疾病構造の変化、農業生産高の減少および食糧不安が生じていることに、留意する。

IV.主要な懸念領域および勧告

A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項)

委員会の前回の勧告
8.委員会は、締約国が子どもの権利の状況を客観的に評価し、かつ1994年に採択された第1回報告書に関する総括所見(CRC/C/15/Add.14)を実施するために努力してきたことは歓迎しながらも、そこに掲げられた委員会の勧告の一部が実施されていないことを遺憾に思う。
9.委員会は、締約国に対し、前回の総括所見の勧告のうち未実施のものまたは十分に実施されていないもの(とくに法改正、女子および障害のある子どもに対する差別、児童労働の多さならびに少年司法の運営に関するもの)に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう、促す。
立法
10.独立前から存在する法律を見直すための取り組みは歓迎しながらも、委員会は、締約国が、条約で求められているように子どもに関わる重要な国内法を採択しかつ実施していないことを遺憾に思う。とくに委員会は、議論が10年以上前に始まったにも関わらず、子どもの権利に関する2つの注目すべき法律(子どものケアおよび保護法案および子ども司法法案)がまだ採択されていないことに、懸念とともに留意するものである。さらに、複数の法体系が存在していることに留意しつつ、委員会は、慣習法および慣習的慣行、とくに最低婚姻年齢、離婚および相続に関するものが条約の原則および規定に一致していないことを懸念する。
11.委員会は、締約国に対し、子どもの権利に関する保留中の法律、とくに子どものケアおよび保護法案および子ども司法法案の改定および採択を速やかに進めるよう促す。委員会はまた、締約国が、すべての提案されている法律および現行法に条約の原則および規定を編入するとともに、当面、抵触がある場合には憲法上の規定および制定法が慣習法に優越すること、ならびに、子どもおよび女性が正式な司法制度に全面的にアクセスできることを確保するための措置をとることも、勧告するものである。
包括的な政策および戦略
12.委員会は、締約国が、子どもの権利を保護しかつ促進する義務を履行する方向に締約国のすべての部門を導く5年間の枠組み(2012~2016年)である、子どものための国家的課題を2012年6月に発表したことに、評価の意とともに留意する。
13.委員会は、締約国が、子どものための国家的課題の実施のために十分な人的資源、財源および技術的資源を配分するとともに、同計画の実施に関して達成された進展を追跡する、監視および評価のための効果的な機構を設置するよう勧告する。
調整
14.委員会は、子どもの権利の保護および促進に関する調整の主務機関として男女平等・子ども福祉省が設置されたことに留意する。しかしながら委員会は、締約国から提供された、同省が十分な職員および資源を有していない旨の情報に懸念とともに留意するものである。委員会はさらに、政府のさまざまな部局および省が、諸地域および選挙区全体を通じて戦略的政策に関する異なる調整枠組みを定めていることから、子どもの権利の実施における権限および役割の重複が生じ、意思決定および政策の実施に悪影響を与えていることを懸念する。
15.委員会は、締約国に対し、男女平等・子ども福祉省が高い地位および権限(さまざまな部門を横断して子どもの権利のための行動を効果的に調整し、かつ子どものための国家的課題(2012~2016年)の実施を効果的に監視するための十分な人的資源、技術的資源および財源を含む)を有することを確保することにより、調整機関としての同省の役割を強化するよう、促す。さらに委員会は、締約国が、調整プロセスを合理化する目的で国、広域行政圏および地方の調整機構のあり方を見直すとともに、さまざまな部門間の重複を少なくするよう、勧告するものである。
資源配分
16.締約国が、国家予算における相当の資源を社会部門、とくに教育に配分してきたことには留意しながらも、委員会は、このような水準の支出が、子どもの権利の多くの分野(教育部門を含む)における成果の向上に必ずしもつながってきたわけではないことを懸念する。委員会はまた、締約国が、異なる部門を横断して子どものための資源の配分および使用を追跡する、予算策定に対する子どもの権利アプローチをまだ実行していないことにも、懸念とともに留意するものである。
17.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) さまざまな部門全体で資源の公平は配分を確保し、かつすべての子どものために肯定的成果を確保する目的で、子どもに関する公的支出を監視すること。
  • (b) 主要省庁全体における子どものための資源の配分および使用の追跡システムを実施することにより、国家予算の策定において子どもの権利アプローチを活用すること。委員会はまた、いずれかの部門における投資が子どもの最善の利益にどのように貢献しているかに関する影響評価のために、当該投資が女子および男子に与える異なる影響が十分に反映されることを確保しながら、この追跡システムを活用することも促すものである。
  • (c) 公的な対話および参加、とくに子どもたちとの対話および参加を通じて透明なかつ参加型の予算策定を確保するとともに、地方当局の適正な説明責任を確保すること。
  • (d) とくに、周縁化された状況に置かれた子ども、貧困下で暮らしている子ども、農村部の子ども、または社会的な積極的差別是正措置(女子に対する差別を解消し、出生登録プログラムを強化し、保健ケアに無償でかつ容易にアクセスできるようにするための措置など)を必要とする可能性がある脆弱な状況に置かれた子どもに関する戦略的予算科目を定めるとともに、これらの予算科目が、たとえ危機の状況下にあっても保護されることを確保すること。
  • (e) 「子どもの権利のための資源配分――国の責任」についての一般的討議(2007年)における委員会の勧告を考慮すること。
データ収集
18.全国世帯所得支出調査(2009/10年度)に初めて子どもの貧困アセスメントが含まれたことは歓迎しながらも、委員会は、18歳未満のすべての子どもに関するデータを細分化しかつ分析するための包括的なデータ収集システムが設けられていないことを、懸念する。委員会はまた、子どもに対する暴力(体罰および障害のある子どもに対する暴力を含む)の事案に関する、性別、年齢、社会的背景、地理的所在および就学の有無ごとに細分化された情報が存在しないことも遺憾に思うものである。
19.委員会は、締約国に対し、パートナーの支援を受けながら包括的なデータ収集システムを設置するとともに、子どもの権利の実現に関して達成された進展を評価するための基盤として、子どもに関して収集されたデータを分析するよう奨励する。収集されたデータは、すべての子ども、とくに特別な保護を必要とする子どもの集団(女子、障害のある子どもおよび貧困下で暮らしている子どもなど)の状況に関する分析を容易にするため、年齢、性別、民族、地理的所在および社会経済的背景ごとに細分化されるべきである。委員会はまた、締約国が、すべての学校、代替的養護施設および国家機構に対し、子どもに対する暴力のすべての事例を報告するよう求める等の手段により、子どもに対する暴力(とくに性暴力および体罰)の事案に関する体系的データを収集することも勧告するものである。
独立の監視
20.委員会は、オンブズマン事務所内に、すべての子どもがアクセスできる子どもの権利部局が設けられていないことを懸念する。委員会はまた、オンブズマン事務所に対して限られたスタッフおよび資源しか提供されておらず、かつスタッフが子どもの権利に関するいかなる具体的研修も受けていないために、この機構に対する子どもの苦情が少数であることに表れているとおり、人権侵害を監視しかつこれに対応する同事務所の能力が深刻に制限されていることも懸念するものである。
21.一般的意見2号(2002年)に対して注意を喚起しつつ、委員会は、締約国に対し、子どもの権利侵害を監視し、かつ子どもの苦情に子どもに配慮したやり方で対応することに責任を負う子どもの権利部局を、オンブズマン事務所内に設置するよう求める。委員会はまた、締約国に対し、その独立性および有効性を確保するために必要な人的資源、技術的資源および財源がこの機構に対して提供されることを確保することも、促すものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、とくに国連児童基金(ユニセフ)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)および国連人権高等弁務官事務所の技術的援助を求めるよう、奨励する。
普及および意識啓発
22.委員会は、「ナミビア子どもの日」、「アフリカ子どもの日」および条約の子ども向け版(英語)の刊行等を通じ、子どもの権利に関する意識を高めるために締約国が行なっている取り組みには肯定的に留意するものの、条約および委員会の前回の勧告(CRC/C/15/Add.14)が地方言語に翻訳されず、かつ広く普及されていないことを依然として懸念する。
23.委員会は、締約国が子どもの権利に関する意識啓発プログラムを継続しかつ強化するよう勧告するとともに、締約国に対し、条約および総括所見を地方言語に翻訳し、かつ意識啓発プログラムに編入するよう奨励する。
研修
24.委員会は、子どもとともにまたは子どものために働くすべての専門家(政府職員、法執行官、保健専門家およびソーシャルワーカーを含む)が子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修を受けているわけではないことを、懸念する。
25.委員会は、締約国が、子どもとともにまたは子どものために働く専門家(とくに教員、学校管理者、法執行官、オンブズマン事務所、女性・子ども保護部局および男女平等・子ども福祉省の職員、ジャーナリストならびに市民社会組織)が子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修を受けることを確保するための努力を強化するよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、子どもの権利に関する体系的かつ長期的な研修のための利用可能な十分な人的資源、技術的資源および財源を確保する自国の義務を想起するよう、求めるものである。
子どもの権利と企業セクター
26.委員会は、締約国が、国際原子力機関の加盟国として、ウラン関連活動の安全性を保障する国際的義務を遵守してきた旨の締約国の情報に留意する。しかしながら委員会は、同国における多国籍企業および国内企業、とくに鉱山業者およびウラン生産業者が、土地、大気および水のような天然資源、ならびに、放射性物質による高度の毒性および汚染の影響を受ける人間、家族およびコミュニティを保護することを目的とした人権、環境その他の問題に関する国際的基準(とくに子どもおよび女性の権利に関わるもの)が遵守されることを確保する明確な規制枠組みがないまま操業していることを、懸念するものである。加えて委員会は、認可前の環境影響評価および法律の遵守の監視に関する重要な保障措置を定めた環境管理法も施行されていないことに、懸念とともに留意する。委員会はまた、ウラン採掘の環境上および健康上の影響に関わる問題について議論されておらず、関係者への伝達または公衆への開示も行なわれていないことにも、懸念とともに留意するものである。
27.委員会は、締約国が、2008年6月18日の人権理事会決議8/7(パラ4(d))および2011年6月16日の人権理事会決議17/4(パラ6(f))に照らし、企業部門が国内外の人権基準、労働基準、環境基準その他の基準(とくに子どもの権利に関するもの)を遵守することを確保するための規則を制定しかつ実施するよう、勧告する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 締約国で操業する鉱山業者およびウラン生産業者の活動が、とくに子どもおよび女性の権利との関連で人権に影響を与えまたは環境基準その他の基準を脅かさないことを確保するため、これらの業者を対象とする明確な規制枠組みを確立すること。
  • (b) 企業(とくにウラン採掘業者)が環境および健康に関する国内外の基準を効果的に実施すること、および、実施が監視され、かつ違反があった場合には適切な制裁が科されかつ救済が提供されること、ならびに、適切な国際的認可が求められることを確保すること。
  • (c) 企業に対し、環境、健康および人権に関わる自社の事業活動の影響ならびにこのような影響に対応するための計画について、アセスメント、協議ならびに公衆に対する全面的な公的開示を行なうよう求めること。
  • (d) これらの勧告の実施に際し、人権理事会決議が2008年に全会一致で受託した国連「保護・尊重・救済」枠組みを指針とすること。

B.子どもの定義(条約第1条)

28.委員会は、国内法における子どもの定義が多種多様であり、かつ矛盾している旨の前回の懸念(CRC/C/15/Add.14、パラ6)をあらためて表明する。とくに委員会は、締約国の憲法で「子ども」が16歳未満のすべての者と定義されており、条約第1条と両立していないことを懸念するものである。委員会は、最低婚姻年齢を18歳と定めた既婚者平等法が慣習婚には適用されないことに、重大な懸念を覚える。
29.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう強く勧告する。
  • (a) 子どもに関する全般的定義を条約の規定と一致させる目的で憲法およびあらゆる現行法を見直しかつ改正するとともに、あらゆる現行法において、18歳未満のすべての子どもに対して全面的保護が与えられ、かつ子どもの発達しつつある能力および高まりつつある自律が尊重されることを確保すること。
  • (b) 最低婚姻年齢に関する既婚者平等法の規定が慣習婚に適用されることを確保すること。

C.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
30.委員会は、多数の政策およびプログラム(孤児および脆弱な立場に置かれた子どものための教育部門政策ならびに教育部門を対象とする国家HIV/AIDS政策など)の策定等を通じ、差別に対応するために締約国が行なっている努力に留意する。これらの努力にも関わらず、委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 先住民族コミュニティ(とくにオバヒンバ人およびサン人)の子ども、障害のある子ども、貧困下で暮らしている子ども、路上の状況にある子どもならびに子どもの難民および移民に対して差別が広く行なわれていることから生じている人権侵害。
  • (b) 女子を差別し、かつその人権を深刻に制限する家父長制的態度ならびに深く根づいた規範および慣習を含む、女性および女子に対する広範な周縁化および差別。さらに委員会は、女性および女子を差別する慣習法および慣習的慣行(婚姻および相続に関連するものを含む)について懸念を覚えるものである。
31.条約第2条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) とくに女子、先住民族の子ども、障害のある子どもおよび脆弱な状況に置かれたその他の集団の子どもを対象として、貧困を削減し、教育、保健および発達における差別を防止しかつこれと闘うための措置(関連の政策および戦略計画の時宜を得た実施も含む)を強化すること。
  • (b) 慣習法に基づいて、とくに婚姻および相続権の分野で女性および女子が直面している差別と闘うために、あらゆる必要な措置(農村部におけるこれらの法律の適用を防止するための努力を通じてた取り組みを含む)をとること。委員会は、締約国に対し、このような努力において、女子、女性、伝統的指導者および市民社会組織がプロセス全体を通じて協議の対象とされることを確保するよう、求める。
  • (c) 女性および女子に対する法律上の差別を終わらせるため、あらゆる関連の民事法を見直すこと。とくに締約国は、婚姻、土地所有権および相続権に関するものを含むすべての差別的規定を撤廃する目的で、既婚者平等法(1996年)を見直すべきである。
  • (d) 女子および女性を差別し、または女子差別を生みだしもしくは固定化する効果を有する慣習法の適用を防止するためにとられた措置について、次回の報告書に詳細な情報を記載すること。
子どもの最善の利益
32.委員会は、憲法ならびに提案されている子どものケアおよび保護法案および子ども司法法案において、子どもの最善の利益の原則が明示的に保護されていることに留意する。にもかかわらず、委員会は、この原則が立法機関によって十分に適用されておらず、したがって子どもに関わるほとんどの法律、政策およびプログラムに掲げられていないことを懸念するものである。委員会はさらに、伝統的および宗教的指導者ならびに政府職員を含む一般公衆の間で、子どもの最善の利益の原則に関する意識が欠けていることを懸念する。
33.委員会は、締約国に対し、子どもの最善の利益の原則が、あらゆる立法上、行政上および司法上の手続ならびに子どもに関わりかつ子どもに影響を与えるすべての政策、プログラムおよびプロジェクトにおいて適切に統合されかつ一貫して適用されることを確保するための努力を強化するよう、勧告する。これとの関連で、締約国は、子どもの最善の利益に関する判断指針を示す手続および基準をすべての分野で策定するとともに、当該手続および基準を、伝統的および宗教的指導者を含む公衆ならびに民間の社会福祉施設、裁判所、行政機関および立法機関に対して普及するよう、奨励されるところである。
生命、生存および発達に対する権利
34.委員会は、10代の妊娠の多発、子どもの強姦ならびにセクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関するケアおよび情報へのアクセスの不十分さをしばしば原因として行なわれている、締約国における新生児の遺棄(「赤ちゃん投棄」および嬰児殺について重大な懸念を表明する。
35.委員会は、締約国に対し、10代の妊娠の根本的原因に対応し、妊娠中の青少年に対する支援を強化し、かつこれらの青少年に対してセクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスのための十分なサービスを提供することを含むあらゆる必要な措置をとることにより、生命、生存および発達に対する権利をすべての子どもに対して確保する、自国の義務を想起するよう求める。
出生登録(訳者注/「市民的権利および自由」の節が欠落しているのは原文ママ)
36.委員会は、全国的な移動登録キャンペーン(2009年および2010年)等を通じ、すべての子どもが出生時に登録されることを確保することに関して締約国が達成した進展を歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 5歳未満児の3分の2しか出生証明書を有しておらず、かつ、出生登録が(とくにカプリビ州およびカバンゴ州の)農村部においておよび貧困下で暮らしている子どもの間でとりわけ低調であること。
  • (b) 出生登録に関する法的枠組みが制約的であること(これには、身分登録書類を持たない親にとって子どもの出生登録の深刻な障壁となっている、身分登録書類の提示要件も含まれる)。
  • (c) ナミビアで生まれた外国籍の子どもに対して担当職員が出生証明書を発行したがらないため、難民が子どもの出生登録について重大な課題に直面していること。さらに、難民および庇護希望者は隔離されたオシレ難民居留地に住むよう求める法的命令により、これらの者が子どもの出生を登録するための移動の自由が制限されている。
  • (d) 締約国の国籍法が、ナミビアで発見されたものの両親が知れない子どもに対する国籍の付与の問題について沈黙していること。
37.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう強く促す。
  • (a) 出生、婚姻および死亡登録法(1963年)の改正等を通じ、即時的かつ普遍的出生登録を確保するための努力を強化するとともに、当面、すべての子どもの出生を登録し、かつすべての子どもに対していかなる差別もなく無償の出生証明書を与えるための即時的な特別措置をとること。
  • (b) 出生登録の重要性に関する公衆意識啓発キャンペーンを強化すること。
  • (c) 保護者のいないおよび養育者から分離された子どもの庇護希望者および難民を特定するための効果的手続を確立するとともに、これらの子どもの出生を登録するための特別措置を直ちにとること。
  • (d) 難民の地位に関する1951年条約第26条に対する留保を撤回し、かつ難民および庇護希望者に対して移動の自由を認めること。
  • (e) 無国籍者の地位に関する1954年条約および無国籍の削減に関する1961年条約に加入すること。

D.子どもに対する暴力(条約第19条、第37条(a)および第39条)

体罰
38.委員会は、教育法(2001年の法律第16号)が学校における体罰を禁じており、かつ、1991年の最高裁判所判決が学校における体罰および犯罪に対する刑としての体罰を違法と判示したことに留意する。しかしながら委員会は、締約国から提供された以下の情報について重大な懸念を覚えるものである。
  • (a) 学校を含むあらゆる場面で、体罰の慣行が依然として広く行なわれていること。
  • (b) ドメスティックバイオレンス対策法(2003年の法律第4号)のような一部の新法、および、学校における体罰を禁ずる法律が、実際には全面的に執行されていないこと。
  • (c) 家庭、行刑制度および代替的養護の現場における体罰を明示的に禁ずる法律が存在しないこと。加えて委員会は、子どもの「合理的懲戒」が、体罰の犯罪に対するコモンロー上の抗弁とされていることを憂慮する。
39.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう強く求める。
  • (a) 民事法および慣習法に基づく、かつ家庭、学校および代替的養護の現場を含むあらゆる場面における体罰を禁止する目的で、子どものケアおよび保護法案を優先的課題として成立させること。
  • (b) 体罰を禁止する法律が効果的に実施され、かつ、体罰の責任者に対して法的手続が組織的に開始されることを確保すること。
  • (c) 体罰を認めるすべての規定を直ちに廃止すること。
  • (d) この慣行に対する一般的態度を変革する目的で、体罰の有害な影響(身体的および心理的影響の双方)に関する持続的な公衆教育、意識啓発および社会的動員のためのプログラムを、子どもたち、家族、コミュニティおよび宗教的指導者の関与を得ながら導入するとともに、体罰に代わる手段として、積極的な、非暴力的なかつ参加型の形態の子育てならびにしつけおよび規律を促進すること。
  • (e) 学校のすべての教員および職員が、子どもの権利および体罰の有害な影響(身体的および心理的影響の双方)に関する義務的研修を修了することを確保するとともに、積極的な行動支援および代替的形態の規律を奨励すること。
性的搾取および虐待
40.締約国が、子どもの保護を強化するためにすべての州に女性・子ども保護部局を設置したことには留意しながらも、委員会は、女性および子どもに対する虐待および暴力(学校および家庭における強姦および性的虐待を含む)が広く蔓延していることに危惧を覚える。とくに委員会は、以下のことについて重大な懸念を覚えるものである。
  • (a) 締約国において、家族構成員、養育者、教員および地域の指導者による子どもの強姦が多数発生していること。
  • (b) 子どもに対する性暴力犯罪の訴追率が低く、かつ法廷外での解決が広く行なわれているため、加害者が処罰されない状況が生じていること。これとの関連で、委員会は、強姦対策法(2000年の法律第8号)の改正が遅れていることに懸念とともに留意するものである。
  • (c) 国内法に基づいて被害者に認められている、裁判、シェルター、医療サービス、カウンセリングおよび賠償へのアクセスが限られていること。
41.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 性的虐待および搾取に関連する法律が効果的に執行されること、ならびに、このような犯罪の加害者が裁判にかけられ、かつ犯罪に相応する制裁によって処罰されることを確保すること。
  • (b) 性的暴力および虐待の被害を受けたならびにその証人であるすべての子どもを十分に保護する目的で、強姦対策法(2000年の法律第8号)を遅滞なく改正すること。
  • (c) すべての州の女性・子ども保護部局の能力を強化するとともに、苦情を受理し、監視しかつ調査するための効果的なかつ子どもにやさしい手続および機構を緊急に設置すること。
  • (d) 学校における性的暴力および虐待の通報を奨励するため、子ども、とくに女子の意識啓発を図ること。
  • (e) 性的搾取および暴力の被害を受けた子どものシェルターのニーズ、健康上および法律上のニーズならびに心理的ニーズに対応するための国家的戦略を策定すること。
有害慣行
42.委員会は、締約国において性的イニシエーションの慣行および早期婚が引き続き蔓延していることについて、重大な懸念を覚える。加えて委員会は、締約国が、制裁の導入等も通じ、このような有害慣行を体系的に記録しかつ抑制するためのいかなる措置もとっていないことを懸念するものである。
43.委員会は、締約国に対し、性的イニシエーションの慣行を奨励しまたはこれに関与した個人(伝統的指導者を含む)に対して十分な刑事上および民事上の制裁が科されることを確保するよう、求める。加えて、締約国は、とくに農村部において性的イニシエーションの儀式および早期婚の慣行を抑制するため、家族、コミュニティの指導者および社会一般(子どもたち自身を含む)の関与を得ながら、感受性強化プログラムを実施するべきである。
あらゆる形態の暴力を受けない子どもの自由
44.子どもに対する暴力に関する国連研究の勧告(A/61/299、2006年)を想起しながら、委員会は、締約国が、子どもに対するあらゆる形態の暴力の撤廃に優先的に取り組むよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、一般的意見13号(CRC/C/GC/13、2011年)を考慮し、かつとくに以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対処するための国家的な包括的戦略を策定すること。
  • (b) 子どもに対する暴力に対処するための国家的な調整枠組みを採択すること。
  • (c) 暴力のジェンダーに関わる側面に特段の注意を払うこと。
  • (d) 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表および他の関連の国連機関と協力すること。
生活水準
45.子どもの保護および家族支援のための包括的制度の整備を目的とした国家的開発枠組み「ビジョン2030」および第4次国家開発計画(2012/13年度~2016/17年度)には留意しながらも、委員会は、締約国の子どもの34.4%が貧困線以下の生活を送っていること、貧困下の子どもの栄養不良率、死亡率および有病率が高いこと、ならびに、ナミビア国民の67%が改善された衛生設備にアクセスできていないことを、懸念する。この文脈において、委員会は、子どもを養育し、かつホリスティックな発達に対する子どもの権利を確保することに関して家族を支援するための基礎的サービスが締約国で整備されていないことに、懸念を表明するものである。
46.委員会は、締約国に対し、とくに、コミュニティのレベルで実施される家族支援サービスおよび不利な立場に置かれた家族に対する社会的保護(貧困にとくに陥りやすい家族を重点対象とするプログラムを含む)を通じて、子どもの貧困および脆弱性に対処するためにあらゆる必要な措置をとるよう求める。

E.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(4項)および第39条)

家庭環境
47.委員会は、締約国が障害者補助金、里親養護補助金および児童扶養補助金を提供していることに評価の意とともに留意し、かつ、第4次国家開発計画(2012/13年度~2016/17年度)において、すべての子どもを対象とするための補助金制度の段階的拡大、および、子どもの世話をできるように家族のエンパワーメントを図るための追加的措置が提唱されていることにも留意する。しかしながら委員会は、ソーシャルワーカーおよびコミュニティ子どもワーカーが不足しているため、これらの措置が、それを必要としているすべての家族および子どもをまだ網羅できていないことを懸念するものである。加えて、委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 18歳未満のナミビアの子どもの28%が孤児でありかつ(または)「脆弱な立場」に置かれており、34%が親の一方とともに暮らしておらず、かつ両親とともに生活している子どもは26%にすぎないこと。
  • (b) 家族における親の責任が不平等であり、かつシングルマザーが筆頭者である世帯が多いこと。
48.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう強く勧告する。
  • (a) 補助金制度の拡大を速やかに進めるとともに、家族(貧困下で暮らしている家族およびシングルマザーが筆頭者である家族など)による補助金へのアクセスを高めることを目的とした制度の監視および見直しに関する、市民社会組織との協議を強化すること。
  • (b) ソーシャルワーカーおよびコミュニティ子どもワーカーをさらに増員するための追加的措置をとること。
  • (c) たとえば、ジェンダー役割および子育てに関わる慣行およびステレオタイプの変革を狙った、親としての指導およびスキルならびに親の共同責任に関する研修を含む支援を親に対して提供することにより、親の教育および意識を発展させること。
  • (d) 子どもの養育責任の遂行に際して親および法定保護者に適切な援助および支援サービスを提供することにより、家庭環境から子どもが分離されることを回避するための即時的措置をとること。
養子縁組
49.委員会は、国内外の養子縁組が、認可を受けていない民間の経路を通じて非公式に、かつ締約国によるいかなる監督も受けずに行なわれていることを深く懸念する。委員会はまた、国際養子縁組に関する国内法が定められていないことにも、懸念とともに留意するものである。委員会は、国内外の養子縁組を監視するための法的枠組みおよび特定の機関が存在しないなか、子どもが搾取および子どもの人身取引にさらされていることを懸念する。
50.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 国内外の養子縁組に関する包括的な法律を緊急に採択し、かつ当該法律が条約その他の国際基準に全面的に一致することを確保すること。それまでの間、締約国は、子どもの搾取および取引を含む人権侵害的慣行を防止するため、非公式な養子縁組を中止させるための即時的措置をとるべきである。
  • (b) 国内の養子縁組を監視し、かつこれに関するデータを収集する責任(養子縁組後の監視を含む)を特定の機関に委任するとともに、子どもの最善の利益の原則が常に考慮されることを確保すること。
  • (c) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)の批准を速やかに進めること。

F.障害、基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3項))

障害のある子ども
51.委員会は、障害のある子どもに対する差別についての前回の懸念(CRC/C/15/Add.14、パラ7および15)、および、締約国が障害に対する社会福祉アプローチをとり続けていることに関する懸念をあらためて表明する。委員会は、締約国が、障害のある子どものための補助金を支給していることに留意するものの、障害のある子どもの10%しか障害補助金を受給していないことに、懸念とともに留意するものである。委員会は、以下のことをとりわけ懸念する。
  • (a) 障害のある子ども、とくに女子および農村部に住んでいる子どもが、複合的形態の差別、および、権利の全面的享受を深刻に妨げる障壁(教育、保健ケアその他の社会サービスへのアクセスが限定されていることを含む)に直面し続けていること。
  • (b) さまざまな体制および政策、とくに国家障害評議会および国家障害政策(1997年)の確立が、障害のある子どものための、調整および協調のとれた十分な行動につながっていないこと。国家障害評議会に対して国家障害政策の実施の監視が委ねられていることには留意しながらも、委員会は、同評議会の監視活動に関する情報が締約国報告書に記載されていないことを遺憾に思う。
52.一般的意見9号(CRC/C/GC/9 and Corr.1、2006年)を想起しつつ、委員会は、締約国に対し、障害に対する人権基盤アプローチをとるよう促すとともに、具体的には以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもに関するすべての法律(提案されている子どものケアおよび保護法案を含む)に、障害を理由とする差別をとくに禁止する規定が含まれることを確保するとともに、障害のある子どもに関する、省庁全体を通じた、ホリスティックなかつ調整のとれたプログラムを発展させること。
  • (b) 障害のある子どもが教育に対する権利を行使できることを確保するとともに、特別の訓練を受けた教員を配置すること、障害のある子どものための便益を増加させることおよび学校をよりアクセシスブルなものとすること等の手段により、障害のある子どもを普通教育制度に可能なかぎり最大限に包摂するための対応をとること。
  • (c) 障害のある子どもの権利が侵害された場合に効果的救済措置を提供するとともに、障害のあるすべての子ども(女子を含む)ならびにその親および(または)養育者がこれらの救済措置に容易にアクセスできることを確保すること。
  • (d) 保健・社会サービス機構が2008年に行なった政策上および行政上の広範な勧告(障害のある人のための保健ケアサービスを向上させる目的で全国的保健ケア制度を変更することも含む)を迅速に実施すること。加えて、締約国は、とくに地方レベルで必要な専門的資源(すなわち障害の専門家)および財源が利用可能となることを確保し、かつ、コミュニティを基盤とする保健サービスプログラム(親、養育者および親支援グループを対象とするものを含む)を促進しかつ拡大するための努力を強化するべきである。
  • (e) 障害のある子どもに対する事実上の差別を防止しかつ解消する目的で、公衆一般および特定の専門家集団を対象とした意識啓発キャンペーンおよび教育キャンペーンを実施すること。
健康および保健サービス
53.委員会は、保健に関する国家戦略計画(2009~2013年)に肯定的に留意する。しかしながら委員会は、妊産婦死亡率および子どもの栄養不良率が高いこと、衛生設備および清潔な水へのアクセスが限られていること、保健施設が劣悪な水準にあること、ならびに、農村部および遠隔地に住んでいる子どもの間に保健格差があることを懸念するものである。委員会はまた、保健部門における人的資源の欠落および保健予算の効率的配分についても懸念を覚える。
54.委員会は、締約国が、脆弱な状況に置かれた子ども(とくに貧困下で生活している子どもおよび農村部で暮らしている子ども)にとくに注意を払いながら、すべての子どもが同一の質の保健サービスに対する同一のアクセスを享受できることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、社会経済的不利益、および、保健に関わる既存の欠陥のその他の根本的原因に対処するよう、促すものである。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの栄養不良率の高さに緊急に対処するための努力を強化するとともに、基礎的な子どもの健康および栄養、個人衛生および環境衛生ならびにリプロダクティブヘルスについて親に情報を提供するためのキャンペーンを含む教育プログラムを発展させること。
  • (b) この点に関して、とくにユニセフおよび世界保健機関(WHO)の財政的および技術的援助を求めること。
  • (c) 保健インフラを向上させ、かつ、下位レベルおよび地区レベルの保健ケア施設における緊急の産科ケアおよび新生児ケアならびに専門技能を有する出産介助者の利用可能性およびアクセス可能性を高めることにより、とくに農村部において、妊産婦ケアサービスへのアクセスを向上させること。加えて、妊娠した青少年がセクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスのための保健ケアに容易にアクセスできることを確保するため、特別措置をとること。
  • (d) 安全な飲料水および衛生に対する人権に関する特別報告者の勧告(A/HRC/21/42/Add.3)、とくに、オンブズマンの権限を拡大して経済的、社会的および文化的権利(水および衛生に対する権利を含む)の促進および保護を含めるべきである旨の勧告(前掲パラ68(b))を実施すること。
精神保健
55.委員会は、締約国における子どもの自殺の水準の高さを危惧する。委員会は、若者の自殺率が近年増加しているという保健・社会サービス省のアセスメントに、重大な懸念とともに留意するものである。委員会はまた、精神保健上の問題に関するデータがないこと、訓練を受けた精神保健実務家の利用可能性が学校および農村部において不十分であること、ならびに、子どもとともに働く専門家の間で、精神保健上の懸念を特定しかつこれに対処することの重要性に関する意識が限られていることも、懸念する。
56.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) ナミビア精神保健政策を緊急に見直すとともに、WHOが勧告しているように包括的かつ全国的な児童精神保健政策を採択し、かつ、精神保健の促進、カウンセリング、プライマリーヘルスケア、学校〔および〕コミュニティにおける精神保健障害の予防、ならびに、外来および入院による子どもにやさしい児童精神保健サービスが当該政策の不可欠な特徴となることを確保すること。
  • (b) 学校およびコミュニティで利用可能な心理カウンセリングサービスおよびソーシャルワーカーを増やす等の手段により、子どもおよび若者の自殺の防止を目的とした努力を強化するために緊急の行動をとるとともに、子どもとともに働くすべての専門家が、早期の自殺傾向および精神保健上の問題を特定しかつこれに対処するための十分な訓練を受けることを確保すること。
  • (c) 子ども(学習障害のある子どもを含む)の精神保健に関する政策およびプログラムの策定および実施に際し、WHOその他の国内外の機関の技術的援助を求めること。
思春期の健康
57.思春期の健康を向上させるために締約国が実施されているさまざまな政策および取り組みは歓迎しながらも、委員会は、強姦によるものを含む10代の妊娠件数が多いこと、性感染症の発生率が高いこと、ならびに、青少年の間で薬物およびアルコールの濫用が行なわれていることを、著しく懸念する。とくに委員会は以下のことについて懸念を覚えるものである。
  • (a) 締約国の懲罰な中絶法、ならびに、さまざまな社会的および法的課題(妊娠した女子が現行法の枠内の中絶サービスにアクセスする際に相当の遅延が見られることを含む)。これとの関連で、委員会は、このような制限的な中絶法が、青少年による乳児の遺棄または不法かつ危険な条件下での妊娠中絶につながっており、その生命および健康を危険にさらしていることに、懸念とともに留意する。これは、生命、差別からの自由および健康に対する青少年の権利の侵害である。
  • (b) リプロダクティブヘルスのための教育およびサービス(避妊手段および緊急ケアを含む)への10代によるアクセスが不十分であること。委員会はさらに、親の同意の有無に関わらず、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスのためのケアに対する子どもの権利を確保するためにとられた措置についての情報が締約国報告書に記載されていないことを、遺憾に思う。
58.一般的意見4号(CRC/GC/2003/4、2003年)を参照しつつ、委員会は締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 青少年が危険な闇中絶に頼ることを防止し、かつ望まない妊娠、妊産婦死亡および乳児の遺棄を減少させるため、中絶に関する法律を見直しかつ改正すること。
  • (b) セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスのためのサービス(避妊手段、施設における出産サービスおよび分娩時の保健ケアを含む)のアクセス可能性および利用可能性を、とくに農村部において確保するための努力を強化しかつ拡大するとともに、防止のための行動を通じて10代の妊娠率の高さに対処するための政策およびプログラムの実施を速やかに進め、かつ、秘密が守られるカウンセリングおよび支援に、妊娠した青少年が容易にアクセスできることを確保すること。
  • (c) とくに健康教育を学校カリキュラムの一部とすることによってリプロダクティブヘルス教育(青少年を対象とした性教育を含む)を強化するとともに、HIV/AIDSその他の性感染症を予防しかつ10代の妊娠を減少させる目的で、リプロダクティブヘルスケアのためのサービスに関する知識およびその利用可能性を向上させること。
  • (d) 10代の妊娠、有害物質の濫用およびHIV/AIDS感染その他の性感染症を防止するために立案された政策およびサービスの実施を監視するとともに、このような政策およびサービスに関する情報が、女子を含む青少年、家族、学校管理官、政府職員および保健ケア提供事業者に対して広く普及されることを確保すること。
  • (e) アルコールを濫用しかつ(または)タバコおよび薬物を使用したすべての子どもが、有害物質濫用からのリハビリテーションのための効果的サービスにアクセスできること(治療、カウンセリング、回復および再統合へのアクセスを含む)を確保すること。
HIV/AIDS
59.委員会は、HIVの感染率を削減し、HIVの母子感染予防策の高い実施率を達成し、かう抗レトロウィルス治療を提供することに関する締約国の進展を歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことについて重大な懸念を覚えるものである。
  • (a) 子ども、とくに思春期の女子の間でHIV感染率が高いこと。
  • (b) 政府の政策により、16歳未満の子どもが任意のHIV/AIDSカウンセリングおよび検査にアクセスするためには親または保護者の同意が必要とされており、情報および保健ケアに対する子どもの権利が深刻に制約されていること。
  • (c) HIV/AIDSの予防および治療の分野における資金が減少しており、その結果、HIV/AIDSに感染したまたはその影響を受けている子どものためのサービスおよびケアが削減されるおそれがあること。
60.一般的意見3号(CRC/GC/2003/4、2003年)に照らし、委員会は締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) すべての子ども(16歳未満の女子を含む)が、親の同意の有無に関わらず、医学的助言および援助に無償でかつ秘密を守られながらアクセスできることを確保するための立法上の措置をとること。
  • (b) HIV/AIDS感染を予防するための政策およびプログラム(教育施設およびホステルにおけるコンドームのアクセス可能性および利用可能性を保障する、教育部門を対象とする国家HIV/AIDS政策を含む)が効果的に実施されることを確保すること。
  • (c) HIV/AIDSに感染したまたはその影響を受けている子どもに対してケアおよび支援を提供するための新たな政策およびプログラム(このような子どもをケアする家族およびコミュニティの能力を強化するためのプログラムを含む)を強化しかつ執行すること。
  • (d) 資源の配分および支出の有効性を高め、かつ国内パートナーから追加的拠出先を募る一助とする目的で、ユニセフその他の国際機関の技術的援助を求めること。
母乳育児
61.委員会は、子どもが生後4~5か月になるまで完全母乳育児を続ける母親は全体の5.7%に過ぎず、かつ子どもが生後6~8か月になるまで母乳育児を続ける母親は全体の1%に過ぎないという、締約国から提供された情報について深い懸念を覚える。委員会はまた、母乳育児を促進し、保護しかつ奨励するために締約国がとった措置(母乳育児のための教育および支援に対する資金の配分を含む)についての情報がないことも懸念するものである。加えて委員会は、締約国が、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を効果的に執行するための国内法および国内政策を定めていないことを、依然として懸念する。委員会はまた、締約国の法律で3か月の出産休暇しか与えられていないため、とくに母親による乳児の母乳育児が妨げられていることにも、懸念とともに留意するものである。
62.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 安定した雇用および給与ならびに社会保障に対する働く母親の権利を確保しつつ、出産休暇を延長することにより、生後6か月までの完全母乳育児の促進を強化すること。
  • (b) 「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の遵守を監視するための全国的な監視制度を設置すること。
  • (c) 母乳育児、産後1時間以内に母乳育児を開始することの意義、および、可能なかぎり人工乳または母乳代替品を与えないことの重要性に関して保健専門家(産科病棟で働く専門家を含む)およびコミュニティに対する研修を行なうとともに、これらの専門家およびコミュニティが、新たに母親となった女性に対して適切な支援を提供することを確保すること。
  • (d) すべての妊産婦センターで母乳育児が早期に開始されることを促進するための全国的プログラムを開始するとともに、母乳育児の重要性および人工栄養法のリスクに関する資料に、とくに新たに母親となった女性がアクセスできるようにし、かつこれらの女性の間でこれらの点に関する意識啓発を図ることにより、完全かつ継続的な母乳育児を促進するための努力を強化すること。

G.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条)

63.委員会は、締約国が教育部門に相当の資源を配分してきたことを歓迎する。委員会はまた、インクルーシブ教育のための教育訓練部門向上プログラムも歓迎するものである。しかしながら、委員会は以下のことついて懸念を覚える。
  • (a) 教育へのアクセスに関して都市部と農村部間で格差があること、十分な訓練を受けた教育職員の数が不十分であること、ならびに、学校インフラが劣悪であり、かつ学校教材および教科書への子どものアクセスが限られていること。
  • (b) 初等中等学校において在学継続率が低く、かつ中退率が高いこと。
  • (c) 学校開発基金への寄付を含む私的負担、および、それが教育に対する子ども、とくに一定の集団の子ども(貧困下で暮らしている子ども、妊娠した青少年、障害のある子ども、移民、難民および先住民族である子どもなど)に与える影響。
  • (d) 10代の妊娠を理由とする女子の中退が広く生じており、かつ学習者の妊娠の防止およびこれへの対応に関する政策が実施されていないこと。
64.一般的意見1号を考慮にいれ、委員会は、締約国が、ナミビアのすべての子どもが良質な教育にアクセスできることを確保するためのプログラムおよび政策を引き続き強化するよう、勧告する。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) 就学および通学に関する地域的格差を根絶する目的で、十分な訓練を受けた教員を増員し、学校インフラを向上させ、かつ学校教材および教科書への子どものアクセスを高めること。
  • (b) 学校出席・在学継続プログラムを向上させるための支援を強化し、かつ中退した生徒に対して職業訓練を提供すること。
  • (c) すべての子どもがなんらの妨げもなく平等に教育にアクセスできることを確保するため、学校制度におけるあらゆる態様の隠れた費用または追加的費用を解消すること(学校開発基金制度の即時廃止を含む)。
  • (d) 脆弱な立場に置かれた子どものニーズを考慮しながら特別教育プログラムを実施するとともに、妊娠した女子が教育に全面的かつ容易にアクセスできることを確保するため、学習者の妊娠の防止およびこれへの対応のための政策の効果的実施を確保すること。
乳幼児期の発達
65.委員会は、乳幼児期の統合的発達(ECD)に関する締約国の政策、ならびに、社会の最貧層に焦点を当て、かつECDワーカーの養成および研修を支援する、政府が運営する無償のECDセンターを整備していくことについて、子どものための国家的課題(2012~2016年)および第4次国家開発計画(2012~2017年9で明らかにされた決意を歓迎する。しかしながら委員会は、就学前の子どもに関するデータがないこと、ならびに、複合的ECDプログラムの実施および評価を効果的に調整する教育省および男女平等・児童福祉省の能力について、懸念を覚えるものである。
66.委員会は、締約国が、就学前のすべての子どもに関する調査を実施するとともに、十分な人的資源、財源および技術的資源ならびに監視および評価のための効果的な機構を通じてECD政策の実施を加速させること、もっとも不利な状況に置かれた子ども(女子ならびに農村部および遠隔地の子どもを含む)を優先的に対象とすること、ならびに、必要なときはコミュニティを基盤とする効率的アプローチを活用することを、勧告する。

H.その他の特別な保護措置(条約第22条、第30条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)~(d)、第32~36条)

経済的搾取(児童労働を含む)
67.委員会は、とくにインフォーマル部門および農村部で児童労働が蔓延していることについての前回の懸念(CRC/C/15/Add.14、パラ10)をあらためて表明する。委員会は、以下のことをとりわけ懸念するものである。
  • (a) 労働法における最低就労年齢(14歳)と教育終了年齢(16歳)が一致していないこと。
  • (b) 家事労働部門および農業部門で子どもの搾取および虐待(身体的虐待、教育の否定および長時間労働を含む)が行なわれているという報告があること。
  • (c) 危険な労働への子どもの関与を含む最悪の形態の児童労働が蔓延していること。
68.委員会は、締約国が、児童労働の問題に関する政策および立法が条約および関連のILO条約の規定に一致することを確保するべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.14、パラ21)をあらためて繰り返す。加えて委員会は、締約国に対し、最悪の形態の児童労働をとくに重視しながら、児童労働に対応するためにあらゆる利用可能な手段を尽くすよう促すものである。委員会は、具体的に、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 労働法を改正して、最低就労年齢を教育終了年齢の水準まで、かつ危険な労働における最低就労年齢を18歳に、引き上げること。
  • (b) 児童労働(農業部門におけるものを含む)が疑われる事案の査察および調査を増やすとともに、児童労働に関する規定の遵守を向上させるために賠償および刑事的制裁について定めること。
  • (c) 労災事件について現在利用可能なものよりも良質な統計を収集しかつ公表する目的で、農業労働者および子どもの家事労働者の使用者に対し、労働に関連したすべての負傷および重度疾患を、労働・社会福祉省の労働コミッショナー事務所に報告するよう要求すること。
  • (d) とくに農業地帯において、一般公衆を対象とした、児童労働および法規定の執行に関する意識啓発プログラムを行なうこと。
  • (e) 家事労働者の適切な仕事に関するILO第189号条約(2011年)を批准すること。
  • (f) この点に関して国際労働機関・児童労働撤廃国際計画の技術的援助を求めること。
  • (g) とくに、就労している子どもが教育にアクセスできるようにすることの遵守を向上させるための民事上および刑事上の処罰を確保することにより、労働法を厳格に執行すること。
路上の状況にある子ども
69.委員会は、路上の状況にある子どもに関する意識を高め、かつこのような子どもを学校に再統合するために締約国が行なった全国的キャンペーンを歓迎する。しかしながら委員会は、路上の状況にある子どもが日常的に搾取、虐待、差別およびスティグマならびに警察による逮捕および拘禁を受けているという報告について懸念を覚えるものである。加えて委員会は、締約国において路上の状況にある子どもの施設措置が行なわれていることを懸念する。
70.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) この現象を防止しかつ減少させる目的で、路上の状況にある子どもを保護し、かつその人数を削減するための包括的戦略(貧困、家族間暴力、移住および教育へのアクセスの欠如といった根本的原因の特定を含む)を策定すること。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、路上の状況にある女子が有している、性的虐待、搾取および早期妊娠に対する特有の脆弱性に対して特段の注意を払うよう、求める。
  • (b) 子どもの最善の利益を考慮しながら、施設措置に代わる効果的選択肢を提示し、かつ、実現可能かつ適切なときは路上の状況にある子どもが家族と再統合することを促進する取り組みを発展させること。この文脈において、委員会は、締約国が、これらの子どもの長期的な教育上および発達上のニーズを(可能なときは心理的支援等も通じて)支援するプログラムを発展させるよう、勧告する。
  • (c) 路上の状況にある子どもが、公衆および法執行官による差別、虐待およびいやがらせを受けず、かつ恣意的な逮捕および不法な拘禁の対象とされないことを確保すること。
  • (d) 路上の状況にある子どもに対する、警察および警察留置施設または政府の拘禁施設の職員による不当な取扱いおよび虐待についての苦情を迅速に調査するとともに、懲戒措置を開始すること。
売買、取引および誘拐
71.委員会は、子どもが、農業、道路建設、物品販売および商業的セックスワークにおける雇用を目的として締約国内で取引されていること、ならびに、他国の子どもが、家畜の世話および保育のために人身取引によって締約国に連れてこられていることを、深く懸念する。委員会はまた、人身取引に関する具体的法律が制定されておらず、かつ人身取引の訴追が行なわれていないことにも、懸念とともに留意するものである。
72.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 国際的な組織犯罪の防止に関する国連条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(パレルモ議定書)および子どもの権利条約第35条に一致する、人身取引に関する法律を緊急に採択すること。
  • (b) 国境管理をいっそう厳格にすること等の手段により、国内外の人身取引と闘うための努力を強化すること。
  • (c) 子どもの売買、取引および誘拐の加害者に対して自己の犯罪についての責任をとらせるための十分な措置がとられることを確保すること。
少年司法の運営
73.委員会は、刑事訴訟法改正法(2003年の法律第24号)、および、子どもにやさしい裁判所に関する同法の規定を歓迎する。しかしながら委員会は、例外的なほど長期の遅延にも関わらず、子ども司法法案が採択されていないことを懸念するものである。委員会はまた、以下のことも懸念する。
  • (a) 刑事責任に関する最低年齢(締約国では7歳)が容認できないほど低いこと。
  • (b) 子ども裁判所がすべての州で稼働しているわけではないこと。
  • (c) 法律に抵触した子どもの状況に関する情報が、締約国報告書および公有可能な場に存在しないこと。
  • (d) 男女双方の子どもを対象とする特別拘禁施設が存在せず、子どもが成人とともに収監されており、かつ拘禁(収監を含む)の環境が劣悪であること。
  • (e) 裁判官が、刑事訴訟法改正法(2003年の法律第24号)を一貫して執行していないという報告があること。
74.委員会は、締約国が、少年司法制度を、条約、とくに第37条、第39条および第40条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)、刑事司法制度における子どもについての行動に関する指針および少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(CRC/C/GC/10、2007年)を含む他の関連の基準と全面的に一致させるべきである旨の、前回の勧告(CRC/C/15/Add.14、パラ20)をあらためて繰り返す。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) 保留されている子どものケアおよび保護法案および子ども司法法案を緊急に改訂しかつ採択すること。
  • (b) 刑事責任年齢を修正して国際的に容認可能な水準と一致させるとともに、このような規定で、より低い年齢の適用が例外的に認められることのないようにすること。
  • (c) 刑事訴訟法改正法における少年司法関連のすべての規定(子ども裁判所に関する規定を含む)が効果的に執行されることを確保すること。
  • (d) 締約国のすべての州に子ども裁判所を設置すること。
  • (e) 少年司法制度で働くすべての専門家を対象として、条約、他の関連の国際基準および委員会の一般的意見10号に関する研修を行なうこと。
  • (f) とくに、子どもの年齢およびニーズにふさわしい環境を備えた子ども向けの特別刑務所を設置し、かつ国内のすべての拘禁センターで社会サービスの提供を確保することによって、自由を奪われた子どもの権利を保護し、かつその拘禁および収監の環境を向上させるとともに、当面、国内全域のすべての刑務所および未決勾留センターにおいて子どもが成人から分離されることを保障すること。
  • (g) 拘禁されている子どもの人数およびその法的状況、このような子どもの拘禁環境、ならびに、法的援助を提供された子どもの事案に関する情報を収集し、かつ当該情報を公に利用可能とすること。
犯罪の被害者および証人である子ども
75.委員会は、犯罪の被害者および証人である子どもの保護について非政府組織および専門家とともに進められているパイロットプロジェクトに肯定的に留意する。しかしながら委員会は、性的虐待の被害者および証人である子どもを法的手続中に保護する機構が存在せず、子どもがさらなるトラウマおよび不安にさらされていること、ならびに、子どもの証人保護プログラムがすべての州で運用されているわけではないことを、懸念するものである。
76.委員会は、被害者および証人である子どもならびにそのプライバシー権の保護を向上させ、かつ子どもの証人保護プログラムがすべての州で効果的に執行されることを確保する目的で、締約国が、犯罪の被害者および証人である子どものための保護プログラムの、同国のすべての州における発展および実施を加速させるよう、勧告する。

I.国際人権文書の批准

77.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、まだ加盟国となっていない条約、とくに通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約の選択議定書、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約、および、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約を批准するよう、勧告する。
78.委員会は、締約国に対し、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく報告義務(いずれについても2004年5月16日の報告書提出期限が過ぎている)を履行するよう、促す。

J.地域機関および国際機関との協力

79.委員会は、締約国が、締約国および他のアフリカ連合(AU)加盟国の双方における条約その他の人権文書の実施に向けて、AU・子どもの権利および福祉に関するアフリカ専門家委員会と協力するよう勧告する。

K.フォローアップおよび普及

80.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、議会、関連省庁、最高裁判所および地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
81.委員会はさらに、条約および選択議定書ならびにそれらの実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国による第2回・第3回統合定期報告書および文書回答ならびに関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。

L.次回報告書

82.委員会は、締約国に対し、次回の第4回~第6回統合定期報告書を2017年10月29日までに提出し、かつ、この総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。委員会は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、今後の報告書は当該ガイドラインにしたがうべきであり、かつ60ページを超えるべきではないことを想起するよう求めるものである。委員会は、締約国に対し、当該ガイドラインにしたがって報告書を提出するよう促す。ページの制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を見直し、かつその後再提出するよう求められることになる。委員会は、締約国に対し、報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できないことを想起するよう、求めるものである。
83.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出することも慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2012年12月13日)。