総括所見:カナダ(OPAC・2006年)


CRC/C/OPAC/CAN/CO/1(2006年1月9日)and CRC/C/OPAC/CAN/CO/1/Corr.1(2006年6月24日)
原文:英語(平野裕二仮訳) ※日本語訳には正誤表による訂正を反映させた。

1.委員会は、2006年5月17日に開かれた第1218回会合(CRC/C/SR.1218参照)においてカナダの第1回報告書(CRC/C/OPAC/CAN/1)を検討した。この検討は、締約国の代表団が第39会期に採択された委員会の決定第8号にしたがって報告書の技術的審査を選択したため、代表団の出席を得ずに行なわれたものである。委員会は、2006年6月2日に開かれた第1157回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、選択議定書で保障された権利に関してカナダーで適用される立法上、行政上、司法上その他の措置に関する詳細な情報を提供してくれる、締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答の提出を歓迎する。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2003年10月3日に採択され、CRC/C/15/Add.215に掲げられた委員会の前回の総括所見とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

B.積極的側面

4.委員会は以下のことを歓迎する。
  • (a) 2000年に施行された国防法(NDA)改正により、敵対行為が発生している場所または武装戦闘が行なわれる可能性のある場所へは18歳未満の者を配置しないという、カナダ軍の従前からの方針が法律で確固たるものとされたこと。
  • (b) カナダ国際開発庁(CIDA)が子ども保護調査研究基金(CPRF)を通じて調査研究のための多くの取り組みを支援していること、および、戦争の影響を受けている子どもに関する、CIDAおよび国際協力大臣の特別顧問が任命されたこと。
  • (c) CIDA内に子ども保護部が創設されたこと。

C.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置

国家的行動計画
5.委員会は、2001年に発表されたCIDAの「子ども保護行動計画」において、特別な保護を必要とする子どもの権利が促進され、かつ、武力紛争の影響を受けている子どもが計画の戦略的焦点分野のひとつに位置づけられていることを歓迎する。委員会はさらに、2004年の国家的行動計画「子どもにふさわしいカナダ」において、武力紛争の影響を受けている子どものニーズに対応し、かつ子どもの軍事的徴募を防止するための継続的支援が掲げられていることを歓迎するものである。
6.委員会は、締約国が、条約第44条にしたがって作成される次回の定期報告書(後掲パラ18〔ママ〕参照)で議定書の実施に関する情報を提出する際、これらの行動計画の効果および(または)成果に関するさらなる情報を提供するよう、勧告する。
立法
7.委員会は、ローマ規程を実施する人道に対する犯罪および戦争犯罪法が2000年に制定されたことを歓迎する。これにより、ジェノサイド、人道に対する犯罪および戦争犯罪(「15歳未満の子どもを……強制的に徴集しもしくは志願に基づいて編入することまたは敵対行為に積極的に参加させるために使用すること」を含む)を行なった者は、当該犯罪が行なわれたとされる時期以降にカナダにいるときは、当該犯罪について訴追される可能性がある。 軍隊または武装集団のための子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置を強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 子どもの徴募および敵対行為への子どもの関与に関する選択議定書の規定の違反について、当該違反が締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合の域外裁判権を設定すること。
  • (b) 軍の要員が、選択議定書に掲げられた権利を侵害するいかなる行為も、その旨のいかなる軍令の存在にも関わらず行なわないことを、立法を通じて確保すること。

2.子どもの採用

志願入隊
8.委員会は、国防法第20条3項が、議定書第3条(b)にしたがい、16歳以上18歳未満の者をカナダ軍の予備隊または現役部隊に入隊させる際には事前に該当者の親または後見人1名の同意を得なければならないと定めていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、条約第38条3項に照らし、採用手続において最年長者を優先させるための措置がとられていないことを懸念するものである。
9.委員会は、締約国が、志願兵の採用手続において最年長者を優先させ、かつ、志願入隊年齢の引き上げを検討するよう勧告する。
軍学校
10.委員会は、締約国に対し、王立軍事大学に通っている子どもの地位について、とくにこのような子どもは単に軍事大学の文民生徒と見なされているのかまたはすでに軍の新隊員と見なされているのかに関する、さらなる情報を提供するよう慫慂する。

3.敵対行為への子どもの関与

戦争捕虜
11.委員会は、敵対行為の際に18歳未満の者を捕虜とすることについてのカナダ軍の規則および手続がすべての捕虜に対して適用されるものと同一であること、および、抑留されたすべての少年は、国際法上の締約国の義務にしたがい、成人から分離され、かつ特別の敬意をもって処遇されることに留意する。しかしながら委員会は、捕虜とされた18歳未満の者が他の国家当局に移送された際に国際人権基準および国際人道法にしたがって処遇されることを確保するためにとられた措置についての情報がないことを、懸念するものである。
12.委員会は、締約国が、武力紛争地域で捕虜とされた18歳未満の被抑留者が他の国家当局に移送される際、当該被抑留者の人権が尊重されると信じる理由があり、かつ、受け入れ国がジュネーブ諸条約を適用する意思および能力を有していると締約国が納得した場合にのみこのような移送が行なわれることを確保するよう、勧告する。締約国はまた、次回の報告書でこの点に関する具体的情報を提供するべきである。

4.武装解除、動員解除および社会的再統合に関してとられた措置

身体的および心理的回復のための援助
13.委員会は、武力紛争の影響を受けた子どもの移住者および難民の心理的および身体的回復ならびに社会的再統合について、州および準州のレベルで設けられている適切なサービスを通じた対応が行なわれている旨の情報を歓迎する。委員会は、締約国に対し、前掲サービスを継続し、かつ必要なときは強化するとともに、これらのサービスを享受した子どもに関する具体的情報を次回の報告書で提供するよう、奨励するものである。

5.国際的な援助および協力

被害者の保護
14.締約国が、小型武器および軽兵器の移譲の統制の向上およびこのような移譲に対する制限的統制を一貫して唱道しており、かつこれらの武器の責任ある移譲を促進するための共通原則の提案について積極的姿勢を示してきたことは認知しながらも、委員会は、小型武器および軽兵器が締約国から輸出されていることにも留意する。これとの関連で、委員会は、締約国が、自国の国内法および国内実務において、18歳に満たない者が軍隊または国の軍隊とは異なる武装集団の構成員として敵対行為に直接参加している可能性がある国への小型武器および軽兵器の貿易がいかなる場合でも禁じられることを確保するよう、勧告するものである。委員会はまた、締約国に対し、この問題に関する具体的情報を次回の報告書で提供するようにも慫慂する。
財政援助その他の援助
15.委員会は、戦争の影響を受けている子どものためのプログラムを有している多数の国連機関および国際機関(ユニセフ、国連開発計画(UNDP)、世界銀行および赤十字国際委員会(ICRC)を含む)への、締約国の財政的支援を称賛する。委員会はまた、子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表事務所およびさまざまな非政府組織に対する締約国の支援も歓迎するものである。
16.委員会は、締約国が、選択議定書の全面的実施のための協力(選択議定書に反するすべての活動の防止、ならびに、選択議定書に反する行為の被害を受けた者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合に関するものを含む)を継続するよう勧告する。

6.フォローアップおよび普及

17.選択議定書がカナダ民族遺産省のウェブサイトを通じて普及されており、かつ関心のあるいかなる人に対しても要望に応じて配布されていることには留意しながらも、委員会は、締約国が、関連のあらゆる専門家集団(とくに軍の要員)を対象とした、選択議定書の規定に関する、国内のすべての言語による教育および研修を強化するよう勧告する。委員会は、締約国が、とくに子どもにやさしい訳文を用いた学校カリキュラムを通じ、選択議定書を一般公衆ならびにとくに子どもおよびその親に対して広く知らせるよう、勧告するものである。
18.選択議定書第6条2項に照らし、委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。

D.次回報告書

19.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第3回・第4回統合定期報告書(提出期限2009年1月11日)に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2012年4月30日)。