総括所見:アイスランド(第3~4回・2011年)


CRC/C/ISL/CO/3-4(2012年1月23日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2011年9月23日に開かれた第1648回および第1649回会合(CRC/C/SR.1648 and 1649参照)においてアイスランドの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/ISL/3-4)を検討し、2011年10月7日に開かれた第1668回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、第3回・第4回定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/ICE/Q/3-4/Add.1)の提出を歓迎するとともに、報告書および事前質問事項に対する回答の双方が率直かつ自己批判的なものであったことを称賛する。このような性質は、締約国における子どもの状況についての理解を向上させることを可能とするものである。委員会は、締約国の部門横断型代表団との間に持たれた、非常に建設的なかつ開かれた対話に対し、評価の意を表明する。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、以下の立法上の措置がとられたことを歓迎し、かつ前向きな対応としてこれらに留意する。
  • (a) 子ども保護法(法律第80/2002号)の改正(2011年)。
  • (b) 新メディア法(法律第38/2011号)。
  • (c) 初等学校法(法律第91/2008号)の改正(2011年)。
  • (d) 教育・職業カウンセラー法(法律第35/2009号)。
  • (e) 就学前教育施設法(法律第90/2008号)、初等学校法(法律第91/2008号、2008年)およびその改正(2011年)ならびに中等学校法(法律第87/2008号)。
  • (f) 就学前教育施設、初等学校および中等学校における教員および学校管理者の教育および採用に関する法律(法律第87/2008号)。
  • (g) 性的同意に関する最低年齢を14歳から15歳に引き上げた刑法改正(2007年)。
  • (h) 青年法(法律第70/2007号)。
  • (i) 慢性疾患児または重度障害児の親に対する給付についての法律(法律第22/2006号)、および、法律第158/2007号による同法の改正。
  • (j) 子ども法(法律第76/2003号)。
4.委員会はまた、以下の文書の批准またはこれへの加入も歓迎する。
  • (a) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(2000年)を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2010年6月)。
  • (b) サイバー犯罪に関する欧州評議会条約(2007年1月)。
5.委員会はまた、以下の制度的および政策的措置も歓迎する。
  • (a) 子どもおよび若者の状況を向上させるための行動計画(2007~2011年)。
  • (b) 子どもの家庭外措置の質に関する基準(2008~2011年)。
  • (c) アイスランドにおける子どもの保護のための行動計画(2008~2010年)。
  • (d) 移民政策に関する行動計画(2008年)。
  • (e) 18歳未満の子どもについて保健ケアおよび病院の費用を免除する保健社会保障省規則(2008年)。
  • (f) 保健政策行動計画(2008年以降)。

III.条約の実施を妨げる要因および困難

6.委員会は、2008年の銀行制度破綻以降、締約国が深刻な金融危機のさなかにあり、そのために公共投資および雇用の水準を維持する能力に深刻な影響が生じ、ひいては子どもおよびその家族、とくに低所得家庭に影響が生じていることに留意する。しかしながら委員会は、締約国が、とくに特別な保護措置との関連で子どもの権利を保護するための財政努力を行なっており、かつ、財政的および経済的状況が着実に改善され続けていることから、教育および保健を含む社会投資の予算削減を是正する意思を有していることに、評価の意とともに留意するものである。

IV.主要な懸念領域および勧告

A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項)

委員会の前回の勧告
7.委員会は、締約国の第2回報告書に関する委員会の総括所見を実施するために締約国が行なっている努力を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、総括所見の一部について十分な対応がとられていないことに留意するものである。
8.委員会は、締約国に対し、第2回報告書に関する総括所見の勧告のうち未実施のものまたは十分に実施されていないもの(第37条に関する宣言の維持、データ収集システムの欠如、移民の子どもの中退率の高さおよび双方可罰性要件の存在〔に関するもの〕を含む)に対応し、かつこの総括所見に掲げられた勧告について十分なフォローアップを行なうため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。
留保
9.委員会は、条約第9条に関する留保〔ママ〕が2009年2月に撤回されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、締約国が第37条に関する留保〔ママ〕を撤回していないことを遺憾に思うものである。
10.委員会は、締約国が、条約第37条(c)にしたがって拘禁された子どもと成人との分離を法律で保障し、かつ第37条に関する留保〔ママ〕を撤回するべきである旨の、前回の総括所見で行なった勧告(CRC/C/15/Add.203、パラ5)をあらためて繰り返す。
立法
11.委員会は、条約の実施に関連する憲法上、法律上および規範上の枠組みを強化する目的で締約国がとっている立法措置を評価する。委員会は、第37条に関する留保〔ママ〕が撤回され次第、締約国が、条約およびその選択議定書を国内法に編入するために必要な措置をとるよう、勧告するものである。
調整
12.委員会は、子どもおよび青少年に関する政策の計画ならびに委員会の勧告の検討についての活動を2007年から2011年にかけて行なった諮問委員会の設置に留意する。しかしながら委員会は、条約の実施について部門横断型の調整を行なう権限を与えられた常設機関がいまなお存在しないことを、遺憾に思うものである。
13.委員会は、締約国が、あらゆるレベルにおけるあらゆる関連の機関間で子どもの権利政策の実施を調整する有効な常設機構を設置するための措置をとるよう、勧告する。この機構に対しては、国、広域行政圏および自治体のレベルで包括的な、一貫した、相互に齟齬のない子どもの権利政策を実施するために必要な人的資源、技術的資源および財源が提供されるべきである。
国家的行動計画
14.委員会は、パラ12で言及した諮問委員会の設置について定めた、子どもおよび若者の状況を向上させるための行動計画(2007~2011年)に留意する。委員会はまた、今後の期間を対象とする新たな行動計画を策定する決定が行なわれたことにも留意するものの、当該計画がまだ採択されていないことを遺憾に思うものである。
15.委員会は、締約国に対し、2007~2011年の計画の評価を基礎とし、条約に掲げられたすべての規定を網羅する、子どもに関する新たな国家的行動計画を可能なかぎり早期に採択するよう、奨励する。委員会はまた、締約国が、当該計画の全面的実施のための具体的予算配分および十分なフォローアップ機構の設置を行なうとともに、当該計画について、達成された進展の評価および存在しうる欠陥の特定を恒常的に行なう、フォローアップおよび評価のための機構が設けられることを確保することも、勧告するものである。
独立の監視
16.子どもオンブズマンに提供される資源が2007年に増やされたことは歓迎しながらも、委員会は、オンブズマンには個別の苦情を受理する資格がない旨の締約国の情報に留意する。委員会はまた、さまざまな政府機関のもとに複雑な苦情申立て機構体系が設置されていることも懸念するものである。
17.委員会は、締約国が、子どもオンブズパーソン〔ママ〕に対して個別の苦情を処理する権限を与えることを検討するとともに、この機構がすべての子ども、とりわけ脆弱な状況に置かれた子どもにとって有効かつアクセス可能なものであることを確保し、かつ、このような苦情申立て手続に関する公衆、とくに子どもの意識啓発を図るよう、勧告する。子どもの権利の保護および促進における独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)に対する注意を喚起しつつ、委員会はまた、締約国に対し、この苦情申立て機構に対してその独立性および有効性を確保するために必要な人的資源、技術的資源および財源が提供されることを確保するようにも求めるものである。
資源配分
18.委員会は、締約国が2008年以降直面している困難な財政状況および経済状況を認識するとともに、脆弱な状況に置かれた子どもおよび家族を保護するためのサービスに直接の影響が及ばないようにするために行なわれている努力を評価する。しかしながら委員会は、教育部門および保健部門に対する予算が著しく削減されたこと、および、努力が行なわれているにも関わらず、低所得基準値以下の家族および子ども(とくにひとり親家族)の割合が上昇していることに、懸念を表明するものである。
19.委員会は、2010年以降経験されている経済的および財政的回復にともない、締約国が、教育部門および保健部門に対する予算の削減を反転させるとともに、(とくに単身の世帯主を対象とした)雇用創出、社会保障および特別な保護に対する投資を持続的に増加させるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、子どものための予算配分を監視しかつ評価する目的で、子どもの権利の視点に立った予算追跡を導入するとともに、「子どもの権利のための資源配分――国の責任」についての一般的討議(2007年)の際の委員会の勧告を考慮するよう、勧告するものである。
データ収集
20.委員会は、子どもに関わるさまざまな分野について締約国から提供されたデータに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、データ収集システムにおいて条約のすべての分野が網羅されておらず、かつ、このようなデータの処理および評価のための十分な機構が存在しないことを、遺憾に思うものである。
21.委員会は、締約国に対し、子どもの権利の実現に関して達成された進展を評価するための基盤として、データを収集し、処理しかつ分析するための包括的なシステムを発展させるよう、奨励する。すべての子どもの状況に関する分析を容易にするため、データは年齢、性別、地理的所在、民族および社会経済的背景ごとに細分化されるべきである。
普及、意識啓発および研修
22.委員会は、2008年以来、締約国が毎年「子どもの日」を祝っていることに評価の意とともに留意する。委員会はまた、政府子ども保護庁が条約に関するホームページを開設したこと、ならびに、子ども保護委員会の関係者および処遇施設職員を対象として、子どもの保護および子どもの権利に関するセミナー、広報会合、フォーラムおよび会議が行なわれていることも、歓迎するものである。しかしながら委員会は、子どもの権利が学校カリキュラムに含まれているかどうか、かつ、そのような研修およびセミナーの対象に法執行官、保健専門家、教員、ヘルスワーカーおよびソーシャルワーカーがとくに含まれているかどうか、または当該集団を対象として条約および委員会による検討に関する情報を普及する目的で他に何らかの措置がとられているかどうかに関する情報がないことを、遺憾に思う。
23.委員会は、締約国が学校カリキュラムに子どもの権利を含めるよう、勧告する。委員会はまた、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団、とくに法執行官、教員、ヘルスワーカー、ソーシャルワーカーおよびあらゆる形態の代替的養護の関係者を対象とした、十分かつ体系的な研修を強化することも勧告するものである。
国際協力
24.委員会は、国際協力に貢献するために締約国が行なっている力強い取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、同国の困難な経済情勢にともなって国際援助への拠出額が削減されたことに留意するものである。
25.委員会は、締約国に対し、現在の危機にも関わらず国際協力の水準を維持し、かつ可能であれば高めるよう奨励する。委員会は、締約国に対し、2015年までに対GNP比0.7%という同国の目標を達成し、かつ可能であればこれを超えるよう奨励するものである。委員会は、締約国が、その際、当該供与相手国に関する子どもの権利委員会の総括所見を考慮するよう提案する。

B.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

子どもの最善の利益
26.委員会は、福祉サービスおよび公的サービスに対する子どものニーズのアセスメントにあたって子どもの最善の利益の概念が一般的に考慮されている旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、一部の個別事案において、とくに子どもに対する親のアクセスを確保することとの関連で、最善の利益原則が十全に考慮されていない可能性があることを懸念するものである。
27.委員会は、締約国が、子どもに対する親のアクセスについてのすべての事案で、子どもの最善の利益が常に優先されることを確保するよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、すべての立法上、行政上および司法上の手続ならびに子どもに関連しかつ子どもに影響を及ぼすすべての政策、プログラムおよびプロジェクトにおいて、子どもの最善の利益の原則が適切に統合されかつ一貫して適用されることを確保するための努力を強化するよう、勧告するものである。司法上および行政上のあらゆる判決および決定の法的理由も、この原則に基づくものであるべきである。
子どもの意見の尊重
28.委員会は、子ども法で、自己の見解を形成しかつ表明する子どもの権利が保障されている旨の締約国の説明に留意する。委員会はまた、自治体当局が、青年法に基づき、青年問題について当局に助言を与える青年評議会を設置できることも評価するものである。にもかかわらず、委員会は、このような評議会を設置しなければならないという法律上の要件も、このような評議会の運営を規律するいかなる手続および規則も定められておらず、これについては自治体の裁量に委ねられていることを、依然として懸念する。委員会はまた、すべての子どもが意見表明の平等な機会を有しているわけではない可能性があることも懸念するものである。
29.意見を聴かれる子どもの権利に関する委員会の一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国に対し、青年評議会の運営、役割および権限を規律する規則を採択するとともに、裁判所、学校、関連の行政手続および子どもに関わるその他の手続ならびに家庭において、障害のある子ども、移民の子どもまたは他の脆弱な状況にある子どもを含む子どもの意見が正当に考慮されることを確保するよう、勧告する。

C.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(4項)および第39条)

家庭環境
30.委員会は、子育てカウンセリングおよび親の対応の訓練も含む4か年行動計画が2007年に採択されたことに留意するとともに、子どもの養育に関して親を支援するための措置を歓迎する。しかしながら委員会は、貧困下にある家族(単身者が世帯主である家族を含む)のための社会給付が不十分であり、かつ、そのためこのような家族の子どもの発達に悪影響が生じていることを、依然として懸念するものである。委員会はまた、家事紛争事件において、親を対象とした調停サービスのための資金が不十分であることも懸念する。
31.委員会は、締約国に対し、家族支援措置を継続し、かつ関係の専門家を対象とした研修を行なうよう、奨励する。委員会は、締約国が、脆弱な状況に置かれた家族に十分な援助を提供し、かつ紛争中の親を対象とした調停サービスのための資金を増加させる目的で、社会給付プログラムを改定するよう勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、扶養義務についての決定の承認および執行に関する条約、扶養義務の準拠法に関する条約、および、親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する条約を批准するよう、勧告する。
親のケアを受けていない子ども
32.委員会は、子どもの家庭外措置の質に関する基準を定め、かつ定期的な監督を行なうことにより、サービスおよび措置に関する契約を監視し、かつホームおよび施設が専門職に課された要件を履行することを確保するために政府子ども保護庁が行なっている努力を歓迎する。委員会はまた、法律第26/2007号により、子どものための施設および処遇ホームの活動を検討する委員会が設置されたことにも留意するものである。しかしながら委員会は、代替的養護の環境を離れた後に子どもを社会に統合させるためにとられた措置についての情報がないことを遺憾に思う。
33.委員会は、締約国が、代替的養護の環境を離れた後の子どもの統合および成功率に関する研究を実施するよう、勧告する。当該研究には、このような子どもの全面的統合を確保するためにとられるべき措置についての勧告も含まれるべきである。

D.障害、基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3項))

障害のある子ども
34.委員会は、慢性疾患児または重度障害児の親に対して給付を行なう法律第22/2006号およびその改正(2007年)、ならびに、障害のある子どもを普通学校に統合しようとする締約国の努力を歓迎する。しかしながら委員会は、障害のある子どもによるサービスへのアクセスが公的割当によって制限される可能性があることを懸念するものである。委員会はまた、障害種別、年齢およびジェンダーごとに細分化された、障害のある子どもに関するデータが存在しないことも遺憾に思う。
35.障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 障害のある子どもを生活のあらゆる分野で包摂するための措置を継続しかつ強化すること。
  • (b) 障害のある子どもに対し、必要なあらゆる支援およびサービスが不当に遅延することなく提供され、かつ、金銭的制約によってサービスへのアクセスが妨げられないことを確保すること。
  • (c) 障害のある人について収集されるデータが、障害の性質、年齢およびジェンダーごとにも細分化されることを確保すること。
  • (d) 障害のある人の権利に関する条約およびその選択議定書を遅滞なく批准すること。
健康および保健サービスへのアクセス
36.委員会は、18歳未満の子どもについて保健ケアおよび病院の費用を免除する、保健社会保障省による2008年の規則を歓迎する。委員会はまた、精神保健、栄養および運動を強調する保健政策行動計画(2008年以降)も歓迎するものである。さらに委員会は、子どもおよび若者の肥満が減少していることを評価するものの、これがいまなお問題として残っていることを懸念する。委員会はまた、締約国における移民の増加により、移民の子どもが、とくに教育的資料および保健サービスに関する一般的情報へのアクセス(言語上の問題があるため)との関係で、児童保健ケア・サービスから取り残される可能性があることも懸念するものである。
37.委員会は、締約国が、健康的な栄養についておよび肥満が子どもの健康および発達に及ぼす悪影響について、引き続き公衆を教育するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、移民の子どもを自国の保健制度に統合し、かつ移民の子どもに対して(可能であればその母語で)保健情報を提供するために必要な措置をとるようにも、促すものである。
精神保健
38.委員会は、注意欠陥・多動性障害の診断または関連の診断を受ける子どもが締約国で増加しており、そのため精神刺激薬の処方が増えていることを懸念する。委員会はまた、精神保健に関わる診断および治療の待機期間が長いことも懸念するものである。
39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) このような問題を有する子どもの診断の正確度を高めるとともに、治療診断センターの能力を向上させる等の手段によって、子どものための精神保健サービスを強化し、かつ必要な検査および治療へのアクセスを保障すること。
  • (b) 一時治療として投薬を受ける子どもの人数の増加についてアセスメントを行なうことも含め、注意欠陥・多動性障害と診断された子どもに対する精神刺激薬の処方を監視すること。
  • (c) 心理的、教育的および社会的措置を含む他の種類の治療にいっそうの注意を払うとともに、親および教員に対する支援を強化すること。
  • (d) 子どもによる精神刺激薬の濫用の可能性を監視する目的で、物質および年齢にしたがって細分化されたデータの収集および分析を行なうことを検討すること。
母乳育児
40.出生時からおよび最初の数日間は母乳のみを与えられる子どもの割合が高いことには留意しながらも、委員会は、この割合が生後4か月の時点では50%に、かつ生後6か月の時点では12%まで減少することを懸念する。
41.委員会は、締約国が、公衆の意識啓発を図り、かつ「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の執行および監視を行なうことにより、生後6か月間の完全かつ継続的な母乳育児を促進するための努力を強化するよう、勧告する。
思春期の健康
42.委員会は、18歳未満の女子の妊娠および妊娠中絶の件数が相対的に多いことを懸念する。これは、リプロダクティブヘルスの知識、避妊手段へのアクセスおよびリプロダクティブヘルスに関するカウンセリング・サービスへのアクセスが全般的に欠けているためである可能性がある。
43.委員会は、締約国が、リプロダクティブヘルスについてならびに若年妊娠および妊娠中絶の悪影響について青少年の意識啓発を図るとともに、避妊手段およびリプロダクティブヘルスに関するカウンセリング・サービス(心理カウンセリングを含む)にアクセスできるようにするよう、勧告する。
薬物および有害物質の濫用
44.統計の示すところにより、若者による一部種別の薬物およびアルコールの使用が減少していることには評価の意とともに留意しながらも、委員会は、アルコールの使用が依然として問題となっていることを遺憾に思う。
45.委員会は、麻薬およびアルコールの不法な使用から子どもを保護し、かつ、薬物および有害物質の濫用の被害を受けた子どものためにとくに立案されたリハビリテーション、再統合および回復のためのプログラムを提供するため、締約国が引き続きあらゆる適当な措置(行政上、社会上および教育上の措置を含む)をとるよう、勧告する。

E.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
46.委員会は、教育における子どもの最善の利益の強化および学校における子どもの福祉の促進を目的として締約国が採択した多数の法律を歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 最近の予算削減により、特別なニーズを有する子ども(障害のある子どもを含む)に対する注意が減退する可能性があること。
  • (b) 子どもがしばしば、学校当局によって満足のいく明確な措置がとられることなく、深刻なかつ長期のいじめの対象とされていること。
  • (c) 後期中等学校からの移民の子どもの中退が依然として問題となっていること。
47.委員会は、教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)を考慮しながら、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 特別なニーズを有する子ども(障害のある子どもを含む)とともに活動する教員の研修を含め、特別なニーズを有する子どものニーズを満たすために必要な措置をとること。
  • (b) 不行跡に対する校則を改善し、かつ、教員、学校で働く全職員および生徒の、多様性を受け入れかつ紛争解決スキルを向上させる能力を向上させることにより、あらゆる形態のいじめおよびいやがらせと闘うためにとられている措置を増進させること。
  • (c) 後期中等学校からの移民の子どもの中退問題に対応するための措置を強化すること。

F.特別な保護措置(条約第22条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)~(d)、第30条、第32~36条)

武力紛争の影響を受けている子ども
48.委員会は、刑法第114条において、外国の軍務のために締約国内で人を徴募したいかなる者も刑事責任(2年の収監)を問われるとされていることに留意する。しかしながら委員会は、いっそう厳しい刑罰を科されるべき子どもの徴募について、刑法で明示的に取り上げられていないことを遺憾に思うものである。
49.委員会は、軍隊のための子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置を強化するため、締約国が以下の措置をとるべきである旨の前回の勧告を、あらためて繰り返す。
  • (a) 18歳未満の子どもを外国の軍隊/武装集団に徴募すること、および、このような子どもが敵対行為に直接参加することを、法律で明示的に禁止すること。
  • (b) 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書の規定に違反することを、法律で明示的に禁止すること。
  • (c) これらの犯罪について、当該犯罪が締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合の域外裁判権を設定すること。
経済的搾取(児童労働を含む)
50.委員会は、締約国における義務教育が16歳まで続く(ただしこれよりも早く修了する場合もある)一方で、最低就労年齢が15歳のままであることに、懸念とともに留意する。委員会はまた、締約国の一部の子どもが若くして(報告されているところによれば13~14歳で)働き始めていることも懸念するものである。当該労働は、性質としては軽易なものであったとしても、子どもを長時間労働、高い労災率およびいやがらせに直面させ、かつ、年齢に相応する以上の責任を子どもにしばしば負わせるような劣悪な条件および不適切な就労体制のもとで行なわれる可能性がある。
51.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 義務教育終了年齢と最低就労年齢を調和させる目的で法律を改正すること。
  • (b) 状況を監視し、かつ若すぎる年齢で働く子どもを発見するとともに、これらの子どもが中等教育を修了するようにするための動機づけを図ること。
  • (c) 劣悪な労働条件および不適切な就労体制(長時間労働、年齢に相応する以上の責任を負わされること、労災およびいやがらせを含む)から子どもが保護されることを保障するための措置をとること。
性的搾取および虐待
52.委員会は、刑法の性犯罪に関する章の改正が2007年に採択され、性的同意に関する最低年齢が14歳から15歳に引き上げられたことを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、当該改正が15~18歳の子どもを十分に保護しておらず、この年齢層の子どもがいまなお性的搾取にさらされる可能性があることを懸念するものである。委員会はまた、子どもの性的虐待に関する通報がほとんど訴追につながっておらず、かつ有罪判決件数はさらに少ないことも懸念する。
53.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 15歳以上の子どもを性的搾取および虐待から保護するために必要な措置をとること。
  • (b) 子どもに関わる性的虐待および搾取のあらゆる事件で、効果的かつ迅速な捜査、訴追および有罪判決を確保すること。
  • (c) 防止、被害を受けた子どもの回復および再統合のためのプログラムおよび政策が、1996年、2001年および2008年にストックホルム、横浜およびリオデジャネイロで開催された子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された成果文書にしたがったものとなることを確保すること。
売買および取引
54.委員会は、とくに子どもが関与させられた売春の利用を刑事処罰の対象とする刑法改正の導入、および、人身取引対策国家行動計画の採択(2009年)により、締約国が行なっている相当の努力を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、国外で重罪以下の犯罪を行なった者をアイスランドで処罰できるのは当該行為が犯行地国の法律で処罰対象とされているのみであるとする、一般刑法第5条の「双方可罰性」原則についての懸念(CRC/C/OPSC/ISL/CO/1)をあらためて表明するものである。委員会は、この要件により、子どもが関与させられた売買、売買春およびポルノ関連犯罪の訴追の可能性が制限され、したがってこれらの犯罪からの子どもの保護が制限されていることを懸念する。
55.委員会は、締約国が、国外で行なわれた犯罪をアイスランドで訴追するための双方可罰性要件を廃止するために法改正を行なうべきである旨の、前回の勧告をあらためて繰り返す。
少年司法
56.委員会は、18歳未満の者の収監に関して警察保護観察局と政府子ども保護庁との間で締結された協定が、締約国が留保を付している条約第37条(c)に掲げられた、成人からの分離の法的保障には至らないことに留意する。
57.委員会は、締約国が、少年司法制度を、条約の規定(とくに第37条、第39条および第40条)ならびに少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)および刑事司法制度における子どもに関する行動についてのウィーン指針のようなこの分野における他の関連の国際基準、ならびに、少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(2007年)に全面的に一致させるよう、勧告する。
 とくに委員会は、締約国に対し、第37条についての留保を撤回し、かつ、子どもと成人を別々に収容するための実際的かつ合理的な解決策を見出すよう、促すものである。
犯罪の被害者および証人である子ども
58.委員会はまた、締約国が、十分な法律上の規定および規則を通じて、国および国以外の主体によって行なわれたものも含む犯罪の被害を受けた子どもおよび(または)そのような犯罪の証人であるすべての子ども(たとえば、虐待、ドメスティック・バイオレンス、性的および経済的搾取、誘拐ならびに人身取引の被害を受けた子どもならびにこのような犯罪の証人)が条約で求められている保護を提供されること、および、締約国が、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針を全面的に考慮することを確保するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、裁判所が子どもの証言を得るために「チルドレンズ・ハウス」を活用することを奨励するよう、勧告するものである。

G.国際文書の批准

59.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、障害のある人の権利に関する条約、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約、拷問等禁止条約の選択議定書、および、経済的、社会的および文化的権利に関する条約〔ママ〕の選択議定書を批准するよう、勧告する。

H.地域機関および国際機関との協力

60.委員会は、締約国が、締約国および他の欧州評議会加盟国の双方における条約その他の人権文書の実施のため、欧州評議会と協力するよう勧告する。

I.フォローアップおよび普及

61. 委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、議会、関連省庁、最高裁判所および適用可能なときは地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
62.委員会はさらに、条約および選択議定書、その実施ならびに監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回・第4回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。

J.次回報告書

63.委員会は、締約国に対し、第5回・第6回定期報告書を2018年5月26日までに提出し、かつこの総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう、慫慂する。委員会は、委員会が2010年10月1日に採択した条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、今後の報告書は当該ガイドラインにしたがうべきであり、かつ60ページを超えるべきではないことを想起するよう求めるものである。委員会は、締約国に対し、報告ガイドラインにしたがった報告書を提出するよう促す。ページの制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を見直し、かつその後再提出するよう求められることになる。委員会は、締約国に対し、報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できないことを想起するよう、求めるものである。
64. 委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出するよう慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2012年4月2日)。