総括所見:ニュージーランド(OPAC・2003年)


CRC/C/OPAC/CO/2003/NZL(2003年11月5日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2003年9月18日に開かれた第897回会合(CRC/C/SR.897参照)においてニュージーランドの第1回報告書(CRC/C/OPAC/NZL/1)を検討し、2003年10月3日に開かれた第918回会合(CRC/C/SR.918参照)において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、選択議定書に基づいて委員会に提出される最初の報告書である、締約国の包括的報告書の提出を歓迎する。委員会は、代表団との間に持たれた率直なかつ開かれた対話を評価するものの、具体的質問に答える国防省のメンバーが代表団に含まれていなかったことは遺憾に思うものである。

B.積極的側面

3.委員会は、武力紛争への子どもの関与を防止し、かつ武力紛争の被害を受けた子どもの回復ならびに子どもの戦闘員のリハビリテーションおよび回復を援助することを目的として締約国が行なってきた、国際的なおよび二国間の技術的協力活動および財政的援助を歓迎する。

C.主要な懸念領域および勧告

敵対行為における使用
4.委員会は、国防法の改正(1990年)により、18歳未満のいかなる者に対しても軍役の責任を負わせることが禁じられていることを歓迎する。しかしながら委員会は、軍管理令(2002年2月15日)がニュージーランド国外における軍役にしか言及しておらず、したがって18歳未満の兵士によるニュージーランド国内での軍役を黙示的に認めていることを、懸念するものである。
5.委員会は、締約国が軍令を改正し、18歳未満の兵士によるニュージーランド国内外での軍役を明示的に禁止するよう勧告する。
志願入隊
6.委員会は、軍管理令が志願入隊の最低年齢を17歳と定めていることに留意する。しかしながら委員会は、この年齢制限がまだ国防法(1990年)に明記されていないこと、および、後見法により、婚姻している18歳未満の者の軍隊への入隊が認められていることを、懸念するものである。
7.委員会は、締約国が国防法および後見法を改正し、志願入隊に関する最低年齢をすべての者について17歳と定めるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、志願入隊の最低年齢を18歳に引き上げる可能性を検討するよう勧告するものである。
8.入隊奨励策について、また軍への新規入隊者の相当割合が軍事教練隊の出身であることに照らし、委員会は、締約国に対し、次回の報告書に、軍事教練隊についての情報(とくに、軍事教練隊の活動が条約第29条および委員会の一般的意見1号で認められた教育の目的とどのように一致しているかに関する情報および軍が軍事教練隊で行なっている募集活動に関する情報)を記載するよう、要請する。
身体的および心理的回復のための援助
9.委員会は、締約国が、次回の報告書において、その管轄内にある子どもの難民および移民であって母国で敵対行為に関与した可能性のある者、ならびに、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のために提供される援助についての情報を提供するよう、要請する。
研修/選択議定書の普及
10.委員会は、締約国が、関連のすべての専門家集団、とくに軍隊要員を対象として、条約〔ママ〕の規定に関する継続的かつ体系的な教育および研修を行なうよう勧告する。加えて委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムを通じ、選択議定書の規定を子どもに広く知らせるよう勧告するものである。
文書の普及
11.選択議定書第6条2項に照らし、委員会は、締約国が提出した第1回報告書および文書回答を公衆一般が広く入手できるようにするとともに、締約国が、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)の間で選択議定書第、その実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。
次回報告書
12.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出期限が2008年11月5日とされている、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年2月12日)。
最終更新:2012年02月12日 15:38