総括所見:スウェーデン(第2回・1999年)


CRC/C/65/Add.3(1999年5月10日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、1999年1月22日に開かれた第521回~第522回会合(CRC/C/SR.521-522参照)においてスウェーデンの第2回定期報告書(CRC/C/65/Add.3)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。
  • (注)1999年1月29日に開かれた第531回会合において。

A.序

2.委員会は、第2回定期報告書が時宜を得た形で提出されたことを歓迎し、かつ、その間にも委員会に対して自発的に追加的情報を提出したことに関して、締約国を称賛する。委員会は、報告書が包括的なものであることに対する評価の意を表明する一方で、報告書が委員会の指針に完全に従っているわけではないことを遺憾に感ずるものである。そのことは、とくに、報告書が第1回報告書にすでに含まれていた情報を繰り返していること、および、当該報告書の審査後に委員会が公にした総括所見およびその実施に関する言及がきわめて限られていることに、表れている。報告書は立法措置の説明にあまりにも焦点を当てすぎており、子どもの実情に関する統計的その他の情報の記載は限られていた。委員会はまた、事前質問票(CRC/C/Q/SWE/2)に対する文書回答、および対話の過程で提供された追加的情報にも留意する。これにより、委員会はスウェーデンにおける子どもの権利の実施に関する進展を評価することができた。委員会は、締約国の代表との建設的対話を歓迎するものである。

B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、条約の原則および規定との一致を確保するため現行法を見直す議会委員会が設置されたことを評価する。
4.委員会は、委員会の勧告(CRC/C/15/Add.2、パラ12参照)を実施するための締約国の努力を評価し、かつ、条約、とくに第37条、第39条および第40条ならびに北京規則、リャド・ガイドラインおよび自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則のようなこの分野の他の関連の国際基準と少年司法制度との両立を向上させるために法律を見直しかつ適切な措置をとることに関して達成された進展を歓迎する。
5.委員会は、子どもの商業的性的搾取と闘う国際的努力をスウェーデンが支援していることを称賛し、かつ、「子どもの商業的性的搾取撲滅のための国内行動計画」が1997年に採択されたことを歓迎する。
6.委員会は、開発協力プログラムにおける子どもの権利への継続的コミットメントに関して締約国を称賛し、かつ、締約国が、GDPの0.7%を開発援助に充てるという国際連合の目標を満たしかつ超えている数少ない国のひとつであることに、満足感とともに留意する。委員会は、外務省およびスウェーデン国際開発庁で働く職員に対し人権および子どもの権利に関する研修を提供するための締約国の努力を歓迎するものである。

C.主要な懸念事項および委員会の勧告

7.自治体によるサービス提供における地方分権化の積極的側面には留意しながらも、委員会は、地方分権化が、政策における矛盾、および子どもおよび家族へのサービスの提供またはアクセス可能性における格差をもたらしてきたことを懸念する。前回の勧告(CRC/C/15/Add.2、パラ10参照)に沿い、委員会は、条約の実施におけるいかなる差別からも子どもを全面的に保護することを目的とした政府の政策の枠組みを自治体が尊重することを確保するため、締約国がいっそうの努力を行なうよう勧告するものである。
8.委員会の勧告(CRC/C/15/Add.2、パラ10)にしたがって1993年に子どものためのオンブズマンが設置されたことは歓迎しながらも、委員会は、締約国との対話中に提起された、子どものためのオンブズマンの役割、自律性および構造的立場に関する多くの論点について懸念する。委員会は、1人委員会によって遂行される、オンブズマンの効果についての調査が開始されたことを歓迎し、かつ、締約国に対し、その結果を注意深く検討しかつ子どものためのオンブズマンの役割および自律性について見直しを行なうことを検討するよう、奨励するものである。
9.委員会は、締約国が1991年~1993年に経験した景気後退の影響が予算緊縮措置につながり、それが子どもに影響を与えかつ条約の実施における進展の達成に関して懸念を引き起こしていることに、留意する。特別な支援のニーズを有する子どもたちに対する追加的な資源の利用を優先させるという締約国の決定は歓迎しながらも、委員会は、予算緊縮措置の結果として、一部自治体が提供する教育サービスおよび社会サービスが有償化されかつ縮小されていることを依然として懸念するものである。委員会は、条約第4条にしたがって利用可能な手段を最大限に用いて条約を実施する努力をあらためて行なうため、締約国が予算削減の影響を再検討するよう勧告する。
10.委員会は、他国に居住する子どもまたは他国の国籍を有する子どもの婚姻年齢を低く設定した法律を見直すという締約国の決定を歓迎する。委員会は、締約国に対し、早期婚の有害な影響に対する保護を強化し、かつその管轄内にある子どものあいだでの差別を解消するため、当該法律の改正を検討するよう奨励するものである。
11.条約第2条および委員会の前回の勧告(CRC/C/15/Add.2、パラ7および13参照)に関して、委員会は、不法移民の子ども、いわゆる「隠れた子ども」を対象として差別の禁止の原則が全面的に禁止されていないことに、懸念とともに留意する。委員会は、締約国に対し、不法移民の子どもが利用可能なサービスを緊急保健サービスの提供以外にも拡大するため、政策を見直すよう勧告するものである。
12.委員会は、人種主義および外国人嫌悪の増加が報告されていることに懸念を表明し、かつ、「不法な差別」および「民族グループに敵対する煽動」に関する現行法の効果に関して締約国が抱いている懸念を共有する。委員会は、締約国に対し、当該法律を見直すという決意表明にしたがって行動するよう奨励し、かつ、条約第2条2項で規定されているように子どもがあらゆる形態の差別から保護されることを確保するため、あらゆる適切な措置をとるよう促すものである。
13.国籍を取得する権利に関して、委員会は、無国籍の子どもに関する現行法について懸念する。委員会は、締約国に対し、市民権法の改正を完了させるよう奨励し、かつ、結果として行なわれる改正において条約第7条が全面的に考慮されるよう促すものである。
14.措置の実行および議論が行なわれていることには留意しながらも、委員会は、ポルノグラフィー的題材へのアクセスからの子どもの保護について依然として懸念する。委員会は、締約国に対し、条約第13条、第17条および第18条の規定を念頭に置きながら引き続きあらゆる適切な措置をとるよう奨励するものである。
15.条約第11条との関係で、委員会は、スウェーデンが、子の監護の決定の承認および執行ならびに子の監護の回復に関する欧州条約および国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約の加盟国であることに、満足感とともに留意する。委員会は、締約国に対し、上記の2つの条約に加盟していない国と同趣旨の二国間協定を締結する努力を引き続き行なうこと、監護権に関する外国の決定の承認に関する現行法を見直すこと、および、親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関するハーグ条約(1996年)の批准を検討することを、奨励するものである。
16.一部の自治体が無償で家族カウンセリング・サービスを提供していること、および他の自治体で課されている料金も高すぎはしないように思えることには留意しながらも、委員会は、相当数の家庭にとって、そのような料金が必要な助けおよび援助を求めることをためらわせる要因になっていることを懸念する。委員会は、とくにもっとも傷つきやすい立場に置かれたグループを対象として家族カウンセリング・サービスへのアクセスを容易にするため、締約国がこの点に関する政策を見直すよう勧告するものである。
17.委員会の勧告(CRC/C/15/Add.2、パラ9および11参照)に関して、児童虐待の発生の義務的通報制度について専門家への研修の提供を強化するうえで行なわれた努力は評価しながらも、委員会は、この制度が満足に機能していないことを懸念する。委員会は、条約第19条にしたがってあらゆる形態の虐待からの子どもの保護を向上させるため、締約国が引き続き努力しかつさらなる措置をとるよう勧告するものである。
18.締約国はもっとも広範な公的支援制度を有している国のひとつであるが、自治体間および社会階層間の格差は広がっており、その結果、社会的排除および緊張、ならびに経済的に不利な立場に置かれたグループに供給されるサービスの貧困がもたらされているように思える。委員会は、とくにより貧しい家庭を対象として社会手当に万人がアクセスできることを確保するため、条約第2条、第26条、第27条および第30条にしたがってあらゆる適切な措置をとること、および、この点についての公衆に対する情報提供を強化することを、勧告するものである。
19.1999年の年次学校監査をいじめの問題に集中して行なうという締約国の計画は歓迎しながらも、委員会は、締約国に対し、学校におけるいじめを防止するための努力を継続すること、この現象の規模に関する情報を収集すること、および、とくに、この問題への充分な対応およびその解決に子どもが参加できるようにするための具体的な体制を確立することを、奨励する。
20.委員会は、予算削減が子どもの教育への権利に与える影響について依然として懸念する。委員会は、締約国に対し、補習教育に対するより高い水準の資金拠出を回復し、かつ、特別な援助のニーズを有する子どもたちへと対象を拡大する決定を行なうよう奨励するものである。委員会はまた、条約第2条、第3条、第28条および第31条にしたがって教育および余暇活動に対する子どもの権利を考慮にいれ、とりわけ就学前センターおよび保育センターの教育的役割を向上させようとする現在の努力との関連で、働いていない親の子どもの保育サービスへのアクセスに関する政策を見直すようにも勧告する。
21.前回の勧告(CRC/C/15/Add.2、パラ13)に関して、委員会は、青少年による薬物濫用の件数が増加していることを懸念する。委員会は、薬物濫用、およびとくにそれがより傷つきやすい立場に置かれたグループに与える影響に関するデータ収集および監視を行なうため、締約国が体系的努力を行なうよう勧告するものである。
22.国外犯立法に関する「双方可罰性」の要件を解消するために現在行なわれている国内法の見直しの努力を含め、委員会の勧告(CRC/C/15/Add.2、パラ8および11)にしたがって性的搾取からの子どもの保護を向上させるため締約国が行なってきた法律の見直しその他の措置は評価しながらも、委員会は、とくに15歳以上18歳未満の子どもを対象として性的搾取からの保護を強化させる必要があることを、懸念する。委員会は、締約国に対し、18歳までの子どもを対象とした保護の向上を確保するための努力を継続しかつ強化するよう奨励するものである。
23.最後に、条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに公衆が広く利用できるようにすることを勧告する。そのような幅広い配布は、とくに政府、関連省庁、議会および非政府組織のあいだで、条約およびその実施状況に関する議論および意識を喚起するようなものであるべきである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年12月7日)。