総括所見:スウェーデン(第1回・1993年)


CRC/C/3/Add.1(1993年2月18日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、1993年1月18日および19日に開かれた第56回、第57回および第58回会合((CRC/C/SR.56 to 58)においてスウェーデンの第1回報告書(CRC/C/3/Add.1)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。
  • (注)1993年1月28日に開かれた第73回会合において。

A.序

2.委員会は、スウェーデンが条約の迅速な批准のために必要な措置をとり、かつ、その報告義務を果たす最初の国となったことに、満足感とともに留意する。その報告書はきわめて包括的であり、かつ、委員会のガイドラインに忠実にしたがったものとなっている。ただし、傷つきやすい立場に置かれたグループ、とくに先住民の子どもおよび主要都市部において遺棄された子どもも含むマイノリティの子どもの状況についてはさらに情報が必要である。
3.委員会は、スウェーデンの報告書の説明を委員会で行なうために派遣された代表団によって追加情報が提供されたことに謝意を表明する。この点に関して、高級レベルの代表団が出席したことにより、委員会と、条約の実施を直接担当する省庁の職員との間で建設的対話を行なうことが可能となった。

B.積極的な側面

4.委員会は、条約を実施し、条約についての情報を普及し、かつ、スウェーデンの子どもの状況をさらに向上させるための手段を模索することに対して積極的なアプローチをとる必要があることを、政府が認識していることを歓迎する。この点に関して、委員会は、子どもの権利の保護のための法的枠組みを条約の要求と調和させるために法律が制定されかつ行政上の措置が提案されていることに、満足感とともに留意するものである。関連の立法は、条約の規定およびその実施の指針となる一般原則をおおむね反映している。特筆に値するのは、とくに条約の広報および公衆一般の意識の促進に関して、政府が非政府組織と対話を行なう精神を有していることである。
5.委員会は、世界中の子どもの状況を改善させることに対し、スウェーデン政府およびスウェーデンの非政府組織が重要な貢献を行なっていることに評価の意を表明する。締約国が、子どもに直接の利益となる国際的な協力および援助を通じて子どもの権利を促進する点に関して卓越した姿勢を示していることは条約第4条の精神にしたがうものであり、かつ他の締約国にとって有益な指針となりうるものである。
6.委員会は、スウェーデンの権限ある機関が、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約を批准する可能性を検討していることに留意する。

C.主要な懸念事項

7.委員会は、法律が、条約第2条に掲げられたさまざまな形態の差別すべてに対して保護を提供していないという事実に留意する。その結果、子どもまたはその親もしくは法定保護者の言語、宗教、政治的その他の意見、社会的出身、財産、障害、出生その他の地位に基づく差別を法律が禁止しているかどうかが不明瞭である。
8.委員会は、子どもの定義に関する法律が明瞭さを欠いておりかつ矛盾があるように思えることに懸念を表明する。委員会は、スウェーデンにおいては18歳未満の者は完全な法的能力を享受していないにも関わらず、そのような者を軍務に就かせることは認められており、かつ、15歳以上の者の国防市民軍への入隊も可能であることに留意する。委員会はまた、性的成熟年齢が固定されておらず、そのためポルノグラフィー的題材における使用から生じうる搾取からの子どもの保護が脅かされていることに懸念を表明するものである。
9.委員会は、政府が、身柄を拘束されている子どもの成人からの分離を確保していないことに懸念する。委員会はまた、外国人法に基づいて外国人の子どもの身柄を拘束する慣行を懸念し、かつ、スウェーデン人の子どもは一般に18歳になるまで身柄を拘束できない以上この慣行が差別的であることに留意するものである。同様に、近親姦を含む性的搾取の被害を受けた子どもに関する情報が存在しない模様である。

D.提案および勧告

10.実施に関する一般的措置に関して、委員会は、子どもの権利を保護するための法的その他の措置の実施において達成された進展を測定するための監視機構および指標を設けることに、注意深い関心を向けるよう勧告する。委員会は、条約の実施が、効果的でありかつ条約の規定および一般原則に一致したアプローチを確保するために、地方の公的機関との緊密な協力に基づいて行なわれるべきであることを強調する。これとの関連で、政府は、自治体によって実行されている支出削減が子ども、とくにもっとも傷つきやすい立場に置かれたグループの子どもの最善の利益を正当に考慮しながら行なわれることを確保するべきである。条約の効果的実施をいっそう進めるため、委員会は、締約国が、政策決定段階において非政府組織とより緊密な調整を行なうことを検討すること、条約の規定を国内法に直接編入すること、および、とくに障害児および特別な保護を必要とする子どものような傷つきやすい立場に置かれたグループの利益になる国際的な協力および援助をいっそう強化することを、提案する。
11.子どもの定義に関して、委員会は、締約国が、より首尾一貫した、かつ条約の一般原則および規定をより忠実に反映したアプローチを検討するよう勧告する。条約第38条の精神を認識し、現時点では18歳未満の子どもを軍隊に徴用する可能性が認められている法律の乖離を埋めるための措置がとられてもよい。委員会は、政府が、ポルノグラフィー的題材における子どもの搾取に関する現行規定の効果を再評価するよう提案する。さらに、政府は家庭における性的虐待の問題を見過ごすべきではない。政府は、7歳以上の子どもが親の同意なしに法律または医療に関する相談を受けることを認めることが望ましいかどうかについても再評価することができよう。
12.法に抵触した子どもに関して、委員会は、子どもの最善の利益および施設措置に代わる措置を考慮にいれ、身柄を拘束された子どもが成人から分離されることを確保するためにさらなる検討を行なうよう提案する。これとの関連で、締約国は、少年警察連絡体制が設置されている国の状況を研究することもできよう。委員会はまた、外国人法に基づく子どもの拘禁に代わる措置を提供すること、および法に抵触した子どもに公選弁護士を任命することを検討するようにも提案するものである。
13.委員会はまた、スウェーデンの養親家族に措置された外国人の子どもの状況をより緊密に監視するための措置をとるよう勧告する。委員会は、外国人の子どもその他の傷つきやすい立場に置かれたグループの状況を監視することの重要性を強調し、かつ、この目的のため、締約国の次回の報告書には、HIV感染およびエイズの発生件数も含む、こうしたグループに関するより完全な統計的その他の指標を記載するよう要請するものである。締約国は、他の国際人権文書を批准することが子どもの権利の促進によい影響を与えることを認識し、人身売買および他人の売春からの搾取の禁止に関する条約の批准を検討してもよい。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年12月7日)。