総括所見:フランス(第3~4回・2009年)


CRC/C/FRA/CO/4 and CRC/C/FRA/CO/4/Corr.1(2009年6月11日)
原文:英語(平野裕二仮訳) ※日本語訳には正誤表による訂正を反映させた。

1.委員会は、2009年5月26日に開かれた第1401回および第1402回会合(CRC/C/SR.1401-1402参照)においてフランスの第3回・第4回定期報告書(CRC/C/FRA/4)を検討し、2009年6月12日に開かれた第1425回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、締約国の第3回・第4回定期報告書、および委員会の事前質問事項(CRC/FRA/Q/4/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎する。委員会はまた、締約国が海外県および海外領土についての情報を提供したことにも留意するものの、この情報が付属文書として提出され、かつ定期報告書の形式および内容に関する一般指針にしたがっていないことを遺憾に思うものである。委員会は、ハイレベルでかつ複数の部門から構成された代表団の出席および同代表団が行なった開かれたかつ積極的な対話により、締約国における子どもの状況についての理解を向上させることができたことを評価する。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに武力紛争への子どもの関与に関する両選択議定書についての締約国の第1回報告書に関して採択された総括所見(CRC/C/OPSC/FRA/CO/1およびCRC/C/OPAC/FRA/CO/1に収載)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

4.委員会は、以下のもののような、条約の実施に関連する積極的進展に評価の意とともに留意する。
  • (a) 別居の手続の簡素化および迅速化を図ること、とくに期間を短縮しかつ子どもがこれらの手続にさらされる状態を低減させることを目的とした、離婚の改革に関する2004年5月26日の法律第2004-439号。
  • (b) 2004年12月30日の法律第2004-1486号に基づく、差別との闘いおよび平等促進のための高等機関(Haute Autorite de Lutte contre les Discriminations et pour l'Egalite、HALDE)の設置。
  • (c) 障害のある人の権利および機会の平等ならびにインクルージョンおよび参加に関する2005年2月11日の法律第2005-102号。
  • (d) 養子縁組の改革に関する2005年7月4日の法律第2005-744号。
  • (e) 嫡出子および私生児としての出生の概念を廃止する、親子関係決定の改革に関する2005年7月4日のオルドナンス第2005-759号。
  • (f) ドメスティック・バイオレンスおよび子どもに対する暴力の防止および処罰を強化し、かつ女子の法定最低婚姻年齢を18歳に引き上げる、2006年4月4日の法律第2006-399号。
  • (g) 出生の地位に関わらず子ども同士を平等にする、相続および贈与に関する2006年6月23日の法律第2006-728号。
  • (h) 住居に対する執行可能な権利を創設する2007年3月5日の法律第2007-290号。
  • (i) 成人の法的保護に関する2007年3月5日の法律第2007-308号。
  • (j) 以下のことを目的とする、子ども保護の改革に関する2007年3月5日の法律第2007-293号。
    • (i) 意見を聴かれる子どもの権利を強化すること。
    • (ii) 子どもの家族の構成員、医療サービスおよび社会サービスならびに議員による子どもオンブズパーソン(Defenseure des enfants)制度の利用を可能にすること。
    • (iii) 県に子ども保護担当窓口を創設すること。
  • (k) 16~26歳の若者を対象とする一貫した政策の策定を担当する、青年高等弁務官の設置(2009年1月16日)。
5.委員会はさらに、フランスが以下の国際条約に加盟したことを歓迎する。
  • (a) 強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(2008年9月23日)。
  • (b) 死刑の廃止を目的とする、市民的および政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書(2007年10月2日)。

C.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項)

委員会の前回の勧告
6.委員会は、締約国の第2回定期報告書の検討時に委員会が表明した懸念および行なった勧告の一部、とくに条約に対する留保および宣言、権利の主体としての子ども観の編入、刑事責任に関する最低年齢、出生登録、家族再統合、国際養子縁組、体罰、保護者のいない未成年者および少年司法に関するもの(CRC/C/15/Add.240)への対応が不十分であることを、遺憾に思う。
7.委員会は、締約国に対し、前回の勧告のうち部分的にしか、十分にまたはまったく実施されていないものに対応するためにあらゆる努力を行なうとともに、この総括所見に掲げられた勧告について次回の定期報告書で十分なフォローアップを行なうよう、促す。委員会はまた、締約国に対し、権利の主体としての子ども観をすべての政策、プログラムおよびプロジェクトに編入することも促すものである。
留保および宣言
8.委員会は、条約第30条に関わる留保ならびに条約第6条および第40条に関わる2つの宣言を撤回するべきであるという委員会の前回の勧告について、締約国が引き続き国内法上の事情を主張していることを遺憾に思う。
9.委員会は、マイノリティ集団に属する子どもについての立場を再検討し、かつ条約第30条に付した留保ならびに条約第6条および第40条に関する両方の留保の撤回を検討するべきであるという、締約国に対する勧告をあらためて繰り返す。
立法
10.条約の直接適用可能性に関する破棄院(Cour de Cassation)の判例が国務院(Conseil d'Etat)の判例にあわせて変更されたことは歓迎しながらも、委員会は、このような直接効力を有すると認められている規定の数が限定されていることを懸念する。
11.委員会は、締約国が、条約全体が締約国全域で直接適用可能とされること、ならびに、あらゆる段階の行政上および司法上の手続において、条約のすべての規定を個人が法的根拠として援用することおよび裁判官が適用できることを確保するための措置を引き続きとるよう、勧告する。
調整
12.委員会は、家族に関する省庁間特別委員会がこれまでの家族省から労働・社会関係・家族・都市問題省に移管されたこと、子ども保護の実施の窓口としての各県の県議会議長の権限が強化されたこと、および、16~26歳の若者を対象とする青年高等弁務が設置されたことなど、子ども保護に関する行動の調整に関していくつかの改革が行なわれたことに留意する。しかしながら委員会は、国レベルと県レベル(海外領土および海外県も含む)との間で調整が行なわれていないことを依然として懸念するものである。委員会はさらに、子どもの権利を担当する議会委員会が設置されていないことも懸念する。
13.委員会は、条約および2つの選択議定書の実施に関して格差または差別が生じるいかなる可能性も減少させかつ解消する目的で、国レベルと県レベル(海外領土および海外県も含む)との間で条約および2つの選択議定書の実施を全般的に調整するための機関を設置すること、ならびに、この調整機関のために十分な人的資源および財源を配分することおよび明確な権限を定めることを締約国に対して促した前回の勧告(CRC/C/15/Add.240、パラ9)を、あらためて繰り返す。委員会はさらに、両方のレベル〔国および県〕の議会に子どもの権利についての委員会を設置することも勧告するものである。
国家的戦略および行動計画
14.委員会は、条約の枠組みに基づきかつ政府の最上級レベルで支持された、子どものための包括的な国家的戦略およびその実施のための関連の国家的行動計画が定められていないことに懸念を表明する。委員会はさらに、このことにより、年次計画の策定の際ならびに政府による全般的計画および予算編成において子どもの権利が考慮されない結果が生じている可能性があることを懸念するものである。
15.委員会は、締約国に対し、子どもに関する包括的な国家的戦略を策定することを目的として、政治的諸勢力、専門家、市民社会および子どもとの広範な対話を行なうよう奨励する。この戦略においては、すべての子どもに対する普遍的な権利の平等な保障、および、もっとも脆弱な立場に置かれた子ども(とくに海外県および海外領土に住んでいる子ども)のための特別な保護措置の双方が対象とされるべきである。この行動計画においては、子どもに関する国連総会特別会期(2002年5月)で採択された成果文書「子どもにふさわしい世界」およびその中間レビュー(2007年)を考慮することが求められる。委員会はまた、達成された進展を定期的に評価し、かつ存在する可能性がある欠点を明らかにする目的で、締約国が、行動計画の全面的実施のための十分な予算配分ならびにフォローアップおよび評価の機構を確保することも勧告するものである。
独立の監視
16.委員会は、2つの機関、すなわち子どもオンブズパーソン(Defenseure des enfants)および国家人権諮問委員会(Commission Nationale Consultative des Droits de l'Homme、CNCDH)が、子どもの権利の実施の監視において重要な役割を果たしていることを歓迎する。委員会は、条約の実施に関して子どもオンブズパーソンが行なっている広範な活動(個別の苦情申立て機構を含む)および子どもの権利に関わる法律についてCNCDHが果たしている助言の役割をに留意するものである。しかしながら委員会は、これらの独立した監視機関が法案に関する恒常的協議の対象とされていないことを遺憾に思う。
17.委員会は、締約国が、条約の全面的実施のために独立した監視機関が果たす補完的役割の促進を確保するとともに、とくに個別の苦情申立て機構との関連で子どもオンブズパーソンの役割を増強させることに関してさらなる進展を達成し、かつ、当該機関に対し、その任務を効果的に遂行するのに十分な財源および人的資源を提供するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、法案に関して両機関と恒常的に協議するよう奨励するものである。これとの関連で、委員会は、子どもの権利の保護および促進における独立した国内人権機関の役割についての委員会の一般的意見2号(2002年)に対して締約国の注意を喚起する。
資源配分
18.委員会は、近年、教育の分野等で子どもに関する支出が増加していることに、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、このような増加では、貧困を根絶し、かつとくに住居に対する権利および学校における医療サービスに関連する不平等に対処するためには不十分であることを懸念するものである。一貫した予算分析および子どもの権利影響評価が行なわれていないため、国全体でどの程度の支出が子どもに配分されており、かつ子どもに影響を及ぼす政策および法律の効果的実施にこれがどの程度役立っているのかを明らかにすることが困難になっている。さらに、委員会は、さまざまな県(海外県および海外領土を含む)における資源配分の格差について国家人権諮問委員会が表明した懸念を共有するものである。
19.委員会は、締約国が、条約第4条にしたがい、管轄区域全域(海外県および海外領土を含む)における貧困の根絶および不平等の削減にとくに焦点を当てながら、利用可能な資源を子どもの権利の実施のために最大限に配分するよう勧告する。このような取り組みにおいて、締約国は、「子どもの権利のための資源配分――国の責任」をテーマとして行なわれた2007年9月21日の一般的討議後に委員会が行なった勧告を考慮するべきである。委員会はさらに、予算配分額が政策上の発展および法律の実施のために十分かどうかを評価するため、締約国が、子どもの権利の視点からの予算追跡を導入し、かつ子どもの権利影響評価を定期的に実施するよう勧告する。
データ収集
20.委員会は、危険な状況にある子どもについての情報を収集する中央データ収集・監視センター、すなわち危機にさらされる子ども時代に関する国家監視機関(Observatoire National de l'Enfance en Danger、ONED)が設置されたことに留意する。しかしながら委員会は、さまざまな部門からデータを収集するプロセス、ならびに、データ提供機関間で調和が図られたデータを評価しかつ記録する統一的手法の有無について、依然として懸念を覚えるものである。委員会はさらに、収集された情報にデータの提供機関および処理機関がアクセスできる条件、とくに個人データの使用に関する包括的な政策の欠如について懸念を覚える。
21.委員会は、子どもの権利の実現に関して達成された進展を評価するための基盤として、ならびに、子どもおよびその家族のための総合的かつ包括的な政策を立案する一助とし、かつ条約および2つの選択議定書の促進および実施を容易にする目的で、条約および2つの選択議定書が対象とするすべての分野に関して細分化されたデータを収集しかつ分析するための、統一的かつ全国的なシステムを設置するよう勧告する。委員会はさらに、締約項に対し、情報の悪用を防止するため、データベースには個人の特定が不可能な個人情報のみを入力し、かつ収集されたデータの活用を法律で規制するよう、勧告するものである。
条約の普及、研修および意識啓発
22.委員会は、子どもともにまたは子どものために働く専門家を対象として、危険な状況にある子どもにとくに焦点を当てながら、条約の原則および規定に関する義務的研修を実施するために締約国が最近行なった努力を歓迎する。委員会はまた、学校カリキュラムに人権を含む公民教育単元が含まれていることにも留意するものである。にもかかわらず、委員会は、条約に関する子どもおよびおとなの知識水準が低いことを懸念する。
23.委員会は、条約および2つの選択議定書のすべての規定が、締約国全域で、おとなによっても子どもによっても同様に広く知られかつ理解されることを確保するための努力を、締約国がさらに強化するよう勧告する。
市民社会との協力
24.政府と市民社会(非政府組織を含む)との関係を確立するために締約国が行なった努力は歓迎しながらも、委員会は、報告書の作成および条約の実施に関わる非政府組織との協力が依然として不十分であることを懸念する。
25.委員会は、締約国が、子どもの権利の促進および実施(政策および協力プロジェクトの策定への参加を含む)ならびに委員会の総括所見のフォローアップおよび次回の定期報告書の作成における、市民社会(NGOおよび子ども団体を含む)との積極的かつ体系的な協力を強化するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、地方レベルで市民社会を支援し、かつその独立性を尊重するよう奨励するものである。
国際協力
26.委員会は、国際協力および二国間協力の分野で締約国が行なっている貢献および子どもの権利関連のさまざまな活動に、評価の意とともに留意する。
27.委員会は、締約国に対し、とくに国内総生産(GDP)の0.7%を国際開発援助に充てるという国連の目標を達成するための努力を行なうことにより、国際協力の分野における活動を引き続き強化するよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、条約および2つの選択議定書の締約国である他の国々との二国間協力において、当該国について委員会が採択した総括所見および勧告を正当に考慮するよう奨励するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、「子どもの権利のための資源配分――国の責任」に関する一般的討議(2007年)後に委員会が行なった勧告を考慮するよう慫慂する。

2.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
28.委員会は、法律第2004-1486号に基づく、差別との闘いおよび平等促進のための高等機関(Haute Autorite de Lutte contre les Discriminations et pour l'Egalite、HALDE)の設置を歓迎する。これは、国民的出身、障害、健康、年齢、ジェンダー、家族および婚姻に関わる地位、労働組合活動、性的指向、宗教的信条、身体的外見、姓ならびに遺伝的特徴を理由とする差別の問題を是正するために、個人の苦情を受理しかつ職権で行動する権限を有する機関である。委員会はまた、嫡出子および私生児としての出生の概念を廃止するオルドナンス第2005-759号、および、相続および贈与に関して子どもの出生の地位に関わらず平等化を図る法律第2006-728号の採択を通じ、出生の事情に関わらず子ども同士の平等を確立するために締約国が行なった努力にも、評価の意とともに留意する。委員会はまた、フランス国籍を有しない子どもおよび「大家族」の親を対象とする金銭給付についての差別が廃止されたこと、および、破棄院が、フランスに子どもとともに合法的に在留している外国人家族は子ども手当の全面的受給資格を有すると決定したことにも、留意するものである(ただし、委員会は当該決定が実施されていないことを遺憾に思う)。委員会はさらに、締約国が、海外領土のマヨット島において、相続の問題に関して性別または嫡出性を理由とする子ども間の差別を禁じたことを評価する。
29.委員会は、締約国に対し、差別との闘いおよび平等促進におけるHALDEの役割をさらに支援するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、フランス国籍を有しない家族が子ども手当を受給する権利についての破棄院の決定を実施することも促すものである。
30.人種主義、反ユダヤ主義および外国人嫌悪に対抗するための活動が学校カリキュラムに含まれていることは歓迎しながらも、委員会は、とくに海外県および海外領土に住んでいる子ども、子どもの庇護希望者および難民、ならびに、ロマ、トラベラー("gens du voyage")および宗教的マイノリティのようなマイノリティ集団に属する子どもとの関係で、かつとりわけ経済的および社会的権利の分野で差別が根強く残っており、社会の進歩、正義および差別の禁止が阻害されていることに懸念を表明する。委員会はさらに、移民申請者のDNA検査および退去強制の割当数について定めた、出入国管理、統合および庇護に関する新法が、移住者の子どもに対する差別の雰囲気の喚起を助長するおそれがあることに、懸念を表明するものである。
31.委員会は、締約国に対し、経済的および社会的権利の分野における、かつ人種、出自、皮膚の色、名前、民族的もしくは社会的出身、名前〔重複は原文ママ〕またはその他の事由を理由とする差別からの全面的保護を確保するよう、促す。委員会は、締約国に対し、地域的格差を解消するための努力を引き続き行なうとともに、外国人の子どもおよびマイノリティ集団に属する子どもに対する根強い差別を防止しおよびこれと闘い、ならびに社会の進歩、正義および平等の雰囲気をつくり出すための措置をとるよう、促すものである。委員会はさらに、締約国に対し、社会のあらゆる部門における子どもに対する差別の事案について効果的対処が行なわれることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。
32.委員会はまた、一部の集団の子ども、とくに、ロマの子どもおよび障害児、マイノリティに属する子どもならびに郊外(banlieues)に住む子どものような脆弱な立場におかれた子どもおよび貧困下で暮らしている子どもに対し、メディアおよび学校等においてスティグマが付与されていることも懸念する。このことは、これらの子ども、とくに青少年に対する不寛容の一般的雰囲気および公衆の否定的態度につながるとともに、しばしば、これらの子どもの権利がさらに侵害される根本的原因になるおそれがある。委員会はさらに、子ども、とくに青少年に対し、警察が全般的に否定的態度をとっていることを懸念するものである。
33.委員会は、締約国が、メディアおよび学校も含む社会において子ども(とくに青少年)が不寛容の対象とされ、かつ不適切な性格付けを行なわれることに対処し、かつ、警察が子どもおよび青少年に対して前向きかつ建設的な態度をとることを促進するための措置をとるよう、勧告する。
34.委員会は、「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画を、条約第29条1項(教育の目的)に関する一般的意見1号を考慮に入れながらフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての情報が、報告書に記載されていないことに留意する。委員会は、前述の具体的情報を、2009年のダーバン・レビュー会議をフォローアップするためにとられた措置に関する具体的情報とともに、次回の定期報告書で提供するよう要請するものである。
子どもの最善の利益
35.委員会は、破棄院(Cour de Cassation)が2005年に国務院(Conseil d'Etat)の判例にあわせて判例変更を行ない、条約第3条1項の直接適用可能性を認めたことに留意する。委員会はまた、子どものケアおよび子どもの保護、離婚、相続ならびに贈与に関する法律に子どもの最善の利益の原則が統合されたことにも留意するものである。しかしながら委員会は、政府による一部の行動および決定が子どもの最善の利益に及ぼす影響の評価が不足しており、かつ、実務においてこの原則の適用のあり方に関する理解に根強い食い違いがあることを、依然として懸念する。さらに、この原則が立法機関によって実行に移されることは、自治体、地域圏および国のいずれのレベルでも、ほとんどない。
36.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの最善の利益の原則が、条約第3条にしたがい、政府のすべての行動およびあらゆる法規定に関する決定において、かつ、司法上および行政上の決定ならびに子どもに影響を与えるプロジェクト、プログラムおよびサービスにおいて十分に指針とされることを確保するため、とくに具体的な手続規則を通じてあらゆる適当な措置をとること。
  • (b) この原則の適用に関する格差が最小限に留まることを確保すること。
  • (c) 何が「最善の利益」であるかについての締約国自身の理解――ひいては締約国の指針の内容――をさらに増進させる目的で、子どもの最善の利益が政府による行動および決定ならびに市民社会による行動および決定に及ぼしている影響を評価するとともに、意思決定に携わるすべての者(裁判官、公務員、立法機関等)を対象とする研修を行なうこと。
生命、生存および発達に対する権利
37.拘禁所における子どもの自殺を防止するための新たなアセスメント手段を作成したワーキンググループの設置は歓迎しながらも、委員会は、2008年に拘禁下における子どもの死亡が複数生じたこと、および、これらの子どもの間で自傷行動が多く蔓延していることを、深刻に懸念する。
38.委員会は、締約国が、防止措置の有効性を再検討すること等も含め、生命に対する子どもの権利を保護するために利用可能なあらゆる資源を活用するよう勧告する。締約国はまた、養護中または拘禁中のいずれであるかに関わらず、子どもが関わるいかなる不慮の死亡または重傷についても体系的な、独立したかつ公の検証を導入し、かつ、防止措置を増進させるためにその結果を活用するべきである。
子どもの意見の尊重
39.委員会は、親の権威、相続、後見および養子縁組に関するあらゆる手続において意見を聴かれる子どもの権利を認めた、2007年3月5日の法律第2007-293号の修正を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、この権利の行使の条件として子ども自身の要請を挙げていることにより、実際上の差別および不一致が生じる可能性があるという懸念をあらためて表明するものである。さらに、委員会は、子ども議会の存在を歓迎するものの、子ども議会の勧告が考慮されることはほとんどないことを遺憾に思う。
40.委員会は、条約第12条にしたがい、かつ、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的討議(2006年)後に委員会が採択した勧告を考慮に入れながら、締約国が、意味のある子ども参加(メディアへの参加も含む)の機会を増加させる目的で、子どもに関わるあらゆる手続において意見を聴かれる権利が、親、教員、校長、行政、裁判所、子どもたち自身および社会一般に対して広く普及されることを確保するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、子どもに直接の影響を及ぼす法改正が行なわれるあらゆる場合に子ども議会の意見および勧告を正当に重視するとともに、このような機関を県および自治体のレベルで創設する取り組みを奨励するよう、促すものである。

4.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条および第37条(a))

  • (訳者注)3が欠落しているのは原文ママ。
出生登録
〈海外県および海外領土における出生登録〉
41.委員会は、すべての出生が登録されなければならないことを定め、かつ民事的地位審査委員会(Commission de revision de l'etat civil)による手続の強化を奨励する、マヨット島に関する2006年7月24日の法律第2006-911号の制定に留意する。委員会はさらに、仏領ギアナのマロニ川およびオヤポク川沿いに住んでいる子どものアクセス可能性に関して制約があることを認知するものである。
42.委員会は、締約国の領域におけるすべての子どもの出生登録を確保するための努力を継続するよう、勧告する。委員会はさらに、仏領ギアナにおけるすべての子どもの出生登録を確保するための努力を強化するよう締約国に対して促した前回の勧告を、あらためて繰り返すものである。
〈国内における出生登録〉
43.委員会は、自己の出自に対する子どものアクセスを促進することに関してとられた措置、とくに親子関係決定の改革に関するオルドナンス第2005-759号の採択、および、個人の出自へのアクセスに関する国家評議会(Conseil National pour l’acces aux origines personnelles、CNAOP)が果たしている新たな役割について締約国から提供された情報に留意する。にもかかわらず、委員会は、新たな照会に関する待機期間が長いことに懸念を表明するものである。委員会はまた、母親が、希望する場合には自己の身元を秘匿し、かつ自己の出自を知る子どもの権利に反対することができることにより、子どもがその権利の一部を奪われていることも、依然として懸念する。
44.委員会は、条約第7条に掲げられているとおり、かつ差別の禁止(第2条)および子どもの最善の利益(第3条)の原則に照らし、自己の生物学上の両親およびきょうだいを知る子どもの権利を全面的に執行するためあらゆる適当な措置をとるべきである旨の、締約国に対する前回の勧告をあらためて繰り返す。委員会はさらに、締約国に対し、新たな照会が時宜を得たやり方で扱われることを確保するよう勧告するものである。
思想、良心および宗教の自由
45.委員会は、締約国が、「公立の初等学校および中等学校において、生徒が自己の信仰する宗教を直截に明らかにする標章または服装」を着用することを禁じた2004年3月15日の法律第2004-228号の影響を緩和するための措置(国の公教育制度における調停官の設置を含む)に留意する。にもかかわらず、委員会は、このような禁止は教育に対するいかなる女子の権利の否定にも、締約国の社会のあらゆる側面への女子のインクルージョンの否定にもつながるべきではないという女性差別撤廃委員会の総括所見(CEDAW/C/FRA/CO/6、パラ20)、および、ライシテという公共の文化を尊重するためにこのような一般的な宗教的標章の着用を禁ずる必要はないように思われると指摘する、自由権規約委員会が採択した総括所見(CCPR/C/FRA/CO/4、パラ23)を支持するものである。
46.委員会は、思想、良心および宗教の自由に対する子どもの権利(自己の宗教を公の場および私的な場において表明する権利を含む)についての条約第14条の保障が擁護され、かつ、思想、良心または宗教を理由とする差別を回避するために特段の注意が払われるべきであることを勧告する。
結社および平和的集会の自由
47.委員会は、子どもにとってとくに苦痛である高周波超音波発生装置、ならびにフラッシュボール発射装置およびテイザー銃が、子どもに対するその使用について治安部隊に十分な訓令が与えられないまま用いられていることにより、子どもの結社の自由が制限されていることを懸念する。
48.委員会はさらに、年少の子どもが結社の自由に関して差別されており、かつ、団体の代表職および会計職への子どもの選任が禁じられていることに、懸念を表明するものである。
49.委員会は、締約国が、高周波超音波発生装置およびフラッシュボール発射装置その他の有害な機器の使用を再検討し、または禁止するよう勧告する。これらの機器は、結社および集会の自由に対する子どもの権利を侵害する可能性があるためである(これらの権利を享受できることは子どもの発達にとって必要不可欠であり、条約第15条に掲げられた、非常に限定された制約以外は課すことができない)。委員会はさらに、すべての年齢の子どもを対象として、結社の自由に関する規則の調和を図るための措置をとるよう勧告する。
プライバシーの保護
50.委員会は、子どもの個人データが長期間にわたって収集、保存および使用されるデータベースの増加に、懸念とともに留意する。このことは、プライバシーに対する子どもおよびその家族の権利への干渉となる可能性がある。「第一次生徒データベース」(Base eleves 1er degre)に関して、委員会は、締約国が、当初含まれていた要配慮データをこのデータベースから削除したことに、評価の意とともに留意する。しかしながら、教育制度にとってのその有用性および目的が明確に定められていないことに鑑み、委員会は、このデータベースが他の目的(非行や非正規移民である子どもの摘発など)に使用されるおそれがあること、および、他の行政データベースとの相互接続を防止するための法的保護措置が不十分であることを、懸念するものである。委員会はさらに、親が、子どもの登録について反対できず、しばしば登録の通知も受けず、かつ子どもの就学をためらう可能性があることを懸念する。
51.自由権規約委員会が行なった勧告(CCPR/C/FRA/CO/4)を想起しながら、委員会は、締約国に対し、配慮を要する個人データの収集、保存および使用が条約第16条に基づく義務と一致する形で行なわれることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。締約国は、とくに以下のことを確保するべきである。
  • (a) コンピューター、データバンクその他の装置における個人情報の収集および保有が、公的機関によるか私人または民間機関によるかに関わらず法律によって規制され、かつその目的が明確に定められること。
  • (b) 当該情報が、その受領、処理および使用を法律で認められていない者の手に渡ることがないようにするための効果的措置がとられること。
  • (c) 自国の管轄下にある子どもおよび親に対し、自己に関するデータにアクセスする権利、および、情報が誤っており、またはその意思に反して収集され、もしくはコンピュータ化、記録および自由に関する法律第78-17号の規定に反して処理された場合に当該情報の訂正または消去を求める権利が認められること。
適切な情報へのアクセス
52.委員会は、締約国で、インターネットの利用を親が管理できるソフトウェア、および、インターネットの利用のリスクに関する意識啓発キャンペーン(携帯電話におけるものも含む)が導入されたことに留意する。しかしながら委員会は、暴力的かつ(または)ポルノ的な内容をともなう文書、電子媒体および視聴覚媒体(ビデオゲームを含む)へのアクセスが可能であることを懸念するものである。
53.委員会は、締約国に対し、有害な情報へのアクセス(電子媒体および視聴覚媒体を通じてこれらの情報にさらされることも含む)から子どもを保護するための措置をとるよう、勧告する。委員会はさらに、子どもにとって有害なビデオゲームおよびネットゲームを含む文書、電子媒体および視聴覚媒体へのアクセス可能性を管理するため、効果的措置がとられるべきことを勧告するものである。
拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰
54.委員会は、2007年10月30日に自由剥奪施設総監(Controleur general des lieux de privation de liberte)が設置されたことに留意するとともに、締約国が、子どもの拘禁環境に関する情報を報告書に記載したことを歓迎する。しかしながら委員会は、公務員が拘禁施設で子どもに対する不当な取扱いを行なっているという訴えがあることを懸念し、かつ、この問題に関する情報が締約国報告書に見当たらないことを遺憾に思うものである。委員会はさらに、法執行官(とくに警察官)が子どもに対して過度な有形力の行使を行なった事案の報告数が多いこと、および、訴追および有罪判決に至った事案の数が少ないことに、懸念を表明する。
55.委員会は、締約国が、拘禁されたすべての子どもの処遇に関する効果的な監視システムを確立し、かつ、拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の訴えが迅速かつ適正に捜査されることならびに加害者が訴追されおよび処罰されることを確保するよう、勧告する。締約国はさらに、子どもの人権に関する法執行官の意識を高め、かつそのための研修を強化するべきである。
子どもに対する暴力に関する国連研究のフォローアップ
56.子どもに対する暴力に関する国連事務総長研究(A/61/299)について、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) ヨーロッパ・中央アジア地域協議(2005年7月5~7日、リュブリャナ)の成果および勧告を考慮しながら、子どもに対する暴力に関する国連研究の独立専門家報告書に掲げられた勧告を実施するためにあらゆる必要な措置をとること。とくに、委員会は、締約国が以下の勧告に特段の注意を払うよう勧告する。
    • (i) 子どもに対するあらゆる暴力を禁止すること。
    • (ii) 非暴力的な価値観および意識啓発を促進すること。
    • (iii) 回復および社会的再統合のためのサービスを提供すること。
    • (iv) 国レベルの体系的なデータ収集および調査研究を発展させ、かつ実施すること。
  • (b) すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的および心理的暴力から保護されることを確保し、かつ、このような暴力および虐待を防止しかつこれに対応するための具体的な(かつ適切な場合には期限を定めた)行動に弾みをつける目的で、市民社会と連携しながら、かつとくに子どもの参加を得ながら、これらの勧告を行動のためのツールとして活用すること。
  • (c) 次回の定期報告書において、締約国による同研究の勧告の実施に関わる情報を提供すること。
  • (d) 子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表と協力し、かつ同代表を支援すること。
体罰
57.フランス刑法であらゆる形態の体罰が禁じられているという締約国の主張には留意しながらも、委員会は、とくに家庭における体罰および学校における体罰が、とりわけ海外県および海外領土で依然として広範に行なわれており、かつ、子どもに対する体罰を明示的に禁ずる具体的規定がいまなお見当たらないという懸念をあらためて表明する。
58.前回の勧告を繰り返しながら、かつ委員会の一般的意見8号(2006年)にしたがい、委員会は、締約国が、あらゆる場面(家庭、学校、施設その他の子どもの養育現場を含む)における体罰を明示的に禁止し、この点に関する意識啓発を図り、かつ、条約第28条2項にしたがい、暴力を用いない教育の価値を促進するよう、勧告する。このような取り組みに関して、委員会はさらに、締約国が、自国も支持の署名を行なった、あらゆる形態の体罰の全面的禁止を達成することを目的とした欧州評議会のキャンペーンをフォローアップするよう、勧告するものである。

5.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(4項)および第39条)

家庭環境
59.委員会は、多くの家族、およびとくに貧困、十分な住居の欠如または別離によって危機的状況下にある家族が、子どもの養育責任を果たすにあたって適切な援助を受けていないことを懸念する。
60.委員会は、締約国が、とくに貧困、十分な住居の欠如または別離によって危機的状況下にある家族を対象として、親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適切な援助を与えるための努力を強化するよう、勧告する。
家庭環境を奪われた子ども
61.委員会は、裁判所が命ずる個別的措置(分離を含む)の数について懸念を表明する。委員会はさらに、子どもがその家族との接触および面会の機会を持てていないこと、家族の居宅と施設養護が行なわれる場所の距離が離れていること、ならびに、代替的養護の決定の際に子どもの意見および最善の利益が十分に考慮されていないことに、懸念を表明するものである。
62.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 親の低所得の結果として子どもが代替的養護に措置されないようにすること。
  • (b) すべての措置において子どもの意見を考慮するとともに、子どもがアクセスしやすい苦情申立て機構を子どもが全国で利用できるようにすること。
  • (c) 面接交渉手続の開始を促進するとともに、親およびきょうだいから分離されたすべての子ども(長期の入所型養護を受けている子どもを含む)を対象として定期的接触を維持すること。
  • (d) 親のケアを受けていない子どもに対し、その最善の利益を積極的に擁護する代理人が任命されることを確保すること。
  • (e) 親のケアを受けていない子どもに関する一般的討議(2005年9月16日)で出された委員会の勧告を考慮すること。
養子縁組
63.委員会は、養子縁組の分野における法改正、および省庁間養子縁組委員会の設置(2009年1月30日)に留意する。しかしながら委員会は、国際養子縁組の過半数が、もっぱら、国際養子縁組についての子の保護および協力に関する1993年のハーグ条約を批准していない出身国との間で行なわれていること(3分の2)、および、認証機関を通じてではなく個人的経路を通じて行なわれる国際養子縁組の割合が高いことについての懸念を想起するものである。委員会はまた、国際養子縁組が大使館および領事館によって促進されていること(これらの機関とともに活動するボランティアの使用を含む)により、認証機関の活動が阻害される可能性があることも懸念する。委員会はさらに、仏領ポリネシアおよびニューカレドニアにおいて、2歳未満の子どもの国内養子縁組について権限のある公的機関による許可が行なわれていないことを、依然として懸念するものである。
64.前回の勧告をあらためて繰り返し、かつ条約第21条その他の関連規定に照らし、委員会は、締約国が以下のことを確保するよう勧告する。
  • (a) 国際養子縁組の事案への対応が、条約および国際養子縁組についての子の保護および協力に関する1999年のハーグ条約の原則および規定に全面的にしたがって、認証機関によって行なわれること。
  • (b) 条約の基準および1993年ハーグ条約の基準に準じた二国間協定が、当該ハーグ条約を批准していない国との間で締結されること。
  • (c) 仏領ポリネシアおよびニューカレドニアにおける国内養子縁組について、権限のある公的機関による許可が義務とされること。
65.委員会はまた、社会サービス機関が家族による遺棄の宣言を獲得することを条件として、親によるネグレクトの状況下で子どもの国内養子縁組を可能にする、締約国の新養子縁組法案にも懸念を表明する。委員会は、この法案が成立すれば、これらの子ども(とくに低所得家庭および貧困下で暮らしている家庭の子ども)が家庭環境から完全に分離されるおそれが生じる可能性があることを、とりわけ懸念するものである。
66.委員会は、この養子縁組法案において、家族から分離されない子どもの権利(第9条)および条約の4つの一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条)が真剣に考慮されるべきことを勧告する。さらに、同法案は条約第21条の規定を全面的に遵守するべきである。
虐待およびネグレクト
67.ONEDの設置および子ども保護に関する2007年3月5日の法律第2007-293号の採択に代表される進展は歓迎しながらも、委員会は、児童虐待およびネグレクトの件数が増えていること、子どもが自宅から失踪する事件数が多いこと、ならびに、子ども保護に関する法律が実施されていないことに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、虐待およびネグレクトの被害を受けた子どもが司法にアクセスできていないことを懸念するものである。
68.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子ども保護法の実施のために必要な予算資源を配分するとともに、とくに、諸措置が国レベルで(海外県および海外領土も含む)調整されることを確保すること。
  • (b) 第19条で考慮の対象とされている暴力、性的虐待、ネグレクト、不当な取扱いまたは搾取(家庭、施設養護その他の養護におけるものも含む)の事案数および規模を監視するための機構を設置すること。
  • (c) 虐待およびネグレクトの被害を受けた子どもによる司法へのアクセスを強化すること。
  • (d) 子どもとともに働く専門家(教員、ソーシャルワーカー、医療専門家、警察官および司法関係者を含む)が、子どもに対するドメスティック・バイオレンス、虐待およびネグレクトが疑われる事案について通報しおよび適切な行動(保護措置を含む)をとる自己の義務に関する研修を受けることを確保すること。
  • (e) 新子ども保護法に関する意識啓発キャンペーンのためにメディアを活用するとともに、全般的措置として、子どもおよび女性、とくに女子および脆弱な立場に置かれた集団の子どもに対するあらゆる形態の暴力を拒絶する雰囲気をつくり出すこと。

6.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3項))

障害のある子ども
69.委員会は、条約第23条にしたがい、教育および就学に対する障害のある子どもの平等な権利を掲げた、2005年2月11日の法律第2005-102号の採択を歓迎する。しかしながら委員会は、実際には週に数時間しか学校に出席しない障害児が多いことを懸念するものである。専門の援助者(auxiliaires de vie〔学校生活補助員〕)の配置数が追加されたことは歓迎しながらも、委員会は、契約上の取決めが不安定であることおよび研修の機会が不十分であることに懸念を表明する。委員会はさらに、とくに重複障害のある子どものための専門的ケアに関してならびに余暇および文化的活動へのアクセスに関して若干の欠陥があり、かつマヨット島およびウォリス・フツナ諸島で体制が整備されていないことにより、前述の法律の実施が阻害されていることに留意するものである。
70.障害のある人の権利に関する条約および障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 教育へのアクセスを保障した法律ならびに障害のある子どものためのプログラムおよび専門的援助が効果的に実施されることを確保し、かつ、条約に基づく障害児の権利の全面的享受を締約国全域(海外県および海外領土を含む)で確保するため、あらゆる必要な措置をとること。
  • (b) 早期発見・介入プログラムを発展させること。
  • (c) (準)医療従事者および関連要員、教員ならびにソーシャルワーカーなど、障害のある子どもとともに働く専門的職員に対して研修を行ないかつ安定した立場を保障すること。
  • (d) 障害のある子どもの社会へのインクルージョンに関する、ジェンダーについて適切に配慮された包括的な国家的戦略を策定すること。
  • (e) 障害のある子どもの社会へのインクルージョンを奨励し、かつ差別および施設措置を防止するような、障害児の権利および特別なニーズに関する意識啓発キャンペーンを行なうこと。
健康および保健サービス
71.委員会は、県レベルで子どもおよび母親のための保健ケア・サービスを強化し、かつ6歳、9歳、12歳および15歳の子どもの健康診断を義務づけることによって保健サービスへのアクセスの不平等に対処しようとする締約国の努力には留意しながらも、さまざまな地域圏間および不利な立場に置かれた背景を有する子ども間の不平等が依然として問題であることを懸念する。委員会はさらに、とくに義務的健診を実行するうえで資格のある医療従事者が不足しておりかつ資源の配分が不十分であることに、懸念を表明するものである。
72.委員会はまた、栄養不良、結核、HIV/AIDSのような重大な健康問題への対応に関して仏領ギアナの子ども保健ケアに欠陥があること、および、マヨット島において社会保障制度とのつながりがない子どもが保健ケアにアクセスできないことにも、懸念を表明する。
73.委員会は、保健サービスへのアクセスに関する不平等について、すべての県および地域圏全体で調整のとれたアプローチを通じた対応が行なわれるべきこと、および、締約国が医療従事者の不足を是正することを勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、海外県および海外領土における子ども保健ケアの欠陥を根絶するよう促すものである。
母乳育児
74.委員会は、母乳育児の促進および支援に関して締約国で近年達成された進展は評価しながらも、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の実施が引き続き不十分であること、および、母乳代替品の攻撃的宣伝が依然として一般的に行なわれていることを懸念する。
75.委員会は、締約国が「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を全面的に実施するよう勧告する。締約国はまた、赤ちゃんにやさしい病院をさらに促進し、かつ保育者研修に母乳育児を含めることを奨励するべきである。
思春期の健康
76.委員会は、青少年センターなど、青少年の精神保健のためのプログラムおよびサービス発展させようとする締約国の努力にも関わらず、青少年のウェルビーイングの水準が低いこと(摂食障害および依存症、性感染症(STD)のリスクに対する曝露ならびに自殺および自殺未遂のような問題を含む)を懸念する。委員会はさらに、締約国(海外県および海外領土を含む)で青少年による有害物質の濫用が発生していることを懸念するものである。
77.委員会は、締約国が、以下のような措置をとることも含め、青少年の精神保健および青少年による有害物質濫用の問題への対処を締約国全域で継続するよう、勧告する。
  • (a) 精神保健サービスおよびカウンセリング・サービスを、これらのサービスがすべての法域(海外県および海外領土を含む)の青少年にとってアクセスしやすくかつ配慮されたものであることを確保しながら、強化すること。
  • (b) 焦点の明確な防止措置を提供するため、これらの問題の根本的原因を研究すること。
  • (c) 有毒物質に関する正確かつ客観的な情報を子どもに提供するとともに、その使用をやめまたは依存から脱しようとしている子どもに支援を提供すること。
生活水準
78.委員会は、2020年までに子どもの貧困に終止符を打つという政府の決意、および、国家家族手当基金(Caisse nationale des allocations familiales)に対する追加資源の配分を歓迎する。しかしながら委員会は、貧困下で暮らしている子どもが多いこと、および、移民の背景を有する子どもが貧困下で暮らしている割合の方が相当に高いことを、依然として懸念するものである。委員会はさらに、マイノリティ問題に関する独立専門家が同国主要都市の郊外(banlieues)にある最貧困地区を訪問した際に明らかにした、差別および排除が原因でこれらの郊外に明らかに貧困が集中している旨の所見(A/HRC/7/23/Add.2、パラ42)を想起する。標準以下の住宅の現象に対応するために締約国が行なった努力は歓迎しながらも、委員会は、執行可能な新たな居住権(droit opposable au logement)の実施が遅れていること、およびその実施のための予算配分が不十分であることに、懸念を表明するものである。
79.条約第27条にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 目標達成のための測定可能な指標を確立することも含め、2020年までに子どもの貧困に終止符を打つという目標を達成するための法律を採択し、かつ十分に実施すること。
  • (b) この法律およびフォローアップの措置においては、支援をもっとも必要としている子どもおよびその家族(移民の背景を有する子どもも含む)を優先させること。
  • (c) 十分な予算資源を配分する等の手段により、執行可能な居住権(droit opposable au logement)の速やかな実施を確保すること。

7.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
80.委員会は、条約に掲げられた目標を保障するために締約国が教育分野で行なっている多大な努力に、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 学校中退率および留年率が高いこと、ならびに、2006年3月31日の新法で、子どもが学校に出席しないことについて親(経済的困窮に直面している親も含む)が処罰の対象とされていること。
  • (b) 経済的に困窮している親とともに生活している子どもの学校における成績に関して、相当の不平等が根強く残っていること。一部集団の子ども、とくに障害のある子ども、トラベラーの子ども、ロマの子ども、子どもの庇護希望者、さまざまな理由(疾病、家族の扶養義務など)で中退した子どもおよび学校に通っていない子どもならびに10代の母親は、普通学校または代替的教育施設のいずれにおいてであれ、就学し、または教育を継続しもしくは再開するうえで問題に遭遇している。
  • (c) 労働市場に参入するための教育上および職業上の支援が不十分であることにより、若者の失業が増加していること。
81.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの社会的背景が学校における成績に及ぼす影響を軽減するための努力を継続しかつ強化すること。
  • (b) 親を処罰することなく、中退率および留年率を下降させるための努力を強化すること。
  • (c) 修了資格を得ることなく学校を離れた子どものための職業教育および職業訓練を拡大することにより、これらの子どもが、就労の機会を増進させるための能力およびスキルを獲得できるようにすること。
  • (d) 不利な立場にあり、周縁化されており、かつ学校から離れているあらゆる集団の子どもに対して〔権利の〕全面的享受を確保する、真にインクルーシブな教育に対するすべての子どもの権利を確保する目的で、相当の追加的資源を投入すること。
  • (e) 懲戒措置としての退学または停学を最後の手段としてのみ用いるようにし、停退学の件数を減少させ、かつ、学校との紛争を抱えた子どもを援助するため学校にソーシャルワーカーおよび教育心理学者を配置すること。
休息、余暇、レクリエーションならびに文化的および芸術的活動
82.委員会は、文化または芸術に関わる課題活動を行なっている子どもが、報告によればわずかしかいないことに着目する。委員会はまた、近年生じている遊び場の着実な減少により、子どもが公共のオープンスペースで集まらざるを得ない状況に押しやられる効果が生じるおそれがあることを懸念するものである。
このような行動は、集合住宅の廊下で行なわれた場合には、国内治安に関する2003年3月18日の法律にしたがって処罰される可能性がある。
83.委員会は、締約国が、子どもが休息し余暇を持つ権利、子どもの年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション活動を行なう権利ならびに文化的生活および芸術に自由に参加する権利を保障するための努力を強化するよう勧告する。締約国は、障害のある子どもを含む子どもに対し、遊ぶ権利および余暇活動に対する権利を行使するための十分かつアクセスしやすい遊び場空間を提供することに、特段の注意を払うべきである。

8.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~36条、第37条(b)~(d)および第38~40条)

子どもの庇護希望者および難民ならびに保護者のいない子ども
84.保護者のいない子どもに関するワーキンググループが設置されたことは歓迎しながらも、委員会は、フランスの空港の待機区域に措置された保護者のいない子どもが直面している状況について深い懸念を覚える。さらに、委員会は、措置決定に対する異議申立てができないこと、特別管理人の選任に関する法的要件が系統的に適用されていないこと、および、搾取の被害をとりわけ受けやすいこれらの子どもが利用可能な心理的援助が存在しないことを懸念するものである。委員会はまた、子どもがしばしば、その条件についての適正な評価を行なわれることなく、搾取の危険に直面する国に送還されていることにも懸念を表明する。
85.委員会はまた、保護者のいない未成年者が制度的に社会サービス、教育および語学学校の諸制度の対象とされておらず、かつ、締約国の領域に受け入れられた保護者のいない子どもに対して明確な法的地位が与えられていないことにも、懸念を表明する。
86.出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号を考慮しながら、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 待機区域への措置決定に対して異議を申し立てられるようにするため、あらゆる必要な措置をとること。
  • (b) 国内法で求められているとおり、特別管理人を系統的に選任すること。
  • (c) 保護者のいない子どもが十分な心理的援助にアクセスしかつこれを利用できることを確保するとともに、とくに待機区域へのアクセスを厳格に監視することを通じ、待機区域の子どもが搾取から〔保護されることを〕確保すること。
  • (d) 子どもの最善の利益を正当に考慮し、国際的保護を必要とする子どもおよびふたたび人身取引の対象とされるおそれがある子どもが、このような危険が存在する国に送還されないことを確保すること。
87.委員会はさらに、人の年齢を決定するために骨検査を用いることについて生命科学および健康の倫理に関する国家諮問委員会が否定的評価を行なっているにも関わらず、締約国が引き続きこの手法を用いていることを懸念する。
88.委員会は、前回の勧告をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、現在用いられている骨検査による決定法よりも正確であることが証明されている最近の年齢決定法を導入するよう、促す。
89.委員会は、認定難民の家族再統合手続にかかる期間に問題があることを締約国が認めていることには留意するものの、当該手続に関する包括的情報がないこと、当該手続の期間が長いこと、および、子どもが家族再統合に対する権利をフランス到着時に主張できる可能性が限られていることに対する懸念を、あらためて表明する。委員会はさらに、親の退去強制を理由とする家族の分離の報告があること、および、出入国管理、統合および庇護に関する2007年11月21日の法律第2007-1631号で、認定難民に対し、家族再統合に関するいっそう厳しい基準(DNA検査および言語能力を含む)が課されたことに、懸念を表明するものである。
90.委員会はまた、国際法および条約で承認されているカファラの制度が締約国では家族再統合の文脈において適用されていないこと、および、子どもがカファラ上の親と暮らすためにフランスに入国するのを妨げたフランス地方当局の決定は私生活および家族生活に対する権利の侵害であると判断した2004年3月24日の国務院(Conseil d'Etat)判決が実施されていないことも、懸念する。
91.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 認定難民の家族再統合手続にかかる期間を相当に短縮するための努力を引き続き行なうこと。
  • (b) 親子関係を確定する手段としてのDNA検査の実施によって家族再統合に新たな障壁が生じないこと、および、このような手法を使用する際には、十分な情報に基づく申請者の事前の同意が常に条件とされることを確保するため、あらゆる適当な措置をとること。
  • (c) 家族再統合の文脈においてカファラの制度を承認し、かつ2004年3月24日の国務院(Conseil d'Etat)判決を実施すること。
性的搾取、売買、取引および誘拐
92.委員会は、性的搾取その他の搾取を目的として人身取引された子どもの出身国の一部と協力協定が取り決められたことに留意する。しかしながら委員会は、人身取引を含む搾取の対象とされる子ども、および、窃盗、物乞いおよび売買春の目的でフランスに入国しまたはフランスを通過する子どもが多いことに、懸念を表明するものである。
93.委員会は、締約国が、性的搾取その他の搾取を目的とする子どもの人身取引と闘うためにさらなる措置をとるよう、勧告する。委員会はさらに、これらの問題と闘うための十分な措置を決定する目的で、締約国が、子どもの性的搾取および売買(海外県および海外領土におけるものも含む)の規模に関するデータを収集するための努力を強化するよう、勧告するものである。
少年司法の運営
94.委員会は、非行の防止に関する包括的な国家政策が存在しないことならびに少年司法制度に財源および人的資源が配分されていないことを懸念する。委員会は、とくに、成人および少年の累犯との闘いを強化し、かつ子どもを成人として審理できるようにする2007年8月10日の法律第2007-1198号との関連で、教育的措置よりも抑圧的措置を優先させる傾向にある、この分野における立法および実務についての懸念をあらためて表明するものである。委員会は、暴力的および(または)性的性質の重罪を行なった容疑がある16~18歳の少年犯罪者の事件について以下のような取扱いが行なわれていることを、とりわけ懸念する。
  • (a) 〔未成年者に関する〕刑罰減軽の原則(principe de l'attenuation de la peine pour mineurs)を、十分な理由を付した裁判官の決定により、初犯者についても退けることができること。
  • (b) 16~18歳の再犯者については当該原則が適用されず、具体的理由を付した裁判官の決定によらなければ当該原則の適用を回復させることができないこと。
  • (c) 累犯事件について、最低期間以上の収監刑が義務的に適用されること。
95.委員会は、とくに、成人拘禁施設の子ども収容区画に代えることを目的とした13~16歳の子ども向けの閉鎖型監督センター(centres educatifs fermes)および未成年者向けの行刑施設(etablissements penitentiaires pour mineurs)の数が相当に増えたこととの関連で、若干の積極的変化が見られることに着目する。しかしながら委員会は、自由の剥奪件数が多いこと、および、成人拘禁施設に子ども収容区画が存在し続けていることに懸念を表明するものである。
96.委員会はさらに、組織犯罪およびテロの容疑をかけられている16~18歳の子どもを、手続的保障を全面的に遵守することなく96時間まで警察の留置(garde a vue)下に置くことを認めた、2004年3月9日の法律第2004-204号改正について懸念を表明する。
97.委員会は、締約国に対し、少年司法に関する基準、とくに条約第37条(b)、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)が全面的に実施されることを確保するよう、促す。とくに委員会は、締約国に対し、少年司法の運営に関する委員会の一般的意見10号(2007年)を考慮しながら、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) 子どもが刑事司法制度と接触することにつながる社会的条件の解消の一助とする目的で、家族およびコミュニティの役割を支援することのような防止措置を強化するとともに、スティグマを回避するためにあらゆる可能な措置をとること。
  • (b) 刑事司法制度に対する財源、人的資源その他の資源の十分な配分を増加させかつ確保すること。
  • (c) 警察における留置(garde a vue)および未決勾留を含む拘禁は、最後の手段として、かつ可能なかぎり短い期間で用いること。
  • (d) 拘禁が行なわれるときは、法律および国際基準を遵守して行なわれることを確保すること。
  • (e) 16~18歳の子どもについて、16歳未満の子どもと異なる取扱いを行なわないようにすること。
  • (f) ダイバージョン、調停、保護観察、カウンセリングおよび地域奉仕活動のような、自由の剥奪に代わる再統合措置の活用を拡大するとともに、この点に関する家族およびコミュニティの役割を強化すること。
  • (g) 法律に触れた18歳未満の者が無償の法的援助および独立した効果的な苦情申立て機構にアクセスできることを確保すること。
  • (h) 刑事司法制度に関わって働いているすべての専門家を対象とする、関連の国際基準に関する研修プログラムを改善すること。
98.委員会はまた、締約国が刑事責任に関する最低年齢を定めていないことを依然として懸念する。
99.委員会は、締約国が、条約第40条3項(a)およびとくに子どもオンブズパーソンが行なった勧告にしたがって、13歳を下回らず、かつ子どもの分別能力を要件とする、刑事責任に関する最低年齢を定めるよう勧告する。
犯罪の証人および被害者の保護
100.委員会はまた、締約国が、十分な法律上の規定および規則を通じ、犯罪の被害を受けたおよび(または)犯罪の証人であるすべての子ども(たとえば、虐待、ドメスティック・バイオレンス、性的および経済的搾取、誘拐ならびに人身取引の被害を受けた子どもならびにこのような犯罪の証人)が条約で求められている保護を提供されることを確保し、かつ、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(2005年7月22日の経済社会理事会決議2005/20付属文書)を全面的に考慮するようにも、勧告する。
マイノリティおよび先住民族に属する子ども
101.委員会は、締約国報告書の付属文書IIに掲げられた、文化的、宗教的および言語的多様性を促進するために締約国がとった措置に、評価の意とともに留意する。委員会はまた、条約第30条に付した留保についての締約国の立場にも留意するとともに、法律の前における平等では、事実上の差別に直面している可能性があるマイノリティ集団ならびに海外県および海外領土の先住民族による平等な権利の享受を確保するためには不十分であるおそれがある旨の懸念を、あらためて表明するものである。委員会はさらに、マイノリティ集団に属する子ども、とくにトラベラーおよびロマの子どもに伝えられる文化的知識の正当性が確認されていないこと、および、とくに経済的、社会的および文化的権利(十分な住居および生活水準、教育ならびに健康に対する権利を含む)との関連でこれらの子どもが差別に直面していることに、懸念を表明する。
102.委員会は、マイノリティ集団ならびに海外県および海外領土の先住民族が権利の平等な享受を享受し、かつ、子どもが自己の集団の文化的知識の正当性を差別なく確認できることを確保するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、マイノリティ集団に属する子どもに対する、とくに経済的および社会的権利に関するあらゆる差別を撤廃するための措置をとるよう、勧告するものである。

9.国際人権文書の批准

103.委員会は、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(2008年9月23日)および拷問等禁止条約の選択議定書(2008年11月11日)が批准されたことを歓迎する。
104.委員会は、締約国が、障害のある人の権利に関する条約およびその選択議定書ならびにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約の批准のための手続をとるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書を批准するよう、促すものである。

10.フォローアップおよび普及

フォローアップ
105.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を議会ならびに中央政府および地方分権政府の関連省庁に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
106.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回・第4回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループおよび子どもが関連の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。

11.次回報告書

107.委員会は、締約国に対し、第5回定期報告書を2012年9月までに提出するよう慫慂する。この報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。
108.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された「国際人権条約に基づく報告についての統一指針(共通コア・ドキュメントおよび条約別文書についての指針を含む)」(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出するよう慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年11月1日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。