総括所見:フランス(OPSC・2007年)


CRC/C/OPSC/FRA/CO/1(2007年10月15日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2007年9月26日に開かれた第1270回および第1271回会合においてフランスの第1回報告書(CRC/C/OPSC/FRA/1)を検討し、2007年10月5日に開かれた第1284回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、締約国の包括的な第1回報告書が提出されたことを歓迎するものの、当該報告書に海外県および海外領土についての情報が記載されていないことを遺憾に思う。委員会はまた、事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPSC/FRA/Q/1/Add.1)も歓迎するともに、部門横断型の代表団との間に持たれた建設的対話を評価するものである。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2004年6月4日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.240)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

A.積極的側面

4.委員会は、締約国が、選択議定書に関わる多数の法令を採択したことを歓迎する。これには以下のものが含まれる。
  • (a) 危険な状況に置かれた子どもの全国監視センター(Observatoire national de l'enfance en danger、ONED)を設置する、子どものケアおよび保護に関する2004年1月2日の法律第2004-1号。
  • (b) 児童ポルノに関する刑法の一部規定を改正する2004年6月21日の法律第2004-575号。
  • (c) 養子縁組改革およびフランス養子縁組局の設置に関する2005年7月4日の法律第2005-744号。
  • (d) 子どもの性的搾取および児童ポルノとの闘いに関する欧州連合理事会枠組決定2004/68/JHAを国内法化する、2006年4月4日の法律第2006-399号。
  • (e) 性犯罪の被害を受けた子どもの事情聴取に関する2007年3月5日の法律第2007-291号。
  • (f) 子ども保護改革に関する2007年3月5日の法律第2007-293号。
5.委員会は、締約国が、選択議定書に関わる国際文書および地域文書を批准したことに、評価の意とともに留意する。これには以下のものが含まれる。
  • (a) 最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する国際労働機関第182号条約(2001年9月)。
  • (b) 国際組織犯罪防止条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2002年10月)。
  • (c) 国際組織犯罪防止条約を補足する、陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書(2002年10月)。
  • (d) 人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約(2007年5月)。

B.子どもの権利条約の一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条)

6.委員会は、選択議定書に基づいて締約国がとった実施措置において子どもの権利条約の一般原則が十分に考慮されていないことを懸念する。委員会は、空港の待機区域にいる庇護希望者および保護者のいない子どもに対応する方法について、とくに懸念を覚えるものである。
7.委員会は、子どもの権利条約の一般原則、とくに差別の禁止の原則を、選択議定書の規定を実施するために締約国がとるすべての措置(とくに司法上または行政上の手続)に包摂するよう勧告する。

II.データ

8.委員会は、危険な状況に置かれた子どもの全国監視センターが、子どもの保護に関わるデータ、研究、調査ならびに防止および介入のための実践例を収集し、分析し、評価しかつ普及するための機関であることに留意する。しかしながら委員会は、締約国報告書に、選択議定書が対象とする分野についてのデータおよび調査情報のいずれもがほとんど記載されていないことを懸念するものである。
9.委員会は、締約国が、とくに年齢、性別および民族的または社会的出身ごとに細分化されたデータが体系的に収集されかつ分析されることを確保するよう、勧告する。このようなデータは政策の立案および実施のために必要不可欠な手段だからである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、関連する問題の概要を明らかにし、根本的原因を特定し、ならびにこれらの問題を防止しおよびそれらと闘うための効果的政策を策定する目的で、選択議定書が対象とする問題(売買、買春、ポルノおよびセックス・ツーリズムを含む)についての詳細な研究を行なうよう、奨励するものである。

III.実施に関する一般的措置

選択議定書の実施の調整および評価
10.委員会は、選択議定書の実施においてさまざまな省庁および省庁間委員会が果たしている役割、ならびに、この点に関する地域圏自治体の責任および市民社会の参加に留意する。しかしながら委員会は、選択議定書の実施の調整および評価を委任された特定の機関が存在しないことを懸念するものである。
11.委員会は、締約国が、選択議定書の実施の調整および評価を特定の機関に委任するよう勧告する。委員会は、締約国に対し、この機関を通じて、選択議定書の実施の、国と地域圏間のならびに海外県および海外領土との効果的調整を確保するよう促すものである。
普及および研修
12.委員会は、選択議定書が対象とする分野についての意識を高めるために締約国が行なっている努力、および、とくに観光における子どもの性的搾取に反対するキャンペーンに、評価の意とともに留意する。
13.委員会は、締約国に対し、観光における子どもの性的搾取の分野での意識啓発キャンペーンを継続し、かつ定期的フォローアップを確保するよう、奨励する。さらに、委員会は、公衆の意識啓発キャンペーンに対し、かつ、子どもとともにおよび子どものために働く専門家(とくに法執行官ならびに議員、裁判官、弁護士、保健従事者、地方政府職員、メディア専門職、ソーシャルワーカー、教員、学校管理者および必要なときは選択議定書の実施に責任を負う他の者)を対象とする研修資料および研修コースの開発に対し、十分な資源が使途指定のうえで配分されるべきであることを勧告するものである。
資源配分
14.選択議定書の実施に関係しているさまざまな省庁が関連の活動に資源を配分するためにとっている措置(ホットラインおよび危険な状況に置かれた子どもの全国監視センターに振り向けられた予算を含む)には留意しながらも、委員会は、これらの資源が選択議定書の実施のために十分か否かについての情報がまったく入手できないことを遺憾に思う。
15.委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関連する活動への予算配分について、より多くの情報を提供するよう奨励する。たとえば予算拠出金の使途指定を通じ、防止、選択議定書が対象とする犯罪の時宜を得た捜査および訴追ならびに被害を受けた子どもの保護、ケアおよび社会的再統合に資源を配分することに、特段の注意が払われるべきである。

IV.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止

選択議定書で禁じられた犯罪を防止するためにとられた措置
16.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪を防止するため、専門家、非政府組織および市民社会と連携しながら締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、児童ポルノの問題を対象とする体系的かつ包括的な戦略が存在しないことを遺憾に思うものである。
17.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 「インターネットの子どもたち-II:児童ポルノとインターネット上のペドフィリア」と題する報告(Les enfants du Net - II : pedo-pornographie et pedophilie sur l'internet、2005年刊)と題した報告書の勧告に基づく具体的措置を実施すること。
  • (b) 児童ポルノと闘い、かつインターネット関連のリスクに対応するための包括的プログラム(関連のパートナー、とくに子どもを対象とする情報提供および訓練も含まれよう)を発展させること。
  • (c) 子どもを描写した画像の流通の増加に見られるような、性的搾取を目的とする子どもへの需要の問題に対応するためのキャンペーンおよび特別教育プログラムを実施すること。

V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに関連する事項の禁止

現行刑事法令
18.子どもの売買、児童買春および児童ポルノを犯罪化するために締約国が行なった努力には留意しながらも、委員会は、不正規な国際養子縁組が子どもの売買として犯罪化されていない可能性があることを懸念する。
19.委員会は、国内法が選択議定書第2条および第3条にしたがうこと、とくに選択議定書に定められた売買の定義(第2条(a))および養子縁組についての同意の不正な勧誘(第3条1項(a)(ii))が法律に編入されることを確保するよう、勧告する。
選択議定書第3条1項に掲げられた犯罪についての裁判権
20.委員会は、児童買春および児童ポルノに関わる犯罪が域外裁判権の対象であることを歓迎する。しかしながら委員会は、域外裁判権が、選択議定書第4条で挙げられているすべての場合を網羅しているわけではないことを懸念するものである。
21.委員会は、締約国が、第4条に一致する形で、選択議定書に掲げられたすべての犯罪について裁判権を設定するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。

VI.被害を受けた子どもの権利の保護

選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置
22.委員会は、被害を受けた子どものうち、選択議定書第9条3項および4条に定められた回復のための援助および賠償を提供された子どもの人数についての情報が入手可能とされていないことを遺憾に思う。
23.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 回復のための援助および被害賠償を提供された被害者の人数に関する、性別、年齢および地理的所在(海外県および海外領土を含む)等によって細分化されたデータを体系的に収集すること。
  • (b) 選択議定書第9条3項にしたがい、被害を受けた子どもが十分なサービス(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を含む)を利用できることを確保するため、非政府組織と連携すること。
  • (c) 被害を受けた子どもの保護に対応するすべての主体を対象とする、体系的かつ継続的な研修を確立すること。
  • (d) 選択議定書第9条4項にしたがい、被害を受けたすべての子どもが、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを確保するとともに、被害を受けた子どものリハビリテーションのために必要なプログラムおよび措置に対して十分な資金を配分すること。
  • (e) 子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(経済社会理事会決議2005/20)を考慮すること。
24.委員会は、フランスの空港の待機区域に措置された保護者のいない子どもが直面している状況とともに、措置決定に対する異議申立てができないこと、特別管理人の選任に関する法的要件が系統的に適用されていないこと、および、搾取の被害をとりわけ受けやすいこれらの子どもが利用可能な心理的援助が存在しないことを、深く懸念する。委員会はまた、子どもがしばしば、諸条件についての適正な評価を行なわれることなく、搾取の危険に直面する国に送還されていることも懸念するものである。
25.委員会は、締約国に対し、待機区域への措置決定に対して異議を申し立てられるようにするための手続を整備し、特別管理人の選任に関する国内法を全面的に実施し、保護者のいない子どもが十分な心理的援助を利用できるようにする義務を履行し、かつ、とくにアクセスの厳格な監視を通じて、待機区域における搾取から子どもを保護する体制を整えるための措置をとるよう、促す。さらに、委員会は、締約国が、子どもの最善の利益を正当に考慮し、国際的保護を必要とする子どもおよびふたたび人身取引の対象とされるおそれがある子どもが、このような危険が存在する国に送還されないことを確保するよう、勧告するものである。これとの関連で、委員会は、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/2005/6)を指針とするよう勧告する。

VII.国際的な援助および協力

法執行
26.委員会は、司法共助および治安協力の領域で締約国が調印したさまざまな二国間協定および了解覚書に、評価の意とともに留意する。
27.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノをともなう行為の防止、摘発、捜査、その責任者の訴追および処罰のため、とくにこの分野で問題に直面している国々の法執行機関との、二国間、地域間および多国間の協力を継続しかつ強化するよう奨励する。
財政援助その他の援助
28.委員会は、国際協力の枠組みおよび開発途上国との二国間関係における多数の取り組みへの締約国の支援に、評価の意とともに留意する。
29.委員会は、締約国が、国際的レベルでの選択議定書の実施を促進するための努力を継続しかつ強化するよう、勧告する。

VIII.フォローアップおよび普及

フォローアップ
30.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、国民議会および上院ならびに地域圏および県(海外県および海外領土を含む)の当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
31.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。

IX.次回報告書

32.第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の報告書に記載するよう要請する。当該報告書には、フランスの海外県および海外領土における議定書の実施に関する情報が記載されるべきである。

  • 更新履歴:ページ作成(2010年11月1日)。